〓 VOIGTLÄNDER (フォクトレンダー) COLOR-ULTRON 50mm/f1.8 SL《前期型》(G)(M42)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
VOIGTLÄNDER製標準レンズ・・・・、
COLOR-ULTRON 50mm/f1.8 SL《前期型》(G) (M42)』です。


このモデルの当方での扱い数は今回出品する個体が累計で35本目にあたりますが、その中で光学系コーティング層が「微かなグリーン色の光彩」を放つタイプは、今回が累計で僅か8本目です。それもそのハズで「製造番号先頭3桁231xxxx」なので微かにグリーン色の光彩を放ちます。このコーティング層の光彩や製造番号との関連性は以前オーバーホールした時の 掲載ページCOLOR-ULTRON 50mm/f1.8 SL《前期型》(G) (M42)』をご覧下さいませ。
(但し製造番号で必ずしもコーティング層が放つ光彩が確定できません/違う光彩の場合も多数あるので過去メンテナンス時などに光学系のニコイチなどされている懸念が捨てきれません)

さて、今回は残念ながら光学系の状態が芳しくなく、清掃によりスカッとクリアな高い透明度に至りましたが「経年並みの拭きキズやヘアラインキズが多い」個体です。

もっと正しく言うなら、調達に際し「各部スムーズに動いています」と掲載でしたが、実際に届いた現物は「絞り羽根の開閉異常」が発生しており、且つ距離環の固定位置が不適切なので「∞刻印まで回すと異常に重いトルクになり絞り羽根が動かない」或いは「本体にガタつきが発生している」「伝達機構が正しく駆動しない」「絞り環のクリック感がガチガチの印象
・・などなど(笑)

これだけ問題点が列記できるのに、仮に当方が同じように「各部スムーズです」と記載して ヤフオク! に出品したら「100%間違いなくタダでは済みません」(笑) おそらくフルボッコでしょう(笑)

・・と言うことで、たまにはお楽しみとして「今回はオークション形式での出品」にしましたので、こんなキズだらけの個体でも宜しければどうぞお好きな価格でご落札下さいませ

今回のヤフオク! 出品が「ジャンク扱い」ではないのは、一応自分なりにオーバーホールをキッチリ仕上げており、まさしく適切な各部の駆動に微調整済だからです。逆に言うなら「光学系の拭きキズやヘアラインキズしか問題点は存在しない」ので、当初の不具合な問題点はすべてちゃんと解消できています。

そんな自分なりの「納得」から、純粋にお楽しみとしてオークション形式にするだけです。

従ってもちろん他の通常の当方出品と同じ前提条件なので「出品ページ記載内容との相違」があれば、当然ながら返品/キャンセルができます(笑)

現下のコロナ禍の折、さすがに当方も落札されない日々が続き「生活費が緊急事態宣言!」の状態なので(笑)、アッチもコッチも苦しい世の中ですから、せめてこんな楽しみくらいならと考え「自前で支援金支給!」たるオークション形式でお金をゲットしようと言う下心です(笑)

お恥ずかしい・・(泣)

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はCOLOR-ULTRON 50mm/f1.8 SL《前期型》(G) (M42)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑今回は当方には珍しく「オークション形式」での出品ですが、決して「ジャンク扱い」ではなく全く以て正常品としてキッチリ仕上げています。冒頭解説のとおりひいて言うなら「光学系内は経年並みに拭きキズやヘアラインキズが多め」なので、その点だけはご留意下さいませ。

一応製造番号もちゃんと「先頭3桁231」だけは画像ソフトで処理して消さずにそのまま残して写真撮影しました(笑) 従って光学系を見る角度によっては「微かなグリーン色の光彩を放つ」個体です。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

当初バラす前の時点では光学系内に「盛大な薄クモリ」が生じており、実写すると「霧の中で撮った写真」の如く相当に低コントラストな状況でした(笑)

今回のモデルCOLOR-ULTRON 50mm/f1.8 SL《前期型》(G) (M42)』の光学系は右図のように6群7枚のウルトロン型構成です。

これら6群の光学硝子の中で「ネジ込み式の締付環」で締め付け固定されるのは「第1群の前玉と第6群の後玉だけ」のたったの2箇所 (前後玉) だけしか締め付けていないのです。

