◎ Steinheil München (シュタインハイル・ミュンヘン) Quinon 50mm/f2《Paxette版》(M39)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
Steinheil München製標準レンズ・・・・、
 『Quinon 50mm/f2《Paxette版》(M39)』です。


このコロナ禍にあって、先月再び緊急入院してしまい体調が優れない日々が
続いています。皆様も同様大変な毎日を送っていらっしゃることとお察し
します

然しながら厳しさが募り悠長な事は言っておられず、今回に限り断腸の思い
でやむなくオーバーホール作業分の対価を省いた価格で出品します

是非とも皆様のお力添えでお助け下さいませ・・
(ちなみに作業対価分の金額がバラバラなのは微調整など難度の違いです)

現在ヤフオク! 出品中の「即決価格」を値下げしました・・(涙)

ハッキリ言って「作業分対価のタダ働き」で、単に調達時の資金回収みたいな話です(涙)

オモシロイと考えて頑張ったのですが、スッカリ当てが外れてしまいましたね(笑)

情けないのなんのッて・・(涙)

・・てなワケで、この企画Paxette版オールドレンズを使った『なんちゃってマクロ』『疑似 マクロ化』は今回が最初で最後と言う運命になりました(涙)

至極残念・・全く以て残念・・無念極まりなし!(涙)

そもそも使っているこのSteinheil München製オールドレンズは、例えPaxette版モデルでも 海外では評価が高い希少モデルの一つ。意外とそういうモデルに限ってどういうワケか日本での評価は低く、このように振るわないワケです(涙) 日本人の認識には何か海外と違う要素があるようで、いつもながら「???」です(笑)

例えばオールドレンズの焦点距離に於いて「135mmの中望遠レンズ」が日本で人気がないのは国土が狭いからで、逆に海外ではそこそこ人気だったりします(笑) しかし今回の例で考えると、何故にQuinonシリーズが敬遠されるのか全く以て当方には分かりません(涙)

こういう現実は真ッことに哀しいばかりですね・・。

《既に疑似マクロ化附属品をお持ちの方》
当方から既に『疑似マクロ化附属品』含むオールをご落札頂いた方は、現在
ヤフオク! 出品中のセットを追加でご落札頂いた場合、同じ『疑似マクロ化
附属品』が重複する為『一律5,000円返金』にて対応します。

ご落札後最初のメッセージにてご申告頂ければ、ご指定銀行お口座宛当方より取引完了後に「5,000円」をご返金します。
その場合当然ながら『疑似マクロ化』を実現する附属品の一部はお届け
しません
(他の前後キャップやフィルター/フランジ環などはそのまま附属)
※振込手数料当方負担します。

要はご落札者様にとって一番お得感を感じられる対応をしますので是非
ご遠慮なくお申し付け下さいませ。
少しでも写真ライフを楽しめるドキドキ感をまた味わって頂きたく願う
ばかりです!

今回初めての扱いになりますが、当方にしては既に数多くオーバーホール済で出品し続けている多数の附属品を用意した上での『なんちゃってマクロ』『疑似マクロ化』ですが、全く以て人気が無くて見当外れ状態も続いています!(笑)

もともとのオールドレンズ自体がレンジファインダーカメラの「Paxetteシリーズ」向けのオプション交換レンズ群などですから、マウント規格が取っつき易い「ネジ込み式M39マウント 規格」だとしても、そのままライカ判「L39」として使うワケにはいきません (フランジバックが異なるので使えない)。

しかしそのコンパクトな筐体サイズと何よりも基本性能が高いのに「収差の影響をふんだんに残した描写性能」に大きな魅力を感じてスッカリ虜に堕ちてしまい扱い続けています。フランジバックが異なるとなれば (44mm) 必然的にPaxette版のマウントアダプタが必要になりますが、そこを敢えて近接撮影が可能になるよう組み合わせてマウントアダプタを用意したセットです。

