◆ FUJI PHOTO FILM CO. (富士フイルム) FUJINON 55mm/f2.2《前期型:総金属製》(M42)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産の
FUJICA製標準レンズ・・・・、
『FUJINON 55mm/f2.2《前期型:総金属製》(M42)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた11年前からの累計で当時のFUJICA製標準レンズ「55mm/f2.2」の括りで捉えると累計で72本目にあたりますが、今回扱った個体「前期型」だけでカウントすると48本目です。
そして「まだかまだか・・!」と待ち侘びている人がとても多い「前期型の総金属製」個体となると、今回出品する個体は累計で10本目にあたります。前回この「総金属製」を出品したのが2022年11月なので今年に入ってからの栄えある1本目みたいな話です(笑)
このモデルの市場動向はほぼ毎日必ずチェックしていますし、例えばヤフオク!では常時40本前後の出品本数で推移しています。そんな市場流通の状況で今回扱った「前期型:総金属製」の出現は年間で1本〜4本レベルですが、実は当方がこのモデルバリエーションの中に「総金属製モデルが顕在する」ことを知ったのは2020年でした(笑)
逆に言うなら2012年〜2019年までの8年間その存在すら知らなかったのです。もっと言うなら2019年に最後にこのモデルを扱った時の累計本数が「36本目」だったのでちょうど半分であり、昨年までの3年間で8年分の本数36本をさらに扱ってしまったと言う状況です(驚) 要はその倍以上の数を扱ってしまった3年間で「10本の総金属製を含んでいた」次第です。
累計で10本目の扱いにあたる今回の個体は「前期型:総金属製」でも、その中で今回初めて現れたバージョンである事も判明しました。
オーバーホールの為に完全解体していくと、実は溶剤で洗浄した時に「製産時に被せられたメッキ加工の塗色がより鮮明に浮き上がる」ので、そのメッキ加工の基本成分 (色) を時系列的な目安に捉えるのもモデル・バリエーションを判定する上での一つの手法です。
例えば黒色鏡胴のオールドレンズだとしても「その濃い黒色にメッキ加工されるのは黒色が基本成分ではない」事を意味し、それは「濃い紫色を基本成分とした黒色」だったり「濃い緑色」或いは「濃い青色」と大きく分けるとこの3色に集約し、もっと言うならこのような話は「日本だけではなく旧東西ドイツやフランス他各国のメッキ塗色に対して同じ話が該当する」とも言えます。
実際今回の個体を完全解体した際に溶剤洗浄した時、部位別にメッキ塗色の基本成分が違っていて「フィルター枠は濃い紫色なのに筐体外装は濃い青色の成分」と2色だったりしました (もちろん溶剤が蒸発して乾くと全く同一の黒色にしか視認できない)。
さらにこの事象は何と当時のFUJICA製オールドレンズ全てのモデルに該当する話で、どうして部位別にメッキ加工の基本成分 (色) が異なるのかその理由を知りません。もしかするとその色成分が違う部位は外注品だったのかも知れませんが、金属加工に携わる方なら詳しいのかも知れません (過去取材時に失念していて質問していない)。或いは推測の域を出ませんが、一部の部位だけは残っている在庫品を可能な限り流用していたのかも知れません (全て使い果たした時点で新規の外注品でメッキ塗色成分を揃えたのかも知れない)。
そしてもう一つ言える話があり、溶剤を使ってメッキ加工の色成分を確認した時「濃い紫色」の筐体外装を含んでいた個体の多くは「その内部構造や構成パーツの一部もワリと初期の頃の設計」に集約される事実を掴んでいます (但しこの話は当時のFUJICA製オールドレンズに限定した内容)。後のほうに製産出荷された個体と思しきモデルバリエーションをバラすと「多くは濃い青色のメッキ塗色成分に集約されている」のがこの当時のFUJICA製オールドレンズの状況です (あくまでも当方が今まで扱った個体での話)。
しかし大変興味深く感じたのは「それら総金属製の個体10本で刻印製造番号に一つの法則性を見出せた」点です!(驚)
その集約された法則性とは製造番号の・・・・、
「先頭2桁が或る特定の番号+3桁目の刻印数値は0・1・3・4+残り3桁だけがシリアル値」
・・・・の規則正しい並び方でした (このモデルの場合の刻印製造番号は全6桁の数値表記)。
先頭2桁が或る特定の数値でまとまっているのに、どうして刻印製造番号の3桁目に「2や他の数値」が入らないのでしょうか?
例えばこの下の解説で「製造番号先頭2桁の集まり」を調査した時の一覧を貼り付けていますが、その中の「95番と96番だけは3桁目が7しか入っていない」と言う状況なのも掴んでいます。仮にもしもそれを単なるシリアル値の中で「たまたまその番号のタイミングで3桁目に7が来ていただけの話し」とするなら、例えば「先頭番号:92番の3桁目が8」だったりするので、たまたまそのタイミングでの製産時点符番が7だったとする仮説は成り立ちません (先頭番号92番の3桁目は2・6・8しかない)。
・・まるでコンピューターの思考回路的な話なので調査を一旦終了(笑)
こういう話を考え始めると目眩が始まりそうです(笑) 従って当方はこのブログでも何回も宣言していますが「当方は製造番号に対して信用をおいていない」次第で、それは必ずしも全ての桁数でシリアル値との信憑性を担保できないからです。或いは確かに右側の幾つかの桁数は「シリアル値を採る」確率が非常に高いものの、ではいったいそれが何桁のシリアル値なのかまで確定できません(泣)
この前、当方を名指しでケチョンケチョンに貶めていたサイトの話でも「10万台の製造番号の存在」をその根拠として当方を攻撃していましたが、当の本人たる当方自身が「その10万台スタートの製造番号をシリアル値の累積結果として信用していない」ので、全く話が咬みあいません(笑) 逆に言うなら10万台までの累積でシリアル値として管理していた証拠を示してほしいくらいです(笑)
・・全く以て濡れ衣的な貶め方で「当方ではそれを指して冤罪と捉えている」次第です(涙)
以前金属加工会社を取材した時に社長さんにお話し頂いた「計画製産」の概念 (簡単に解説頂きました/ありがとう御座いました!) を倣う限り、その真逆の概念たる相当数の桁数に及ぶ完全シリアル値での製産体制は、例え大企業だとしても相応のリスクを背負う覚悟が必要とのことでした(怖) それは特に1980年代以降の光学製品市場で日本と言えども時代の潮流に逆らえなかった事実に鑑みるにつけ、より具体性のある説得力を増します。まさにその良い例が当時の旧東西ドイツでのシリアル値管理であり、巨大企業化した旧東ドイツのCarl Zeiss Jenaでさえ「製造番号割当制」を積極的に採り入れ、複数工場での並行生産で市場からの要求に可能な限り俊敏に対応せざるを得なかったのが納得できます。
つまり製造番号には「完全なシリアル値化」と「番号符番のタイミングが生産前なのか後なのか」の2点に於いて、知る限りどこのネット上サイトでもその証拠が掲示されていません。もっと言うならこの2つの問題について「製造番号の前後で新旧モデルバリエーションが入り乱れている事実の解説を誰も試みない」点で、当方を貶める所為自体がナンセンスとしか言いようがありませんね(笑)
・・だから当方は製造番号 (の全ての桁) にその信憑性を担保していません。
そもそもこのようにオールドレンズの内部構造から捉える手法で物言うサイトが今までに存在しなかったので、イザッそういうサイトが出現すると「ウザいヤツ!」と四方八方から集中砲火を食らうのを今ヒシヒシと感じ入っているところです(涙)
