◎ MAKINA (マキナ光学) AUTO MAKINON 28mm/f2.8(AR)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、国産は
マキナ光学製広角レンズ・・・・、
『AUTO MAKINON 28mm/f2.8 ||| (AR)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた12年前からの累計で捉えても、初めての扱いです。
先ず冒頭でイキナシ宣言してしまいますが(笑)、今回扱ったモデルのようなオールドレンズを、当方では「不毛モデル」と呼称しています(笑)・・どうして「不毛」なのかと言えば、いったい何処の光学メーカーが開発/設計し生産したのかを確定させる方法がなかなか見えてこないが為に、あ~だこ~だ考えざるを得ないモデルを指して、そのようなムダに時間を要するモデルとして「不毛モデル」と呼称しています(笑)
「何処の光学メーカーが開発/設計し生産していたのかは既に歴然としているではないか?!」と鶴の一声が降りてきそうですが(笑)、実は当方ではネット上で一般的に語られているこのモデルのメーカー銘から来る「マキナ光学製」の捉え方に「OEM生産品」の範疇を超えた認識を与えていないので(笑)、どんなに神憑りな声が周りから聞こえてきても、端から平伏す気持ちがありません(笑)
今回扱ったモデルが吐き出すその実写が、非常に端正でなかなかゲテモノと一括りするにはいかない優れたオールドレンズである事は決して否定しません。が然し、だからと言って「OEM生産品」の範疇を超越する前提には全く以て到達し得ないのです。
ネット上で解説されているとおり、確かにマキナ光学は1967年に東京都は五反田に創業した光学メーカーなのでしょうが (wikiより)、だからと言ってそれをそのまま鵜呑みにするワケにはいきません(泣)
当方がいの一番に考えるのは「そう言うなら、いったい何処に工場があったのか??? 何処に光学硝子レンズ溶融解設備を構えていたのか??? 先ずは何を於いてもそれを明確にするべき!」との考えにしか至らないからです(涙)
ハッキリ言って、これだけの光学系を設計し、ちゃんと溶融解できて完成の域に到達できる「技術とその設備」を当時のマキナ光学が有していたとは、とても信じられないのです。
その意味で、如何にも自社内製の如く解説してしまうのは非常に危険ではないかとの認識が強いので、残念ながら今のところ当方の捉え方では「OEM生産に頼っていた商社の部類」でしか、どうしても捉えられていないのです(泣)
それなら、いったいどうして自社内に「研究/開発/製造」部門までちゃんと有していたのかと言えば、それは「そもそも研究/開発/製造しているその対象物が違う」のだと、現在の処当方では捉えているのです・・おそらく自社内製で (と言ってもおそらくは外注だったと考えますが) 用意できていたのは、せいぜい筐体外装周りのパーツではないかと考えているからです。
・・つまりwikiで言う処のパートさん達が組み立てていたのは筐体外装関係がメイン。
との認識です(泣)
その根拠に至った最大の理由は「何を於いても光学設計が一番重要ではないのか???」と
言いたいのです・・オールドレンズである以上、その他の部位の構造設計はその光学設計を
如何に100%有効化させるかの為だけに存在しているのではないかとの考えが強いのです。ヘリコイド群や絞り羽根制御関係、或いはマウント規格との連携性などなど、そういう他の部位の構造設計は「光学系ありき」なのが、そもそもマニュアルフォーカスのオールドレンズの大前提ではないかとの気持ちが強いのです。
その大前提を覆されない限り、基本的に当時のマキナ光学が全て自社内製だけで、例え短期間だったとしても数多くのモデルを世間に送り出していたとは、到底信じられません(泣)
従って大変申し訳ございませんが、当方の認識では、マキナ光学が主体的に当時やっていた内容は「OEM生産に頼った海外輸出メインの商社」ではないかとの捉え方が中心です。
