〓 Heinz Kilfitt München (ハインツ・キルフィット・ミュンヘン) Makro-KIlar E 4cm/f2.8 ・・・ (black)《後期型》(M42)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
Heinz Kilfitt München製マクロレンズ・・・・、
Makro-Kilar 4cm/f2.8 E (black)《後期型》(M42)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Украине!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

当方にとっては日々の撮影で愛用レンズの一つになっている1955年に世界で初めて作られたマクロレンズ「Makro-Kilarシリーズ」ですがその光学系は3群4枚エルマー型であまりにも簡素な構成です(笑)

右図は完全解体した際に光学系の清掃時に当方の手で逐一各群の光学硝子レンズをデジタルノギスを使って計測したトレース図です。

すると第1群 (前玉) だけ「僅かに褐色系に色付きしている」のを 色で示していますが、放射線量を計測すると「0.78μ㏜/h」だったのでいわゆる光学系内の光学硝子が「黄変化」しているとしても俗に言う「アトムレンズ (放射線レンズ)」ではない事が分かります。

資料を発見できていませんがもしかすると「ランタノイド (ランタン材)」を光学硝子材に含有しているのかも知れません (屈折率を10%代向上させられる)。

もしもランタノイドの含有とするなら前述の酸化トリウム含有による屈折率向上を世界規模で光学メーカーが探求していた時代 (1950年代1960年代) に「敢えてランタノイドを使った」点に於いて設計開発者たるHeinz Kilfitt (ハインツ・キルフィット) 氏の先見性に感心せざるを得ません。実際歴史的に捉えても各国の光学メーカーが光学硝子レンズへの酸化トリウム含有に拠るブラウニング現象からランタノイド含有に代替したのは1970年代だからです。

特にこのような与件についてはそもそも当時でさえ現代物理学の父と称されるノーベル物理学賞受賞のアインシュタイン博士やその友人たるFrank G, Back博士 (米国在住で後の1972年にHeinz Kilfittの会社を買収しZoomar社と改称した) と共にKilfittが開発する光学顕微鏡や光学製品に対して非常に高い関心を示していたことが当時の資料からも伺えるからです。

 アトムレンズ (放射線レンズ)
光学硝子材に酸化トリウムを含有 (10%〜30%代) させて屈折率の向上 (20%代) を狙った光学硝子レンズ

ブラウニング現象
物質の経年変化に拠り褐色に着色し褐変 (かっぺん) する現象を指す (食品や光学硝子レンズなど)

黄変化 (おうへんか)
光学で言う処の黄変化とは光学硝子レンズの経年変化に拠る変質で褐色に色付く現象を指す

ちなみに「アトムレンズ (放射線レンズ)」の放射線量を測定すると「小数点以下の計測値にはならない」ので判定できます。放射線量単位が「μ㏜」なので例えば日本の自然放射線に於ける年間被曝量 (2008年報告/日本原子力安全研究会) である「1.48m㏜」と比較した時には気にするべき計測値ではないことが分かりますね (μ㏜はm㏜の1000分の1)。

余談ですが2008年時点の日本に於ける自然放射線の年間被曝量は正直なところお隣中国や韓国と比べても実は日本人の被曝量が多いワケです。つまり中国人や韓国人よりもより多く年間に被曝している事を話していますが(笑)、その因果関係とは「それだけ日本の空が/空気がキレイだからこそ被曝しちゃってる」話なので何とも喜ぶべきか悲しむべきかと言うジレンマみたいな話です(笑)

なお上の用語解説での「黄変化」とは総ての光学硝子レンズに於ける変質を含む総称なので「黄変化=アトムレンズ (放射線レンズ)」という捉え方は本来適していません。「アトムレンズ (放射線レンズ)」の経年に拠る変質は「赤褐色化」であって「酸化トリウム」を含有していない光学硝子レンズの「黄変化」とはまた異なります。

例を挙げるなら「蒸着したコーティング層の経年劣化に伴う酸化/変質」は「どちらかと言うとレモンイエローの色付き」でありこの状態を俗に「コーティング焼け」と呼ぶ事が多いので何でもかんでも「黄変化=アトムレンズ (放射線レンズ)」の認識に立って括ってしまう考え方は余り好ましくないと考えますね (相手に的確に伝わりにくくなるから/下手すると誤解を招く)。