もっと言うならみなさんが全ての根拠として重宝する過去の写真月刊誌での特集記事なども、その時本当に完全解体して研究を進めていたのかについて誰も言及していません。一方で光学系の構成図も、ではどうして特許申請書の構成図と「現物をバラして計測した時のカタチや計測値が全く違うのか?」と思考を巡らすと、先の金属会社社長さんのご指摘どおり「製産ラインに乗る量産化モデルではまた話が違う」らしく、それも特許出願時と実際に量産化したライン上での「市場流通を目的とした製品」とではその矛先が別モノであるのも、よ〜く理解できました。
そのような細々した事柄を逐一考えていくと「ならばどうしてバラして特集記事を組まなかったのか?」との想いが強くなる一方で、そこに裏腹に「守秘義務」が必ず纏わり付くので、何でもかんでも完全解体して逐一解説できない (現実に携わってきた人達の苦悩) も見え隠れし、それを勘付かれないよう編集者が工夫して世に知らしめていたとも考えられ・・いったい何を信じれば良いのか?との思いしか残りません(涙)
特に当時の特集記事となれば、その掲載刊がどんだけ信用度の高い書籍でも「現状の流通品相手では表現の自由が武器にはできない」とも言え、それを引用元として神棚に据える思考回路にも当方は着いていけない輩です(笑)
・・だから頭の悪い当方は自分でバラして観て触るしか納得できないタチ(笑)
先般ちょうど何処ぞの議員が「サルがやることだ」「蛮族の行為で野蛮だ」などと発言していて呆れるのを通り越して「これが今の日本の政治家の質なのか?」とその選挙区を抱えている同県人として甚だ憤りを感じると共に、言い知れぬ恥ずかしさに溺れているところです(恥) 先般の国会に出席しない議員もそうですが、こういう人を政治家として選出してしまっている、どうしてそういう票の入れ方ができるのかと、それら政治家の問題以前に有権者の認識についても今一度の啓蒙が必要な時代に入ったのかと、ある意味愕然としています(涙)
まるで同じ事柄を同じタイミングでルーチンとして何の疑いも感じずにやっている事を罵っているような話に聞こえ、飛躍的に言えば「桜の季切に桜の下で宴を催すお花見」も貶されているような思いになってしまいます(泣) すると当方などは自分の手と指で認知しない限り納得できないとなれば「サルがヤルこと」と同じで「蛮族の行為で野蛮」の結論づけに至り、とても人として扱われない/受け入れられないと罵られているような気持ちです(笑) そしてそれらに反論すると「名誉棄損で恫喝してくる」ワケで・・・・、
・・さすが政治家ともなれば高貴な方々でとても尊い存在なのだと今さらながら知りました。
クダラナイ余談はさておき(笑)、三種の神器ではありませんが、そのように神奉るが如く必ず引用すべく当時の写真月刊誌/特集記事を崇むにしても、はたしてその対象とするオールドレンズの内部はどうなっているのか「内部構造が確認できているのか?」まで合わせて解説願えると、頭の悪い当方でも反省し納得できるよう変わると思います (勝手を言い申し訳御座いません)。
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左の一覧表はこのモデル『FUJINON 55mm/f2.2 (M42)』の製造番号をネット上で調べられる写真などから可能な限りチェックして240本のサンプルから集計してまとめた一覧です。
当時の富士フイルムはオールドレンズの製造番号先頭2桁に何かの暗号を割り当てていたようで、製造番号がシリアル値で増えていく法則を執っていません。逆に言うなら本来のシリアル値は下4桁だけなので、必然的に先頭2桁に何らかの意味合いを持たせないと「9999」の下4桁で (つまり0000〜9999の1万本) MAXに到達してしまいます。
例えば上の一覧の中で 色で塗りつぶしてある「後期型−I〜後期型−II」の製造番号先頭2桁をみると、84番以降はある程度かたまって集中的に生産出荷していたのが伺えますが、その一方で50番〜73番までは相当バラバラに製造番号先頭2桁を割り当てていた事が (憶測レベルを脱しませんが) 推測できます。
そして現実的にこれら「後期型−I〜後期型−II」を完全解体でバラしていくと「金属製の鏡筒 (つまり金属製のヘリコイドオス側)」の個体もあれば「エンジニアリング・プラスチック製の樹脂製鏡筒 (同様樹脂製のヘリコイドオス側ネジ山)」と言う、大きく2種類の鏡筒が現れます。
この時、前出の金属製鏡筒はそれまでの「数多くの前期型モデルバリエーションと同じ金属製鏡筒」を使っているのが掴めているので、そのヘリコイド (オスメス) のネジ山数、及び勾配は100%同一になります。
ところが同じ「後期型」の括りなのに「樹脂製鏡筒」になるとそもそも前玉の固定方式が別次元で「単にハメ込んでフィルター枠で上から押して固定しているだけの設計」なので、経年でどうしても内部に「揮発油成分が侵入してしまう」因果関係に至ります。実際数多くの「後期型モデルバリエーション個体」をバラしましたが「後期型−II」のほうは100%の率で間違いなく前玉裏面側はヒタヒタ状態で経年の揮発油成分が附着しています。
そして同時にそれら個体のヘリコイド (オスメス) を完全解体した際にチェックすると「やはり99%の率で白色系グリースが過去メンテナンス時に塗布されている」と言う高確率の整備状況でした。当然ながら塗布しているグリースが「白色系グリース」なので経年による揮発油成分の発生状況は「黄褐色系グリース」を使っている場合の比になりません。
例えば以前取材させて頂いた金属加工会社の社長さんから伺った話では「白色系グリースの場合下手すれば経年劣化に伴う揮発油成分の量は黄褐色系グリースの経年劣化に比べて2倍〜3倍の量に至る」との事なので、確かに成分や基剤に添加剤などの違いにも拠りますが、概ね「白色系グリースの場合のほうが圧倒的にヒタヒタの揮発油成分が多く生じる状況」なのをご教授頂きました。
従って当方がオーバーホール済でヤフオク! 出品する場合の「後期型−I〜後期型−II」モデルバリエーションは必ず「黄褐色系グリース」で仕上げており、特に経年による光学系鏡筒内部への揮発油成分侵入を可能な限り防いで組み上げている/仕上げている次第です (当方から後期型タイプをご落札頂いた皆様はご安心下さいませ)。
↑さらに一つ前の一覧の色分け/着色と、今までに判明している個別のモデルバリエーションに沿った製造番号先頭2桁の本数を「00番〜99番までの間で概要をまとめた一覧」が上の表になります。
例として見方を説明すると、例えば製造番号先頭2桁が「24番と25番は初期型の区分け」でモデルバリエーションを括っており、上の概要一覧で「❶ 初期型」の着色で分かるように説明しています (ちゃんと一つ前の一覧にも同じ着色で色分けしている)。
またその他のモデルバリエーション「前期型−I」或いは「後期型−I〜後期型−II」はそれぞれの着色の中で製造番号先頭2桁が当てはまりますが、実は一部に「重複/混在」が顕在しました。
この「重複/混在」の意味とは、例えば「前期型−Iの製造番号先頭2桁なのにその番号で後期型−Iが存在していた」或いはその逆も在ったりと法則に則っていない番号が顕在したのです (完全解体して構造の相違を見て知っているので辻褄が合わない)。
そのような「重複/混在」が100個ある製造番号先頭2桁の中で上記一覧のとおり「9個の番号で起きていた」ワケで、且つまだ空白の着色していない製造番号先頭2桁が「34個も残っている」状況からしてどう考えてもシリアル値として製産符番管理していなかった事が明白になった次第です。
