◎ Rodenstock (ローデンストック) Heligon 50mm/f1.9 zebra(M42)
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今回の掲載はオーバーホール/修理ご依頼分に関するご依頼者様や一般の方々へのご案内ですのでヤフオク! に出品している商品ではありません。
写真付解説のほうが分かり易いこともありますが、今回は当方での扱いが初めてのモデルだったので記録の意味合いもあり無料で掲載しています。
(オーバーホール/修理の全行程の写真掲載/解説は有料です)
オールドレンズの製造番号部分は画像編集ソフトで加工し消しています。
当方がオーバーホールを始めてからまもなく8年が経ちますが、今までに1本もRodenstock製オールドレンズを扱った経験がありません。その理由はたった一つ「高価だから」です(笑)
とても当方の生活状況では手を出せるオールドレンズではありません。
過去に扱いが無いにも拘わらず快くオーバーホール/修理をご依頼頂く方がいらっしゃり、何とお礼申し上げたら良いのかコトバがありません。このような貴重な機会を頂き本当にありがとう御座います! 感謝に堪えません・・(涙)
Rodenstockと言えば旧西ドイツの老舗メーカーですから思い浮かぶのはLeicaはともかく、Schneider-KreuznachやENNA-Werk、或いはISCO-GÖTTINGENなどですが、いずれのオールドレンズも内部構造は複雑で調整も難しくあまり関わりたくないのがホンネです(笑)
それでもそれらのオールドレンズをバラし始めるとたいていは「原理原則」に則った構造なので一つ一つのパーツを納得ずくでバラしていくことができます。ところが今回バラし始めると「???」が頭に浮かぶこと数知れず(笑)「何でここにイモネジが居るのョ!」「どうして ズラして固定してるの?」「外れないじゃん!(泣)」などなど、8年が経とうとしていてもこんなレベルなのかと自らの技術スキルの低さを嘆きながら作業に臨みました。下手にイモネジを片っ端に外していくと調整箇所が分からなくなりますし、ムリにチカラを入れて回そうものなら壊してしまいます。
久しぶりに「ホラー映画並みの恐怖感 (背筋凍る)」を味わうバラしになってしまいました(笑)
何のことはありません。初めて扱うが故に内部構造を知らないがために解体手順を誤ってバラしていたのです (逆に言えば組み立て手順が厳格なモデルとも言える)。バラしてみれば非常に理に適った設計で作られているモデルでしたが、その調整には「原理原則」との鬩ぎ合いの中で自らのスキルが試される「超難度モデル」でした・・このモデルは「半自動絞り」のオールドレンズです。
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Rodenstockは1877年にドイツのバイエルン州Würzburg (ヴュルツブルク) で行商人であったJosef Rodenstock (ヨゼフ・ローデンストック) 氏によって創業された眼鏡や光学製品のメーカーで、現在はミュンヘンに移転しています。
今回扱うモデルは1959年に発売された標準レンズ『Rodenstock-Heligon 50mm/f1.9 zebra (M42)』ですが製産台数は非常に少なく市場流通数は然ることながら価格も必然的に高額です。
上の写真はFlickriverで、このモデルの実写を検索した中から特徴的なものをピックアップしてみました (クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)。
◉ 一段目
左端からシャボン玉ボケ→円形ボケ→背景ボケへと変わっていく様を集めました。このモデルの特徴的なクセだと考えますがピント面のエッジは実は非常に繊細です。ところが明確に浮き出てくるので繊細感だけに留まらずリアル感までも演出してしまったような画造りになります。それはシャボン玉ボケが破綻して収差の影響から円形ボケに変わり、さらに溶けていくと「まるで二線ボケ」のような背景ボケが現れます。ところがこの写真 (右から2枚目) をよ〜く見るとちゃんと円形ボケが薄〜く表出したままなので決して二線ボケではありません。最後はトロトロに滲んでいきます。
このボケ味を知った時に鳥肌が立ちましたね・・素晴らしいです!
