◎ FED (Kharkov machinery plant) INDUSTAR-26M 5cm/f2.8 Π(L39)
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今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧ソ連時代のFED製 標準レンズ『INDUSTAR-26M 5cm/f2.8 Π (L39)』です。
実は、当方ブログの年始挨拶を見て、いつも懇意にして頂いている大手メーカー下請けの金属加工会社を経営していらっしゃる社長さんからメールを頂き、さっそく1月末にご相談にお伺いしました。
相談した内容は、年始挨拶にも書いていた「ロシアンレンズ専用のグリース探索」です。ヘリコイドが抜ける状態まで半解体したロシアンレンズを2本ほど持参し伺ったところ、すぐに手に取って見て頂きました。
すると「普段作業する時は古いグリースをどうやってチェックしているの?」と言うご質問。恥ずかしい気持ちいっぱいで「素手で触って指でグリグリするだけです」と返答すると、何も言わずに持参したロシアンレンズのヘリコイドを抜いて古いグリースを指で摘んでグリグリ。
まさか社長さんが自ら素手でグリースをグリグリするとは予想もせず、思わず「あッ!」と言ってしまいました (しかも通された部屋は社長室ですし)(笑)
「そうなんですよ。指で触ってチェックするのが一番です」とのこと。一旦手を溶剤で洗ってもう1本のグリースもチェック。暫くグリグリした後に、今度はヘリコイドを洗浄できますかとの話なので、溶剤をお借りして古いグリースを除去しました。
ヘリコイドのネジ山を細かくご覧頂きながら「○○君、xxxxxのxxxxを持ってきて」と・・。世間話をした後に係の方が持ってきたのは黄褐色系グリースでした。しかも、グリースの製造会社名/型番にご丁寧に成分表までお付け頂き、ロシアンレンズに使える専用グリースを分けて頂きました。
この場を借りてお礼申し上げます。本当にありがとう御座いました!
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そんなワケで、年始にロシアンレンズの専用グリースを今年は探してみようと考えていたのですが、1年近くかかるだろうと覚悟していたのに、アッと言う間に入手できました。
氷点下40℃と言う極寒地帯を国土に含むロシアでは、金属凍結を防ぐ目的からロシアンレンズに専用の黄褐色系グリースを塗布して生産しています。非常に油成分が強い黄褐色系グリースですが、粘性が高くドロドロではありません。それにも拘わらずヘリコイドがヌルヌルと大変滑らかに回るから不思議です。
日本ではさすがにこの成分と質のグリースは市販されておらず (業界内では流通している)、そもそも氷点下40℃の環境でマニュアルなレンズを使うことはまず考えられません。ロシアではいまだに主だった工場でマニュアル・フォーカスレンズの幾つかが改良を重ねながらも数十年前の基本設計のまま生産され続けており、市場に流通しています。
従って、氷点下40℃でも使えることは優先せず、あくまでも日本国内で使うことを前提としたロシアンレンズ専用グリースを探していた次第です。
当方が普段のオーバーホールで使用しているヘリコイド・グリースは5種類あります。
- 白色系グリース:重め/軽めの2種類
- 黄褐色系グリース:重め/中程度/軽めの3種類
メインで使っているのは黄褐色系グリース「粘性:中程度」ですが、ヘリコイドに塗布するとシットリ感漂う操作性になる独特なグリースであり、この感触を好んでオーバーホール/修理ご依頼頂く方も多いほどです(笑)
今回ロシアンレンズ専用に入手したグリースは、塗ってみると「クリア」と言うコトバが一番最初に思い浮かんだほどにスッキリした印象のトルク感です。前述の社長さんには、ロシアンレンズのヘリコイドネジ山をご覧になって、すかさず塗布する量までアドバイス頂きました (さすが金属加工業)。
今回のオーバーホールは、手に入れたロシアンレンズ専用グリースを塗布した1本目のロシアンレンズと言うことになります・・。
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「INDUSTAR-26M」は当然ながら旧ソ連時代のオールドレンズですが、戦前にフィルムカメラであるバルナック判ライカのコピーモデルとして開発された「FED」用標準レンズとして登場し、今回出品するモデルは1955年発売の「FED-2」用セットレンズだったようです。
モデル銘である「INDUSTAR (インダスター)」は、旧ソ連時代のオールドレンズで標準レンズ域の焦点距離モデルに命名されていた呼称です。またモデル銘末尾の「-26M」は、旧ソ連のGOI光学研究所に於ける開発設計諸元表の通し番号から符番されている番号で「M」はロシア語 (キリル文字)「Модернизированный」の頭文字「M」を指し、ラテン語 (英語) に翻訳すると「Upgrade」になるので「INDUSTAR-26」のアップグレード版 (発展型) モデルと言う 位置付けになるようです。
