◎ FUJI PHOTO FILM CO. (富士フイルム) FUJINON 55mm/f1.8《初期型》(M42)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルはフジカ製標準レンズ『FUJINON 55mm/f1.8《初期型》(M42)』です。


市場ではモデル銘にマルチコーティングの「EBC (Electron Beam Coating)」が附随する「EBC FUJINON 55mm/f1.8 (M42)」のほうが人気ですが、当方が個人的に気に入っているのはこちらのモノコーティング (EBCが附随しないタイプ) のほうです。

その理由は2つあります・・。

画全体に漂う「優しい」印象の画造り
空気感/距離感を写し込んだ「空間表現」の素晴らしさ

たかがコーティングの相違でそんなに違いが出るのかと思うかも知れませんが、マルチコーティング化することで解像度の向上のみならず様々な収差面も改善が期待できるので、必然的に後の時代に当たり前になるマルチコーティングのモデルのほうがパキッとした写りになってきます。しかしそれはの「優しい印象」を打ち消すことに至り、同時に今回のモデルで特筆される「空間表現」の素晴らしさ () まで消失していきます。

当初はこのような考え方 (捉え方) をしているのは当方だけなのだろうと思いあまり口に出しませんでしたが、当方のファンの方に力強くご賛同頂いたので安心できました (ありがとう御座います!)(笑)

それゆえ決してこのモデルを敬遠しているワケではないのですが、前回扱ってから何と1年半も過ぎてしまいました。毎月のように探しているのですが如何せんこの当時のフジカ製オールドレンズは光学系の状態が良い個体数はだいぶ少なくなってきており、市場に流れている個体は相当数カビが発生しています (或いはコーティング層の経年劣化が進行している/薄いクモリが生じている)。それは今回の「初期型」に限らずその後に登場した「前期型後期型」に至るまで同じような状況ですから、そろそろコーティング層の限界が来ていると考えています。

そのような状況の中で今回出品する個体は「まるで新品のような光学系」と表現できてしまうほどパキッとクリアな透明度を維持した個体をゲットできました (このモデルで初めてです)。もちろんオーバーホールもマイベストな仕上がりなので、手に取って操作して頂ければきっとご満足頂けることでしょう。まさに「1年半の想いを込めた渾身の仕上がり」ですね・・。

  ●                 

何はともあれ当モデルの描写性をご覧頂きましょう。まず最初に当モデルの実写を掲載して、その次に「後期型」たる「EBC FUJINON 55mm/f1.8 (M42)」の実写もアップします。

   
   
   
   

上の写真はFlickriverで、このモデルの実写を検索した中から特徴的なものをピックアップしてみました (クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)。

一段目
左端からシャボン玉ボケが玉ボケへと変わっていく様を集めました。

二段目
円形ボケは下手すると明確なエッジを伴うので二線ボケのように写ってしまうこともありますし角ボケにもなります。

三段目
もちろんトロトロボケにもなりますし非常に鋭いピント面でもあります。特筆なのが右端の
2枚「空間表現」です。

四段目
人肌のリアルさや左端2枚目のコントラスト表現の素晴らしさもたいしたものです。他は被写界深度と逆光です。

   
   
   

上の写真は「EBC FUJINON 55mm/f1.8《前期/後期型》」でピックアップした実写です。

一段目
マルチコーティング化で解像度が向上した分シャボン玉ボケがより明確に繊細に表出します。

二段目
背景の円形ボケとピント面とのインパクトもより強調されています。
右端2枚目のグルグルボケや右端のリアルな表現性はまさにEBCの効果でしょうか。

三段目
左端1枚目が「空間表現」の違いを決定づけた1枚です。空気感/距離感を感じるまでに表現できていません。

この比較からEBC付のほうがより解像度が上がり被写体の素材感や材質感を写し込んだ質感表現能力の高さが裏付けられたように見えますが、それは逆に言えば「優しさ/空間表現」の打ち消しにも他ならないと言うのが当方の捉え方です。つまりモノコーティングであるが故に解像度や収差が残されているからこそ表現し得る結果なのかも知れません。いずれにしても当方はこの「初期型」のほうが好みの画造りです。

