◎ FUJI PHOTO FILM CO. (富士フイルム) EBC FUJINON 55mm/f1.8《中期型》(M42)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産の
FUJICA製標準レンズ・・・・、
EBC FUJINON 55mm/f1.8《中期型》(M42)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた12年前からの累計で当時のFUJICA製標準レンズ「EBC FUJINON 55mm/f1.8」の括りで捉えると、累計で89本目にあたりますが、今回扱った個体は本当にまぐれで運命的な発見だったのですが、新たにモデルバリエーションに組み入れるべき「中期型」になり、当然のことながら今回の扱いが12年間で「初めて」なのです!(驚)

====== (従って今回モデルバリエーションの内容と仕様諸元を更改します) ======

↑当時富士フイルム (メーカーブランドとしてはFUJICAシリーズ) が「M42マウント規格」を採用した一眼レフ (フィルム) カメラを初めて発売したのが1970年になり「ST701」からスタートしますが (上写真左)、1972年の「ST801」発売に合わせ「M42マウント規格を踏襲しつつも開放測光機能を付加した独自マウント規格」を採った為に従来広く巷で「Pマウント」と呼称されていた「PRAKTICA (プラクチカ) ネジ込み式マウント規格 (つまりM42マウント規格のこと)」或いは単に当時の旭光学工業製の「PENTAXネジ込み式マウント規格」といずれも頭文字「」をとって呼んでいたところにその完全互換性から逸脱しています。逆に言うなら既に1970年時点で世界規模で「M42マウント規格」が陳腐化していたとも指摘でき、日本でも「バヨネットマウント規格への移行期」に瀕していた時期なのだとも受け取れます。

バヨネットマウント
レンズ側マウント部の爪とカメラボディ側マウント部の爪が互いに噛み合いロックする方式

ちなみに当時富士フイルムは1978年発売の一眼レフ (フィルム) カメラ「ST605II」が実質的に「最後のM42マウント規格モデル」になり、翌年1979年から「AXバヨネットマウント規格」へと移行しています。然し既に時遅く事業性の低下からついに1985年には戦後の1947年から培ってきたフィルムカメラの開発/製産から撤退してしまいました(涙)

次に富士フイルムが光学製品の歴史に再び舞い戻り、あたかもまるで降臨の如くデジカメ一眼/ミラーレス一眼たる栄光の「FUJIFILM Xシリーズ」で再起を図った2011年を待つ必要がありました。そして今現在はむしろ光学製品に特化せず、世界規模で「医療分野」に於いてその存在感と貢献を示す企業に生まれ変わり、何十層にも及ぶフィルム印画紙積層開発の技術革新が、今となっては医療分野でも応用できたのかどうかはド素人故によく分かりませんが、本当にニッポン人としてこれほど誇り高い想いはありませんね・・(涙)

・・光学メーカーに固執するが故に苦境に立ち続け消滅した会社がどれだけ多いのか?

個人的な感想ですが、NikonやCanonに比べて富士フイルムの存在感は、既に光学製品から逸脱して「人の命と病に貢献し続ける世界企業」としての存在感を示しつつあるとの想いを抱かざるを得ません。OLYMPUSのように医療器具/機械分野で世界シェア70%を抑えているのともワケが違い「日本国内での薬剤分野パイオニア的存在」として気づけば日本の薬学分野での認知度を上げ続けているのですからオドロキしかありません。

・・それでいてシッカリしたステータスポリシ〜を基に光学製品ポジションも堕としません。

正直、フルサイズ機を出さないのが分かっているので仕方なくミラーレス一眼はSONY製品を使っていますが、ホンネでは富士フイルムの製品を使いたい想いがとても強く、何とも世の中は思い通りに進みませんね(涙) あの秀逸で右に並ぶモノが存在し得ない「フィルムシミュレーション」の能力の高さに・・未だに憧れ続けています (おかげでFXシリーズで撮影した写真は観ればすぐに分かってしまう)(涙)

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↑上の記事はこの当時の富士フイルムに於ける「EBCコーティング」に関するオドロキの詳細記事抜粋です。巨大な「EBC蒸着釜」の写真まで観られる機会はそう滅多にありませんが(涙)、手前左側にある計測データ印刷機の大きさから如何にデカいのかが伺えます(驚)

・・まるで宇宙船の着陸船のように見えて仕方ありません!(笑)↑上の記事をGoogle機械翻訳で和訳してまとめたのが上の文章です。「EBCコーティング」が登場したモデルバリエーションは1972年発売の「前期型」からなので、この当時既に「99.8%の光透過率」を達成していたという驚異的な計測値です。

例えば同じ時代に「M42マウント」で一世風靡していた旭光学工業製「TAKUMARシリーズ」は7層レベルですから、たかが4層レベルの相違とみられながらも「光透過率99.8%」には適いません。

