◆ OLYMPUS (オリンパス光学工業) ZUIKO MC AUTO-S 50mm/f1.4 《後期型−II》(OM)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産の
OLYMPUS製標準レンズ・・・・、
ZUIKO MC AUTO-S 50mm/f1.4《後期型−II》(OM)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Украине!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

《 事 後 談 》
今回はこちらの個体を「ジャンク扱い出品」したのですが何と何とお届けしたら距離環が最短撮影距離位置まで回すと隙間が空き、反対側の無限遠位置では詰まった感じで停止すると・・(泣)

ご落札者様がさっそく調べてくれて (何と素晴らしい方なのか!) 絞りユニットを締め付け固定するネジ3本のうち1本が外れて落下しヘリコイドに挟まり、残り2本も緩んだまま・・!!!(驚)

つまりは絞りユニット締め付けを忘れたまま工程を進めてしまった事が判明しました!(汗)

いつ寝てしまったのか全く覚えていないのですが、確かにオーバーホール工程の途中で2回ほど寝ていた事があったのでその時に忘れてしまい組み上げてしまったのだと思います (覚えていない/いや、覚えていたらちゃんと処置してるだろうから)。

実は最近こういう事がとても多くなってきていてご迷惑をお掛けしている始末です!(涙) やはり引退の潮時だと言うお達しなのですね・・(涙)

今回のご落札者様は本当に良心的な方で好意的にご対応頂きました・・この場を借りてお礼申し上げます!!!

申し訳御座いませんでした・・そしてありがとう御座いました!(涙)

本日5月7日現在で既にアクセス数が1050件を超えており本当にありが とう御座います!(涙) 今まで当方の出品ページアクセス数は最大値でもせいぜい800件超え程度だったので皆様にご覧頂きとても嬉しく感じています! ありがとう御座います!(涙)

 

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は残念ながら光学系の状態が経年並みなので (あくまでも当方が納得できない理由から)『ジャンク扱い』で出品します。
100円スタートなので関心がある方はお好きな価格でご検討下さいませ。
(ジャンク扱いの理由や内容は以下の解説の中で説明しています)

このモデルの当方での扱い数は10年間で今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体が 累計22本目にあたりますが、その中でマルチコーティング化したモデルは今回が初めてです (今まで前期型ばかり扱ってきた)。

本来ジャンク扱い出品』の場合はこのブログで一切解説などしないのですが、今回の個体はモデルバリエーションで言う処の「後期型−II」にあたり、且つマルチコーティング化した「MCタイプ」であり今回の扱いが初めてだった点と、合わせて新たな発見があったので解説する事にしました。

その新たな発見とは・・光学系の再設計の話です。ネット上をいろいろ探索しましたがこの モデルの光学系が再設計されている点について詳しく触れている解説ページが存在せず当方も今まで全く知らなかったので今回解説する事にしました。

←左図は当時のOLYMPUSのレンズカタログから今回のモデルに関するページの抜粋です。

左図で写っている白黒写真のレンズ銘板を観ると「OM-SYSTEM」刻印なので「初期型」ではなく「前期型」モデルなのが判明します。
(初期型M-SYSTEM刻印で当初生産分のみ流通している稀少品)

これは有名な逸話ですが1972年に「M-1」として一眼レフ (フィルム) カメラを発売したところ、同年秋にケルンで開催されたフォトキナでライカから商標権上のクレームが入り急きょ1973年5月に「OM-1」と改名した為、当初生産分のみ市場流通を許された事から稀少品と言えるらしいです(wikiより)。

するとこのカタログに載っている光学系構成図はこの「前期型」の構成図ですがネット上の サイトでその後のモデル変遷も総て同じ光学系構成図で解説しているサイトばかりです。

実際今回その「前期型」の個体 (当方所有のジャンク品の一つ) を解体して光学系の各群を当方の手で逐一デジタルノギスを使って計測したトレース図が右図になります。

カタログ掲載の構成図とは一部に曲率などが異なる群が顕在し、且つ第6群 (後玉) の両凸レンズがカタログ上は「表裏で同じ曲率」に対し現物は「表裏で曲率が異なり露出面側が大きい」両凸レンズでした。つまり後玉はフィルムカメラ側がより盛り上がって突出した凸レンズだったのです。