◉ 二段目
リアル感の表現性が高くなるとこのように人物写真が活き活きとしてきてまるでポートレートレンズでの撮影のように見えてしまいます。さらにオドロキなのが2枚目でこの低コントラストな被写体をキッチリ表現しきっているのがさすがです。明暗部を比較すれば如何にダイナミックレンジが広い光学系なのかがご理解頂けると思います。
それでいてちゃんと抑えどころはキッチリ濃淡を付けた発色性を持っているので決してナチュラル派ではないシッカリした色彩感覚がステキです (右から2枚目のおまわりさんの写真)。
一番右端のビーチ写真などを見れば徒者ならぬモデルであることが明白です。
ところで英国のおまわりさんは制帽が格好いいですッ! しかし左の方はちゃんと警棒持ってますが右の方は警棒ではなくバトンですか?(笑)
光学系は典型的な4群6枚のダブルガウス型です。筐体サイズに比して意外と小っちゃな光学系を実装していますが、いえいえそれでこんだけリアルで臨場感溢れる写真を撮れるんですからもの凄いモデルだと思いました (ダブルガウスだとバカにしてはイケマセン)。
今回のオーバーホール/修理でバラす前後の問題点を列記します。
【当初バラす前のチェック内容】
① 距離環を回すと無限遠位置「∞」の手前で突き当て停止 (位置ズレ)。
② 突き当て停止位置でも無限遠合焦がちょっと甘い印象 (僅かにアンダーインフか?)。
③ チャージレバーで開放にロックされない。
④ 絞り連動ピンが引っ込んだまま出てこなくなる。
⑤ ピント面が極僅かに甘い印象 (光路長不足か?)
⑥ 距離環を回すトルクが非常に重い (ピント合わせできない)。
【バラした後に確認できた内容】
⑦ 過去メンテナンスが1回だけ施されており白色系グリース塗布。
⑧ ヘリコイド以外にも至る箇所に白色系グリースを塗っている。
⑨ 白色系グリースは既に「濃いグレー状」に変質している。
⑩ 光学系各群のコーティング層経年劣化が相当進行している。
⑪ 絞り羽根開閉に係るチカラの伝達経路に問題あり。
こんな感じなので一応「正常品」として承りましたが相当重症のように思います・・。
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。当方ではバラして外したネジ類を入れるパーツケースを20個用意していますが、今回は20個全てを使い切ってしまいました(笑) ひたすらに「環 (リング/輪っか)」の集合体で (当たり前ですが)、且つその環一つ一つにイモネジ (ネジ頭が無くネジ部にいきなりマイナスの切り込みを入れたネジ種) が3本ずつ締め付け用に附随しています。
つまり全ての環がイモネジの存在から「要調整」になりますから、相当厄介なモデルです。
フツ〜にマイナスの皿ネジで固定する箇所は距離環とチャージレバーのツマミにマウント部だけと言う「これでもか!」的なイモネジの集合体です (イモネジを入れたパーツケース20個はさすが壮大な眺めです/作業スペースが無くなってしまったくらい)(笑)
↑絞りユニットや光学系前後群を格納する真鍮製の鏡筒 (ヘリコイド:オス側) です。このモデルではどう言うワケか「ヘリコイド部 (オスメス)」だけに真鍮材を使っています (他は全てアルミ合金材)。真鍮材同士のヘリコイド (オスメス) も問題がありますが、さらにヤバいのがアルミ合金材同士のネジ山 (オスメス) で噛んでしまう危険性がだいぶ高くなります (真鍮材よりもっと軟らかいから)。
製産時期が1959年ですから、普通にアルミ合金材で真鍮材をサンドイッチするヘリコイド (オスメス) で設計すれば良かったのに (当時既にアルミ合金材の切削加工技術が高くなっていたから)、どうして同じ材同士に拘って設計したのか意味不明です。
上の写真で内側が黒っぽくなっている箇所がありますが当方による「磨き研磨」を真鍮材に施していないのではなく (ちゃんと内側も全て磨き研磨しています) メッキ加工されています (従ってメッキを落とさないようにしている)。
↑9枚のフッ素加工が施されたシッカリした厚みの絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。
↑この状態で鏡筒 (ヘリコイド:オス側) を立てて撮影しました。ご覧のようにコイルばね (スプリング) が附随します。このスプリングは絞り羽根を「常に閉じようとするチカラ」を及ぼす為に用意されています。
