◎ Canon (キャノン) CANON LENS 25mm/f3.5(L39)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、国産は
Canon製超広角レンズ・・・・、
CANON LENS 25mm/f3.5 (L39)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

この数日メチャクチャ体調が悪く、ほとんど1日中寝込んでいる状態でしたが、そうは言っても稼がない限り生活も儘なりません(汗) ほとんど仕方なく起きてきて作業に取り掛かった次第ですが、今回扱ったオールドレンズを完全解体したのが5日前の話で(笑)、バラしてからどう
にもこうにも起きていられず、そのまま散らかしたまま寝てしまいました(笑) 4日経ってから起きてきてようやく組立作業に入った次第ですが、当然ながら5日前の状況などスッカリ記憶の彼方です (ッて言うか、DOHすらやっていなかったのが判明)(笑)・・そう言えば、確かにこの後の作業の続きをDOHまで含めちゃんとバッチリ完了していて、写真撮影も終わり、後は組み立てていくだけと安心しまくりでした(笑)

しかし、それが全て夢の中の世界だった事が判明した次第です・・(笑) 変な特技を持っていると、こういう時「現実なのか何なのか???」分からないまま過ぎてしまい、まるで昔見た
映画の「インセプション」そのままな感じです(笑) 「あぁ~レオ様ぁ~!」とレオナルド・ウィルヘルム・ディカプリオが大好きだったりしますが(笑)、あのちょっと神経質そうな顔つきの中に大胆不敵な要素が隠れているところに、惹かれるところがあったりします(笑)

そう言えば、確かに夢の中の作業で、あのインセプションのワンシーンのような無味乾燥な
部屋の中で一人作業していたのを思い出し、やっぱり犯人はインセプションだったのかと今、納得です(笑)

冒頭からイキナシ関係ない話で恐縮ですが(汗)、そもそも当方ではCanon製オールドレンズとNikon製オールドレンズを扱う事が滅法ありません(笑)・・相性が悪いと言えば確かに悪い気もしますが、そもそもCanonは「ヒガサカメラサービス」さんや、Nikonも「フォト工房キィートス」さんなど、幾つも存在するので、当方が出張る意味がありません(笑) それら認定修理専門会社様にオアズケ頂くのが筋というか安心そのモノなのだと思ったりもします(笑)

ところが世の中ありがたい方々が居られて、当方のDOHをこよなくお求めになられます(涙)
・・本当にありがたい限りです(涙) 今回扱った個体もそのような経緯から降臨した当方にとり数少ない (Canon) 非常に希少なオールドレンズの一つです (お客様は神様です)(涙)

・・ありがとう御座います!(涙)

今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた12年前からの累計で、初めての扱いです。

このモデルが登場した背景や当時の話は、鬼のようにCanonファンの方々がたくさん居るので(笑)、そちらに譲りたいと思います (基本当方はCanonNikonを扱わないので/相性が悪い)。

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↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
左側2枚はこのモデルの実写の中で、どう言うワケか数が滅法少ない「円形ボケを残した写真」からピックアップしています・・が然し、こんな円形ボケしか手に入りません(汗)

そもそもこのモデル自体が1956年の登場なので「円形ボケに対する捉え方が今現在とは
大きく乖離していた時代
」とも受け取れます。

最近ネット上の解説などを観ていても、こういう年代に於ける「概念」が異なる点まで、ちゃんと解説してくれているサイトがちょっと少なすぎではないかと思ったりもします(汗)

当時はまだまだフィルムカメラ全盛時代真っ只中ですから、今ドキのデジタル一眼カメラ/ミラーレス一眼カメラなどでサクッと円形ボケを楽しむ趣向など、ほぼ皆無だった時代にもみえます・・昔 (戦前のこと) も当時も円形ボケは「収差の範疇に取り込まれたままの時代」だったのではないかと訝しく思います。

と言うにはちゃんと根拠が在って、後で写真を載せますが「絞り羽根を6枚も実装しているのにどうして角張った円形ボケへと誘うのか???」と言う問題です。このモデルは非常にちっちゃな光学系ながら「6枚も!」絞り羽根を組み込んでいます。

