♦ Ernst Leitz Wetzlar (エルンスト•ライツ•ヴェッツラー) SUMMILUX 50mm/f1.4《貴婦人》 1st(LM)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、旧西ドイツは
Ernst Leitz Wetzlar製標準レンズ・・・・、
SUMMILUX 50mm/f1.4《貴婦人》1st (LM)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時のErnst Leitz Wetzlar製標準レンズ「50mm/f1.4 貴婦人」の括りで捉えると僅か4本目にあたりますが、今回扱った個体「第一世代の前期型」だけで
カウントすれば僅か3本目です。

先ずは冒頭で、このような大変希少なオールドレンズのオーバーホール/修理ご依頼を賜り
ました事、ご依頼者様に感謝とお礼を申し上げたいと思います・・ありがとう御座います!

そもそも昨年末に、2022年来の凡そ2年間に渡りほぼ毎月のようにご懇意にして頂いた方からのご依頼分で、ライカ製オールドレンズの仕上げに関し、ご迷惑をかけしてしまいました事をひたすらに反省し続けている始末で(汗)・・すっかりライカ製オールドレンズのオーバー
ホール/修理の自信を失ってしまっている
状況です(涙)

特にワザワザ確認用にと「Leica MP10-P」までお貸し頂きながらの不始末で、全く以て申し開きのしようがありません(涙)

そんなワケで今回のオーバーホール/修理は、当然ながら別のご依頼者様からのご依頼分ですがそのお詫びの気持ちと想いは、相変わらず強く残ったままであり「せめてあくまでも貴婦人に対して詫びる」つもりで臨んだ次第で御座います(泣)

  ●               

↑上の一覧は当方の持論を基に「製造番号」の昇順で「貴婦人の世代交代」についてネット上で当時確認できる写真から調べたモデルバリエーション別の状況です。

ネット上での解説などでの捉え方とは異なり、当方は特に外見上の相違で筐体外装の距離環
ローレット (滑り止め) の山谷でギザギザがある場所「山部分か谷のほうか?」の相違から
製造番号を基にしつつも、そこで「第1世代の中でも分かれる」と捉えています(汗)

合わせて光学系の設計変更 (5群7枚②) から製造番号を跨いだ時点で「第2世代」へと変遷
したとも捉えています。

この第1世代は巷で俗に『貴婦人』とも長年呼ばれ続けているバリ
エーションで、ネット上で掲載される事が一番多い光学系構成図が
右の構成図です・・当然ながら5群7枚の拡張ダブルガウス型構成
を採っています。

ところがリアルな現実としてこの『貴婦人』を完全解体して取り出した光学系のカタチは異なっており、右構成図は今回のオーバーホールで完全解体した際に、光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。

特に第2群の2枚貼り合わせレンズのカタチが異なるのと合わせて、光学系の構成2枚目や3枚目の曲がり率も違うのを確認済です(驚)

特に当方がこようにブログで述べると、某有名処のコメント欄やSNSなどで「公然と平気で
ウソを拡散し続けている
」との誹謗中傷が書き込まれるので、ちゃんと『証拠写真』を撮影
していちいち掲載しないとイケナイみたいです(笑)

↑上の写真は今回ご依頼を賜った個体を完全解体した際に取り出した、光学系第1群〜第5群までの光学硝子レンズを順に並べて撮影しています(笑)

赤色文字第1群第2群が「光学系前群」として格納され、同様ブルー色の文字第3群第5群が「光学系後群」として格納されます。

グリーン色の矢印で指し示している方向は「露出面の方向を表す」目的で付随させており、前群後群とでは絞りユニットを挟んで互いに反対向きに格納される為、結果的にグリーン色の矢印の向きが反転しています(笑)

また上の写真では分かりにくいですが、後群側の第4群第5群はそれぞれが黄鋼製の格納環に一体モールド成形されています (他の群のように光学硝子レンズだけを取り出せないカシメ
止め方式
)。

↑当方がウソを述べているとの誹謗中傷の嵐なので(笑)、上の写真は問題となる光学系第2群 (左) と第3群 (右) のそれぞれ2枚貼り合わせレンズの両方を、ヒックリ返して裏面側方向を
写真上方向に向けて撮影しました (まだ清掃する前の状態です)。