なおそれら「重複/混在」の番号については当方と同業者たる『転売屋/転売ヤー』による狙い撃ちを回避する意味から敢えて一切の告知をしません (メールで問い合わせしてきても誰一人ご案内できません)。
《モデルバリエーション》
※オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。
初期型:
製造番号:24xxxx〜25xxxx
プラスティック製:フィルター枠台座/距離環/指標値環/絞り環
金属製:フィルター枠ネジ部/マウント部
距離環指標値:印刷 (アルミプレート板に印刷)
距離環成形材質:エンジニアリング・プラスチック製 (金属製芯材)
鏡筒及びヘリコイド (オス側):金属製
前期型-I:
製造番号:12xxxx〜49xxxx
プラスティック製:レンズ銘板/距離環/指標値環/絞り環など様々
金属製:フィルター枠/マウント部など様々
距離環指標値:印刷 (アルミプレート板に印刷)
距離環成形材質:エンジニアリング・プラスティック材 (金属製芯材)
鏡筒及びヘリコイド (オス側):金属製
前期型−II 〜 前期型−VI:
製造番号:現在検証中
プラスティック製:距離環/指標値環/絞り環など様々
金属製:フィルター枠/マウント部など様々
距離環指標値:印刷 (アルミプレート板に印刷)/刻印もあり
距離環成形材質:エンジニアリング・プラスティック材 (金属製芯材)
鏡筒及びヘリコイド (オス側):金属製
※総金属製が含まれる「前期型」にその特定を一切明示しません (業者の狙い撃ち回避の為)
後期型−I 〜 後期型−II:
製造番号:50xxxx〜97xxxx
プラスティック製:距離環/指標値環/絞り環
金属製:フィルター枠/マウント部
距離環指標値:直接刻印
距離環成形材質:エンジニアリング・プラスティック材のみ
鏡筒及びヘリコイド (オス側):金属製
《モデルバリエーション概要説明》
❶ 初期型
「初期型」はマウント部だけが金属製で他の筐体外装パーツは全てがエンジニアリング・プラスチック製です。大分類で分けると「初期型は前期型の一つ」になり、要は「前期型−I」の区分たる「レンズ銘板がエンジニアリング・プラスチック製/遮光環が金属製」に沿っています。
❷ 前期型−I
このタイプが市場流通数が最も多い「ヒビ割れが起きている個体」です。全部で47種類の製造番号先頭2桁が顕在するのを確認済です。
❸ 前期型−II
今回のモデルバリエーション区分けで唯一の「総金属製」であり、製造番号の割り当てが一つしかありませんが当方の同業者たる『転売屋/転売ヤー』の狙い撃ちに合うので敢えてワザと故意に具体的な番号を一切告知しません。市場出現率はほぼ年間数本レベルです (多くても4本)。
❹ 前期型−III
「距離環」が金属製になるタイプでやはり年間で数本しか出回りません。合わせてフィルター枠やマウント部も金属製ですが、レンズ銘板に指標値環や絞り環はエンジニアリング・プラスチック製です。
❺ 前期型−IV
こちらは「指標値環」が金属製で、一つ前と同様やはり年間で数本しか出回りません。合わせてフィルター枠やマウント部も金属製ですが、レンズ銘板と距離環に絞り環がエンジニアリング・プラスチック製です。
❻ 前期型−V
「距離環と指標値環が金属製」と言うタイプで年間の出現率は「ほぼ1本レベル」で下手すると「総金属製」よりも少ないです。合わせてフィルター枠やマウント部も金属製ですが、レンズ銘板と絞り環はエンジニアリング・プラスチック製です。
❼ 前期型−VI
さらに上記に今度は「レンズ銘板まで金属製」に変わっているタイプで、こちらは今までに1本しか手に入れられていません。逆に言うと「金属製のレンズ銘板をセットしているタイプはこのモデルしか顕在しない」或いは「総金属製ですらレンズ銘板だけはエンジニアリング・プラスチック製」なので、厳密には総金属製とは呼べないかも知れませんが、レンズ銘板にこだわる方がほぼ居ないので「総金属製」と分かり易く区分けしています。
❽ 後期型−I
ここからのタイプがモデルバリエーション上の純然たる「後期型」分類に入り、その外見上の見分け方は前述のとおり「レンズ銘板と遮光環が一体成形」のエンジニアリング・プラスティック製です。但し鏡筒が金属製のタイプを「後期型-I」としており、完全解体しなければ判明しませんが (外見だけで判定不可能)「前玉がネジ込み式で固定される」ので光学硝子レンズの経年劣化面に於いて安心です。但し個体数はやはり年間で数本レベルですが判定のしようがないのでなかなか手に入れられません。
❾ 後期型−II
このタイプが「後期型」の分類上は最も市場流通数が多く前述の「後期型-I」と共に見分ける事ができずに流通しています。このタイプが初めて「鏡筒をエンジニアリング・プラスチック製に変更」している為、合わせてヘリコイドオス側ネジ山も勾配から使用まで全て変わってしまい特異なグリースの塗布が必須になります。但し現実には市場流通個体で「白色系グリース」以外が塗布されていた個体をまだ発見していませんから、多くの個体で内部は揮発油成分で相当液化が進んでいます。当然ながら光学系第1群 (前玉) の縁部分やフィルター枠裏面は「経年の液化成分でヒタヒタ状態」なのがほぼ96%の確立で起きています (当方扱い数の範疇での記録データから計算)。
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↑当時のFUJICA (富士フイルム) が「M42マウント規格」を採用した一眼レフ (フィルム) カメラを初めて発売したのが1970年で「ST701」からスタートしますが (上写真左)、1972年の「ST801」発売に合わせ「M42マウント規格を踏襲しつつも開放測光機能を付加した独自マウント規格」を採った為に、従来広く巷で「Pマウント」と呼称されていた「PRAKTICA (プラクチカ) ネジ込み式マウント規格 (つまりM42マウント規格のこと)」或いは単に当時の旭光学工業製の「PENTAXネジ込み式マウント規格」といずれも頭文字「P」をとって呼んでいたところに その完全互換性から逸脱しています。
逆に言うなら既に1970年時点で世界規模で「M42マウント規格」が陳腐化していたとも指摘でき、日本も「バヨネットマウント規格への移行期」に瀕していた時期とも受け取れます。
◉ バヨネットマウント
レンズ側マウント部の爪とカメラボディ側マウント部の爪が互いに噛み合いロックする方式
ちなみに当時のFUJICAでは1978年発売の一眼レフ (フィルム) カメラ「ST605II」が実質的に「最後のM42マウント規格モデル」になり翌年1979年から「AXバヨネットマウント規格」へと移行しています。然し既に時遅く事業性の低下からついに1985年に戦後1947年から培ってきた一眼レフ (フィルム) カメラの開発/製産から撤退してしまいました(涙)
次に富士フイルムが光学製品の歴史に再び舞い戻りあたかもまるで降臨の如くデジカメ一眼/ミラーレス一眼たる栄光の「FUJIFILM Xシリーズ」で再起を図った2011年を待つ必要がありました。そして今現在はむしろ光学製品に特化せずに世界規模で医療分野に於いてその存在感と貢献を示す企業に生まれ変わり、何十層にも及ぶフィルム印画紙積層開発の技術革新が、今となっては医療分野でも応用できたのかどうかはド素人故によく分かりませんが、本当にニッポン人としてこれほど誇り高い想いはありませんね・・。