↑ヘリコイド (オスメス) 用のベース環 (真鍮製) です。上の写真の内側にやはり黒っぽい箇所が残っていますが、実は「焦茶色」です。前述のとおり鏡筒 (ヘリコイド:オス側) の内側はメッキ加工されていましたが、こちらはメッキではなく「純粋に真鍮材が経年劣化で酸化してしまった焦茶色」です。
従ってバラした後に洗浄しても真鍮材は上の写真のように黄金色に光り輝いておらず全体が「焦茶色」です。当方による「磨き研磨」を施したが故に光り輝いていますが、これはピッカピカにキレイに輝かせる目的で処置しているワケではありません(笑) 必要外の抵抗/負荷/摩擦を可能な限り除去し「製産時点のような平滑性を取り戻す」のが最大の目的です。
そうは言ってもこの「磨き研磨」だけで毎回2時間はかかりますから (もちろん両手は真っ黒) なかなかハードな作業です。
↑ヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込み増す。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。
↑鏡筒 (ヘリコイド:オス側) をやはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルでは全部で9箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。
鏡筒 (ヘリコイド:オス側) の外側に飛び出しているのは後から付けた「開閉アーム」です。
ヘリコイド部 (オスメス) はこれで完成しましたが、実はこのモデルは一般的なオールドレンズとは異なりヘリコイドの動き方が違う設計です。つまりヘリコイド (メス側) を収納した時に鏡筒 (ヘリコイド:オス側) は繰り出している「逆のネジ切り」がヘリコイドにされています。従って無限遠位置のアタリ付けは当然逆のパターンになりますし、そもそも前述のとおりヘリコイド (メス側) を最後までネジ込むと無限遠合焦しなくなるのでいったいどの位置が無限遠位置で、最短撮影距離位置なのかの「原理原則」がここで試されるワケです(笑)
残念ながら過去メンテナンス者はこのヘリコイド (オスメス) ネジ込み位置をミスっており、これが影響して結果的に無限遠合焦が甘い (アンダーインフ) 仕上がりに堕ちていました (冒頭問題点②)。
↑こちらは距離環やマウント部が組み付けられるアルミ合金材の基台です。
↑まずは基台の内側に「絞り環用連係環」を組み付けますが、ここが第2のポイントで下からグルグルとネジ込んでいくワケですがどの位置までネジ込めば良いのか (鏡筒に干渉しないか/チャージレバーの動きに影響しないか) の判断が必要になります。ここも単にネジ込み位置を覚えていれば良いワケではなく「原理原則」に則り停止位置を判断しなければイケマセン。
↑「絞り環用連係環」をセットした状態で内部を撮影しました。この環の中に既に「鋼球ボール+スプリング」が組み込まれており適切なクリック感を伴う操作性に調整も終わっています。つまり2つの環 (リング/輪っか) をこの工程でイモネジで締め付け固定しているワケですが調整をミスると絞り環操作が硬くなりますし軽すぎると今度はチャージレバーが動かなくなります。どうしてチャージレバーにまで影響を来すのかは既に「原理原則」の話になっているのでここでは解説しません。
↑チャージレバーの環 (リング/輪っか) にツマミをネジ止めしてからセットします。もちろんこの状態で無抵抗のままスルスルと回転しなければ意味がありません。つまり一つ前の工程で「絞り環用連係環」の固定位置が適切でない限りチャージレバーは無抵抗で回りません。
↑さらに「絞り環用連係環」に今度は「絞り環用ベース環」を取り付けます。何でイチイチ別にパーツを用意しているのかは分かりませんが(笑)、ギザギザ部分が備わっているのがポイントです (何故ギザギザがあるのかを既に理解していなければダメと言う意味)。従ってこの「絞り環用ベース環」さえも位置調整が必要です。
↑ようやくヘリコイド部をセットできました。もちろんこの状態で既にチャージレバーと鏡筒から飛び出ている「開閉アーム」が互いに連係し駆動するようになっています。
