◆ Kamerabau-Anstalt-Vaduz (カメラバウ・アンシュタルト・ファドゥーツ) Kilfitt-Makro-Kilar D 4cm/f2.8 C ・・・ (silver)《後期型》(exakta)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
Kamerabau-Anstalt-Vaduz製マクロレンズ・・・・、
『Kilfitt-Makro-Kilar D 4cm/f2.8 C ・・・ (silver)《後期型》(exakta)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainie! Geroyam Slava!
今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた10年前からの累計で焦点距離「4cm/f2.8」の括りで捉えると累計で70本目にあたりますが、距離環を回し切った時の最短撮影距離が「5cm」と言う1:1の等倍撮影が可能な「タイプD」だけでカウントすると、今回扱った個体が39本目です。他に1/2倍撮影のハーフマクロ「タイプE」が23本、さらに同様ハーフマクロながらも繰り出しがダブルヘリコイド方式になる「タイプA」が8本など今までに扱っています。
こうやってタイプ別にカウントしてみるとさすがに10年間での扱い数と言えども、なかなか70本と言う数は感無量な印象です(笑)
ほぼ半数近くをオーバーホール/修理のご依頼分として今までこなしていますが、おそらく海外にも普通に完全解体できる整備者が居るハズなのに、どう言うワケかアメリカやイギリスに
オランダ、或いは本場ドイツの他、アジア地域からは懐かしい香港とシンガポールなどからもご依頼品が届くので、なかなか国際色豊かです (コロナ禍のせいで海外からのご依頼分は現在
ゼロになりました)(笑)
海外からのご依頼分も日本国内同様に日本人の方々が多いですが、中には外国人 (当方からみて) の方も居り、たいていの方々は今までの10年間に数回お付き合いがある方ばかりなのでワザワザ海外からご依頼頂くお礼も兼ねて「現地のお土産を同梱して頂いたらご希望の金額に充当しますョ〜ぉ」と言うシステムを採用したら、とても喜ばれご好評を頂きご依頼品と共にワインボトル (しかも年数が凄く古い) やお菓子類に焼き物や飾り物まで届き、一部の方は何とお手製のお品物まで頂き本当に心温まるお付き合いができて嬉しい限りです。
今の世の中簡単にスマホで写真の送信が可能なのに、何よりも当方がスマホを使いこなせていないので(恥)、いつも長女に叱られていますが、ちゃんと現像したご家族の写真を添付頂く方もいらしてついついホロッときてしまいます(涙)
ところが先方の方々に言わせるとむしろ逆に感動していらっしゃるようで、今ドキ「お土産で支払いの一部に充当」など経験したことが無いとそれだけでも皆様喜んで頂きました (まだ
オーバーホール完了品が手元に返ってきていないのに)(笑)
意外にもそんな部分にニッポン人らしさと言うか「バカ正直/お人好し」みたいな要素を感じられるのか?(笑)・・分かりませんがお互いがハッピーになれれば何よりです。
然し重要なのは、それら外国人の方々の感動は「そもそも人として偽りなく自身の想いに正直な姿勢や相手にトコトン配慮する想い」に・・例えニッポン人以外の民族や人種だとしても「偏にコトバや民族を越えて想いが通じる」ことに、近い将来を見据えた平和な世の中の冀求に望みを託した次第です(涙)
・・願わくば平和の中で互いが人生を全うできますように!(涙)
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↑上の写真は今回オーバーホール済でヤフオク! に出品する個体の距離環を横方向から撮影したものですが、実は刻印されている「Lens Made in Liechtenstein (リヒテンシュタイン公国製)」の文字が今までの10年間の中で「初めての1本目」なのが当方には目から火が出るくらいのオドロキでした!(笑)
・・もちろん今までにネット上で見た記憶もありません。
そもそもHeinz Kilfitt (ハインツ・キルフィット) 氏が製造した「Makro-Kilarシリーズ」で
距離環のラバー製ローレット (滑り止め) 直上にこのように刻印して製造国表記していた個体を今までに見たことが一度もないワケです。
当方の今までの扱い数69本は当然ながら、ネット上の写真でも目にした事がないとなると相当希少価値が高いと言わざるを得ませんが、残念ながら「だから何なの?」と問われると返すコトバがありません (性能には一切関係しない話だから)(笑)
・・詰まるところマクロキラー信者にしかその価値は認められないでしょう(笑)
↑上の写真 (4枚) は、生産国を表記している箇所を今までに扱った個体写真の中からピックアップしました。すると右側の2枚については「Lens made in Germany」なので旧西ドイツ時代に輸出された個体だった事が分かります。旧西ドイツ時代なのにどうして「West Germany」ではないのかと指摘されそうですが(笑)、実は国際貿易法以外の国際法からして特に冷戦時代に於いて「旧西ドイツはアメリカ含むいわゆる西側陣営の一員」との捉え方から「Garmany=旧西ドイツ」と認識されていたので決して間違った表記ではないのです。もっと言うならそもそも敗戦時に元は一つだったドイツが、戦勝国たる連合軍の西側陣営と共に東欧陣営を構築した旧ソ連軍により東西に分割統治されたので「厳密に言えば国際法上東西ドイツはそれぞれが独立した国家とは定義されていなかった」次第です (あくまでも占領統治の一環/延長線の定義でしかない)。