って言うか、当時の旭光学工業製カタログを調べても光透過率の計測値掲載を確認できませんでした。さらに指摘するなら単に蒸着層の数だけよりも、記事に明確に記載されている「ZrO2CeF3」といった高融点資料を安定して蒸着できたのが何より凄い技術なのだといろいろ調べて理解しました。

その自信の様は当時の左の文章からも垣間見ることができ、この文章を直訳すれば「フレアを撲滅」とまで言い切っている始末で、まさにオドロキしか在りません。

いったいどのように研究を重ねればフィルム印画紙の薬剤積層技術から発展して資料の蒸着技術にまで到達できるのか、さらに今はその研究成果は薬学にまで活かされていると言うのですから、空恐ろしい企業です(笑)

《モデルバリエーション》
オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。

初期型:1970年発売 (ST701用)

コーティング:モノコーティング
開放測光用の爪:無
距離環ローレット:金属製
レンズ銘板:金属製

初期型:1970年発売 (ST701用)

コーティング:モノコーティング
開放測光用の爪:無
距離環ローレット:金属製
レンズ銘板:金属製

前期型:1972年発売 (ST801用)

コーティング:マルチコーティングEBC
開放測光用の爪:
距離環ローレット:ラバー製
レンズ銘板:プラスティック製

中期型:1973年発売 (ST801用)・・???

コーティング:マルチコーティング「EBC
開放測光用の爪:有
距離環ローレット:ラバー製
レンズ銘板:金属製

後期型−Ⅰ:1974年発売 (ST901用)

コーティング:マルチコーティング「EBC
開放測光用の爪:有
距離環ローレット:ラバー製
レンズ銘板:プラスティック製

後期型−Ⅱ:1974年発売 (ST901用)

コーティング:モノコーティング
開放測光用の爪:有
距離環ローレット:ラバー製
レンズ銘板:プラスティック製

今回の『大発見』は、上のモデルバリエーションの中で 色付け着色した『中期型』の存在です。今回扱ったこの個体を調達した際は全く気づいておらず「単に後期型を久しぶりに手に入れただけ」のつもりだったのです。

ところがオーバーホールの為に完全解体したところ、オーバーホール工程を進めるうちに「何か違和感がある!」とようやく気づき、そこで初めて細かく各構成パーツをチェックし始めました。そうしたら何と「筐体外装は前期型そのモノ」なのに「何とラバー製ローレット (滑り止め) は綾目模様ではないか!」だったのです(驚)

なお上のモデルバリエーションで「」を附したモデルバリエーションは互いにモノコーティングであり、単にブラックバージョンとしての位置付けでしかありません (但し後期型は廉価版の意味づけとしてモノコーティングを用意したとの推測です)。

↑そこでさっそくホンモノの「後期型」から距離環を取り出してきて並べて比べてみました。上の写真の左側が今回扱った個体の距離環で、右側が「後期型」の距離環です。

すると赤色矢印で指し示したように距離環自体の全高は全く同一でした。ところが「距離環の外径が違う」のです (グリーンの矢印)。当然ながら今回扱った個体の距離環は「前期型と同じ外径」なものの、問題になったのはブルーの矢印で指し示している「ラバー製ローレット (滑り止め)」だったのです。

つまりこういう事です。このモデルのラバー製ローレット (滑り止め) はラバーとは名ばかりで「ほぼ伸縮性が無いシリコーンゴム製」とみているので、実際に左右でラバー製ローレット (滑り止め) だけを取り外して付け替えてのニコイチが不可能なのです。

もっと言うなら「右側の後期型からラバーを取り外して左側に貼付しようにも途中で切断して詰めなければピタリと被せられない」ほどに硬いゴムなので「後期型からのニコイチ/転用ができない」次第です。何故なら外径サイズが「2.39mm」違うので (グリーンの矢印)、その分を切り取らなければ左側の距離環でラバーが浮いてしまい接着できません。つまりラバー製ローレット (滑り止め) が環状/リング/輪っかにならないのです (1箇所で切断して詰めるから帯状にしかならない/ラバーを外した段階でバレる話という意味)。

さらに大きな違いは「左側の綾目模様は8例に対して右側は10列」なのです。たかが2列の違いは短くカットすれば問題ないと考えるでしょうが、いやいやどうして、ダイヤ型/ピラミッド型の頂点でキレイにスパッと全周に渡ってカットするのは手作業ではほぼ不可能です (当方は何度もそのような作業をしているので突起の頂点でカットできないのを知っている/必ず僅かに残る弾性によりズレてしまうから)。

それこそ「機械設備でスパッと切断しない限り不可能」なレベルなのです。当方がそのようなカッティング作業をする際は「頂点ではなくて辺の部分でカットする」ほうが間違いがありませんが/ズレませんが、しかしこれら左右の個体のラバーは「頂点でカットされている」から
こそ機械設備でのカッティングと結論できるのです (つまりニコイチではない!)(笑)