↑指標値環をやはりイモネジ3本で締め付け固定しますが、イモネジを使う以上固定位置の調整が必要で決まった場所に締め付け固定するように用意されていません。つまり「原理原則」に則った適切な固定位置があります (それ故前述の絞り環用ベース環との間に隙間が空いている)。
逆に言えば、どんなに指標値環の固定位置が正しくても「絞り環用ベース環/チャージレバー」の固定位置をミスっていれば絞り環も軽い操作性で動きませんしチャージレバーは途中で停止してしまいます。
↑光学系前後群を組み付けます。どう言うワケか光学系後群側の締め付け環には一切「カニ目溝」が用意されていませんから専用工具でシッカリと締め付け固定します。実は当初バラした際に過去メンテナンス時に締め付けが甘かったので当初バラす前の実写チェックでピント面が甘い印象だった原因のようです (冒頭問題点の⑤)。
↑すべての締め付け環に「カニ目溝」を用意すれば良いのに何故か第2群のみ備わっています。逆に言うと「カニ目溝の有無」の相違から必然的にピンと来ない人はこのモデルの光学系を清掃することすらできないでしょう (何故なら甘いピント面に墜としてしまうから)。過去のメンテナンス者がまさしくそういう人だったようです(笑)
↑こちらはマウント部内部の写真ですが、既に各構成パーツを取り外して当方による「磨き研磨」を施しています。当初バラした時はこの内部にまで「濃いグレー状」に変質してしまった過去メンテナンス時に塗布された白色系グリースが塗られていました。
↑さて、出てきました。このモデルの3番目のポイントです。マウント部内部に使われている「棒バネ (2種類)」です。まだ「磨き研磨」する前なので一部にサビが出ています。実は過去メンテナンス時に塗布した白色系グリースのせいで (濃いグレー状に変質していたため) 棒バネのチカラが既に弱っています。冒頭問題点③と④、⑪の原因が全てこの「棒バネの弱り」です。
↑外していた各構成パーツも個別に「磨き研磨」を施し組み付けます。マウント面から飛び出る「絞り連動ピン」に対しチャージレバーの動きで絞り連動ピンをロックする「ロックカム」が附随します。
↑「棒バネ2本 (赤色矢印)」を拡大撮影しました。上の写真下方向がマウント面なので絞り連動ピンが飛び出ていますが、絞り連動ピンに反発力を与えているのが左側の「棒バネ」です。また右側棒バネはロックカムのセット時にチカラを及ぼしています。
何と絞り連動ピンの反発力は棒ばねの戻るチカラだけだったのですね(笑) これをスプリングのチカラで戻すよう設計してくれればまだもう少し耐用年数を稼げたかも知れませんが、残念ながら棒バネは既に弱り切っており改善処置を施しましたがこれ以上チカラを強くできません。
一方ロックカム側の棒バネはまだまだ元気いっぱいなのですが、これを弱めても絞り連動ピンの戻るチカラはそのままですから意味がありません。
実は途中で絞り連動ピンにスプリングを填めてしまおうと考え用意したのですが、残念ながらマウント側の壁にスプリングが入る余地が一切無くダメでした (内壁を削らないとダメ)。従ってオリジナルのまま棒バネによるチカラで絞り連動ピン駆動させるしか方法がありません。申し訳御座いません・・。
↑ようやく「絞り環」を組み込めます。ご覧のとおりピタリと絞り値と一致していますね(笑) このブログをご覧頂いている皆さんは当たり前だと仰るでしょうが、実は当初バラす前はズレていました (クリック感と指標値とのズレもあり)。これが「原理原則」に則って工程を進めていればピタリと全てが合致してくる恐ろしいワザです(笑)
↑距離環はご覧のように3分割になりますが、過去メンテナンス者はこのことに気がついていなかったようです。単にバラバラになるのではなく、ちゃんと理由があって3分割なのです。
旧西ドイツの光学メーカー製オールドレンズに多く採用されている考え方ですが「無限遠位置の調整と微調整の2つを装備している」ために大凡の無限遠位置を調整してから微調整する目的で3分割です。
従ってここの調整もミスっていたので (おそらく何も調整しないまま組み付けた) 当初バラす前のチェックで無限遠位置がズレていましたし、そもそも突き当て停止が「∞の手前」でした (冒頭問題点の①と②)(笑)
↑完成した距離環を仮止めしてから無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。
ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。
