◆ Steinheil München (シュタインハイル・ミュンヘン) Cassaron 40mm/f3.5 VL《黒銘板》(M42)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
Steinheil München製標準レンズ・・・・、
Cassaron 40mm/f3.5 VL《黒銘板》(M42)』です。


《ご落札頂きました・・!》
ありがとう御座います!(涙) 当方が以下に述べまくっているように同じような感覚で40㍉のオールドレンズを標準レンズ域に捉えて頂ける方が居たのが何よりも嬉しいです!(涙)

いつも調達する時はそのように「こんな方にご落札頂けたら嬉しいなぁ〜」と想定しつつ手に入れオーバーホール作業中もその一念で作業している次第なので、まさにドンピシャで当てはまると本当に嬉しいです!
ありがとう御座います!

旧西ドイツはSteinheil München (シュタインハイル・ミュンヘン) と言う老舗の光学メーカーが1951年に発売した『当時としては標準レンズ域のつもりだった』今で言う処の準広角レンズモデルです。

何だか言葉の綾をとっているような話になってしまいましたが(笑)、今でこそオールドレンズも含めデジタルな今ドキのレンズに至るまで「焦点距離50mmを標準レンズと認識」していますが、実はこれは戦前ドイツにまで遡る話をその前提として知らないと全く何を言っているのかピンと来ません(笑)

今で言う処の「標準レンズの焦点域」定義が昔は違っていたのです・・。

定義と言うか、それほどちゃんとした規格的な話ではないのですが戦前と戦後とで分けて考えるときっと分かり易いでしょう。

一眼レフ (フィルム) カメラはファインダーを覗いて被写体を正像にて自分の目で確認しつつ撮影できるフィルムカメラですが、この仕組みで後の量産型として発展した経緯を持つフィルムカメラが初めて登場したのは第二次世界大戦開戦直前のドイツでドイツ系ユダヤ人だった開発設計者が戦前ドイツのユダヤ人迫害から逃れる中1939年のライプツィヒ春の見本市で発表した「Praktiflex (プラクチフレックス)」から始まるクィックリターン・ミラーボックスを実装した、いわゆる一眼レフ (フィルム) カメラです (右写真は1939年製のPraktiflex)。

戦前の話でドイツ系ユダヤ人も徹底的な迫害に曝された為に会社を譲渡してアメリカに渡った事から、戦後ソ連軍によって旧東ドイツの会社として再創設され最終的に特許権パテントまで含め全てが丸ごと旧東ドイツ時代のPENTACONに移譲されました (移譲は1967年)。

酷い話です・・(涙)

日本の旭光学工業製「Asahiflexシリーズ」を世界初として挙げる人も数多く居ますが、いわゆる量産型の機構以前にその概念がパテント登録されるべきだったと考えられるのは前述の「Praktiflex」と当方は捉えています (実際に見本市で発表して実機が展示されていたから)。その意味でカオスの中の話であやふやになってしまい本当に辛くなる想いばかりです・・(涙)

話が反れましたが、戦前に主流だったのはそれら一眼レフ (フィルム) カメラではなく「レンジファインダーカメラ」でした。レンジファインダーカメラは装着したオールドレンズの距離計連動の仕組みからファインダー内に視差を再現し二重像などで表すことで正確な合焦を試みる概念です。そのような仕組みなのでフィルム印画紙の直前に前述一眼レフ (フィルム) カメラのようなクイックリターン・ミラーボックスが存在せず、オールドレンズの特に光学系/後玉は フィルム印画紙直前まで迫る状況が許されていました。

つまりバックフォーカスを考慮する必要がない時代であってその典型的なフィルムカメラが「バルナック型ライカ」と俗に呼ばれるようになった、或いは「Ur Leica (ウル・ライカ)」と呼ぶレンジファインダーカメラの試作品であり、設計製造者たるOskar Barnak氏から「バルナック型」と呼ばれるようになりました。
(右写真はLeica III型)

