◎ Schneider-Kreuznach (シュナイダー・クロイツナッハ) Radionar 50mm/f3.5 ▽ 《後期型》(akr)/ Radionar 75mm/f4.5 ▽《前期型》(akr)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールがおわってし終わって出品するモデルは、
Schneider-Kreuznach製標準レンズ・・・・、
Radionar 50mm/f3.5 《後期型》(akr)』さらに中望遠レンズ・・、
Radionar 75mm/f4.5 《前期型》(akr)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた11年前からの累計でも今回の扱いが両方とも初めてになります。

今回はこの2本をセットにしてオーバーホール済でヤフオク! 出品する事にしましたが、本来
その構造の難しさや描写性からすれば個別に出品したいところです。しかし何しろどんな写りをするのか知名度がかなり低く、合わせて特異なマウント規格でもあり、おそらく人気がないと判断し今回は仕方なく2本セットでの出品としました。

特にこの2つのモデルの光学系について、その挙動や構造面から捉えた写りに関する話をちゃんと解説できているサイトが存在しないようなので「どんだけ珍しいオールドレンズなのか」について解説してみたいと思います。

ちなみに以前扱った同じレンジファインダーカメラ「Paxetteシリーズ」向けの供給オールドレンズ達で主体的な存在だったのはSchneider-Kreuznachよりも同じ旧西ドイツはSteinheil München製だったようにも思いますが、その際扱った時はあまり人気がありませんでした。

今回は皆さんが大好きな (一般的にも人気が高い) Schneider-Kreuznach製なので、どんな結果になるでしょうか・・(笑)

なお、当方は基本的に「極度のカメラ音痴」であり「光学知識も疎く」ここで述べている事柄
/内容はその多くに信憑性を伴わず、且つ当方自身の思い込みなども影響してネット上の様々なサイトとの比較には値しない事を事前に告知しておきます (それら比較元サイトのほうを正として捉えて下さいませ)。

従ってこのブログをご覧になりご不満や不快感を抱いた場合は平に附してお詫び申し上げますが、誹謗中傷メールを送信してくることだけはどうかご勘弁下さいませ。

ウソを拡散するような考えなど一切なく、合わせてヤフオク! での出品についても決して詐欺的商法など執る気持ちはなく、どのようなクレームにも必ず対応させて頂く所存です。

そしてこのブログも決してヤフオク! での出品商品を高く売らんが為に煽る目的で掲載しておらず、むしろ純粋にヤフオク! のようなオークションで単にご落札頂くよりも、さらに楽しくそのオールドレンズの素性を知る事ができる事を目指して、その目的にのみ限定してこのブログを添えている次第です (その他の他意は御座いません)。

今このブログをご覧頂いている皆様も、何かご指摘事項が御座いましたら以下までお知らせ下さいませ。

ご指摘事項は・・・・
   出品者のひとりごと・・・・pakira3kara@pakira3.sakura.ne.jp
までお知らせ下さいませ。

・・即座に改善/訂正致します。お手数おかけする事になり本当に申し訳御座いません。

  ●               

終戦直後の1946年に旧西ドイツ側のFriedrichshafen (フリードリッヒシャーフェン) 市で創業し、当時のフィルムカメラ用アクセサリー分野での開発/製造からその後すぐにライカ判フォーマット「24x36mm」フルサイズを見越したレンジファインダーカメラの開発/製産へと移行したカメラメーカーです (残念な事に1961年には倒産してしまいます)。

右写真は1951年時点での雑誌広告からの抜粋ですが、ちゃんと「Akarette II」他のモデルが列記されており、まさに全盛時代だったのが理解できますが、意外にも早く終焉を迎え1961年には倒産してしまいます。

後にakaretteは「AkArelle (アカレル)」とその名称を変更しますが、このコトバをドイツ語発音させると「アカ(ー)エレ」と聞こえるものの、社名ロゴでも強調されているのは「Aka」であるにもかかわらず、Google翻訳で発音させた時「akar」までが発音されるので「アカ (ー) エレ」と分解して発音してしまいます。

・・正しくは「アカレル」ですね(笑)

   

↑左から一番最初に発売された135mmフィルムを「24x32mm」フォーマットで設計したレンジファインダーカメラ「Akarette I」になり、終戦直後の1947に発売しています。

レンズ交換式マウント規格を採用し、且つフィルム巻き上げノブを回すと連動してコッキングするシャッター機構を装備しており『カメラ音痴』の当方が見ても十分に斬新的で意欲的な
レンジファインダーカメラに見えてしまいますが、実際ネット上のサイトの解説によると当時LeicaやCONTAXで実現されていた機能らしいので、その素晴らしさが伝わってきます (参考にしたのはこちらのサイトです)・・大変素晴らしい実写の説明をしているサイトはこちらです。ほぼこれらのサイトを読んで今回扱う気持ちを抱きました。

後にはライカと同じ「24x36mm」フォーマットに変更しているようです。2つのファインダー窓が備わり向かって左側が75mm用、右側が標準レンズ「50mm用」で、手前にあるツマミを回すことで片方が塞がれます。

また上の写真中央は次に発売された1949年登場の「Akarette 0」で前述の「Akarette I」の廉価版格付として登場したようです。ファインダーは同様向かって75mm用 (左) と50mm用 (右) であるものの、メクラ (塞ぐ) ツマミが消え「PRONTOR-S」の代わりに「Vario」或いは「Prontor」に入れ替えられているようです。

今回扱った「Akarette版Radionarシリーズ」はこのモデルのセット用レンズとして登場したようです (Radionar銘のオールドレンズ登場はそのタイミングが初登場ではなく時系列的にはもっと遡る)。

上の写真右端は1950年発売の「Akarette II」になり、メクラを内蔵したファインダ切替レバーが復活し (向かって左側75mmに右側50mm)、且つ「PRONTOR-SVS」のシャッター機構を装備しているようです。

当方は以前同じようにレンジファインダーカメラの「Paxetteシリーズ」も大好きだったので (今も好きですが) もしかしたらレンジファインダーカメラのほうが性にあっているのかも知れません (よく分かっていない)(笑)

↑当時のカタログですが、右にオプション交換レンズ群を紹介しています。4本のオプション交換レンズが載っていて、Schneider-Kreuznach製の「Xenon 50mm/f3.5 (左上)」に「Xenon 50mm/f2 (右上)」そして「Tele-Xenar 75mm/f4.5 (左下)」に「Xenagon 35mm/f3.5 (右下)」です。

左写真は前回扱った時の標準レンズで、Schneider-Kreuznach製Xenon 50mm/f2 《Akarette版》(akr)」になり、当方の大好きな標準レンズの一つです (他にもexaktaマウント版をよく扱います)。

当方は何事も中途半端な性格なので(笑)、開放f値が「f2」のほうがそれよりも明るいオールドレンズより靡きます(笑)

登場した時期が近いハズなのに、どう言うワケか「exaktaマウント規格」のほうが市場で価格高騰しており、然し実のところ「光学系のコーティング層に経年劣化進行が酷く薄いクモリが除去できない個体が数多く流通している」のが実状だったりします。

今まで8本の「Xenon 50mm/f2 」を扱いましたが、ほぼ総ての個体で薄いクモリが生じているもののその因果関係として一つは「白色系グリース」の問題が挙げられます(涙) 特に過去メンテナンス時に「白色系グリース」を塗布していると感覚的な話ですが薄いクモリの発生率が高いような気がしてなりません (あくまでも当方の印象だけの話です)。

逆に指摘すると、過去メンテナンス時に「黄褐色系グリース」が塗られていた個体は光学系内のコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリの発生率は当方の記録データを見る限り低めです (つまり圧倒的に白色系グリースのほうが経年劣化進行が早い)。

現在その触手をレンジファインダーカメラたる「Akaretteシリーズ」に向けている最大の理由がそれで、市場で人気を博してしまった/流通価格の高騰を招いてしまった「exaktaマウント規格品」を狙うよりは、ほぼ無名に近いレンジファインダーカメラ側のモデルを手に入れるほうが「圧倒的に光学系の状態が良い」何故なら「過去メンテナンス時の時期が相当古いから黄褐色系グリースが使われている」との要素をある意味狙っての話です(笑)

実際、今回の調達が全くそのとおりで「中のヘリコイドグリースは黄褐色系グリースで相当古い」のを確認しました (2本共に)。ところが光学系内の締付環や格納筒内壁に「反射防止黒色塗料」が塗られまくっていて、溶剤で溶かすと除去できる (製産時点のメッキ加工や焼付塗装ではないので溶剤で簡単に溶ける) ので、そのインク成分がコーティング層に飛んでしまい「薄いクモリを帯びた状態」です。

・・従って今回のオーバーホールでも光学系内の反射防止黒色塗料着色は最低限に留めた。

その意味で例えば今回出品する個体2本の光学系内を覗き込むと「締付環や内壁に反射防止黒色塗料が塗られていない」のを視認でき、別の言い方をすれば「金属材が無垢の状態で剥き出し」に磨き上げているので「それがそのまんま丸見ぇ〜!」です(笑)

つまり「迷光」に極端にこだわる方は是非とも当方がオーバーホール後にヤフオク! 出品するオールドレンズは「ご入札/ご落札なさらないよう」強くお願い申し上げます。当方はあくまでも過去に取材させて頂いた工業用光学硝子製造会社様でのお話の内容に従うので、極端どころかそもそも「迷光に一切拘らない」且つ「反射防止黒色塗料を徹底的に排除」するのでご期待にお応えできないとの判断からです。

