◆ mamiya (マミヤ光機) AUTO mamiya/sekor 50mm/f2 (black)《後期型》(M42)vs Rodenstock Edixagon 50mm/f2 (M42)【ミステリアスシリーズ第1弾】

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産の
mamiya製標準レンズ・・・・、
AUTO mamiya/sekor 50mm/f2 (black)《後期型》(M42)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Украине!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品するモデルは当方での扱いが累計で僅か6本目で、且つその中で精悍な筐体の印象が強い「ブラックバージョン」では4本目と言う状況です。

フツ〜にバラして当方のポリシ〜たるDOHで仕上げるだけなら何も大変なことはなくいつもと同じように臨めば良い話ですが、今回は少々特別な与件が絡みそれらオーバーホール作業よりも仕上がってからこのブログに載せる為にいろいろ調べまくった調査時間のほうが2倍も長かったというだいぶお疲れモードの経緯です (従って正味3日がかり)(涙)

それはいつもなら「オーバーホール済でヤフオク! 出品したいモデル」の選定からスタートするワケですが、今回はその動機が全く別で「 ミステリアスなオールドレンズ 」からスタートして「その真実とは如何に?!」という仮説と推論からチョイスした出発点だったのです。

その「 ミステリアスなオールドレンズ 」が右写真のフィルムカメラに装着されているオールドレンズなのです!(驚)

何気に扱いたいオールドレンズをネット上で物色していたらたまたま「運命の写真 (右写真)」を見てしまい(笑)、アッと言う間に「ウ〜ンまた見つけてしまった?!」と後悔しつつも「仕方ないヤルか!」と半ば強制的に扱いモードに自分を仕向けたような感じです(笑)

当方は基本的にフィルムカメラ音痴なので(笑)、右の写真を見てもカメラボディのレア度よりも装着されているオールドレンズの「違和感とその怪しい妖気」のほうがオドロオドロシイ ばかりです・・(怖)

実はこのオールドレンズの存在はもぅだいぶ前2015年頃から知っていたのですが当時は何しろ当方自身の技術スキルがまだまだ高みに到達しておらず(笑)、こんな妖気を放つモデルに構っていられるほどの余裕が無かった為に見逃し続けていた次第です。

このオールドレンズはネット上で「Rodenstock製の超レアなEdixagon 50mm/f2 (M42)」と外国人の間で騒がれ続けているまさに「 ミステリアスなオールドレンズ 」なのです!

いえ、もっと正確にご案内するなら「騒いでいるのは世界中で極一部の人達でその多くは中国人 (2008年頃から騒がれ始めた)」なのが発端です(笑) 従って当方がオーバーホール作業を スタートする遙か前から騒がれていたようですね(笑)

Rodenstock (ローデンストック) と言えば1877年戦前ドイツ創業の名門光学メーカーです。そんな光学メーカーの製品が「M42マウント規格」でしかも「Wirgin製フィルムカメラ」の セットレンズとして供給されていた・・等とは半ば信じがたい話で今まで数回目にしながらも正直なところ「下手に関わったらとんでもない事になる」とまるッきしの敬遠状態だったワケです(笑)

Rodenstock製Edixagon 50mm/f2 (M42) とは左写真のような何の 変哲もないどちらかと言えば「50mm/f2」と標準レンズながらも
むしろ格付的に下位格の下手すればまるで廉価版的な印象です(笑)

しかしこのオールドレンズはレンズ銘板はもとより筐体の何処にも 製造国が刻印されておらず、且つレンズ銘板にはそもそも製造メー カーたる「Rodenstock銘」がありません(笑)

2008年当時の中国人はいったい何処からこのモデルの素性を探り「Rodenstock製の超レアなモデル」と騒ぎ始めたのでしょうか???(笑)

今回の扱いに際しその発端たる所以を散々探しましたが何しろ相手は中国語なのでどうにも こうにも歯が立ちません(泣) 騒がれた根拠などを到底探る事は叶わずこのモデルの素性特定モードにチェンジした次第です。

そこでこのモデルの素性を探る最大の根拠が左写真になります。

当方がオールドレンズを見る時「普通に見る事ができない」性分で(笑)、何もかも総ては「バラしたらどうなの???」と言う発想でしか眺められないと言う職業病で、ある意味「自らの豊かな写真ライフの観点」から眺める事ができません (つまり写真よりも内部構造)(笑)

