〓 Meyer-Optik Görlitz (マイヤーオプティック・ゲルリッツ) Trioplan 100mm/f2.8 V《初期型》(exakta)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧東ドイツは
Meyer-Optik Görlitz製中望遠レンズ・・・・、
 『Trioplan 100mm/f2.8 V《初期型》(exakta)』です。


《フィルターの着脱について》
新品でmarumi製MCレンズガードを手に入れて着脱を試してみました。凹んでいる箇所に先にハメ込んでからネジ山を合わせてネジ込んでいけば、ちゃんと最後までネジ込めました。外す際は普通に回していけばそのまま外れます。
一応このようにご落札者様が届いてから困らないよう可能な限り配慮して出品しているつもりです。

従ってこのmarumi製フィルターの先に⌀ 39mmのフードも装着できるようになりますね!(笑) 良かったです!

4名様からブログのほうにお問い合わせ頂いたのでこの場で解説します。
説明不足でスミマセン!

《オークション形式での出品について》
純粋に後玉に1cm長の深いキズを付けてしまった点だけでオークション形式でスタートにしただけです (他に何も訳ありの要素はありません)(笑)
ピント面の鋭さは光学系第3群 (後玉) を一旦外して光路長確保させたので、
むしろバラす前よりも鋭く改善していますし、距離環のトルクも解説のとおり抜群に軽くなりました!(笑)

また過去メンテナンス時にこの後玉を既にネジ山を潰してネジ込んであったので、硝子レンズの周り (カシメ環) がキズだらけになっています (当方の所作 ではありません)。

なお設定をミスッて「自動延長無し」になっていますので定刻で完璧に終了 します。ご留意下さいませ。
(ミスはミスとして後玉のキズの酷さを加味した出品に努めています/むしろ 普段はちゃんと作業対価分を上乗せした即決価格になっています)

このモデルは「前期型」含めどのモデルバリエーションをバラすにも、絞りユニット内部の「開閉環から飛び出る開閉キー」を折ってしまう危険があるので、その解体作業には相当な 勇気がいります(怖) そんな中でこの「初期型」だけは「開閉キー」を予め抜く事ができる ので安心して作業を進められる唯一のバリエーションタイプです。

しかし逆に各構成パーツは真鍮 (黄銅) 製だった場合にはクリティカルが厳しく細心の注意を 払いながら作業を進める必要があり、或いは戦後のアルミ合金材だとすればネジ山などの切削精度が粗いので、同様ちょっとした気の緩みが致命的になったりします(怖)

今回出品する個体は過去メンテナンス時に光学系第3群 (後玉) のネジ山を潰してしまったらしく、相当強くネジ込まれていました (回すのにキ〜キ〜音を伴う状況)。今回のオーバーホールで解体する際、もともと過去メンテナンス時の所作からカニ目溝が削れていたのですが、ほんの一瞬の気の緩みからカニ目レンチが溝から滑ってしまい後玉に「1cm長の深い線キズ」を付けてしまいました(涙)

それさえ無ければ「即決価格89,500円」に設定するくらいの鋭いピント面の仕上がりに至り (第3群を加工して適切な光路長に戻したから)、且つ重いトルクだったヘリコイド (オスメス) を非常に軽い操作性まで改善できたので、何とも惜しい限りです(涙)

戦前には本来真鍮 (黄銅) 製だったこの「初期型」モデルは戦後にアルミ合金材に設計変更しましたが (内部構成パーツの一部がアルミ合金材により設計変更を余儀なくされている)、切削精度が粗いので特にネジ山の摩耗が酷く、ネジ込みに際しては相当な集中力を強いられます(泣)

過去メンテナンス時に光学系第3群 (後玉) のネジ山を1列違えてネジ込んでしまったらしく相当なチカラで回さない限り外れませんでした (キ〜キ〜音を伴う状況)。もちろん真鍮 (黄銅) 製だとしても油を注しながらでなければなかなか怖くて作業できませんが、アルミ合金材は柔らかいので非常に厄介です。