後で解説しますが、今回扱った2本のオールドレンズでこれらの話が如何に将来的なトラブルを招く因果になり得るのか、きっとご理解頂けると思います。

  ●               



↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
先ず最初に申し上げておきますが、今回の扱い品のうち中望遠レンズの「Radionar 75mm/f4.5」のほうは、そもそも「開放f値f4.5」の実写が見つからない状況です(泣) 後で解説しますが、今回この2本を調達して扱う気持ちに至った理由があり「その特異な光学系の使い方」に合わせて「当時の設計陣、或いはSchneider-Kreuznachの思惑が垣間見えた」点に於いてそのロマンに目一杯背中を押されてしまったのがホントだったりします(笑)

ではその描写性は「まるで駄目玉」なのかと問われれば「いや、この写りを吐き出すモデルをあまり知らない」と言う答え方が一番適しているように感じます(笑) 要はとても珍しい描写性で「ある意味一度虜に堕ちると手放せない」的な要素も含んでいるので要注意です(笑)

シャボン玉ボケと明確に片付けられるほどシッカリしたシャボン玉ボケは表出できないようですが、さすが「3枚玉トリプレット」の素性ヨロシクちゃんと製産感を残したシャボン玉ボケを表出できるところがさすがです (左側の2枚)(笑)

そして巷では「シュナイダーブル〜」と揶揄されまくりですが (プロの写真家も必ず解説している)(笑)、実は当方はその「シュナイダーブル〜」がいったいどんな色合いなのかをいまだに知らないと言う「低俗なヤツ」です(笑)

然しそれにしては意外にも右側2枚の実写を観ると「ナチュラルな色付きの葉っぱ」だったりするので、いったいそのブル〜成分がどのように影響しているのか「光学知識に疎い」当方は説明できません(笑)

ただし右端の実写を観る限り (おそらくフィルム撮影だと思いますが) 赤色の花は「色飽和」しているように見えます (質感がサッパリ失せてしまっている)。

二段目
この段では吐き出す写真のダイナミックレンジをチェックするつもりでピックアップしましたが、左側の白黒写真はレンジの問題なのかフィルム印画紙の問題なのか「カメラ音痴」なのでよく分からないものの、ダイナミックレンジが狭くて暗部は黒潰れしているように見えます。

その一方で右側2枚のカラー写真ではタップリと水分を含んだ今にも降り出しそうなくらいの雨雲の暗域がちゃとん写り込んでいて頷くと共に、実は橋の鉄骨の素材感や材質感を顕す質感表現能力の高さも損なわれておらず (ノッペリと写っていない) なかなかのダイナミックレンジを持っていると逆評価です (つまり当方の写真に対する評価は全く以て当てにならない)(笑)

・・個人的にはそんな印象の評価です。

 三段目
左側2枚はコントラストの出方をチェックするつもりでピックアップしています。と言うのも他のフィルムカメラ、特に蛇腹式と言うべきフィルムカメラや二眼カメラなどに用意されている「Radionarシリーズ」で開放f値「f2.8〜f2.9」辺り、或いは中望遠レンズのほうでも「f2.9モデル」の写真を観ると確かに良く写っているのですが、少しコントラストの付き方が極端で、シ〜ンによっては違和感にまで到達している場合があったりします。その意味でピックアップしたような話なので、ある意味このナチュラル感がホッとできる要素だったりと意外にも当方には重要です(笑)

例えば2枚目の公園での写真は素焼きの鉢を逆さに帽子のように被っているのもその質感表現能力の高さが伝わりますし、さらにその右横の消火栓の金属質の感じや色合いもとてもリアルに写り当方には納得できています。しかし意外にもオモシロイと感じたのは周囲の「収差の現れ方」なので、ピント面は確かにリアルに写り被写体の材質感や素材感まで写し込むのですが「周りはそれなり」と言うか、下手するとヤバいレベルまで流れちゃっている写真も結構あります(笑)

・・当方がオモシロイと触手が向いた最大の理由がかけ離れたその収差とのバランスです。

ちなみに3枚目の写真はこの2本のモデルは共に「最短撮影距離1m」なので被写体にここまで近寄れず、おそらくはエクステンションを介在させて近接撮影しているのではないかと思います (このブログでも最後のほうで写していますが)。

光学系はこの2本のいずれも「3群3枚トリプレット型構成」と当時の典型的な光学設計ですが、実はその「駆動方法が別世界」なのが超絶に楽しいのです(笑)

右の構成図はRadionar 50mm/f3.5 《後期型》(akr)』を顕したものとしてネット上で唯一確認できる構成図ですが、この構成図を見ると「全群繰り出しタイプ」のモデルの光学系構成図に見えます (あくまでも当方がそのように感じているだけの話)。

前玉回転式駆動」なのでいわゆる「全群回転式駆動」にも似てますが、この2本のモデルは「光学系第2群第3群が固定」なのです。すると第1群の前玉だけが「前後に移動する駆動方式=前玉回転式駆動」なので第2群の両凹レンズの曲率が違うと思うのです。そうしないと「最短撮影距離位置まで前玉を繰り出した時に相当画角が小さくなってしまう」と光学知識が疎い当方でもちょっと心配になります(笑)

そして実際に今回扱ったRadionar 50mm/f3.5 《後期型》(akr)』を今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての群の光学硝子レンズを計測したトレースした光学系構成図です。

ちょっと解説が必要です。無限遠位置の時の光学系第1群 (前玉) の位置を 色付けで表し、一方「最短撮影距離1m」の時の第1群 (前玉) の位置を の色付けで示しています。

つまりちょうど光学系第1群の前玉の上に「逆コの字型」を附随させて移動距離を示していますが、前玉の裏面はこれだけ繰り出し/収納により位置が変化しています (実際に駆動させて計測した計測値から)。無限遠位置から最短撮影距離位置に向かい「前玉は光学系第2群から離れていく」ので、その動きが「繰り出し/収納」として距離環により操作される概念です。

当然ながら前玉の位置が遠くなったり近くなったりなので、入射光が結像するにも「画角は変化する」のが自明の理です。 色の位置で最も画角が広くなり、一方 色位置では最も狭くなりますから「このモデルの描写性は常に画角が変化する写り方」なのが納得できます。

実はこの点について適確に指摘しその写り方をメリットの如くちゃんと解説しているサイトがありました・・こちらのサイトで中望遠レンズのほうの解説ですが非常に適確に解説しています。おかげで当方の触手がスッカリ反応してしまい、その描写性の愉しさにアッと言う間に虜に堕ちました(笑)

当方は オールドレンズが大好きなので、今ドキのデジタルなレンズの如くオールドレンズの写真に対して隅々までチェックしてその端正な写りに優劣を判定する気持ちがそもそも理解できません (当方の頭の悪さも大きく影響していますが)(笑) 従って「収差は収差のまま在って然るべき」との考え方なので、その写り方にもそれが如実に表れようがそれを以てして卑下したり「駄目玉」と罵る気持ちになれません(泣)

それではどんなオールドレンズも皆優れた描写になってしまう・・と言っているのではなく、それに優劣を付けて評価を下す事に抵抗感が強いと申し上げているのです。画の周辺部の流れが凄くて酷くて全然構いませんし、ボケ味が硬くても良いのです。それが気に入る人達も数多く居るワケで、その人達の心根にまでクサビを打つような優劣の判定を下す事に抵抗感があると言っているのです。

その意味で、前述のサイトはまるでその意のままに術中に填まってしまい(笑)、当方はスッカリこのモデルの虜に堕ちました・・それで良いのです!(笑) 確かに収差が酷く (いわゆる汚い云々の話ではなくその収差の現れ方に予測が付かないと言う意味合いの酷くとの表現) 画角まで変化していくのがまた狂わしい限りですが(笑)・・それが良いのです!(笑)

・・そんに写りのオールドレンズに興味沸かねぇ〜。

然しハマってしまう人が居ても良いと思うのですョ(笑) ピント面の鋭さと言うか「違和感を感じない滑らかな鋭さ」こそがまるで3枚玉トリプレットの良さでもあるので、3群4枚のテッサーのようなガッチガチな鋭さを期待してはいません。

さらにそこにナチュラル的な印象の落ち着いた (コッテリとは決して言えない)「Deckelマウントや他の当時の交換レンズ方式のタイプ」のような如何にも色が付いているかのように「良く写る」と頻繁に評価される写りとは一線を画すのが堪らないのです(笑)

・・少なくとも当方の瞳ではそのように執拗な色付きには写っていない。

からこそ何だか分かりませんが(笑)、心が靡いて仕方がないと言うか気になってしまうのです
・・そう言う「惹かれる写りに弱い」のが当方なので、このようなオールドレンズでも十分に反応してしまいます(笑)

今度はRadionar 75mm/f4.5 《前期型》(akr)』のほうの光学系構成図で、同様今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての群の光学硝子レンズを計測したトレース図です。

同じように「前玉回転式駆動」なので光学系の第2群〜第3群は鏡胴に固定です (距離環を回しても位置が変わらない)。

距離環を回して位置が変化するのは「前玉だけぇ〜!」なのです(笑)