従ってこれらの事実から「中期型は間違いなく途中で製産出荷した個体である」との結論に
到達しました。

←その考察を/結論付けを補強するが為に、念の為に現状確認できるネット上の「EBC FUJINON 55mm
/f1.8《前期型〜後期型》
(M42)」及び当方の記録データベースを合わせて調査し、総サンプル数「190本」から製造番号を基に一覧表にまとめました。

この手法/調査は「FUJINON 55mm/f2.2」の時と同じ概念になりますが、当時のFUJICAは「製造番号先頭2桁をシリアル値として使っていなかった」との考察に拠ります。

すると製造番号の先頭2桁なので「00番99番までの総数100番」について、それぞれにシリアル値を執る「xxxxの4桁」が附随する為、各番号で「最大1万台の製産出荷が適う」話しに至ります。

今回その製造番号を確認できる個体数「190本」でチェックしたものの、数多くの個体が集約的に特定の番号帯にまとまっていて「前期型10番」に「後期型23番」となり「使っていた先頭番号2桁は全部で33番しか顕在しなかった」のです!(驚) 左の一覧表で他の白地の番号帯は何一つ使っていません。

左の一覧表では「前期型 色着色」とし「後期型 色着色」にまとめており、サンプル数「190本」の全ての個体について製造番号先頭2桁を網羅しました。そして今回扱った個体だけが「1本だけポツンと製造番号先頭2桁90番の前期型の中に存在していた」のです。
(本来は前期型なので 色着色ですが明確化する為に色付けを赤色文字に変えています)

この時、実際は「前期型」の仕様諸元を採りつつも「90669790xxxx (今回扱った個体) 〜906977」だったので (この両端の製造番号はそれぞれが前期型の仕様諸元である事が判明している)、これを計算すると「今回の調査で確認できなかった906698906976の間の個体数は278本だけしか存在し得ない」話になり、そのうちの1本が今回扱った個体なので「残りの顕在の可能性は277本」と言う話です・・何故なら先頭2桁の後に附随するxxxxはまさにシリアル値だから (但しあくまでも出荷していればの話)。

もしも仮にこれら使用された製造番号先頭2桁でそれぞれ1万円台を出荷していたと仮定すれば「33万台の中の僅か278本」の1本が今回の個体と断言できます。

実際は各製造番号先頭2桁で必ずしも1万台を製産出荷していなかったと推定できるので、全体数を「33万台」と上限に据えるのは少々穿った考え方に過ぎますが、然しそうは言っても相当な出荷数だったのは間違いないと思います。

そして意外だったのは「前期型の符番が途中番号58番からスタートしていた事実」です。さらにオドロキの発見が実際に完全解体して各構成パーツをチェックしていくとありました!(驚)

なおこの「前期型」と「後期型」の区分けは、そもそもセットレンズ化していた一眼レフ (フィルム) カメラ「ST801」と「ST901」の取扱説明書掲載写真から確定している事実なので、ひっくり返しようがありません(笑)

さらに付け加えるなら、不思議な事に「FUJINON 55mm/f2.2」の時のように製造番号帯の中でバリエーションが混入していたり跨いでいる事が全くありませんでした。つまり例として「70番」の番号帯の中には全部で6本の個体がまとまりましたが、そこに「前期型のモデルバリエーション諸元」は1本も存在しないのです (6本全て後期型)。

FUJINON 55mm/f2.2」の時の調査では混入や跨いでいる事が多かったのに対し、これだけキレイにスパッとバリエーションが分割されて集約の法則をひたすらに守っていると、それはそれでまた何だか気味が悪かったりします(笑)

  ●               







↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
光学系構成が4群6枚のダブルガウス型構成なのが影響しているのかとの印象も受けますが、実は旧東ドイツはPENTACON製標準レンズのPENTACON auto 50mm/f1.8 MULTI COATING《後期型−I》(M42)も同じ4群6枚ダブルガウス型構成なのに真円の大変美しいシャボン玉ボケの表出が叶います。

するとそもそも当時の状況を考えれば「シャボン玉ボケ表出は決して光学系設計上の目的の一つに含まれていなかった」点は間違いないので (シャボン玉ボケと騒いでいるのは近年の話だから)、光学系の設計面で何かを狙った際の「副産物」として表出していたに過ぎず、且つひいて言うなら「悪玉的存在」だったのではないかと当方はみています。

それはPENTACONが経営難からCarl Zeiss Jena参加に入ってから発売したPRAKTICAR 50mm/f1.8 MC (PB)」の描写性をチェックしても薄々見えてきます。同じ4群6枚ダブルガウス型構成ながらシャボン玉ボケの表出は真円度を失っています。

時系列的に言えば、前述PENTACON製標準レンズの前者が1960年代後半から後者が1980年代前半と20年近く離れているのに対し、その中で今回扱ったEBC FUJINON 55mm/f1.8《中期型》(M42)」の登場時期は1972年〜1974年までの間と推測できるので、ちょうど中間のタイミングに位置し、光学設計上の狙いは「多分に時代の流行りを汲んでいたハズ」との憶測に立てば、同じマルチコーティング化されたモデルとしても自ずと狙うは「コントラストの向上とピント面の先鋭化」に他ならないとも考察できそうです。