そして敢えて言うなら最後の四段目左から2枚目の低コントラストな実写は、仮にこれがEBC付ならばもう少し色鮮やかに写っていたと思うので、すると現場の雰囲気を伝えるには少々辛いシ〜ンに堕ちてしまうかも知れないと見ています (視界を遮る霧のビミョ〜な雰囲気と木々の葉の色の変化/紅葉がより印象的に仕上がっているそのバランス感が素晴らしい写真)。

  ●                 

1970年にフジカから発売されたフィルムカメラ「ST701」用にセットレンズとして登場したのが始まりです。

【モデルバリエーション】
オレンジ色文字部分は最初に変更になった要素を示しています。

初期型:1970年発売 (ST701用)

コーティング:モノコーティング
開放測光用の爪:無
距離環ローレット:金属製
レンズ銘板:金属製

初期型:1970年発売 (ST701用)

コーティング:モノコーティング
開放測光用の爪:無
距離環ローレット:金属製
レンズ銘板:金属製

前期型:1972年発売 (ST801用)

コーティング:マルチコーティングEBC
開放測光用の爪:
距離環ローレット:ラバー製
レンズ銘板:プラスティック製

後期型−Ⅰ:1974年発売 (ST901用)

コーティング:マルチコーティング「EBC
開放測光用の爪:有
距離環ローレット:ラバー製
レンズ銘板:プラスティック製

後期型−Ⅱ:1974年発売 (ST901用)

コーティング:モノコーティング
開放測光用の爪:有
距離環ローレット:ラバー製
レンズ銘板:プラスティック製

各バリエーション発売年度と発売時に対象としたフィルムカメラのモデル銘を併記しました。特に「後期型−Ⅰ」に関しフィルムカメラ「ST801」と同時に発売されたと解説しているサイトがありますが正しくは「ST901」発売のタイミングで登場したのであり「ST801」発売当時に存在していたのは「前期型」のほうのタイプになります (筐体デザインが異なる)。

あくまでも「FUJINON 55mm/f1.8」シリーズの進化と捉えると上のようなバリエーションの展開が見えてくるワケですが、この他に廉価版のモデルが存在しています。

「FUJINON 55mm/f2.2」1976年発売 (ST601/ST605用)
コーティング:モノコーティング
開放測光用の爪:有
距離環ローレット:ラバー製
レンズ銘板:プラスティック製
筐体:プラスティック製

「FUJINON 55mm/f1.6」1978年発売 (ST705W用?)
コーティング:モノコーティング
開放測光用の爪:有
距離環ローレット:ラバー製
レンズ銘板:プラスティック製
筐体:プラスティック製

これら廉価版モデルは光学系構成が異なっており「FUJINON 55mm/f1.8」とは全くの別モノです。この廉価版モデルを富士フイルムから発売されたフィルムカメラ「ST701〜ST605II」までの時系列の中で捉えると意外なことが判ってきます。

バリエーションの中で「FUJINON 55mm/f1.8」シリーズのを附した「後期型−Ⅱ」については本来コーティング層をモノコーティングにして価格を僅かに安く控えた廉価版モデルとして登場させたつもりだったのでしょうが市場は反応せず結果として出荷台数は伸びなかったようです。そこで新設計による本格的な廉価版モデルを用意したのが「FUJINON 55mm/f2.2」だったのかも知れません。従って「後期型−Ⅱ」の位置付けとしてはモノコーティングとして括り「初期型」→「後期型−Ⅱ」としたほうが分かり易いと思います。

ちみなみにを附したモデルは「初期型」の単なるカラーバリエーションのひとつ「ブラックバージョン」なのでモデルの変遷に入るワケではありませんが、ネット上の解説でバリエーションとして捉えているサイトもあるので敢えて確認のために載せておきました。