前玉は無限遠位置の時が 色着色の位置で「最短撮影距離1m」が 色の位置です。移動量が少ないように見えますが、そもそも標準レンズより大口径で、且つ厚みがあるので相応の移動量を持っています (移動量が分かるように前玉裏面側の位置の変化を逆コの字型で添えています)。

やはりその描写を観るととても収差の影響を予測する事が適いませんが(笑)、それが楽しくも画角の変化と相まり「何が写るのか楽しッ!」的なちょっとしたドキドキ感が今回の扱いでオーバーホール後に試し撮影していて楽しかったです(笑)

そして何よりも「驚異的」なのがこの中望遠レンズに於ける「絞り羽根・・後ろから見たら丸見えなんスけど?!」(驚)、と言う話です。最初バラす前に手にした時「あれ? コイツもしかして後玉外されてるの?!」とヤバい個体を手にしてしまったのかと焦ってしまいました(笑)

・・絞り羽根が剥き出しなのはそれほど恐ろしい話 (もちろん今までに見たことがない)!(怖)

実際「後玉の後に絞りユニットが来るのでそれが正しく正常なのは間違いなし」と言う、まるでこんな設計しちゃって良いのかョ・・と当時のSchneider-Kreuznachにマジッで電話したくなりますね (その経緯も後でちゃんと解説しますが)(笑)

・・つまり右の構成図のとおり絞り羽根の位置は後玉の先です!

これがまさに絞り値を変えただけでその写り具合がガラッと変化してくる根源なのかも知れませんが、当方は「光学知識が疎い」のでよく分かりません(笑)、分からずとも気にしません。そんくらいの新鮮なオドロキを今回は十分楽しめました!(笑)

なお前玉が移動するのに対し、それを考慮した「証拠」もちゃんと光学設計に反映されていて (当然な話ですが) 光学系第2群の両凹レンズはその曲率が一般的な3枚玉トリプレットとは異なります。この曲率をデジタルノギスで計測していて「あぁ〜画角が変化するからねぇ〜」と納得できた (と言うか描写性が分かるのは製品化されたからの話ですが) 言う感じです(笑)

従ってさんざん悩みましたが、このモデルは「標準レンズと中望遠レンズの2本揃えて使って初めてその魅力の虜に堕ちる」との自分の紛れもない哀しい印象/感想から、仕方なく「2本をセットにして出品するしかない!」との覚悟です (哀しい理由はホントは個別に出品してもっと儲けるつもりだったから)(泣)

ちなみにSchneider-Kreuznachからは当初「Xenarシリーズ」としてもこの「前玉回転式駆動」の同じ3枚玉トリプレット型が出荷されていたようですし、これらのモデルが発売されても併売していたようにも見えますが詳しい事はまだ調べていませんし、それら「Xenar銘の前玉回転式駆動のモデル」もまだ扱っていません。

しかし市場に流通しているそれらモデルの後玉の状況や絞り環、或いは絞り羽根の状況をチェックすると今回扱った「Akarette版Radionarシリーズ」と同一に見えるので、同じSchneider-Kreuznach製でも「Xenar銘が3群4枚のテッサー型のモデル銘として集約した時期の前」とみていますが、また調査/研究が進んでいません。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。先ずは標準レンズRadionar 50mm/f3.5 《後期型》(akr)』を完全解体した時の全景写真です。

内部構造が簡単で構成パーツ点数も少なめなのでパッと見で「初心者向け」にも見えそうですが、実はこのモデルは鏡筒とヘリコイド部の関係性と絞り環操作の概念を理解してしまえば組み上げが適います。

逆に言うと設計概念 (設計者の意図) を汲んで考えられない場合は、少々ぎこちない操作性でしか組み上げられないと思います。実際今回扱った個体も2本共に過去メンテナンス時にその辺りの認識が上手くいっていなかったようで、ムリに組み上げている印象があります。その辺の説明も含め解説していきたいと思います。

↑上の写真は10枚の絞り羽根が組み込まれる先の「絞りユニット」ですが、それは一般的なオールドレンズでの設計に於いての認識です。

確かに10個の円形窪みが用意されており、そこに「絞り羽根の位置決めキーが刺さる」事実からも絞りユニットなのは間違いありません。

しかしこのパーツはこのモデル「Akarette版Radionarシリーズ」ではそれだけで終わりません。このパーツは「絞りユニットであり絞り環でもあり、そして鏡筒でもある」のです。三つ巴でそれら要素を兼ね備えさせる事で「狙った事柄が在る」ことを発見したと言うか、まさにそのように仕組まれているのが判ったので「一般的なオールドレンズと同じ概念ではない」特異な設計で造られたのが分かるのです。

その判明した事実はこのモデルだけを扱うと決して理解できない/発見できないでしょうが、当方今回もう1本の中望遠レンズRadionar 75mm/f4.5 《前期型》(akr)』も扱ったので、そのモデルにも上の写真と100%同じパーツが使われている事実を知ると「設計概念の違いを理解せざるを得ない」からこそ、一般的なオールドレンズの設計とは別世界のモデルなのが理解できるのです。

・・そしてその事実こそが「光学設計の総て」でした!(驚)

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

上の解説のとおり、このモデルも絞り羽根の表裏にちゃんと金属製のキーがプレッシングされており「だいぶ厚みを持つシッカリした造り」なのが分かります。ひいて言えばこの当時のライカ製オールドレンズに装備している絞り羽根の厚みに、後もう少しでピタリと一致するほどですが「切削レベルは明らかにライカ製の絞り羽根のほうが圧倒的に上の格付」と言わざるを得ない少々粗削り的な仕上がりです(笑)

絞り羽根自体の幅をもっと薄くして完璧な円形状に仕上げれば、まさに当時戦後に流行っていた旧東ドイツの大手光学メーカーCarl Zeiss Jena製や他のオールドレンズ達と同じ仕様に仕上げられます。

左写真は以前扱った旧東ドイツはCarl Zeiss Jena製標準レンズTessar 50mm/f2.8 silver《前期型:14枚絞り》(exakta)」の絞り羽根を写した転載写真です。

特に厚みは必要なく (何しろ入射光の遮蔽がその目的だから) 薄いペラペラ状態でも良かったワケです (左写真のとおり)(笑)

と言うのも、これは整備している人しか理解できませんが「絞り羽根は完全開放時に重なっている時よりも最小絞り値側で閉じている時のほうが膨れあがるチカラが生じて外へ逃げるチカラが増大する」と言う「原理原則」があるので、その余計なチカラをどんだけ逃がせられるのか/解消できるのかが設計時の一つの課題になります。

細部の設計まで考慮し尽くされているならライカの絞り羽根に近い厚みを持たせても問題ありませんが、このモデルでは「その厚みとカタチ」が問題になります。

ちなみに一つ前の左写真でペラペラの薄い絞り羽根を使っていた旧東ドイツのCarl Zeiss Jenaの考えは、薄く作ることでこのような「無段階式実絞り駆動」には余計なチカラの低減を狙っていたと推察できます。最小絞り値側で14枚の絞り羽根が膨れあがり、そのチカラが終端のキーにまで及んでもたかが知れている範疇に収まるので、絞り環も当時はまだネジ山にネジ込む方式で設計できていました (余計なチカラが弱い事の証とも言える)。後の時代には鋼球ボール+スプリングを介在させてのクリック式絞り環駆動として、絞り環をネジ山にネジ込む方式を改めています (単に置いて/セットして回すだけの操作性)。

逆に指摘するなら「この時代はまだ円形絞りが主流だった時代」とも指摘でき、それに倣った設計を採っていたのが分かります。1947年〜1959年辺りの設計と製産ですから、当時の旧東ドイツCarl Zeiss Jena製オールドレンズ達も確かにシルバー鏡胴モデル全盛時代です(笑)

とにかく今回のモデルに実装している絞り羽根は相応の厚みを持たせたシッカリした造りなので、10枚も角度を変えて最小絞り値側で閉じると「それなりに抵抗/負荷/摩擦が増大する」と言う問題を抱えたままです(泣)

↑10枚の絞り羽根を組み込んで絞りユニットを完成させたところです。本来なら (当時の一般的なオールドレンズの設計なら) 上の写真で赤色矢印で指し示している「鏡筒」部分は「絞りユニット」或いは一歩引いても「位置決め環」ですが、如何せん当方が「鏡筒」との判定を下したのは絞りユニットの使い方が「別世界」だったからです(笑)

上の写真では既に周囲に「絞り環」がセットされていてローレット (滑り止め) のギザギザが見えています。合わせて絞り羽根には「開閉環」が被さり締付ネジで固定されています。絞り環操作で上の写真のように絞り羽根の角度が変化して閉じていく仕組みです。

開閉環」にいろいろマーキングされていて(笑)、一部取り消し線が入ったりしているのは当方が刻んだのではなく過去メンテナンス時の整備者の手によるものです(笑) 後で分かりましたが、このマーキングを取り消している理由は「このパーツを装着する場所をミスッたから」であり、要は設計者の意図を汲み取れていなかった事が判明しますが、実は当方も当初の組み立てで同じ事をやっています(笑)

・・別に相当昔の整備だから気にしなくていいのに何だか無性に恥ずかしかったりして(恥)