おそらく当時製産時点ではカニ目レンチではなく専用治具を使っていたハズなので、もっと簡単に人力で締め付け作業できていたハズです。扱うモデルが決まっていればその専用治具を作ってしまえば良いワケですが、様々なオールドレンズを扱うとなればなかなかそれも叶いません。

そんなワケで、今回の出品は「後玉1cm長のキズ」から低価格でのスタートとなりますから、お好きな価格で宜しければご検討下さいませ。

↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は「Trioplan 10cm/f2.8《初期型》(exakta)」のページをご参照下さいませ。

↑上の写真は一つ前の解体全景写真から光学系の硝子レンズを並べた箇所だけを切り取った 画像です。4名様からお問い合わせを頂いた中のさらに1名様から3群3枚トリプレット型 光学系のカタチが違うと追加でご指摘頂き、再び解説です(泣)

自分で撮影しておきながら今頃 (ご指摘頂いてから) 気が付いていますが(笑)、光学系の第1群から第3群までの並べ方までミスっています(笑)

・・と言うかもぉ〜この時点で既に後玉にキズを付けた後なので (回して外す際にキズ付けた) ショックが大きくてスッカリ気持ちが萎えきっている感じですョね?!(笑)

通常当方の解体全景写真で光学系の並べ順は左端から「第1群 (前玉) → 後玉」の順なのですが、この写真を撮った時は目に入っていませんでした(笑)

従って解説すると上のようになり、後玉の第3群が真ん中に位置しているので左端が第1群の前玉にあたる平凸レンズで、次が第3群 (後玉) の平凸レンズ、そして最後右端が第2群 (中玉) の両凹レンズという並び順です。つまりちゃんと3群3枚トリプレット型構成に適っています(笑) そして赤色矢印のとおり硝子レンズをカシメ止めしているカシメ環 (硝子レンズ格納環) の周りを鋭い爪のような工具を使って何度も何度も非常に強く挟み込んで作業した痕跡が残っています。

この作業は今回当方がオーバーホール工程の中で実施した所作ではなく、当初バラしている 最中に既にカシメ環に残っていた痕跡なので過去メンテナンス時の話だと推測します。
(カシメ環周りの縦状の刻み痕部分で指を切りそうになるくらい深いキズの付き方)

するとカシメ環の周りには鋭く深い「縦線状の刻み痕」の他に何かが当たって擦れた「銀色にアルミ合金材の地金が剥き出しになってしまった箇所」まで残っているので、おそらくこの 所作の際使った工具は「金やっとこ (カーペンターズプライヤー)」の類ではないかと推測しています。やっとこの弧を描いている内側部分をテコの原理にしてカシメ環にあてがって (保持 させて) 強く回して (ネジ込もうとして) いた作業風景が浮かび上がってきます(笑)

すると (おそらくですが) やっとこの内側の一部にあてがってテコの原理にしていたチカラの 及び方なので、ネジ込んでいく際にどうしても回す方向に対して均一したチカラが及ばずに「ネジ山を一列違えた」ままキ〜キ〜音をあげながら何とかネジ込んだのだと思います。

とろが一列ネジ山がズレているので厳密には光路長が確保されておらず「非常に僅かに甘い ピント面」だったのだと考えています。逆に言うと「初期型後期型」に至るまで数多くこのモデルのオーバーホールを行いましたが、ピントの合い方には癖があるので、当初バラす前の実写チェック時点で「合焦時に違和感」を感じた次第です。それでバラしていくうちにこの カシメ環のキズだらけを見て納得しました。

撮影時にミスッて光学系の並び順を間違えてしまい申し訳御座いませんでした・・(泣)