すると例として挙げたオールドレンズが悪いかも知れませんが(笑)、PENTACONのような (旧東ドイツ側光学メーカーが狙っていたような) 少々誇張的なコッテリ系の写りを主眼とせずに「むしろナチュラルさ/自然さを大切にしながら被写体の雰囲気を壊さずにコントラスト向上とピント面の先鋭化を狙っていたのがFUJICAだったのか?」とも捉えられそうです (ホントの処は分かりませんが)。

すると実はシャボン玉ボケはともかくも、上の実写2枚目〜3枚目までの背景ボケとしての「収差」を観れば、意外にも端正に整えられつつも極度に出差の改善を追求しきっていないような、ある意味曖昧さが好感を持てる「背景ボケ効果」的にまとめられているようにも思ったりします(笑)

二段目
ここでは左端から発色性をチェックする意味合いでピックアップしていますが、さすがどんだけ元気良く発色させようとも「決して色潰れしないギリギリのところ」まで写し出せるのが素晴らしい限りです。基本的にピント面のエッジ表現はどちらか言うと「太目に出る」のですが、意外にも右端のトッロトロボケ写真では繊細感を増しています。

三段目
ここではブル〜を含めた時のコントラスト表現についてピックアップしてみました。人の瞳で見た時の錯覚として「ブル〜赤色」についてはワリと客観性を保てないと言うか、嗜好が相応に働いて見えてしまう (そのような印象を受けてしまう) と思うので、下手に植物などのグリーンでチェックしてもあまり結果を見出せません。

するとブル〜の最たるモノとして人の心理面で影響度が高くなる被写体と言えば「何はともあれ青空」だと考えるので(笑)、その色表現性に合わせて「他のグラデーションを損なっているか否か」をチェックしています。

つまり青空ブル〜に気持ちが行ってしまうが故に、被写体の他の領域でグラデーションが犠牲になる写り方をしているのかどうかをみているのです。

左端の1枚目ではまさに青空ブル〜そのモノのグラデーションを確認しています。ご覧のようにとても美しくもなだらかなグラデーションとしてちゃんと表現できています。2枚目を観るとその青空ブル〜のコントラストの高さとは打って変わって、建物の壁材のグラデーションが大変明確に写し出されている点に着目しています。さらに3枚目は今度は青空ブル〜が沈んだ発色性にもかかわらず、同じように陸橋部の陽射しがかった色合いにグラデーションをちゃんと見出せるのが素晴らしいワケで、結果的に右端の写真のようなコントラスト差でややもするとコッテリ系に堕ちやすい写真が、このような自然な印象で残せている点に「FUJICA製」を感じ取っています。

・・コントラストとグラデーションとの対比は意外にも重要だったりします。

四段目
この段ではいつもの如く被写体の材質感や素材感を写し込む質感表現能力の高さをチェックしています。明暗の影響によりそれら質感表現能力の高低差がほとんど感じられない点も合わせてみています。金属質、ガラス質、綿布質、そして花弁の肌触り感などなど、凡そ立体的でリアル感を喪失しかねない要素についての確認になります。

・・EBCの効果絶大なのか分かりませんが素晴らしい表現性をキープ!

五段目
今度はまさにグラデーション表現に於ける階調の滑らかさと、合わせて質感表現能力の維持も確認してみます。左端の写真では陽射しの関係から来るビミョ〜な陰影の中で「決してノッペリした写りに終始しない滑らかなグラデーション」を確認でき、それは背景の (屋根の上の) 十字架などの陰影を観ても明らかです。

一方2枚目と3枚目では砂浜や海の色合いやグラデーションの違い、或いは質感表現能力の高さの維持など感じ取れる写真に仕上がっていると評価しています。特に3枚目のまるでピ〜カン状況の中でも手前の砂地のグラデーションと質感表現が写し込められている点に感心です。

六段目
逆に暗部の表現性をここでは左側2枚でチェックしています。確かにこの当時のオールドレンズですから、暗部はギリ木の処まで耐え凌ぎながらも最後はストンと堕ちてしまい黒潰れしますが、明部との比較を見る限りよく頑張っていると思います。合わせて右側2枚の写真を観れば明部の耐性は一つ前の段で明白ながらも、そのグラデーションの対応能力の高さが功を奏して標準レンズ域ながら人物撮影もそつなくこなしているのが分かります。

七段目
最後はいつもどおり光源を含む実写ですが、その際必ずチェックしているのが「被写界深度」です。この被写界深度の対応力の高さで光源を含んでいた時のリアル感が変わると当方は考えているからです (従って必ず最後のほうに被写界深度の確認の順番が巡ってくる)。すると被写界深度は浅すぎず深すぎずと中庸的な印象ですが、先に述べてきたとおりグラデーション能力が高いだけあって3枚目の写真は「まるで線香花火の最後の球状態」なのがあまりにもステキすぎます(涙) さらに沈みゆく夕日の最後の御光を余す事なく美しく放射状に写し撮ってしまう逆光耐性の高さもさすがです。