↑こちらは距離環やマウント部が組み付けられる「基台」です (赤色矢印)。光学硝子レンズの第2群が入っている「格納筒」が見えており、両サイドにカニ目溝が備わりますがレンチを使ってもビクとも動かず外すのを諦めました。

下手にチカラを加えても黄鋼製なので真円を維持しなくなったりすると厄介です・・何故ならこのネジ山は「ヘリコイド (メス側)」だからです (赤色矢印)。

3枚玉トリプレットなので冒頭解説のとおり一般的なオールドレンズでは「全群繰り出し/収納方式」なのでヘリコイド (オスメス) により繰り出しになりますが、このモデルは「前玉だけが繰り出し/収納する前玉回転式駆動」なので、この光学系第2群の直上に「ヘリコイドのネジ山が存在する」ワケです。従ってこのネジ山の勾配が光学系との関係性で切削されており、単なる前玉を締め付ける役目ではありませんね(笑)

ちなみに上の写真では過去メンテナンス時に内外を「反射防止黒色塗料」で塗り固められていましたが、総て溶剤を使い落としています。しかしちゃんと格納筒の縁部分とネジ山部分だけは「艶消し黒色のメッキ加工」が施されていたのが判明します (溶剤で除去できない/溶けない)。

↑「基台」ひっくり返して後玉側方向を撮りました (赤色矢印)。この光学系第2群の両凹レンズも周囲が過去メンテナンス時に「反射防止黒色塗料」で頑固に塗り固められていましたが、除去してみるとご覧のようにちゃんと製産時点で黒色に処置されています (敢えて着色する必要がありません)(笑)

↑前の工程で完成した「鏡筒」をセットしたところです (同じ向きのまま撮影しているので後玉側方向になります)。すると「基台」が裏側/下向きで写っていて「絞り環」が上に来ています (赤色矢印)。よ〜く観るとちゃんと10枚の絞り羽根がセットされていて顔出ししているのが見えています。

実はこの「絞り羽根が顔出ししている状態が完全開放状態」なのを理解して組み上げなければイケマセン。どうして絞り羽根が顔出ししているのにそれが正しいと明言できるのかと言えば「隠しネジの位置にピタリと合致するから」がその根拠です。

この絞り環には両サイドに「丸窓」が用意されていますが、これを最初は「ネジ穴」だと思い込んでしまい分解できなかったのです。おそらく過去メンテナンス時の整備者も同じように捉えていたようで、あ〜だこ〜だやってしまった痕跡が残っていました(笑)

このモデルは「隠しネジ方式」で全部で4本の締付ネジを使い基台と合体させる設計を採っていました。

↑再び同じ向きで撮影しているので後玉側方向を向いていますが、於いている角度は変わっており、ブルーの矢印で指し示した箇所に「締付ネジ」が入っていません(笑) 一つ前の工程でちゃんと両サイドに「締付ネジ」をネジ込んで基台と合体が終わっているのに、入っていないのです。

これがヒントになり「あぁ〜この円形の穴はネジ穴ではなくて円形窓なんだ!」(驚)・・全く以てスキルがどんだけ低いのかと言わんばかりのお話です (どうぞ笑ってヤッて下さいませ)(笑)

一つ前の工程で締め付けた「締付ネジ」は上の写真の赤色矢印の位置で内部にちゃんとネジ込みが終わっています。そしてもっと分かり易い話は「上の写真を見ると絞り羽根が閉じている」のがポイントです。

実はこの絞り羽根は「これ以上閉じる事ができない」ので、この閉じ具合が「最小絞り値f16」なのだと判明します。最初のほうに出ていた「位置決めキーの穴」も「開閉環」もどのように組み込もうが絞り羽根は上の写真よりも閉じる事ができません。

すると最小絞り値側のほうで「この丸窓と隠しネジの位置がピタリと合致するのは微調整機能を有していない証」と受け取られるので、その両端 (開放側と最小絞り値側) で固定位置は確定してしまうのが設計者の意図だったと容易に推定できてしまいます。

つまり「最小絞り値側が確定してしまった以上反対側の完全開放側も決定」と言うのが円形状に開閉動作する時の原理でもあります。「だからこそ絞り羽根が顔出ししていても完全開放状態なのだと明言できてしまった」次第です(笑)

・・このようにちゃんと根拠/理由があるのが内部構造であり設計そのモノです。

↑再びひっくり返して本来の前玉側方向で撮影しました。ちゃんと絞り環のローレット (滑り止め) の1箇所に「くさび形の赤色のマーカー」が刻印されています。当初バラす前の時点はこのマーカーは真っ直ぐの縦線状態でしたが、溶剤を拭うと落ちてしまい正しくはくさび形の刻印でした。こんな小さな事柄でも当方にしてみれば「オリジナルに戻す」一つの要素だったりします (どうでも良い話ですが)(笑)

ローレット (滑り止め) のギザギザ部分も昔家具専門店で職人から直伝された手法で経年の垢などを落としてあるのでキレイです (昔家具専門店に勤めていました)(笑) その時にいろいろ教えて頂いた清掃手法が今になって役に立っています(笑) まずは「掃除からヤレ!」と言われて工房の掃除をひたすらにしていましたが、そのうちに家具の表面の掃除を教えてもらえるようになりました。そもそもは売り場勤務だったので販売でしたが、社長に言われて職人の手が空いている時間は工房に行かされていました・・(笑) 当方がこう言う細かい作業が好きなのをちゃんと見抜いていた社長はさすがだと思いましたね (その一方で販売はからっきしダメ)(笑) 凡そ10年近く勤めましたが、そのうちのほとんどを「販売兼工房掃除係り」でした(笑) 退社する頃は出荷されていく、或いは売り場に出す数多くの家具の掃除までヤッていたのを思い出します。

一言に家具と言っても当時はまだまだ本格的な「ホンモノの家具」を売っていた時代なので、その表面の仕上げ方はバラバラです。間違えて/ミスッて洗浄剤でゴシゴシやってしまい「このやろぉ〜!」と職人/師匠にマジッで蹴飛ばされた事もありましたね(笑) そのクセ週末の夜になると自宅に呼ばれていろいろご馳走になりました (メチャクチャ料理が上手くて料理屋顔負けの味でした/師匠が料理します)(笑)・・懐かしいです。社長も来るから3人で夜明けまで飲んでも翌日にはシャキッとしてるから凄いです (当方はグデグデでダメ)(驚) 午前中寝かしたままにしてくれるので、しょっちゅう遅刻扱いで翌日の朝は販売部長に叱られてました (いつも説教の時に必ず出してくれる熱々のコーヒーがまた堪んない!)(笑)

↑基準「▲」マーカーのアルミテープ板をネジ止めします。するとご覧のように「開放f値f3.5」の遙か先に「くさび形赤色マーカー」が居ます。しかし前述のとおり「最小絞り値側が確定している以上開放側の停止位置も一切の変更ができない」ので、あんな赤色矢印の場所にマーカーが居ます(笑) これを過去メンテナンス時にはムリに位置合わせしようとした痕跡が残っていたので、いろいろなマーキングが残っていた次第です(笑)・・この点については当方は理由が分かったのでムリに位置合わせせずホッと一安心(笑)

↑いよいよクライマックスです。光学系第1群の前玉ですが黄鋼材の格納筒にモールドされているもののネジ山が切られていて「ヘリコイド (オス側)」です。その1箇所に切り欠きが入っています (グリーンの矢印)。

赤色矢印の部分もブルーの矢印の内壁も全て過去メンテナンス時には「反射防止黒色塗料」で塗ったくられていましたが、溶剤で除去してみるとご覧のように赤色矢印の箇所はちゃんと黒色のメッキ加工が施されているので、そもそも着色する必要がありませんね (溶剤で落とした後に当方の手による磨き研磨まで終わっているのにちゃんと黒色になっている)(笑)

・・ここがポイントで磨き研磨で何もかもピッカピカになるワケではありません(笑)

そもそも「磨き研磨」の工程を処置している目的が違うので、単にピッカピカにしている話ではありません(笑)

一方内壁のブルーの矢印で指し示した箇所は溶けて落ちたので製産時点もメッキを被せていなかった事になります。

↑今度は光学系第1群の前玉を真横から拡大撮影しました。するとヘリコイド (オス側) のネジ山には垂直の切り欠き (グリーンの矢印) の他にブルーの矢印で指し示している「スリット (一列分だけ切削されている)」まで用意されていて、金属加工に詳しい方がこれを見ればすぐにその理由が分かると思います (当方は何となく理解しています)。グリーンの矢印の切り欠きもブルーの矢印のスリットも、それぞれちゃんと意味があって製産時点に処置されているのです。

従って本来なら (製産時点なら) このヘリコイドに塗布する「黄褐色系グリース」の種別は決まっているのでしょうが、当方には存在しない種別なので仕方ありません。

↑前玉を無限遠位置のアタリを付けた場所でネジ込んで距離環をセットしました。この後は最後に後玉をネジ込んでから無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。

↑いつもならこの後は出品商品の解説に移るのですが、今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品は「2本のオールドレンズをセットで出品」なので、ここからは今度はRadionar 75mm/f4.5 《前期型》(akr)』のほうのオーバーホール工程解説です。

バラしてみれば内部構造や構成パーツはほぼ標準レンズ側と同一です・・が然し、同一であるが故にむしろヤバいのです (だって中望遠レンズですから)(笑)

