〓 Carl Zeiss (カールツァイス) CONTAX Planar 50mm/f1.4 T*《AEJ》(C/Y)
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ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Украине! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
大変長い期間に渡りお待たせし続けてしまい本当に申し訳御座いませんでした。
《AEJとMMJの違い》
AEJモデル:絞り環の最小絞り値が「ホワイト」刻印 (赤色矢印)
AEは「Auto Exposure」の略であり、マニュアル撮影モードの他に
絞り優先モードを備えている。
絞り環の最小絞り値「f16」が「ホワイト刻印」のままのタイプを「AE」+生産国「J」=「AEJ」と俗に呼称している。
MMJモデル:絞り環最小絞り値が「グリーン」刻印 (グリーンの矢印)
MMは「Multi Mode」の略であり、従来のマニュアル撮影/絞り優先モードの他に新たにプログラムモードとシャッター速度優先モードを備えている。
絞り環の最小絞り値「f16」が「グリーン刻印」のタイプを
「MM」+生産国「J」=「MMJ」と俗に呼称している。
今回オーバーホール/修理を承ったモデルは「AEJ」モデルです。
↑上の写真は今回承った個体を完全解体した上で既に「DOH」を施して組み上げ工程を進めている途中で撮影しています。
このモデルを解体しようと考えて見た時にマウント面に配されている数多くのプラスネジが目に着くのでそこからバラしていく人が多いと思いますが、実はせいぜいマウント部を外せただけでそれ以外の「距離環〜ヘリコイド (オスメス) 〜フィルター枠〜鏡筒」に至るまでを外すには締付ネジなどの類が一切視認できないので解体作業を進められません(笑)
それもそのハズでマウント部をバラした後の他の解体作業は「一にも二にもこのフィルター枠を外さなければ始まらない」設計です。
逆に言うなら別にマウント部を先にバラす必要は一切なくて知らないから (締付ネジが目に入ったので) 先にバラしてしまっただけの話になりますね(笑)
ところがこのフィルター枠の固着が凄い個体が多く、例えばフィルター枠を外したいが為に距離環を回して鏡筒を繰り出し「フィルター枠を相応に飛び出させて掴み易くしてからググッと思いっきり回すと」間違いなく内部構成パーツの「直進キー」と言う銅製パーツをアッと言う間にひん曲げるか最悪破断させます!(怖)
そうなるともぅ距離環を回すトルクムラが酷くなりそう簡単似軽いトルク感に仕上げる事が適いません。
別にこのモデルに限らず非常に多くのこの当時のオールドレンズに於いて「鏡筒を繰り出したまま反時計方向に回して外す行為は直進キーを変形させる懸念が非常に高い」事を覚悟する必要があります。
単に曲がってしまっただけならまた元に戻せば良いと考えるかも知れませんが、少なくとも3,000本以上整備してきた体験値からして「一度変形したモノを元に戻してもたいていの場合で本来の滑らかな動きに戻らない」のが金属材の厄介なところです(泣)
その意味でこのフィルター枠の解体作業と言うのは安直に取り掛かると痛い目を見ます(笑)
今回の個体もどうにもこうにも固着が酷くて全く回せずビクともしません。仕方なく「加熱処置」を施しますが数回の加熱 (すぐに指で触れると火傷する温度) ではどうにもならず、最後の手段を講じて (それも3回も!) やっとの事でズリッと回り始めました。
その他上の写真に写っている締付環から鏡筒に至るまで「真っ赤な固着剤がドップリ状態で全周に注入」されていました(泣)
固着剤が「赤色」の場合は最近では無くておそらく10年以上前に整備されている事が伺えます。もしも最近の5年前後に整備されているなら塗布される固着剤は「青緑色」だからです。内部に塗布している固着剤の色合いを確認する事で大凡の整備年数が何年前辺りなのか掴めます。
また今回の個体に関しては「嫌気性固着剤の粘性を有するタイプ」を使っていたのでおそらく10年以上前に「電子検査設備を有する本格的な整備会社での作業」だったと推察しています。
その会社は今現在も整備作業を行っていますがまさにプロ中のプロであり当方が唯一信用している整備会社でもあります (その他の整備会社は正直大したことないレベル)(笑)
従って今でこそこのような嫌気性の粘性を有するタイプは使わないものの、そもそも生産光学メーカーであった「富岡光学」自体が同じ嫌気性の粘性タイプを使用して製産していたので同じ部類の固着剤を手に入れていたのだと思います (残念ながら現在は入手不可能)。
するとここで本来なら疑問を抱かなければ「真の整備者とは言えない」ワケですが(笑)、どうして「粘性が無い完全硬質化の固着剤を使わないのか?」という疑念です。
締め付けたりネジで止めたり或いは微調整箇所が経年で位置ズレしないよう固着したり等々「完全に硬化するタイプのほうがより安心」なのにどうして例え僅かとしても粘性があって微動する懸念がある粘性タイプの固着剤を塗っていたのか???