・・こういうチェックの方法もたまにはオモシロイかも知れませんね(笑)

貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤 (バルサム剤) を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す

バルサム切れ
貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態

ニュートンリング/ニュートン環
貼り合わせレンズの接着剤/バルサム剤が完全剥離して浮いてしまい虹色に同心円が視認できる状態

フリンジ
光学系の格納が適切でない場合に光軸ズレを招き同じ位置で放射状ではない色ズレ (ブルーパープルなど) が現れてエッジに纏わり付く

コーティングハガレ
蒸着コーティング層が剥がれた場合光に翳して見る角度によりキズ状に見えるが光学系内を透過して確かめると物理的な光学硝子面のキズではない為に視認できない

ハレーション
光源からの強い入射光が光学系内に直接透過し画の一部分がボヤけて透けているような結像に至る事を指す

フレア
光源からの強い入射光が光学系内で反射し乱反射に至り画の一部や画全体のコントラストが 全体的に低下し「霧の中での撮影」のように一枚ベールがかったような写り方を指す

光学系は前述のとおり典型的な4群6枚のダブルガウス型構成です。右構成図は以前扱った「初期型」のオーバーホール時に完全解体した際に光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての群の光学硝子レンズを計測したトレース図です。

・・このモデルはまだモノコーティング時代の光学系です。

一方こちらの構成図 (右図) は当時のFUJICAのレンズカタログから
トレースした光学系構成図になりますが、マルチコーティング化した「EBCモデル」の構成図として掲載されていたモノです。

気になっているのは光学系第2群の貼り合わせレンズ外径がだいぶ
小さ目に変化している点です。

そしてこちらの図は今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての群の光学硝子レンズを計測したトレース図です。

実際に現物を計測するとカタログ掲載の構成図とは異なり、特に第2群と第3群の貼り合わせレンズ外径が意外にも大きめなままに維持していた事が分かりました。

合わせて第4群の後玉に至っては第1群前玉との対比でも相応な大きさを維持させた光学設計を執っていたのが分かり、開放f値「f1.8」ながらも繊細感残るピント面のエッジを表現できている要素の一つがこういう部分に隠れているのかも知れません (分かりませんが)。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。今回モデルバリエーションを改め「中期型」を追加しましたが、内部構造や構成パーツの数と種類には相違がありません。

ところが今まで扱ってきた「前期型後期型」の個体数89本の中で唯一の違いが今回の個体には顕在しました。「唯一」なので今回が初めてです。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。外壁にはヘリコイド (オス側) のネジ山が備わります。この後に登場する「後期型」でも全く100%同一の構成パーツでもあります。

過去に数多くの写真月刊誌などで詳細を究めた検証や評価記事が特集されましたが「ならばどうしてこのような内部構成パーツから捉えたモデルバリエーション上の相違を指摘しなかったのか?」どのように考えても納得できません。単に月刊誌の編集部で解体して内部構造を調査できる技術スキルを持つ人が居なかったのかも知れませんが、だとすればそれが叶う整備会社に依頼してでも特集記事を編集するのがスジではないかと思います。

ネット上では当たり前の如く/まるで当然の如く、それら専門誌たる月刊誌の特集記事を祭り上げ、あたかも「」として引用する内容ばかりが氾濫していますが、当方はそのような引用に少なからず違和感を感じます。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑鏡筒内部に組み込まれる「絞りユニット」の構成パーツを並べて撮影しました。左奥の上から順に「格納筒/開閉環/制御環」そして手前左端から順に「微調整環/位置決め環/C型環」です (赤色矢印)。

しかし、実はこの中で「格納筒」と「位置決め環」の2つの構成パーツについて、今まで扱ってきた88本の個体の中に同じパーツが顕在しません。

逆に言うなら、今回の個体だけに限定して異なるのが「格納筒位置決め環」という話です。これはさすがに「前期型/後期型」を含めた全ての89本の中で唯一の個体となれば・・その事実を蔑ろにするワケには参りません。

↑実際に手持ちの「後期型」の個体の絞りユニットを構成するパーツから取り出して並べましたが「格納筒位置決め環」のカタチが同一なるもメッキ加工が全く違います。

今までに扱った88本の個体の中で、数本でも同じようなメッキ加工の個体が顕在していればまだ納得できますが、今回の個体唯一の相違となると・・残念ながら鵜呑みにして納得できません。

