◎ CARL ZEISS JENA DDR (カールツァイス・イエナ) MC BIOMETAR 80mm/f2.8《後期型》(PENTACON SIX):ウクライナの戦禍をくぐり抜けてきた個体

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧東ドイツは
CARL ZEISS JENA DDR製中望遠レンズ・・・・、
MC BIOMETAR 80mm/f2.8《後期型》(P6)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieGeroyam Slava

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた10年前からの累計でカウントすると、旧東ドイツCarl Zeiss Jena製中望遠レンズ「Biometar 80mm
/f2.8
」の括りで捉えると48本目にあたりますが、その中で「後期型」だけでカウントすると14本目です。他にシルバー鏡胴時代のタイプは今までに累計で21本扱っており、同様にゼブラ柄は10本、Gutta Perchaタイプが3本という状況です。

このように見ていくと意外にも最初期のシルバー鏡胴モデルの扱い数が多い内訳ですが、実はゼブラ柄にしても今回の「後期型」にしても絞り連動ピンに係る制御系の設計に課題が残る
モデルなので、正直なところシルバー鏡胴モデル以外を敬遠していたところもあります。

またこれらの本数の多くは今までにご依頼を承ったオーバーホール/修理ご依頼分の個体が主体で、当方が調達してオーバーホール済でヤフオク! 出品した個体数はだいぶ少ないです。それらオーバーホール/修理ご依頼分の多くの個体が光学系の薄いクモリやバルサム切れ、或いはまさにマウント面から飛び出ている絞り連動ピンとの関係でトラブルが起きている構造的な問題が多い状況でした。

《当初バラす前のチェック時に気になっていた内容》
絞り環操作時に「f16〜f22」が閉じない。
 絞り連動ピンを押し込まないと完全開放しない。
 距離環を回すとトルクムラを感じる箇所がある。
光学系内に極薄いクモリとカビの発生がある。

《バラした後に新たに確認できた内容》
 マウント部内部のスプリング (2本) に経年劣化
鏡筒に附随する締付ネジが不適合 (その影響で絞り羽根開閉異常)。
直進キーの固定にごまかしがありトルクに影響。
光学系が最後まで格納されていない。

・・凡そこんな感じで問題を抱えていましたが、実はこのモデルはマウント部内部の絞り連動ピン押し込み動作に伴う制御に「非常に細い線径の引張式スプリング (2本) を使っている」為に今までも数多く「絞り羽根開閉異常」の個体をオーバーホール/修理してきた次第です。

  ●               

この個体の標題で一番気になる要素・・ ウクライナの戦禍をくぐり抜けてきた個体 ・・について解説していきます。

左図は海外オークションで最も有名で且つ一般的なebayで調達した時の「概算輸送料金 (Shipping)」と共に「大凡の到着予定 (Delivery)」の案内です。但し日々日付が更新されてしまうので本日10/3時点での到着予定日で表示されています。

輸送料金もUS$表示で「$28.00」なので現在の為替レートでもせいぜい5千円もあれば自宅に届きます。

実際に今回扱ったこの個体を出品者から落札したのは先月9/3だったのでちょうど1カ月前です。その際の到着予定日表示は確か「9月26日11月4日」だったと記憶していますから最短で3週間最悪2カ月を要すると言う状況です。ちなみにロシア軍によるウクライナ侵攻/侵略が始まる前のウクライナからの荷物到着は遅くてもせいぜい1カ月あれば十分でした。

悪評高い海外オークションebayでもこのような感じで「輸送コスト」と「到着予定日」が大凡の概算ですがちゃんと表示されます(笑) するとここにちゃんと出品者の所在地 (出品商品の所在地) が明示されていて「Dnipro, Ukraine」なのが分かります。場所はドニプロなのでウクライナ東部の今まさに原発で問題になっているザボリージャ州のちょうど真上に位置します。

↑上の図はまさにGoogle Mapを使ってルート検索しただけの話しですが(笑)、現実におそらくこのルートでドニプロ (赤色矢印❶) から輸送されたのだと認識しています。どうしてこのような輸送ルートが判明したのかと言えば「まさにウクライナ支援の想いの強さからも例えオークション出品者でもドニプロ在住者なら相当な危険地域に住まいながら生活しつつ出品している状況に応えたい」一心で出品者に謝礼を余計に払うので輸送ルートを簡単で良いので調べて
是非とも連絡してほしいと依頼したのです (ちゃんと当方ブログに告知する旨の許諾を頂いています)。

上の図のGoogle Mapのルート検索で「ブルーの太いラインで示されているルート」は「ウクライナ鉄道」の貨物用線路を意味します。ウクライナ鉄道は日本で言う処の「旧国鉄」に匹敵する組織体です (つまり国営)。

何しろ国土が広大なので一言にウクライナ鉄道と言っても管轄会社は地域別に分割されていて複数存在します。昨今7月〜8月にメディアを賑わせたオデーサ港からの船舶による穀物輸出も、ウクライナ全土からの穀物輸出で捉えると例えば小麦/大麦に関しては凡そロシアの輸出量の半分に匹敵する規模を有し、逆にトウモロコシはロシアの3倍を優に超える輸出量を誇るので、飼料/肥料まで含めると国際社会が食糧事情で騒ぐのも理解できます。するとこれら鉄道輸送の発達が必須とも受け取れますが、実は鉄道貨物輸送の主体を担うのは専用貨車を利用する「鉱物資源」らしく、主要鉄道拠点までの輸送手段として国内に網の目のように張り巡らされている高速道路を利用したトラック輸送のほうが重要だったりします (民間レベルでの拡充が容易に適うとの視点から/国の鉄道への予算割り当て自体がそもそも低い事が大きく影響しているらしい/ウクライナ事情に係る2012年時点でのジェトロ研究報告から)。

主要鉄道路線は5路線ですが、その中で今回利用させて頂いたのは「1951年に修復完成したドニプロ駅 (Dnipro-Holovnyi)」から港湾都市オデーサに
至るまでのドニプロペトロウシク鉄道を利用しつつも、実は途中「Slobidka Слобідка (スロビトカ-スロビトカ)」で貨物を載せ替えてからオデーサ港に向かったのが判明しました (左ロゴマークはウクライナ鉄道のロゴマークで日本のJR/旧国鉄に匹敵します)。

そもそも輸送自体は「〒小包」としてドニプロから発出されましたが、実際には鉄道コンテナ貨物に混載されてのコンテナ輸送だったワケです (海外では非常に多い輸送手段/日本国内でも多用されている)。

ところが出品者が何と丁寧にもちゃんと説明してくれて (いくら謝礼を払ったとしてもそこまでの料金を全く以て充たしていない) 実はロシア軍によるウクライナ侵攻/侵略前は上の図で言う最短距離たる対角線上の「Кривий Ріг (クリヴィーイ・リーフ)」を経由して「Миколаїв (ミコラーイウ)」を通過するオデーサ行き貨物列車がちゃんと運行していたのですが、残念ながら戦争状態により現在は「遠回りして貨物輸送している状況」とのお話でした(涙)

