◎ PETRI (ペトリカメラ) C.C Auto Petri 55mm/f1.8《後期型》(M42)

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今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルはペトリ製標準レンズ『C.C Auto Petri 55mm/f1.8《中期型》(M42)』です。


当方は何だかんだ言って栗林写真工業 (後のペトリカメラ) 製オールドレンズに魅入られてしまいました(笑)

いつもは同じ標準レンズでも1959年に発売された「C.C. Petri Orikkor 50mm/f2 (M42)」のほうをメインにオーバーホールしヤフオク! 出品していますが、今回は1976年に発売されたモデルで初めての扱いになります。

ペトリ製オールドレンズは市場に出回っているほとんどがペトリ独自マウントのスピゴット式バヨネットマウントなのでフィルムカメラのペトリカメラにしか装着できません。もちろん、海外オークションebayで探せば「Petri → SONY Eマウントアダプタ」なども見つかるのですが簡単に手を出せるような価格ではありません (一応所有はしている)。従って当方が手を付けられるのは「M42マウント」の個体と言うことになります。

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「栗林写真工業」は1907年に創業の写真用品メーカー「栗林製作所」から始まり「栗林写真機械製作所→栗林写真工業」そして最後の社名であった「ペトリカメラ」と変遷しています。
(左写真は1959年当時の栗林写真工業梅島工場の様子)
1926年に自社初のフィルムカメラ「Speed Flex (木製)」を開発し1939年にメッキ工場開設、1958年にはニューヨーク事業所を開設
1962年「ペトリカメラ」に社名変更しました (1965年時点の輸出
比率は80%越え)。

1959年に栗林製作所から発売された自社初の一眼レフカメラ「Petri PENTA」はマウントに「M42マウント」を採用しましたが、発売した翌年の1960年にはマウントをスピゴット式バヨネットマウント (Petriマウント) にいきなり変更してしまいました。

その後Petriマウントのみ開発/発売していましたが経営状況は芳しくなく1976年に再び輸出専用モデルとして「FT1000 (M42マウント)」を発売しています。この後1976年〜1977年の2年間は海外輸出モデルとしてOEMモデルのフィルムカメラを乱発しており、指向国は旧東西ドイツのみならずアメリカも含まれていましたが国内のPetriマウントモデルの状況は改善せずついに1978年倒産してしまいます。

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品するモデルはその1976年に発売された「FT1000」用として初期の頃にセットされていた標準レンズです。標準レンズ「55mm/f1.8」として捉えると最初に登場したのはPetriマウントのモデルになります。

【モデルバリエーション】
オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。

前期型:1963年発売
光学系:4群6枚ダブルガウス型
フィルター径:⌀ 55mm
筐体色:シルバー鏡胴/ブラック鏡胴の2モデルあり
距離環:金属製ローレット (滑り止め)
マウント:Petriマウント (スピゴット式)
A/Mスイッチ:あり(Auto/M表記)

後期型:1976年発売
光学系:4群6枚ダブルガウス型
フィルター径:⌀ 52mm
筐体色:ブラック鏡胴のみ (指標値環:シルバー/ブラックの2種あり)
距離環:ラバー製ローレット (滑り止め)
マウント:M42マウント (スクリュー式)
A/Mスイッチ:あり(A/M表記)

実際にはPetriマウントのモデルにも複数のモデルバリエーションが存在するのでマウント規格を変更したタイミングで前後に区分けしました。それはPetriマウントのフランジバックが43.5mmに対しM42マウントは45.46mmなので必然的に光学設計を大幅に再設計してきていると判断したからです。

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上の写真はFlickriverで、このモデルの実写を検索した中から特徴的なものをピックアップしてみました。
上段左端から「シャボン玉ボケ①・シャボン玉ボケ②・円形ボケ①・円形ボケ②」で、下段左端に移って「質感・ピント面・被写界深度・逆光」です。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)

光学系は典型的な4群6枚のダブルガウス型ですがピント面のエッジが中庸的に感じられるものの大変鋭く出てくるので、画全体として繊細に見える場合もあります。特に真円で大変キレイなシャボン玉ボケを表出できることからも諸収差の改善効果が相応に出ているモデルと推測できます。

開放f値「f1.8」としては被写界深度がこの当時の他社光学メーカー製オールドレンズと比較すると僅かに深めですが自然な滲み方をするので違和感なく安心して見ることができます。発色性やコントラストも誇張感が無く中立的な設定なので、特に海外輸出モデルとして考えると当時の指向国現地のオールドレンズの中にあって対極的なポジショニングになっていたと推察でき、国内のPetriマウントの苦戦状況からするとはたしてOEMによる製産に活路を見出そうとした1976年〜1977年の2年間は、どちらかと言うともはや「なりふり構わぬ状況」だったのかも知れません (1978年には倒産している為)。

その意味で最後のあがきだったペトリカメラにとっての「断末魔のM42マウントモデル」とも言えるのかも知れませんね・・ロマンが広がります。

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当初バラす前の時点では今回の個体に左写真のようなシールが貼り付けられていました。

以前問い合わせ頂いたことがありますが、このシールの「貼り付け製品 (精度) 保証」なのか否かと言う内容でした。確かにこのシールの存在に安心感を覚える方も少なからずいらっしゃるでしょう (市場に出回っているオールドレンズに貼り付けられている事が非常に多い)。

はたしてこのシールの意味とは???