↑標準レンズのほうでも登場していた距離環やマウント部が組み付けられる「基台」で、その仕様は「100%同一」です・・こちらのモデルは中望遠レンズなのにどうして同じなのでしょうか?(笑)

↑正しい組み立て手順の工程ではまだ上の写真の「格納筒」をセットしませんが (赤色矢印) 取り敢えず「基台」にたいしてこんな感じで格納筒がネジ込まれるのを撮影しています。

ちなみに「格納筒」の中には「光学系第2群第3群」しか格納されず、第1群の前玉は別ですし、外廻りには標準レンズ同様「ヘリコイド (メス側)」のネジ山が切削されています (標準レンズでは内側でしたが)。

↑この状態のままひっくり返すとこんな感じで後玉側方向から撮っています。「基台」と「格納筒」に対して光学系第3群の「後玉の格納箇所が用意されている」のが分かります (赤色矢印)。

↑標準レンズと同じように絞り環をセットしたところですが、ご覧のとおり「格納筒」の反対側は「光学系第2群の両凹レンズ格納箇所」になります (赤色矢印)・・つまり前玉は別と言う話です。

↑このモデルで唯一標準レンズとの違いと言えば「中望遠レンズは鏡胴が長い」のでこんな感じでマウント部直前にいろいろセットされます(笑)・・基台 (後列左)、マウント部 (後列右) に鏡胴 (前列左) と締付環 (前列右) です。

ちなみにこの個体は「前期型」なので「締付環だけが真鍮 (黄鋼) 」でシッカリした造りですが、他はアルミ合金材です。

↑「基台」に距離環の回転域を限定する「制限キー」を取り付けたところです (赤色矢印)。つまり距離環の回転する範囲は「一つしかない」ので微調整ができません・・∞刻印の停止位置を変更できない。

↑基準「▲」マーカーの環/リング/輪っかを締付ネジで締め付け固定しました。本来製産時点はこの黄鋼材に「マットな大柄の凹凸メッキ加工」が施されていたようですが、経年でボロボロに剥がれてしまい、黄鋼材が剥き出しなので磨いてしまいました。無垢の状態に戻っているのでこの後数年経てば再び褐色に酸化/腐食/錆びが進みます。

↑こちらはマウント部と鏡胴に締付環です。中望遠レンズなので光学系の光路長の関係からマウント部を延伸させる必要がありこのように鏡胴が備わります (赤色矢印)。

↑実際に光学系第2群の両凹レンズをセットしたところです。外廻りは「ヘリコイド (メス側)」ですね。

↑今度は後玉を撮影しました (赤色矢印)。ご覧のように「後玉の後に絞り羽根が剥き出しでセットされている」ワケですが、この上にマウント部が組み付けられるので「このモデルは絞り羽根が裸で後玉の次に配置される設計」と、まるでこの当時のオールドレンズの設計概念には一切合致していません(笑)・・ちゃんと隠しネジが丸窓の下に写っていて完全開放状態なのが分かります (絞り羽根が顔出ししているものの後玉には一切被っていない)。

これが最大のポイントで、この「akarette版Radionarシリーズ」では「ローレット (滑り止め) まで附随する絞り環丸ごとが共通パーツ化の設計」と言うのが現在のネット上の何処にも一切解説されていない「新事実」だったのです。

そしてもっと驚くべき事柄は、このモデルは「当時のSchneider-Kreuznach設計陣の意志に反して設計されている」事が判明したからです。その根拠がまさに上の写真で「絞り羽根が剥き出しで後付けできる設計になっていて、しかも共通パーツ化の設計概念」なので、この絞り環丸ごとがある時は標準レンズに組み込まれている話になります (逆も然り)。

だからこそ基台の先に光学系の格納筒を「敢えて黄鋼材で用意して焦点距離の違いに対処した設計」なのが分かります (つまり基台も共通パーツ化)・・黄鋼材の格納筒で焦点距離の違いをカバーしてしまった設計概念です。

そして極めつけが「前玉回転駆動方式による3枚玉トリプレット」と言う究極の光学設計に至ったワケで、これらの「共通パーツ化の構造から否応なく光学設計が限定されてしまった」のが判明した次第です (あくまでも当方がそのように結論づけているだけの話です)。

普通は「光学設計ありき」なので、光学系の設計をどんだけ追求するかで他の部位の設計が影響を受けて「諦めも致し方なし」と結論付けされるのが多いワケですが・・このモデルは真逆の設計思想だったのです(驚)

おそらくは当時のSchneider-Kreuznachの光学設計陣にすれば「こんなモデルはゲテモノ」扱いだったハズで(笑)、自分達のプライドからしてもこんな光学設計を通す/強要する経営陣に苛立ちを覚えていたのが目に浮かんできます(涙)

この「akarette版Radionarシリーズ」の主体は「共通パーツ化された基台と絞り環」であって、それをカバーするが為に「前玉を回転駆動させて光学設計を作らせた」苦肉の策だったのが浮かび上がります。

どのように考えても当時のSchneider-Kreuznachでこのような光学系が公然と通るハズがなく、その全ては「顧客企業たるAKA社側の意向」と言うのが推察できます。つまりAKAからの要求に従い製品化したモデルだったのではないでしょうか・・ロマンは広がります。

従って巷では「3枚玉トリプレット」と片付けられてしまいますが、そもそも前玉だけが移動する方式を一般的な「3枚玉トリプレット」の範疇に組み入れる事自体に当方は違和感を覚えます。この後のオーバーホール後の実写を観れば一目瞭然ですが「開放側数段先までの描写は前玉駆動方式の特徴そのモノ」の写り方です。しかもそれでいて他の光学メーカーが送り出した同じ設計概念のオールドレンズ達とは「明らかに写りが優れている」のが明白で、それはピント面の鋭さを観ればすぐに分かります。逆に言うなら他社光学メーカーが仕上げた「前玉回転駆動方式」の写りはもっとピント面が甘いのです。

別に基台も絞り環の機構部も丸ごとを「焦点距離別に専用に設計」すれば良いだけで、実際当時数多くのそのようなモデルをSchneider-Kreuznachは発売してきました (この後も発売している)。なのにどうしてこんな「ゲテモノ」的な光学系の設計で製品化してきたのでしょうか?

・・全てはAKA社の意向だったのではないか? とロマンは尽きませんねぇ〜(涙)

当時からして「異端児」だったハズの前玉回転式駆動を採り入れ、基台と絞り環の機構部を共通パーツ化してきた事でどんだけ工程を省きコスト削減に結びついたのかは想像できませんがその写りが顧客サイドからの要請とすれば、どんなに光学設計陣があ〜だこ〜だ抗議しようとも「客が金を払うと言っているんだから作れ!」みたいな経営陣からの鶴の一声が聞こえてきそうです(笑)

まぁ〜その辺は憶測のさらに憶測としても・・(笑)、詰まるところ1949年〜1961年の凡そ10年以上に渡って製産/出荷されていたワケで、これはこれで顧客ありきの姿の一つとも言えそうです(笑)

レンジファインダーカメラのボディ側が発売当時画期的だった (低価格だったから) ものの、まさか光学系を犠牲にしてまで内部構造を突き詰めた (あまり好ましくない意味で)(笑)・・とも言えそうな、何とも後味が悪い話になりましたが、そうは言っても吐き出すその写りは「さすがSchneider-Kreuznachだけあって違う!」と納得できる描写性です。

・・特に開放〜数段分のチラチラした滲み方が前玉駆動式の特徴的な要素。

と当方ではみています。如何でしょうか?

はたして貴方の目には「この光学系の設計/描写はあ〜だこ〜だ騒いだか
否か???」
どのように映るのでしょうか・・(笑)

そして1961年には倒産の憂き目を見てしまったこのAKA社の意気込みは、或いは製品達に込められた想いは如何ばかりだったのでしょうか?(涙)

・・オールドレンズはこうやってロマンにも溺れるから堪んない!(涙)

今夜もお酒が美味しいです・・(笑)

↑前玉も距離環も無限遠位置をチェックした上でシッカリ組み付けて、この後はマウント部をセットして無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑今回は標準レンズと中望遠レンズの2本をセットで出品するため、まずは標準レンズRadionar 50mm/f3.5 《後期型》(akr)』のほうから仕上がり状態を説明していきます。また両方とも仕様上の「最短撮影距離1m」なので、例えばマクロヘリコイド付マウントアダプタに装着したらどうなるか (ヘリコイドの5mmの繰り出しでどのくらい近接撮影できるのか?)、或いはエクステンションを併用するとさらにどれだけ近寄れるのか、その実写などと合わせて描写の使い勝手面を説明していきます。

なおこのモデルは後で解説する中望遠レンズも含め「全ての固定位置は1箇所しか適合しない設計」であるものの、その1箇所は例え完全解体できても明確に分かる設計ではない為、オーバーホール工程の中で逐一調べていった次第です。

例えば前玉の回転駆動方式もその黄鋼材に残っていた「イモネジの締め付け痕」を調べれば「3箇所なのに9箇所在る」或いは「11箇所在る」など過去メンテナンス時の締め付け位置が明確になるので、それらを一つずつ組み上げて調べれば自ずと「製産時点の締め付け位置が判明する」次第です(笑)

そんな手法を執り現状2本共に本来の製産時点と思しき設定で組み上げられているので、無限遠位置含めピント面も非常に鋭く「まさに3枚玉トリプレットの鋭さ」と同時に、Schneider-Kreuznachだからこその「写りの素晴らしさ」もご堪能頂けるよう仕上げています。

・・2本あればほぼ普段の撮影領域をカバーできるので是非ご検討下さいませ!