【モデルバリエーション】
- 前期型 (左):INDUSTAR-26M 5cm/f2.8 Π (絞り羽根:10枚、L39) ツマミ付き距離環
- 中期型 (中):INDUSTAR-26M 5cm/f2.8 Π (絞り羽根:10枚、L39) ツマミ無し
- 後期型 (右):INDUSTAR-26M 52mm/f2.8 (絞り羽根:10枚、L39)
ところが、筐体デザインが瓜二つのモデルが別系統で存在します。
- 前期型:INDUSTAR-61 52mm/f2.8 (絞り羽根:10枚、L39)
- 中期型:INDUSTAR-61 53mm/f2.8 (絞り羽根:6枚、L39)
- 後期型:INDUSTAR-61 L/D 55mm/f2.8 (絞り羽根:6枚、L39)
このINDUSTAR-61には同じマウント径の「M39」であるZorki判モデルが存在します。
(上記リストはライカ判のみ列挙)
マウント径は同一ですがフランジバックがライカ判 (28.8mm) とは異なりZorki判ですから要注意です。前述のGOI光学研究所の光学設計諸元値表で調べるとフランジバックは「45.2±0.02mm」と記載されているので、仮に「M39→M42変換リング」を装着してムリヤリM42マウントに変換しても、残念ながらM42マウントより「0.26mm」程フランジバックが足りないので無限遠が出ません (合焦しません)。
よくこの⌀39mm径マウントとして「L39/M39」などと並べて表記したり、そもそもライカマウントのほうなのに「M39」と表示していたりと混同しているパターンが多いですが、フランジバックが異なるので要注意です。
さらに「ダビデの星」などと異名を持つ星形ボケ味が特徴的な最短撮影距離30cmの人気モデルもありますね。
- INDUSTAR-61 L/Z 50mm/f2.8 (絞り羽根:6枚、M42)
- INDUSTAR-61 L/Z 50mm/f2.8 MC (絞り羽根:6枚、M42)
上記以外にも焦点距離50mmで探すともちろん「f3.5」などもありますが筐体デザインが異なるので (パンケーキ型) ここでは省きます。
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ここで光学系に注目すると、上記モデル間の相違点がようやく見えてきます。
上記モデルは「26M系統」も「61系統」も共に3群4枚のテッサー型光学系を実装しています。右の構成図は「26M系統」の構成図になりますが、これが「61系統」になると下の図になります。
そもそもモデル銘の符番数字が異なるので、GOI光学研究所での光学設計が異なることは予測できますが、第1群と第3群の性格付けが全く異なる
ように感じます。従って、その描写性も同じテッサー型ながらもこれら2つの系統は全く別モノの写りをしているワケで、いわゆるカリカリのピント面を有しコッテリした色乗りのテッサー型描写を期待するなら「61系統」であり、逆に大人しめなゾナー寄りの描写傾向を望めば「26M系統」と
言う考え方で当方は捉えています。
前述のモデルバリエーションをみるとf値は「f2.8」のままですが、焦点距離がビミョ〜に変化していることが分かります。当初「5cm」だった焦点距離は「52mm」或いは「53MM」を経て最後は「55mm」に至りました。当然ながら、焦点距離のレンズ銘板表記が変わった時点で光学系はそのたびに再設計されていると考えたほうが適切です。
ところがここに蒸着されるコーティングが関わると、或いはもっと言えば光学硝子成分の違いがあった場合、もちろんそれらの要素の変化はダイレクトに光学設計の整合性を維持できなくなる要因に繋がるので再設計を免れることはできません。
すると前述のモデルバリエーションをみて互いのモデルを比較していった時、ある法則性が見えてきます。当初の「5cm」の時点では「Π」コーティングを蒸着していましたが、その次の焦点距離「52mm」への変遷は実装絞り羽根枚数10枚を維持しながらもコーティングだけ「Π」が途中から省かれています (INDUSTAR-26Mは焦点距離刻印52mmになった途中でΠ刻印を省いているから/52mmでΠ刻印の有無が混在している)。
これはあくまでも刻印をレンズ銘板から省いた当時の旧東ドイツの流れもと同じ傾向であって蒸着されているコーティング層は「Π」のままです。するとこの時の焦点距離の刻印が変わった理由は「実焦点距離に近づけた表記に変更した」だけと当方では考えています。
つまり当初から実測した場合の焦点距離は「52mm」に近かったのだと考えています。ところがその後絞り羽根枚数が6枚に変わった時点で「53mm〜55mm」と変わっていくので、この時点で光学系は再設計されているとふんでいます。よく絞り羽根枚数が減っていく時に「単に合理化しただけ」と案内しているサイトが多いですが、合理化して枚数を減らしても入射光の制御レベルに変化が生じないのであれば、それも正しいかも知れませんが、はたして単純に枚数を減らしただけで実際の入射光量 (開口部のカタチなども含め) 変化が無いのでしょうか?