まず Rodenstock製Edixagon 50mm/f2 (M42) と巷で騒がれているとしてもその雑音は取り敢えず耳に入れず(笑)、いつもの「証を基に仮説を組み立てる」方法を採りました。

ちなみにこの仮説を考察する際に大きく影響を来したのは以前当方が金属加工会社の社長さんを取材した時の大変貴重なお話から特にオールドレンズの内部構造や金属加工に対する一般的な企業/光学メーカーの考え方の基本的な部分についてご教授頂きました。それは特に当方の ようなド素人が勝手に思い込みし判断を下している要素について大きく修正を促して頂いた事今も大変感謝しております。

例えば簡単な例を挙げるなら「どうしてその箇所を皿頭ネジを使って締め付け固定するのか、どうして別の場所にはイモネジなのかその根拠や目的が必ず設計者の意図として活かされて いるからこそそのようなネジ種を使って組み立てる」だったりします。純粋に内部構造や構成パーツに目を囚われがちですが実のところもっと細かいそのような締付ネジや座金などの類、或いは最も重要な「スプリングや捻りバネ」の違い、或いは棒ばねなど含め「どうしてその 箇所にそれが備わるのか?」総て明確な根拠があるのでそこが見えない限り適切な整備には至らないのではないかとの社長さんのご指摘でした。

・・全く以て至極理に適ったそして説得力のあるお話でありさすが現場のプロです!(驚)

すると見えてきたのは上の左写真赤色矢印で指し示している「マウント部の飾り環」がポイントになります。細い環/リング/輪っかですがそれをマウント部に固定する方法が独特で「横方向からイモネジ3本を使って締め付け固定する方式の設計」でありブルーの矢印でその 締付用イモネジを指し示しています。イモネジ単体は左写真のようなネジ種です。

イモネジ
ネジ頭が存在せずネジ部にいきなりマイスの切り込みが入っているネジ種 (左写真)

イモネジの有効性
締め付け固定する際に対象となるパーツの固定位置を容易に変更/ズラして固定できる
(但し別の用途で敢えて使う場合もあるので必ずしも微調整を伴うとは限らない)

実はこのような特異な構造で設計している当時の「M42マウント規格のオールドレンズ」は『富岡光学製』しか採っていませんでした。例えば同じように「飾り環」がマウント面に仕込まれているモデルは数多くありますが、その多くは「マウント面側からネジで締め付け固定」なのでワザワザ「横方向からイモネジで止める必要性が全く無い」ワケです。

逆に指摘するなら「マウント面からネジで締め付け固定する場合は飾り環の固定位置を微調整できる仕組みを備えられない」と断言できます。仮にもしもその機能を附加するなら「飾り環のネジ穴を円形ではなく楕円状に切削し締付ネジに対して左右に数mmズラせるよう設計する必要がある」ワケでそんな仕様のオールドレンズは存在しないからです。

一方『富岡光学製』の場合この「飾り環」は固定位置を微調整できる機能が備わり「固定位置の相違により絞り環とのクリック位置の整合性/指標値環の基準マーカーとの整合性を微調整する機能が装備される」ワケで「微調整機能を持たせる目的から横方向からのイモネジによる締め付け固定が必須」と断言できる次第です。

特に当方のこの仮説/推論は前述の金属加工会社の社長さんに「まったくそのとおり」と太鼓判を押して頂き何とも光栄な気持ちに充たされたのを覚えています (ちゃんと富岡光学製と他社製品のオールドレンズもお目にかけたしロシアンレンズまで持っていった)(笑)

もっと指摘するなら今まで数多くのネット上サイトやオールドレンズに関するフォーラムなどで「筐体外装の特徴から様々に判定が下されてきた」ものの、実は「内部構造から特定する 手法が採られていない」点が最大のウィークポイントなのです。

それは「距離環や絞り環やスイッチなどの操作方向 (回転する方向や動き方など) 或いは幅とかカタチや長さの相違など」は製産工程で如何様にも変更可能なので動く方向や操作方法の同一性/相違性などは全く以て製造メーカーやモデルを特定する根拠になり得ないとの社長さんの お話でした。