このモデルは当時のFUJICA (富士フイルム) から1976年に発売されたフィルムカメラ「ST605シリーズ」用セットレンズとして登場したのが初めてです。
しかし当時の同社製一眼レフ (フィルム) カメラ「ST701/ST801/ST901」の各取扱説明書を見ても、オプション交換レンズ群一覧にこのモデルの記載がありません。
一方海外で発売された「ST601 (日本未発売)」取扱説明書には左図のとおりセットレンズ銘に当モデルの記載があるので、ST601発売年度である1976年登場と言う結論に達します。
なお、当方は基本的に「極度のカメラ音痴」であり「光学知識も疎く」ここで述べている事柄
/内容はその多くに信憑性を伴わず、且つ当方自身の思い込みなども影響してネット上の様々なサイトとの比較には値しない事を事前に告知しておきます (それら比較元サイトのほうを正として捉えて下さいませ)。
従ってこのブログをご覧になりご不満や不快感を抱いた場合は平に附してお詫び申し上げますが、誹謗中傷メールを送信してくることだけはどうかご勘弁下さいませ。
ウソを拡散するような考えなど一切なく、合わせてヤフオク! での出品についても決して詐欺的商法など執る気持ちはなく、どのようなクレームにも必ず対応させて頂く所存です。
そしてこのブログも決してヤフオク! での出品商品を高く売らんが為に煽る目的で掲載しておらず、むしろ純粋にヤフオク! のようなオークションで単にご落札頂くよりも、さらに楽しくそのオールドレンズの素性を知る事ができる事を目指して、その目的にのみ限定してこのブログを添えている次第です (その他の他意は御座いません)。
今このブログをご覧頂いている皆様も、何かご指摘事項が御座いましたら以下までお知らせ下さいませ。
ご指摘事項は・・・・
出品者のひとりごと・・・・pakira3kara@pakira3.sakura.ne.jp
までお知らせ下さいませ。
・・即座に改善/訂正致します。お手数おかけする事になり本当に申し訳御座いません。
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↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。
◉ 一段目
今回は少し趣向を変えて当方が気に入った実写だけを集めてみました。左端から大変美しい真円でエッジがとても細い繊細なシャボン玉ボケの表出をピックアップしていますが、標準レンズなのでそもそもシャボン玉ボケの大きさが期待値ほど大きくありませんが、それでもこれだけ繊細で真円を維持したシャボン玉ボケを複数並べられるのは国産オールドレンズの中でもそれほど多くありません。
たいていの場合で画の中心領域では凡そ真円を維持していても周辺域にかけて歪な円形ボケへと崩れてしまう光学系の設計が多い中で、このモデルでのシャボン玉ボケの表出は非常に安定しています。
その意味で比較するなら彼の火付け役たる (大変有名になってしまった) 旧東ドイツはMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズの標準レンズ「Triopplan 50mm/f2.9 V」に於けるシャボン玉ボケも、確かに今となってはまるで始祖みたいな位置付けの光学メーカーですから当然の如く表出しますが、その「表現の幅」はむしろこちらの「FUJINON 55mm/f2.2」のほうが上ではないかと捉えています。
それは純粋にTrioplanが3枚玉トリプレット型構成に対し、こちらのFUJINONが4枚玉だからと光学硝子レンズの枚数が1枚多い点を指して断言することはできません。重要なのはおそらく「光のコントロール」なのでしょうから光学設計の内容とその結果に拠るのだと思います。
それは2枚目の白黒写真を観てもカラーと違わない質を維持できている点からもカラー成分だけに偏らない裏打ちとも受け取れます。また光の角度によっては3枚目や右端のようなダイナミックさを表現できそうな写真まで残せてしまいます。
そしてもっと言うなら、おそらくはこの当時のオールドレンズのモデルでシャボン玉ボケが表出するのは、決してそれを狙って光学系の設計に何かの要素を附加したのではなく、全く別の要素を狙っていながら現れてしまった「むしろ当時は邪魔扱いされていた収差の範疇でしか捉えられていなかった」点に最後は想いを馳せてしまいます(涙) 半世紀前後の年数を経てそれら醜悪な収差がむしろ愉しむ方向性の一部として受け入れられている事実を知ったら、当時の光学設計者の方々はどのように思うのでしょうか・・(涙)
それはそれでこだわりを以て追い求め、自分の人生はとても充実していたと達成感を語るのか、或いはそう言う未来が訪れるなら、もっと自由に設計できたのにと、逆の意味で新たな使命感に再び燃え上がるのか(笑)、感想を是非とも聞いてみたいと思ってしまいますね(笑)
◉ 二段目
さらに左端の写真を観て一番最初に頭を過ったのが「ガルガンチュア (映画インターステラーに登場する超巨大ブラックホール)」だったりするので(笑)、まるで「芸術性の追求」のようにも見えてしまい単純にシャボン玉ボケ、或いは円形ボケや収差ボケと言いくるめられない新鮮な感動を覚えます。そこにカラー成分が憑き纏えば2枚目や3枚目のように印象派的な要素まで採り入れるのも苦になりません。もしもストーリー性まで汲んだ写真を残したければ右端のような「妖精が木の枝に座っている可愛い写真」まで対応してしまう愉しさがこのオールドレンズには在ると信じています。
◉ 三段目
この段では特に収差にこだわらず直感的なピント面の印象を表す実写としてピックアップしています。最短撮影距離が60cmなので、はたしてここまで近接撮影で拡大して撮れるのか疑わしい処ですが(笑)、おそらくエクステンションなりヘリコイド付マウントアダプタなどで繰り出し量を増やして「さらに近寄って撮っている」と推察します。もしも仮にそのような手法を執って撮影したのだとしても、これだけの質でアップ写真を残せるのは「時代に取り残されていったチープな廉価版モデル」と片付ける気持ちにすらなりません。
だいたいこの当時のオールドレンズ達を等倍干渉して中心部がどうのこうのとか、周辺域の収差が少なく端正であ〜だこ〜だとか議論する気持ちが湧きませんが(笑)『むしろオールドレンズだからこその収差があるから楽しめる』との想いが強い分、端正な写りをするモデルだけをピックアップして「銘玉」と騒ぐ気持ちもありません(笑)
その意味で言うなら、確かにいつの時代も「ライカだけは最上位」だとしても「然しそれが総てではない」からこそのオールドレンズではないかと強い拘りがあったりします(笑) 詰まるところ・・当方には銘玉も廉価版モデルも五感で反応しなければまるで一緒と言う結論です(笑)
そのような目線で観ると、実はこの段の4枚の実写はなかなか頷いてしまうレベルをキープしていて、収差云々を追求する気持ちは微塵も無く、逆にその発色性とグラデーションの豊かさに被写体の材質感や素材感を写し込む質感表現能力の高さが「結果としてリアル感を残す」との思考回路なので(笑)、例え白色の花弁だとしてもその質感がちゃんと表されなければどんな銘玉の写真も五感で反応しません(笑)
この四段目のピックアップで言うなら2枚目の「白色の花弁」と3枚目の「真っ赤な花びら」の質感表現に、その豊かなグラデーションでこのモデルのポテンシャルを感じ取った次第です。右端の写真では発色性と共に誇張感さえちゃんと与えてくれる「光沢感」すら感じ取れ、これを単に白飛びと貶すよりも「その箇所だけで判断せず画のバランスとして観てみたらどうなの?」と言いたいです(笑)
◉ 四段目