当方はどう考えても入射光量の制御面で絞り羽根枚数の変化 (枚数を減らす事) は重大な要因になると考えています。つまり単なる合理化と言うよりも、合理化すると同時に光学系の再設計を行っていると考察できます (あくまでも合理化できるのは組み立て工定時の人件費の問題であり資材面での変化はたいした結果に繋がらない)。
従ってその後の焦点距離「53mm〜55mm」の時点では絞り羽根枚数が共に6枚のままですから、それに対応した光学系の設計に一度見直されていると考えたほうが自然です (もちろん
それ以外に光学硝子材の成分と配合率が変わっていれば必然的に再設計せざるを得ない)。
上の写真はFlickriverにてこのモデルでの実写を検索した中から特徴的なものをピックアップしましたが、上段左端から「シャボン玉ボケ・リングボケ・被写界深度・背景ボケ味」下段左端から「背景ボケ味②・発色性・逆光・ハレ/ゴースト」です (クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)。
今回は敢えてギラギラのテッサー型描写性ではない、落ち着いた大人しめな印象の「INDUSTAR-26M」をチョイスしました。ほぼ真円に近いシャボン玉ボケも表出できて、ナチュラルで柔らかな雰囲気漂う画造りが当方には好印象なモデルです。
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。他のロシアンレンズに倣い、鏡胴が「前部」と「後部」に二分割する構造ですから、構成パーツ点数も少なく至ってシンプルなモデルでしょうか。当方での扱いは実は今回が初めてになります。
↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。このモデルは鏡胴が二分割なのでヘリコイドは鏡胴「後部」側に配置されています。
↑カーボン加工仕上げの10枚の絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。
↑この状態で鏡筒を立てて撮影しました。3群4枚のテッサー型光学系なので光路長の関係から鏡筒は短めです。
↑後から光学系前後群を組み付けることができないので、ここで先にセットしてしまいます。
↑フィルター枠ですが、こちらも後からセットできないので先に組み付けます。
↑絞り環を適正なポジションまでネジ込んでセットします。最後までネジ込んでしまうと機能しません。これで鏡胴「前部」は完成ですから簡単ですね(笑)
↑ここからは鏡胴「後部」の組立工程に入ります。上の写真はヘリコイド (オス側) ですが、マウント部や距離環を組み付けるための基台の役目を担っています。
↑まずは指標値環をヘリコイド (オス側) にセットします。ヘリコイドなのに指標値環が組み付くので基台と言うワケですね。
↑ヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けたポジションでネジ込みます。このモデルは全部で5箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。
マウント種別が「L39」のライカ判スクリューマウントですから、必然的に「距離計連動」の構造を備えています。ヤフオク! などで最近オーバーホール済で出回っている「L39」マウントのオールドレンズを見かけますが「距離計連動可能」と記載されているのを殆ど見かけません。当方では当初位置のまま距離計連動を設定していますが、念のため当方所有フィルムカメラでもチェック済です (但し厳密な検査はできません)。
↑距離環を組み付けてから完成している鏡胴「前部」をセットして無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (それぞれ解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。
ここからはオーバーホールが終わった出品商品の写真になります。
↑今回初めて扱ったモデルですが、チョイスしたのはワザと「中期型」モデルであるツマミが無い「Π」付モデルを選択しました。「前期型」には距離環にツマミが備わっています。
この「Π」はキリル文字なのでラテン語/英語では「P」になりますが、コーティング (coating) をロシア語キリル文字で表すと「Πокрытие」なので頭文字を採っているだけですね(笑)
よく勘違いしてどうして「P」なのかと「Coating」の「C」ではないことを解説しているサイトがありますが、ロシア語キリル文字の「C」はラテン語/英語では「S」ですし、そもそもロシア語が違うワケですから全くの思い違いですね(笑)
今回の出品個体は上の写真のとおり「INDUSTAR-26M」の中でも少々珍しい3色の光彩を放つ「Π」コーティングのタイプをワザと選択していますから、ロシアンレンズが好きな方は是非ご検討下さいませ。特に「5cm」表記の「Π」付は市場での流通数自体が少なめなので (52mmのほうはゴロゴロしてます) 希少価値は僅かに高めでしょうか。
↑前後玉の表面には経年に拠るヘアラインキズが複数本ありますが写真には一切影響しないレベルです。それよりも、光学系内の透明度が非常に高い個体だったのがラッキ〜です。LED光照射でもコーティング層の経年劣化やカビ除去痕による極薄いクモリすら「皆無」です。