それはそうですね(笑)、ネジ切りや切削方向などはどうにでも製産過程で容易に変更できる為そんな要素は設計時点で何ら製造元を確定させる与件に至りません。

つまり敢えて他社製品と同じ構造化や構成パーツをワザワザ用意して真似て製産する必要性が一般的には非常に薄いと社長さんは述べられていました。そこまでコストを掛けて作る必要性はなく自社工場の機械設備や組み上げ工程などの都合に合わせて合理的で効率的な設計を優先したほうがその企業の利潤追求を達成するには最短距離とのお話でした。

・・これほど説得力のある解説は無いと当方は感銘を受けました(涙)

まさに「飾り環の固定方法と微調整機能の装備」から見出された仮説『富岡光学製』は金属 加工のプロからすれば至極理に適っているとのご指摘も得て当方の「内部構造と使用パーツによる判定方法」のほうが有効的であり「むしろ筐体外装の意匠や回転方向/操作方法の同一性/相違性は判定の根拠に至らない」と結論した次第です。

従って「 ミステリアスなオールドレンズ 」たる Rodenstock製Edixagon 50mm/f2 (M42) はまだ扱った経験が無いものの上の左写真解説から (赤色矢印ブルーの矢印)『富岡光学製』との判定に辿り着きました(笑)

・・誰が何処で判定を違えたのか不明ですがRodenstock製の根拠は皆無です。

そしてもう一つグリーンの矢印①の2つのサイズを当方の手でデジタルノギスを使い計測したところ「M42マウント規格」なので「内径42mmピッチ1mm」とすれば「写真上の後玉外径サイズ」を根拠に比率でチェックすれば同一性根拠にも至ると推測した次第です。

その結果今回扱ったAUTO mamiya/sekor 50mm/f2 (black)《後期型》(M42)』の後玉の外径サイズと比較したところ「まさに25.9mmとほぼピタリ一致」したので少なくとも後玉外径サイズは同一と判定に至りました (写真上のサイズによる比率計算の為多少の誤差含む)。

これらの考察から焦点距離が同一で『富岡光学製』で且つ後玉外径まで同じとなれば「相違として想定できるのは光学系前群の大口径化」なので Edixagon 50mm/f2 (M42) のレンズ銘板が今回のmamiya/sekorのレンズ銘板よりも細いのは「光学系前群側の光学設計だけが異なる製品」の仮説に至った次第です。

光学系構成はどちらも4群6枚ダブルガウス型構成なので、後群側を同一設計と採るなら前群側の特に第2群貼り合わせレンズで集束させれば後群側は同一との仮説が成り立ちそうですし多少工夫するなら後群側第3群の同じく貼り合わせレンズ部分でも光学設計を変更すれば同じ外径での後玉で集束を経て入射光制御が完成するかも知れません。

  ●               

↑上の写真は同じ『富岡光学製』と判定できたので今度は構造を調べているところです。左側2枚が「Edixagon 50mm/f2 (M42)」で右側は3枚目がYASHICA製「AUTO YASHINON-DS系マウント」で4枚目 (右端) が「AUTO YASHINON-DX系マウント」になります。

するとEdixagonのマウント部は「メクラカバーで接着されている設計」なのが左から2枚目の写真でカバーが外れていて構造が見えているので判明します。同様に3枚目のYASHINON-DSもカバーの接着で同一ですが一番右端のDX系だけはカバーではなく金属そのままです (つまり切削だけと言う話)。

↑すると上の写真は左側が今回扱ったAUTO mamiya/sekor 50mm/f2 (black)《後期型》(M42)』で右側がYASHICA製「AUTO YASHINON-DX系マウント」です。このように比較した時の判定では「カバー接着の手法だと後群周りは緩やかに歪曲している」ものの「金属切削の設計だと鋭角になる」違いが容易に見てとれます。

そこから導き出される仮説は「Edixagonの製産時期はYASHINON-DS製産の時期に一致するか或いは前後するタイミング」と考察できるのでYASHINON-DSの登場時期を探る事によりEdixagonが供給されていた時期が明確になりそうです。

  ●               

いよいよ「 ミステリアスなオールドレンズ 」を探求する【ミステリアスシリーズ第1弾】は クライマックスを迎えます(笑)