そして実はその根拠となったもう一つの理由があります。以前扱ったPORST製『PORST Super-weitwinkel MC 28mm/f2.8 auto H《後期型》(M42)』の当方ブログ解説ページでご紹介した、Soligor製『SOLIGOR WIDE-AUTO 28mm/f2.8 (M42)』との関連性です。
(右写真はその時のブログページより転載Soligorモデル)
その時ブログで扱っていたモデルはPORST製モデルですが、そもそもそのPORSTがOEM生産に頼った旧西ドイツ側の写真機材を扱う商社だった「FOTO-PORST」だからです。このSoligorモデルの「絞りユニットと同一のパーツが内部に組み込まれていた」点に於いて、どうにもこうにも「Soligor製モデルを造った光学メーカーの製品だったのがその時のPORSTモデル」との結論にしか到達し得ないのです(泣)
すると右写真をチェックすれば一目瞭然ですが、Soligorモデルのレンズ銘板に刻印してある「製造番号の先頭1桁:I」こそが「トキナー製」である事を物語っているのです・・この「I」の一文字が、はたして「数字の1なのか英語のIなのか???」については、幾つかのSoligor製個体の製造番号を調べてみれば一目瞭然です。先頭1桁目に「I」が刻印されている後のシリアル値の中で、数字としての1が「I」である事から「英語のI(アイ) ではない」事が明白です。
逆に言えば、同じSoligor製モデルでも名の製造番号先頭1桁目に「数字の1」が刻印されている個体の場合、シリアル値内も「同じ数字の1を刻印」なので間違いありません (つまり先頭1桁目にI刻印の時、シリアル値に数字の1を刻印していない/混在していない事の証)。
すると製造番号先頭1桁目に「数字の1」を持ってきているSoligoe製オールドレンズの生産メーカーは「wikiによるとトキナー製」との話に行き着くしかありません (wikiによると他にもH7刻印がトキナー製である事を解説している(泣)
何とも紛らわしい話の内容ですが、実は今回の個体 (マキナ製の個体の) の製造番号は決して「1」から始まっていません。ところが完全解体してバラしてみると「何と絞りユニットの構成パーツのが同一」だったのです。
つまり以前取材させて頂いた金属加工会社の社長さんの話から「他社製品で使っているパーツと同じモノのを用意する必要性は100%存在しない」のが内製で起こしている場合の自然な思考であり、当然ながら自社工場 (の機械設備) に見合うべき設計とカタチや目的/役目で、当該パーツを用意するのが当たり前の話だからです。何故なら、他社製パーツにソックリ似せて用意する「その意義が存在しない限り造る意味が無い」からです(笑)
・・まさにそのとおりで至極理に適った話ではないでしょうか???(笑)
その一点に於いて初めて「SOLIGOR→PORST→MAKINON」と繋がったのであります(笑)
しかし、実はこれも2次的な根拠でしかなかったのです(笑)・・はい、一番重要なのは前述のとおり「光学系はどうなのか???」が大前提なので、今回扱った個体を完全解体してバラした結果から把握できた光学系各群の状況から「近似した光学設計を採っていたオールドレンズのモデルは一体何なのか???」との探索基準が一番最初に現れたのが本当の経緯です(笑)
するとその結果も前述同様に「SOLIGOR→PORST→MAKINON」と繋がったのであります(笑)・・全て製造番号先頭1桁目の刻印が「I」であり、数字の1を意味し、且つそれはwikiから「トキナー製」をも知らしめているのです(涙)
従ってこのような経緯から、ネット上で至極まことしやかに語られている「マキナ光学製」との捉え方には、残念ながら当方の認識では到達し得なかったのであります(涙)・・後で出てくるオーバーホール工程の中で、その根拠になった絞りユニットの写真もちゃんと載せて解説しています。
またさらに光学系の要素については如何に解説したいと思います・・。
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↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。
◉ 一段目