↑当方では自前でゼッタイに入手できない (そんなお金無いから) 手を合わせて拝んでしまいそうなモデル『Rodenstock-Heligon 50mm/f1.9 zebra (M42)』です。
チャージレバーでロックされる (開放にセットされる) 駆動は「出来る時とできない時がある」仕上がりです。完璧にロックできるよう調整したかったのですが、残念ながらマウント部内部の「棒バネ」経年劣化が原因してこれ以上改善できません。もしもご納得頂けない場合はご請求額より「減額申請」にて必要額分減額下さいませ。申し訳御座いません・・。
同様に手動絞り (実絞り) で絞り羽根を開閉できますが最小絞り値側で時々動きが緩慢になることがあります。これはチャージレバー側に装備しているコイルばね (スプリング) の経年劣化から来ている問題ですので、こちらもこれ以上改善できません (これ以上処置してしまうとチャージレバーが途中で止まる為)。申し訳御座いません・・。
従ってこの個体は内部のスプリングと棒バネの経年劣化進行に拠り「限りなく製品寿命に近づいている状態」と言えるので、敢えてスプリングや棒バネにムリな処置 (いわゆる常套手段) を施しませんでした。そのような処置を施した場合、次のメンテナンス時にはもう方策が無く製品寿命に至ります。今回常套手段を使わなかったので、次のメンテナンス時には半自動機構の概念要素を完全除去してしまえば手動絞り (実絞り) オンリーとして使う可能性を余地として残しています (但し相応に内部の改修は必要になります)。
つまりは「スプリングと棒バネ次第」と言う状況なのですが、以上踏まえご納得頂けない場合はいろいろと減額下さいませ。本当に申し訳御座いません・・。
↑光学系内の透明度が高くなりました。当初バラす前の時点で各群の硝子レンズにあった汚れ状のモノは全て完全除去できています (一部カビ除去も完了)。
↑光学系内のコーティング層は成分の問題なのか不明ですがコーティング層の経年劣化が進行しており表層面が平滑ではなくなっています。おそらく長い期間白色系グリースによる経年の揮発油成分がコーティング層を侵し続けたのだと推測しますが、これは当方では改善できません (硝子研磨設備とコーティング層蒸着設備が必要)。申し訳御座いません・・。
↑絞り羽根は最小絞り値「f16」に閉じる際に時々緩慢な動きになります。
↑塗布したヘリコイドグリースは黄褐色系グリースの「粘性:中程度と軽め」を使い分けて塗布しています。距離環を回すトルクは「全域に渡って完璧に均一」でトルク感は「普通」人により「軽め」の印象になります。このモデルはピントの山が掴みにくいので (エッジが繊細なので) ワザと敢えてピント合わせ時は軽めのトルク感に仕上げています。
また絞り環操作もチャージレバーとの連係動作が影響するのでワザと軽めのクリック感に変更しました (当初は硬め)。すべては特にマウント部内部の「棒バネ」にこれ以上負担を掛けさせない為の処置です。申し訳御座いません・・。
↑筐体外装は刻印指標値の白色/黄色が洗浄時に褪色したため当方にて着色しています。また光学系第3群のコバ端が剥がれていたので (少々目立つ感じ) 当方にてコバ端着色しています。もちろん後群側の締め付けもキッチリ行ったので当初と比べてピント面の鋭さが向上したように思います (もちろん透明度が上がっていますが)。但しそうは言っても点キズやヘアラインキズなどはそのまま残っています。
無限遠位置 (当初バラす前の位置から調整/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
無限遠位置は当初アンダーインフでしたのでオーバーインフに調整しました (冒頭問題点②)。
当初の距離環を回す重いトルク感からすれば「ウソのような軽さ」に変わりましたが、如何せん絞り羽根開閉の問題/チャージレバーの問題などが改善できていません。申し訳御座いません・・。
↑当レンズによる最短撮影距離60cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
↑最小絞り値「f16」です。長き間お待たせしてしまい申し訳御座いませんでした。今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。