さらにここでもう一つ確実に抑えておくべき与件があります。それは今回扱ったマクロレンズが「アポクロマートレンズ」である点です。

アポクロマート
色の三原色」たる3色の光/波長に対し軸上色収差を補正し結像点に合焦一致させる概念

単に被写体を近接撮影する特異点だけに注目して特化したオールドレンズではなく、その中でも特に「色収差/色ズレ」を徹底的に排除する概念で開発設計されたマクロレンズである事を しっかり捉えるべきです。

まさにその証拠がレンズ銘板に誇らしげに刻印されている「 」の3色のドットであって 光学系内に入射する自然光に対し「色の三原色」の波長/波動「」についてピント面の 色ズレが起きない安心感は相当なレベルです (色ズレを防げると言う事はコントラストが維持され且つ解像度は上がる)。

オールドレンズに於ける入射光たる総天然色は「色の三原色」により表現できるワケですが、現代に於いてはデジタルな世界なので「」の「」ですし近年では4K/8Kにて「色の四原色」とし「」と「黄色」を含める事でコントラストを落とさずに発色点の輝度を上げています (その結果解像度も上がるのでより生々しい現場の描写が実現した)。

この「色の三原色」はどの色/波長を優先するのかの概念はそれぞれの光学メーカーの方針や 戦略に拠ります。例えばある会社は「自然の色合いや森林/青空などを鮮やかに表現したい」との戦略かも知れませんし、別の会社は「いやウチは人肌の表現性を追求する」のかも知れません。従って必ずしも決まった色合い/波長に限定されず、且つその優先順位も各社各様と言う 話になります。

事実今回扱ったマクロレンズ「Makro-Kilarシリーズ」は発売当初1955年時点では「 」の3色のドットで設計され「」の優先順位だったのが1958年の第二世代 (今回のモデル) で開放f値を「f3.5f2.8」とより明るく採ってきた際は「 」の3色のドットでありいずれもレンズ銘板の刻印をチェックすればちゃんと確認できます。

このように各色の波長/波動の周波数が異なる故に像面での結像に色収差を徹底的に排除する上でマクロレンズとしての正確性を追求したのが分かります。今でこそマクロレンズや被写体 への近接撮影など当たり前ですが当時としては様々な被写体のより深い探究心からも特に学術レベルでもこのようなアポクロマートレンズの光学製品が強く求められていた事を察します。

特に当方がいつもながらに感心してやまないのが「3群4枚のエルマー型」と言う簡素な光学系でしかも「僅か15.13mm (第1群前玉)/13.88mm (第2群)/13.24mm (第3群後玉)」の本当に小さな大きさでこれだけの近接描写性能を成してしまった点に於いていまだに当方はオドロキを感じています。アポクロマートレンズたるこだわりも然ることながら特異なヘリコイド駆動 (回転式ヘリコイド駆動) による直感的な操作性にも頷けてしまいます。

ちなみに以前プロの写真家の方がお仕事で使われる「Makro-Kilar」をオーバーホール/修理した事がありますが、その方がお仕事でこのマクロレンズを気に入って使っている理由・・「今ドキのデジタルなマクロレンズでは表現できないドライな写りが大きな魅力」の一言に まるで目から鱗状態で大感激してゾクゾクと鳥肌立ったのをハッキリ覚えています(笑)

・・さすがプロは本当に適確に掴んでいらっしゃる!(驚)

その意味でこのモデル「Makro-Kilarシリーズ」を単なる世界初のマクロレンズと捉えてしまうとおそらく本当の魅力を知らないままに見逃してしまう事でしょう。逆に言うなら「アウトフォーカス部やトロトロボケと言う修飾的な要素までも邪魔と捉えたまるで物理学者向けの ような事実をありのままに残す徹底的な光の結像だけにこだわったマクロレンズ」との認識 こそが当方が鳥肌立つ所以でもありますね(笑)

・・これほどに被写体の材質感や素材感など質感表現能力を最優先に残すマクロレンズを他に知らないとも言い替えられますし、ある意味今ドキのデジタルなマクロレンズでさえも暫し 表現し得ないような汚いくらいにリアルに忠実にマクロレンズの世界を構成してしまうオールドレンズとも指摘できます (キレイに映すだけが主眼ではなさそうなモデルの意味)。