YASHICAが当時発売した自社製一眼レフ (フィルム) カメラを探る事でその取扱説明書の記載と掲載写真によりセットレンズの標準レンズ群を確定させる事が適います。例として当時ヤシカが発売した「M42マウント規格品」の中で唯一の自社製マルチコーティング化モデルたる「DS-Mシリーズ」が1969年の一時期だけセットレンズ化されていた事実を以前掴みました。1970年以降セットレンズは再び「YASHINON-DX或いはYASHINON-DSとモノコーティングモデルに変移した」と言う一般的な製産品の進捗と展開の流れにそぐはない戦略だった事まで知りました (その当時他社はマルチコーティングモデルが主流に移行していったから)(笑)

・・然しネット上wikiでの解説では最終モデルで「DS-M」と明記しているので当方の考察とは異なります (つまり当方のこれら考察は信憑性が無い話とも言い替えられる)。

従って当方が平気でウソを載せ続けていると散々SNSなどで指摘され続けているのも至極納得できる話なのですが(笑)、だとすればではどうして当時の取扱説明書との整合性が存在しないのか誰か解説してほしいですね(笑)

【ヤシカ製フィルムカメラにみる交換レンズ群】
※各発売フィルムカメラの取扱説明書記載による

YASHICA PENTA J-4 (1965年発売):YASHINON-R
YASHICA TL SUPER (1967年発売):AUTO YASHINON-DX
YASHICA PENTA J-7 (1968年発売):YASHINON-R
YASHICA TL (1968年発売):AUTO YASHINON-DX
YASHICA TL ELECTRO (1969年発売):AUTO YASHINON DS-M
YASHICA TL ELECTRO X (1969年発売):AUTO YASHINON-DX
YASHICA TL ELECTRO X ITS (1970年発売):AUTO YASHINON (AUTO YASHINON-DX)
 YASHICA ELECTRO AX (1972年発売):AUTO YASHINON-DS
YASHICA FFT (1973年発売):AUTO YASHINON-DS

とにかくネット上のwikiなどで当時のYASHICA製品、特に一眼レフ (フィルム) カメラに関して発売のタイミングをちゃんと解説してくれているサイトがありません(泣)

これだけ調べるにも当時同梱されていた取扱説明書の記載を証拠として探っていくしかありません。するとそもそも「YASHINON-DX」の登場が1967年だったのが分かります。

さらに一般的には巷でいまだに「YASHINON-DXはA/M切替スイッチ装備のタイプであってYASHINON-DSはA/M切替スイッチが装備されていないモデル」との判定が大勢を占めていますが、実は「YASHINON-DSシリーズ」にもちゃんとA/M切替スイッチを装備したモデルが 顕在しますから、何事も安直に判定を下してそれら記事 (特に過去の発刊書籍など) に頼りすぎると過ちを拡大流布する事にもなり兼ねません (ことオールドレンズに関してはいったいどれ だけの著者が内部構造と構成パーツから探求していたのか?)(笑)

このような探索から「Edixagonの設計仕様に近いYASHINON-DSの登場は1972年から」との推測が成り立ちます。これはマウント部の光学系後群周りにワザワザ金属製カバーを接着 する手法で設計していた事をその判定基準とみています。逆に指摘するならカバーと言うパーツをワザワザ用意した上で敢えて製産工程を一つ分追加して接着させていたその理由が何某か存在したワケで、単純にコスト面だけで考えてしまえば金属材の切削で済ませてしまうのが最も短時間でコストもかかりません (金属材やパーツ点数の問題ではなく最もコストを食うのは今も昔も工程管理面での人件費との捉え方/社長さんのお話から心得た概念です)。

従って話は違いますがかつて中国に拠点を創設し工場で安い人件費により工業製品を製造していた頃の日本企業の概念から移り変わり、今現在は中国での人件費まで膨大に膨れあがり当時の企業利潤追求たる旨味はだいぶ切迫した状況と指摘されるのも至極納得できる話なのです。

すると一部のネット上サイトで「Edixagonの製造番号先頭3桁660を指して1966年の一時期だけ製産し出荷されていた」との考察はその説得力を高める事が適っていません。何故に「YASHINON-DXが消えてからYASHINON-DSのカバー接着方式へ移行したのか?」の説明が1966年に設計仕様が確立されていたと仮定するなら少なくとも富岡光学を吸収合併した1968年を経て、さらにヤシカ自身も経営難から京セラの傘下に (まるで軍門に下るが如くに) 吸収消滅した1983年に至るまさにその直前に「M42マウント規格」と言う既に世界で廃れてしまったネジ込み式規格にどうしてそこまでコストをかけていたのかの説明が頭が悪い当方にはできません(泣)