さらに右図が今回ヤフオク! 出品する個体を完全解体して光学系を清掃した際に当方の手でデジタルノギスを使って逐一計測してトレースした構成図になります。

この中で一番気になったのは第4群貼り合わせレンズの「貼り合わせ面が違う点」です。MCタイプでは貼り合わせ面が「平坦な平凸レンズに設計変更している」と言えます。

するとこのマルチコーティング化された「MCタイプ」が登場したのは1983年になるのでそのタイミングで光学系が再設計されたとみています。

また当方がこのように指摘して当ブログに載せると「ウソを平気で載せている!」と指摘されるので(笑)、面倒ですが当方の手元に転がっていたジャンク品たる「前期型」までバラして逐一光学系を調べていきました。

↑上の写真はその「前期型」の光学系を順に並べて撮影しました。奥の左側から光学系前群の第1群 (1枚目前玉)、第2群 (2枚目)、第3群 (3枚目)、そして手前側が後群側に移って第4群の貼り合わせレンズ (4枚目)、と同じく第4群貼り合わせレンズ (5枚目)、さらに第5群 (6枚目) に第6群 (7枚目後玉) です。

貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤/バルサム剤を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す

↑同様に今度は今回オーバーホール済でヤフオク! 出品するZUIKO MC AUTO-S 50mm/
f1.4《後期型−II》
(OM)』
です。モデルバリエーションで言う処の「後期型−II」にあたりますが、同様に奥の左側から光学系前群の第1群 (1枚目前玉)、第2群 (2枚目)、第3群 (3枚目)、そして手前側が後群側に移って第4群の貼り合わせレンズ (4枚目)、と同じく第4群貼り合わせレンズ (5枚目)、さらに第5群 (6枚目) に第6群 (7枚目後玉) です。

今回扱った出品個体は特に第4群の貼り合わせレンズに致命的なレベルのバルサム切れが生じておりほぼ全面に渡るクモリで実写した写真は全て「まるで濃霧の中で撮った写真のように非常に低コントラストな写りだった」ので上の写真のように一旦剥がして4枚目と5枚目を分離させて並べている次第です (一つ前の前期型も説明する上でワザワザ剥がして分離させて並べた)。

なにしろ当方に対する信用/信頼が皆無なので純粋に相違点を述べたいだけなのにこのようにいちいち「証拠写真」を載せないと誰も信じてくれません(笑)

↑今度は「前期型 (左)」と「後期型 (右)」の別で並べて各群の構成レンズを並べて「具体的に どのように曲率などの違いがあるのか」を感覚的に分かるよう撮影しました。

例えばこの第1群 (1枚目前玉) は「MCタイプ」のほうが (つまり写真右側) 肉厚が薄いのに曲率が高くてより突出しているのが分かります。ちなみにこの時前玉は互いに外径サイズが ピタリと同一です。

↑同じように並べて撮りました。今度は第2群 (2枚目) ですが逆に「前期型」のほうが肉厚で 突出量が多い (曲率が高い) のですが、ちょっと上の写真では分かりにくいのですが実は「後期型MCタイプのほうが光学硝子レンズの外径が僅かに小さい」のです。

実測値で示すなら「前期型 (左):33.48mm」の外径に対し「後期型 (右):32.5mm」なのです。さらに光学硝子レンズの全高 (突出量) は「前期型9.3mm vs 後期型7.26mm」と高さは逆に「前期型」のほうが飛び出ています (つまり曲率が高いと言える)。

すると一つ前の前玉のほうで「後期型MCタイプ」のほうが曲率を高く採って屈折率を稼いでいた理由/辻褄がこれで合ったのが分かりますね(笑) 要は前玉で集光した入射光を屈折率を高めてより小さい範囲に集光させて屈折させている設計者の意思を汲み取れます (右側の後期型のほうの話)。

↑今度は第3群 (3枚目) ですがここで光学系前群が終わるので (つまりこのすぐ後に絞りユニットが配されているから)「光学系前群用の光学硝子レンズ格納筒が用意されている」のでこんな写真になります。

ちなみに左側の「前期型」はカシメ止めされているので誤って押し込んでしまいご覧のように斜めってしまいました!(汗) その一方で「後期型のMCタイプ」はモールド成形に変わったので外れません。

本来はこの後に絞りユニットが来ておりその直下から今度は「光学系後群側」へと変わります。上の写真で言うと上方向に絞りユニットが来ます (つまり下側が前玉方向という向き)。

↑光学系後群側に入りました。第4群は前述のとおり「貼り合わせレンズ」なので「4枚目と5枚目が光学硝子用接着剤/バルサム剤で接着されて一つの塊/群として配置される」設計です。

するとご覧のように「前期型のほうは凸メニスカス」で中心部分が盛り上がる設計ですが右側「後期型」も同じ「凸メニスカスながら平坦」なのが一目瞭然です (従って決してウソでは ありません)(笑)