どうしてそこまで言うのかと問われればその答えは「実はこの製品には附属品として箱の中に個体別のアポクロマートレベルを示す解像度検査結果を記録した硝子プレートがちゃんと添付されていた」のがハッキリ言って他のどの国のどこの光学メーカーでさえも執っていなかった「まさに自信の現れ」そのものだからです・・数多く顕在するアポクロマートレンズの中でもそんな硝子プレートが附随するなどおそらく唯一の存在でしょう (同梱の硝子プレートは将来のサービス時にその個体別の性能を保証する為の基準の意味が込められていた)。

・・Heinz Kilfittは民生品として世に送り出したのに実のところ民生品レベルに留まっていなかったマクロレンズと評価するしかありません(驚)

なお一部サイトでこの「Makro-Kilarシリーズ」が1972年に米国のFrank G, Back博士に買収され「Zoomar社」として「Zoomatar銘」に変遷したのを指して「ズームレンズと言う名称の発祥の原点」と解説されていますがそれは違います (ズームレンズの名称と商標はさらにもっと遡る時代に登録されている/英国で開発された概念)。

当方での扱い数は10年間でちょうど累計で69本目にあたり「タイプE」は19本目になりますから相応の数を仕上げてきた関係で今回の個体をバラす前のチェック時点で幾つかの問題点を既に把握していました。その意味で市場流通品の状態をそのまま鵜呑みにすると知らないまま使い続けていたりします(笑) もちろん今までの50本中で「M42マウント規格」だったのは僅か16本しかないので希少とも言えます。

・・それらの内容も含めて以下で解説していきます。

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はMakro-Kilar 4cm/f2.8 D (silver)《後期型》(arri ST)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。もぅ既にこの角度から撮影しただけで両腕がゾワ ゾワと鳥肌立ちました・・!(笑)

距離環を回すトルク感の操作性の良さと共にシッカリした絞り環操作 (スカスカではない) に軽めのプリセット絞り環の動き (ちゃんとクリック感あり) と合わせてこのモデルにはとても珍しい光学系の状態で「これでもかとスカッとクリア」を維持し、且つちゃんとフロントベゼルが残っていてMCレンズガードまで用意した配慮が「所有欲を充たしてくれる」逸品です!

そしてもちろん「M42マウント規格」なのが希少なのであって市場流通品の多くがexaktaやarri STD、或いはALPAマウントです。

ちなみにマウント部パーツにネジ止め用の穴が複数空いている日本国内のカメラ店でオーダーされた部品を使った「M42マウント規格」品ではなく「ネジ穴が3つしか用意されていない 正真正銘な純正品」であるのがその証です。

当初バラす前のチェック時点で「おかしいぞ?!」と既に感じていた要素が3つありました。

《完全解体前の実写チェック時の問題点とその因果関係仮説》
最小絞り値「f22」が開きすぎ → 各絞りとの整合性が執れていない
光学系内に極薄いクモリが生じている → 反射防止黒色塗料のインク成分
このモデルにしては少々甘いピント面 → 後群側格納筒の経年劣化

バラしたところ3つの問題点についてそれぞれの仮説が正しかった事が判明しました。3つとも過去メンテナンス時の所為から発生している問題点です。

は「絞り羽根の表裏を逆向きに組み込んでしまったミス」であり組み立てが完了した後に「絞り羽根開閉幅と各絞り値との整合性確認をしていない証拠」とも言い替えられ整備者は バラせるスキルを持ちながらも単にバラして組み上げるだけの整備者だった事が分かります。

は過去メンテナンス時に光学系内にこれでもかと厚塗りされてしまった「反射防止黒色塗料」のインク成分が飛んでしまい光学硝子面のコーティング層に頑固に附着していたのが原因です。今回のオーバーホールで光学系を清掃した際シルボン紙に薄くグレ〜紫色の色合いが残ったので判明した次第です。

も過去メンテナンス時に光学系後群側を格納している黄鋼製格納筒が経年劣化で「焦茶色」に変質していたのをそのまま改善せずにセットした為に抵抗/負荷/摩擦により正しい位置で セットされていませんでした (本来もう少し深く格納しなければ光路長が足りていない)。

↑光学系内の透明度が高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

特に当初バラす前の実写確認時にピント面の鋭さが「???」でしたがちゃんと締め付け固定されていたのは光学系第1群 (前玉) だけで第2群と第3群 (後玉) が一緒に格納される黄鋼製の格納筒がちゃんと収納されていませんでした。