戦後日本の光学機械工業は飛躍的に発展しますが、そうは言っても戦争で工業界の全ての分野に渡って疲弊してしまった国内市場がすぐに活況を帯びることにはなりません。そこで海外輸出にまずは弾みを付けることで国内市場の景況感も向上してくると考えるのは自然です。日本の光学メーカーは挙って海外製オールドレンズの模倣を始めますが戦後の輸出品の中には大手光学メーカー以外のアウトサイダー品も流れていました。結果、海外光学製品メーカーからのクレームが起き (一部訴訟あり)、その品質に於いて政府を挙げて対応したのがこのシール登場の背景です。

JCIA:日本写真機工業会
終戦当時1946年に発足した光学精機工業界写真部会 (当時17社) を前身とし1953年に政府からカメラ産業が重要輸出産業に指定されたことを受け、1954年に部会を独立させて「日本写真機工業会 (JCIA)」としました。任務は日本の世界に於けるカメラ産業の発展、及び写真文化の普及を命題としていました。2000年に団体は解散し「カメラ映像機器工業会 (CIPA)」へと引き継がれます。

JCII:日本写真機検査協会
輸出品取締法 (1948年制定) により日本工業規格 (JIS) の前身として日本輸出規格 (JES輸出39携帯写真機) の最低標準規格/梱包規格が制定され、当初輸出業者の自主検査により実施されていましたが品質向上/管理の寄与には程遠く1956年に第三者検査機関として「日本写真機検査協会 (JCII)」が発足し (当初7名)、輸出品取締法から輸出検査法に改訂された1957年を契機に一定水準を満たさなければ輸出できない検査/審査を執り行う機関へと変貌しました。

JMDC:財団法人日本機械デザインセンター
当時海外光学メーカーより意匠 (デザイン) 模倣のクレームや訴訟が多数発生したのを受け製品意匠と輸出価格の適正化 (自主輸出規制) を狙い発足したのが始まりです。輸出品に対するデザイン認定 (意匠審査/認定) 業務の他認定書の発行及び製品個体への認定シール貼付を課していましたが、実際はJMDCからの委託を受けてJCIIが輸出品全数にシール貼付を代行していたようです (製産メーカーにシールが渡り出荷時に貼付済なのを輸出認定時に抜き取り検査して全数検査としていた/輸出認可は事前申請だった為)。

これらのことからこの「PASSED」シールはある一定の品質基準に合致した製品であり、同時に海外意匠を模倣していないことを証明する「証」であったことが分かります。しかし製品の性能機能を厳密に保証する (つまり精度保証する) 目的で貼り付けしていたワケではなく、あくまでもグローバル的な視点から見た最低基準の話であり、さらにそれは輸出品全数に及ぶ個体の「全数検査」を意味するものではないことを理解しなければイケマセン。

つまりこのシールには「何の意味も無い」と考えたほうが良さそうですね(笑) 当方などはこのシールが貼り付いていたせいで経年焼けしてしまうので (シールの痕が残る) むしろ厄介だと受け取っています。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。内部構造や基本的な構成パーツの仕様/設計などは従前のPetriマウントモデルから何ら大きく変化していません。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。このモデルではヘリコイド (オス側) が独立しており別に存在します。Petriマウントモデルとはフランジバックが異なることから必然的に光学系の再設計が行われており鏡筒の設計もチェンジしています。

↑6枚の絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。経年の油染み対策としてちゃんと鏡筒内は全てが「梨地塗装」されています (微細な凹凸塗装により油成分の移動を防ぐ目的)。

↑この状態で鏡筒をひっくり返して撮影しました。制御系の構成パーツが鏡筒裏側に備わっています。

制御環
絞り羽根の開閉角度 (開口部/入射光量) を決める「なだらかなカーブ」の環 (リング/輪っか)
連係アーム
距離環を回して鏡筒が上下動する際に絞り環と連係する役目のガイド (溝)
開閉アーム
マウント面の絞り連動ピン押し込み動作に連動して絞り羽根を開閉させるアーム
カム
絞り環で設定した絞り値まで絞り羽根の角度を可変させる為の移動距離を伝達する役目