従って今回の出品個体は「Dnipro-Holovnyi (ドニプロ駅:赤色矢印❶)」から「Slobidka Слобідка (スロビドカ-スロビドゥカ:赤色矢印❷)」までワザワザ行ってから、コンテナをオデーサ港行き列車に連結させて (ムダに長い距離を走ってから) オデーサ港に到着 (赤色矢印❸) したと言う輸送ルートが判明しました(涙)

本来なら12時間あまりでオデーサに到着するのに戦争の影響から16時間以上もかけて遠回りで鉄道輸送している状況です。しかし当方が驚いたのはそんな話ではなく「ウクライナ人とは今のこのような戦争状態に於いても世界中への貨物輸送を遅滞させてはならないと、決して兵士ではないのにローテーション上の歴とした休みさえも完全消化せずに可能な限り日夜働き続けている」とのリアルな民族意識です (戦争状態による生活困窮だけが決して理由ではないとのお話を聞きました/多くのウクライナ人に於ける共通的な意識概念の一つです)!!!(涙)

何を隠そう当方が「ニッポン人ととても似ている民族だ!」と感銘を受けたのがまさに間違いなかったと今回の個人輸入で改めて確信しました!(涙)

・・ウクライナ人の考え方はニッポン人の思考回路にとても似ている!!!(涙)

いまだにネット上を観ていても「ウクライナとロシアは兄弟国」の如く語られる事が多いですが、そもそもウクライナ人の祖は「ルーシー人」に発し、且つ「コサック民族の時代」も経て帝政ロシア時代に互いの混血が拡散流布していった歴史的背景が強いです (占領されたから)。

・・つまりロシアとの戦いは数百年〜千年以上を経ていまだに継続中の歴史の一つ

実はここに「親族親戚関係の中ではロシア人とも仲が良い」のにイザッ戦争となれば徹底的に互いが戦い続けるとてもニッポン人からは予想も付かない見当さえも及ばない「千年以上にも渡る歴史的背景に伴う民族間の軋轢」が介在しているとその複雑さに閉口します(泣)

然しその一方でロシア側を考察するなら分かっているだけでも公的なロシア国土内の民族は「150民族以上」なので、とてもニッポン人の妄想の範疇を超越しています。逆に言うなら「ウクライナ人/ロシア人」と単純に括る事が適わず、且つ分かっているだけでもほぼ縄文時代からして単一民族に近い状況しか知らないニッポン人にはとても計り知れない概念なのだと肝に銘じた次第です。

・・詰まるところYouTube/SNS含め端的な民族で括ってしまう事は避けるべきと納得です。

ましてや先方 (ウクライナ/ロシア) は互いに隣国で陸続きです。とても日本のように四方を海に囲まれた恵まれた地勢とは真逆の世界であり、ウクライナ/ロシア互いが共に長き歴史の中で奪い奪われつつ領土紛争も兼ねて民族的概念の中で戦争し続けている状況に、とてもニッポン人の感覚などが分け入る余地などあり得ないと今回の調達に際しては深く考えさせられました (自らの浅はかな考えを恥じて深く反省しました)。

実はここにゼレンスキー大統領が頻繁に指摘する処の「EU諸国の代わりに命を賭して戦っているのは我々だ! だから武器を寄こせ!」的に発言している (もちろんだいぶ乱暴な表現ですが/要約すればこんな感じ) 事を鑑みてもとてもニッポン人の理に適う話しではありません!

ちなみにオデーサ港に到着したコンテナ貨物はコンテナ輸送船に積み替えられて黒海を渡ってトルコ側イスタンブールのボスボラ海峡を経てマルマラ海に至り、いずれかの港湾で下ろされトルコ国内の国際空港で航空貨物に混載して日本まで輸送されました。

・・いいですか! コレだけの手間と距離を経ても僅か5千円未満でした!(驚)

その後いろいろ調べまくったところ日本の川崎汽船も十分に現時点でウクライナに貢献しており、黒海フィーダーサービスと言う「船舶貨物輸送システム/サービス」が2月末時点で一旦ストップしたものの、現時点ではほぼ9割方の船舶会社で機能していると言う事実です。まさに黒海でコンテナ貨物船や穀物類輸送貨物船が往来を続けており、その多くが臨時的にボスボラ海峡を経てマルマラ海まで到達し何処かの港湾都市で貨物が下ろされて通常のルートで国際貨物として世界中に行き渡っているようですが、しかしそこにはEU諸国の並ならぬ利益を度外視した支援努力が見え隠れしていて今回の調達に際しとても良い勉強になりました。

いろいろ輸送ルートの詳細を知るにつけ、「Slobidka Слобідка (スロビドカ-スロビドゥカ
赤色矢印❷)」までワザワザ行ったのなら、そのままコンテナ貨物を国境を跨いでモルドバに渡したほうが同じ航空便で輸出するにもより短時間で済みそうな気がしますが、実は調べるととてもモルドバ国内はそこまで発達した物流システムが構築されておらず、合わせて航空貨物便の飛行ルートも遠回りを余儀なくされる事が判明し、むしろコンテナ貨物船に積載してトルコに渡ったほうが早い現実を知りました。

また7月〜8月辺りに日本国内でメディアを賑わせた「ウクライナからの穀物船舶貨物輸出」が大騒ぎでしたが、そもそも9月時点でも相変わらず黒海に於けるロシア海軍の武装艦艇は同じロシア海軍所属の航空部隊が黒海制空権を掌握できておらず「地対艦ミサイル/空対艦ミサイル」による攻撃を恐れて船舶貨物船の臨検すらままならない状況らしいです。確かに10月に入った時点でさえウクライナ空軍のMig-29などの出撃回数が天候が良ければ15回〜25回と多いので、特に既に迎撃用ミサイルが枯渇しているロシア航空隊に比して潤沢に空対艦ミサイルを備えるウクライナ空軍の脅威は計り知れないようです (ハープーンもまた支援供与で届いているようですし)。そもそもロシア海軍の黒海艦隊がクリミア半島南部を廻りロシア側近辺にまで退避してしまったようなので日本メディアが騒ぐだけ騒いでいた「黒海封鎖」など何一つ実現できていないようです (但し機雷敷設だけは終わっているので戦後には世界に誇る海上自衛隊掃海艇の登場が想定できそうです)。

当方が調達の為に落札したのが9/3で、その後出品者との会話が弾んでしまい(笑)、実際に発送手続に入ったのは9/5にドニプロ郵便局で国際小包として受け付けされています。その後9/7にオデーサの国際税関局に到着して「通関処理」が当日中に完了して国際貨物として発送されています。

この間、9/5にドニプロ郵便局で受付後にオデーサ到着が9/7なので「都合2日掛かり」になりますが、そもそも遠回りでの鉄道輸送 (コンテナ貨物輸送) だった背景からも16時間は鉄道貨車に揺られていたワケで(笑)、納得できる話しです (たいていの場合日本でさえコンテナから個別の荷物を通関処理するには1〜2日かかる)。つまりピッとバーコードスキャンされない限り「経路地点確定が適わない」のが実状なのであ〜だこ〜だ遅いと騒いだりしてもラチが明かないワケです(笑)

トルコの何処かの国際空港から航空便貨物として混載された今回の出品個体は9/22に川崎東国際交換局 (つまり税関) に到着し、9/23に通関処理されて発送後9/24に国際〒小包として当方に届きました。