この段が当方にはまるでツボ状態ですが(笑)、左端の「水墨画なのか?!!!(驚)」と言いたくなるほどに、乱れまくりの収差の中で繊細なエッジを残す撮影手法/スキルが凄いと素直に感動したのを付け加えておきます (それを写せているこのモデルのキャパの広さ)。2枚目もそうです。質感さえ感じるほどの木枠の背景は「ひたすらに乱れきった円形ボケ」と言う素晴らしい写真です・・これをこのレベルで写せてしまうのがこのモデルの愉しさではないのかとも思いますね。
そして右側2枚でもぉ〜ノックアウトです(笑) 当方はこういう「優しさ一杯の写真に弱い」です。ひいて言うなら3枚目の写真は、おそらく光学系内の薄いクモリの影響を多分に受けてしまっている写り具合に見えますが(泣)、右端の写真の優しさ表現はこのモデルの光学系の性格からではないでしょうか・・素晴らしい。
◉ 五段目
この段も当方の琴線をくすぐるヤバい写真達です(笑) 光の具合も然ることながら「この空気感が残る写り」に圧倒されます。左端の実写ではイエローの壁面とその前の道にプラスして陽射しの印象というその3つの要素に「空気感を感じる微かなボケ感」が伴うのが堪らないのです (バイクの運転手さん、せっかくピースしてくれてるのにゴメンナサイ)(笑)
同じように感動しまくったのは2枚目の写真の画廊/展覧会場の「床」であって・・これもスミマセン絵画ではないんです(笑) 何故なら右の壁に掛かっている絵画のピント面 (の鋭さ) に比例して、どう言うワケか実距離が適合していないハズの「左側の床面の上の空気が見えてしまう」というボケ具合の印象でしょうか。すると3枚目の写真も同じでピント面の芝生に纏わり付くような「重い空気感」に釘付けだったワケです(笑) 右端の実写は空気感ではなく「ピ〜カンでこれだけリアル感を残せているのが感動」と言う話です。左側の川面のキラキラが白飛びしすぎと貶すよりも、むしろ上空のタップリと水分を含んだ流れゆく雨雲の感じとの対比で「むしろリアル感を増している」のがステキなのであって、ある意味撮影スキルの高さすら感じます・・そもそもキラキラにフリンジが浮いているので確かにたいした光学性能ではないのかも知れませんが、当方にはそんなのお構いなしです(笑)
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光学系は4群4枚のフジノン型構成で独自の設計でもあります。ネット上の某有名処での解説では「Speedic型」或いは「Unar型」と案内されていますが、当方の考察ではそのいずれの光学系構成にも適合しないと判断し、最終的に「唯一無二のフジノン型構成」と結論しています。
その理由の一つは右構成図の 色で着色した「光学系第1群の前玉直下に絞りユニットを配置」と合わせて「 色着色第4群の後玉は今までに扱った全ての個体で (モデルバリエーションに関係なく) 内側の凸曲率が外側露出面の曲率よりも高い両凸レンズ」である点を確認済だからです。
・・つまりネット上サイト掲載の光学系構成図とは根本的に当方のトレース図は別モノです。
↑上の写真 (4枚) は以前扱った「前期型」個体のオーバーホールに際し、完全解体でバラした時に取り出した光学系各群を順に解説している写真です。ネット上の某有名処の案内と異なる考察や構成図を掲載しているので、敢えてその証拠として実装されている光学系の光学硝子レンズを1枚ずつ並べて撮影しています。
光学系第1群 (前玉) は、ご覧のように金属製格納筒にモールド一体成形で造られています。また第2群〜第3群 (上の構成図で 着色した光学硝子レンズ) は互いに積み重ね式で光学系後群用格納筒の中にパラッと落とし込みで格納する手法を採っており (個別に締付環で締め付け固定されていない)、且つ互いに接触面を有する設計で造られています (上の写真右2枚)。
すると第2群〜第3群の間に「空気レンズ ( 着色領域のこと)」を備えた光学設計であることが一目瞭然です (空気レンズを介在させる事で色収差まで含めた収差改善を狙っている)。最後の第4群 (後玉) をセットした後に「ようやく締付環で締め付け固定できる」ので、特にこの第2群〜第3群の光学硝子レンズコバ端に過去メンテナンス時に「反射防止黒色塗料」が厚塗りされていると「光学系後群用格納筒の内壁との干渉で抵抗/負荷/摩擦が増大し確実に最後まで格納されない光路長異常」が生じ甘いピント面に至るとも指摘できます。
それは後で写真でお目にかけますが、光学系後群用格納筒もその内外が「マットで微細な凹凸を伴う梨地メッキ加工仕上げ」が施されている為、過去メンテナンス時に「反射防止黒色塗料」が塗られているとそれだけで抵抗/負荷/摩擦が増大してしまうからです。
実際今回扱った個体も当初バラした時に「反射防止黒色塗料が塗られていた」事が確認できており、且つ光学系後群用格納筒の内壁に残っていたスジ痕をチェックすると「極僅かに重ね合わせができていなかった/空気レンズ領域が拡大していた」のを確認済です(笑)
・・当然ながら当初バラす前の実写チェック時に僅かに甘い印象のピント面だった(笑)
なお右構成図は過去に扱った「初期型」のトレース図で、同様オーバーホール時に完全解体した際、光学系の清掃時に当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての群の光学硝子レンズを計測したトレース図です。
同じ4群4枚フジノン型としても、そもそも光学系各群の設計が別モノなので「初期型」を出荷後に何かの理由で「再設計」し、しかも「筐体外装まで全取り替え/再設計」と言う少々当時にしても珍しいバリエーション変更を執っています。
前述の「前期型〜後期型」共通光学系構成図の説明同様 着色の前玉の次に絞りユニットが配置されるもののその距離が僅かに空いていたのが分かります。その関係もあり第2群の曲率も違っていて、当然ながら最後の後玉のサイズや厚みも別モノです(驚)
このモデル『FUJINON 55mm/f2.2 (M42)』のモデルバリエーションを捉えるなら「前期型と後期型に二分される」と認識するのが最も簡単です。ところが現実は「初期型」から存在していて「前期型」を経て最終モデルたる「後期型」へと変遷し消滅します。当方が2016年辺りからこのモデルを完全解体してオーバーホールしていくと、その総数72本の中で本当に数多くのモデルバリエーションに分かれていた事が判明しました。
↑上の写真 (3枚) は、左から「初期型/前期型/後期型」のモデルバリエーションをパッと見で判定するための「最も簡単な目安」を明示している解説写真です。分類上はレンズ銘板と遮光環との材質の違い (レンズ銘板がエンジニアリング・プラスチック製で遮光環が金属製) として捉えるのが大分類になるとすれば「初期型も前期型の一つ」で同じパターンになります。
ところが「後期型」だけはレンズ銘板と遮光環部分がモールド一体成形のエンジニアリング・プラスチック製なので (金属製パーツが一つも介在しない) 外見上一つのモデルバリエーションにしか見えません。ところがこのタイプの (内部で使っている) 鏡筒は「金属製とエンジニアリング・プラスチック製の2種類が顕在している」ことを掴んでいるので外見から判定を下す事ができません。
そして何よりも内部で使っているグリースが「白色系グリース」だった場合、或いは潤滑油が注入されていたりするとこの「後期型」は下手すれば「前玉がハメ込み式 (ネジ込み式ではない)」だったりするので、当然ながら1年〜数年で揮発油成分が生じてヒタヒタ状態に陥りアッと言う間に光学系光学硝子レンズのコーティング層が劣化します (白濁が進行していくので薄いクモリが生じて清掃しても除去できない)。