このモデルの構成パーツの中で唯一プラスティック製なのが「制御環」です。従ってバラす際や絞り羽根の開閉異常が生じている際にムリなチカラを絞り環に加えるとこのプラスティック製パーツの一部が曲がったり破断してしまいます。特に連係アーム部分のガイド (溝) が変形すると致命的で「製品寿命」に至ります (絞り羽根の開閉を正常に戻せないから)。

↑距離環やマウント部を組み付ける為の大変キレイなブライトシルバーに光り輝く梨地仕上げの基台です。

↑無限遠位置のアタリを付けた場所までヘリコイド (メス側) をネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

このヘリコイド (メス側) には3箇所の「距離環用固定ネジ穴」が用意されているのを覚えておいて下さい。

↑同じくアルミ合金材のヘリコイド (オス側) を、やはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルでは全部で17箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

さて、このヘリコイド (オスメス) なのですが、結局1959年に登場した初代のM42マウントモデル「C.C. Petri Orikkor 50mm/f2 (M42)」と何も変わっておらず、せいぜい真鍮製だったヘリコイド (オス側) が同じアルミ合金材に変わっただけです。

上の写真でグリーンのラインで2つのヘリコイド (オスメス) の厚みの違いを示していますが相変わらずヘリコイド (メス側) の肉厚が薄すぎるので距離環を強く保持したまま、或いは急に回したりすると重くなったりします。これは当時のペトリカメラ設計技師の金属材に対する知見が足りなかったのではないかと疑いたくなりますね (何故なら16年経っても同じ設計を続けているから)。おそらくヘリコイドグリースに頼ったが為にヘリコイド (メス側) の肉厚を薄く採ってきたのでしょうが、グリースの経年劣化によりヘリコイドネジ山の摩耗がより促されてしまう結果に繋がっています。当方のようなシロウト考えでもアルミ合金材のこの薄いヘリコイド (メス側) が撓るのは充分予測できます (逆に距離環が仮にオス側のヘリコイドに固定されればまだマシだった)。

つまりペトリ製オールドレンズに於いて距離環を回した時トルクムラが発生している個体は、既に内部のヘリコイド (メス側) が撓っている (極僅かに真円を維持できていない) 懸念が非常に高いと言えますし、実際当方で十数本今まで扱った中でトルクムラが生じていた固体はどうにも改善できませんでした (一度メス側が撓るとネジ山が変形したことになるので改善のしようがない)。

どうしてそのようにヘリコイド (メス側) が撓るのかと言えば、それは距離環が締め付け固定されているからでありヘリコイドグリースの経年劣化により重くなってきた時にムリなチカラで距離環を回し続けていたからに他なりません。それはヘリコイドグリースがまだ新しいうちは距離環を回したチカラがソックリそのまま伝達されてしまいますが劣化してくるとグリース自体が抵抗/負荷/摩擦となってヘリコイドに対して影響を及ぼすからです。その意味で経年に対応できる設計とは言い難いと言わざるを得ません (最低でもオス側の2/3程度の肉厚が必要)。

↑このモデルでは絞り環のクリック感を実現しているのは鋼球ボールではなく「板バネ」です。絞り環をセットします。

↑ここで絞り環をセットした状態の内部を撮影しました。ご覧のように絞り環を貫通 (グリーンの矢印) した「連係ネジ」が前述の「制御環に附随する連係ガイド ()」に刺さっています。距離環を回すことでこの「連係ネジ」がガイドのスリットを行ったり来たりとスライドしていく仕組みです。

従って必要以上に加えられたチカラを逃がす設計が成されていないので (逆に言えば逃がす/相殺する目的でプラスティック製にしているので) このモデルでのムリな操作は禁物です (プラスティック製パーツはそれほど強くない)。

↑同じく「板バネ」でクリック感を実現している自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) をセットします。

↑こちらの写真はマウント部内部の写真ですが既に連動系・連係系パーツを外して当方による「磨き研磨」を終わらせて撮影しています。当初バラした際は経年の揮発油成分が液状化して附着しており一部のパーツには赤サビが生じていました。

↑外していた連動系・連係系パーツも個別に「磨き研磨」して組み付けます。マウント面の「絞り連動ピン」が押し込まれると (ブルーの矢印①)、その押し込まれた量の分だけ「開閉アーム」を押し出して開閉アーム操作板 () を動かします。これによって絞り羽根が設定絞り値まで閉じる仕組みです。