逆に言うなら第1群〜第4群までの光学硝子がセットされる「光学系前群用の格納筒」には それら各群の硝子レンズがストンと内部に落とし込みでセットされる方式なのです。

↑上の写真は今回の出品個体から取り出した「前群格納筒 (右端)」と第1群〜第3群までの硝子レンズを順に一緒に並べて撮影しています。

光学系の第4群の硝子レンズだけは「格納筒の最下部にカシメ止め」されているので格納筒の底面が第4群の硝子レンズになっています。すると第1群の前玉から第3群までの硝子レンズが順番に格納筒の中にストンとグリーンの矢印のように落とし込みで入っているだけの格納方法です。

実際は第2群も第3群も共に「金属製スリーブ環 (互いの群との間を埋めるスペースの環/リング/輪っか)」がサンドイッチされ、最後に第1群前玉の上から「ネジ込み式締付環」が締め付けられて「光学系前群が適切な光路長を確保する仕様」になっています (鏡筒に締め付け環用のネジ山が備わる)。

実際、右端の「格納筒」の内側をご覧頂ければ、各群の光学硝子が入るように段々に階段状に切削されているのがよ〜く見えますね(笑)

従って前述の光学系構成図のとおり第1群〜第4群まで「各群の間にはスペースが確保されている」のが適切な構成図のトレースなのだと納得できます (そのスペースを担っているのが金属製スリーブの役目)。

実はここが非常に重要なポイントになる話を解説しています

出品個体が当初バラす前の時点で光学系内に「クモリ」が生じていたのは「過去メンテナンス時に塗られてしまった反射防止用黒色塗料」のインク成分だったのです。

これ・・実は非常に多くの個体で似たような状況が発生しています。当方は今までに3,000本以上のオールドレンズを完全解体しながらオーバーホールしていますが、その多くの個体で 同じように「反射防止塗料」が締付環やスリーブ環、或いは格納筒の内側に塗られていることが多いのです。

もっと的確に言うなら「工場製産時点で艶消しのマットブラックでメッキ加工されていない」にもかかわらず、その箇所に過去メンテナンス時の整備者が「敢えて故意に塗料を塗ったくっている」のだと明言できます。

何故なら、メッキ加工された箇所は「溶剤で溶けないから」です。今回のオーバーホールで 当方が溶剤で経年の汚れなどを除去している最中でも「メッキ加工された箇所は溶けず剥がれない」のです。

ではどうして過去メンテナンス時の整備者はわざわざ「反射防止塗料」を塗っているのでしょうか?

そもそもメーカー自身が製産時点で「必要がないからそのパーツにメッキ加工を施さない」のに、どうして過去メンテナンス時の整備者が敢えて塗布する 必要性が生じるのでしょうか?

答はたったの一つ・・(笑)
過去メンテナンス時の整備者自身の「自己満足大会」です(笑)

例えば光学系内の話で言えば、格納筒内部で入射光が反射してしまう「迷光」を嫌う人達が 今でも多いというのも一つの理由かも知れませんし、もっと言えばオールドレンズを手に取って眺めた時の「見てくれの良さ」を気にして、わざわざ締付環などを真っ黒に塗っている整備者が「今ドキの整備会社でも非常に多く存在する」のが現実だったりします(笑)

要は光学系内を覗き込んだ時に「真っ黒のほうが良い」から塗ったくっているワケですが、そのせいで不用意な抵抗/負荷/摩擦が生じているのが現実の話です(笑)

今回の個体で言えば、以下の点が大きく問題になっていました。
過去メンテナンス時に塗布された塗料のインク成分でクモリが発生。
コーティング層に頑固に固着してしまい擦らないと除去できなかった
締付環やスリーブ環に塗布された為に甘いピント面に堕ちてしまった。

のせいで光学系内に薄くクモリが生じてしまい「実写にコントラスト低下を招いた」と言う悪影響です。またのせいで今回の清掃時にコーティング層を傷つける原因になりました。
おそらくインク成分が化学反応を起こして、コーティング層に頑固に固着化してしまったのだと推察します (通常の3回の清掃で除去不可能)。さらにはまさに適切な光路長から逸脱する因果関係に至り、本来の鋭さが確保できなかった一因になっていると考えられます。

このように過去メンテナンス時の整備者による「単なる自己満足」で全く以て余計な所作が行われ、その結果何年もしてからこのようなトラブルに見舞われます (いえ今でも相当多く処置され続けていますが)。