実質ドニプロ郵便局を発送してから3週間未満で届いた計算になり、しかも「輸送料金5千円未満」みたいな話しで (ドアツードアならちょうど3週間) 十分に輸送時間も輸送料金までも今までの国際荷物に係る認識範疇に留まり「決して1カ月以上など憶する必要なし」との認識です。

もちろん個別の荷物別に (大きさや重量含め) 異なりますから一概に目安とも言えませんが、少なくとも単なる支援だけに限らず「個別の個人/会社などウクライナ現地の出品者を支援する為の一つの手法」として使えると広く皆さんに訴えたい思いでいっぱいです。

ちなみに出品者との会話 (メール) が弾んでしまった中で出品者にどうしても聞きたいと問われた内容が「現在の日本にも侍が居るのか?」或いは「日本では銃の所持が限られるようだが、その代わりいまだに刀が各世帯に在るのか?」と言う何とも映画ライクな思わず微笑んでしまう質問でした(笑) きっと和室が寝室で床の間に刀が飾ってあるイメージが強いのでしょう。

・・最低で3週間掛かりますが皆さんも是非ウクライナから個人輸入トライしてみて下さい。

今回の出品者もとても喜んでいました (国際貨物の物流遅滞を心配してなかなか落札されないらしいです)。それはそうですね、何しろ戦争しているまさに現地から荷物が届くのですから危惧するのも理解できます。しかしウクライナ支援の為に寄付するだけでなく、このようなカタチで個人相手になりますがダイレクトに現地ウクライナ人との交流が叶い、且つ互いに直接支援効果を感じ取れるメリットがあるので現地ウクライナ人が出品し続けている様々な商品を購入するのも一つの手だと考えました。

・・重要なのは支援金額の多少ではなく互いに支援を通じて交流できる精神性だと思います。

そんなワケで長くなりましたが今回の出品個体はドニプロからまさに戦禍をくぐり抜けて届いた特異な事例の一つだったのです。ちなみにオデーサ国際空港は相変わらず閉鎖中なので船便に頼るしかなかった次第です。

  ●               

今回扱ったモデルはバリエーションで言う処の「後期型」ですが、そもそも光学設計自体が「6x6判中判サイズ」向けなのでそのイメージサークルで考えれば一番美味しい領域だけを
マウントアダプタ経由ですがデジカメ一眼/ミラーレス一眼で使って撮影できると言うメリットがあります。

・・今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体はマウントアダプタ経由装着使用を前提。

そもそもこのマウント規格「PENTACON SIX (P6)」規格は旧東ドイツのVEB PENTACON
(ペンタコン人民所有企業) で用意されたマウント規格ですが、実はその原型が存在します。

・・Prktisix (プラクチシックス) と言うマウント規格で100%の互換性を有します。

そもそもは相当歴史が古く第1次世界大戦前まで遡ります。1915年にドイツ系ユダヤ人の「Kamerawerkstätten Paul Guthe Dresden (カメラヴァークシュテーテン・パウル・グーテ・ドレスデン)」と言うカメラ工房パウル・グーテ・ドレスデンを創設したのが始まりです。

これらの名称はwikiで調べると全く異なるカタカナ表記になっていますが、そもそもドイツ語表記のハズなので (登記自体がドイツ語) ドイツ語に於ける「」はラテン語/英語の「」の発音なので「カメラウェルク・・」と言う発音に成り得ません。何故なら「Kamera」がドイツ語なのにどうしてその後の「werk」だけが英語発音に変わるのかの説明が成り立たないからです(笑) ドイツ語の「werk (ヴァーク)」は「工房/工場」のような意味合いらしいので語尾の「-stätten」まで含めてそのまま和訳すればカメラ工房になります (stättenが附随するのでどちらかと言うと日本で言う処の下町の町工場的なニュアンスが強い)。

ネット上でも数多くのサイトでまるでwikiそのままに表記されていますが(笑)、どうしてドイツ語と英語の発音が混在したままなのに違和感を覚えないのか不思議です (下手するとカメラ店でも同じ表記で解説しているから堪ったものではありません)(笑)

詰まるところ創業当時はちょうど当時の日本で言う「町工場」的な位置付けで少人数の仲間と共に起業したと言った印象です。しかし当時の戦前ドイツでは1939年までの間にナチスドイツ政権の誕生に伴いユダヤ人迫害が激化した為、創業者は挙って国外退避し会社はドイツ人に譲渡されます。戦後には一時期経営者不在などを経てから旧ソ連軍が占領統治していた経緯から幾つもの所属機関を渡りながら最終的に「VEB Elektromaschinenbau Sachsenwerk (電子工学機械ザクセン工場/人民所有企業)」を経てついにPENTACONに吸収されます。

そもそもナチス政権時代にドイツ系ユダヤ人の登記による特許登録自体が強制的に無効になり没収され、新たにドイツ人経営会社に引き継がれ例えば120mmフィルムカメラ「Praktisix (プラクチシックス)」など含め総てが後継会社の特許として変遷した事が影響し、今度は戦後に戦後賠償の一環として半ば強制的にPENTACONに引き継がれていったと言う簡単に説明した場合の流れになります。実際は以前調査した時には丸2日がかりでも上辺だけしか把握できなかったくらいに相当複雑で紆余曲折しており、最終的にPENTACONに吸収されて落ち着いたのが1961年程度の認識です。

そのような経緯もあり元祖「Praktisix (プラクチシックス)」と言う登記が在ったにも関わらず「PENTACON SIX (P6)」へと変遷した流れが掴めました。このようにユダヤ人迫害に伴う
特許権剥奪の経緯を認知しなければ、そもそもマウント規格が100%同一なのにPENTACONに変遷していった (納得できる) 流れが浮かび上がりませんから、一言に旧東ドイツと捉えるにも (括ってしまうにも) 安直な考察は誤解/齟齬を生みます。

もっと言えばネット上で超有名処の某サイトでもこのようなユダヤ人迫害に伴う創設者の国外退避や特許権放棄など、まさに時代の流れに翻弄されてしまったカメラシステムの一つだった事をちゃんとPENTACON SIXの解説として説明してほしいと願うばかりです(涙)

・・PraktisixとPENTACON SIXとの関係性が少しでも理解できたでしょうか。

  ●               





↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
左端からシャボン玉ボケが破綻して円形ボケを経て収差の影響を多分に受けた収差ボケへと変遷する様をピックアップしています。焦点距離80mmの中望遠レンズながら意外にも円形ボケはこぢんまりしていて小振りで且つ真円に至りにくいようです。従ってとてもキレイな円形ボケの表現性とは褒められそうもありません。

二段目
さらに収差の影響を受けた二線ボケまで現れて収差ボケが進み、やがて液体ボケの如く滲んで溶けていきます。合わせてピント面のエッジ表現が煩くないので/誇張的ではないので背景の乱れたボケ味との明確な区別が余計に分かりにくい印象です。

三段目
ここでこのモデルの得意とする要素が絶大に現れます。ピント面の距離に「あからさまに漂う空気感/距離感/リアル感」が秀逸で、このような生々しい空気感の演出効果は相当なレベルと受け取っています。その一方でやはりピント面の先鋭化の傾向が少ない印象を受けるので、敢えてワザとそのような光学設計を狙っているのでしょうか。