普通一般的には「ヘリコイド式マウントアダプタ」を使う事が多いでしょうが、当方はあの「いちいち無限遠位置を確定するのがチョ〜面倒くさい!」と考えているので、無限遠位置を一切調整せずにサクッとすぐに撮影モードに入り、各モデルの最短撮影距離が「1m」と近寄れない欠点を補うべく「マクロヘリコイド」を装備させて、純粋にそのローレット (滑り止め) を回すだけで「さらに近接撮影を実現させる」と言う『あくまでも直感的に撮影に専念できる感覚をマクロ撮影と合わせて実現してしまう企画品』です。

しかし残念ながら全く以て人気が無いので (完璧に当てが外れたので) 所有している在庫品を 一通り出品したらこれで最後の扱いにします(泣)

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旧西ドイツのSteinheil München製「Quinon 50mm/f2」と言えばその描写性能の素晴らしさで昔から有名なのは銘玉中の銘玉と揶揄 され続ける「ライカ判L39マウントモデル」のほうであり (左写真)、実装光学系は3群7枚のゾナー型光学系です。

非常に端正で間違いのない素晴らしい描写性能ですが、価格も高くてほぼ市場価格は20万円前後と庶民的な価格帯とは言えません(泣)

一方今回扱う「Paxette版モデル」のほうは同一仕様「50mm/f2」ながらも、その実装光学系は4群6枚ダブルガウス型構成であり、必然的にその吐き出す写真の質は全く別モノです。

そうは言っても今回扱ってみて「驚異的なピント面の制御」をしている事が確認でき改めて惚れ込んでしまったのですが、アウトフォーカス部がすぐに破綻して乱れながら滲んでいく様が特徴的な描写性をより補強しているような写り方です。

これだけカリッカリで鋭さを強調したピント面はハッキリ言って違和感との背中合わせで(笑)、後もう少し鋭さを強調したら違和感に振れてしまうほどです。さらにそのアウトフォーカス部の滲み方にクセが強いので、下手すると「非現実的な写真」が撮れてしまうくらいにピント面と背景との境界に一種独特な空間が伴います。

それは良く言えば「リアルさとしての立体感」であり、悪く言えば「制御されないままの写り方」とも言えそうです。




上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で あり転載ではありません。

一段目
左端からシャボン玉ボケが破綻して滲んで玉ボケへと変わっていく様をピックアップしていますが、そもそも実装光学系が4群6枚のダブルガウス型構成ですから、このような真円のシャボン玉ボケ表出が苦手なハズなのです。アウトフォーカス部の滲み方やボケ方に収差の影響がふんだんに現れるので、シャボン玉ボケがこのように真円で表出する理由がよく分かりません。ちょっとオドロキの要素でした。

二段目
背景に収差の影響が大きく含まれて乱れた滲み方をしますがイヤミは無くむしろ「背景効果」的な使い方もできそうなほどに素性の良い乱れ方をします。また右側写真のとおり赤色も色飽和せずにここまで濃厚に発色できるところが凄いと感じましたし、右端の写真などはまさに生々しい表現性をシッカリ写し込んでいます (淡いピンク色の変化もキッチリ表現できているところが凄い)。

三段目
左端のこの写真がオドロキの1枚ですが「非現実的」な写り方をします。最初はソフト的に処理された写真なのかと考えましたが、このブログページ最後に載せている各絞り値での実写を撮っていて、似たように非現実的なほどにピント面が浮き出る特徴を感じたので、この実装光学系の特徴の一つだと受け取りました。2枚目の写真も実はよ〜く観るとちゃんと浮き出ており、どちらかと言うと大人しめな写り方です。またダイナミックレンジが広いのでガラス越しの描写性もノッペリした感じが無く立体的です。パースペクティブは素晴らしく歪みが少ないので、あくまでもアウトフォーカス部の滲み方に収差の影響が出ているだけの話のようにも感じます。