光学系は典型的な4群6枚のダブルガウス型です。骨太でシッカリしたエッジを伴うカリカリのピント面を構成しメリハリ感のあるコントラストと発色性で暗部の粘りは後に登場するマルチコーティング「EBC」を蒸着してきた「前期型後期型」のほうが高い傾向にあります。カラーバランスの描写性に的を絞ると「EBC」モデルのほうに軍配が上がり、良く言えば「鮮やか」「元気の良い発色」と言う表現になりますが、少々人間の目で観た自然な印象からは誇張感が否めません (なので当方は個人的に自然な表現性になる「初期型」のほうが好み)。収差に関しては、この「初期型」から一貫して良く整えられているので色ズレも少なく歪曲も改善されています。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。フジカ製オールドレンズで最も問題になるのが光学系の固着です。光学系前後群の全周に渡って固着剤を塗布し製産していることが多いので外れない個体が非常に多いと言わざるを得ません。光学系前後群が外れなければ、もちろん光学系内の清掃ができませんし絞りユニットにもアクセスできません (鏡筒の前後に光学系がネジ込まれているから)。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。このモデルはヘリコイド (オス側) が独立しているので別に存在します。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑6枚の絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。

↑距離環やマウント部が組み付けられる基台です。

↑真鍮製のヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

↑ヘリコイド (オス側) をやはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルでは全部で13箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

↑こちらはマウント部内部の写真ですが既に各構成パーツを取り外して、当方による「磨き研磨」が終わった状態で撮影しています。

上の写真でも一部パーツに既に赤サビが出ていますが、過去メンテナンス時にまず間違いなくこのマウント部内部にも白色系グリースが塗られており経年の揮発油成分がそのまま構成パーツの劣化を促してしまいます (白色系グリースの液化進行は黄褐色系グリースよりも早いから)。

↑外していた各構成パーツも個別に「磨き研磨」を施し表層面の「平滑性」を確保して組み付けます。

上の写真はマウント面に飛び出ている「絞り連動ピン」が押し込まれた時の動作を解説していますが、以下2つの問題点を含んでいることを整備者はもちろんオールドレンズを使われる方も承知しておくべき内容です

(a) 絞り連動ピン押し込みによる連係動作
マウント面の「絞り連動ピン」が押し込まれると (ブルーの矢印①) その押し込まれた量の分だけ「開閉アーム」が移動する ()。

(b) 捻りバネと絞り連動ピンの役目
絞り連動ピン押し込み量には限界があり (イエロー矢印) 2種類の捻りバネが附随し互いにチカラを及ぼしている (グリーンの矢印)。

この2つの与件をほとんどの整備者が全く考慮せずにメンテナンスしていることが多く、実際バラしてみると適切な処置が施されている個体数はだいぶ少ないのが現実です。当方のオーバーホールではその過去に施されてしまった「不適切な処置」を本来の製産時点の状態に戻して整備している始末です。

まず重要なのは上のイエロー矢印です。

絞り連動ピン」が押し込まれると (ブルーの矢印①) 直後に位置している「シルバーの棒」がイエロー矢印寸前まで移動します。この時、必要以上に「絞り連動ピン」が押し込まれてしまうと (つまり最後まで押し込まれると) 「シルバーの棒が内壁に突き当たって停止する」ことを理解していません。

何を言いたいのか?

この当時のオールドレンズ装着先はフィルムカメラです。フィルムカメラのマウント部内部には「絞り連動ピン押し込み板」が用意されていてシャッターボタン押し込みと同時に押し込み板が勢いよく絞り連動ピンを押し込みます。「絞り連動ピン押し込み板」にはクッション性が備わっているので絞り連動ピンを最後まで押し込みませんし、シャッターボタンを押すタイミングは既にボケ具合まで調整が済んでいる状態ですから絞り環も操作しません。

つまりシャッターボタン押し込みの瞬間だけ絞り連動ピンが瞬時に押し込まれることを全く考慮しないままメンテナンスしています。

ところがマウントアダプタに装着すると「絞り連動ピン」は下手すれば最後まで押し込まれ続けます。この時、装着したマウントアダプタによっては上の写真イエロー矢印位置まで「シルバーの棒」が到達してしまうことがあることに気がついていません。つまりマウントアダプタに装着することで絞り連動ピンは最後まで押し込まれてしまい内壁に「シルバーの棒」が突き当たり「開閉アーム」は必要以上に移動するか、最悪戻らなくなります。しかもそのままの状態で普段ピント合わせが終わったらボケ具合を調整するので「絞り環を操作」します。この時シルバーの棒」が突き当たったままの状態で (絞り連動ピンが最後まで押し込まれているから) 絞り環操作しているワケで、正しく絞り羽根が開閉しないことに陥る原理なのがお分かり頂けると思います