従って先ず以て市場流通している個体の本当に多くに「光学硝子レンズに薄いクモリが生じているのが当たり前の状況」です。さらに筐体外装の特に「距離環ローレット (滑り止め)」と「指標値環のイモネジ用の穴部分」にヒビ割れや破断/欠損が生じてしまっている個体も意外に多く流通しています。例えばヒビ割れ箇所をエポキシ系接着剤などで固定すると、今度は別の箇所が収縮の影響で再びヒビ割れする為、結果的に次から次へとボロボロに割れていきます。
↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『FUJINON 55mm/f2.2《前期型:総金属製》(M42)』のページをご参照下さいませ。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わりました。このモデルの場合『光学系内の状態確認が120%の勢いで必須項目!』と断言できるほどに相当ヤバい劣化状況なのが現在の市場動向の特徴とも言えます・・その中にあって出品個体はとにかく「スカッとクリア!」と言いたいところですが、実は「LED光照射で視認できるコーティング層の汚れ状が後玉中央付近に在る」状況です。「汚れ状に見える」と言っても、おそらく非常に薄い微細な擦れにも見えます (10mm長の2mm幅) が、何しろLED光照射での話なので正直なところよく見えません(笑)
「スカッとクリア!」とだけ明記してしまうとLED光照射した時に薄〜く何かある・・と言われてしまうので表記できないだけの話です。順光では以下の写真のようにまず見えないので、視認するには必ずLED光照射か光に翳すのが必要です。そして例えば玉ボケなどにその汚れ状が写り込んでしまうのかと問われれば「写り込みません」と明言できるレベルの、やはり微細な擦れだと思いますね(笑)
しかしハッキリ言ってこのモデルの特に後玉に関しては「9割方の個体で薄いクモリが生じているのが現実」なので「総金属製で後玉までクリアを保証しろ!」となれば、年間で僅か1本〜3本しか入手できないレベルの個体には相当厳しい条件になってしまいます(涙)
↑上の写真はこのモデル3つの個体から取り出したマウント部内部で使われている「捻りバネ」2種類並べています。❶〜❻までの3セットのうち「ちゃんと製産時点を維持しているカタチなのは1セットのみ」ですが何番でしょうか?(笑)
↑答えは簡単で❺と❻です2種類の「捻りバネ」なので、このようにカタチや線径が異なります。ところが他の2セットは誠に酷い状況です(泣)
実は今回の個体のマウント部内部にセットされていた「捻りバネ」は❶と❸でした。❶はグリーンの矢印で指し示した箇所がラジオペンチなどを使って極僅かに曲げられています。こうする事で経年で弱ってしまった「捻りバネのチカラを補強する/復元する」意味合いがありますが、当方ではこれらの所為を「ごまかしの整備」と呼称して嫌っています。
他に❷はグリーンの矢印の箇所で極端に曲げられています。この曲げ方はラジオペンチで一気にチカラを加え、且つ曲げる角度まで決めた上で処置している「相応にこのモデルの整備に手慣れている整備者の所為」と言えます。
また❸はまとめている円形状の箇所で反対側に突出する分の羽根材をグリーンラインの部分でカットしてしまいました(涙) ❹も両方のグリーンのライン部分を切り取っています。
結局これらの「捻りバネ」の役目は、マウント部内部でマウント面から飛び出ている絞り連動ピンの押し込み動作に反応して、その押し込まれたチカラを倍増させ鏡筒内部の絞りユニットから伸びている「開閉アームを操作するチカラに変換」する時のチカラの増幅が役目です。
従ってこの当時の特に「M42マウント自動絞り方式のオールドレンズ」に於いては、マウント面から飛び出ている絞り連動ピンの押し込み動作で一気に絞り羽根を設定絞り値まで瞬時に閉じさせるチカラとしてこの捻りバネが効果を発揮しています。
そして2種類のカタチと線径が存在する理由は「1個の捻りバネが常に絞り羽根を開こうとするチカラを及ぼす」のに対し「もう1個の捻りバネは常に絞り羽根を閉じるチカラを及ぼす」という相反するチカラの作用を強化しています。
↑上の写真はマウント部内部を撮影していますが、構成するパーツ類を全て取り外して問題の「捻りバネ」を1本だけセットしています (グリーンの矢印)。本来この個体に使われていた捻りバネは一つ前の写真❸のとおり「片方が切り取られている捻りバネ (グリーンのライン部分が切除)」だったので「当方にて正常な捻りバネを用意してセット」しています。
すると上の写真で説明するなら捻りバネの右側部分がネジに引っ掛かりバネのチカラが発生している原理ですが (赤色矢印)、実はこのモデルの多くの個体で「右側のネジも欠落している」個体が多く、極初期の頃に製産された個体だけに「引っ掛け用のネジがねじ込まれている」状況です。
この捻りバネの役目の一つは「マウント面から飛び出ている絞り連動ピンを常に押し出すチカラを及ぼす」ワケですが、その引っ掛け用のネジが存在しないと「反発力が弱くなる」ので、それを狙って過去メンテナンス時に取り外されている個体がとても多いように思いますが、その真偽は分かりません。
但し、推察するに、もしも製産時点でこの引っ掛け用ネジが必要ないなら「引っ掛け用ネジをネジ込まない分、合わせて捻りバネの反発力も異なる捻りバネに変更していたハズ」との考え方がシロウト考えですが生じます。ところが今までに72本も扱っていながら「この捻りバネの反発力やカタチに変化が認められない (線径も変わらない)」ことから、当方の推測では「過去メンテナンス時にこの引っ掛け用ネジが外されてしまった」とみています。データとして記録していませんが、凡そ7割方の個体で欠落しているので、どうしても絞り連動ピンが押し込まれた後の戻るチカラ、或いは絞り連動ピンを押し込む時のチカラが本来の製産時点から比較すると相当弱められていると受け取っています。
今ドキのオールドレンズの使い方で考えるなら、デジカメ一眼/ミラーレス一眼にマウントアダプタ経由装着する事が多いので、マウントアダプタに用意されている「ピン押し底面」により絞り連動ピンの機能自体を特化している以上、特に影響が少ない要素と言えますが、その反面絞り羽根の駆動に対しとても神経質な状況に追い詰められているのは間違いありません。
従って市場動向をチェックしていると「僅かな絞り羽根の油染みや粘りで絞り羽根の開閉異常が頻発している」とも受け取られ、その因果関係の一つがこの「引っ掛けネジの欠落」とも言えそうです(泣)
今回の個体はそもそも捻りバネの片側を切削していたので「絞り連動ピンが機能していない個体だった」ワケですが、一度絞り羽根が閉じると完全開放まで戻らないその動き方の必要性に「???」です(笑)
↑何故捻りバネの片側を切削して絞り連動ピンの機能を限定したかったのか、或いは完全開放まで戻らなくしたかったのかの理由が分かりません。すると当初解体していった時に上の写真手前に置いた「底上げ環 (赤色文字)」が鏡筒最深部に入れ込まれていた時の「向きが反対だった」点が一つの因果関係として挙げられます。
上の写真で「底上げ環」の左右に印した「グリーンの矢印の向きなのかブルーの矢印の向きなのか?」どちらの向きでこの環/リング/輪っかを入れ込んでも同じだと一般的には考えますが、当方はそう結論せずに、ちゃんとジックリ両方を観察したのです(笑)
現実は違っていてこのグリーンの矢印かブルーの矢印の向きの違いは「底上げ環の縁部分が平坦か極僅かに斜め状に切削されているか」の違いであることを過去メンテナンス時の整備者は全く気づいていなかったとみています(笑)