もっと言うなら「FUJINON 55mm/f2.2」に於いても上の写真と100%同一なメッキ加工しか今までに見ていないので、どうにも納得できません。

いったいどうして突如メッキ加工を変更したのか、そしてどうしてその後すぐにまた戻したのか、不明なままです。

↑相違点は相違点として残したままオーバーホール工程を進め・・絞りユニットを仕上げます。

↑ひっくり返すと他の「EBC FUJINON 55mm/f1.8」と同じですが「開閉アーム/制御アーム」が飛び出ていて、合わせて制御環の途中には「なだらかなカーブ」が備わり「カム」がその勾配に突き当たる事で「設定絞り値の絞り羽根の角度が決まる」原理です (赤色矢印)。

実は、このような「原理原則」を熟知しないままにイッパシの整備会社に在籍する整備者が作業している始末で、全く以て信じられません(笑)

上の写真でブルーの矢印で指し示した範囲に「なだらかなカーブ」が備わり (制御環の途中に用意されている)、その勾配/坂を登りきった頂上に「カム」が突き当たると絞り羽根は完全開放にセットされ (開放側)、一方麓にカムが突き当たると「最小絞り値」に絞り羽根が閉じます (グリーンの矢印)。

従って、もしも整備者がこのモデルをバラして整備する時「絞り羽根の開閉角度」と絞り値との整合性をちゃんと検査して仕上げるなら「いったい何処で絞り羽根の開閉角度の微調整をすれば良いのか?」との疑問が湧くハズなのです。

・・しかしたいていの整備者はそんな疑問も抱かずにそのまま組み上げます(笑)

上の写真で説明するなら「制御アーム」の操作に従い (それは絞り環の操作で決まるのですが) カムが突き当たる勾配の角度が決まるので、その角度に従い絞り羽根が閉じる移動量が決定します。

且つ合わせてマウント面から飛び出ている「絞り連動ピンの押し込み動」により設定絞り値まで絞り羽根が瞬時に閉じるのは「制御環に備わるなだらかなカーブの勾配で決まる」話なのです。

・・この点について多くの整備者が全く注意を払いません(笑)

もっと言うなら、この「開閉アーム制御アーム」は常にマウント部内部の「」により互いにガッチリ掴まれたままなので「距離環を回す時のトルクを決定づける要素の半分を占める」のに・・相変わらず「塗布するヘリコイドグリースの粘性だけでトルク感を微調整とようと仕上る」のが常です(笑)

当方ではむしろ塗布するヘリコイドグリースの粘性で「距離環を回す時のトルクを与えている」仕上げ方なのに・・世の整備者の多くは「真逆の仕上げ方に固執している始末」なのです (軽いトルクに仕上げる事ばかり考えている)(笑)

↑完成した絞りユニットを鏡筒最深部にセットしたところです。

↑さらに完成した鏡筒を今度は立てて撮影しました。外周の壁面にはビッチリと「ヘリコイドのオス側ネジ山」が切削されています。もちろん絞りユニットから飛び出てきている「開閉アーム制御アーム」が鏡筒からも飛び出てきてちゃんと写っています (赤色矢印)。

↑鏡筒が完成したのでここからはヘリコイドの部位について組み上げていきます。距離環やマウント部が組み付けられる基台です。

↑ヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます (赤色矢印)。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。基台の内側両サイドには「直進キーガイド」の溝が備わります (グリーンの矢印)。

↑ヘリコイドオス側 (鏡筒) を無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で11箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

上の写真では既に「黄褐色系グリース」を塗布済なので、どんだけグリースの塗布量が少ないのか分かると思います。ではどうして「グリースの塗布量が少なくて済むのか/経年への対処として塗布量が少なすぎないのか?」と疑念を追求してくる人達/勢力が居ますが、笑ってしまいます(笑)

当方が「DOH」している事を全く汲んでいません(笑) 経年の酸化/腐食/錆びを限りなく除去し、それこそ最低でも「1mmの隙間」から磨いているのを全く考慮していません(笑)

逆に言うなら「当方が仕上げるオールドレンズ達は限りなく製産時点に近い状況まで各構成パーツが戻っている」中で組み立てられているので塗布するグリースは最低限であり、且つそれは「製産時点に近似した所為」なのです (何故なら酸化/腐食/錆びで必要外の抵抗/負荷/摩擦が存在しないから最低限のグリースだけで機能するのは明白)。

経年で酸化/腐食/錆びしたままの構成パーツにグリースを塗ったくって/グリースに頼って整備し仕上げている整備者とは全く違うのです(笑)

↑ひっくり返して「直進キー」の状況を撮影しました。鏡筒の両サイドに「直進キー」なる銅製パーツがネジ止めされます (グリーンの矢印)。

実はオールドレンズをバラすと先ず間違いなく「98%」の確率でこの直進キーと直進キーガイドの溝にグリースがビッチリ塗られています(笑)

しかし、実は「直進キーの役目を理解していない」からこそ、そのような所為に及びます。

直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目

直進キーガイド
直進キーが直進動でスライドして移動するガイド/溝であり鏡筒の繰り出し量をカバーする

例えば仮に「ピント合わせのために距離環を回す操作」により回転動のチカラが及んで距離環が回った時「直進キーにより回転動が直進動に変換される」なら、その時に「直進キーガイドの溝で直進キーが抵抗/負荷/摩擦を受けていたらどうなるのか」との考察が全くできていません(笑)

現実は「直進キーと直進キーガイドに抵抗/負荷/摩擦が生じたら距離環を回すトルクは重くて仕方ない」状況に至ります。もっと簡単に言うなら「直進キーと直進キーガイドの抵抗/負荷/摩擦が関係ないからピント合わせは軽い操作性で実現できる」とも言い替えられます。

・・この点について確実に認識できている整備者があまりにも少ない!!!