・・このような疑問をもしも抱かなかったら「大したことない整備者のお一人」と言い替えられます!(笑)
ここがポイントで光学系から何から何まで何でもかんでも「完全硬化タイプの固着剤で固めまくる」のが今ドキの整備会社の常ですが(笑)、実は『光学系の光学硝子に対してはむしろ好ましくない』ので粘性タイプを使っています。
逆に言うならどうして光学硝子には粘性タイプが必要なのか説明できなければ「そもそもオールドレンズを整備するのに適さない整備者」とも指摘できますからはたして如何でしょうかねぇ〜???(笑)
さらに今回の個体でもう一つポイントがありました。
上の写真の鏡筒内側に「シム環」が入っていました (グリーンの矢印)。このシム環は光学系前群の光学硝子レンズ格納筒を収納する際にセットされていた「シム環」なので「光路長の問題から光学系前群を後群側から離したかった」事が推察できます。
ピタリと外径が一致していないので (ほぼ適合する範疇) おそらく富岡光学が製産時点にセットしたのではなく10年以上前のそのプロの整備会社で整備したタイミングで入れ込まれたと推測しています。
凡そ0.2mm程度の厚みの非常に細い「シム環」ですが、コイツを入れずに一度組み上げて実写確認したら「ピント面が極僅かに甘く堕ちた」ので適切な光路長確保の意味から敢えてワザワザシム環を用意して対処したことが伺えます。
・・さすがプロ中のプロ!!!(驚)
このモデルの中で今まで扱った個体にはこんな位置に「シム環」は一度も無かったので今回初めてですが納得です。
このようにちゃんとした整備会社が整備すると逐一何もかも (ネジの締め付け強度に至るまで) 理由が掴めると同時に至極理に適った所為であり納得できてしまうので「バラして中をチェックすれば過去メンテナンス時の整備者のスキルがモロバレする」と断言できますね(笑)
久しぶりにちゃんとした整備が施された個体に出逢いました・・(涙)
↑今回の個体ではちゃんと正しい位置でセットされていましたが、例えば上の写真で手前に並べてある「直進キーAとB (赤色矢印)」はその後ろに置いてある「基台側の内側グリーンの矢印の位置に締め付け固定される」設計です。
◉ 直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目
するとこの「直進キー」が内側にセットされて、且つ後からネジ込まれるヘリコイド (オス側) のやはり同じ位置両サイドに刺さる先の溝「直進キーガイド」があるので、そこに互いが刺さる事で「距離環を回すと鏡筒を繰り出したり収納する動き方に変換される」原理です。
ところが手前にある「直進キーAとB (赤色矢印)」をよ〜く観ると「直進キーB側だけが二股に分かれている」のが分かります。
これにはちゃんと意味があって「回転するチカラが掛かった時に直進方向に変換するにも抵抗
/負荷/摩擦を必ず生ずる」のでその抵抗/負荷/摩擦分の非常に僅かなチカラを「相殺させる 目的で反応させる為に一方だけ二股に分けてある」次第です。
このようにちゃんと「観察と考察」する事で構成パーツの正しい使い方や適切な固定が適う話に至りますから決して蔑ろにできません。
逆に言うならいったいどれだけの整備者がこの点に気づいて適切な位置でちゃんとセットできているのかが問題になりますが「実のところたま〜に互いが反対にセットされている個体があったりする」のが現実です(笑)
では・・上の写真グリーンの矢印の両サイドでいったいどちらにどの直進キーがセットされるのが正しいのでしょうか???(笑)
左右どちらにセットしても良いワケではなくちゃんと正しい取り付け位置が「自ずと導き出される」のが実は当方がいつも話している「原理原則」ですね(笑)
従って別に今まで扱った事があるモデルに限らず仮に今回が初めて完全解体するのだとしても「左右のどちらにいずれの直進キーがセットされるべきなのかはちゃんと判明する」話であっていちいち記憶している必要など一切ありません(笑)
こういう要素の一つ一つこそがちゃんとスムーズに操作でき、且つ適切で正確な「本来の性能機能を発揮する仕上がり状態に至る」本質的な要素です。
これらの解説の答えは同業者を利する話なのでここでは申し上げられません(笑)
ッて言うか、整備者なら既に知っている話ですから特に指摘する事でもありませんね!(笑)
なおオールドレンズによっては「同じタイプの直進キー」を両サイドに使う設計も当然ながら数多く存在し、且つその場合の抵抗/負荷/摩擦の相殺方法はまた別になります。或いは「直進キーが1本だけ/1箇所だけ」という設計も多く、例えば当時のMINOLTA製モデルなどはその多くが1本の直進キーですから、必然的に抵抗/負荷/摩擦も集中するので組み立て工程や微調整の難度は上がってしまいます (軽いトルクで仕上げるのが難しい)。
こういう部分でも最近流行る「白色系グリース」の存在がピックアップしてしまう要因の一つです。
↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は「Carl Zeiss CONTAX Planar 50mm/f1.4 T*《AEJ》(C/Y)」のページをご参照下さいませ。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わりました。いろいろご報告が御座いますので都度ご案内していきます。今回の個体は10年以上前に一度整備されていますが (冒頭の話) それよりも先なのか後なのか不明ですがもう一社により再度整備されています。