四段目
まさにこれ以上無い程に「不快極まりない」的な睨みを利かせている女の子の写真がとても印象的ですが (左端) さすが中望遠レンズなのか人物撮影に於ける人肌の表現性は相応に備えているように感じました。その一方で右側2枚の写真の如くキッチリした (ある意味コッテリ系の) コントラスト表現が得意で、そこに被写体の素材感や材質感まで写し込む質感表現能力の高さを見出しますが、前述のとおりピント面の先鋭化には至っていません。つまりその意味で良く言うなら独特なバランス表現とも指摘できそうです。

五段目
やはりこの当時のオールドレンズの特徴で明部方向のインピーダンスが高くとても滑らかで美しい会長のグラデーションを維持してくれます。さすが中判向け光学設計と言ったところでしょうか。

光学系はまさにネット上で幾らでも掲載され続けている右図構成図のとおり4群5枚のビオメター型です。ネット上の解説などを観ていると「Biometar」を元来のドイツ語発音たるビオメターではなく、ビオメタールと表現しているサイトが意外にも多いですが、どうしてドイツ語からイキナシ「ロシア語/キリル文字」或いは「ポルトガル語」の「語尾にアール音を強調して附随する発音」のビオメタールになってしまうのかいつも不思議です (試しにGoogle翻訳でドイツ語発音を聞けば明白です)(笑)

この構成図で光学系の知識が無い当方がそれでもなお気になるのは「どうして第1群前玉よりも第4群の後玉外形サイズが小さいのか?」です (集光度合いに比して何故この曲率で集束できるのか?)。

もっと明確に且つ簡単に表現するなら、今回扱ったマルチコーティング化されているタイプを後玉側方向から見た時「明らかに後玉の外径サイズよりもその一つ手前の第3群の外径サイズのほうがだいぶ小さい」点です。

何故なら後玉から覗き込んだ時に明確にその一つ手前の第3群の締付環が見えている為 (カニ目溝がある締付環全体が視認できる) どう考えても上の構成図のように第3群と第4群 (後玉) が同径の外径サイズでは「第3群の締付環が見えるワケがない」のがこの構成図を見ただけでもすぐに理解できます/指摘できます。

つまり何一つバラす事なく手元にある現物をチェックしただけで、単純に後玉側から覗き込むだけで上の構成図が当モデルに該当しない事が明白なのに「ネット上の解説ではあたかもこのモデルの光学系構成図を示すが如く掲載されている」点に相当な違和感を覚えた次第です。

当方がいつも指摘している「観察と考察」とは何もバラしてからの話ではなく、バラす前の時点でも既に考察を進められるワケで、重要なのはそのように客観的に捉えようとする努力ではないのかといつも思います (何しろ現物が手元にあるならバラさずとも容易に確認できる内容だから)(笑)

もっと言うならなにも現物が手元に無くともネット上に数多く掲載されている今回のタイプ「後期型」について、掲載写真の後玉側方向からの写真をチェックするだけでも容易に第3群の締付環が視認できる事実を確認できます(笑) だからこそ疑念を抱く事が重要だと考えています (辻褄が合うのか/納得できるのか)。

従ってまず大前提として上の右図構成図が今回扱ったマルチコーティング化した「後期型」の構成図ではない事が明らかなので、その点の探求を進める必要もあります。

↑上の写真 (2枚) は、今回扱ったマルチコーティング化した「後期型」の光学系から取り出した第2群貼り合わせレンズを表裏面で撮影しています。前述の構成図と明らかに異なる要素を示さないとまたSNSで当方がウソを公然と拡散し続けていると批判されるので証拠写真を撮った次第です(笑)

特に裏面側の滑らかにすぼまっているカタチからして前述の右構成図とは別モノなのがご理解頂けると思います (上の2枚目の写真)。

貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤 (バルサム剤) を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す

バルサム切れ
貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態

ニュートンリング/ニュートン環
貼り合わせレンズの接着剤/バルサム剤が完全剥離して浮いてしまい虹色に同心円が視認できる状態

フリンジ
光学系の格納が適切でない場合に光軸ズレを招き同じ位置で放射状ではない色ズレ (ブルーパープルなど) が現れてエッジに纏わり付く

コーティングハガレ
蒸着コーティング層が剥がれた場合光に翳して見る角度によりキズ状に見えるが光学系内を透過して確かめると物理的な光学硝子面のキズではない為に視認できない

従って今回のオーバーホールに際し完全解体した後に光学系の清掃時当方の手でデジタルノギスを使って逐一各群の光学硝子レンズを計測してトレースした構成図が右図になります。

同じ4群5枚のビオメター型構成ですが明らかに各群の外径サイズや曲率に厚みに至るまでが異なっており、特に後群側曲率や外径サイズなど全く別モノであるのが明白です。

どう考えても最短撮影距離が1mのままで変わらずともコーティング層蒸着をマルチコーティング化してきたならその分解像度や収差の制御も変わるハズなので、同一の光学設計のままで済むハズがないと推測できるからです。

そして実際に実測値を基にトレースした右構成図を見れば明らかで「第4群後玉から覗き込んだ時に一つ手前の第3群のカニ目溝がある締付環全体が視認できるのが明らか」と指摘でき、現物の状況とようやく一致し納得できた次第です (要は光学系第3群外径のほうが小さい)。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。構造面では至って一般的な当時のオールドレンズの概念に倣う構造ですが、ご覧のように全面に並べてまとめている「ひたすらに締付環ばかり」なのがある意味特徴です。締付環なので単に対象物を格納させてから締め付けるだけで何一つ微調整が必要にならないので簡単なのですが、逆に言えば締付環以外の場所で微調整機能が備わりそこの仕上げ方如何で組み上がり時の操作性がガラッと変化する神経質さがある意味このモデルのイヤな側面です。

さらに厄介なのが何と言っても絞り羽根の制御系なので、幾つかの問題点を解消する為の「本来用意されて然るべき微調整機能が備わらない意味不明な設計」なのが詰まるところ耐用年数以前にそれこそ造りきりで考えていたかの如く受け取れてしまうのが「さすが旧東ドイツ製」とも言えてしまいそうです。

・・これらを鑑みるとなかなか好きこのんで扱いたくないモデルの一つに入っています。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する為の鏡筒です。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑ここからがおそらくこのモデルの「絞り羽根開閉制御」に纏わる様々なトラブルの根源を現すまさに核心的なパーツで「開閉環の機構部」です。「開閉環」なので絞り環の設定絞り値によりそれに見合う制御で絞り羽根の開閉をダイレクトに行うパーツを意味しますが、その駆動能力を決める要素が在るにもかかわらず「たいていの場合で過去メンテナンス時に一度も触られていない部位」とも明言でき、実際今回の個体も生産後一度も開封されていなかった事が判明しています (締付環の締め付け位置で確認できるから)。

開閉環:まさに絞り羽根が刺さってダイレクトに開閉動作するための環/リング/輪っか
格納環:これら構成パーツが全て一式格納される為のケースの役目
締付環:鋼球ボールx3個を格納した際に締め付け固定する役目
保持環:3個の鋼球ボールを保持させて均等に回転を維持する役目