そういうご指摘も確かにありがたいのですが、決してウソを載せているワケではないので、 できましたらもう少し疑問符程度の内容でメールを頂けると心持ちとしては安らかです(泣) 「これはトリプレット型とは言わない!」と断言されるとちょっと頂く内容的にはなかなか 辛い面があったりします(涙)

いずれにしてもコトバ足らずで説明がちゃんとできていなかったのは当方の落ち度なので
本当に申し訳御座いませんでした・・。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。上の写真のとおりフィルター枠の1箇所に打痕があり凹んでいます。既に修復済のようですが (当方でやっていない) さらにもう少しだけ凹みを減らしたのが上の状態です。手持ちにサイズが適合するフィルターが無いので着脱状況を確認できていませんからご留意下さいませ (事前告知済なのでクレーム対象としません)。

※5月5日付新品のmarumi製レンズガードを手に入れて着脱をチェックしました。少々コツが必要ですが最後までちゃんとネジ込めました (今回の附属品としてネジ込んだ状態で梱包します)。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。冒頭説明のとおり「後玉に1cm長のキズを付けてしまった」のが視認できます(涙)

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑後玉も透明度が高く極薄いクモリが皆無です。この当時のオールドレンズに多く見られる「気泡」が残っており、パッと見では「微細な塵/」に見えますが拡大撮影すると「気泡」なのが分かります。

気泡
光学硝子材精製時に適正な高温度帯に一定時間維持し続けたことを示す「」と捉えていたので、当時光学メーカーは正常品として出荷していました。

↑上の写真 (2枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:11点、目立つ点キズ:7点
後群内:18点、目立つ点キズ:12点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(後玉に深い1cm長の線キズ1本あります)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズなし)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:あり
(後玉に深い1cm長の線キズ1本あります)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑上の写真はオーバーホールが完了後に後玉の「1cm長のキズ」がシャボン玉ボケに写り込むのかどうかをチェックした際に撮った写真を、画像ソフトでコントラスト調整してシャボン玉ボケのエッジを目立たせています。一応これを見る限りはキズの影が現れていませんが、あくまでもこちらでの出品時環境でのチェックでしかありません

↑15枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しており、絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」しながら閉じていきます。絞り環操作で「開放からの回転スタート時が多少硬め」です。

なお15枚の絞り羽根は今回のオーバーホールでチェックしましたが (当初バラした直後は 油染みあり)、製造番号から「1950年製産」個体と推測できます。するとまだプレッシングが細かくできていなかったようで絞り羽根への「キーのプレッシングが不規則な角度」と言う 状況ですから、この個体での「絞り羽根の油染み放置は製品寿命をも縮める」事に直結する為要注意です!

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体 外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・フィルター枠に1箇所打痕があり修復痕があります。サイズが適合するフィルターが無いので着脱を確認できていません(事前告知済なのでクレーム対象としません)。

↑この「初期型」はヘリコイド (オスメス) のネジ込みが逆方向なので「距離環を回して繰り出すと無限遠位置」で「距離環を回して収納すると最短撮影距離位置」と言う逆方向でのヘリコイド駆動に設定する必要があります。

過去メンテナンス時にはこの「原理原則」がきちっと理解できていない整備者だったようで、今回バラす前の実写チェック時点ではアンダーインフ状態でしたが適正な設定に戻しています。

また距離環を回すトルク感も相当重い印象でしたが「全域に渡って均一で軽い操作性で回せるように仕上がった」ので、特に中望遠レンズですからトルクが重すぎるとなかなか撮影時にピント合わせが大変になったりします (ブレブレでピント合わせがもぉ〜大変!)(泣)

実は中望遠レンズはそう言う要素で持ち出す機会も減っていくので整備状況がモノを言います(笑)

それだけに後玉の「1cm長のキズ」が悔しい限りです・・(涙)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離1.2m附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮影しています。

↑f値は「f8」に上がっています。

↑f値「f11」になりました。そろそろ絞り羽根が閉じてきているので「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

↑f値「f16」での撮影です。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。