従ってバックフォーカスを稼ぐ必要が一切無いので焦点距離40mmも十分に標準レンズ域の光学設計をそのまま流用して延伸対応できたワケです (逆に言うなら広角レンズ域の光学設計がまだ存在しなかった時代の話)。

フランジバック
レンズマウント面から撮像面 (フィルムカメラならフィルム面でデジカメ一眼/ミラーレス一眼ならば撮像素子面) までの距離

バックフォーカス
光学レンズの後玉端から撮像面 (フィルムカメラならフィルム面でデジカメ一眼/ミラーレス 一眼ならば撮像素子面) までの距離

すると今度は「どうして焦点距離40mmを標準レンズと捉えるのか」と言う素直な疑問が湧きますが(笑)、実は人間の瞳で観た「自然な画角」は今で言う処の50mmではない「40mm45mm」と認識されていたのが当時の話なのです。それがヒックリ返ったのは前述のライカがメインに据えてしまった「焦点距離50mm (当時は5cm)」を世界規模で標準レンズ域と定義し始めたからこそ今現在の標準レンズ域認識に至った次第です。

そこで初めて当方の琴線「目が据わってしまう描写性の特質」に気づいた次第です(笑)

当方が今までに扱った3,000本を越すオールドレンズの中でその描写性に必ず引っかかる (目を惹いてしまう) 描写性がまさに「40mm45mm」なのだと気が付いたのです。

プラスしてその写りはと言うと「リアル感の認識として緻密感よりも逆にアウトフォーカス部の背景ボケを重要視する特性がある」事が分かりました。

全く以てお恥ずかしい話ですがこの点について自ら確固として認識できておらず(笑)、昨年に初めてそれを当方がオーバーホール済でヤフオク! 出品したオールドレンズをご落札頂いた方のInstagram「picmaru_photoさん」アップ写真を観てようやく頷けたという本当に恥ずかしい話です(笑)

オーバーホールを始めて既に10年も経っているのに自分がなびく琴線に触れる写り方を自ら認識できていなかったワケですョ!(笑)

その時にご落札頂いたオールドレンズはこちらのXenon 50mm/f2 (exakta)Schneider-Kreuznach (シュナイダー・クロイツナッハ) 製標準レンズです。画角こそ今ドキと同じ焦点距離50mmの標準レンズですが、その写り方にアッと言う間に惹かれまくって2年掛かりで探してやっとのことで手に入れた個体だったのです。

調達する際に自分が好む描写特性を認識できていなかったワケですが(笑)、その感覚はまさに琴線の如く確かに顕在していたことが「picmaru_photoさん」のInstagramで明確に示され ました!(涙)

もぉ〜どの写真を観るにつけ感激モノです!!!(涙)

やっぱり自分には写真撮影のセンスが皆無であるが故に自ら認識することができなかったのだと、今さらながらに反省しか残りません!(笑)

その吐き出す写真にピント面の緻密さはさして重要な要素ではないのです。そこそこに鋭さっぽい印象が残っているだけでピント面は十分で、然し実はそのピント面のアウトフォーカス部からの滲み方にこだわりがありました!(驚)

つまりピント面のエッジ表現に誇張感が憑き纏うと自分が反応しない写り方なのだと分かったのです!(笑) そこそこに繊細感を留めつつも決して緻密感だけに終わらず、ところがそのアウトフォーカス部はすぐに滲み始めてその滲み方が「ある意味中途半端的にゆっくり溶けていく感覚」とでも言いましょうか・・要は「自分の瞳で観て認識しているようでしていない見えていないようで実は見えている」みたいな、そんなとても曖昧な描写性に瞬時に反応することを理解した次第です。

恥ずかしい・・(笑)

話が長くなってしまいましたが、実は今回扱ったこのパンケーキレンズも同じ系統の写り方をする、然し画角は40mmと言うまさに自分が見えている画角の写りを留めてくれる大好きなオールドレンズなのです!