要は過去メンテナンス時に黄鋼製の格納筒が経年で「焦茶色」に変質しているのにそのまま 鏡筒にセットしたから抵抗/負荷/摩擦により正しく格納されていなかったようです。もちろん今回のオーバーホールでは完全解体した上で「DOH」を施して黄金色に戻してからすんなりとストンと落とし込んで確実に締め付けた結果このブログページ最後に載せた各絞り値での実写のとおり鋭いピント面に戻っています。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

3枚目の写真を見ると分かりますが光学系第1群 (前玉) には「パープルアンバーブル〜のコーティング層蒸着」がその光彩で確認できます。

もちろんLED光照射でコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

↑後群側も前群同様「スカッとクリア」なのでLED光照射でも極薄いクモリが皆無です。ひいて指摘するなら後玉の外周に2箇所極僅かなカビ除去痕が汚れのように残っている程度で写真には一切影響しません。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:10点、目立つ点キズ:7点
後群内:16点、目立つ点キズ:11点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前群内に極微細な薄い2mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり、一部は一見すると極微細な塵/埃に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷されていた為クレーム対象としません)。「気泡」も点キズにカウントしているので本当の点キズは僅かしかありません
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑問題の表裏逆で格納していた10枚の絞り羽根もキレイになりプリセット絞り環や絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」して閉じていきます。もちろん各絞り値との整合性も簡易検査具で確認済です。そもそも最小絞り値「f22」の時の閉じ具合を見れば「開きすぎでは???」と気づくはずです。

ちなみに指摘するならこのマクロレンズが開発されていた当時の1955年〜1958年辺りに登場していた数多くの光学メーカーのオールドレンズはその実装している絞り羽根の多くが「カーボン仕上げ」だった時代です。「カーボン仕上げ」なので金属製絞り羽根にカーボンを塗した処置を講じて実装していた時代にその後1960年代後半辺りから普及し必然に至った「フッ素 加工仕上げ」をこの時代にこだわって処置していたその先見性も必ず称されるべき要素の一つだと当方では断言しています。

そのような与件にまで思いを馳せると単に設計開発者たるHeinz Kilfitt氏が頑なにこだわり続けた頑固者みたいな話ではなく、一にも二にも「描写性能を将来に渡り維持させるのに障害となる要素を最小限まで低減させ追求する事に写りの正確性を保証する概念」を既にこの当時から自身の思考として持っていた事の表れではないかと当方は推察しています。

このようなこだわり方と言うか目的の為の必然的要素を一切の妥協を排除して探求するその 姿勢にアインシュタイン博士や数多くの研究者にとりこのマクロレンズの存在自体が自ら研究している事柄の正確性を担保する大きな魅力だったのだと当方は評価しています。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります
・このモデルは設計上「回転式ヘリコイド駆動」の為距離環を回すと絞り環も一緒に回転していきます。その関係上ピント合わせする前に絞り値操作する必要があります(ピント合わせ後に絞り環操作すると距離環が動いてしまいピント位置がズレるから)。その都合上故意にワザと距離環側のトルクを多少重めに設定しています。また逆に絞り環操作にはスカスカ感の違和感や絞り環操作時の鳴き(操作音)を防ぐ意味からやはり敢えてトルクを与えて調整しています。これらは撮影時の操作感を重視しての処置なのでクレーム対象としません。
・附属のHAKUBA製MCレンズガード(新品)は既にフロントベゼル(附属品)に組み込んだ状態で梱包しお届けします。単にハマッているだけなので容易に着脱できますし他のオールドレンズにも転用可能です。
・プリセット絞り機構部のクリック感を敢えて軽めに調整し仕上げています。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません (附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
HAKUBA製MCレンズガード (新品)
純正金属製着脱式フロントベゼル (正規附属品)

本体Makro-Kilar 4cm/f2.8 E (black)《後期型》(M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (中古品)
代用金属製被せ式前キャップ (中古品)

HAKUBA製MCレンズガード (新品) を附属品としてセットし、且つのフロントベゼルの底部分に既に組み込んであります。またの汎用樹脂製ネジ込み式後キャップは後玉の突出があるので当てキズが怖い為に少々深めのキャップをワザワザ探して附属させました (但し中古品です)。