なお、内壁と呼んでいるのは真鍮製の環 (リング/輪っか) で途中に「制御アーム」を附随した絞り環との連係環になります (絞り環に連結して一緒に動く)。従って「シルバーの棒」が突き当たったまま絞り環操作すると「開閉アーム」まで影響を受けて (正しくチカラが伝達されずに) 結果として「絞り羽根開閉異常」に至ります。

これがマウントアダプタとの相性問題の根本原因です。マウントアダプタの種類によっては絞り羽根の開閉動作が影響を受けて適切な駆動をしません。

つまり整備者のみならずオールドレンズを使っている本人も間違った認識のまま使用していることになります。

次に重要なのがグリーンの矢印です。

2種類の「捻りバネ」は互いに「絞り羽根を常に開こうとするチカラ」と「閉じようとするチカラ」の相反するチカラのバランスの中で絞り羽根が正しい動きをしています。従ってこの捻りバネ」の一方が経年劣化で弱ったら絞り羽根は正しく開閉しないことに気がついていません。つまりこのマウント部内部に白色系グリースなどを塗布するのは却って「捻りバネの劣化を促している」ことになります。何故なら揮発油成分で捻りバネが錆びるからです。

それゆえ、過去メンテナンス時に捻りバネを強制的に曲げてしまい反発力を変える処置を施している個体が山ほどあります(笑)

上の写真をよ〜く観察すれば、とても重要なことに気がつきます。「絞り連動ピン側にはバネの類が存在しない」点です。つまりこの当時のオールドレンズは「絞り連動ピンが最後まで押し込まれ続けることを一切想定していない設計」であることに気がつかなければイケナイのです (内壁に突き当たったままになることを想定していない)。

マウントアダプタ装着によりそれをムリに (強制的に) やっているワケですから、自ずとマウントアダプタの種類によっては「不具合が発生する相性問題が顕在する」ことに気がつかなければダメなのです。

↑上の写真 (2枚) は、当方所有マウントアダプタに当レンズを装着した時の「絞り連動ピンの押し込み状況」をマウントアダプタの裏側から撮影しています。1枚目と2枚目の写真では装着しているマウントアダプタの種別が違いますが、その結果赤色矢印のとおり現実として絞り連動ピンが僅かに飛び出ている頭部分の長さが違うことを示しています (2枚目の写真のほうが長めに飛び出ている)。

これは例えば1枚目の写真が必要以上に絞り連動ピンを押し込んでいるのかも知れませんし、或いは逆に2枚目の写真では絞り連動ピンの押し込み量が足りていないかも知れません。必要以上に押し込まれればマウント部内部の「シルバーの棒」が内壁に突き当たるので絞り羽根が開放に戻らなくなる (完全に開ききらない) 懸念もありますし、逆に絞り連動ピンの押し込みが足りないなら絞り羽根が最小絞り値まで閉じないかも知れません (f8で停止してf11〜f16に絞り環を回しても一切閉じない)。

たかが「絞り連動ピン」ですが、マウントアダプタに装着するとこのような問題が現実として現れます。そしてその結果「絞り羽根の開閉異常」として具体的な不具合に至るので過去メンテナンス時に様々な「常套手段」を処置していたりするワケですね(笑)

M42マウントと言う規格を過信している人は当方の整備が悪いと決めつけてクレームしてきますし、マウントアダプタの問題と説明しても納得しません(笑) そのようなクレームを頂くたびに「あぁ、信用/信頼が無いんだなぁ〜」とガックリです(笑)

それもそのハズで、こんなマウントアダプタとの相性問題を正直に具体的に写真付で解説している整備者は当方くらいしか居ないので(笑)「その結末は如何に?」と問われれば「上手く整備できなかった言い訳を言っている」と受け取られている始末で(笑)、全く信用/信頼が無いと言うことは何を言おうが信じてもらえないのが今の世の中の慣例です。それこそSNSで広まるかしない限りいつまで経っても「言い訳ばかり言っている整備者」のレッテルのままですねぇ〜 (何とかチャンネルによく批評が出てます)(笑) 今騒がれている「自己責任論」ではありませんが、プロではない以上「自業自得の話」であり辟易しながらも毎月頂くクレームの対応をしている次第です(笑)