これら所以からしても「ベルリンの壁崩壊事件」が勃発した1989年11月の後に1990年「東西ドイツ再統一」と世界中に宣言したのも実は「元は一つのドイツなので併合に当たらない」と言うドイツ人側の言い分と共に「占領統治の背景からも一つの国に戻る機会でしかない」との国際法上の概念からも支えられて「旧東ドイツの旧西ドイツ側への併合との表現は適切ではない」とまで執拗に指摘されたのが当時の背景でもあり、同時に今もなおその認識に何ら変わりがありません。
すると上の写真で見た時に当方が今までに扱った個体からの転載写真ですが左端が「f3.5モデル」で最も古く (1955年からの製産)、2枚目が「f2.8を採り入れたモデル」と明確に1958年以降の製産である事が確実です。さらに右側2枚のブラックバージョンは「f2.8モデル」の色違いでしかないものの製造国表記があからさまに「Germany」なのでHeinz Kilfitt氏が戦後リヒテンシュタイン公国で創業した後に故郷のミュンヘンに戻った1960年以降の製産品と確定できます (敗戦時のドイツ国内の混乱を避けて隣国リヒテンシュタイン公国で創業した)。
たかが製造国表記の刻印だけですがこのように当時の時代背景などまで知識を得て勘案すれば大凡の製造時期の察しが付くと言うものです(笑)
・・オールドレンズ、ロマンが多くて楽しいです!(笑)
しかし当方がこの4枚の転載写真で注目したのはそんな話だけではなく、実は「製造国表記の方法」なのです(笑) 左端が最も古い時期に出荷された個体ですが「シールを貼り付けて済ませている」点が注目点です。2枚目では「刻印に変化した」ワケですが、1955年に発売後1958年に追加モデル「f2.8の登場」までの間で刻印に変化した何某かの理由があるのか?・・との疑念が湧いた次第です。
そこで以前数年前ですがだいぶ調べまくって当時の国際法やココム関係はもちろん国際貿易法に管理法、果ては冷戦時代の国際上の法制度などなど、凡そ専門的に研究している方々の論文を読み漁りました。
当然ながら専門用語の知識が皆無なので(笑)、難しい箇所は読み飛ばして関係しそうな論説ばかりをピックアップしました。その結果、1958年以降の国際貿易法の概念やココム関係法の他、輸出入管理法などまで読み進めるとどうやら旧東ドイツ側から旧西ドイツを経由して工業製品が流れていた論説を知り得ました。
例えば「ベルリンの壁」はそもそも「旧西ベルリン」が旧東ドイツの中に位置していた為に「壁で囲まれていたのは旧西ベルリン側」だった事を知りました。
意外にも旧東ベルリンが壁に囲まれていたように受け取りがちですが、そもそも旧東ベルリンは旧東ドイツの首都でもあります(笑)
さらにオモシロイと感じたのは旧西ベルリン側に鉄道の巨大な操車場が用意されていて、そこから欧州に鉄道貨物にて様々な畜農産物や工業製品などが大量に流れていた事を知りました。
つまり彼の有名な旧東ドイツ時代の代表的な老舗光学メーカーCarl Zeiss Jenaの光学製品も「正しく輸出工程を経ないまま旧西ベルリンを経由してまるで闇取引で欧州に流れていた」と言う事実を知ったワケです。
実はこの背景には旧西ドイツ側で (敗戦直前に米軍が拉致した経営者首脳陣の一部と中心的な技術スタッフ達により) 戦後創設した旧西ドイツ側のCarl Zeiss (oberkochen/オーバーコッヘン) からの旧東ドイツ側Carl Zeiss Jenaに対する「輸出規制」が相当響いていたようで、特に1961年以降の旧東西ドイツの経済格差の増大からも耐えられなかった背景を知りました。
要は「あたかも輸出規制を守っているフリをして実は裏で鉄道貨物で流していた」と言う事実から、例えば商標権問題で旧東ドイツ側Carl Zeiss Jenaが生産した光学製品の欧州向け輸出に際し「Carl Zeiss銘の使用を禁止された」点やオールドレンズに限定して言うなら「主要モデルの銘柄の使用も禁止」したので、巷の市場では「C.Z Jena」や「aus JENA」などの刻印のレンズ銘板がセットされて、さらにモデル銘も例えば有名処のテッサーなら頭文字「T」だけ或いはビオターも「B」フレクトゴンさえも「F」とまるで何だか分からない刻印しか認められなかった時代がありました。
ところが皆さんあまり気にしませんが、それほどまで当時旧東西ドイツの経済格差に苛まれていたなら「どうして今ドキのオールドレンズ市場でそれら禁止項目に合致する個体が数多く流れていないのか?」との疑念に辿り着きます。
実はそこにもう一つの致命的な首輪が旧東ドイツ側Carl Zeiss Jenaに掛けられていて「輸出台数制限」が相当激しかったのです。
そのような時代背景からも「旧西ベルリンの巨大操車場は当時のCarl Zeiss Jenaからすればまるで御光が光り輝いて見えていた」のが容易に察しつきます(笑)
そこにCarl Zeiss Jena製オールドレンズの製造国表記刻印で「Made in G.D.R.」・・旧東ドイツを指すラテン語/英語表記たるGerman Democratic Republicの略・・よりもどうして「Made in D.D.R.」・・同様ドイツ語表記のDeutsche Demokratische Republikの略・・のほうが圧倒的に現在も市場流通数が多いのかの納得できる説明が隠されているのです。
そこには1961年以降 (単なる有刺鉄線から亡命者を防ぎきれずに壁を敷設してベルリンの壁と呼称されるようになった) から顕著になっていく旧東西ドイツの経済格差とは裏腹な「ドイツ語表記の個体があまりにも数多く流通しすぎている現実」に、まさに貧困に苦しんでいた旧東ドイツ、もっと言えば同様に当時の冷戦時代に経済格差を目の当たりに日常生活の中で味わい続けていた「東欧諸国」の経済状況からして・・どう考えても何で今ドキの市場でドイツ語表記のオールドレンズ流通のほうが圧倒的に多いのかの説明がつかないと言うジレンマに陥ります (aus JENA表記などが相当少ない)。
