◎ Steinheil München (シュタインハイル・ミュンヘン) Cassar S 50mm/f2.8(M42)
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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません
今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
Steinheil München製標準レンズ・・・・、
『Cassar S 50mm/f2.8 (M42)』です。
このモデルの扱いは累計で4本目にあたり、且つ光学系内にクモリが生じていない個体数は 今回が2本目です。実は手元にもう2本手持ち在庫があるのですが、残念ながら全く解体できない整備不可能なジャンク個体です。特に構造的に絞りユニット内部の油染み問題が多いのでバラしたいワケですが (絞り羽根の油染みとキーの赤サビにクモリの発生)、どう言うワケか 固着が酷くてビクともしません(泣)
このモデルは鏡胴が「前部/後部」の二分割式なので、鏡胴「前部」を固定する「締付環」が 存在するので、それを回して外せば良いだけなのですが、どうやったらこんなに強く締めつけられるのかと言う程に固着が酷くてどうにもなりません。
それが1本だけならたまたま運が悪かったと諦める気持ちにもなりますが、さすがに2本も あると「???」になります。そして今回危うく3本目になるところでしたが「締付環」の 締め付けが異常に強いのが厄介なモデルです。
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戦前戦後を通じて当時主流だったレンジファインダーカメラから、クィックリターンミラーを装備して戦後新たに登場した一眼レフ (フィルム) カメラを探っていくと実は戦前ドイツで既に創設されていた「Wirgin (ヴィルギン)」社の存在が浮かび上がりましたが、ナチスのユダヤ人迫害を逃れて1936年に創設者はアメリカに渡っています。
戦後すぐに旧西ドイツで会社を再建し1955年に一眼レフ (フィルム) カメラ「Edixa REFLEX (エディクサレフレックス)」を発売しますが、この時用意されていたオプション交換レンズ群は同じ旧西ドイツの様々な光学メーカーから供給されていました。。
1957年時点のカタログをチェックすると、すべてのオプション交換
レンズ群がシルバー鏡胴時代のモデルばかりなのが分かります。
これらオプション交換レンズ群を供給していた光学メーカーはいずれも旧西ドイツの会社ばかりでSchneider-KreuznachやSteinheil München、ISCO-GÖTTINGEN、A.Schacht Ulm、VOIGTLÄNDER、或いはKilfitt Münchenなどでした。
今回扱う標準レンズもこの時のEdixaカメラ向け供給モデルとして用意されましたが、全く近似した筐体意匠のまま準広角レンズ「Culmigon 35mm/f4.5 (M42)」も登場しています。
上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
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※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で あり転載ではありません。
◉ 一段目
左端からシャボン玉ボケが破綻して滲んで溶けていく様をピックアップしています。標準レンズで3枚玉トリプレット型構成ながらも当時の旧西ドイツはMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズなどに見るような明確な真円のエッジを伴うキレイなシャボン玉ボケの表出には至らないのでしょうか。少々収差の影響を受けた円形ボケの表出という印象です。ところがアウトフォーカス部の滲み方が柔らかく溶けていくので、このように明確な境界としてのエッジを維持できないシャボン玉ボケなのだとすれば、ピント面の鋭さも然ることながらインパクトの強い画造りを残せます。同じ3枚玉トリプレット型としてもその辺の概念から写真として吐き出した時にピント面の表し方にMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズとの明らかな相違点が感じられます。
特に平面的な画造りにまとまりやすいMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズの表現性と比較すると、同じ3枚玉トリプレットとしてもSteinheil München製オールドレンズの画造りにはよりリアルな立体感を感じます。
◉ 二段目
さらに滲んで円形ボケに溶けていくと収差の影響を受けて乱れた収差ボケへと変化していきます。ここで前述のようにアウトフォーカス部の溶けていく要素が功を奏して背景の煩さが強調されずに済んでしまうところが旧東ドイツのMeyer-Optik Görlitz製オールドレンズとの比較になるのではないでしょうか。
特に右端のピント面の表現性にはMeyer-Optik Görlitz製モデルの場合には、ワリと平面的な表現性に堕ちてしまいやすい印象が拭えません。
◉ 三段目