つまり「この底上げ環が逆向きに入った為に絞りユニットの位置がビミョ〜にズレてしまい絞り羽根の動きが変化して絞り羽根開閉異常を生じていた」と言うのが当方の見たてです(笑)
その絞り羽根の開閉異常を正す、或いはごまかす為にマウント部内部の捻りバネを切削していますが、それはおそらく「改善を試みたが改善せず仕方なく絞り連動ピンの機能を制限してしまった」のが捻りバネの片側をカットした所為で浮かび上がります。
それもそのハズで(笑)、実はこの「底上げ環」の存在は特にこのモデルだけの話で/設計で、他の当時のFUJICA製オールドレンズの鏡筒には一切入っていません。例えばこのモデルの「後期型−II」では鏡筒が樹脂製 (エンジニアリング・プラスチック製) に変化しますが、この底上げの役目は鏡筒自身が内壁の厚みを変えたので実装する必要性が失せました。或いはさらに後の「AXバヨネットマウント化したタイプ (f1.6も含め)」も絞りユニットが固定される位置は、鏡筒が樹脂製なので同じように内壁の厚みの変化で絞りユニットの固定位置を確定させています (設計変更を継承したという意味が補強される)。
つまり皆さんが頻繁にサイトで指摘する「使う資材の量を低減させてコストカットする」為のプラスチック製品ではなく「製産時点の工程数を減らした人件費抑制こそがコスト低減の最大効果を発揮できる」との結論に集約します。するとチープ感タップリな樹脂製のこの「廉価版モデル」は相当なコスト削減に貢献していると様々なサイトで罵られますが、実は設計変更の回数や経緯を考察していくと「むしろ逆にコストを掛けすぎてしまった経費削減面からの失敗作」モデルとも受け取られる話で、全く別のストーリーに変化してしまいます(怖)
・・詰まるところ「内部構造を知らずして何をか言わんや」と言う話です(笑)
そして問題なのは「このモデルの設計概念」ですが、それを過去メンテナンス時の整備者は蔑ろにしていて、或いは全く気づいておらず「せっかく整備したのにどうして絞り羽根の開閉異常が起きているのか?」との本末転倒な仕上がり状況に自らの疑念を晴らしていません(笑)
・・たいていの場合でその言い訳は「経年劣化の影響で仕方ない」だったりします(笑)
どうしてそのような因果に行き着き「絞り羽根開閉異常」が起きるのかと言えば、前述の「底上げ環」の組み込みで絞りユニットの固定位置が底上げされて「光学系第1群前玉の直下に来る」事を過去メンテナンス時の整備者は一切無視しているからです(笑)
・・整備者のクセにメッチヤ笑える!(笑)
つまり前玉が金属製格納環 (リング/輪っか) にモールド一体成形で用意されているにもかかわらず、グリグリと前玉をネジ込んでいくと「必要以上に底上げされてしまった絞りユニットに対し逆に圧力を加える結果に至る」からです。
このモデルの整備をしている整備者は全員知っていますが、絞りユニットに使っている「絞り羽根開閉幅微調整環」は樹脂製 (エンジニアリング・プラスチック製) です。ところがその微調整環は「金属製の絞りユニット格納環の上に被さる配置」なので、前玉がグリグリとネジ込まれると必要以上に底上げされた時「微調整環に圧が掛かり絞り羽根の開閉幅を決めている位置が極僅かに膨れあがる」現象が起きます。
つまり被さっている樹脂製の微調整環の縁部分に圧が加わるので、微調整環はその圧力を逃がす為に「中心部が歪曲して膨れあがるチカラが生ずる」結果、絞り羽根開閉動作の時に「最も5枚の絞り羽根に附加が増す最小絞り値側に近づくにつれて絞り羽根が閉じるのをやめてしまう現象」に繋がるのです。
過去メンテナンス時の整備者はこのようなオールドレンズの「原理原則」を全く理解していない、単にバラして逆手順で組み上げるだけの能力しか持たない「低俗整備者」だった事が明白になります(笑)
・・もしもこの解説を読んでいて「???」な整備者はあなたも同類項!(笑)
それでおそらく意味不明なままに絞り羽根が正しく動かない/最小絞り値まで閉じてくれないなら、その閉じるのを停止するチカラを最大限に弱めるつもりで「絞り連動ピンの無効化」に及んだのだと推察しています(笑)
↑上の写真は最初のほうで掲載していた「完全解体したパーツの全景写真」を再び載せていますが、赤色矢印で指し示している箇所がポイントであり、前玉の格納環/リング/輪っかのモールドしている光学硝子レンズの周囲が「シルバー色に光っている」のが分かります。
実はこのようにシルバー色に切削されている個体は今回が初めてではなく、以前に扱った「前期型」個体でも顕在していたのです (今回が3本目)。すると全く同一の整備者が過去メンテナンス時にたまたま扱っていたのか (非常にその確率は低いが)、或いは誰しも同じ事を考えて所為を施すのかとも言えそうです。
しかし当方の見たては「その切削レベルが3本とも同じレベル」に見えるので製産時点の切削加工処理だとみています・・特に金属加工をしている人なら詳しいのでしょうが、その面取り加工に違いが無いので「製産時点」との判定が相当強くなります (同じ整備者が時系列を跨いでたまたま切削してもその面取りは決して同一にはならない)。
従ってシルバーに切削されている箇所が絞りユニットの「微調整環」に接触しているつもりで処置を施していたのが分かりますが、これは後のタイミングでは同一のマットで微細な凹凸を伴う梨地メッキ加工仕上げに統一されました (つまり切削せずとも接触に影響を与えないよう設計変更したのが判る/実際比較すると極僅かに違うのが分かるから)。
こんな感じで「???」との疑念を抱いた時点で必ず「観察と考察」を執り、合わせてその因果関係の辻褄を合わせていく作業を経る事で、結果的に「原理原則」に則していると納得できる次第です。
ちなみに上の赤色矢印で指し示しているシルバーに光り輝く箇所は、当初バラした直後は経年劣化に伴う酸化/腐食/錆びでグレー状態に変質し、且つ錆が相当出ていた (アルミ合金材なので白いスジが無数に付いていた) ので「磨き研磨」により除去しています。決してピッカピカに光を放つのが目的ではありません(笑)
・・当方を貶しているバカの1人はピッカピカに仕上げても内部だから意味がないと罵る(笑)
当然ながら前述の「底上げ環」も正しい向きで鏡筒最深部に組み込んであるので、このように経年の酸化/腐食/錆びを除去してあげるだけで「絞り羽根はすんなりと素直に動いてくれた」から本当にありがたいです!(涙)
・・こういう一つ一つの動作に感動と愛情が湧いてくるからメッチャ楽しい!(笑)
結果、マウント部の切られてしまった捻りバネには可哀想でしたが、そのお役目をちゃんと果たして今まで頑張ってくれたのだと感謝しつつも「ピンチヒッターの登場」と指名打者を割り当てた次第です(笑)・・きっとこれから数十年役目を果たしてまた活躍してくれるでしょう!(涙)
今回の発見 (前玉格納環の裏側シルバー) は上の話ではなくて (今回が3本目なので)、あくまでも初期の頃に限定して顕在していた内容と受け取っており「別の事実」なのです(驚)
↑それが上の写真解説です。光学系後群側格納筒を2つ並べて撮っていますが「❶ 総金属製/前期型」に対して「❷ 後期型モデル」なので、グリーンの矢印で指し示したとおり「ネジ込み用のネジ山が全く別モノ」なのが一目瞭然です。
今まで気づかなかった当方がアホなのですが(笑)「最後の後期型は樹脂製鏡筒に設計変更される (モデルバリエーションで言う処の後期型−II)」ので、どう考えてもネジ込み先の相手が樹脂材に変わったのなら当然の如く「ネジ込み精度と強度を保つ為にネジ山の仕様を変更する」のは至極理に適った話です(恥)