その答えを見出したのがそれら貿易関係に附随する様々な角度から次から次へと執行された各種国際法であり、それらの多くが特にアメリカを筆頭とした西側陣営の経済特権たる法律だった事が伺えたからなのです。
詰まるところ旧西ベルリンの巨大操車場が旧東ドイツにとってどんだけ利益を生み出していたのか知る由もありませんが(笑)、Carl Zeiss Jena製ドイツ語表記のオールドレンズ達もこれでもかと執拗に制約を受けながらも (商標権裁判に負けながらも) 現在のオールドレンズ市場で相変わらず圧倒的多数の流通数を誇る理由に辻褄が合うのではないでしょうか・・(笑)
・・こういう事柄が調べるのは大変ですがまさにオールドレンズのロマンなのです!
ちなみに当時の国際輸出入貿易法 (幾つか在る) では特に欧米向け指向の工業製品について「その製造国はラテン語/英語表記 (刻印)」が必須項目として義務づけられていたので、それら法律が効果を発揮したのがまさに「1958年から」との事で、話しが長くなりましたが上の4枚の写真で「一番左端がシールだった理由が見えてきた」とも言えそうです(笑)
シールをペタリと貼り付けるだけでどうにでもごまかせる為に (通関時だけですぐに剥がせる) とうとう「製品への刻印」が義務づけられてしまったワケです。そこで前述した1960年以降の鉄道輸送による闇ルートでの輸出が流行ったのも納得でき、その結果がまさに今ドキのオールドレンズ市場をそのままを現していると認識できます。
大変解説が長くなり申し訳御座いません。しかし真にオールドレンズを慈しむなら少しずつでも良いのでこのような当時の時代背景まで知見を広めるのも「またより一層手元のオールドレンズを慈しめる」一助になるのではないかとのはかない想いです。
・・ある意味キツネと狸の化かし合いの如く東欧圏を制限すべく当時も四苦八苦していた。
そんな事柄に思いを馳せると今のロシア軍によるウクライナ侵攻/侵略も戦後優に70年以上も経っていながら、相変わらずまるで20世紀の頃の如く領土拡張を武力で成そうとする試みと受け取られ、今ドキの自由主義陣営、或いは民主主義陣営にとり最大の脅威とも断言できそうで、どうしていまだに「20世紀脳のまま」なのかと不思議でなりません。
日々の状況をチェックしていると、ロシア国内でのロシア国民の中で唯一若い世代は現代の様々な情報認知能力に長けているので世界情勢をナマで把握していながらも、実は「国家の体制」に対し如何ともし難い状況なのが相変わらずで、そこに「独裁体制」或いは「覇権主義」に対してどう考えても今までの史実からして「進歩的な平和主義」は成し得ないと考えます。
(残念ながら現在のロシア国内での徴兵動員抗議のパワーはすぐに沈静されてしまいます)
ある意味そこにはロシアだけに限らない「世代間格差」さえも垣間見えて、なかなか他人事の如く知らん顔できない要素が多分に含まれています。その意味でも世界規模たるスマホの普及は人間の情報認知能力と共にそれらに対する人としての「距離間認識」にも大きく影響を来し今までの数世紀に及ぶ流れで捉えるなら世界的にみても「個人主張の浸透力が低い」絶大なる歴史がヒックリ返った、まるで目前に今まさに起きている事件の如く「情報を共有できる事の弊害」に直面していると認識しています。
情報と共に現地の生々しいリアルな画像を世界中で誰でも共有できる点で、そこに民族意識や国家意識、或いは人種間まで跨いで様々なストレスを強いている時代に突入したと将来に対し相当な危惧を感じています。「人として知ってしまう事に対する防御は未だにあまりにも未熟なレベルのまま進歩していない」現実を認知して対処できる教育を世界規模で促してほしいとマジッで悩んでいます(子供達には話していますが)(涙)
・・それこそが片時もスマホを手放せない今ドキの人達の課題と認識しています。
そこまで指摘するならついでに述べてしまいますが(笑)、それこそ近い将来的に「スマホだけではなくてスマートコンタクト」まで活用した情報制御時代が訪れても良いと思っています。コンタクトレンズに電子回路を挟んだ「スマートコンタクト」技術で日本企業のメニコンが米国スタートアップ企業「Mojo Vision」との共同開発を始めている記事が出ていました (記事はこちら)。
見る場所を特定させるだけでタップした事になり次に進める機能と受け取りましたが核心的です (瞬時の2回瞬きでキャンセルとか?)。その一方で例えば「言語脳波」の研究も進んでいるようなので、まさに定型文的な要素は脳波だけで指示が適うところまで進んでいるようです。とすればそれこそ歳がバレますが(笑)「攻殻機動隊」の如く電脳による会話も適う時代がすぐそこまで来ているように感じられてメチャクチャ楽しいです!(笑)・・子供達に話しまくっていて本人の勢いとは裏腹に「お父さん煩い!」と白い目で見られています(笑) 唯一の男陣営たる長男は同調のフリをしてくれますが(笑)、その一方で妻含め2人居る娘達の女性陣営は・・また始まった・・の如く冷めた眼差しのままです (はい、5人家族です)(汗) いつの時代でもどうして「民主主義」とは多数決なのでしょうか (ちょっともぅ1人男の子頑張れば良かったなぁ〜/妻曰くそんなにお金無いじゃん、とどうして女っていつも現実的なんでしょう)?!(涙)
外食しても女性陣に気を遣い食べたいモノが食べられない不遇な哀しみが漂う人生です(笑)
・・男ッてきっと最後まで不遇ですね(笑)、でもそこに人生の安堵が横たわっています!