四段目
ダイナミックレンジが広いながらも暗部の潰には耐性が高くなくストンと堕ちてしまいます。どこでどうなったらこのようなコントラストに至るのかと思うほどの写真が次の2枚目で、このようなコントラスト比の発色性にもオドロキを感じます (空のブル〜レッドの対比)。

また被写界深度は開放f値「f2.0」ながらもご覧のとおり意外に狭くて浅めですが、ピント面の材質感や素材感をキッチリ写し込んでいる質感表現能力の高さにオドロキの1枚です。

光学系は典型的な4群6枚のダブルガウス型構成ですが、ご覧のとおり第2群の貼り合わせレンズの曲率が相当なレベルです。また第1群前玉は茶褐色の硝子材なのでランタン材を使っているようにも見えます (無色透明ではない)。Paxette版なので後群側の外形サイズが小さい分、相当なレベルで屈折率を稼いでいるのが分かります。

おそらくそれが収差の多い乱れ方の因果関係なのではないかと考え ますが、アウトフォーカス部の乱れ方を加味してもカリッカリのピント面とそのリアルな表現性には十分な魅力を感じ、当方にとってはライカ判「L39マウントモデル」に対して20万円払うよりも全く以てこちらのモデルのほうが触手が反応しまくりです!(笑)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。一部を解体したパーツの全景写真です。

↑鏡筒と絞り環用ベース環の部位を解体できなかったので一部のバラしだけでオーバーホールを進めていきます。鏡筒を解体できていないのですが、そこは奥の手を使ってちゃんと12枚の絞り羽根を清掃しています。内部構造は簡素で各構成パーツ点数も少なめですが、例によって他のモデル同様「鏡筒の固定位置を確定させる工程」が必須なので「高難度モデル」の部類です。このモデルでどれだけちゃんとカリッカリの鋭い描写性で組み上げられるのかが大きな課題になります。

↑鏡筒を解体できていないので、既に光学系第2群の貼り合わせレンズが入ったままです。もちろん絞り羽根も取り出せていないのですが、ちゃんと清掃して当初の油染みは完璧にキレイになっています。

↑清掃が終わったので鏡筒を立てて撮影しましたが、ご覧のとおり「絞り環用ベース環」が入ったままです (赤色矢印)。またこの内部にあるイモネジを外せていないので光学系第2群も入ったままです。上の写真では既に第1群前玉をセット済です。

↑マウント部と指標値環を兼ねる基台ですが、ヘリコイド (メス側) のネジ山が備わるもののライカ判ではないので「距離計連動ヘリコイド」を有していません (つまりダブルヘリコイドではなくシングルヘリコイド方式)。

↑真鍮 (黄銅) 製のヘリコイド (オス側) がネジ込まれるワケですが、グリーンのラインで示したようにヘリコイド (オス側) のネジ山の長さに対してヘリコイド (メス側) のネジ山が半分くらいしかありません。またブルーのラインで示したように距離環の駆動域は「僅か半周分」しかないのでヘリコイド (オスメス) のネジ山量が異常に多い事が明白です。

つまりこのヘリコイド (オスメス) は「どの位置までネジ込めば適切になるのか」と言う微調整が必須になるので「高難度モデル」と言えるのです。前述のとおり「距離環が半周分回ると∞から最短撮影距離1mに到達してしまう」ワケで、半周分の回転では右後ろにあるヘリコイド (オス側) のネジ山がグルグルと回りません (せいぜい2列分くらいしか回転しない)(笑)

従って無限遠位置の確定と同時に「適正な光路長確保」をしない限り「カリッカリの鋭いピント面に至らない」ワケで、実は当初バラす前に実写確認した時点で「コリャダメだ」と過去メンテナンス時に適切な光路長確保されていない事が既に分かっていました(泣)