↑一つ前の写真を観ても分かるとおり「光学系にはコーティング層が蒸着されている」ワケですが、経年のカビの発生などによりコーティング層が相応に劣化しています。光に反射させた時、パッと見で「汚れている」ように見えますが経年劣化によるコーティング層のムラなので (一部はカビ繁殖による侵食など) 汚く見えても「光学系内を透過させて調べると薄いクモリすら見えない」透明度の高さが分かります。

とても光学系内の透明度が高い状態を維持しており、LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。経年並の拭きキズやヘアラインキズなどの他「気泡」も大小僅かに混入しています。

気泡
光学硝子材精製時に、適正な高温度帯に一定時間到達し続け維持していたことを示す「」と捉えていたので、当時の光学メーカーは正常品として「気泡」を含む個体を出荷していました (写真に影響なし)。

↑後群側もコーティング層が蒸着されていますが、特に酷い経年劣化に伴うハガレなどはなく総じてキレイな状況です。もちろんLED光照射で確認しても「スカッとクリア」です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

光に反射させて調べると蒸着してあるコーティング層の反射防止黒色塗料が確認できますが、前玉が「3つの反射光に光彩を放つ」のに対し後玉は「2つの反射光」です。汚く見えると説明した前玉も「ちゃんと薄緑色の反射」が視認できるので、汚く劣化したと言うよりもそもそもその色合いのコーティング層が蒸着してあったと受け取るほうが自然です(笑)

↑10枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り環操作にはクリック感などがない「無段階式 (実絞り)」ですし、開放側は「開放f値f3.5の遙か先」まで刻印マーカーが回って停止しますが、それが仕様です。

チェックすると「ちゃんと開放f値:f3.5位置で絞り羽根が前玉に被さり始める」ので適正と言うか、前述のとおり「調整が一切効かない設計」なのでそれも仕様と言うしかありません(笑)

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑距離環を回す時のトルク感はとても「ヘリコイド駆動」の心地良さがありません(笑) 何しろ前玉のネジ込みによる駆動なので、下手に粘性が硬いグリースを塗ってもダメなので (何しろ光学系格納筒の中での話なので) 経たな細工を一切していません。

従って褒め言葉でも「操作性が良い」とは言えませんが、取り敢えず軽めのトルク感で仕上がっています。またネジ山の仕様から (ネジ山に切り欠きとスリットがある) 独特な指への伝わり感になるので如何にもネジ山を回っている感触になります。時にはグリースが邪魔して、或いは切り欠きの抵抗/負荷/摩擦の分でグッと指に来ますが回していると消えています (そう言うのも含め全て仕様上の事です)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
 HAKUBA製MCレンズガード (新品)
本体『Radionar 50mm/f3.5 《後期型》(akr)』
akaretteマウント →L39マウント変換マウントアダプタ (新品)
汎用樹脂製ネジ込み式L39後キャップ (新品)
樹脂製代用被せ式前キャップ (中古品:輸送時保護用)

附属品として用意した「HAKUBA製MCレンズガード (新品)」はあくまでも附属させただけの意味合いで「このモデルのフィルター枠ネジ山が⌀ 31mm〜31.5mm (?)」と不明の為 (そのようなサイズのフィルターが現在市場流通していない)、テーピングしてネジ込めるようにしただけです。

従って何度もネジ込んでいると、或いは強くネジ込みすぎたりするとテーピングがすぐにヘタるので、その場合はご自分でテーピングし直して下さいませ (あくまでも急場凌ぎ程度の話です)。また代用としている (輸送時保護用) 被せ式の前キャップ中古品ですが、ただ入っているだけでシッカリした抵抗/負荷/摩擦を感じるレベルではありません。必要ならご自分で内張りして下さいませ。

のマウントアダプタ (akarette → L39) は海外オークションebayにて手に入れた自作品のようですが、80年前の旋盤機を使いこなしている職人さんの手による製造品です。akaretteマウント側のキーの位置がズレていたので当方で穴を空けて入れ直しています。

またこの標準レンズは「後期型」なので筐体のほとんどがアルミ合金材です。特に「マウントの締付環もアルミ合金材」なので、附属のマウントアダプタから外した後、次に装着する際「なかなか締付環のネジ山が咬み合わない」不都合が起きます。これも「そもそも締付環側にマチが用意されていない設計なのでアルミ合金材の締付環の場合どうしようもない」ので、ひたすらに上手く噛み合うよう反時計方向に回してからネジ込むようにして下さいませ (改善のしようがありません)。

この点についてはこのマウントアダプタの制作者に問い合わせて確認済ですので、実際に当方も手にしてイジってみて納得した次第です (マウントアダプタ側だけの問題ではなくオールドレンズ側の設計にもムリがある)。

↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品は「標準レンズと中望遠レンズの2本セット」なので、附属品も含めるとこんな感じです(笑)

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
 HAKUBA製MCレンズガード (新品)
本体『Radionar 50mm/f3.5 《後期型》(akr)』
akaretteマウント →L39マウント変換マウントアダプタ (新品)
汎用樹脂製ネジ込み式L39後キャップ (新品)
樹脂製代用被せ式前キャップ (中古品:輸送時保護用)
本体『Radionar 75mm/f4.5 《前期型》(akr)』
樹脂製代用被せ式後キャップ (中古品:輸送時保護用)
樹脂製代用被せ式前キャップ (中古品:輸送時保護用) 

標準レンズのほうはご落札後のお届けの際もマウントアダプタにネジ込んでセット済ですが、中望遠レンズを使う時は付け替える必要があります。中望遠レンズ側の締付環は真鍮 (黄鋼) 製なので装着時のネジ込みが楽です (マチもあるので容易にネジ込みスタートできる)。然し標準レンズの装着時は再び大変なのでご留意下さいませ(泣)

↑上の写真は今回の出品とは一切関係ありません (附属品に含まれていません) が、以下のオーバーホール後の実写で使うので取り敢えず解説しておきます。

 マクロヘリコイド付マウントアダプタ:
5mm分の繰り出し/収納が可能なローレット (滑り止め) を備える「LMSONY Eマウントアダプタ」なので、先に「LMLM変換リング」を取り付けてからそこに出品商品の附属品として含まれている「akaretteL39マウントアダプタ」をネジ込んで装着します。結構キッチリネジ込んでもちゃんと外せるので大丈夫だと思いますが、心配な人は僅かに潤滑油をネジ山に垂らすと良いでしょう (当方は垂らした事はありません)。

ちなみにこのようなマクロヘリコイド付マウントアダプタの商品で「無限遠位置に赤色の平形ロックボタンを装備」したタイプが流通しています。不用意にマクロのローレット (滑り止め) が動かないよう配慮したロックボタンなのですが (当方も所有している) 実はこのロックボタンの機構部が三脚や雲台に干渉してマクロヘリコイド部分/ローレット (滑り止め) が動かなくなってしまう事が起きました。

つまり三脚や雲台を選ぶ懸念があります。その一方で上の写真のマクロヘリコイド付マウントアダプタは、今度はヘリコイド部分が内側なので塗布してあるグリースが滲み出てきていると批判されています。つまりデジカメ一眼/ミラーレス一眼のマウント部内部、特に撮像素子面の一つ手前にセットされている「光学平面ガラス」に附着するとの懸念を心配し怖がる人達が多いのです。

実際当方所有の製品をチェックしても確かにヘリコイド (オスメス) にグリースが僅かに滲み出てきています。これはヘリコイド部なので何回この滲み出てきたグリースを拭き取っても「回しているウチに再び滲み出てくるのが原理」ですから、何度拭ってもきりがありません(笑)

ローレット (滑り止め) が干渉して動かせなくなるよりも撮像素子面にグリースが垂れるほうがよほどコワイと大騒ぎなワケですが(笑)、当方にすればヘリコイド (オスメス) のその仕組み/原理からしてグリースの滲み出しは当然な話であり、そうは言っても確かにこの製品に塗られているのはグリースと言うよりも「どちらかと言うと潤滑油の分類」なので、いつもの通り「白色系グリース」など塗らずに「黄褐色系グリース」をちゃんと塗布してあげれば、当方のオーバーホール同様7年くらいは滲み出しに耐えられると思います (今まで実際に回収して確認した記録から最大で当方のオーバーホール後7年経過で滲み出しが始まっていたから/7年の確認個体数は2個です/6年も1個で5年が3個/11年間で全部で7個回収確認しています)。

・・こういう回収個体は当方に連絡してくれる人が数人居たくらいでありがたいです(涙)

ご高齢になられてカメラを触らなくなったので、オークションなどで処分せず当方にお返ししたいと申し出てきたくれました(涙) もちろん当方自身が市場をチェックしていて発見し (過去に仕上げた個体だと分かり) 落札して取り戻した個体も数個ありました。全部で7本ですが、再び完全解体するとその当時が走馬灯のように蘇り、何とも懐かしく思います (ただ単に厳しい生活だっただけですが)(笑)