但しその別の整備のタイミングでは一部に限定した整備で固着剤も別のタイプ (完全硬化タイプ) なので前後のタイミングは不明です。
パッと考えると一番最初がプロ中のプロで次が一般的な整備会社になり、且つフィルター枠を外せていないのでバラせる部分だけで整備した痕跡が残っていました(笑)
↑当初バラす前のチェック段階では光学系内に相応に汚れやそもそもカビが複数生じている状態でした。正直そんなに綺麗な状態の光学系ではなかったようです(泣)
前後玉の表裏に相応にカビが繁殖しており、特に前玉は裏面側のカビがコーティング層まで本格的に侵食しており完全除去できません。
当初は明白にポツポツと白く大きめの点状カビでしたが現状O完了後はできる限りカビ除去を行いコーティング層に侵食した芯部分だけに低減できています。
パッと見で目立っていたハズの白点カビが視認できないくらいまで減っていますが、よ〜く確認すると前玉周辺域に数点「カビの芯」が残っているのが確認できます。この芯の部分は残念ながらコーティング層内部なので一旦コーティング層を剥がさない限り除去できません。
・・申し訳御座いません。
↑後玉側も同様カビ除去痕が相当残っており特にLED光照射で極薄いクモリを伴って視認できてしまいます。これも一旦コーティング層を剥がさない限り除去できません。
但しおそらく写真撮影には影響しないレベルです (全面ではないので不幸中の幸いです!)。
また光学系前群側は一番最初の整備でしか清掃できていないと考えます (次の整備時にフィルター枠を外せていないので)。その一方で後群側は2回とも清掃されていたように見えます。
↑そしておそらくその際 (2回目の整備時) に故意に絞り羽根の閉じる量を増やして設定してしまったようです。
当初バラす前の時点で明らかにこのモデルにしては「最小絞り値側f16が閉じすぎ」の印象を受けたので簡易検査具で調べたところ「ほぼf22に匹敵」レベルまで閉じていました。
またさらに冒頭解説のとおり光路長の問題から光学系前群に「シム環」を0.2mm厚で挟んであるので光路長面で延伸している分「絞り羽根の閉じ方を微調整するのが必須」なのであって「閉じすぎる調整を施した理由が???」と指摘できます(笑)
要はちゃんと調べずに感覚だけで設定してしまったのだと考えています。今回のオーバーホールでは簡易検査具で調べて閉じすぎを改善させていますので光路長が延伸している分それを反映させています。
ちなみに絞り羽根6枚もキレイになり絞り環操作も何となくぎこちない印象だったのを適切なクリック感に戻してあります(笑)
・・気持ち良いくらいの、ちょっとクセになりそうな感じのクリック感です!(笑)
↑ご依頼内容であった「トルクを軽めにしてほしい」件についてはこのモデルが基本的に重くなる傾向のヘリコイド (オスメス) なので、可能な限り「軽め」を意識して仕上げてあります。
それはご依頼主様が仰るとおりピントのピークが一瞬でもあるので「軽めのほうがピント合わせし易い」のがまさに理に適った話ですね!
筐体外装は着色していませんが刻印指標値などはチグハグな色合いだったので (一部は茶色だったりとか) キレイに着色して「使う楽しさを味わえるように配慮」してあります(笑)
こう言う部分でもまた「所有欲が充たされ」たったそれだけでも楽しさ倍増するからオールドレンズは本当に堪りません!(笑)
もちろんラバー製ローレット (滑り止め) もちゃんと中性洗剤で洗浄済なのでキモくないですョ〜ぉ(笑)
↑実は前玉側の「純正スナップ式前キャップ」は単に経年並みに汚れているだけでしたが、何と「純正後キャップ」はあからさまに「白色点状カビ」がほぼ全面に渡って生じているままでしたので、おそらくこれが因果関係で後玉表面側にも移ったと認識しています。
もちろん精神衛生上ヨロシクないので(笑)、ちゃんとカビ除去剤を使ってキレイサッパリにしてから中性洗剤で洗浄してあるので・・こちらもキモくないです (前キャップも洗浄済)!(笑)
こんな感じで一応距離環のトルクを可能な限り「軽め」に改善し絞り環操作のクリック感も最高にしてあり(笑)、且つカビ除去痕が残っているもののそれは芯だけなので今後も安心です。
もちろんピント面の鋭さは確認済ですし絞り羽根の開閉動作と共にf値微調整も済ませてあります。
特に改善できなかった要素や当方自身が納得できなかった部分も一切御座いません!
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当レンズによる最短撮影距離45cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑最小絞り値「f16」での撮影です。当初バラす前の実写確認時は簡易検査具で「f22」でしたのでもっと解像度低下を帯びて背景に僅かながらコントラスト低下も生じていました。適切に戻ったと思います(簡易検査具でf16チョイ過ぎ程度)。
本当に長い期間に渡りお待たせし続けてしまい申し訳御座いませんでした。
・・お詫び申し上げます。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。