これが現実です(笑) 逆に言うなら、当方は「直進キーと直進キーガイドにグリースを一切塗布しない」のです。たいていのオールドレンズ個体でこれら「直進キーと直進キーガイドにはビッチリグリースが塗布されている」のが現実ですが、全く以て意味を成していません(笑)

・・その根拠を説明します!!!

もしも仮にグリースのおかげで「滑らかに繰り出し/収納」が実現してピント合わせできるなら「回転動直進動に変換する直進キーの存在」は単にトルクを重くする要因にしかなり得ません。

つまり距離環を回した時に、もしも「直進キー」の部位で抵抗/負荷/摩擦が生じていたら (グリースの有無に左右されず) トルクは限りなく重くなってしまいます。

しかし現実は「回転動は瞬時に直進動に変換されて掛けたチカラの多くがそのまま伝達される」からこそ、滑らかに軽い操作性でピント合わせが適うのです。

つまり「直進キーと直進キーガイドにはチカラは蓄えられず瞬時に伝達される」のがオールドレンズの基本なのです! この点について多くの整備者が全く以て認識できていません(笑)

従って当方は今まで3千本以上のオールドレンズを扱いながら「直進キーと直進キーガイドにグリースを塗った事が一度も無い」と明言できます(笑)

↑マウント部の写真ですが、既に各構成パーツを取り外して当方の手による「磨き研磨」を終わらせた状態で撮影しています。当初バラした直後は、このマウント部内まで「経年の揮発油成分で酸化/腐食/錆びが生じていた」状況でした・・一部はそのサビを完全除去できずに残っているのが写っています。

↑取り外していた各構成パーツも「磨き研磨」を施し、経年の酸化/腐食/錆びを限りなく除去して「製産時点」に近づけつつ組み込みました。

マウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」が押し込まれると (ブルーの矢印❶) その押し込み量に従い「カムが押し上げられて (ブルーの矢印❷)」組み込まれている捻りバネのチカラを借りて「開閉爪が移動する」ので (ブルーの矢印❸) 設定絞り値まで絞り羽根が閉じる原理です。

このマウント部内部には「2つの捻りバネ (グリーンの矢印) が組み込まれている」設計です。

今回の個体も今まで数多くの「FUJINONレンズ」たる個体と同じですが、マウント部内部の一部パーツの使い方をミスっていて「絞り羽根開閉異常」が起きていたが為に、左写真のとおり「捻りバネの一つを強制的に曲げてチカラの度合いをごまかしていた」のが判明しました。

今までに扱った個体の多くでこのように「捻りバネ」の角度をペンチか何かを使って強制的に曲げて、及ぼすチカラを強くしています。

実はこの2つの捻りバネは互いのカタチが異なるものの「それぞれが反発する/チカラを及ぼす方向性が異なる」仕様として設計されているので、この2つの捻りバネのうちのどちらをどれだけ角度を変えれば「その結果どのように絞り羽根の閉じ具合が変化するのか知っている/理解している」整備者による所為なので・・どう考えてもシロウト整備でできる話にはなりません。

・・つまりこれらの所為を施していたのは何処ぞの整備会社の整備者と明言できる。

しかもそれら施した所為の根本的な因果関係は「マウント部内部の構成パーツの使い方をミスっているから」と明言できるので、このような所為を執っていた整備会社は「一社のみ」という処まで追求できます(笑)

・・意外にも今現在も活躍している大手の整備会社です(笑)

そのミスっていた整備者は「FUJINONレンズ専任」で担当していたようにも捉えられますが (同じミスを相当な数量で起こし続けているから)、如何せん本人は全く気づかないままと言う笑ってしまう現実です(笑) おそらくは製産後数十年を経ているからと経年を理由にこじつけて、ペンチで曲げて調整するのが当然と考えていたのでしょうが・・そもそも自分のミスだとは露にも思わないのでしょう(笑)

然し、その過去メンテナンス時にミスッて使っていたパーツを「当方が正しくセットして」組み上げると、これら捻りバネの強制的に曲げてしまった角度は「むしろ正しく絞り羽根開閉動作をしない要因に至る」ので、左写真のグリーンの矢印の位置で曲げられていた捻りバネの角度を「ちゃんと正して組み込む」のを当方がヤッている始末です(笑)

・・過去メンテナンス時の整備者の不始末を当方が正している状況です!(泣)