今回扱ったモデルの実写をネット上からピックアップする際に、最も注意を要したのは「検索するモデル名の指定方法」です。実はマキナ光学製オールドレンズの中でこの焦点域:28㎜ 広角レンズのモデルが複数確認できてしまったが為に、確実に今回のモデルの実写として確認する方法で「AUTO MAKINON」銘を指定する事にしました・・その結果、僅か4枚程度しかピックアップできていません(汗)
逆に言えば、前述のとおり「OEM生産品」との当方結論からして確実に今回扱ったモデルに限定するのが相当困難である点を汲み取る必要があります。
↑上に示した光学系構成図は、左側が前述のPORST製『PORST Super-weitwinkel MC 28mm/f2.8 auto H《後期型》(M42)』の当方ブログ解説ページで掲載していた構成図で、その時の完全解体作業でトレースした構成図です。
一方右側の構成図が今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。
これらの構成図で重要なのは、当然ながら同一焦点距離:28㎜で探索している事と、合わせて「光学系第3群に貼り合わせレンズが配置されている点」であり、且つその貼り合わせレンズ状況たる「向き」も要チェック項目です。
もっと言うなら「7群8枚構成のレトロフォーカス型」であるのは説明するまでもありません(笑)・・凡そ今までに扱ってきた焦点距離:28㎜「58本」を確認した処、ピタリと合致したのはたったの一つだけで「SOLIGORとPORST」であり、光学系のカタチで捉えるなら「1種類だけ」であると言っているのです。
↑当方がネット上の解説と異なる内容を述べると「公然と平気で嘘を拡散し続けている」と某有名サイトのコメント欄に誹謗中傷が入るようなので、面倒くさいですがいちいち「証拠写真」を載せないとイケナイみたいです(笑)
上の写真は今回のオーバーホールで完全解体した際に取り出した光学系第1群~第7群の光学硝子レンズを並べて撮影しています。左端から順に「光学系前群の前玉側方向を写真上に向けて並べた写真」で、2枚目が同じ並びのまま「ひっくり返して裏面側を写真上方向に向けて並べている写真」同様3枚目は「後群側の後玉側方向を上方向」最後右端の4枚目が「ひっくり返してその裏面側を上方向」です。
唯一、前群側の第1群前玉のみ表裏面をミスッて間違えて並べています (1枚目が裏側で2枚目が表側)。
ご覧のとおりちゃんと7群構成で、且つ第3群に貼り合わせレンズが配置されているのが分かり、しかもその貼り合わせ順番が確認できると思います。前述の「PORST製の光学系」とは微妙に光学設計が違っていますし、そもそもコーティング層蒸着が別モノです。
↑上構成図は今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図で、前出のトレース図と同一ですが、当方にて目視した時の印象を基に蒸着コーティング層が放つ光彩のイメージを着色しています。光学系第3群の蒸着コーティング層が放つ光彩が2つに分かれているのは貼り合わせレンズだからです。
一方第5群と第7群の2枚は、その表裏面で蒸着コーティング層のが放つ光彩が違っているのを半分に分けて着色しているにすぎません(汗)
するとこれらを見てすぐらピ~ンと来る話があります。入射光が入る一番最初の前玉で強力に「グリーン色の光彩」を表裏面でコーティング層を蒸着してきており、合わせて最後の第7群後玉でも前玉側方向を「グリーン色の光彩」に蒸着しているので「意識的に入射光のグリーン成分を引っ張り続けている光学設計」なのが分かります。
この時、ピ~ンと来たのがフィルター枠側面に刻印されているモデル銘ですが、その途中に「|||」の縦線刻印が並んでいます。この縦線の刻印は「グリーン/レッド/イエロー」の3色なのですが、ネット上の解説で誰一人この点について言及していません(泣)
少なくともオールドレンズ相手に解説するなら、もう少し説得力ある解説を試みてほしいところです(笑)・・上に明示した各群の蒸着コーティング層が放つ光彩のイメージと比較してみて「???」になりませんか???(笑)
「グリーンの光彩」は分かります・・第1群前玉の表裏面と後玉裏面側だけです。ところがレンズ銘板に刻印されていた縦線の「レッドとイエロー」の関係性はどうなのでしょうか???