従って何某かの理由から敢えてカバーを接着する設計仕様で登場させてきた「YASHINON-DS登場時期たる1972年前後のタイミング」こそがEdixagon登場のタイミングに最も説得力を感じた次第です。するとレンズ銘板の製造番号に於ける「先頭3桁660xxxx」は実は富岡光学が当時採っていた「暗号方式」でしかなく少なくとも製産年度を表していないと認識するのが筋だと当方はだいぶ以前から考察しています(笑)

ちなみに以下でご紹介するYASHICA製オールドレンズは全てが『富岡光学製』であり当方が その判定基準としているの要素のうち各モデルはそれぞれが個別にいずれか1つ、或いは3つ全てに対応しています (つまりちゃんと富岡光学製である証拠が顕在している)。

その根拠の基になるモデルがあり、レンズ銘板に刻印されている発売メーカー刻印以外に「TOMIOKA」銘を刻んでいるいわゆる「ダブルネーム」のオールドレンズが存在します。

AUTO CHINON 55mm/f1.4 TOMIOKA (M42)」の特異的な構造要素から判定しています (右写真は過去オーバーホールした際の写真)。

具体的には『富岡光学製』の構造的な要素 (特徴) として大きく3点ありいずれか1点、或いは複数合致した時に判定しています。

M42マウントの場合に特異なマウント面の設計をしている (外観だけで判断できる)。
内部構造の設計として特異な絞り環のクリック方式を採っている (外観だけでは不明)。
内部構造の設計として特異な絞り羽根開閉幅調整方式を採っている (外観だけでは不明)。

上3点は今までに3,000本以上のオールドレンズを扱ってきて、富岡光学以外の光学メーカーで採っていない設計なので『富岡光学製』判定の基準としています。


↑上の写真 (8枚) は、そのレンズ銘板に刻印されている製造番号を各モデルからピックアップして並べた写真です。但し多くの個体で「製造番号7桁 後に8桁」へと遷移していますし、そもそも同一モデル銘でも「先頭番号3桁の3桁目が異なる」事例も顕在しています。

これらYASHICA製標準レンズの中からピックアップした「50mm/f2モデル」をちゃんと調べて観ていくと「当時の富岡光学製オールドレンズの製造番号に於ける暗号表記の一例」を垣間見られるので製造年度を表しているなどと言う考察にはどう考えても当方の悪い頭では到達し得ません (但し敢えて一部に50mm/f1.9を含む)(泣)

順を追って個別に観ていきましょう・・。

AUTO YASHINON 5cm/f2
レンズ銘板の製造番号は「S5202038」と先頭3桁に英語文字「」が附随していますが、当時のYASHICA製オールドレンズで先頭に英語文字が附随するタイプは「M42マウント 規格品」ではこのタイプのみです (他マウントではAなど附随するモデルが顕在する)。

パッと考えるとこの「」は「昭和」を表すとたいてい考えがちですが(笑)、だとすると昭和52年を表す事になりYASHICAが戦後一番最初に発売した一眼レフ (フィルム) カメラのモデル銘「YASHICA PENTAMATIC」登場1960年以前の話になり辻褄が合いません。

何故ならこのモデルは専用バヨネットマウントでM42マウントではないからです!(笑)

ちなみにこの時のセットレンズは「AUTO YASHINON 5.5cm/f1.8」であり (取扱説明書確認済) しかもそのレンズ銘板に刻印されている製造番号は「6050xxxx」と桁数が1桁多いのです (もちろん専用バヨネットマウント)(驚)

AUTO YASHINON-DX 50mm/f2 (black)
レンズ銘板の製造番号は「52146451」であり先頭3桁「521xxxxx」とやはり桁数が多い状況なので1967年の登場から1973年辺りまで製産が続いていた一番息が長かったモデルなのかも知れません。レンズ銘板の刻印表記で焦点距離が「50mm」とミリ表記に変わっています。

AUTO YASHINON-DX 50mm/f2 (ツートーン種別①)
レンズ銘板の製造番号は「5277589」であり先頭3桁「527xxxx」と3桁番号が変異しており、且つ全体の桁数は短いほうです。このモデルの筐体外装はフィルター枠〜鏡胴が「クロームシルバーメッキ加工」で距離環だけがブラックのツートーンになります。