また金属製の被せ式前キャップも代用品ですが取り敢えず保管時に使えそうなのでご落札者様に配慮して附属させています。

もちろんこれら中古品の附属品類も総てちゃんと中性洗剤で洗浄してあるので経年の手垢などキモくないです(笑)

↑前述の附属品写真に付番した番号で示していますが (赤色文字) のフロントベゼルは赤色矢印の箇所にカチャッとハメ込む方式でセットします。

なお別にどうでも良い話かも知れませんが市場流通している数多くの個体で附属しているこののフロントベゼルはその内側がやはり過去メンテナンス時に「反射防止黒色塗料」により 相当厚塗りされている事が多いです(笑) 今回の個体も厚塗りされていましたが普通製産時点にメッキ加工されているなら例えマットな艶消しだろうがブライトブラックだろうが凡そ関係なく総てが必ず「絶対に溶剤で溶けない」と指摘できます(笑)

逆に言うなら本当にマットな艶消し処理が必要な場所には今回の個体でさえも「ちゃんと製産時点でマットにメッキ加工されている」ワケで、例えば光学硝子レンズの締付環やその周囲の鏡筒などは溶剤で拭っても一切溶けない (除去できない) マットな黒色メッキ加工が施されています。もちろん一部には微細な凹凸がある「艶消し梨地仕上げのメッキ処理」まで施され経年で生ずる揮発油成分の流入を可能な限り防御する配慮が事前に成されています。

それら製産時点の与件は総てが設計者の意志として必要だからこそメッキ加工されているワケであり「その上から敢えて反射防止黒色塗料を着色しまくる考え」自体にいったいどのような根拠を当てはめられるでしょうか???(笑) しかも経年でそれらのインク成分が飛んでしまい光学硝子レンズのコーティング層蒸着に対し悪影響を来すのだとしたらどのように弁明できるのでしょう???(笑)

・・すべて過去メンテナンス時整備者による「自己満足大会」以外の何物でもありません!

今回の個体も上の写真のとおりフロントベゼルには製産時点本来のメッキ加工が施されていて厚塗りされ続けてきた「反射防止黒色塗料」を溶剤で40分がかりで落とせばとても美しい 仕上がりだったのが分かります。

これらの話はいまだにネット上でもこだわって語られ続けている「迷光」にも相通ずるのですが設計者が必要としなかった処置をどうしてそんなにこだわるのか不思議でなりません(笑)

恥ずかしいかな実は当方自身も思い違いしていたワケですが(笑)、現実に工業用光学硝子レンズ製産会社に赴き取材させて頂くと「まるで人工衛星に搭載される光学レンズの如く迷光にこだわる理由」が一般のオールドレンズ相手に一切必要ない概念だった事が明白になりました(笑)

逆に言うなら光学設計者は必ずそれら光学系内で生ずる反射要素も含めて設計しているワケでそのような光学設計者の意図に対しはたして「迷光にこだわる概念」がどのように貶める行為なのか今ドキの整備者は今一度考えて頂きたいと思いますね!(笑)

迷光
光学系内で必要外の反射により適正な入射光に対して悪影響を及ぼす乱れた反射光

この話は実はあるニュース記事をたまたま読んで「当方自身の概念に大きな齟齬があるのだと 疑念を抱き調べる必要があると考え取材した」次第です。

それは国内のある塗装会社が「99.99%マットな漆黒の塗料を開発し人工衛星に搭載される光学機器の性能向上にさらに道が開けた」という内容だったのです。

まさに目から鱗でしたが(恥)、一般的な写真撮影で使う程度のオールドレンズに於いて光学系内で生ずる「迷光」などは一切こだわる必要がない概念だった事が取材で明白になりました。

それは取材に応じて頂いたご担当者様から「では逆に伺いますがそこまで迷光を気にされる ならどうして絞り羽根が真っ黒にメッキ加工されないのですか?

もぉ〜穴があったらマジッで隠れたかったです (顔がガンガン熱くなりました!)(笑)

その時にご担当者様が仰った「光学設計者は当然に迷光まで思慮して設計していますがそれを疑われるのはきっとプロとして哀しいでしょう」の一文が頭に焼きつきました・・(涙)

まさにそのとおり・・!!!(恥)
自らの浅はかさをこの時ほど感じたことはありませんでしたね・・(涙)

何もかも真っ黒クロスケに光学系内や周囲を「反射防止黒色塗料」で塗りまくる行為はその ような背景までちゃんと想いを馳せるべきなのだと本当に反省しました!