答えは、これらは「入射光の色の3原色」を表しており、特にレンズ銘板に刻印されていた縦線の「レッドとイエロー」については「蒸着コーティング層のパープルアンバー」が担っている点です。ちなみに光学系第3群の貼り合わせレンズに「ブルー成分」のコーティング層蒸着を介在させているのは「一番先に減衰してしまう青色成分を透過させる目的」を意味します。
逆に言うなら「パープル」の蒸着コーティング層でも入射光の「青色成分」透過は適うので、合わせて「レッドと共に透過させている」と受け取れます。
するとこれらの蒸着コーティング層から見えてきたのは「グリーン/レッド/イエローの順で優先付させた色の3原色」であり、それが指し示すのは「厳密に色の3原色について色収差補正したアポクロマート処理」である点を解説しているのです。
その結果こそが「光学系の再設計」であり、前述の「SOLIGOR→PORST」の「グリーン成分を重視していない光学系」との明確な相違点ではないかと踏んでいます。
ちなみに当時、例えばSIGMAなどのオールドレンズでも「ブルー/レッド/グリーン」の3本線にてアポクロマート処理を表す刻印を行っていたモデルがあるようですから、あながち当て外れでもないと思っています。
従ってこれら当時の巻な光学製オールドレンズの中で、特に「|||」刻印をレンズ銘板に含むモデルについて「アポクロマートレンズ」である事が当方の中では大きくなっていますが、もちろんそういう解説も証拠もネット上の何処にもありません(笑)
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。この当時のマニュアルフォーカス式オールドレンズと言うモノは、完全か対してみるとよ~く分かりますが、内部は大きく決まった部位の塊にまとまります。それは「光学系/絞りユニット/ヘリコイド群/マウント部/制御機構」であり、それ以外でも以下でもありません。それらの部位別にチェックしていけば、自ずと同一箇所や構造、或いはもっと根本的に「同じパーツ」が顕在する事も多いです。
例えば光学系の各群のカタチや曲り率に厚みなど「光学設計の相違」が確認できても、それ以外の部位で近似した構造やパーツが介在する事は「製造メーカーが異ならない限り有り得ない」のが大前提です・・それほど各構成パーツの設計は製造メーカーが異なるのに、或いはオールドレンズの内部構造の大前提がどれもこれも似通っていても、二つとしてたまたま偶然にも似てしまったと言う設計に到達する事がありません。
金属加工とはそれほどスタート地点とゴールが同じにならないほどに概念も思考も着目も発想も何もかも違って然るべき話なのです (以前の取材からの結論)。
従って、一つの部位でも、或いは一つの構成パーツでも同じモノのが現れたら、それはイコール「その製造メーカーが造った別モノ」との結論にしか到達し得ません。
そのような大前提に則れば、上の写真を見ただけで今までに扱ってきた3,000本を超す個体の中から任意のモデルが浮かび上がるハズなのです。
↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。実装すべき光学系の設計が「7群8枚のレトロフォーカス型構成」なので、ご覧のように深さがあります。そしてこの鏡筒こそが先ず第一に冒頭で解説したPORST製『PORST Super-weitwinkel MC 28mm/f2.8 auto H《後期型》(M42)』の解説ページで登場した鏡筒と同一である事が分かります。
その時の鏡筒には開口部/切り欠きが2つ大きくありました。それはマウント規格が「M42マウント」だったからで、特に「A/M切替スイッチ」を装備していた関係性から、その絞り羽根制御に関し2箇所から制御する必要があったからです。
ところが今回扱うモデルは「KONICAマウント規格のARマウント」なので、「A/M切替スイッチ」がありません (AE機能を装備しているから)。だからこそ開口部/切り欠きが1箇所で済んでしまうのです (ちゃんと根拠が在る)。
・・従って「同一の鏡筒の設計」である事が一目瞭然です。
↑上の写真は、この鏡筒最深部に組み込まれる「絞りユニット」の構成パーツをバラした状態で並べて撮影しています。絞りユニットの格納筒に対して、手前側に並べた「位置決め環と開閉環」こそが、前述したPORST製『PORST Super-weitwinkel MC 28mm/f2.8 auto H《後期型》(M42)』の絞りユニット構成パーツと100%同一であり、他社光学メーカーがたまたま同じ設計に至ってしまった偶然性が100%有り得ません(笑)