AUTO YASHINON-DX 50mm/f2 (ツートーン種別②)
レンズ銘板の製造番号は「528343490」であり先頭3桁「528xxxx」と3桁番号が変異しており、同様全体の桁数が短いほうです。このモデルの筐体外装はフィルター枠〜鏡胴が「クロームシルバーメッキ加工」ですが距離環〜鏡胴まで残り総てがブラックのツートーンでまた別バージョンの配色です。

AUTO YASHINON-DS 50mm/f2 (black)
レンズ銘板にあったハズの製造番号が省かれて消えているタイプです。製造番号は鏡胴側に移って刻印され「3004219」と先頭3桁が「300xxxx」であり総桁数も短いほうです ()。なお鏡胴にはA/M切替スイッチが存在しないモデルです。

AUTO YASHINON-DS 50mm/f1.9 (black)
やはりレンズ銘板の製造番号が省かれたままで鏡胴側に移っており「40663946」であり先頭3桁「406xxxxx」と3桁番号が変異しており、さらに全体の桁数が再び1桁増えています ()。同様鏡胴全体がブラックでA/M切替スイッチもありません。ちなみに開放f値が「f1.9」とより明るくなっている仕様です。

以上、長々とYASHICA製標準レンズのピックアップばかりしましたがその目的は「製造番号の先頭3桁が製造年度を表しておらず暗号化されており、且つ全体の桁数は増減が激しい」事を調査した次第です。

従ってここでようやく本題たる「Edixagon 50mm/f2 (M42)」の素性が見えてきてYASHICA製「AUTO YASHINON-DSシリーズ登場の1972年前後のタイミングで製産され、且つ製造 本数はおそらく1万本未満」と推測できます。

何ともせっかくの「名門Rodenstock製のレアモデル!」と言うロマンを音を立てて破壊してしまいましたが(笑)、そうは言ってもさすがに海外オークションebayでの流通価格帯「15,000円60,000円での落札」の他、現実的な流通価格帯は下手すると11万円まで現れる始末ですからまさに「 ミステリアスなオールドレンズ 」と言えそうです。しかも日本国内でさえ3万円前後まで高騰しても落札されている始末で何ともお金持ちは羨ましい限りです!(笑)

最後に極めつけを左にご紹介してようやくですが今回オーバーホール済でヤフオク! 出品するオールドレンズAUTO mamiya/sekor 50mm/f2 (black)《後期型》(M42)』の話に移行します(笑)

なおブランド銘はそもそも旧西ドイツ側の「Wirgin (ヴィルギン) 社」でありドイツ語ですから正しい発音は「Wがラテン語/英語のV」に 適合するようです。

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はAUTO mamiya/sekor 50mm/f2 (black)《後期型》(M42)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わっています。散々長々と「 ミステリアスなオールドレンズ 」たるEdixagon 50mm/f2に纏わる解説をしてきましたが、そもそも当方がEdixagonの後玉外径を測ったら (写真ですが) 今回扱うmamiya/sekorと近似してしまったから虫が騒ぎ始めてどうにもなりませんでした(笑)

ミステリアスなロマンを呆気なく瓦解させてしまいましたが (スミマセン!)(笑)、そうは言っても違うモノは違うのでまずは『富岡光学製』である事をシッカリご認識頂き、且つYASHICA製モデルの特に「AUTO YASHINON-DSシリーズ」に採用していた内部構造と設計仕様を採っている点も踏まえ、そろそろ今回扱うAUTO mamiya/sekor 50mm/f2 (black)《後期型》(M42)』を自由に開放してあげようと思います(笑)

・・但し光学系後群の設計仕様がmamiya/sekorそのモノなので (YASHICAとは全く異なる) その描写性能はいまだに「???」のままで、何しろEdixagonは高額すぎて手が出ません(笑)

このモデルの筐体外装意匠で「シルバーとのツートーン」モデルが貴婦人的な佇まいと当方では評価しているもののこちらのブラックバージョンは「その肉体美を誇る精悍な佇まい」と 擬人化して受けとめています(笑)

ちなみに前述の『富岡光学製』たる根拠は後のほうで出てきます。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。もちろんLED光照射でコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