前述のニュース記事を例に挙げるなら遙か彼方にある星々の研究にはまさに光の波長/波動を 探る必要がありそのような研究だからこそ「極僅かな迷光さえも正確性を損ねる」のだと肝に銘じた次第です(恥)

それ以降当方は必ずバラしたら関係する構成パーツを溶剤で洗浄して確認しています。

↑フロントベゼルをひっくり返して裏側のフィルター枠部分の構造を解説しています。単純に板バネでフィルターを押さえ込むだけの簡素な構造ですがこれで必要十分です (赤色矢印)。板バネの一部が内側に僅かに曲がっているのも「単にフィルターを押さえ込む目的」なのでここを微調整すればハマらなくなります。

また一般的なフィルターのようにネジ込み式ではないのでグリーンの矢印の「内径⌀30mm」部分に入るフィルターが必要になります。さらにフィルターの製品全高が「ネジ部も含め4mm以内」がベストです (多少飛び出ても大丈夫)。

↑附属の今回新品で購入したHAKUBA製MCレンズガードをセットしたところです (赤色矢印)。

↑こんな感じでMCフィルターがキレイにハマります (前玉側方向から見た写真)。

↑光学系第1群の前玉がご覧のように奥まった位置にあるので「その直前に均等配置で3つの金属製ダボ」が用意されています (赤色矢印)。この金属製ダボは3つ全て押し込むと凹むようになっているのでここにフロントベゼルを押し込めばカチャッとハマります。

フロントベゼルを外す際も単に指で縁を掴んだまま待ちあげてカチャッと外せば良いだけです。

↑フロントベゼルをひっくり返して撮っていますが (写真下側がレンズ銘板側方向)、板バネの両サイドには「フィルターを指で掴めるよう切り欠きが備わる (赤色矢印)」ので多少シッカリハマッていてもちゃんと着脱できます。ダボがカチャッとハマる箇所だけ僅かに溝になっているのが分かります (グリーンの矢印)。

ご覧のようにHAKUBA製⌀28mm径MCフィルターを「逆向きにハメ込むことでそのまま使える」次第です (赤色矢印)(笑) このMCフィルターはネジ込み部のネジ山外径は「⌀28mm用」の設計ですがフィルターの光学硝子を格納している本体の「外径⌀30mm」なのでまさに「Makro-Kilar向けフィルター」の如く扱えるのです。しかも故意にワザとひっくり返して セットしてみたらあらあらビックリ!(驚)

・・キレイにネジ山部分がフロントベゼルの外側に露出して本体の枠部分だけでまるで専用 パーツの如くフロントベゼルに格納できたのです!(笑)

↑ネット上のサイトやヤフオク! の出品ページを観ているとこのフロントベゼルを「フード」と案内していることが多いですが「僅か3mmの突出」しかないフードを附属させる意味があるのでしょうか (グリーンの矢印)???(笑)

もっと言えば前玉自体が奥まった位置に配されているのでそもそもフードの必要性が低いと思うのですが・・(笑)

開発設計者のHeinz Kilfitt氏自身が前玉の直前にしかフィルター装着を認めていなかったのでこのようなフロントベゼルが必要になっています。

ちなみに英語圏での呼称が「Front Bezel」なのであっておそらく当時の製品に同梱されて いた取扱説明書にも記載があったのだと推測していますがいまだ取扱説明書をちゃんと見た事がありません。

↑冒頭解説のとおりこのマクロレンズは後玉が突出しているので「保護ガイド (赤色矢印)」がグルッと囲ってあるにしてもこのまま後玉 (グリーンの矢印) を下向きにして距離環が無限遠位置の時 (ブルーの矢印) には当てキズを付ける確率が非常に高くなるのでご注意下さいませ。

↑上の写真 (2枚) は、このモデルの「回転式ヘリコイド駆動」を説明しています。基準「」マーカー (赤色矢印) に対して無限遠位置から距離環を回して鏡筒を繰り出していくと最短撮影距離位置の時 (ブルーの矢印) 絞り環側まで一緒にクルクル回りながら繰り出していくのが分かります。その関係で絞り環側には両サイドに絞り値が刻印してあります。