・・こんな感じですが、上の写真でグリーンの矢印の箇所に唯一の他のパーツと連結する為の「切り欠き//スリット」が備わります。また「開閉環」の外周には鋼球ボールの通り道 (ブルーの矢印) が用意されていて「開閉環の動作能力を保証する箇所」である事が分かります (ここにサビが出ていたらアウト)。

しかし実はその認識が整備者に在るのか否かが問われる話しなので、意外とこの部位「絞り羽根の開閉機構 (開閉環)」の組み立て作業は相当大変で厄介な内容です。一度でもここをバラした事がある整備者なら知っていますが、まず二度と解体しないでしょう(笑)

・・要はそれほど大変な作業を伴う高難度の部位です。

上の写真の中に一緒に写っている「保持環」がちゃんと3個の鋼球ボールを保持してくれるから難なく組み上げられると考えがちですが(笑)、現実はそんな生易しい設計ではありません。

・・と言うのもこの保持環は「鋼球ボールの中心の位置に浮いた状態でセットされるべき設計を採っている」からであって、それこそがこの部位の高難度な組み上げに及ぶ最大の理由とも言えるのです。

逆に指摘するなら、そもそも「開閉環」に備わる鋼球ボールが通る道部分が「鋼球ボールの鋼球の曲がりに合わせたカタチに切削されている」いわゆる歪曲した溝になっているのが一目瞭然ですが・・だからこそその道/溝をコロコロ回る時の鋼球を保持する役目は鋼球ボールの中心位置で浮いている必要がある・・と言う概念から「保持環は中に浮いている必要がある」話しに繋がるのです。

まさにこのように内部の構造や構成パーツを逐一「観察と考察」していく事で適切な組み上げが適う非常に良い例とも指摘できる部位なのです。

もっと言うなら「保持環がガシッと鋼球ボールを完全に保持する厚みのある/高さのある環/リング/輪っかなら話しは簡単だった」ワケですが、しかしちゃんとよ〜く考えてみれば、それだけの厚みを持たせてガシッと鋼球ボールを保持させてしまうと組み立てるのが簡単だとしても「肝心な鋼球ボールの回転するチカラ/転がり率にむしろ悪影響を及ぼす原因に至る」事が分かり、この保持環の厚みは可能な限り薄い必要があるとの結論に到達します。

逆に考察するなら、このように解体したとしてもその時点でちゃんと適切な考察に至っていなければ前述の話のように「適切な状態にこの部位を組み上げられない」結末に至ります。それが何かと言えば、その答えは「格納環の底部分 (にも備わるアール面) と合わせて実は締付環裏側に用意されている平滑面の存在を理解しているか否か」なのであって、要は鋼球ボールを押さえ込んでいるのは「開閉環と保持環ではなくて格納環と締付環なのだ」と言う真逆の設計概念で作られている点です (おそらく多くの整備者がこの点に気づかない)。だからこそ「締付環のネジ込み停止位置=封入位置のチェック」だけで製産されてから過去に一度でも開封されているのかどうかが判明します (一度でも開封されていれば再び封入の為に締め付けられるのでネジ山に摩耗痕が残るから)。

するとこの後の工程で解説が出てきますが、開閉環が中空に浮いている必要があるのと同時に保持環まで一緒に浮いている状態で3個の鋼球ボールを外れないよう位置合わせしつつ、その上から「締付環をネジ込んでいく作業」とは・・果たして2つの手と10本の指しかない人間の両手作業でどうやって作業を進めれば良いのか?・・と悩む話しに至るのです(笑)

↑無事に組み上がりましたが、この写真を撮るのに既に2時間が経過しています(笑) 正直な話し、当方は既にコツと言うかどのように作業すれば組み上げが叶うのか理解できているので2時間で完成しますが、熟知していない整備者がバラしたらハッキリ言って丸一日がかりで取り掛かっても組み上げられないでしょう(笑)

格納環に対して開閉環や鋼球ボール (3個) に保持環など全て一式仕込まれた状態で最後に「締付環で締め付け固定されている状態」です。3個の鋼球ボールが均等配置で開閉環の外周部分にセットされている状態で、且つ抵抗/負荷/摩擦など一切影響せずにこのまま勢い良く「開閉環を回したら実測値で1秒半〜2秒程クルクルと平滑に回り続ける」くらいの滑らかさが必須なのです。

ところが当初バラした直後には経年による酸化/腐食/錆びの影響で回しても開閉環はすぐに停止してしまう程に平滑性を失っており、実はそれが因果関係として影響し「絞り羽根の開閉異常を起こしていた」のにもかかわらず、過去メンテナンス時に整備者はマウント部内部のスプリング (2個) や或いは「開閉アーム」と言う絞り羽根の開閉をダイレクトに操作するパーツの向きやカタチを強制的に変更したり「いわゆるごまかしの整備」で仕上げていたので、さすがに経年でいずれのパーツも弱ってしまった次第です。

開閉環 (赤色矢印) の外周に備わる鋼球ボールの通り道を均等配置で3個の鋼球ボールが保持環により保持されて (格納位置を変える事なく) 均等に転がりのチカラを提供します (ブルーの矢印)。さらに開閉環の1箇所に備わる「切り欠き//スリット」が操作されても (グリーンの矢印) その影響が「円周上に抵抗/負荷/摩擦として現れない」事が担保されている必要が必須と言える構造です。

例えば鋼球ボールと同じように開閉環を操作するチカラも「外周から3箇所で同じチカラで及ぶ/操作される」なら単純明快で均質なチカラが及んで絞り羽根の開閉が適う話だとすぐに分かりますが、現実の設計は「絞り羽根の開閉のチカラが及ぶのはたったの1箇所」なので、その操作するチカラが及んだ際に「均等に分散させて絞り羽根の開閉動作に影響を残さない平滑性の担保」がこれら鋼球ボール3個を使った回転機構部の「設計概念」である事をどんだけ整備者が理解していたのかが問われているのです(笑)

・・残念ながら過去メンテナンス時の整備者はここを解体しませんでした。

↑同じ完成した開閉環の機構部を今度は真正面の前玉側方向から撮影しました。するとご覧のように「開閉環の外径サイズが小さくて格納環との間に隙間が在る」のが一目瞭然です。ブルーの矢印で指し示した箇所に3箇所で均等配置で鋼球ボールが仕込まれています (保持環で位置が確定されている)。そして前述のとおり円周上の1箇所に備わるグリーンの矢印で指し示した「切り欠き//スリット」が上の写真では10時くらいの位置に来ていますが、現実は360度どの位置でも平滑に停止します。

するとここでのポイントは「開閉環はそのままでは外径サイズが小さいので格納環に留まらずに通過して落下してしまう」サイズなのが分かり、合わせて「すると開閉環を保持しているのは鋼球ボールの半径の分だけ」なのが理解できます。

つまりこれら均等配置されている3個の鋼球ボールを確かに「保持環」でその固定位置を限定できるものの、現実的に3箇所の位置で「鋼球ボールを同時に保持しながら開閉環をセットして締め付け環を回しながら締め付け固定していく作業」をいったいどうやって行うのか???