さすがに今の段階では自分の瞳に装着する気持ちはゴロゴロしそうでイヤですが(笑)、基板の回路で薄膜化が進捗すれば何ら今ドキのコンタクトレンズと変わらずに装着が適うでしょう。こういう「薄膜融着技術」も例えばそれこそ富士フイルムでさえも得意分野と考えられるので互いが畑の分野/垣根を越えてもっと融通し合い技術革新に貢献できる環境を日本政府が率先して執ってくれればまた素晴らしい将来が待っていると確信できそうです(笑) マジッでド素人感覚丸出しですが(笑)、例えば核心的技術革新への貢献度を以てポイント制をあてがい、そのポイントに見合う企業税制優遇を進めれば (当然ながら技術漏洩防御策や特許保護策は必須として) 企業にとってもメリットになるとあ〜だこ〜だ考えています (性格なので)(笑)
・・何しろロマンチストだからスミマセン!(笑)
↑上の写真 (3枚) は、同様に今まで扱った個体からの転載写真ですが、左端は今回扱った出品個体でマウント部直前に「D.B.P. angem.+Ausl. Pat.」と刻印があります。この意味は旧西ドイツ側の特許庁を現す「D.B.P.」・・Deutsche Bundesanstalt Patentschriftの略・・であり合わせて「Ausl.」は先使用権を意味し「PAT. angem.」などから「パテント登録申請中」を告知しています。
詰まるところ後にも先にも「D.B.P. angem.+Ausl. Pat.」と2つの要素を「+」記号で繋げて記していた時代はリヒテンシュタイン公国時代の輸出製品だけで、且つ相当初期のロット分だけなのでこの要素だけでも製産台数が少ない事は妄想できます。
そしてさらに今回の個体が唯一の稀少品だったのが前述の「距離環に刻印した製造国の表記」であり、今までに一度も目にした事がないのでこんな解説になってしまいました (長くてスミマセン)。
なお、ラテン語/英語表記が義務づけられていたのは「製造国表記」だけなので特許庁や先使用権など含めたパテント登録申請中、或いは認可済を示す内容は「ドイツ語表記で構わない」ので、例えば右側2枚の写真のように2行の中でドイツ語と英語が混在していても何ら不自然さに至らないのです (前述の研究論文などから知りました)。
↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は「Makro-Kilar 4cm/f2.8 D ●●●《後期型》(M42)」のページをご参照下さいませ。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。
↑内部構造は幾つかモデルバリエーションが顕在しますがほぼ同じ設計概念を踏襲し続け、且つ最後にアメリカのFrank G. Back博士に会社を売却後に製産されていた「Zoomarシリーズ」でも全く変わっていません (単に会社名と製品銘が変わっただけ)。
ちなみに会社売却先のFrank G. Back博士は有名な現代物理学の父とも呼ばれるノーベル物理学賞受賞のアインシュタイン博士の友人でもあり、2人はこぞってKilfittが造り出す光学機器に高い関心を抱いていたようです (特に光学顕微鏡など)。
1960年代以前という時代背景からしても、どんだけ世界中の著名人がKilfittの光学製品に絶大なる信頼/信用を置いていたのかが伺えます。まさに1955年に登場した「世界初のマクロレンズ」そしてそのシリーズの中でいまだに決して色褪せない「単体で1:1等倍撮影を具現化してしまったマクロレンズ」である点もその「アポクロマート技術」を取り入れた先進性からしてかけがえのない存在と認識しています。
◉ アポクロマート
「色の三原色」たる3色の光/波長に対し軸上色収差を補正し結像点に合焦一致させる概念
1970年代に於いてもマニュアルフォーカスのオールドレンズ領域では1/2倍撮影のハーフマクロレンズが単体では当たり前だったので (延長筒/エクステンションを装着して初めて等倍撮影が叶う)、如何に先進性の最たるモノだったのかが分かります。しかもそれをたかが3群4枚のエルマー型光学系構成で達成してしまったのだから恐れ入ります。