上の写真は、撮影時にピント面が分かるようワザとズラして撮っているので、絞り羽根が顔出ししているように写っていますが、黒い影の部分はレンズ端ですから絞り羽根の顔出しではありません (開放時は絞り羽根は完全開放しています)。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑後玉がとても奥まった位置に居るのでほとんど写りません(笑)
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(順光目視で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:17点、目立つ点キズ:12点
後群内:18点、目立つ点キズ:14点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり
・バルサム切れ:無し (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:無し
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):皆無
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが実際はカビ除去痕としての極微細な点キズです (清掃しても除去できません)。
・光学系内の透明度が非常に高い個体です。
・前後玉には経年のヘアラインキズが複数ありますが写真には一切影響しません。
・内部は微細な塵や埃に見える複数の「非常に微細な気泡」がありますが当時は正常品としてそのまま出荷されていました。
・いずれもすべて写真への影響はありませんでした。
↑カーボン仕上げの10枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。
↑今回の個体は絞り環の固定位置が上の写真 (2枚) のようにズレた位置でイモネジ (ネジ頭が無くネジ部にいきなりマイナスの切り込みを入れたネジ種) の下穴が用意されているため位置合わせさせていません。位置を合わせるためには電気ドリルで下穴を開けなければならず、位置が少しでもズレると絞り環操作が重くなるばかりか、このモデル特有の構造ですがヘリコイドの駆動にまで影響が出るので敢えて処置していません (従ってクレーム対象としません)。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の腐食やキズなどがあったものの当方による「光沢研磨」を施したので殆どの腐食やキズは消えており、当時のような大変艶めかしい光彩を放っています (触ると指紋の痕が気になるくらいです)。
↑昔に家具屋に勤めていたこともあるので、金属材やポリエステル化粧板、或いは木部などの「磨き上げ」を職人から伝授頂いているのである程度詳しいつもりです(笑)
「光沢研磨」と言っても、いわゆる金属質な表層面になってしまう「磨いたぞ」的な仕上がりにはなっていません (上の写真のとおりです)。あくまでもオリジナルの状態を維持した磨き上げを施しているので、おそらく現物をご覧頂ければ「まるで新品のよう」と感じられると思います(笑)
【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:重めと軽め」を使い分けて塗布しています。距離環や絞り環の操作はとても滑らかになりました。
・距離環を回すトルク感は「普通〜重め」で滑らかに感じトルクは全域に渡り「完璧に均一」です。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・距離計連動は当初位置のまま組み上げています。
・絞り環指標値と「・」マーカー位置が僅かにズレていますが構造面の問題なので改善できません。(事前告知しているのでクレーム対象としません)
【外観の状態】(整備前後拘わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
↑当方のオーバーホールは「DOH」なので、単に「ストレスなく使える状態」とか「スムーズなトルクです」などと言う曖昧な表現は出品ページで極力使っていません。
今回のモデルに関しては、ピントの山がアッと言う間なので、それを配慮した距離環を回す際のトルク感に仕上げています。オーバーホール後の距離環を回すトルク感は「普通〜重め」で、人によっては「普通」程度に感じられるかも知れませんし「重め」に感じるかも知れないと言う意味の表現なので、トルクムラがあるワケではありません。距離環を回す際のトルクは「全域に渡って完璧に均一」です。
また、ヤフオク! ではマウントアダプタ装着を前提としたような整備 (出品ページに記載すら無い) が横行していますが「距離計連動」も当初バラす前の位置のまま組み上げているので (念のため当方所有フィルムカメラでチェック済)、そのまま距離計連動を備えたカメラに装着してもご使用頂けると思います (但し機械設備が無いので0.1mm単位のような厳密な調整は当方ではできません)。
ギラギラのテッサー描写に飽きたら、是非ともこの柔らかな光の留め方をする「INDUSTAR-26M」も使ってみて下さいませ。少なくとも当方は気に入りました。何よりもロシアンレンズ専用のグリースを入手できたので安心してオーバーホールができます。
本当にありがたいことです!
↑当レンズによる最短撮影距離1m附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。
↑絞り環を回して設定絞り値「f4」にセットして撮影しています。