上の写真で言うとこの光学硝子レンズの下側方向に絞りユニット (の裏側) が配置されている 位置関係なので、一番多い光学硝子レンズのクモリとして上の写真の下側面にコーティング層経年劣化に伴うクモリが生ずる可能性が高まります。コーティング層の経年劣化なので清掃などで除去できる話ではなく一旦コーティング層を剥がして再蒸着しない限りクモリは除去できません。

もちろん単なるカビの発生や経年の揮発油成分に拠るクモリの場合もありますが、たいていはコーティング層の経年劣化なので清掃では除去できません。その意味でオークションで調達する際に出品ページで「気になる人は清掃して下さい」と記載されていても必ずしもキレイに なる保証は一切ありませんね(泣)

なお蒸着しているコーティング層が放つ色合いが異なり「前期型 (左):アンバー (パープル)」に対して「後期型 (右):パープル (アンバー)」なので、ここで屈折率に大きく影響を与えようとしている入射光の「対象とする色合い/波動/波長まで変更している」やはり設計者の狙い まで明確になりますね (括弧で括った色合いは弱い蒸着要素を示す)。

これは何の話をしているのかと言えば、光学系に入ってくる入射光は総天然色ですが総ての色合いは3つの色合いの混ざり具合の違いで表現できるとの概念が基礎になっていて、これを「色の三原色」と言います。例えば今ドキのデジタルな世界では「色の三原色」であって「」の3つの色の混ざり具合 (配分) により総天然色を表現していますね(笑)

最近の4K/8Kなどの表現性にはそこに輝度の低下による確保が必要になるので「」と「黄色 ()」を発色点の明るさ確保要素に使っています。パッと考えると「画を明るくするなら白色ではないのか?」と考えがちですが、実は総ての色合いを混色すると「黒色に至る」のでその反対色が「白色 ()」であって明るくなると同時にコントラストまで下げてしまいます。そこで発色点の輝度だけを確保したいなら (明るくしたいなら)「黄色 ()」を使う方法で考える事で「コントラスト低下を防ぎながら発色点の明るさまで合わせて確保が適う」としています (4つの色合いの混合率を変化させる事で個別の色合いのコントラストを確保したまま輝度を上げられるという概念)。

前述ではデジタルな世界で解説しましたがこの当時のオールドレンズはまだフィルムカメラの時代なので「アナログの概念」ですから光学系内に入ってきた入射光は同じ「色の三原色」としても光学メーカーによっては3つの色合い別の優先度が違って「」かも知れませんしある光学メーカーは「」かも知れません。それはNikonにしろCanonにしろそれぞれの光学メーカーで優先的に波長を制御する概念が決まっていて (モデル別以前に自社光学技術の 優先度として明確な波長の違い) それに従った製品を設計していたとも考えられます。

このように光学メーカーによって入射光を制御する上での波長の優先度が異なる概念の基礎は旧ドイツの物理学者たる「Joseph von Fraunhofer (ヨゼフ・フォン・フラウンホーファー)」氏が唱えた太陽光のスペクトル回折理論を礎としており、そこに光学メーカー独自の総合的な発色性や画の質を決め得る中心的な概念が必ず存在するので各社違っていた次第です。

これを簡単に説明するなら例えばある光学メーカーが「自然の色合いたる緑色を鮮やかに表現する」との方針に則って光学設計する会社かも知れませんし、或いは「いやウチは人肌をよりリアルに自然に表現する事を重点に置く」など光学メーカーとしての何某かの企業方針があるのではないかと捉えています。

これは当方愛用レンズたる旧西ドイツの「Heinz Kilfitt (ハインツ・キルフィット)」氏が1955年に世界で初めて送り出したマクロレンズ「Makro-Kilar」シリーズに於いてアポクロマート技術を取り入れ光学系に入ってきた入射光の「色の三原色」に対し当初開発時点は「」の優先順序としていたのが後に「」と変化していったのがヒントになっています(笑)

つまりここに「これら対象とする3つの色合い (波長) が同一ならワザワザ並び順を変更する 必要性は一切存在しない」との仮説からさんざん以前調べまくった体験があり(笑)、Heinz Kilfitt氏の資料からまさにその片鱗を掴んだ次第です。