以前オーバーホール/修理ご依頼を承った動画撮影をお仕事にしていたご依頼者様の一言「この頑なにドライな表現性は他に替わるモノが無い」との指摘にまさに目から鱗状態でした。それほどにピント面の素材感や材質感をあからさまに脚色せずありのままに写してしまう質感表現能力の高さも「いまだに色褪せない」と評価しています。
それは思い起こせば確かに当時のシネカメラにも多数使われていたマクロレンズだった点からも、決して近接撮影だけに特化せず「ひたすらに忠実」である事に相当な信頼感があったのかも知れません。その意味では後の時代、特に日本製オールドレンズでのマクロレンズに於いて「目一杯脚色されまくった」流れがあるからこそ「他に替わるモノが居ない」との動画撮影のプロが捉えた印象とも妄想できそうです。
ダブルヘリコイド方式なので鏡筒を繰り出していった時、二段目の小径のヘリコイドが繰り出される時に一瞬極僅かな抵抗を指に感じますがトルクは同じで全域に渡り均整です。
↑ちなみに附属のフロントベゼルにやはり附属のHAKUBA製MCレンズガードを装着した状態を撮影しました。ネット上の解説などではこのフロントベゼルを「純正 (専用) フード」と説明している著名なライターが居ますが(笑)、はたして僅か数ミリしかレンズ銘板から飛び出さないのにいったいどのくらいの「フードとしての遮光の役目」に効果を得ているのかちゃんと解説してほしいものです(笑)
要は開発/設計者のHeinz Kilfitt氏が光学系第1群 (前玉) の直前にしかフィルターの類の装着を認めていなかった事から英語圏では「Front Bezel」と呼称しますが「前カバー」的な意味合いになり、その目的は「フィルターの装着用専用カバー」を意味します。
従って決してフードの役目ではありません(笑) もっと言うなら既に光学系第1群 (前玉) が筐体の奥まった位置に配されているので、それだけですり鉢状の筐体は「遮光の役目を適えている」とも指摘でき、どう考えても敢えて二重にフードを装着する必要性すら感じません(笑)
このフロントベゼルはすり鉢状の筐体側に「3つのダボ」が突出していて、そこにカチャッと着脱できる構造をしているので、少々掴みにくいですがフロントベゼルの縁を指で掴んで取り外したり押し込んだりで簡単に小気味良くカチャッと着脱できます (着脱に際しそんなにチカラが必要にならない/かと言って不意に外れて落下しない)。
さすがこう言う部分の構造化も熟慮したようで円形のハガネのチカラを活用して突出したダボを経年でも一定の反発力で機能するよう考えられています (このハガネの円形バネはそう簡単には劣化しません)。
↑フロントベゼルを外してひっくり返すとこんな感じです (左側)。右横に並べて撮ったHAKUBA製MCレンズガードは製品自体は「⌀ 28mm」ですが外径サイズが重要なので (ネジ込むワケではないので) 上の写真グリーンの矢印のようにフロントベゼルの内側にハメ込む方式です。
ハメ込む際はMCレンズガードの向きを逆向きにして装着するとちょうど仕様にピタリと収まります。
仕様上の装着可能なフィルターは「外径サイズ:⌀ 30mm/厚さ:4mm以内」なので、特に厚みが4mmを越えると前玉の枠に当たってしまい装着できなくなります (フロントベゼルが3つのダボの突出先端まで到達しないから固定しない)。
装着するフィルターを押さえ込むのは両サイドに備わる「板バネ」で (ブルーの矢印)、且つ外す際に指で掴む為の切り欠き/指掛かりもちゃんと用意されています。
↑実際にフィルターを装着するとこんな感じです (附属のHAKUBA製MCレンズガードを逆向きにハメ込んである)。これを正しい向きでハメ込むと当然ながらちゃんとセットできますが、肝心なフロントベゼルが前述のとおりダボまで到達しないので固定できません (レンズガードのネジ山部分が前玉の枠に当たるから)。
↑今度は前のほうから見た時の状態を撮りました。逆向きに装着しているので前のほうに露出しているのが「レンズガードの⌀ 28mm径ネジ山部分」と言う話しです。
なお、当初調達して届いた時はこのフロントベゼルに「反射防止黒色塗料」が相当に厚塗りされていたので「前玉にインク成分が附着するのを嫌う事から」溶剤で1時間掛かりで何度も拭って除去しました。
それでもこれだけちゃんと真っ黒に焼き付け塗装されているのに・・どうしてそんなに「反射防止黒色塗料」を誰も彼も塗りたがるのでしょうか???