つまりこの鏡筒と絞りユニットが明白になった時点で「このモデルはトキナー製品」である事が決定的になったと明言できます。
絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。
◉ 位置決めキー
「位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー
◉ 開閉キー
「開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー
◉ 位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)
◉ 開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環
◉ 絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている
↑完成した絞りユニットをひっくり返して後玉側方向から撮影していますが、前述のPORST製『PORST Super-weitwinkel MC 28mm/f2.8 auto H《後期型》(M42)』に登場している絞りユニットの裏面と100%同一です。
なお、どう言うワケか、今回の個体の絞り羽根は「総数8枚のうち1枚だけ色が違う」のが分かります(汗)
↑同じ完成した絞りユニットを今度は前玉側方向から撮影しています。右横に飛び出ているのが「開閉アーム」ですが、このモデルのマウント規格たる「KONICAのARマウント」の制御方法で絞り羽根を駆動させる設計がちゃんと成されているのが分かります (ッて言うか、本家KONICA製モデルからして同じ設計概念で造られているから当然な話)。
絞り羽根の角度を変更する際に「くの字型の溝をキーが移動するので或る特定の位置で突然閉じる角度が変化する設計概念」なのは、実は本家KONICAの設計概念そのモノなのです (但し上の写真では内部に入っているので見えていない)。
↑さらに同じ絞りユニットの今度は反対側を拡大撮影していますが、残念ながら過去メンテナンス時の整備で「ゴマカシの整備」が成されてしまい(泣)、付随している引張式スプリングが代替で使っています。
どうしてそのように断言できるのかと言えば「スプリングの固定方法が設計と違う」からです(笑)
グリーン色の矢印で指し示している箇所にネジ山が見えていますが、通常ネジ山にスプリングを引っ掛ける設計で製品化する光学メーカーは1社もありません(笑)・・もっと言うなら、この構造/設計の場合、ブルー色の矢印で指し示している位置でスプリングの輪っかを固定する考え方なのが分かります。
さらに赤色矢印で指し示している状態に「スプリングの一部領域が伸びてしまっている」のは、決して経年劣化進行に伴い伸び切ってしまったのではなく「そもそもこの引張式スプリングの引張力が適合していない」からであり、要は代替で用意したテキト~なスプリングを使っていると断言できます(泣)
すると見えてくるのは、過去メンテナンス時の時に既に引張式スプリングが経年劣化進行に伴い弱つていて「絞り羽根開閉異常が発生していた」事実が分かります。それをごまかす整備として処置したのが判明します(笑)
↑完成した鏡筒を建てて撮影しました。写真上方向が前玉側方向にあたります。鏡筒外壁には「ヘリコイドオスのネジ山」が切削されており、合わせて横方向に「開閉アーム」が飛び出てきています (赤色矢印)。
↑この後はヘリコイド群の組立工程に入ります。マウント規格が「KONICAのARマウント」と言うのも影響しますが、そもそも光学系が長いのでその分を相殺すべく「開閉機構筒」が中間に位置しています。
↑基台にヘリコイドオスメス (つまり鏡筒) をネジ込んだところです。距離環は上の写真ヘリコイドメス側に締付ネジ「3本」で締め付け固定される設計を採っています。
←残念なことに左写真のとおり基台に前出の「開閉制御筒」を締め付け固定する際に使う「締付ネジ」が2本破断していました。
破断したまま上から瞬間接着剤でネジ頭を被せてワザワザ接着してありました(笑) 結局ネジ頭はドライバーで外すにもすぐにポロッと脱落してしまうので「基台内部にネジ部が破断したまま残っている状況」と言う最悪の結果でした(涙)
仕方ないので電技ドリルを使って工夫しつつ破断したネジ部を2本分取り出した次第です (そうしないと開閉制御筒をたったの1本の締付ネジだけで固定する事になってしまうから)(怖)