アポクロマート (レンズ)
色の三原色」たる3色の光/波長に対し軸上色収差を補正し結像点に合焦一致させる概念

これは実際に「Makro-Kilarシリーズ」のレンズ銘板に刻印されているドット「 」が後に「 」に変化したのがまさにその証拠であり決してテキト〜に解説している話ではありません(笑) それは各色が「波長」である以上その「結像点」での色収差が必ず関わるので光学系の設計変更を必ず見据えて考察しないと「見誤ってしまう」と言う理論に至極納得できるからです。

ちなみに「色収差」が改善されないとピント面に「色ズレ」が起きてしまい大変汚い写りに 至りますし当然ながら「解像度の低下」にも至るので「波長が異なる要素には徹底的に企業 ポリシーが関わる」のが光学メーカーのある意味「性質 (サガ)」とも受け取れます。

逆に言うならこのような「色の三原色」の優先度合いの相違は個別のモデルに限定して頻繁に変遷していくのではなく「光学企業としての差別化」とも表現できるので何十年かのスパンで変化するべき話と捉えています。

この波長の捉え方に関する基礎的な技術の解説は「フラウンホーファー」或いは「フラウン ホーファー線」で詳説しています (いずれもwiki)。

さんざん長々と解説しましたがこのように入射光の波長に対する処置の一つがコーティング層蒸着なので単に放つ光彩の色合いが違うからと「あたかもコーティングの色の違いだけに留めてしまう考え方はある意味危険」との認識の上に立っています (つまり光彩の色合いの相違は下手すると光学系の設計自体が全く別モノかも知れないと疑うべきとの意味)。

・・それを言いたくて (とても良い実例になるので) 今回こだわってこのように光学系の各群を「前期型 vs 後期型」で比較し合っています(笑) 但し今回の例はそれにプラスして「モノコーティングからマルチコーティング化へと変遷」した要素まで含むので、どう考えても「同一の光学設計のままで済むハズがない」のにそれすら気づかなかった当方の未熟さが露呈した話とも言い替えられますね(汗)

・・要は当方の考察とはそんなレベル止まりなのです (本当に恥ずかしいヤツ)!(笑)

↑同じく第4群に位置しますが枚数で言うと「5枚目」にあたります。

ちなみに一つ前の4枚目と一緒に接着されて貼り合わせレンズに至りますが、その接着した時の全高は「前期型11.97mm vs 後期型12.66mm」なので「後期型 MCタイプ」のほうがより屈折率が高い設計なのが分かります。

第5群 (6枚目) です。

↑そしていよいよ最後の第6群 (7枚目後玉) ですが、この後玉は「前期型が外側露出面の曲率が高い/突出する」のに対して「後期型は裏面の曲率が高く突出」と「前期型/後期型」の別で全く両凸レンズの突出が反転している設計なのが判明しています。

従って右側「後期型」のほうが肉厚が多少薄いものの高い位置に浮き上がっているように写っているのは「裏側の突出が多いから」まるで浮き上がっているように見えてしまうのです。

以上さんざん証拠写真付で解説してきましたが、このように「前期型と後期型では全ての群でもう一度再設計した光学系」なのが判明しました。

この問題は実はいろいろなサイトで「後期型のMCタイプはマルチコーティング化で解像度が上がった」とまるでコーティング層の蒸着を替えただけで如何にも解像度がアップしたような印象に受け取られる内容の解説しかしていませんが、本来コーティング層の蒸着の種類が変化したのならそれに合わせて収差の改善も必須になり当然ながら「光学系を再設計する必要に 迫られる」のが自明の理なので、できればちゃんとそこまで解説するべきだと考えます(笑)

もっと言うなら例えば光学系前群用の光学硝子レンズ格納筒のカタチもサイズも設計も何もかも違うのは「屈折率が変化すれば当然な話」であって、様々なオールドレンズについて単純にコーティング層が放つ光彩の色合いが違うと指摘している解説サイトが非常に多いですが本当に正しく考察するなら「単に放つ光彩の色合いが違うだけではなくそれに伴い入射光の色別に波動/波長の相違から下手すれば一部の光学系が再設計されているかも知れない」と指摘する くらいがより良心的ではないかと思いますね(笑)

当方は光学知識オンチなので明確に指摘できませんが・・(笑)

なお光学系第2群光学硝子レンズコバ端が「格納筒の溝部分に沈み込みでセットされる方式」を採っていた事も発見したので「第3群との間に間隔が空かない」のもデジタルノギスで計測して判明しました。そもそもオリンパスのカタログ掲載構成図は特に第2群と第3群の間の隙間がほぼ等間隔なので下手すると特許取得時の構成図を載せているだけなのかも知れません。(よく知りませんが)