・・という全く以て難度が高い作業の話しなのです(笑)

つまり両手と全ての指を駆使しても3個の鋼球ボールを保持しながら中空に浮いている状態で (鋼球ボールの半径だけで開閉環を受けとめて) 且つ同時に締付環をネジ込んでいく作業に「どう考えても両手と10本の指では足りない」のがご理解頂けると思います(笑)

だからこそ作業のコツを理解していない整備者は丸一日がかりでもこの部位を組み立てる事ができません。何時間何日トライしても組み上げは不可能でしょう(笑)

ヒントはどうやって開閉環を宙に浮かせつつ均等配置で3個の鋼球ボールをちゃんと通り道 (開閉環の外周に備わる) にセットして、且つ保持環で位置決めしてから締付環をネジ込んでいくのかと言う話しです。

従ってここの経年劣化に伴う酸化/腐食/錆びを完全に除去しない限り、何しろマウント部内部のスプリングの線径が細すぎて絞り羽根開閉動作のチカラを増大させる事が適わず、合わせて「開閉アームに備わる捻りバネの強いチカラとのバランスを執るのか」と言う全く以て同道巡り的な思考に対して答えを用意する必要があるワケです(笑)

・・正直、この答えをすぐに出せる整備者は相当少ないでしょう(笑)

↑完成した開閉環の部位をひっくり返して裏側を撮影しました。このように8枚の絞り羽根分の「開閉キーが刺さる穴」が備わるので、この開閉環が回る事で絞り羽根の開閉動作が実現できる原理です。そしてその開閉動作のチカラを及ぼす箇所が開閉環の円周上の1箇所たるグリーンの矢印で指し示している「切り欠き//スリット」なのが分かりますね。

もう既に上の写真を撮影した時点で組み上げが完成しているので「開閉環を指で弾いて回してみると勢い良く回転し続けて1秒半〜2秒ほどクルクルと回り続ける」次第です。当然ながらグリーンの矢印で指し示している「切り込み//スリット」部分もクルクルと回り続けます。

・・正直な話しこの部位の組み立て如何で絞り羽根開閉の挙動が決まると言う話です。

だからこそず〜ッと指摘し続けているこの部位の組み上げ次第でこのモデルでの「絞り羽根開閉異常の改善の有無が決まる」ので、どんだけ完全解体する必要性が高いのかがご理解頂けると思います。たいていの場合は解体せずに下手すると「潤滑油」を注入されてしまうので、さらに経年で酸化/腐食/錆びを促してしまい、且つ当然ながら絞り羽根の油染みさえもすぐに生じてしまう話しに至ります。

・・はたしてそんな整備を「整備した」と呼ぶべきなのでしょうか?(笑)

↑最終的に開閉環の平滑性を取り戻したので (この状態のままでもチカラを加えれば開閉環は凡そ1秒〜1秒半ほどの時間ひたすらに回転を続ける平滑性) 冒頭でご案内した以下の不具合内容についてその改善が見込める話しに至りました。

絞り環操作時に「f16〜f22」が閉じない。
 絞り連動ピンを押し込まないと完全開放しない。

この2つの問題についてパッと考えてすぐに「あッ!開閉環の鋼球ボールかョ!」と面倒くさく感じたのか否かがまさにスキルを示していると言うお話です(笑)

↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。写真上側方向が前玉側にあたります。

↑鏡筒の周りに備わるネジ山に「制御環」をネジ込んでセットしたところです。するとこの制御環をいったい何処までクルクル回してセットすれば良いのかの判定が必ず伴い、それをミスると距離環を回した時のチカラの伝達が不適切に至り「やはり絞り羽根の開閉異常が起きる」ワケで、簡単にネジ込んでいけば良いと考えるのは浅はかです(笑)

その理由を解説しているのがまさに上の写真で、制御環の途中に備わる「制御用ガイド (溝)」に絞り環からの連結棒が刺さるので「距離環を回した時にこの溝部分をその棒が行ったり来たりして鏡筒を繰り出しつつ設定絞り値を伝達する原理」です (グリーンの矢印)。

つまり上の写真で示したようにグリーンの矢印で示した領域が「まさに鏡筒の繰り出し量そのもの」である必要があるので。例えばヘリコイド (オスメス) のネジ込み位置をミスったり、前述のようにそもそもこの制御環自体のネジ込み度合いをミスったりすれば自ずと距離環を回しつつ設定絞り値操作を行う時のチカラが正しく伝達されずに「絞り羽根開閉異常を来す」或いは下手すれば「距離環のトルクムラを生じさせる因果関係」とも指摘でき、様々なオールドレンズの不具合についてその症状に見合う因果関係が必ず顕在し、逐一指摘できるワケですね(笑)

・・はたして整備する人はどんだけそれらを理解しているのでしょうか?(笑)

単にバラして元の順番で組み上げれば完成すると信じてやまない整備者ほど、バラす前の状態で起きている様々な不具合についてその因果関係を逐一指摘できず、合わせてその改善策まで思い描けません(笑)

もっと言うなら上の写真で明らかに「制御用ガイドの一部分が極僅かに切削されていない理由」が分かるのでしょうか?(笑) 制御環はグルッと円形状にシルバーに磨かれていますが (切削されていますが) その一方でどうしてガイド部分の一部がグレーのまま削られていないのでしょうか???

この状態のままでそれをピタリと言い当てられない人は「残念ながら整備者の資格がない」とも言い当てられ、それがまさに現実なのです(笑)

オールドレンズの内部構造や各構成パーツの造りについて一切ムダな作業工程や切削はあり得ません。もしも仮にそれが顕在するなら「それは他のモデルとの共通パーツである証拠」のハズなので、逆にその要素をもそのパーツを見て言い当てられなければ適切な微調整などできるハズもありませんね(笑)

・・簡単な道理です!(笑)

ちなみに希にお問い合わせメールを頂く内容に「どうしてバラした後にマーキングするのですか?」と冷やかしが着信しますが(笑)、そのような内容である時点で既に同業者なのがバレバレです(笑)

確かにバラした時の元の順番で組み上げるだけの整備者なら「マーキングが必須」になり、その位置で締め付け固定すれば当初バラす前の操作性に近づけられるのが用意に理解できますが、実は当方がマーキングしている理由は「そもそも過去メンテナンス時の処置が正しかったのか疑っているのでその位置をマーキングしているに過ぎない」ワケで、要は過去面で氏の整備者のスキルを全く信用していないのです(笑)

するとマーキングしておけばその位置で固定したがためにどのような影響が現れたのかを知る因果に至るので、その位置で固定したいからマーキングするのではなくて「過去メンテナンス時の整備者の不手際の証拠を掴む目的」だけでマーキングしている次第です。

バラす前の様々な不具合との整合性が執れれば後は簡単な話で微調整できるのか否かで改善が適い、或いは微調整できないならでは他からのチカラの伝達の中野何処で相殺させるのか改善策の考察が適うと言う話です。

従って当方が実施しているマーキングはその程度の意味しかないので、必ずしも仕上がったオールドレンズの内部はマーキングの位置で必ず各構成パーツが固定されているとは限りませんね(笑)

・・そもそも完全解体している理由からして違うので当然な話です(笑)

ネット上の作業などを見ているとあたかも辻褄が合うが如く解体しないのを弁明しつつ進めている整備者がいますが(笑)、そんなのはまさに言い訳に過ぎず、本当に自分の眼で正しい事をチェックしたのかどうかは完全解体しなければ確認のしようが無いのに、その矛盾の説明を敢えて明示していません(笑) ちゃんと駆動しているから解体する必要がないなど、どうしてそのように明言できるのかの「まさに今回のオーバーホールが良い一例」とも案内でき、開閉環機構部の平滑性へのチェックと配慮ができていなかったからとも指摘できます。