左側の光学系第2群の赤色矢印は、前回オーバーホール/修理した時の個体と同じように「2本線で鉛筆書き入れしてある」のを指し示しています・・この点からおそらく同一の整備会社による過去メンテナンスが施されていると推察できます (当方が書き込んだ鉛筆書きではありません)(汗)

さらに右側の第3群貼り合わせレンズもグリーン色の矢印で指し示した位置に「おそらく指紋の跡」と思しき「反射防止黒色塗料」のハガレ部分が明確に視認できます(汗)・・逆に言えば
この指紋の跡のせいで「反射防止黒色塗料」を着色していた事実が露わになっています(笑)

・・これで当方トレースの構成図がウソではない『証拠写真』になるでしょうか???(汗)

何しろ当方は信用/信頼が皆無なクソ『転売屋/転売ヤー』なので、仕方ありません(涙)

↑上の写真は完全解体した後で当方の手により「溶剤で過去メンテナンス時に着色されている反射防止黒色塗料を除去している途中」の撮影です(笑)

半分以上を剥がし終わったところで一旦撮影していますが、赤色矢印で指し示しているとおり「製産時点にちゃんと鈍い焦げ茶色メッキ加工が施されていた場所に、敢えて故意にワザと
反射防止黒色塗料を着色していたのがモロバレ
」です(笑)・・しかも着色した塗料が多すぎて盛り上がっている始末です(汗)

・・もしも経年でこの盛り上がり塗料がゴッソリ剥がれたらどうするんでしょうか???

そのような懸念さえ抱いてしまう根拠を次の写真で明示し解説します(笑)

↑上の写真は、一つ前のアルミ合金製格納筒「前群用格納筒」に格納されるべき光学系第2群の貼り合わせレンズを撮影しています・・既にコバ端や裏面側に過去メンテナンス時に着色
されていた「反射防止黒色塗料」を全て溶剤を使い剥がし終わっている状態です。

すると赤色矢印で指し示している箇所に「褐色の何かが挟まっているのが分かる」ワケですが
これは光学系の構成2枚目と3枚目の2つの光学硝子レンズを接着している「バルサム剤」で
当時のライカが使っていたであろう純正のカナダバルサムです。

例えば車の車内に置いていた場合、日本の本州域内でも盛夏ともなれば直射日光が差し込んでいた場合「窓を閉じて締め切っていた車内は、下手すれば30分ほどで80℃まで到達する」との懸念が湧き上がり、まさにその温度帯が当時のカナダバルサム剤の融解温度スタート地点を意味します(怖)

ほぼ全周に渡り外周端/コバ端から内側方向に向かい「凡そ3㎜4ミリほどの領域で剥がれ始めている」ワケで、これは接着していたのが高温に到達し融解が始まり溶け始めた現象である事が「カナダバルサム剤に浮き出ている模様」を見ただけで分かります(泣)

勝手にバルサム剤が経年劣化進行に伴い浮き始めたのなら「このようにまるで蛇革の文様の
ように浮き出ず、白濁した領域として浮き上がる
」から明言しているのです(笑)

・・ちゃんと根拠があって実証のもとに述べています(笑)

↑上の2枚の写真は、前述の光学系第2群貼り合わせレンズをそれぞれ剥がして並べて撮って
います。光学系内構成の2枚目 (左) と3枚目になり、1枚目の写真からひっくり返した状態で2枚目の写真を撮影しています。

当然ですが、折角の機会ですからこれら構成2枚目と3枚目を当方の手によりデジタルノギスを使い、逐一計測しています。冒頭のほうで右に掲載した構成図は「まさにその計測値を反映させた、より実測に即した曲がり率に近づいた構成図」と明言できます(汗)

ちなみに、リアルな現実に「加熱処置」により剥がした際「カナダバルサム剤の特異な鼻に
ツンと来る臭い
」も嗅いで判明している為、それを以てして「カナダバルサム剤」と明言している次第で、テキト〜に述べているワケではありません (何しろいちいち信用/信頼が皆無なので説明も面倒くさい)(笑)