ちなみに今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体はモデルバリエーションで言う処の「後期型−II」ですが距離環のラバー製ローレット (滑り止め) を外したところ「白文字印刷A9Y 2922」とありました。すると「会津製作所で1989年11月製造」ではないかと推測できますがその後に続く4桁の番号が何を表すのか不明です。また外したラバー製ローレット (滑り止め) の裏側にはパーツ番号として「CA9989」が刻印されています。

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はOM-SYSTEM G.ZUIKO AUTO-S 50mm/f1.4《前期型》(OM)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わっていますが今回は残念ながら「ジャンク扱い出品」なので
100円スタートと低価格ですからもしも関心がある方は是非ともご検討下さいませ。

↑光学系内の透明度が高い状態を維持している個体ですがその一方で点キズや当てキズにヘアラインキズ (3cm長) や極微細なヘアラインキズ (34mm長) なども複数残っています。その意味で光学系内のキズはあくまでも経年並みと言えそうです。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。少々目立つ当てキズが光学系第2群の表面 (外周附近) にあります。

↑また光学系後群側も透明度は高いのですが、そもそも当初バラす前のチェック時点で第4群の貼り合わせレンズにバルサム切れでほぼ全面に渡る本格的なクモリが生じておりとても撮影できるレベルの話ではありませんでした(笑)

最近のヤフオク! などを観ているとアホな『転売屋/転売ヤー』がそのようなクモリの状況でも「低コントラストな撮影を楽しめます」などとまるでデメリットにならないような言い草で出品ページに記載していますが笑ってしまいます(笑)

今回出品個体は問題の第4群を一旦剥がして再接着しましたが「第4群の締付環にカニ目溝が存在せず圧が足りずに観る角度によりニュートンリングが視認できる状況」です。またバルサム切れが生じていた領域の屈折領域で (つまり裏側) コーティング層の経年劣化が進んでおり「LED光照射で極薄いクモリが視認できる」ので後玉側方向から覗き込むと「うっすらと何となく曇っているように見える」のが分かると思います。

・・この2つの要素から「ジャンク扱い出品」にしていますがこのブログ最後に載せている実写のとおり一般的な撮影では影響しませんし、おそらく光源や逆光撮影時にも影響を視認できるレベルに至らないと推測しています。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑そもそも当初バラす前の時点で「絞り羽根開閉異常」が発生していてバラしてみると「内部の全ての締付ネジに青緑色の固着剤」が塗られ、且つ「白色系グリース」が塗布されていたのでおそらく数年内の整備とみています。

その中で絞りユニットを解体する際に全ての締付ネジを外していったようで(笑)、絞り羽根開閉を制御するアームとレバーの噛み合わせが狂ってしまい「絞り羽根の開閉異常」に至っていました。

と言うかちゃんと正しい絞り値の開閉幅で絞り羽根が閉じていないのに「それでもなお固着剤で固めてある」理由が「???」です(笑)

取り敢えず全て正しく制御できるよう、間違った位置で固着させていた締付ネジも外して正しています (面倒くさいったらありゃしない!)。

↑距離環を回すとトルク感は「普通」人により「軽め」に感じられるトルク感に仕上げてあります。このモデルの場合 (特にMCタイプになってからさらに)「ピントのピークがアッと言う間にピタッと合う」ので軽い操作性に仕上げていないとピント合わせでイラッと来ます!(泣)

一応ちゃんとオーバーホールしてあるのでそういう要素にまでこだわって仕上げてありますから、本当に「単に光学系のキズなどが気に入らない/納得できない」だけで「ジャンク扱い出品」です(笑)

↑純正の樹脂製前後キャップが附属します。まぁ〜たまにはお楽しみで好きな価格で入札できる出品もしないと本当にバカ高い価格でいつも出品していて嫌われるばかりでどうしようもありません(笑) それでも (既にオーバーホール工程の最初の段階で光学系に納得いかずジャンク扱い出品確定でしたが) 手を抜いて微調整したりせずにちゃんとキッチリ仕上げるよう努めているのはやっぱり使う人 (ご落札者様) が実際に撮影する時の思いとして考えるとどうしても適切に仕上げたくなります(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離45cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

このモデルは被写界深度がとても狭いので上の写真でピント合わせした時に合焦しているのは「手前側ヘッドライト部分だけ」であるもののその鋭さは相当です。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。絞り環のクリック感は当初硬すぎでしたが軽く仕上げました。

↑さらに回してf値「f2.8」で撮っています。

↑f値は「f4」に上がっています。

↑f値「f5.6」になりました。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」での撮影です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。「回折現象」の影響により解像度の低下が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。