・・そう言うのを「ごまかしの整備」と当方では呼称します(笑)

↑制御環の反対側を撮影しました。反対側にはダイレクトに絞り羽根を開閉する役目の「開閉アーム」がセットされて、実際に鏡筒内部の「開閉環の1箇所に備わる切り欠き//スリット」に開閉アームの先端部分が刺さっています (赤色矢印)。

従ってこの開閉アームが左右に動くことで絞り羽根の開閉が実施されて設定絞り値まで瞬時に絞り羽根が閉じます。その時の動きがブルーの矢印で指し示している内容です。

またこの開閉アームのパーツには特大で非常に硬い反発力を持つ「捻りバネ」が備わるので、上の写真グリーンの矢印で指し示した方向に向けて「常時絞り羽根は最小絞り値f22まで閉じきっている状態を維持」する設計概念なのが分かります。

逆に言うなら、他の部位で (現実はマウント部内部で) この捻りバネの強いチカラに対抗できる力が及ばない限り「絞り羽根は完全開放しない」のが自明の理ではありませんか?(笑)

つまり当初の問題点で・・ 絞り連動ピンを押し込まないと完全開放しない・・としていた症状に対して別の部位からその反発力に適うチカラが足りていないから「完全開放していない」との因果関係が既に導き出されている話になります。

・・こういう事柄が整備時に必要になるスキームの一つです。

↑鏡筒の制御系も十分な平滑性を担保できたまま完成したので、ここからはヘリコイド (オスメス) とマウント部の作業に入ります。上の写真は距離環やマウント部を組み付ける為の基台です。

↑ヘリコイド (メス側) が内側に備わる「距離環」を無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

するとここで一般の方々向けに一つアドバイスがありますが、ご覧のように距離環の内側にヘリコイド (メス側) が切削されているので「距離環に何処かに打痕の痕が残っていれば距離環の真円が保証されずにトルクムラを来す因果関係に至る」ので、実はこの当時のCARL ZEISS JENA DDR製オールドレンズの多くのモデルで「外観上の打痕の箇所」は場合によって改善できないトルクムラに原因になり得ます。

・・そもそも真円に戻すにはどうすれば良いのかが確証在りませんね(泣)

数十年の年数を経たオールドレンズなのだから多少の外観上の打痕などは全く気にならないと言う人達も確かに多いですが、ことこのモデル、或いは当時のCARL ZEISS JENA DDR製オールドレンズの多くにはそれは危険極まりない懸念材料になります。何故なら真円を維持していない限りどんなに塗布するヘリコイドグリースを軽くしても取る玖村は一切解消できません。

・・何それが道理と言うものです。

↑こちらの写真はこれからネジ込むヘリコイド (オス側) になり、フィルター枠からの延長上にヘリコイド (オス側) が用意されています。

するとここでも前述の話しが適用され「フィルター枠に部痕があれば今度はヘリコイド (オス側) のトルクムラの因果になり兼ねない」のがご理解頂けませんか?

もちろんフィルター枠が凹んだだけで肝心なヘリコイド (オス側) にはその応力が及んでいなければ懸念材料はだいぶ少なくなるでしょうが、しかしそれを確認できるのはオーバーホール作業の工程の中での話しです。

どう考えても「距離環もフィルター枠も打痕が無いほうが無難」なのが当然な成り行きというか受け入れ方になりませんか?(笑)

なお下部には「直進キー」が後付けではなくて「切削で用意されている設計」なのが整備者にとってのポイントになります。

直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目

↑ヘリコイド (オス側) を備えるフィルター枠を無芸の当たりを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で9箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

上の写真では既に無限遠位置に適したネジ込み位置でセットしてあり、且つちゃんと最短撮影距離1mの指標も適切な位置に来ています。この時当然ながら距離環とフィルター枠との間に隙間など空きません。

↑この状態でひっくり返して撮影しました。すると前述の「直進キー」が両サイドに切削で用意されているのが分かります。その直進キーを押さえ込んでいる「コの字型のパーツ」が直進キー押さえになり (赤色矢印) 締付ネジで締め付け固定されています。ここの強度が適切でないと直進キーが経年で摩耗したりトルクムラの因果関係にも至ります。

実際今回の個体は冒頭でご案内した問題点の・・ 直進キーの固定にごまかしがありトルクに影響・・がまさにこの「コの字型の押さえ」固定の話しで、片側だけを硬締めせずに緩いまま仕上げていました。結果経年で摩耗が進んでしまいトルクムラの因果関係に至りました。仕方ないのでコの字型の押さえの固定位置を調整して両サイド共に均質に硬締めしてトルクムラを解消しています。

・・過去メンテナンス時のごまかし整備の一つです。

↑いよいよ問題のマウント部内部の組み立て工程に入ります。上の写真はほぼ全ての構成パーツを取り外していて当方の手により「磨き研磨」を終わらせています。過去メンテナンス時にこの内部にもグリースが塗布されていたので一部にサビが生じています。

・・基本的に当方はマウント部内部にグリースを塗りません。

何故ならこの部位には大凡たいていのオールドレンズで「光学系後群側」が近接して配置されるので、できるだけ経年での揮発油成分の影響を光学系に及ぼしたくないからグリースを塗りません (理由が明確です)。

↑バラしていた各構成パーツも同様「磨き研磨」を経てセットします。ちょっと分かりにくいですが、マウント面から飛び出る「絞り連動ピン」や「プレビューレバー」に「操作爪」などがそれぞれ組み込まれています (赤色矢印)。

この中で冒頭の様々な問題点を起こしていた張本人は上の写真グリーンの矢印で指し示した「微細な線径のスプリング2本」で、既に過去メンテナンス時に短めにカットされているのでこれ以上チカラを強くできません。残念ながら既に経年で弱ってしまっています(涙)

さすがにスプリングで特に今回のような引張式タイプとなれば伸びきって弱ってしまったスプリングはどうにも回復できません。さらにカットすればその時点だけは相応のチカラで反応しますが、せいぜい数ヶ月でまだ弱ってしまいもうどうにもならなくなります。

従って今回の個体は残念ながら「中判サイズのフィルムカメラに装着しない」事を前提に仕上げるしか在りません。

・・残念ですが処置無しです。

特に「」部分も同じ黄銅製のパーツなので、下手に強いチカラを及ぼす代替スプリング (引張式) をセットしてしまうと今度はこの爪が曲がってしまい最悪根元が破断します (既に過去メンテナンス時にだいぶ何回も曲げた痕跡が残っている)。この爪が破断したら「製品寿命」に堕ちるのでここは仕方ないですが一部の機能を捨てます。

↑鋼球ボールとスプリングを組み込んでから絞り環をセットしてクリック感を実現します。

↑完成したマウント部組み込んでいよいよ最後に光学系前後群を組み込んでから無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。正直今までにこのブログで解説していなかったのに気がつき、今回掲載しました(笑)