世の中の整備者は・・十二分に反省して頂きたいですね!(怒)

そんなワケで今回のオーバーホールでは特に「スリーブ環や格納筒の内壁」を相当必死で (通常の3倍の時間を掛けて) 磨き込みしてすんなり格納できるように仕上げたので、このブログページ最後の実写の如く「本来の鋭いピント面に戻った」と断言できています(笑)

ちなみに前述の「迷光」ですが、上の写真を見れば「はたして格納筒がピッカピカなのは何故?」と気にされる方々は考えないのでしょうか?(笑)

もっと言うなら「じゃ、どうして絞り羽根がマットな漆黒の真っ黒ではなくてメタリック色なのか?」と言いたいですね(笑)

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

前述のとおり経年相応に拭きキズやヘアラインキズが残っていますが、今回の清掃時にクモリを除去する際に付いてしまったヘアラインキズも多少あったりします。現実的にキズとして残っている部分もあればLED光照射で視認できない「コーティング層の細線状のハガレ」の場合も複数あります。

また2枚目の写真で左側に大きなキズのように白く写っていますが、これは現物を見るとキズではなく「コーティング層のハガレ」なので、光を反射させる角度を変えると写らなくなってしまいます (見えなくなる)。

従って物理的に硝子面が削れていないので当方では「目立つキズ」としてカウントしていません。

↑光学系後群側が特に非常に微細な円弧を描いたヘアラインキズが多く残ってしまいました (クモリ除去の際に付いたヘアラインキズ)。

但し、LED光照射時の薄いクモリは完璧に除去できたのでコントラスト低下にも至らず本来の鋭いピント面を確保できています。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

1枚目の写真に白っぽい弧を描いた跡が写っていますが、これは反射で写り込んでしまっただけなので現物にはありません。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:16点、目立つ点キズ:12点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内経年並み)
(前後群内に極微細な薄い拭き傷複数あり)
※一部の拭きキズは順光目視でも視認できるレベルなので経年並みとご認識下さいませ。
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「ほぼ正六角形を維持」しながら閉じていきますが、僅かに歪なカタチ (開口部/入射光量) です。

なお、クリック感が少々「軽め」の印象なのでカチカチといった明確なクリック感にはなっていません。原因は既にクリックを発生させる内部の「絞り値キーと言う穴が摩耗」している為で、一度削れてしまった金属は元に戻せないので改善のしようがありません (クレーム対象としません)。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-Nレンズガード (新品)
本体COLOR-ULTRON 50mm/f1.8 SL《前期型》(G) (M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

一応レンズ銘板の製造番号部分で「先頭3桁」だけ残して撮影しています(笑) また今回のヤフオク! 出品はもちろんオーバーホール済ですが、キッチリ調整も終わっているので「ジャンク扱い」ではありません。「出品ページ掲載内容との相違」を理由に返品/返金/キャンセルが可能です。

なお、絞り環のクリック感は前述のとおり少々軽めの印象ですし、逆にマウントアダプタに装着すると絞り連動ピンが押し込まれたままになる為、開放f値「f1.8」の絞り環回し始め位置で多少硬めの印象です。絞り連動ピンの押し込み具合に左右される構造なのでこれも改善できません (クレーム対象としません)。

当初バラす前の時点に筐体に起きていたガタつき原因も、過去メンテナンス時の整備者による「ごまかしの整備」であり、基台を本締めで硬く締め付けると絞り環操作が異常に重くなり、且つ距離環を回すトルクにもトルクムラが発生するので、それを防ぐ意味からネジを少し緩い状態で締め付ける「常套手段」です。

当方のファンの方のお話では、いまだに整備会社に出した後3週間後に戻ってきた時、筐体に僅かなガタつきが起きているものの添付されていた作業明細書には一切記載がなく、電話してその点を指摘すると「製産されてから半世紀近く経っているので仕方ない」と説明されたと 聞きました。

実は当方でそういう話を聞いたのは二度三度ではなく、意外と多いので (つまり一度その会社に整備に出したのに納得できず当方宛に再整備依頼してきたケース) 今でも相応の整備会社で 施されている「常套手段」なのではないかと推測しています(笑)

また製産後の経過年数/時間を不具合の理由として挙げるのもそれら整備会社のみならず、ヤフオク! などでも出品者の「逃げ口上」として頻繁に聞く内容ですが(笑)、逆に当方のオーバー ホールでは一度もそのような理由で弁明したことがありません。