残念ながら、既に溶けて浮き始めていた領域は「構成2枚目と3枚目共に蒸着コーティング層の化学反応に伴う劣化進行」として、その痕跡が残っています (コーティング層なので清掃でキレイに除去できません)(涙)・・申し訳ございません(汗)

ちなみに、当然ながらオーバーホール工程の中でちゃんとこの光学系第2群は再接着して貼り合わせレンズとして格納していますが、使用したバルサム剤は、当時の「カナダバルサム」ではなく(笑)、以前取材させて頂いた工業用光学硝子精製会社様からご教授頂いた「光学硝子
専用高屈折バルサム剤
」なので「屈折率 (d)1.64」を誇ります。最近ヤフオク!などでも登場している高速硬化剤のレジン液の類とは違い、ちゃんと光軸と偏芯の確認後に圧を加えて硬化させています (UV光照射ではありません)(笑)

最近変な質問が来ますが(汗)、当方が実施する『DOH』は、YouTubeなどで出回っている「化学反応を利用した経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビの除去」ではありません(笑) 当然ながら「金属用研磨剤」やその他の「光沢剤・潤滑剤・薬品系」も一切使用していません(笑)
全く以て職人から直伝を受けた「磨き研磨」技術そのモノであり、それは木材・金属材・樹脂材のそれぞれで処置も処理も何もかも異なります (都合6年がかりで伝授されたので、そんな簡単な話ではありません/最初は木綿の雑巾からスタートしました)(笑)

特に化学反応は金属材表層面をダイレクトに痩せさせてしまうので、もしも仮にその処置を講じたのならちゃんと補強処置を執らないと、強度面でも将来的に担保が適いません(怖) 同じように「金属用研磨剤の使用/活用」は処置後の金属材表層面を確認すれば明白ですが (粗削りで表層面を微細に凹凸させてしまっては目的と結果が違ってしまう)、研磨剤の成分や添加剤が金属材に浸透してしまい「変質を招く懸念が高い」為、特にオールドレンズの内部パーツには天敵です (処置したらもう二度と元には戻りません)(涙)・・逆に言えば処置後の「エイジング処理」が無視されたまま仕上げている始末で、恐ろしいヤリ方です (エイジングは製品寿命として必須です)(怖)

金属材の表層面に対する処置で、後でコンパウンドなどを使い埋め戻してから研磨し、メッキ加工を被せて仕上げるのは確かにソッチの方面では正当法ですが、如何せん「狙っているのが表面上の見た目での美しい仕上がり」なのか、或いは「純粋に経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビだけの除去」なのかで全く違います(笑)・・その目的と結果を違えて単に模倣して処置を
施すのは「絶滅危惧を促す結末を迎える」と警告しておきますョ(笑)

・・最近ヤフオク!でも整備済が出回っているので要注意です!(怖)

シルバー鏡胴モデルで半世紀以上も経年しているのに、ピッカピカのメッキが残っているが
如く見える市場流通しているロシアンレンズ、或いは旧東ドイツ製モデルは、先ず間違いなく筐体外装が金属用研磨剤で磨かれています(笑)・・研磨剤を使うので当然ながらエイジングは放置プレイです(笑)

その意味で、当方とは「観ている角度が違う」ので、低価格に安く仕上がる「整備済」を狙うなら、それはイコール「自分が使う時だけ良ければいい」との現れであり、全く以て当方が狙う処とは真逆の思想です(涙) 特にライカ製オールドレンズに対して「とてもそのような処置は講じられない」のが、当方にはホンネとしての心情ですね(泣)

《モデルバリエーション》
オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。

第1世代1958年製造 (初期型)
光学系:5群7枚初期型構成 ①
ローレット (滑り止め) :山部分の「逆ローレット」
最短撮影距離:1m
フィルター枠:⌀ 43mm
カラーリング:シルバー鏡胴のみ

第1世代1959年〜1961年製造 (前期型)
光学系:5群7枚初期型構成 ①
ローレット (滑り止め) :谷部分のローレット
最短撮影距離:1m
フィルター枠:⌀ 43mm
カラーリング:シルバー鏡胴のみ