話を戻すと、もちろん塗布する量が多すぎれば同じ話です(笑) だからこそ「最低必要量だけを塗る」のが当方のいつものスタンスですが(笑)、きっとそんな事は誰にも理解されないでしょう・・しかもその為にワザワザ2〜3時間時間を費やして「磨き研磨」しているのですが (グリースの塗布量を最低限にしたいから) それも誰にも伝わらない話でしかありません(笑)

エクステンション10mmと16mm:
SONY Eマウント用の延長環/エクステンションで電子接点が備わっていますが相手がオールドレンズでは電子接点端子は機能しません。マウント部だけが金属製ですが他は樹脂製なのでそもそも造りが良くない製品です。合わせて装着時にガタつきも起き、リリースマーカーも赤色着色していないモデルなので時々間違って差し込んでしまい慌てます(怖) 取り敢えず使えれば良いかな程度の心積もりで所有しています(笑)

以前「Paxette版」のオールドレンズを出品する際に「なんちゃってマクロ」で疑似マクロ化した時に附属させていたエクステンションよりも品質が良くないです(笑) まだ附属させていたほうの製品のほうがまともでしたね (できるだけまともなのを附属させるので、どうしようもない製品ばかり手元に残る)(笑)

この次の実写で何をチェックするのかと言えば「仕様上の最短撮影距離1mよりも近接撮影したらどうなるのか?」を調べるのと、合わせてその時の描写性をお見せするのが狙いです。

ちなみに標準レンズRadionar 50mm/f3.5 《後期型》(akr)』にこれらマウントアダプタを装着すると・・・・、

(1) マクロヘリコイド付マウントアダプタ:最短撮影距離46cmまで近接撮影
(2) マクロヘリコイド付マウントアダプタ+10mmエクステンション:26cmまで近接
(3) さらに(2)に16mmエクステンションを追加装着:最短撮影距離20cmまで近接

・・という結果になりました。特に(1) のマクロヘリコイド付マウントアダプタではローレット (滑り止め) を回しただけで最大で「46cmまで近接可能」になるのは仕様が1mなので半分になるのが大変ありがたいです。

そして以下の実写でも解説しますが、被写体に近づくと言う事は「入射光量が増える」ので光量が増す分「明るさが確保できる」ことから画の全体の明るさが確保でき、且つ「ボケ量も増える」のがとても嬉しいのです・・当然ながら被写界深度はどんどん薄く/狭くなるので、まるでマクロレンズを使っているような写り方に変化しますから「なんちゃってマクロ」とか「疑似マクロ化」などと当方では呼称していた次第です (人気はありませんでしたが)(笑)

・・しかしご落札頂き使った方の感想はとても良かったです!(笑)

↑それではオーバーホール後の実写を順番に見ていきましょう。上の写真は当レンズによる最短撮影距離1m附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

ご覧のように「チカチカと (ある意味目障りな) 滲みがピント面や背景ボケにまで纏わり付く」写り方がこのような「前玉回転式駆動方式」での繰り出し/収納に於ける特徴的な写り方です。他のメーカーでも例えば同じ旧西ドイツのSteinheil München製標準レンズCassarit 50mm/f2.8 zebra《前期型》(M42)』も全く同じ「3枚玉トリプレット」ながら動いているのは前玉だけです(笑) 他にも旧西ドイツのISCO-GÖTTINGEN製標準レンズなどは3群4枚テッサー型WESTANAR 50mm/f2.8《Ⅰ型》(M42)』などにも見られます。

いずれもその写り具合を比較してしまったらまるで違いが分かってしまうので、今回はこの2本を仕上げて「おぉ〜、さすがSchneider-Kreuznachだけはある!」と変な関心の気持ちが表れたのが笑えます(笑)

↑上の写真は同じ標準レンズのまま完全開放状態ですが「マクロヘリコイドを回して5mm繰り出して撮影」したのでミニスタジオの被写体との距離は「46cm」に縮まっています! 当然ながら光学設計を逸脱した写りなので背景ボケの感じまで変わってしまうのが「同じ完全開放撮影なので堪んない!」と言う話で、しかも「チラチラ感が低減したものの残っているからそれがまた嬉しい!」と言う感想です(笑)

・・つまりたったの5mm繰り出しで世界は変わる!(笑)

ワケですョ(笑)・・如何ですか? しかもこの写りはまさに当方が大好きなSchneider-Kreuznachの写りです!(涙)

巷では無名メーカーと揶揄され、しかもレンジファインダーカメラ向けオールドレンズなので先ずは見向きもされず、さらに「開放f値f3.5」となれば魅力すらないと蔑まれるばかりですが、当方には上の写真を見てそんな気持ちは微塵も表れませんね(笑)

・・適度にボケたチラチラ感むしろ堪んない!

とまるでマクロヘリコイド付マウントアダプタが手放せません!(笑)

↑同じ標準レンズのままで5mmも繰り出したままですが、プラスして「10mmエクステンション」をケツに付け足しで装着しました(笑) するとこんな感じでトロットロになります。この時の実距離は「最短撮影距離26cm」での撮影です。「26cm」ですョ?!(笑)

仕様上1mの最短撮影距離がマクロヘリコイド付マウントアダプタとエクステンションの併用だけで (面倒くさい一般的なヘリコイド付マウントアダプタによる無限遠位置の微調整など一切無し)『ボケ味がもう少し欲しかったり明るく撮りたかったり、イエイエもっと純粋に近寄りたいだけでもサクッと直感的にすぐにパパッとできる』操作性/扱いの良さが味噌なのです!(涙)

↑最後はさらにブラスして「16mmのエクステンションまで装着/併用」すると・・こんな感じでまるでマクロレンズです(笑) この時の実距離は「最短撮影距離20cm」なのでここまでの説明で「徐々に寄れなくなっていく」のが分かります。当初の仕様上で1mだったのが半分以上短縮化されて46cmまで近寄れ、さらに26cmになるものの最後は20cm留まりです。

しかしその都度ご覧のように「明るさが増大」すると同時に「被写界深度は逆に狭くなり薄くなる一方」なのが分かります。しかもこのモデルはそもそもの光学設計が「前玉が移動するだけなので画角が変化するのが当たり前」なので、それをデメリットとするかむしろメリットとして最大限に活用してしまった結果がこんな話です(笑)

・・どうせ画角が変わるなら利用してしまう!(笑)

だからこそ被写界深度の薄くなる/狭くなるのが当然なエクステンション撮影なら、基の仕様上の光学性能すら今となってはもう分かり得ません (逆転発想ですね)(笑) いったいだれが上の写真を見て光学性能上の仕様上の画角の狭さを指摘できるでしょうか?(笑)

なんちゃってマクロ」や「疑似マクロ化」の愉しさってこう言う話なのですが、実際にヤフオク! に出品したらぜ〜んぜん靡かず(笑)、人気無しでやめちゃいました・・ (今現在は仕上げて出品していません)(笑)

・・ウケると思ったんですがねぇ〜、世の中厳しいです(涙)

まぁ〜10mmと16mmのエクステンションはともかく「5mm分のマクロヘリコイド付マウントアダプタ」の存在はヘリコイドを回さなければ単なるマウントアダプタ状態でそのままなので「ここは一つ!」と言う時だけサクッとローレット (滑り止め) を回せば良いだけでとても使い勝手が良いです!(笑)

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しました。オリジナルな仕様上の「最短撮影距離1m」での撮影です。まだチラチラとボケのエッジに纏わり付いているのが分かります。

↑そのまま「f4」のままでサクッとマクロヘリコイドを回して「最短撮影距離46cm」での撮影です。そのまま近寄れば良いので楽チンです(笑) どうですか? 心持ちピント面の鋭さに繊細感が増して当方などはもぉ〜堪りませんねぇ〜(笑)

↑同じf値「f4」のままでエクステンション10mmを装着し「26cmまで近接」です。

↑さらに16mmエクステンションまでセットで20cmまで近寄った「f4」撮影です。これが他の光学メーカーになると粗さまで表れるのでもぉ〜この写り具合を見ただけで「おぉ〜Schneiderちゃん!」と唸ってましたねぇ〜(笑)

↑同じように今度は設定絞り値「f5.6」で撮影し、1枚目がオリジナルの仕様上「最短撮影距離1m」になり、2枚目がマクロヘリコイド5mm分繰り出しの「46cmでの実距離撮影」さらに3枚目が10mmエクステンションで「26cm」に最後上の4枚目が16mmエクステンションまで装着して「20cmでのf5.6撮影」です(笑)

↑f値は「f8」まで上がっています。

↑f値「f11」での撮影ですが、そもそもオリジナルの仕様上の「最短撮影距離1m」時点での描写がたいしたレベルだと当方には見えてなりません・・褒めすぎでしょうか?(笑)

↑最小絞り値「f16」での写りです。

↑ここからはもう1本のオールドレンズ、中望遠レンズたるRadionar 75mm/f4.5 《前期型》(akr)』の解説です。鏡胴の基準「▲」マーカー部分を磨ききってしまい黄鋼材の無垢に仕上げていますが、数年で褐色に酸化/腐食/錆びが生じますからご留意下さいませ。磨かないと相当汚かったので (正直キモかった) 生理的に磨いてしまいました(笑)

↑こちらのモデルの蒸着コーティング層は「アンバー色の光彩」です。同様バラしても格納筒内部の過去メンテナンス時着色による「反射防止黒色塗料」のインク成分でクモリまくっていたので、ゴシゴシ落としています。「スカッとクリア」なのがウソのようです(笑)

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。経年相応の拭きキズやヘアラインキズの他にやはり「気泡」が購入していますが写真に影響しません。それほど大きな円形ボケが表出しないので混入している気泡が写り込みません。

↑問題の後玉もまるでウソのように全面に渡るクモリが除去できました。相当長い時間ゴシゴシしていましたね・・1時間ヤッタでしょうか(笑) もちろんコーティング層が剥がれたりしなかったのがラッキ〜でした。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。前群同様「スカッとクリア」なのが覗き込むだけでとっても嬉しいです (ッて言っても1時間のゴシゴシを知ってるのは当方だけですが)!