つまりこのモデルは「単にバラして組み戻すだけの整備レベルでは太刀打ちできない」と言えます。

↑こんな感じで距離環が入りますが、距離環の上部には「絞り環用絞り値の刻印」が備わっているので (赤色矢印)、このモデルは「回転式鏡筒繰り出し」になり「距離環を回すと絞り環まで一緒に回って言ってしまう」タイプです。

↑こんな感じで鏡筒が入りますが、上の写真は単に差し込んだだけでまだ微調整前の状態です (つまり鏡筒固定位置を確定させていない状態)。

↑レンズ銘板を兼ねるフィルター枠ですが、実はここに絞り環用のクリック用「絞り値キー」と言う溝まで用意されている三つ巴の部位です (レンズ銘板/フィルター枠/絞り値キー)。どんだけコンパクトに製品を仕上げるのか相当考え尽くされた設計だと思われます。

↑絞り環をセットしたところです。ここからようやく「光路長確保」しつつ鏡筒の固定位置を確定する工程に入ります。最後に無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。当初バラす前のチェックでは「距離環を回すトルクが重めでトルクムラもある」状況でしたし、そもそも実写すると「甘いピント面」だったりしました。

そもそもこのモデルは海外オークションebayでも年間に1〜2本レベルの出現率なので、ハッキリ言って相応に高い金額での調達でしたから手に入れて「甘いピント面」では普通ならガッカリです(笑) 現在の海外オークションebayでは「68,000円」クラスの個体が出品されていますが、ライカ判の「L39マウントモデル」になるとやはり20万円越えなので(笑)、どうにも手が出ません。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体で、LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。但し前後玉表面側には経年並みのキズや汚れなどが相当残っています (写真には影響しないレベル)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側もLED光照射で極薄いクモリが皆無ですが、同様後玉表面側には相応にコーティング層の経年劣化に伴うハガレなどが生じています。なおマウント面は「フランジ環 (M39)」をセット済なので、この環 (リング/輪っか) を回したりして外さないようにお願い申し上げます (イジると光路長がズレてピント面が甘くなります)。要はこのままご使用頂ければ問題ありません

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い28ミリ長が数本あります)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:あり
(後玉表面側に2箇所28mm長線キズあり)
(前後玉表面側に目立つ点キズなど複数あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):あり
・前後玉(表面側)にコーティング層の非常に微細で薄いハガレが数箇所あります(写真に影響なし)。
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑12枚の絞り羽根も油染みが無くなってとてもキレイになり、絞り環共々確実に駆動しています。このモデルの絞り環操作は「クリック式」ですが、絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)
HAKUBA製MCレンズガード (新品)
本体『Quinon 50mm/f2《Paxette版》(M39)』
フランジ環 (M39マウント) (新品)
汎用樹脂製ネジ込み式後キャップ (新品)
汎用樹脂製ネジ込み式SONY E前キャップ (新品)
エクステンション (16mm:新品)
汎用樹脂製SONY Eマウント後キャップ (新品)
汎用樹脂製ネジ込み式M39前キャップ (新品)
L39→LM変換リング (5075:新品)
マクロヘリコイド付マウントアダプタ (新品)
エクステンション (10mm:新品)
汎用樹脂製SONY Eマウント後キャップ (新品)

↑実際にエクステンション (10mm) とマクロヘリコイド付マウントアダプタをセットしたところですが、赤色矢印で示したとおり基準「」マーカー位置が反対側に来てしまいます (ネジ山の仕様なので改善できず)。

↑従ってカメラボディに装着した時は上の写真グリーンのライン位置が真上になりますが基準「」マーカーが来ていません (反対側に居る)。

↑基準「」マーカー側ちょうど反対側に位置しますがこのモデルは「絞り環も距離環と一緒に回ってしまう」タイプです。

↑距離環を回して最短撮影距離:1mで突き当て停止した状態にセットします (絞り環が一緒に回っている状態)。

↑マクロヘリコイド付マウントアダプタに備わる「ロック解除ボタン」の場所までマクロヘリコイドのローレット (滑り止め) を回さない限り (ブルーの矢印①) 仕様上の最短撮影距離:1mのままなので、オリジナルの状態で撮影できます。