生産後何十年も経過しているのは誰でも容易に理解できる話なので、その中でいったい何が 問題なのかを知りたいのが修理依頼者の人情なのではないでしょうか (せめてもの理由を知りたい)。当方のオーバーホールでは組み上がった後に起きている不具合について「100%確実にその因果関係を解説できる」のが当たり前の話です(笑)

仮に本当に製産後の経過年数が問題なのだとしても、当方の「DOH」で経年劣化の要素を可能な限り排除しているので、それでもなお不具合が起きたとすれば「では何が原因して不具合に至っているのか」を突き詰めて整備しているからです。すると必ず因果関係を生んでいる原因の構成パーツが存在し、或いは複数の部位からのチカラの伝達に起因して不具合に至っていたりします。

要は「観察と考察」でキッチリ追い込みをして対処したのか否かが問われる話ですし、そもそもそこには「原理原則」が大きく関わるので真摯な気持ちでそのオールドレンズの状況に対峙しているのかどうかが重要なのではないでしょうか(笑)

しかし現実には・・意外に「常套手段」に走る整備が横行していたりしますね(笑)

↑上の写真は以前の掲載写真からの転載です。よくこのモデルのオーバーホール/修理で「絞り連動ピンの突出が足りないからもっと長くしてほしい」と言うご依頼が何件もあったのですが残念ながら上の写真のような設計なので「そもそも絞り連動ピンの突出量を長くできる設計になっていない」のです。

グリーンのラインでマウント面を示していますが「絞り連動ピンの突出量2.8㍉」と決まっています。この突出量を「もっと短くする」微調整機能は装備していますが「長くする機能は存在しない」のでどうにも対処できません。

絞り連動ピン」は左横の「操作爪」にオレンジ色矢印のように刺さり、マウント面から飛び出ている絞り連動ピンが押し込まれると (ブルーの矢印①) それに連動して「操作爪が傾き (ブルーの矢印②)」逆に「絞り連動ピンの押し込みが解除される (ブルーの矢印③)」と内部の操作爪は「元の位置に戻る (ブルーの矢印④)」ので、これらの連係動作で「絞りユニット内の絞り羽根が開閉動作する仕組み」です。

この時赤色矢印で指し示している箇所がポイントになります。

↑上の写真は過去の転載写真ですが、マウント面から飛び出ている「絞り連動ピンが押し込まれる (ブルーの矢印①)」と連動して「操作爪が左方向に大きく/勢い良く傾き (ブルーの矢印②)」逆に「絞り連動ピンの押し込みが解除される (ブルーの矢印③)」と「操作爪が元の位置に戻る (ブルーの矢印④)」仕組みですね(笑)

そしてこの「操作爪」が掴んで離さないのは「絞りユニットから飛び出ている開閉アーム」なので、この絞り連動ピンの押し込み動作に瞬時に反応してシャコンシャコンと絞り羽根が小気味良く (勢い良く) 開閉動作しているワケです。

さらに何よりも「停止板の存在で絞り連動ピンの突出量は必ず2.8㍉と決まっている」のが赤色矢印の解説で明白です。仮にこの停止板のカタチをムリヤリ曲げて突出量を長くしたりすると「絞り連動ピンの棒の長さが足りなくなり組み上げられなくなる」のでどうにも対処できないワケです (絞り連動ピンを保持できなくなり抜けてしまう)(笑)

つまりシャッターボタン押し下げ時に瞬時に押し込まれるのが絞り連動ピンの駆動との想定しか考慮されておらず、今ドキのマウントアダプタ経由での装着でピン押し底面による「常時押し込み」を一切想定していない設計だから

・・と言えないでしょうか?