ちょうどウクライナの戦禍をくぐり抜けてきた個体だったのでその解説も兼ねてご案内しました。またこれからも機会があればウクライナの出品者からオールドレンズを調達したい気持ちは大きいですが、そうは言っても何でも良いワケでもなくなかなかチャンスが訪れません。

↑正直当初バラす前の時点では光学系内にカビや薄いクモリなどが特に外周部分に多く残っていて、下手すれば光学系第2群の貼り合わせレンズでバルサム切れが起きているのかと危惧しましたが無事でした。

光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

・・正直、こんなにキレイな光学系になるとは考えていませんでした(涙)

↑光学系後群側のほうがカビ除去痕が多く残っていますが、そのほとんどは「パッと見で塵/埃に見えてしまう極微細な点状」なので、言われなければ普通の範疇に捉えてしまうかも知れません。

・・もちろんLED光照射で極薄いクモリが皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:11点、目立つ点キズ:7点
後群内:18点、目立つ点キズ:10点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後玉に微かな点状カビ除去痕が複数あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大5mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
(前後玉に点状カビ除去痕複数残っています)
(後群側に微細な点状カビ除去痕複数あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑上の写真は冒頭で解説した「後玉側から覗き込むと第3群の締付環が視認できる」事の証拠を示す写真解説で、第3群の締付環にある「カニ目溝」部分を赤色矢印で指し示しています。両サイドに1つずつカニ目溝があるので2箇所と言う話になります。このように見えているなら自ずと「第3群の光学硝子レンズの外径サイズが後玉より小径である」事が自明の理です。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が指に伝わります(擦れ感強め)。
・今回出品個体は附属のマウントアダプタへの装着使用を前提としています。マウント面から突出している絞り連動ピンを無効化させてあり、内部に収納状態にセットしてあります(突出せず)。また同時にマウント部直前に備わるプレビューレバーも操作自体は可能ですが内部でプレビュー機能をやはり無効化させてあります。いずれも将来的に簡単ににオリジナルな状態に戻す事が可能なように処置してあるので改造/切削など行っていません。
・附属のPIXCO製P6→M42マウントアダプタはスピゴット式マウント規格なのでオールドレンズ装着後に締付環のローレット(滑り止め)を回して締め付け固定する方式ですが、外す際ローレットの位置によりオールドレンズが引っかかって外せない事があります。これはマウントアダプタ側の製品仕様なのでフィルムカメラ装着時は同様現象が起きません。単純にマウントアダプタ側のローレット(滑り止め)が回りすぎているだけなので、極僅かに前後させればスッと外せます。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
本体MC BIOMETAR 80mm/f2.8《後期型》(P6)』
Pixco製P6 → M42マウントアダプタ (新品)
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
純正樹脂製被せ式前キャップ (中古品)

↑附属のマウントアダプタを装着する際の手順を示しています。このモデルのマウント規格は「PENTACON SIX (P6)」なのでマウント規格の種別としては「スピゴット式」と言います。オールドレンズ側マウント部の3つ備わる爪の一つに「リリースキー」があるので (赤色矢印)、それをマウントアダプタ側の「」部分に合わせて差し入れてから (グリーンの矢印) マウントアダプタ側のローレット (滑り止め) たる「締付環」をブルーの矢印方向に回します。

単にオールドレンズをマウントアダプタ側の溝に合わせて差し込んだだけで心許ないですが、締付環を回して締め付ければすぐに確実に固定完了します。取り外す際は単に「締付環を反動方向に回すだけ」ですぐに外せます。

↑上の写真はマウント部の解説ですが、スピゴット式マウント規格なので爪が3箇所に配置されています。そのうちの一つに「リリースキー」と言うキーが突出しています。このリリースキーがマウントアダプタの中に刺さってオールドレンズの向きが決まります。

一方今回の出品個体は前述のオーバーホール工程での指摘のとおりマウント部内部の2本あるスプリングが弱っている為、残念ながら「絞り連動ピンの機能を無効化」させています (赤色矢印)。絞り連動ピンが本来正しくは突出するのが仕様ですが、今回の個体は内部に収納している状態を維持するよう処置を講じています。

但しこの問題はマウントアダプタに装着する限りは一切関係ないので (絞り連動ピンをマウントアダプタ側が一切操作しないので突出の有無が関係しない) デジカメ一眼/ミラーレス一眼にマウントアダプタ経由装着する際は関係ありません。

同様に鏡胴側面に突出している「プレビューレバー」もレバーを操作して動きますが内部で機能しないよう処置してあります。

本来は冒頭解説のとおり「P6向けオールドレンズは常時最小絞り値まで絞り羽根が閉じるチカラが掛かる」設計なので、マウント面から飛び出ている「絞り連動ピンが押し込まれる事で完全開放する仕組み」です。

従ってマウントアダプタにセットした場合は絞り連動ピンが一切押し込まれないので絞り環操作時は「手動絞りの状態」にセットされており、絞り環を回して最小絞り値方向に向かうと絞り羽根が閉じていく動き方になります。

また一方でプレビューレバーの操作は「絞り連動ピンが押し込まれて完全開放している状態の時だけ機能して設定絞り値まで瞬時に閉じる」ので、例えば一般的な自動絞り方式の「M42マウント規格」のオールドレンズと同様にプレビューレバー操作で設定絞り値まで絞り羽根が閉じるものの「絞り連動ピンの押し込み時の絞り羽根の挙動が正反対」なのが違う要素です。

つまりフィルムカメラに装着した時だけ「自動絞りに設定できない」だけで手動絞りで絞り環操作に伴い絞り羽根が閉じていく動き方は同一のままです。

また合わせてマウントアダプタ経由デジカメ一眼/ミラーレス一眼に装着して使っても「例え正常駆動する個体でもマウントアダプタ経由では手動絞りのまましか使えない」と言う話です。

・・今回の個体はマウントアダプタへの装着を前提としています。

↑但し注意事項があります。今回附属させているマウントアダプタは中国製のPixco製商品ですが「締付環」の回転領域がご覧のとおり少々行きすぎる設計です (ブルーの矢印のように左右に回せる)。その為にP6マウント規格のオールドレンズのリリースキーを差し入れた時に入りにくかったり、逆に外す際に引っかかって外せなかったりします。

その因果関係が上の写真グリーンの矢印の状況で、リリースキーが入るべき溝の切り欠きの位置に対して「締付環が少々行きすぎる箇所で突き当て停止する設計」なので、この状態でセットしようとしても入りませんし、逆に外そうとしても引っかかります。グリーンの矢印のように左右のスペースが同じ程度になっていないとオールドレンズ側マウント面の爪が引っかかってしまうのです。

↑そんな時は少しだけ締付環を回して調整すればご覧のように左右のスペースを同じにすればオールドレンズの着脱が容易にできます。

このように締付環が引っかかっている時にちゃんと両手でそれぞれを保持せずに操作していると「スピゴット式マウントの場合オールドレンズを落下させ易い」ので注意が必要です。ゴロッといきなり外れて落下したりするので気をつけて下さいませ。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離1m附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値を「f4」に設定して撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮りました。

↑f値は「f8」に上がっています。

↑f値「f11」での撮影です。

↑f値「f16」です。既に「回折現象」の影響が現れ始めていて解像度の低下と共にコントラスト低下も起き始めています。そもそもフード未装着なのでその影響もあります。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。