従ってこのモデルでの絞り羽根開閉で重要な箇所は「捻りバネ (1本:グリーンの矢印)」であり、これが経年で弱ってしまったら製品寿命です。

するとこのモデル (強いて言うならペトリ製オールドレンズ) 入手時に懸念される問題点として挙げるなら・・、

距離環を回す時のトルクムラが酷くない
絞り連動ピン押し込み動作で絞り羽根がちゃんと開閉する
A/Mスイッチの設定に連動して絞り羽根が駆動している

・・この3つの項目は最低限チェックしないと改善できないトラブルを抱えていると考えられます。もちろん光学系のチェックは当たり前ですね(笑)

↑完成したマウント部を基台にセットします。

↑距離環をヘリコイド (メス側) に仮止めしてから光学系前後群を組み付けて無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

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ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑今回初めて扱いましたがヘリコイド (メス側) の肉厚が薄いのは別としても(笑)、その他の箇所の設計は非常に良く考えられており理に適った仕様です。しかし残念ながら「製産工程時のコスト削減策 (工程削減=人件費削減)」までは考え尽くされておらず、結果的に小回りが利かないが為に企業利益を圧迫し続けて倒産へと流れ込んでいったのかも知れません。返す返すもスピゴット式独自マウント (Petriマウント) に変更したのが失敗だったと言うか、リコーのように他社光学メーカーのマウント規格に相乗りすれば良かったのかも知れませんね・・ロマンは尽きません。

似たような現象は今現在某国でも起きていると考えられ、ふんだんに溢れていた低賃金の労働力が高騰し低コストで製産することが適わない中で、永年の手抜きや品質管理、模倣に対する意識の低さなどが仇となり、それは国民の民度の問題もはらみつつなかなか容易には改善の方向性を見出せない状況が続いています。そうやって対岸の火事を眺めてみると(笑)、オールドレンズはつい数十年前の日本も同様に旧東西ドイツ製オールドレンズの模倣から始まりましたが、そこには先達の諸先輩方の拘りと良心と情熱を以て確かな信頼と保証を礎に様々な確証を積み上げていった結果が今の日本の光学業界と言えるのかも知れません。本当に有難いことですね・・。

↑当初調達時は光学系内に汚れ (カビではなく) が酷く相当心配でしたがキレイサッパリ除去できたので光学系内の透明度は逆に驚異的になりました(笑) 新品同様品と言われても信じてしまうほどです・・。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑後群側も素晴らしい状態を維持しています。このモデルは後群 (特に後玉外周枠) の突き出しが約3.4mm (実測値) あるのでミラー干渉などご注意下さいませ。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(順光目視で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:7点、目立つ点キズ:4点
後群内:8点、目立つ点キズ:5点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:なし
・バルサム切れ:無し (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
光学系内の透明度が非常に高い個体です
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) の設定如何に限らず絞り羽根の開閉は正しく行われており簡易検査具でも適正な結果です (最小絞り値の時開口部のカタチが僅かに歪)。

ここからは鏡胴の写真になりますが経年の使用感をほとんど感じさせない大変キレイな状態を維持した個体です。当方による「磨きいれ」を筐体外装に施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度」を塗布し距離環や絞り環の操作性はとてもシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人によって「軽め」に感じ「全域に渡って完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります (僅かなゴリゴリ感)。
・絞り環操作は確実で軽い操作性で回せます。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。

【外観の状態】(整備前後拘わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。

↑絞り環やA/Mスイッチも「鋼球ボール+スプリング」によるクリック感ではなく「板バネ」なので、スプリングの経年劣化による鋼球ボールの遊びも無く (経年に於いて板バネは溝に入ったままなので製産時の反発力を維持しているから) Nikon製オールドレンズで実証されているが如く適確で確実な小気味良いクリック感を実現してくれますし、A/Mスイッチなどは「シャコッシャコッ」と切り替わるのでついつい遊びたくなります(笑)

もちろん今回の個体は距離環を回すトルク感が素晴らしくまさに塗布した黄褐色系グリースの性質の良さがそのまま現れています (シットリ感漂う操作性)。

市場では底値で這いずり回っている不人気商品ですが(笑)、こんなモデルでも過去メンテナンス時には白色系グリースが塗られてしまい既に「濃いグレー状」にアルミ合金材が摩耗していましたから仕上がりが心配でしたが会心の作となりました。ペトリ製オールドレンズの誇張感のない、それでいてインパクトのある写真に惚れ込んだ方は是非ともご検討下さいませ。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

↑一生懸命「磨きいれ」したので光沢ブラツクは限りなく眩い光彩を放っていますし梨地仕上げはマットな仕上がりがとっても美しいです。光沢シルバーな梨地仕上げの指標値環もアクセントとして充分惹き立っています (本当に美しい)。

↑当レンズによる最短撮影距離60cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮りました。

↑f値は「f5.6」に変わっています。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」になりました。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。