それこそが皆様が勝手に思い込みしている「フィルムカメラ全盛期と同じM42マウント規格なのだから」と、いわゆる「規格神話」にすがっているだけの話で、現実的には/物理的には全く以て設計時と想定外の使い方でムリヤリ動かしているに過ぎません。

それを否定されるなら・・では「M42マウントの規格とは?」と逆質問したいですね(笑)

↑こらも転載写真です。上の写真ではマウント面からの「突出量」を絞り連動ピンとM42マウントのネジ部それぞれで記載しています (グリーンのライン)。一方オレンジ色ラインで示したのは実は「マウントアダプタ側のピン押し底面の深さ5.8㍉」です。

↑例によって当方のオーバーホールがちゃんと適切に仕上げられなかったので不具合が起きているのに「マウントアダプタとの相性問題」と理由をこじつけて当方が言い訳しているとSNSなどで批判の的なのですが(笑)、その解説をここから少ししていきます。

上の写真ではK&F CONCEPT製マウントアダプタ「M42 → SONY Eマウントアダプタ」ですが、マウント面に1㍉弱の突出があるので、オールドレンズを装着してもご覧のように「隙間」が必ず空きます (赤色矢印)。

K&F CONCEPT製マウントアダプタに装着して実際に最小絞り値まで絞り環操作して閉じていくと、ご覧のように「f16」まで正しく閉じていきます。

但し開口部のカタチ自体は正六角形を維持せずに少々歪です。

↑但しこの時、K&F CONCEPT製マウントアダプタの「ピン押し底面」をチェックする必要があります。

前述でさんざん「絞り連動ピンの突出量」を解説しましたが、それが適切な正しく機能するのか否か決めるのが上の解説なのです。

現在市場流通しているマウントアダプタの中で唯一「K&F CONCEPT製マウントアダプタ」だけが「ピン押し底面の深さ調節が可能 (0.4㍉分)」なマウントアダプタなので非常に貴重なのです。

ヘックスドライバーの「1.3㍉」を使ってマウントアダプタの外側3箇所にあるヘックスネジを緩めると、ご覧のようにM42マウントのネジ部と「ピン押し底面の環/リング/輪っか」が取り出せます (赤色矢印)。

上の写真では今回のオールドレンズ用に「ピン押し底面を平面側にセット」しているのをグリーンの矢印で指し示して説明しています。

要するにピン押し底面の深さを浅くしているワケですね(笑)

逆に試しにピン押し底面の凹面をセットして今回の商品個体を装着すると、絞り羽根は「f8」で停止してしまい、絞り環をf11〜f16まで回しても一切閉じない不具合に遭うハメに陥ります(笑)

↑また上の写真の解説のように、逆に「ピン押し底面の深さをプラス0.4㍉分深くする」のをグリーンの矢印で指し示していますが、このように「片面が平面で、片面が凹面の両面使い」できるのがK&F CONCEPT製マウントアダプタの最大のメリットです。

↑今度は皆さんが信じてやまない「日本製マウントアダプタ (Rayqual)」にこのモデルを装着した時の絞り羽根の開閉動作をチェックしていきます。

同様にマウント面に「1㍉強」の突出があるので装着すると「隙間」がやはりできます。

この時の絞り羽根の閉じ具合は左写真のように「f8」で閉じるのをやめてしまい、絞り環が「f11」でも最小絞り値の「f16」に至っても左写真の「f8時点の開口部から一切閉じない」のを説明しています。このように当方が解説すると「日本製のほうが精度が高いのに自分の整備が上手くできなかった言い訳をマウントアダプタのせいにしている!」と、まさに「日本製マウントアダプタ信者」の方々から盛大に攻撃を受けます(笑)

まぁ〜、当方の整備が悪いのだと言うお話で皆様もご納得下さいませ。もう反論するのも面倒になりました(笑)

↑この時の絞り環の絞り値をグリーンの矢印で指し示していますが、ご覧のとおり「f8」で閉じるのをやめてしまう為、その先の「f11〜f16」まで絞り環を回しても絞り羽根は一切閉じません。

これは適切な深さとして「5.8㍉」が必要なのにこの日本製マウントアダプタでは「6㍉の深さ」があるので、絞り連動ピンが最後まで押し込まれないことから前述の「操作爪がキッチリ左端まで倒れきれていない」と言う、前述の矢印で言えばブルーの矢印②の状態で「ピン押し底面の深さが不適合な影響が現れている」と言えます。

が然し(笑)、これは「日本製マウントアダプタ信者」には打ってつけの攻撃材料になるらしく 総攻撃を受けます(笑) 僅か0.2㍉の深さの相違だけで「絞り羽根開閉異常の発生」がどう しても納得できないワケです(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離45cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」に設定して撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮影しました。

↑f値は「f5.6」に変わっています。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。極僅かですが「回折現象」の影響が現れ始めているでしょうか、ビミョ〜な感じです。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。