ネット上某有名処の解説ではこの標準レンズ域の焦点距離把握としてあからさまに「準広角 レンズ域」と決めつけていますが、当方の認識は真逆「真の標準レンズ域」だったワケです。

それはもっと遡るならフィルムカメラの黎明期をさらに遡る草創期に乾板式カメラで写像を 残していた時代からして「人間の瞳で観た画角」だったと当方は受け取っています。しつこいですが「見た」ではなく「観た」です(笑)

意識して見ずに然し脳裏に残ってしまう「背景ボケ」部分の存在を以てして初めて「リアルな写り方」と認識するが故に「観た」なのです(笑)

何だかどうでもいい事にウダウダとこだわっているように思えるかも知れませんが、もしも そう受け取られる方は当方が好む描写特性とは異なる写り方にご自身の琴線があるのではないかとも考えられます。それは人それぞれなので決して良し悪しではなくどちらも「」なのだと思いますが、しかし現実として事実として「40mm45mm」があたかも中心的な存在の如く数多く発売されていた時代が顕在したのは間違いない歴史の事実だと受け取れるので「その解説なくして語れない」と当方は考えています。

その意味で準広角レンズ域と決めつけてしまったり (それはまさに今現在の受け取り方だと 認識しているから) 或いは標準レンズ域ではないと指摘する事に「ではどうして流行った時代があったのか???」に納得できる説明が憑き纏いません(笑)

規格だ定義だと貶す (言いくるめる) 以前に世界中の人々が自然な感覚としてコトバに表す以前に受け入れていた画角だったのではないかとみています・・そのような認識は全く以て違うと仰るならそれもそうなのだと思いますが、完全否定はされたくないですね (だって自分の感覚なので)(笑)

当方があ〜だこ〜だ言うとウソだとか大間違いだとか貶す勢力があるので先に予め弁明して おきます(笑)

もしもそう仰るなら歴史的にどうして「40mm45mm」焦点域のオールドレンズが先に登場していたのかについて是非とも納得いく解説をお願いします! 納得できればこのブログで自らの感覚の拙さをちゃんと皆様にご報告してお詫び申し上げます!(笑)

  ●               

よくネット上で掲載されている3群3枚いわゆる3枚玉トリプレット型光学構成というのが右図のようなトレース図になりますが、これはおそらく何処かのオールドレンズ光学系のパテント (特許登録) 時の 構成図から引っぱってきている図だと思います (逆に指摘するなら全てのオールドレンズでこの構成図に近似した設計を採っているワケではない)。

何故ならこの構成図に従うと焦点距離延伸が難しくなると考えられるので必ずしも標準レンズ域だけを指して3枚玉トリプレット型光学系が当時流行っていたワケではないと考えます。

つまり「40mm45mm」の焦点距離を含めつつ「50mm」も使っていたと考えます。

今回の個体を完全解体した後に光学系光学硝子清掃時に当方の手で 逐一光学硝子レンズ群をデジタルノギスを使って計測してトレースした図が右の構成図になります。

もちろん確かに3群3枚のトリプレット型構成ですが、第1群前玉は両凸レンズではなく凸メニスカスでした。これだけで屈折率がガラッと変わるので意外と重要な要素だったりします。

そしてこれこそがまさにさんざん冒頭で説明してきた当方の琴線に触れまくる(笑) 写り方たる「人の瞳で観たがままの写り方」であり、且つ後に登場し世界中を席巻する3群4枚テッサー型ではなく「3枚玉派」みたいな一種偏屈的にまでこだわった話に辿り着きます(笑)

もっと言うなら第1群前玉外径サイズ「僅か⌀12.99mm」であり、且つ後玉「⌀11.99mm」と言う本当に小径な光学硝子レンズだけで表現しているワケで、はたしてどれだけの人がここから吐き出される描写の実写をご覧になって言い当てられるでしょうか?!!!