当方からすれば経年で飛んでしまったインク成分が光学硝子のコーティング層に附着して、且つ経年の化学反応なのか清掃しても一切除去できないくらいに「非常に薄いクモリとなってこびり付く」のが大嫌いです!!!(怒)
当方と同業者たる『転売屋/転売ヤー』が如何にも知ったように口ぶりで「光学硝子レンズに薄いクモリがありますが写真撮影に影響しません」とどんだけヤフオク! の出品者が述べているのかといつも思いますが、本当に撮影写真に影響があるのか無いのかはそのクモリがある場所/光学系の配置と構成が重要なのに、そんな事柄は全くお構いなしの謳い文句です(笑)
・・当方はそう言う同業者を『転売屋/転売ヤー』ながら「低俗なヤツ」と呼んでいます(笑)
↑このモデルにしては相当珍しいのですが光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体でLED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。何しろ前玉でさえ僅か15mm少々しかない小さな大きさなので、その中でクモリが生じているとさすがにマクロレンズには痛い話になります。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑光学系後群側も貼り合わせレンズが配置されているもののLED光照射で極薄いクモリが皆無です。特に突出が周りのガイドにギリギリな後玉に「当てキズが無い」のがたいしたものです。とても微細な点状のカビ除去痕が中心部に集中していますが、まさにこちらのほうが写真撮影に影響しません。特に焦点距離が4cmなので、そもそも表出する円形ボケの内側にもそれら微細な点状のカビ除去痕が影となって写る事すら人の目には視認できません(笑)
なおこの個体はおそらく初期の頃の製産品と推測できるので、同じシリーズ用の別のマウントとの付替ができません。もちろん同じ時期のマウントなら付替が適いますが設計諸元が異なるので同じ時期のマウントなのか否かさえ見当付けられないと考えます。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:12点、目立つ点キズ:8点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:16点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後玉に微かな点状カビ除去痕が複数あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大2mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
(前後玉に点状カビ除去痕複数に残っています)
(後玉露出側に微細な点状カビ除去痕複数あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
(前後玉に微細な点状のカビ除去痕が複数あり)
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。
↑10枚の先見性が高いフッ素加工が施された絞り羽根もキレイになりプリセット絞り環や絞り環共々確実に駆動しています。特にこのモデルは「回転式ヘリコイド駆動」なので距離環を回すと「プリセット絞り環と絞り環まで一緒に回っていく」原理のため、ピント合わせした後に最後撮影前にボケ具合を調整すると「アッと言う間にピントがズレる」問題があります。
従って「距離環側トルクを多少重くし絞り環側をできるだけ軽く仕上げる」のが理想的です。
然しそうは言っても絞り環操作がスカスカで何の抵抗も感じなければそれはそれで違和感に繋がりますし、距離環側のトルクが重すぎてはマクロレンズなのでピント合わせにもやはり違和感です。
そんな次第なので「できるだけ距離環を軽いトルクに仕上げつつも然し絞り環操作も軽め」を実現してあります(笑)
ピントを合わせてから絞り環操作しても全くピント面がズレないとは決して言えませんが、それでもまだズレにくいくらいのトルクバランスに仕上げてありますから、その意味でもオーバーホールする甲斐があると言うものです(笑)
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が指に伝わります(擦れ感強め)。
・当レンズは回転式ヘリコイド駆動なので距離環を回していくと絞り環側も一緒に回転します。そのため事前に絞り値を決めて設定してからピントを合わせる使い方をお勧めします(ピント合わせ後に絞り環操作するとピント位置がズレるから)。
・附属品のHAKUBA製MCレンズガードは同じく附属品のフロントベゼルに装着した状態で梱包します。外径サイズ⌀28mm/厚み4mmが装着対象なので敢えてレンズガードを逆向きに装着しています。他のオールドレンズなどに使う場合は通常の向きでネジ込めば正常使用可能です。あくまでもフロントベゼルの仕様に合うように逆向きで装着しているだけです。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・附属品のフロントベゼルには外周に1箇所打痕の修復があります。
・附属品の社外品樹脂製被せ式前キャップは輸送時の保護用として附属させているだけの為カパカパです(一応被せる事ができる程度の役目)。
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
① HAKUBA製MCレンズガード (新品:フロントベゼルに装着済)
② 純正フロントベゼル (中古品:MCレンズガード装着済/逆向きで使用)
③ 本体『Kilfitt-Makro-Kilar D 4cm/f2.8 C ・・・ (silver)《後期型》(exakta)』
④ 汎用樹脂製バヨネット式後キャップ (新品)