↑同じくヘリコイド群ネジ込んだ一つ前の状態の基台を、今度はひっくり返して撮影しています (写真上方向が後玉側方向)。
するとご覧のように赤色矢印で指し示している箇所に締め付けネジがネジ込まれた時の痕が残っています。しかし本来の正しいネジ穴の位置はグリーン色の矢印で指し示している箇所です(笑)
前出の「開閉制御筒」を締め付け固定する為に備わる貫通用のネジ穴は「全部で3箇所」存在するものの (つまり3本の締付ネジが必要になる)、そのネジ穴の位置が「均等配置ではなかった」のです(笑)
つまり、もしも仮に均等配置でネジ穴が用意されているなら「3箇所のうつの1箇所に締付ネジをネジ込んだだけで他の2箇所もちゃんと位置が適合する」のは当然な話ですが、もしも均等配置ではなければ「例え1本目の締付ネジがネジ込めても他の2本もちゃんとネジ込めるとは限らない」のが均等配置ではない場合の注意事項です。
それをちゃんと確認せずにグイッと最後までネジ込んでしまったのだと思います。従ってその時のチカラを加えた痕が残っている次第です(笑)
おそらく2本を途中までネジ込もうとして最後の3本目が合わないのでムリに回したのだと思います・・それで破断して折れてしまった(笑)
↑こんな感じで左横に並べた「開閉制御筒」に用意されている貫通用のネジ穴が、グリーン色の矢印のとおり基台側の下穴にネジ込まれます。
↑その時、実は一番重要なのは絞りユニットから出てきている「開閉アーム」が「開閉制御筒」内側に用意されているガイド/切り欠き/溝部分に入る必要があります (グリーン色の矢印)。
このガイドに長さが備わるのは「鏡筒の繰り出し/収納量」なので、当然ながらヘリコイドオスメスのネジ込み位置がちゃんと適切であって「無限遠位置が適合している状態」でなければガイドの長さと合致しなくなります(笑)
それこそが当ョバラす前の状態ですが「LMマウントアダプタ装着時は距離指標値の5ftで無限遠合焦」と言う異常なまでのオーバーインフ量だった次第です(笑)
仕方ないので、当方所有の「KONICA → SONY Eマウントアダプタ (K&F CONCEPT製)」に装着して確認すると、それでも「距離指標値の10ftで無限遠合焦」と1目盛り分しか改善しません(汗)
・・完璧に過去メンテナンス時のヘリコイドネジ込み位置が狂っています(笑)
逆に言うならちゃんと理解できていない整備者だったのかも知れませんが(笑)、アンダーインフになると最短撮影距離位置の時に「絞りユニットから飛び出ている開閉アームがガイドの溝から脱落する」ので、異常なオーバーインフ料に組み込んで誤魔化したのだと思います(笑)
そのような思考回路に至る最大の理由があるのです・・ヘリコイドのネジ山ネジ込み位置をミスっていても「距離環を締め付け固定する位置をズラすだけで無限遠位置は合わせられる」との距離環固定手法を知っていたからです(笑)
確かに多少の無限遠位置微調整についてはそれでOKですが、根本的にヘリコイドネジ山のネジ込み位置をミスっていればその微調整範囲だけでは調整できません(笑)
そういう「原理原則」があるのを理解できていない整備者だった事が・・これだけでバレバレです! (恥ずかしい)(笑)
↑ちゃんと適切な位置で「開閉制御筒」をセットし終わりました (当たり前ですが)(笑)
↑とても分厚い/深い/長さがある「絞り環」を組み込んだところです。フィルムカメラ側まで到達する必要がある「開閉アーム」がちゃんと飛び出ています。絞り環の内側にあるパーツによりブルー色の矢印のように開閉制御される仕組みですが、それは「そもそもこのモデルの絞り羽根が常に閉じる方向に設計されているから」であり、このような概念も「原理原則」からちゃんと見出す必要がありますね (分かっていれば必然的に最後はこのような組み込み方法で終わるのが事前に分かる)(笑)
こういう事柄が「原理原則」なので、自ずと「本来在るべき姿で組み上げられる」のは当たり前の話なのです(笑)・・オールドレンズはそんなに難しくありません(笑)
この後はマウント部をセットして無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。
ここからはオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。
↑完璧なオーバーホール/修理が終わっています。とても美しいグリーン色の光彩を放つステキなモデルです。このグリーン色の光彩は、その主体が光学系第1群前玉だけ (後玉は裏面側だけだから) と言う構成ながら (ちゃんと光学系構成を知れば) どんだけ強力なのかが分かるのではないでしょうか???