3枚玉」と言ってバカにできないほど当方は現場感やリアル感を留められる光学系構成と受け取っています。もちろんそのリアル感は何かと言う点まで話が及べばまた人によって異なると思いますが。

↑今回の個体もいつもと同じで当初バラす前の実写時点で「こんな程度のピント面だったかなぁ〜?」とカメラボディ側ピーキングに反応しないような曖昧な印象のピント面でしたが、その因果関係がちゃんとありました(笑)

どうも過去メンテナンス時の整備者にとっては苦手な部類に入ってしまうのか?(笑)、鏡筒とその内部に組み込まれる絞りユニットの仕上げ方に設計者の意図通りに組み上げられない要素があるようです(笑)

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

すると位置決め環に絞り羽根の「位置決めキー側」が刺さって格納位置が決定し、且つ上の写真のとおり「開閉環」がその上から重なることで絞り羽根が開閉する仕組みが完成します。

↑前述の話は一般的なオールドレンズの絞り羽根に纏わる「絞りユニットの原理」ですが、実は今回のモデルは絞りユニットが一切固定されない設計を採っており「光学系第2群を組み込むことで初めて絞り羽根の格納が完了する」仕組み採っています。

どういうワケかこういう原理の設計に過去メンテナンス時の整備者は弱いようで、今回の個体もこの「平滑面」にまで反射防止黒色塗料が厚塗りされていて絞り羽根の駆動に影響を来さないよう「光学系第2群が最後までキッチリ締め付け固定されていなかった」のが何となく甘い印象のピント面を誘っていたようです(笑)

ここまでの指摘のように「設計者の意図」などと解説していくと、するとまた辻褄合わせして勝手に「設計者の意図」とか「本来の正しい手順」などとあたかも知ったような説明をすると批判されるのですが(笑)、組み立て手順などを示すサービスマニュアルなど製造メーカーにしか存在しないのでそんなマニュアルが手元にあるハズもなく(笑)、もっと言うならせいぜいCanonやNikonなどの提携整備会社以外それらマニュアルが手に入るワケもありません。

ところが今回のこのモデルで言えば絞りユニット内「開閉環の縁の処理/仕上げ方/設計」及び上の写真の如く「光学系第2群の平滑面の仕上げ方/設計」から「光学系第2群自体が絞り ユニット開閉環の固定も兼ねる設計」なのは自明の理です。従って過去メンテナンス時の整備者がそれにちゃんと気づいてそのように正しく処置を施して「絞り羽根開閉駆動の障害を取り除いている」なら何も問題が無かったワケで、そのような事柄が「観察と考察」から判明し「原理原則」から導かれるので、決してこれらの話について批判される筋合いは無いのです(笑)

要は絞り羽根開閉駆動に関し「開閉環とその接触面たる光学系第2群の平滑面がポイントに なる」のが導き出された話になるワケで、ここに批判される道理は一切ありませんね(笑)

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は「Cassaron 40mm/f3.5 VL (exakta)」のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。このモデルには珍しく光学系内の透明度が「スカッとクリア」で非常に高く、且つ距離環を回すトルク感も十分に軽めに仕上がった満足のいく 仕上がりです。

このモデルの当方での扱い数は累計で14本目にあたりますが実は何と「M42マウントの個体は今回が初めて」の状況で今まで扱った個体は全て「exaktaバージョン」でしたからとても新鮮でした!(笑)

ちなみに海外オークションebayでの流通価格帯は2万円前後3万円台なのでオーバーホール済でのヤフオク! 出品価格も「即決価格39,500円」としています。

モデル銘/レンズ銘板刻印にもある「VL」はドイツ語「Verhinderung von Lichtreflexion」略であり「光反射防止」のような意味合いです。つまりはシングルコーティングではなくモノコーティング複層膜コーティング層蒸着」なのが明白です。もしも自分の目で見て確かめたいとお考えなら「コーティング層を光に反射させて幾つの色合いの光彩を放つのか?」で分かります。