↑マウント部内部の絞り連動ピン機構部をキッチリ調整してマウント部を完成させ、鋼球ボールを組み込んでから絞り環をセットしました。

↑完成したマウント部を基台にセットするワケですが、上の写真のとおり鏡筒から2本のアーム「制御アーム開閉アーム」が飛び出ており、このアームをマウント部内部の「」がそれぞれ掴むワケです。

↑完成したマウント部をセットします。

↑距離感を仮止めしてから光学系前後群を組み付けて無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

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ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑市場評価が低いので二束三文な価格で流通しているフジカ製標準レンズ『FUJINON 55mm/
f1.8《初期型》
(M42)』です。当方ぐらいしかこのモデルを評価していないので強気な (高額な) 即決価格で出品しており、誰も落札しないでしょうから今月の一番最初にオーバーホールしました(笑)

↑当方のデータでは今回の扱いが16本目の個体になりますが、ハッキリ言ってこれだけ透明度が高い個体は初めてです。「新品ですョ」と言っても信じてしまうほど光学系内に何もありません。ひたすらに透明でクリアです・・。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群も驚異的な透明度を維持していますし、そもそもカビ除去痕がありません!(驚)

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(順光目視で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:8点、目立つ点キズ:5点
後群内:8点、目立つ点キズ:4点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり (後群内)
・バルサム切れ:無し (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
光学系内の透明度が非常に高い個体です
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑6枚の絞り羽根もキレイになりました。フィルムカメラに装着して使う分には全く問題が起きませんがマウントアダプタ装着時は前述の「マウントアダプタとの相性問題」が顕在します。

しかし当方所有の以下マウントアダプタにて絞り羽根の開閉が正常駆動するよう調整済です。

・Rayqual製マウントアダプタ (日本製)
・K&F CONCEPT製マウントアダプタ (中国製)
・BESCHOI製マウントアダプタ (中国製)

日本製と中国製マウントアダプタでは絞り連動ピンを強制的に押し込んでしまう「ピン押し底面」の深さがそもそも違いますが両方共問題が起きないようマウント部内部を調整しました。但しマウントアダプタ装着時は距離感を回す時「カリカリ音」がマウント部内部から聞こえてきます。絞り連動ピンが押し込まれ続けている為に「」がアームを掴んだままスライドしているからその音が聞こえているワケです (出品ページでも事前告知済なのでクレーム対象としません)。

ここからは鏡胴の写真になりますが経年の使用感をほとんど感じさせない大変キレイな状態を維持した個体です。当方による筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。もちろん「梨地仕上げの銀枠絞り環」も「光沢研磨」済なので当時のような艶めかしい眩い光彩を放っています。筐体外装は「エイジング処理済」なのですぐに錆びついてきたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度」を塗布し距離環や絞り環の操作性はとてもシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人によって「軽め」に感じ「全域に渡って完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります (僅かなゴリゴリ感)。
・絞り環操作は確実で軽い操作性で回せます。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・マウントアダプタ装着時は相性問題から絞り環の操作時にカリカリ音が内部から聞こえる事がありますがマウント部内部のアーム(爪)が擦れ鳴っている為で将来的に問題になることはありません。クレーム対象としません。

【外観の状態】(整備前後拘わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。

↑パキッとした写りの「EBC」付が好みか「空間表現」が堪らないモノコーティングが良いか、装着先のカメラボディとの相性もありますョね?(笑) 今回の個体の特筆は何と言っても「光学系の透明度の高さ」なので、当モデルをお探しの方は是非ともご検討下さいませ。もちろん操作性はシットリ感漂う当方独特なトルク感で仕上げていますから、ご存知の方はイジるだけでも飽きないと思います(笑) 当方などはこの筐体デザインの「ホワイトシルバーな梨地仕上げの絞り環」が好きですし、ほんのりと濃いめのブル〜が混じる黒色鏡胴 (このモデルの基色が濃紺の焼付塗装)  が光り輝くとまた堪らなかったりします(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

↑当レンズのよる最短撮影距離45cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮りました。

↑設定絞り値は「f5.6」に変わっています。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。