第2世代1961年〜1989年製造
光学系:5群7枚再設計 ②
ローレット (滑り止め) :リブ形
最短撮影距離:1m
フィルター枠:⌀ 43mm
カラーリング:シルバー/ブラック

第3世代1992年〜2006年製造
光学系:5群7枚再設計 ③
ローレット (滑り止め) :リブ形
最短撮影距離:0.7m
フィルター枠:⌀ 46mm
カラーリング:シルバー/ブラック/チタン

第4世代2006年〜2015年製造
光学系:5群8枚再設計 ASPHERICAL ④
ローレット (滑り止め) :リブ形+ツマミ
最短撮影距離:0.7m
フィルター枠:⌀ 46mm
カラーリング:シルバー/ブラック/復刻版2色

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はSUMMILUX 50mm/f1.4《貴婦人》1st (LM)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホール/修理が終わりました(汗) 上の写真レンズ銘板の刻印を観ると分かりますが、今回扱った個体の製造番号先頭2桁が「17xxxxx」であり、ちゃんと「第1世代のまさに貴婦人そのモノ」である事を明示しています(涙)

・・本当に何度見てもウットリしてため息しか出ません(涙) その完成の域が別次元です!

↑上の写真は当初バラす前の確認時点で撮影した、前玉側方向から光学系内を覗き込んだ時の写真です。絞り環を回して絞り値を「開放f値のf1.4」にセットして撮影していますが、赤色
矢印
で指し示したとおり「絞り羽根が全周に渡り極僅かに顔出ししている状況」です(汗)

↑同様赤色矢印で顔出ししている絞り羽根を指し示していますが、実は「開放側のf1.4に絞り環の遊びが出ている」状況なのを撮影して示しています。

絞り環操作は「クリック感を伴う1段絞り」で絞り値の設定が可能ですが、絞り環に遊びが出ているので「f1.4の僅か先までクリックの後に移動できる」ために、その結果絞り羽根の開閉度合いが変化する事を赤色矢印で指し示しているワケです(汗)

なおグリーン色の矢印で指し示している箇所は、光学系第2群の貼り合わせレンズ外周付近から内側方向に向かって「菌糸を伸ばして繁殖しているカビ菌の状況」をキモいですが、合わせて撮影しています。

↑上の写真2枚も同じで、今度は絞り環の設定を「最小絞り値f16」にセットした際の、同じように絞り環が最小絞り値「f16」の先まで微動する遊びの分でどのくらい絞り羽根が閉じるのかを試しつつ撮影しています。

当然ながら絞り環操作時にクリック感を伴うものの、その先まで絞り環が回るので、操作した時の指のチカラの掛け方次第では上の写真のように閉じる程度が変化します(汗)

・・はたしてそのような遊びが残る操作性なのが正しいのか???(泣)

例えばライカ製オールドレンズ全てについて指摘できますが「光学硝子レンズの締付環を直接接触させずにワザワザ敢えてカーボン紙を間に挟んでから締付環で締め付け固定する配慮の設計」とも解説でき、もっと言うなら上の写真で写っている絞り羽根でさえ「開閉キーと位置決めキーのプレッシングレベルは他に類を見ないほどに丁寧で確実で経年劣化進行に伴う脱落を100%防御している」点まで指摘できます。

逆に言うなら、そこまでしてコスト=製産時点の工程をちゃんと組み込んで仕上げている当時のオールドレンズは、世界中の光学メーカーの中に存在しません!(驚)

逆に言うなら、ライカ製オールドレンズのどのモデルも「プレッシングされているキーをマジッに真剣にもぎ取るなら相応のチカラで工具を使う必要すら生ずる」とまで明言できるレベルです(汗)

・・そもそもの設計概念の次元が全く別モノの世界なのです!(驚)

確かに非常に高額なオールドレンズばかりですが、それ相応の「設計概念」とその「生産工程の徹底」が一貫したポリシ~の下、延々と粛々とひたすらに続けられているのです(驚)

もっと言うなら、完全解体してみれば判明しますが、アルミ合金材の切削レベルは相当な次元で、既に当時からしてNC旋盤機にちゃんと必要とされるお金を掛けて機械設備の更新を真剣に、そして真摯に対処し臨んでいたなのが明白です。当時のMINOLTAとの技術提携に於いても、そのような方面にまで及んでいたのではないかとさえ勘ぐってしまうほどの切削技術とレベルの次元です。