ピントが甘くなっており残念ですが蛇口の金属質など被写体の材質感や素材感を写し込む質感表現能力に優れている要素を見てとれます。また決して淡く淡泊なコントラストばかりに堕ちない事が2枚目の花の写真でも分かります。特にシアンに振れる要素が強い分、3枚目の滑り台の発色性にも相当な魅力を感じます。
結局シアンに振れる要素と言うのはブル〜のみならずレッドの表現性にも影響が現れるので、結果的に人肌の発色がより効果的に現れるのではないかとみています。もちろん自然なナチュラル感覚で草花も表現できる部分が違和感の無い人の目で見たがままを残せる有益性に繋がっているとも考えます。
◉ 四段目
白黒写真ではカラー成分が256階調幅に振り分けられるので、特にダイナミックレンジの広さがモノを言いますが残念ながら暗部の黒潰れには耐性が低い気がします。その反面明部の階調が多く開放f値「f2.8」ながらも十分に階調してくれるように受け取れます。
光学系は当時のカタログや説明書などの掲載図をトレースすると右の構成図になり典型的な3群3枚のトリプレット型構成です。
特に第1群 (前玉) と第3群 (後玉) は両凸レンズ (表面の曲率が高く裏面が緩い) として描かれていますが、モデルによってやはり設計が異なると考えます。
こちらの右図は今回のオーバーホールで完全解体してバラし光学系の硝子レンズを清掃した際に、当方の手で逐一デジタルノギスを使って計測したトレース図です。
すると例えば第1群 (前玉) は両凸レンズではなく特に裏面が極僅かに凹んでいる曲率の凸メニスカスで設計されていました (清掃液を垂らすと中心部に貯まる)。また第2群両凹レンズの曲率と厚みにこのモデルの光学設計の意図が現れているようにも感じます。
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。内部構造は簡素でこのモデルは筐体が「前部/後部」に二分割方式なので、鏡胴「前部」を締め付け固定する「締付環」がマウント部に備わります。しかし非常に強く締め付け固定されている場合が多く容易に解体できない厄介なモデルです (冒頭解説のとおり既に2本の解体できないジャンク個体が手元にある)。
↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。前述のとおり筐体が二分割方式なのでヘリコイド (オスメス) は鏡胴「後部」側に配置されます。
絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。
◉ 位置決めキー
「位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー
◉ 開閉キー
「開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー
◉ 位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)
◉ 開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環
↑12枚の絞り羽根を組み付けて絞りユニットを鏡筒最深部にセットするとこんな感じになりますが、このモデルは特に「開閉環」の構造が特異なのでここまで解体できるかどうかがポイントになります。
↑完成した鏡筒を立てて撮影しましたが (写真上側が前玉側方向)、光学系が3群3枚のトリプレット型構成なので鏡筒自体が短い設計です。
↑後から組み込む事ができないのでここで先に絞り環と一緒に光学系前後群をセットしてしまいます。鏡胴「前部」がこれで完成した事になるので、逆に言えばこの絞り環を外す事ができるかどうかが絞り羽根の油染み洗浄や特に光学系内のクモリ除去の可能性を決めてくる話になりますが、そもそも鏡胴「前部」が抜けなければ (つまりマウント部の締付環が固着していれば) 何もできない話になります。
↑ここからは鏡胴「後部」の組み立て工程に入るのでマウント部と共に指標値環も兼ねた基台で、ヘリコイド (メス側) のネジ山が切削されています。
↑無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションで真鍮 (黄銅) 製のヘリコイド (オス側) をネジ込みます。このモデルは全部で7箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると 最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。
真鍮 (黄銅) 製なので本来バラした直後は黒っぽくなっている箇所と同じ「焦茶色」に経年で 変質している状態なのを、当方の手で「磨き研磨」したのでご覧のようにピッカピカに金色色ですが、これは輝かせるのが目的ではなくあくまで経年劣化に伴う酸化で必要以上に抵抗/
負荷/摩擦が増大している要素を排除する目的ですね。
結果適切なヘリコイドグリースをチョイスできる環境がようやく整うので、当方の整備では「グリースに頼った整備をしない」のがポリシーになります。従って現在流行っている「白色系グリース」塗布によって早ければ1年、遅くても数年で揮発油成分が生じてしまい、オールドレンズ内部に廻り始めるのを可能な限り防ぐ為に「製産時点と同じ前提の黄褐色系グリース塗布」が適うワケで、当然ながら「黄褐色系グリース」塗布を前提とした設計であったハズなので (何故なら白色系グリースは近年登場したグリースだから) アルミ合金材の摩耗もなく適切なトルク感を長年に渡り維持できます。