↑完成したマウント部を基台にセットします。この時当然ながら鏡筒から飛び出てきている「開閉アーム制御アーム」は互いに掴まれる先の爪に咬みあわせて組み込んでいますから、必然的に「マウント面から飛び出ている絞り連動ピンの押し下げで適切な絞り羽根の開閉角度に至っている」のが当たり前の話です(笑)

↑さらに「指標値環」をイモネジを使ってセットします。この時「イモネジ」による締め付け固定なので (赤色矢印) ちゃんとそのような種別のネジを使う意味がありますね。

↑距離環をセットして、この後光学系前後群を組み付けてから無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。ご覧のように見る角度によっては「ブル〜の光彩」を放つ、どちらかと言うと少ない個体数のモデルだったりします。この現実にこの「ブル〜の光彩」が、いったいどのように撮影した写真に効果として現れるのかは「???」ですが、一時期各光学メーカーで流行ったようにも思います。

今回の個体と同じ、モデルバリエーション上で言う処の「中期型」を今後再び手にすることは・・おそらく不可能でしょう。僅か「278本」しか出荷されていないとすれば、同じタイプを再び手にできる確率は相当低いです。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。実際は「極微細な塵/埃に見えてしまう経年の点キズが多い」状況ながら、それらは決して玉ボケなどにさえ写り込まずに、先ず以て写真への影響度が相当低いレベルです。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側もLED光照射で極薄いクモリが皆無です。前群同様「本当に微細な塵/埃に見えてしまう微細な点キズ」は多いものの、やはり写真への影響度は限りなくゼロに等しいです。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大8mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
(前後玉に極微細な経年の拭きキズ数箇所あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑上の写真解説のとおり「開放測光用の爪」がマウント面から飛び出ています (グリーンの矢印)。当時のFUJICA製フィルムカメラ「ST-801/901/AZ/1」などに装着すると開放測光機能がご使用頂けます。

もしもマウントアダプタ (ピン押し底面タイプ) 経由デジカメ一眼/ミラーレス一眼に装着される場合は、ご使用になられるマウントアダプタによってはマウント面の「開放測光用の爪」が当たって擦れるので/最後までネジ込めないので切削する必要があります

申し訳御座いませんが切削にはご落札者様自身で行って下さいませ (当方では切削しません)。

またK&F CONCEPT製のマウントアダプタをご使用頂ければ/手に入れればこの「開放測光用の爪」を回避するので干渉せずに正常使用が可能ですからご検討下さいませ。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持したまま」閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。
・マウント部内部の捻りバネの経年劣化進行に伴い僅かに弱っている為鏡筒から飛び出ているアームを掴んでいる爪が擦れて「カリカリ音」が聞こえてくる事があります(特にマウントアダプタに装着すると聞こえてきます)。捻りバネの経年劣化が原因なのでこれ以上改善できません。また当問題で将来的に不具合を起こす因果関係に至ることはありません。
・マウントアダプタ経由使われる際はできればK&FCONCEPT製マウントアダプタをご使用頂き内側の「ピン押し底面」を「平面側」にセットしてご使用下さいませ。反対側の凹面の場合、絞り環操作で絞り羽根がf8で閉じるのを停止します。これは製品の異常ではなくマウント部内部の構成パーツ設計上の因果関係で、絞り連動ピンの押し込み量が不足している場合に起きる現象です。但しフィルムカメラ装着時は正常に開閉動作するのを確認済です(旭光学工業製SPOTMATIC IIにて全ての絞り値で確認済)。フィルムカメラ装着時はこの問題を気にする必要がありません。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
Kenko製MCプロテクター (新品)
本体EBC FUJINON 55mm/f1.8《中期型》(M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

↑毎回説明していますが、今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体も「マウントアダプタ装着時にマウントアダプタとの相性が発生する」懸念が高いです。従って上写真のようにK&F CONCEPT製マウントアダプタをご使用頂き、且つ「内側のピン押し底面は平面側をセット」して頂ければ、マウント面から飛び出ている絞り連動ピンが適切量押し込まれるので「絞り羽根開閉異常が起きない」次第です。

逆に言うなら「もしも仮に凹面をセットしたら絞り羽根はf8で閉じるのをやめてしまう」のを確認済です。どうしてそのような不具合が起きるのかと言えば「絞り連動ピンの押し込み量が足りずに (凹面で深すぎるから) 絞り羽根を正しく閉じられない」からです。

もちろんマウントアダプタを使わずに「フィルムカメラに装着して使う」なら一切関係ない話です。装着先がフィルムカメラならマウント面から飛び出ている絞り連動ピンは正しく押し込まれるので「絞り羽根開閉異常は100%発生しない」と明言できます。

・・詳細は『◎ 解説:M42マウントアダプタのピン押し底面について』をご参照下さいませ。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離45cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮影しました。

↑f値「f5.6」での撮影です。

↑f値「f8」まで上がっています。

↑f値「f11」になりました。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。