このモデルで言えば上の写真のとおり「パープルアンバーブル〜」なので3つの色合いを放っていますからシングルコーティング (単層膜) ではありませんョね?(笑) 複層膜なので「2つの色合い」が確認できれば良いのですが中には「3つの色合いの光彩を以てしてマルチコーティング」と決めつけてしまう人も居るので、この当時は必ずしも「3色の光彩だけでマルチコーティング」とは定義できません。

例えば日本の旭光学工業で開発した「Takumarシリーズ」は「SuperMultiCoating」いわゆる「SMC」で7層の多層膜コーティングでしたし、富士フイルムのフジカ製オールドレンズ「EBC (Electron Beam Coating)」では11層に及ぶ多層膜コーティング層でしたから はたしてたった3層しかないコーティング層を指してマルチコーティングと言い切れるのかというと、当時の特許を見る限りマルチコーティングではないように当方は考えています (複層膜と記されている限り多層膜概念がなかったとみる)。

↑伝えたかったのはそんな事柄ではなくて(笑)、このモデルにしては特に前後玉のコーティング層経年劣化が異常に少ない点にオドロキを感じたからに他なりません。まず以てコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリがLED光照射でも皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

もともと光学系第1群前玉が相当奥まった位置に格納されているためにこのモデルではあまりフードの必要性が高くありません(笑)

↑光学系後群側もスカッとクリアなのは前群と同じです!(驚)

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

ちなみに前後玉には一部にコーティングハガレが点状ですが残っています (キズではないので写真には影響しません)。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:15点、目立つ点キズ:12点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:17点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前群内に複数あり)
(前後群内極微細で薄い4mm長ヘアラインキズあり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズなし)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり3回清掃しても除去できない為、拡大撮影で「気泡」との判定しています。一部は一見すると極微細な「塵/埃」に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷をしていた為クレーム対象としません)。また「気泡」も点キズにカウントしているので本当の点キズは僅かしかありません
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内の透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑10枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧な円形絞りを維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:軽めと超軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人によって「軽め」に感じ「全域に渡って完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・このモデルの絞り環操作時にはクリック感がなく無段階式の実絞り方式になります(仕様なので改善できません)。
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せます。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製UVレンズガード (新品)
本体『Cassaron 40mm/f3.5 VL《黒銘板》(M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑このモデルの「M42マウント規格」は上の写真のようにマウント部ネジ山の先にさらに突出があり「3.25mm」飛び出ています。

↑実際に当方所有マウントアダプタに装着してもちゃんと最後まで問題なくスムーズにネジ込みが完了しています。上の写真では中国製ですがK&F CONCEPT社製「M42マウントアダプタ」を使っておりグリーンの矢印のとおり最後までネジ込めて (この時のピン押し底面は平面側をセットしています)、且つ指標値環の「Ι」マーカーはほぼ中心に近い位置まできています (赤色ライン)。

↑ひいきになるのでちゃんと日本製のマウントアダプタにも装着してみました(笑) グリーンの矢印のとおり最後までネジ込めて指標値位置も同じようにほぼ中心に来ています。

↑当レンズによる最短撮影距離60cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しました。開放f値が「f3.5」なのであまり変化がありません(笑)

↑さらに回してf値「f5.6」で撮りました。

↑f値は「f8」に上がっています。

↑f値は「f11」で撮っています。もうだいぶ絞り羽根が閉じてきていますがまだまだ使えそうな写り方です(笑)

↑f値「f16」です。このモデルの描写でオドロキなのが例えば上の実写で言うところの「お城の下部の穴の内部」で背景紙がちゃんと見えているダイナミックレンジの広さです。たかが「僅か⌀12.99mm」しかない大きさの前玉を介してこれだけのレンジ幅を実現できている点に当方はとてもオドロキました(笑)

↑最小絞り値「f22」での撮影です。さすがに解像度が低下して「回折現象」の影響が現れています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。