当方はここの考え方が他の整備者とは違うので「黄褐色系グリース」の塗布があくまでもメインです。特に「白色系グリース」を塗った場合には相手がアルミ合金材のネジ山だった場合に数年で摩耗してしまい「アルミ合金材の摩耗粉が混じるので濃いグレー状に変質」します。
当初は当然ながら白色だったワケなので色が変わると同時に、例えば「濃いグレー状」に変質してしまった「白色系グリース」を無色透明な新しい溶剤に浸すと「底にサラサラと微細な 摩耗粉が沈殿する」ので一目瞭然です(笑) 仮にアルミ合金材ではなく真鍮 (黄銅) 材のほうが摩耗してしまった場合は「白色系グリースが褐色に変質」するワケで、いずれにしてもヘリコイド (オスメス) のネジ山摩耗粉が混入するので「白色を維持できない」次第です。
ではそのように摩耗粉が混じると何が問題なのか???
答は簡単で、設計時/製産時点のピッチをネジ山が維持できなくなる為「トルクムラの発生」を促し、且つ鏡筒の繰り出し/収納時のチカラの変換をしている「直進キーへの負荷も増大」する事から、自ずと「微かなガタつきの発生」にも繋がっていきますね(笑)
これが設計/製産時点で塗布する事を前提としていた「黄褐色系グリース」と今ドキの「白色系グリース」との大きな相違点であり、グリースなら平滑性を与えるから何でも良いと言う安直な考え方は当方にはありません(笑)
↑距離環を本締めで締め付け固定します。結局最終的に鏡胴「前部」の特に鏡筒の固定位置が適切なのか否かがここのヘリコイド (オスメス) の固定位置で決まってくるので、単に内部構造が簡素だからと飛びつくと「甘いピント面にしかならない」問題に直面したりします(笑)
この後は無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わりました。3本目にしてやっとの事で解体できる個体に巡り会えました(泣) それほどこの当時の旧西ドイツ製オールドレンズの描写性に惚れ込んでいます。特にSteinheil MünchenやSchneider-Kreuznach、或いはA.Schacht UlmやCarl Zeissなど、明らかに当時の旧東ドイツ製オールドレンズとの表現性の違いをみてとれます。
↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。但し残念ながら前後玉表面側に経年並みのカビ除去痕が残っており、特に後玉表面には少々大きめのカビ除去痕が視認でき、LED光照射ではさらに菌糸状部分も伴って浮き上がります。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑光学系後群側もLED光照射で極薄いクモリが皆無ですが、前述のとおり後玉表面側に複数のカビ除去痕が視認できます。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:19点、目立つ点キズ:13点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細な薄い5mm長のヘアラインキズ数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズなし)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・但し前後玉(表面側)に極微細なカビ除去痕がLED光照射で浮き上がり、特に後玉が多めです。
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり、一部は一見すると極微細な塵/埃に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷されていた為クレーム対象としません)。「気泡」も点キズにカウントしているので本当の点キズは数点しかありません。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。
↑12枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま閉じていきます。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。特に筐体外装のほとんどが「アルミ合金材アルマイト仕上げ」なのでその処理も済んでいます。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・このモデルは回転式鏡筒繰り出し方式の為絞り環も距離環回転と一緒に回りながら繰り出します。その関係で距離環側のトルクを多少重めにワザと設定し、逆に絞り環側は軽くしています。結果ピント合わせ後の絞り環操作が可能になりました!
(ピント合わせした位置が絞り環操作でも微動し にくいトルクにちゃんと調整してあります)
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
↑新品でHAKUBA製MCレンズガードを手に入れて附属品にしています (フィルターケースが化粧箱の中にあります)。
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当レンズによる最短撮影距離90cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑f値「f11」です。そろそろ「回折現象」の影響が現れ始めています。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。