ハッキリ言ってこのモデルは筐体外装の意匠の別に関係なくカビ除去痕は当然ながらコーティング層経年劣化に伴うクモリが生じている個体がとても多く光学系の清掃ではどうにもなり ません(涙)

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側も前群同様にまるで「スカッとクリア」であって後玉外周に微かな薄い菌糸状を伴うカビ除去痕が2箇所残っていますが (LED光照射で覗くと汚れのように見えるが菌糸状カビ除去痕です) どのような撮影シ〜ンとしても一切写真に影響する要素に至りません。

なお冒頭解説のとおりこのモデルはマウント部の後玉周りがご覧のように「金属の切削による仕様なので鋭角に切られている」ワケでカバーを接着している緩やかな落ち込みではありま せんね。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:11点、目立つ点キズ:7点
後群内:19点、目立つ点キズ:14点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後玉に微かなカビ除去痕計3箇所あり/そのうち後玉外周2箇所はLED光照射で視認できる極微かなカビ除去痕に伴う菌糸状クモリあり)。
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い2mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環やA/M切替スイッチ共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。

絞り環操作時のクリック感は当初バラす前のチェック時点で相当ガチガチしていたので (マウント面飾り環のイモネジ締め付け固定が過去メンテナンス時にミスっている) 適切なクリック感に改善させましたがその影響で溝のほうが摩耗して削れているので「どちらかと言うと軽めのクリック感」に仕上がっています (一度削れた金属は元に戻せないので改善不可)。事前告知済なのでクレーム対象としません。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-Nフィルター (新品)
本体『AUTO mamiya/sekor 50mm/f2 (black)《後期型》(M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
純正樹脂製スナップ式前キャップ (中古品)

もちろん筐体の総てが金属製ですが「A/M切替スイッチのツマミ部分のみプラスチック製」なのでそろそろ経年劣化でモロくなっている関係上落下やぶつけたりにはご留意下さいませ。

また距離環を回すトルク感は当方では「軽め」の印象ですが人により「普通」程度かも知れ ません。ピントの合焦もピントのピークが掴み辛いので軽めのほうが良さそうです。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑上の写真は今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体のマウント部を真横から撮影しています。すると冒頭解説のとおり赤色矢印で指し示したとても細い環/リング/輪っかの「飾り環」に横方向から3箇所でイモネジによる締め付け固定が成されています (ブルー矢印)。

このような仕様で設計していた「M42マウント規格」のオールドレンズが当時『富岡光学製』だけだったので判定の根拠としています。

富岡光学製』の根拠にはその要素として全部で「」の3つの要素が内部構造として特異であり (他社光学メーカーに顕在しない特異な特徴) 限定できますが、今回のモデルはそのすべて3つが適合しておりまさに富岡光学製以外の何物でもありません(笑)

この『富岡光学製』の根拠について確認したい方は前述の参照ページを開いて頂くとちゃんとオーバーホール工程の中でも掲載写真を使い細かく解説しています。

またこのモデルでの後玉が上写真のように「最大で7.3mm分突出する」ので装着される場合はご留意下さいませ (グリーンの矢印)。

いろいろ超長文で解説してきたので本当にお疲れでしょうが (いつも恐縮しています) 当方に対する信憑性云々は特に反論しませんのでご自由にご評価下さいませ(笑)

↑当レンズによる最短撮影距離50cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値を「f2.8」にセットして撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮りました。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。これだけ絞り羽根が閉じていてもまだ「回折現象」の影響を視認できないのでたかが廉価版の格付と言いながらも相応なポテンシャルを持つモデルと当方では評価しています。

さらに指摘するなら開放f値「f2.0」ではもちろんちゃんとミニカーの本当に手前側ヘッドライトの電球部分にしかピント合焦しませんが、それだけアウトフォーカス部のボケ味が柔らかいのが描写性の特徴なので『富岡光学製』たる特徴を期待されるなら一番扱い易くもサクッと 富岡光学らしいボケ味を堪能できるモデルとも評価しています。

特に赤色がとても鮮やかに浮き上がるものの決して色飽和してしまわずにちゃんと階調を残せているところがさすがですし、そもそもこの点を指して当時から「富岡光学の紅色」と揶揄 され続けてきたようです。

・・その意味で当方は開放f値ばかり追求しません (あくまでも人の瞳で観たがままの印象派的な感覚のほうが当方にはむしろ重要な要素です)(笑)

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。