↑フロントベゼルに既に附属のHAKUBA製MCレンズガードが組み込んであるのでご覧のように観る角度によっては前玉の「パープルアンバーブル〜のコーティング層蒸着が放つ光彩」が見えたり、逆にMCレンズガードの光彩が見えたりしています。

↑ここからはこのマクロレンズを初めて使う方の為に「プリセット絞り機構の操作方法」を解説していきます。プロの写真家でさえもこのプリセット絞り環と絞り環との関係性を思い違いしている人が居たりするので細かく解説していきます。

逆に指摘するならプロの写真家でさえ正しく説明できていませんが (まるで使い方を暗記するレベルの説明で案内されている)(笑)、そんな難しい話ではなく「普通に撮影する時の動作/操作レベル」で考えれば良いだけの話です(笑)

・・それを各部位の意味と目的が掴めていないから変な案内をしている(笑)

まず一番重要なのは「プリセット絞りと絞り環を間違えて覚えている」時点で本当にプロの写真家なのかと疑いたくなります(笑)

上の解説のとおり (赤色矢印) 上に配置されている「絞り値が刻印されている環/リング/輪っかがプリセット絞り環」であり、その直下の「ギザギザのローレット (滑り止め) だけの環/リング/輪っかが絞り環」です。

これを逆に認識してしまうから全く撮影時の動作/操作に合致せず整合性が執れないから丸暗記の話になります(笑)

前述のとおり「プリセット絞り環と絞り環の区別」を確実にして下さいませ。

次に重要なのが基準「」マーカーなのにそれを誰も指摘しません (ブルーの矢印)。だから カラダで覚える話になり複雑化します(笑)

上の写真では距離環は無限遠位置「∞」で突き当て停止しており且つ開放f値「f2.8」にセットされている状況です (ブルーの矢印)。

これから撮影すると仮定して設定絞り値を「f5.6」にセットして撮影に臨むとします。

するとプリセット絞り値が開放f値「f2.8」にセットされているのが分かるので (グリーンの矢印)、指で「絞り環」側を保持したまま「プリセット絞り環」をカチカチとクリック感を感じながらブルーの矢印①方向に回していきます。

↑すると「プリセット絞り環」の設定絞り値が「f5.6」にセットされたので (赤色矢印) 基準「」マーカー位置に「絞り環」側の幅広赤色マーカーが合致している状況から「絞り羽根がf5.6まで閉じている」のが光学系を覗き込まずとも分かります (グリーンの矢印)。

どうして分かるのかと言えば「グリーンの矢印で指し示しているのは絞り環のマーカーだから」です!(笑)

そのマーカー位置にプリセット絞り環側の「f5.6」が合致しているから絞り羽根が閉じているのが見ただけで分かるのです (実際光学系内を覗き込んでもちゃんと絞り羽根が閉じている)(笑)

これでプリセット絞り値がセットされたのでいよいよ撮影に臨み「距離環を回してピント合わせする」のが次の段階です。従って開放状態でピント合わせしたいので (暗くてピント面の視認し辛いから) 同様に「絞り環を回して一旦開放状態に戻す」ワケです (ブルーの矢印②)。

↑開放f値「f2.8」まで絞り羽根を開いてピント合わせした状態と仮定して上の写真を撮っています。

やはりどうして絞り羽根が完全開放している (赤色矢印) と分かるのかと言えば絞り環の「f2.8」が基準「」マーカー位置 (ブルーの矢印) に合致しているからです。この時設定したプリセット絞り値はちゃんと「f5.6」の場所にプリセット絞り値が来たままなのですぐに確認できます (グリーンの矢印)。

ピント合わせが終わったらいよいよシャッターボタン押し下げなのでそのまま絞り環をブルーの矢印③方向に回して設定絞り値まで絞り羽根を閉じるだけです。この時プリセット絞り値などをいちいち確認せずとも既に設定済なので撮影する時は「単に設定絞り値まで閉じるだけ」の操作になります (他に何も確認する必要がない)。

↑これで撮影が無事に終わった (上の写真の状態) と仮定して今度は最初の状態「開放f値f2.8に戻す操作」を行います。

現在基準「」マーカー (ブルーの矢印) 位置にプリセット絞り値 (赤色矢印) である「f5.6」が来ているままなので (グリーンの矢印) この状態から下側の「絞り環」を指で掴んで保持したまま上のほうの環/リング/輪っかである「プリセット絞り環」だけをブルーの矢印④方向にカチカチとクリック感を感じながら回します。

