〓 Kuribayashi (栗林写真工業) C.C. Petri Orrikor 50mm/f2《前期型》(M42)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産の
栗林写真工業製標準レンズ・・・・、
C.C. Petri Orikkor 50mm/f2《前期型》(M42)』です。


このモデルの当方での扱い数は、今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体が累計で
34本目にあたります。

1959年に栗林写真工業として初になる一眼レフ (フィルム) カメラ「Petri PENTA」を発売しますが、その時点で採用したマウント規格はネジ込み式の「M42マウント」であったにもかかわらず、翌年の1960年にはブリーチロック式バヨネットマウント「Petriマウント」に変更してしまいます (右写真はPetri PENTA)。

僅か1年でやめてしまったネジ込み式マウントですが、いつもその事を考えてしまいます。
やめるつもりでどうして当時既に世界規模で捉えても衰退し始めていたネジ込み式マウント 規格を敢えて採用したのか、不思議に思います。

その時、栗林写真工業の社内で優先されたのはセットする標準レンズではなく、ボディの
フィルムカメラのほうだったのかも知れません。

・・と言うのも、そもそも栗林写真工業の創設は1907年 (明治40年) と古く、1917年に栗林写真機械製作所に社名変更したくらいなのでフィルムカメラが主体だった事は想像できます。しかし一番最初にセットレンズとして用意された、今回扱う標準レンズC.C. Petri Orikkor 50mm/f2《前期型》(M42)』は、どうしてその光学系に4群7枚の変形ダブルガウス型構成を採ったのか、また栗林写真工業の社内で光学硝子レンズの開発や設計まで行っていた資料などはwikiに一部が載っていますが、会社の沿革などを見ても「溶解設備の導入時期」が記載されておらず分かりません。

いつも思うのですが、ネット上のサイトを調べるとたいていはカメラボディ側の解説ばかりでそれに纏わるオールドレンズ側の話は二の次で・・いつも哀しい気持ちになります。詰まる ところ、ペトリカメラの話もフィルムカメラの話で盛り上がっていて、標準レンズに着目している人が少ないと言うか居ないのは、なかなか哀しい現実ですね(涙)

←左写真は今回の個体の鏡筒を前玉側方向の真正面から撮影していますが、ご覧のとおり絞り羽根の「位置決めキー」が入るべき刺さる穴が・・「20個」切削されています。

もちろん今回扱うモデルの実装絞り羽根枚数は「10枚」なので、何故に倍の数の穴を用意したのか「???」なワケです(笑)

ちなみに赤色矢印で指し示した範囲は、鏡筒側面に絞り環用ベース環に「開閉キー」が連結 する為の切り欠き/スリットが切削されて用意してあります。

例えば、この倍の数の穴が製産時点ではなく後の時代に何処ぞの整備会社なりで穴開けされたと考える事もできますが、これだけの同じ精度で (径だけではなく深さまで同一) 均一に用意するのは旋盤機が必要で難しいと考えられるので、一応製産時点で切削されたと考えるのが道理のように思います。

さらに当方が「???」に陥ってしまう理由は、このモデルの鏡筒までが「固定位置がフリーの設計」なので、ヘリコイド (オス側) の中のどの位置に「開閉キーを出すのか」が360度自在な設計なのです。

逆に言うとこの後に登場した (1961年以降と言う意味)「後期型」モデルではC.C. Petri Automatic 55mm/f2 (petri)などありますが、光学系は4群6枚の典型的なダブルガウス型構成に再設計してしまい、且つ前述の鏡筒固定位置までヘリコイド (オス側) 内側で決まった位置で固定されるよう設計変更しているのです。

この「20個の穴」が備わる鏡筒がたまたま1つの個体だけで出現すれば気にしないのですが何本も存在するとなると1個分穴の位置をズラして切削したその理由がどうしても知りたくなってしまうワケで(笑)、困ったモノです・・。

どうも消化不良でムズムズしたままですね・・(笑)

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はC.C. Petri Orikkor 50mm/f2《前期型》(M42)のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。たいてい市場で流通しているこのモデル/同型品を手に入れると、まず以て重いトルク感に至っていてとてもピント合わせし易い状態との印象にはなりません。

それをこのレベルまで軽い操作感に仕上げたのは、人によっては「重め」と感じるかも知れませんが「普通」レベルとも受け取れます。取り敢えずピント合わせしてみた時に重いトルク感だと違和感を感じるワケではありませんね(笑)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

しかし残念ながら前後玉は経年相応な状態で、前玉表面には光に反射させると視認できる「無数の非常に薄く微細な拭きキズ」があり、且つ後玉表面側にも経年並みなカビ除去痕がLED光照射で視認できます。前後玉には外周附近に菌糸状のカビ除去痕も1つずつ残っています。

いずれも順光目視ではなかなか発見が難しいレベルです。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑後群側は拭きキズは皆無で、むしろカビ除去痕のほうが多少残っています。ご覧のとおり「初期の頃のプルシアンブル〜なコーティング」です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:17点、目立つ点キズ:12点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:18点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後玉に菌糸状のカビ除去痕1箇所あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄いヘアラインキズが無数にあり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・前玉表面に経年相応な非常に微細な拭きキズが無数に残っており、LED光照射で前後玉に薄く菌糸状のカビ除去痕が浮かび上がります。
・光学系内の透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑10枚の絞り羽根もキレイになりプリセット絞り環や絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞り値を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:軽めと超軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人によって「重め」に感じ「全域に渡って完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せます。
・プリセット絞り方式ですが構造上マウント部直前の無段階式(実絞り)絞り環が操作し辛いです。
(絞り環だけで掴みにくい/操作しにくい)

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-Nフィルター (新品)
本体C.C. Petri Orikkor 50mm/f2《前期型》(M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

操作性は抜群ですが光学系の前後玉の状態が惜しい限りでしょうか・・(涙)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離50cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはハレーション気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮りました。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。

↑f値「f16」になりました。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。ピント面の解像度も含め背景のコントラストも極僅かながら低下していますが、これは「回折現象」の影響です。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。