ご覧のように絞り羽根が剥き出しで外に露わになっているだけでもこんなオールドレンズを見た記憶がありませんから(笑)、何だかそれだけでも持っていたくなりますねぇ〜(笑) そしてこのモデルのピント面の凄さがハンパないのです!(驚) 冒頭でさんざん貶しまくってしまいましたが、ハッキリ言ってSchneider-Kreuznachだからここまでの鋭さに仕上げられたのではないでしょうか・・と勘ぐりたくなります。

・・はたしてこれで光学系設計陣は投げやりになっていたのだろうか?(笑)

もしかしたら当方の憶測の憶測が間違いで、ヘタしたら「意地を見せつけていたのかも知れない!」とちょっと怖くなるくらいのピント面です・・ご落札者様お一人様だけが知り得ますが、先の標準レンズのピントの山のピークが「まだかまだか?」なのに対し、この中望遠レンズのほうは距離環を回した途端に「ウゴッ!」とアッと言う間にピント合焦する気持ちの良さなので(笑)、結構この「スパッ!感」がクセになります。

↑10枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています・・と言っても中に入っている絞り羽根も機構部もまるで標準レンズのほうと100%同一のパーツなので、試しに取っ替え引っ替えしたらそのまま使えてしまいました(笑)

当然ながら最小絞り値「f16」の時の閉じ具合まで同じですから (焦点距離の違いによる閉じ具合の変化が起きない設計だから/だッて同じモノ/パーツだから) この点からして「光学設計のほうで変えて対応しただから前玉回転式を導入したのか?!」と気づいた次第です。

・・いえ、あくまでも光学知識が皆無な当方の憶測のさらに憶測です!(恥)

従って今回もしもこれら2本のうちの1本だけを扱っていたら、おそらくいまだに気づけなかったでしょう。たまたま2本が手元に届き (調達したんですが) 入れ替えが適ったので発見できた次第です。詰まるところ、当方が今回たまたま2本を手に入れたのでネット上で誰も指摘していないだけの話で、当然と言えば当然ですね (勝ち誇ったような言い回しで申し訳御座いませんでした)(恥)

↑前述のように標準レンズと同じで「前玉回転式駆動」なのでヘリコイドと言っても前玉のネジ込みも兼ねている為、使えるヘリコイドグリースが適合していません。「黄褐色系グリース」をちゃとん使いましたがトルク感は「軽め」と言うより擦れ感も多く如何にもネジ山が回っている感じの操作性です (使用上の問題でグリースの種別も手元に無く改善不可能です)。このモデルは特にピントの山がアッと言う間なのでさらに良かったような話です(笑)

また基準「▲」マーカーが刻印されている指標値環は無垢の黄鋼材にまでピッカピカに磨き上げていますが (キモかったので) 数年で褐色化して酸化/腐食/錆びに至ります。

一方鏡胴側も過去メンテナンス時に塗られていた黒色塗装がパリパリと細かく剥がれて手が面倒なので、同様ピッカピカに磨き上げてから「アルミ合金材シート」の艶消しブラックを貼っています。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です (但し中望遠レンズのほうの場合)。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
本体『Radionar 75mm/f4.5 《前期型》(akr)』
樹脂製代用被せ式後キャップ (中古品:輸送時保護用)
樹脂製代用被せ式前キャップ (中古品:輸送時保護用) 

↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品は「標準レンズと中望遠レンズの2本セット」なので、附属品も含めるとこんな感じです(笑)

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
 HAKUBA製MCレンズガード (新品)
本体『Radionar 50mm/f3.5 《後期型》(akr)』
akaretteマウント →L39マウント変換マウントアダプタ (新品)
汎用樹脂製ネジ込み式L39後キャップ (新品)
樹脂製代用被せ式前キャップ (中古品:輸送時保護用)
本体『Radionar 75mm/f4.5 《前期型》(akr)』
樹脂製代用被せ式後キャップ (中古品:輸送時保護用)
樹脂製代用被せ式前キャップ (中古品:輸送時保護用) 

標準レンズのほうはご落札後のお届けの際もマウントアダプタにネジ込んでセット済ですが、中望遠レンズを使う時は付け替える必要があります。中望遠レンズ側の締付環は真鍮 (黄鋼) 製なので装着時のネジ込みが楽です (マチもあるので容易にネジ込みスタートできる)。然し標準レンズの装着時は再び大変なのでご留意下さいませ(泣)

樹脂製のレンズキャップなどは全て中性洗剤で洗浄済なので経年の手垢も除去できていてキレイです。仮にお届け時に箱を開封した時に何か粉っぽかったりしても、それは汚れではなくそもそも樹脂製なので埃が付き易いだけの話です。

2本共にオーバーホール工程の中で解説したように「開放絞り値からだいぶ離れた位置に絞り環の刻印マーカーが来て停止する」のも仕様であり、設計からその位置を変更する事ができません (多少変更/微動できるのではなく一切位置を変更できない)。これは当方が完全解体していて、且つ内部構造の根拠を理解しているから明言できている話でどうにもなりません (当方の技術スキルレベルの話では決してないと言う意味)。

↑ここからは今度は中望遠レンズRadionar 75mm/f4.5 《前期型》(akr)』のほうのオーバーホール後の十種を各絞り値と最短撮影距離の変移の中で解説していきます。

上の写真は先ず一番最初にオリジナルの状態で仕様上の「最短撮影距離1m」での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

標準レンズと同じようにピント面も合わせて背景ボケまで「チリチリとした滲み方」をしているのが分かります。「前玉回転式駆動」の大きな特徴と言えるでしょうか。

↑この状態のまま (仕様上の最短撮影距離1mで距離環を停止したまま) 今度はマクロヘリコイド付マウントアダプタを装着して「ローレット (滑り止め) を5mm繰り出した状態」で撮りました。

ピント面の鋭さに変化は起きませんが光量が増えてボケ味が変わっています・・但し「チリチリした滲み方」そのまま低減しただけで確認できる状況です。この時「最短撮影距離65cm」に変化しているので「65cm」まで近寄って撮っています。

↑さらに今度は「距離環を仕様上の最短撮影距離1m」で停止したままマクロヘリコイド付マウントアダプタの5mm繰り出しをしたまま「10cmエクステンションを追加装着」しました。「最短撮影距離44cm」に変化しています。

↑最後の「16cmエクステンション装着」でダブルでエクステンションを付けている状況です。この時の「最短撮影距離34cm」なので、オリジナルの1mからするとだいぶ近寄っている印象です。

↑標準レンズの時と同じ順番で説明していますが、1枚目がオリジナルの仕様上「最短撮影距離1m」でのf値「f5.6」での撮影です。2枚目が5mm分繰り出した「最短撮影距離65cm」での実写で、3枚目が「44cm」最後の4枚目が「34cm」です。

↑今度は絞り環を回してf値「f8」での撮影です。1枚目が「1m」で2枚目が「65cm」に3枚目「44cm」最後4枚目が「34cm」です。

↑f値は「f11」まで上がっていますが、オリジナルの状態でもまだまだ純分な鋭いピント面と共に柔らかな背景ボケもステキです。

↑最小絞り値「f16」での撮影ですが、1枚目のオリジナルを見ても「回折現象」の影響を感じません。収差や周辺域の流れで酷いとの話しも聞きますが、当方にはそれほど酷い写りには見えません。むしろこのコンパクトさで中望遠レンズ域をやってしまって、これだけの描写を残せている事にオドロキです。特に中望遠レンズの同じ駆動方式のオールドレンズをチェックしていませんが、標準レンズで全く違ったのでおそらくは「Schneider-Kreuznachが造るとこうなる!」と目一杯褒めたくなる気持ちもきっとご理解頂けるのではないでしょうか。

後は手持ちでマクロヘリコイド付マウントアダプタを用意したり、さらにエクステンションなんかも10mmは相当使えるのではないかと思ったりします (マクロレンズでの撮影が好きな方は特に!)(笑)

別にお花や植物相手でなくても、例えば街中でもいいしお店での休憩時間にテーブルに運ばれたお料理や飲み物でもいいです。ちょっとしたシ〜ンでサクッと近寄れるのはやっぱりありがたいと思います。

特にマクロヘリコイド付マウントアダプタは「ローレット (滑り止め) の回転だけで5mmしか繰り出さない」のに、オリジナルの仕様上からほぼ半分に匹敵する距離まで被写体との距離を縮められるのは、イザッと言う時に撮影できると本当に嬉しいです!(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

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ここからはヤフオク! の出品ページ掲載用の写真貼り付けなので意味はありません。解説は上の説明で全て終わっています。