・・その意味でも単に外面だけで放つ光彩に感心せず是非光学系を知りましょう!(笑)
そして左写真が、まさに冒頭で散々解説してきた「SOLIGOR製のWIDE-AUTO 28mm/f2.8」です。
現在海外オークションebayに売りに出されている個体のページをリンクしましたが、レンズ銘板の製造番号をチェックすると「製造番号先頭1桁目が数字の1番」なのが分かります。
もちろん「1」なので「トキナー製」なのは間違いありませんが、時期的に「I」刻印ではなく数字です。はたしてこの個体もバラして完全解体してみると、同じような光彩を放つコーティング層を蒸着した7群8枚レトロフォーカス型構成なのでしょうか (構成が同一なのは分かっている)???(笑)
それによって今回のモデルが「アポクロマートレンズ」なのか否か、より信憑性が増すと言うモノです(笑)・・ちなみに光学知識として言うなら、3色に対して軸上色収差が補正されていて、そのうちの2色に対してアプラナートである光学設計を指して「アポクロマートである」事を指すので、なかなか興味深い性能です(涙)
↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。
ちなみに当初バラ前の実写チェック時点で異常なほどのオーバーインフ量の他に「ピント面の鋭さ感が足りなさすぎる」印象まで強かったので、光学系内の各光学硝子レンズコバ端は「敢えて反射防止黒色塗料で厚塗しない」仕上げ方で組み上げた処・・劇的にピント面の鋭さ感が改善され素晴らしい写り具合に至っています(涙)
↑8枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動していますが、前述のとおり8枚中1枚だけ絞り羽根の仕上げ方が違っており「???」のままです(泣) 絞り羽根が閉じる際もご覧のように「歪なカタチで閉じていく」ものの、どうも調べると市場流通品の多くの個体で似たように見えるので、仕方ないのかも知れません(泣)
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
↑塗布したヘリコイドグリースは、いつものとおり「黄褐色系グリース」で、且つ仕上がりトルク感も毎度の如く「ヌメヌメっとシットリ感残るとても軽い中にも確実性を感じるトルク」に仕上がっています(笑) もちろんピント合わせの際は、特にこのモデルのピントのピーク/山が突然訪れるので「掴んでいる指の腹に極わずかチカラを伝えるだけでピント面の前後微動が叶う」感触に仕上がっているのもいつものとおりで同じです(笑)
↑特にご報告すべき瑕疵内容はありませんが、何か気に入らない点があれば減額下さいませ (申し訳ございません)。
オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。
無限遠位置 (当初バラす前の位置から改善済/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当初の付属品にセットするとこんな感じですが、どうも「haoGe製マウントアダプタ」も少々「???」な感じです(泣)・・何故なら距離指標値の「5ft」で無限遠合焦していたものの、当方のK&F CONCEPT製に付け替えると「10ft」だったので、凡そ1目盛り分オーバーインフ量が加味されているようにみえます (然しそもそもオールドレンズ側ヘリコイドネジ山のネジ込み位置が狂っていたが)。
↑当レンズによる最短撮影距離30cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑最小絞り値「f16」での撮影です。今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。このモデルだけ遅くなってしまい申し訳ございませんでした。どうぞよろしくお願い申し上げます。