以前にもこのブログで述べましたが、当時日本製NC旋盤機械が世界最高峰と評されており、且つその海外輸出が認められていたのが西側陣営だけだった点からしても、旧西ドイツ側光学メーカーに導入されていたのは至極納得できる臆測だからです(笑)

これは戦後、当時の東西両陣営の対立 (冷戦) に於いて、政治に限定せず戦略物資の無制限な
輸出入を放置したままでは、特に西側陣営にとり安全保障上の脅威として捉えられた為に「COCOM規制 (対共産圏輸出統制委員会:Coordinating Committee for Multilateral Export Controls)」による事実上の輸出禁止処置が執られ、1950年より17カ国が加盟し運用されたからです (主にNATO加盟国と日本、及びオーストラリア)・・旧ソビエト連邦崩壊に伴い1994年に後進のワッセナー協約に継承されました。

日本製NC旋盤機械設備はその対象だったワケです。この点一つを考察しても、当時の例えば旧東ドイツはCarl Zeiss Jena (Carl Zeiss Jena DDR) のアルミ合金材切削レベルと比較した時に、明確な相違点として挙げられる要素の一つにも成り得るのです。

同じ話が当時のロシアンレンズに対しても該当できるワケで(笑)、よくネット上の解説では技術力の差などと揶揄されますが(笑)、その実はココム対象とされてしまったNC旋盤機械設備の輸入禁止処置が大きく影響し続けていたのは間違いありません (単なる技術力の差とは括れない/但し一部には後に東芝機械によるココム違反事件が起き大問題に至っていますが)(汗)

↑上の写真は前述した菌糸を伸ばすカビ菌の繁殖状況をグリーン色の矢印で指し示しています (光学系第2群の貼り合わせレンズ表面側)。

↑さらにグリーン色の矢印で指し示している箇所には「新しいカビ菌糸の芯」が視認できます(汗) またブルー色の矢印で指し示している箇所には無数に微細なヘアラインキズが確認でき、一部はコーティング層が剥がれてノンコーティング状態に至っている箇所も確認できます。

↑上の写真は当初バラし始めている途中での撮影で、マウント部をバラして「距離計連動ヘリ
コイド
」を抜いたところです。

赤色矢印で指し示しているのは過去メンテナンス時に塗布されている「白色系グリース」で、この種別は「ウレアグリース」なのでグリースそのモノにに「僅かにザリザリ感が伴う感触の操作性」になると同時にやはりいつもの如く「既に経年劣化進行に伴い濃いグレー状に変質」しているのが分かります。

さらにグリーン色の矢印で指し示した箇所には微細な点状ですが「ポチポチと緑青も現れて
いる状況
」です(泣)

↑さらに解体を進め溶剤で洗浄する前時点で撮影しています。赤色矢印の箇所には「既に相当なレベルで赤サビ」が生じており、やはりポチポチと緑青も視認できます (グリーン色の矢印)。
またブルー色の矢印の箇所は既に黄鋼製が相応に経年劣化進行に伴い酸化/腐食/錆びが進んでいる状況なのが分かります。

↑絞りユニットに実装される黄鋼製の「開閉環」ですが、こんな感じで相当酸化/腐食/錆びが出ています(汗) 一つ前の写真同様、そもそも黄鋼製パーツが「真っ黒に変色」しているのは経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びの進行です。

後で写真掲載しますが、製産時点は黄鋼材なのでもちろん「黄金色にピッカピカ」です(笑)

↑オーバーホール工程を進め、当方による「磨き研磨」を終わらせた状態で同じ「開閉環」を
撮影していますが、ちゃんと接触箇所が「黄金色のピッカピカ」に戻りました(笑)

ちなみに赤色矢印で指し示している箇所には「絞り環を締め付け固定する目的のネジ穴」が
備わるものの「どうして4箇所在るのでしょうか???」(笑)・・逆に言うなら、外から絞り環を見れば一目瞭然ですが「締め付けネジは見えていない」ので、内部で4本のネジ止めなのかと考えますが、実は「締付ネジは2本しか無い」ワケで、パーツとしては「開閉キー」と
呼称し2本しか使いません(笑)