・・だから技術スキル低すぎと貶められるのだ!(泣)
と恥ずかしい限りです(笑) もちろん中に格納される光学硝子レンズ群 (第2群〜第4群) には設計変更が起きていません。
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ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『FUJINON 55mm/f2.2《前期型:総金属製》(M42)』のページをご参照下さいませ。
なお今般の世界情勢から原材料の高騰により努力を重ねましたが、値上げを
せざるを得ず今回の出品個体から即決価格を値上げしていきます・・などと
言うのは最近よく目にする『便乗値上げ』の謳い文句なのでしょうが(笑)、
当方の作業にはそれら原材料の如く仕入れている資材の高騰は微々たる話
です(笑) しかし残念ながらこのモデルの調達に際し同業者と競っているのは
事実なので、その分の影響から値上げしていきます。その意味で昨年来狙われてしまっているので、今後調達価格も高騰していく
傾向と容易に推測できます。
申し訳御座いませんとの想いが強いですが、その分最終的な仕上げは納得
ずくなのでご理解頂けると思います。合わせて今後も少しずつ高騰は続く
と思うのでお早めの入手をお勧めします・・・是非ご検討下さいませ。
栄えある本年2023年度最初の逸本です!・・パチパチバチ!(祝)(涙) 今年は次の2本目の個体が手に入るのでしょうか・・。
「総金属製」ですが、レンズ銘板だけは樹脂製です(笑) 別のモデルバリエーションで「本当に金属製のレンズ銘板」まで顕在していたのを掴んでいるので、どうせならレンズ銘板までちゃんと金属製にしてほしかったですね (人間は欲深い)(笑)・・これも「所有欲を充足」の一つなので、せめてもの想いで「樹脂材専用の磨きいれ」を施したので、ご覧のようにレンズ銘板もピッカピカです!(笑)
・・はい、これはまさにピッカピカにするのが目的です!(笑)
長年勤務した家具専門店で覚えたのは・・こんなどうしようもない技術だったりします (本来の任務たる営業成績は最下位)(笑)
↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。
前玉外周の本当に金属環ギリギリのところに経年で生じていた菌糸状のカビ除去痕がとても薄くほぼ全周に渡り残っていますが、おそらくそう言われて調べない限り発見できないと思います(笑) また前玉表面には僅かな経年の点キズも微細ですが残っています。
また後玉には前述のとおり中央付近に「10mm長 x 2mm幅の非常に微細で薄い汚れ状 (おそらく擦れ)」が残っていますが、やはり順光目視では見つけられません。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑光学系後群側も透明度が非常に高い状態を維持しています。同様LED光照射で極薄いクモリが皆無です (但し前述の汚れ状は在る)。
・・正直これだけクモリが無い後玉をこのモデルで見つけるのが至難の業です!(涙)
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大8mm長複数あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズなし)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
※但し後玉中央付近におそらく経年の微細な擦りキズと推測できる「汚れ状の痕」がとても薄く残っています(LED光照射でようやく視認可能)。撮影した写真への影響は大変少ないと判定でき事前告知の為クレーム対象としません。
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。
↑上の写真解説のとおり「開放測光用の爪」がマウント面から飛び出ています (グリーンの矢印)。当時のFUJICA製フィルムカメラ「ST-801/901/AZ/1」などに装着すると開放測光機能がご使用頂けます。
もしもマウントアダプタ (ピン押し底面タイプ) 経由デジカメ一眼/ミラーレス一眼に装着される場合は、ご使用になられるマウントアダプタによってはマウント面の「開放測光用の爪」が当たって擦れるので/最後までネジ込めないので切削する必要があります。
申し訳御座いませんが切削はご落札者様自身で行って下さいませ (当方では切削しません)。
またK&F CONCEPT製のマウントアダプタをご使用頂ければ/手に入れればこの「開放測光用の爪」を回避するので干渉せずに正常使用が可能ですからご検討下さいませ。
↑5枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正五角形を維持」したまま閉じていきます。
当初バラす前のチェック時点では、上の写真よりもさらに閉じている状態だったので (簡易検査具で調べるとf22の閉じ具合にほぼ匹敵)、オーバーホールでちゃんと適正に戻しています (さんざん解説した例の微調整環の話)(笑)
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。
・マウント部内部の捻りバネの経年劣化進行に伴い僅かに弱っている為鏡筒から飛び出ているアームを掴んでいる爪が擦れて「カリカリ音」が聞こえてくる事があります(特にマウントアダプタに装着すると聞こえてきます)。捻りバネの経年劣化が原因なのでこれ以上改善できません。また当問題で将来的に不具合を起こす因果関係に至ることはありません。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
正直な話、この上の写真4枚を観ても「これが金属製?」とその質感の相違を確かめられる人はとても少ないと思います(笑) しかしちゃんと確かめる方法とその要素はあります(笑)
・・然しフツ〜に金属製になるだけで高級モデルに見えてしまうから不思議極まりない!(涙)
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
❶ Kemko製MCレンズプロテクター (新品)
❷ 本体『FUJINON 55mm/f2.2《前期型:総金属製》(M42)』
❸ 汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
❹ 汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)
上の写真を観ると撮影時ミスっていて「距離環の縁に白っぽく割れが入っているように見えてしまう」のですが、それは埃で現物はもちろん金属製なので割れなど存在せず、当然ながら将来に渡りその心配も必要ありません(笑)
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当レンズによる最短撮影距離60cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影していますが、絞り環の刻印は単なるドット「●」です。
↑最小絞り値「f16」での撮影です。なかなか視認できませんが極僅かに「回折現象」の影響が現れ始めています。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
◉ 焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。