⑤ 輸送用樹脂製被せ式前キャップ (中古品/代用品/カパカパ状態でハマりません)
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑距離環のラバー製ローレット (滑り止め) は既に経年劣化が進行し相当ヒビ割れが起きていますが、一応ちゃんと貼り付けてあります (使用中にめくれてきたりしません)。
↑ここからは距離環の動き方と撮影倍率の刻印表記を解説していきます。上の写真は無限遠位置「∞」刻印を基準「△」マーカーに合致させている状態を撮りました。
基準「△」マーカーに対しちゃんとプリセット絞り側と絞り環側のマーカー「●」が両方とも一直線上に並びます (グリーンのライン)。
ここで距離環を回して繰り出していきます (ブルーの矢印①)。
↑グルグルと距離環が回っていきますが、この時「プリセット絞り環/絞り環」も一緒に回っていくので「回転式ヘリコイド駆動」と言う呼び方になります。一般的なオールドレンズは距離環を回して鏡筒を繰り出しても「直進動なので回転しない」点を以て区別しています。
上の写真ではこのモデルの「タイプE」と同じ状態を意味しますが1/2倍撮影時のハーフマクロレンズ状態が距離環の刻印「1:2」で分かります (グリーンのライン)。モデルバリエーションの「タイプE」はシングルヘリコイドなのでこのような繰り出し状態で停止します。
今回の出品個体は「タイプD」のダブルヘリコイドなのでさらに回していく事ができます (ブルーの矢印②)。
↑同様グルグルと距離環を回していって、合わせて「プリセット絞り環/絞り環」側も回転していきます。突き当て停止した位置が上の写真の状態で「距離環の倍率刻印1:1.1」から少々左側の位置で停止するので、この位置が「1:1の等倍撮影状態」を意味します (突き当て停止した上の写真赤色矢印の位置)。
この「Makro-Kilarシリーズ」は最短撮影距離の表記概念が一般的なオールドレンズとは異なり「レンズ銘板の先端部から被写体までの実距離」になっている為、本当にレンズ銘板の端部分から「5cm」の処に被写体が居る等倍撮影が叶います (実際はベゼルが僅かに飛び出ているのでもっと短い距離)。
ちなみに「プリセット絞り環/絞り環」は両サイドに刻印とマーカーが備わるので撮影時に探す事はありません。
↑ここからはこのモデルの「プリセット絞り機構の使い方/設定方法」を解説していきます。この「プリセット絞り機構」の使い方もネット上の解説や下手するとヤフオク! の出品者 (プロのカメラマン) でさえも間違った認識をしていて変な解説を併記で流している人が居ますが(笑)、何も難しい事はなく「撮影時の挙動に従えば自ずと理に適った操作方法で設計されている」ので、例えば「考えとは逆の方法で使うようになっている」などと意味不明な説明をロシアンレンズなどでも述べていますが全く違います(笑)
そもそもそう言う人に限って「プリセット絞り環」と「絞り環」の位置を正しく認識していません(笑)
概念的に言うなら「プリセット絞り機構は使うであろう絞り値の範囲を事前に設定しておく機能」であり「絞り環は実際に絞り羽根を開閉させる機能」との定義がちゃんと認識できていないからチグハグな捉え方になり、結果説明も変な話になってしまいます(笑)
従って今回のモデルでも同じですが「プリセット絞り環/絞り環」を逆に捉えてしまうと何一つまともに説明できません(笑)
「プリセット絞り環」はプリセット絞り値を指定する環/リング/輪っかなので「基本的に絞り値が刻印されている環/リング/輪っか」なのが至極当然な話のハズです(笑)
一方「絞り環が絞り羽根の開閉動作だけ」となれば「事前にプリセット絞り値が設定されている使い方/機能として設計されているのがプリセット絞り機構」との概念に則れば「絞り環はただの環/リング/輪っかだけでただ回すだけの役目 (つまり単に絞り羽根を開閉するだけの役目)」と明言できます。
だからこそ上の写真解説のとおりで「プリセット絞り環と絞り環のの互いの関係性」が理に適っています(笑)
重要なのはグリーンの矢印で指し示した基準「●」マーカーであって、ここに何が来ているのかがポイントです。オールドレンズは常に基準「△」マーカーが重要ですね。
すると上の写真ではまだ撮影する前段階なので、これから使うであろう「プリセット絞り値をセットする」動作が必要になります。
上の写真ではグリーンの矢印で指し示した基準「●」マーカー位置に「f2.8」が来ているので、且つ「絞り環のマーカー (●)まで同じ位置なので」絞り羽根が完全開放状態なのが一目瞭然です (実際に光学系内を覗き込んでも完全開放している)。
この時「プリセット絞り環側f2.8に絞り環側 (●) が合致しているので設定してあるプリセット絞り値はf2.8」になります。
つまり「絞り環側 (●) は設定したプリセット絞り値を示す」ワケです。単に設定したプリセット絞り値を忘れないように明示するだけの為に「●」刻印があるだけで、本来の役目は「絞り環は絞り羽根の開閉動作だけ」との認識です。
それではここから仮に「プリセット絞り値をf5.6に設定する」作業を行います。絞り環側の「●」をグリーンの矢印で指し示している基準「●」マーカー位置に合わせた状態のまま「プリセット絞り環側だけをブルーの矢印①方向に回す」と僅かにクリック感を感じつつ廻ります。
↑設定プリセット絞り値の「f5.6」がグリーンの矢印で指し示している基準「●」マーカーに合致し、且つ絞り環側マーカー (●) も同じ位置なので「現在プリセット絞り値がf5.6に設定されてしかも絞り羽根がf5.6まで閉じている」話になります。実際光学系を覗き込めばそのように絞り羽根が閉じていきます。
ここで撮影でピント合わせが必要ですから、一旦絞り羽根を開いて完全開放状態でピント合わせします。「f5.6まで閉じてしまった絞り環をブルー矢印②方向に回してf2.8」に合わせれば完全開放します」ョね・・?(笑)
つまり前述のとおり「絞り環の役目は単に絞り羽根の開閉動作だけ」と説明したので、ここではブルーの矢印②方向に純粋に絞り環を回すだけです。