↑最初の状態に戻すだけの話ですがご覧のように基準「」マーカー位置にプリセット絞り値「f2.8」が合わさり (赤色矢印) 絞り羽根が完全開放状態に戻った事が確認できます (グリーンの矢印)。

このように特にプリセット絞り機構を装備したオールドレンズの場合は必ず「プリセット絞り環と絞り環を確実に把握する」事が重要であり、それさえ間違いなければ純粋に撮影する際のカラダの動きに沿って操作するだけで何も複雑な話ではありません。

ちなみに多くのプリセット絞り機構を装備したオールドレンズでこのように一旦プリセット絞り値を設定してしまえば「プリセット絞り環と絞り環が両方とも一緒に動く/回る」仕組みを採っています。

従って単純に「絞り値が刻印されている環/リング/輪っかを回すのでそれに従い絞り羽根が開閉する」ワケで、この時下側の「絞り環も一緒に回っている」次第です。

実際に現物を手にしてこれらの操作をしないとなかなかコトバの解説だけではピンと来ませんが、例えば仮にプリセット絞り環と絞り環の関係を逆に認識してしまうと「数値が高い絞り値から低い絞り値/開放側に回せなくなる」事も起きるので説明が適わなくなります。

・・それゆえにカラダの動きとして暗記するハメに陥る次第です(笑)

↑こちらは代用品で補った金属製の前キャップを実際に装着した写真ですが、多少シッカリと填まるようにワザと処置してあるのでこの前キャップを強く掴んだまま外そうとするとその下のフロントベゼルまでカチャッと音が聞こえて外れる場合があります。その時は単に外れたフロントベゼルを前キャップから取り外して再びカチャッと押し込めば良いだけです。

とにかく軽い操作性で作業できるよう微調整してあるので、その一方でいくら代用品としてもこのまま前キャップを使い続けるかも知れないと考えワザと強めにハマるようにしてあります。

今回扱ったモデルは「Makro-Kilar」の「タイプE」ですが、正直なところ当方の愛用レンズは「タイプD」なので被写体直前5cmまで近接できるものの、下手すると光の加減で被写体が暗くなってしまう為 (近すぎてオールドレンズの影が被さるから)、多く場合で10cmは離れて撮っており(笑) ダブルヘリコイドによる二段階繰り出しでトルクが変わる分の操作性まで考えると「タイプEでも十分だな・・」との感想です。

何しろ回転量が多い分 (ダブルヘリコイドのほうは) 途中からトルクに影響が現れるので違和感とまでは感じないものの同じトルク感のまま最後まで繰り出せるなら本当はそのほうが良いとは思っています。

ちなみに今回扱ったモデルは「タイプE」なのでシングルヘリコイドであり繰り出しは一段階のみの一般的なオールドレンズと同一です (最短撮影距離10cm)。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離10cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。

上の実写ではまるでピンボケのようにしか見えませんが(笑)、実際の撮影時はちゃんと手前側ヘッドライトの本当に電球部分のエッジに鋭くピントが合致しているのを視認しながらピント合わせできています。

そして何よりもこの色ズレが皆無な描写世界を味わえる事こそが「アポクロマートレンズ」のまさに醍醐味であり研究者にとり必須の正確性だったのだと指摘できる「まさに時代の要求から生まれた如く登場したマクロレンズ」だったのだと本当に感慨深い趣に浸れるのです(涙)

・・だからこそ「世界初のマクロレンズ」と讃えられるべきなのです!(祝)

それを以てして当方は単なる1955年に初めて登場したマクロレンズとの位置付けとして愛用 しているワケではありません(笑) 逆に言うならそのくらいの想いで臨むべきマクロレンズなのだと言いたいのです!(涙)

・・凡そ世の常として「初恋」とはそのように片想いであるのが美徳なのかも知れません。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮りました。

↑f値は「f8」に上がっています。

↑f値「f11」になりました。

↑f値「f16」です。当初バラす前のチェック時点では内部の絞り羽根組み込みが過去メンテナンス時に表裏逆にミスっていたので簡易検査具で調べると「f11」に全く到達していないレベルでした。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。さすがに絞り羽根が閉じきっている状況なので光量が低下して「回折現象」の影響が現れコントラストの低下と共に解像度不足も視認できるようになっています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。