・・いったいどうして4箇所ネジ穴が備わるのでしょうか???(笑)

↑上の写真は既に溶剤で洗浄した後に、当方の手による「磨き研磨」を終わらせ、組立工程に入っている途中の撮影です。前出の「開閉環」が既に絞りユニットにセットされており、解説のとおり「平滑面」の処置を今回のオーバーホール/修理工程でちゃんと施したので「黄金色のピッカピカ」です (赤色矢印)(笑)

一方、実はこのさらに上から右横に並べて撮影している「光学系前群格納筒」が被さりますが
その際「円形パネ」を間に挟んで締め付け固定されます (グリーン色の矢印)。

つまりその時この「円形バネ」のチカラで絞りユニットの「開閉環」は押し込まれ続ける設計なのです(笑)

すると当初バラした直後に「真っ赤に赤サビが出ていた」のは、まさに過去メンテナンス時にこの接触の意味が理解されておらず「ただ単に間に挟んだだけだった」なのがモロバレです。

・・ライカ製オールドレンズの整備をする会社なのに、そう言う技術スキルです!(笑)

貼り合わせレンズに鉛筆書きでマーキングしているプロの整備会社様・・もしもこのブログを観ていたら「どうしてそう言ういい加減な整備を平気で執り行えるのか弁明してみろ」と
言いたいですね(笑)

おかげで「たかが円形バネ」かも知れませんが(汗)、その経年劣化進行に伴い生じた赤サビをゴシゴシ、ゴシゴシと1時間かけて除去したのは当方だったりします(笑)・・もちろんプラスして「開閉環」側も平滑性を取り戻し組み込みます。

・・せいぜい当方の低い技術スキルではこういう作業が当たり前なので仕方ありません(笑)

↑もうだいぶオーバーホール/修理の工程が進みましたが、黄鋼材のヘリコイド群も「黄金色にピッカピカ」に戻りセットも完了し、鏡胴「前部」も組み上がったので、この後は光学系前後群を組み込んでから無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

・・以下、オーバーホール/修理完了後の組み上がりオールドレンズ解説に戻ります。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

光学系第2群の貼り合わせレンズも一旦剥がして再接着したので、ご覧のようにとてもキレイに仕上がっています(涙)・・もちろん菌糸状に繁殖しまくりだったカビ菌もキレイに完全除去でき、ご覧のように光学系内を覗き込んでも気持ち良いですね(笑)

カビ除去痕や点キズ、或いは冒頭で解説したヘアラインキズなどはそのまま残っています・・申し訳ございません!

某有名処で、当方が施すオーバーホール/修理は「カビ除去痕が残っている」点について批判の嵐なので(笑)、いちいち謝るしかありません(笑)

↑後群側もスカッとキレイになり極薄いクモリが皆無です。同様点キズやヘアラインキズは残っています(泣)

↑当初現れていた現象の「開放側と最小絞り値側の絞り環の遊び」は両側共に解消できており
シッカリとしたクリック感と共に、しかし決して硬くもなく納得できる小気味良さで操作頂けるよう仕上がっています(笑)

・・整備するのだから当たり前の話ですが(汗)

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」を使い、当方独自の特異なヌメヌメっとした、シットリ感漂うトルク感で全域に渡り均質に仕上がっています。ピント合わせの際はこのモデルの場合ピントのピーク/山を突如迎えるので、その際に掴んでいる指の腹に本当に極々僅かにチカラを入れるだけで、ピント面の前後微動が適います(涙)

・・当初のザリザリ感からそういうヌメヌメっとした操作性に変わっています(笑)

整備するのですから当たり前の話です(笑)

↑ご報告すべき瑕疵内容は、光学系内に極微細な点キズとカビ除去痕に薄いヘアラインキズが
残っている点です・・申し訳ございません(涙)

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離1m付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f2.8」で撮影しています。

↑f値は「f4」に上がっています。

↑f値「f5.6」になりました。

↑f値「f8」での撮影です。

↑f値「f11」です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっている状況なので「回折現象」の影響が極僅かですが現れ始めています。今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。本日梱包し発送申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。