↑何となく最初の写真と同じように見えますが、実は「絞り環側マーカー (●) がf5.6の位置に居る」ので「設定絞り値はf5.6」なのが一目瞭然です。しかし現在グリーンの矢印で指し示している基準「●」マーカーには「f2.8」が居るので完全開放状態なのが当然な話です (覗き込んでもちゃんと絞り羽根が開いている)。
従ってここで距離環を回してピント合わせを行います。ピント合わせが神部気になったらいよいよシャッターボタン押し下げなので「その前に狙ったボケ具合たるf5.6まで絞り羽根を閉じる必要がある」ので、やはり純粋に「絞り羽根を閉じちゃう!」のでブルーの矢印③方向に絞り環を「回すだけ」です。
↑単に絞り環を回しただけですが、ちゃんと基準「●」マーカー位置に「f5.6」が来ていて (赤色矢印)、もちろん絞り羽根が設定絞り値まで閉じるので「シャッターボタンを押して撮影」します。
バッチリキレイな写真が撮れて撮影が終わったら(笑)、再び開放f値「f2.8」までプリセット絞り値を戻します。最初の逆手順になるだけの話しですが絞り環側基準「●」マーカーを指で保持したままブルーの矢印④方向に「プリセット絞り環だけを回す」とクリック感を感じながら左方向にプリセット絞り環が回ります。
↑まさに最初の状態に戻っただけの話ですが、グリーンの矢印で指し示した基準「●」マーカーの位置に開放f値「f2.8」が来て、且つ絞り環側基準「●」マーカーも同じ位置なので絞り羽根が完全開放していますし、何よりもプリセット絞り環も絞り環も両方とも固定されていて「f2.8の位置から動きません」と言うのがポイントです (赤色矢印)。
要は「プリセット絞り環/絞り環」の定義さえ理解していれば、まさに説明してきたとおり「撮影時の挙動の即した操作方法」なのがプリセット絞り機構の概念なので、何一つ難しい話しがありません(笑)
使う絞り値との間で動くのがプリセット絞り環なので上の写真の設定状態では「f2.8からプリセット絞り環も絞り環も動かないのが正しい」のが歴然です。
いったいこの何処に「逆の考え方」が在るのかプロのカメラマンの方はちゃんと説明してほしいです(笑)
ネット上の著名な執筆者/ライターやヤフオク! での自ら解体して整備しているプロのカメラマン (但しモデルによって必ずしも完全解体していません) の言い分まで含め、バラしていないのに筐体外観上からの印象だけで判定を下したり、或いはまさにパラしていながらも「ちゃんと観察と考察に努めない姿勢」に相当な違和感を覚えます。
もっと言うなら何処ぞの超有名な某サイトで「参考文献」を照らして解説していますが、それら参考文献自体が何ひとつバラさずに考察しているに過ぎず、あからさまにそこに元勤務していた社員の証言などまでも交え如何にも「真実」の如く語っていながら「ではどうして現実にバラしてみたら光学系の設計が違うのか?」に対する明確な答えを見出していません(笑)
もっと言うなら当時の有名雑誌で様々な検証を伴いつつも「どうしてその検証としてちゃんとバラさないのか?」の確証が無いままに「あたかも聖書の如く参考にしている」時点で当方は参照する気持ちが湧きません(笑)
何故なら・・当初発売時点で競合他社に対する抑止として「開発時点での特許出願時光学系構成図 (つまり開発時概念)」を自身のカタログにでさえ載せていながら、実の処量産化製品ではその発展系として「量産化に見合う光学系設計に変更している」のが今までに3,000本を越えるオールドレンズの解体経験で知り得たからです。
もちろん確かにそれら3,000本を越えるオールドレンズがはたして「量産化された光学系なのか?」との裏支えが無いにしても、逆に言うなら「ではどうしてカタログ掲載構成図とあからさまに違うのか?」の説明を説得力を以て補完する要素が様々な文献を参照にするに付け存在しないからです。詰まるところ「そこまで解説するならどうしてちゃんと解体して検証しなかったのか?」との懸念がどうしても拭いきれません。誰が考えても容易に「ならばバラせば
一目瞭然じゃん!」にまで検証を進めなかった時点で「単なる考察の一つ」でしかないのに、それをあからさまに「唯一神が如く」扱う時点で違和感を覚えます(笑)
・・参考文献とは所詮その程度の話しなのです!(笑)
内部構造はともかく、光学系構成の中で各群の光学硝子レンズの設計が明確に「カタログ記載構成図と微妙に違う」時点で、設計青写真で言う処の「±0.02mm」たる誤差範囲を見倣うなら「例えカタログ掲載構成図との違いにも着目するべき」ではないのかと強く、本当に強く考えますね。
それこそがまさに量産品で、且つ市場流通している数多くの個体をバラした時の「相違点」として明確に基準に据えるべき要素なのではないのかと指摘したいです。どんなに解説で言い繕っても、それがそもそも現物とはかけ離れた光学設計である時点で「総ての説得力を喪失してしまった」事が誰も覆せない真実なのではありませんかね・・(笑)
オールドレンズをオーバーホールしていながら、その真実を解説しようと努力しない「数多くの整備会社」もっと言うなら整備者に対し、プロとか「匠」とか表現する、或いはこだわる以前にヤッている事が違うのではないかと言いたいです!(笑)・・恥ずかしい。
ちなみにプリセット絞り環側にはクリック感が伴いますがそもそも絞り環操作は「無段階式 (実絞り)」なのでクリック感がありません。開放f値「f2.8」と設定絞り値との間を絞り環操作でスルスルと開閉できるだけの話しです。
↑当レンズによる最短撮影距離5cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑最小絞り値「f22」での撮影です。絞り羽根がほぼ閉じきっているので「回折現象」の影響が現れ始めて解像度の低下とコントラスト抜けが起きています。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。