逆に1mよりももっと近寄って撮影したければマクロヘリコイドのローレット (滑り止め) を突き当て停止位置まで回して (ブルーの矢印①) 筐体全体を繰り出せば最大で5㍉分繰り出して近接撮影状態に入ります (ブルーの矢印②)。

↑実際に突き当て停止するまでマクロヘリコイドのローレット (滑り止め) を回した状態です (ブルーの矢印)。ちゃんと筐体全体が5㍉分繰り出されています (つまり近接撮影状態になっている)。

↑今度は装着するエクステンションを「16mm」のタイプに付け替えました。さらに近接撮影が可能になります。

↑極めつけはエクステンションのダブル装着です(笑)

《近接撮影の状況》※マクロヘリコイドの5mm分繰り出しで疑似マクロ化
エクステンション (10mm) +マクロヘリコイド回さず → 仕様1mのまま
エクステンション (10mm) +マクロヘリコイド (5mm) →40cmまで近接
エクステンション (16mm) +マクロヘリコイド (5mm) →28cmまで近接

エクステンション (10/16mm) +マクロヘリコイド (5mm) →21cm近接

如何でしょうか?(笑) このように繰り出し量を増やすと実はボケ量もどんどん増えて、且つ 明るさも増大するのでそれを以てして「疑似マクロ化」と当方では呼んでいますが、あくまでもこれらは「本来の仕様を逸脱した写り方」である点をご留意下さいませ。この写り方が優れている云々を勧めているワケではありません (当方は等倍チェックなどしないタチなのであくまでも愉しむ範疇です)(笑)

なお、このモデルの仕様上の最短撮影距離:1mは、実測すると105cmくらいの位置でした。
また疑似マクロ化で近接撮影の実測距離自体が短縮化されるので (つまり被写体により近づく事になるので) ピント面から外れるアウトフォーカス部のボケ量が増えて、且つ明るさが増す のも光学硝子レンズのより中心付近に特化して入射光量が増大するからではないかと考えて います。その結果絞り値をあげていくと (つまり絞り環を回して絞り羽根を閉じていくと) 余計に入射光量が減っていくので「回折現象の影響は逆に大きくなる」とも言い替えられますからご留意下さいませ。

つまり疑似マクロ化で近接撮影するのはボケ量が増えてより明るさが増しますが、絞り羽根を閉じすぎると (絞り値を上げすぎると) 写真中心部のコントラストは逆に (回折現象から) どんどん低下してフレアの影響を受け易くなってきます。すると逆光や光源を含む撮影時にフードの使用頻度がより高くなるとも考えられますから、まさにマクロレンズ撮影時と同じ 前提条件になりますね(笑)

そもそもマクロレンズは光学系の第1群 (つまり前玉) が奥まった位置に配置されているのも、そういう意味では納得できますね!(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑1枚目が当レンズによる最短撮影距離:1m附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

また2枚目はマクロヘリコイドのローレット (滑り止め) を回して繰り出した状態で近接「40cm」での撮影です。3枚目がエクステンションを「16mm」に付け替えた状態での撮影で、最後の4枚目がエクステンションのダブル装着で「近接21cm」での撮影です。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。1枚目がオリジナルで最短撮影距離「1m」で、2枚目が「40cm」での撮影になり、3枚目が「28cm」と4枚目「21cm」です。

↑さらに回してf値「f4」で撮影しています。1枚目「1m」で2枚目「40cm」3枚目「28cm」最後4枚目「21cm」での撮影です。

↑f値「f5.6」での撮影です。

↑f値は「f8」に上がっています。

↑f値「f11」になりました。そろそろ絞り羽根がだいぶ閉じてきたので「回折現象」の影響が一部に現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。