ならばそれだけの数を実装している分、ちゃんとキレイな円形ボケを放つような「絞り羽根のカタチ・・・」に設計すれば良いものを、よりによって「角張ったカタチ・・・にしかならない絞り羽根のカタチ」で設計しているからこうなります(泣)

すると当時のCanonが悪いのではなくて(笑)、そもそも「円形ボケの定義」が現在の捉え方と異なっていた点まで考察を進めなければイケナイと思うのです。特に円形ボケが持て囃されるようになったのは近年の話で、少なくとも世界中に広まった「bokeh (ボケ)」の英製和語 (当方が勝手に呼んでいる造語) が登場したのも1997年の話ですから「全てが収差の範疇に取り込まれてがんじがらめにされていた時代」であり、合わせて「円形ボケも悪だった時代」との認識が必要です。

逆に言うなら、フィルムカメラ全盛時代に「円形ボケ」を好んで撮っていた写真家は相当少ないのではないかと思いますし、そもそも円形ボケを拡大撮影するにはエクステンションの使用が前提だったハズなので(泣)、今ドキのデジタル一眼カメラ/ミラーレス一眼カメラでサクッと拡大撮影できる (しかもライブビューでボケ具合まで確認しながら無意識レベルで撮影できる) 容易さとは雲泥の差です(笑)

その「撮りたい!」ワンシ~ンの時に、間に挟むエクステンションの厚みを何センチにするのか考えていたら撮影チャンスを逃しかねません(泣)・・そこまで思い馳せるなら、事前に「円形ボケを撮る!」と鼻息荒いままに臨んでいない限り、なかなか気に入った大きで美しい円形ボケのシ~ンを残せなかったりするのがフィルムカメラ時代ではないかとも思います (しかもその成果の確認は現像してからの話だし)(笑)

ちなみにこの「bokeh (ボケ)」が世界に広まった一番最初のキッカケ造りは、写真家のMike Johnston氏による写真雑誌の記事にみることができます。彼が世界で初めて「bokeの語尾にhを付随させた張本人」であり、そもそも「h」を付け足した理由が「できるだけ日本語の発音に近づけたかったから」と本人が述べており、もっと言うなら「日本と日本の文化、そして日本人に対する
リスペクト
」すら述べているワケで、本当にありがたい人だと感謝の気持で
いっぱいです(涙)

なお多くの英語圏外国人が「boke」を発音すると、まるで「ボーク」のように聞こえてしまう点に於いて、意識的な注意を払うべきとMike Johnston氏自身が述べています。

話が長くなりましたが、このように「円形ボケ収差でしかない!」との方程式がまだ罷り通っていた時代の産物たる今回のモデルだからこそ、絞り羽根が閉じていく時に「入射光の料理を最優先したからこそ、角張った開口部の面積/カタチ/入射光量に至った」との結論に到達し
ます。

すると円形ボケは2枚目の実写を観ても明らかにザワザワしていて角張っています。右側2枚の写真は単に葉っぱの色合いたるグリーンの表現性に於いて、その発色性を確認しているにすぎません。

二段目
この段の実写こそがこのモデルの光学系の性格を如実に表しているかのように当方には受け取れてしまいます(涙) 左側2枚の写真を観ると、光源や明るさのピーク部分に纏わりつく「極微細な滲み」にプラスして「さらに優しく包んでいる様」を感じられ、なかなか素晴らしい表現性だと感銘を受けてしまいます(涙)

次に右側2枚の実写に移ると、今度は意識的に敢えてホワイトを被写体として選んでいシ~ンをピックアップしていますが、そこに「滲みと優しさ」が同居するのかと言えば、決して滲みに堕ちておらず、むしろ鋭いピント面に近づいているようにも見えてしまいます。しかもノッペリしたつまらない写真に堕ちず「ちゃんとグラデーションの階調を表現できている」状況に於いて、いやぁ~凄いなぁ~と感じ言っている次第です。

三段目
左側2枚のピックアップでは被写体の素材感や材質感を写し込む質感表現能力の高さをチェックしています。一方右側2枚は人物撮影と動物毛の表現性に於いて、なかなか侮れない残し方をするとやはり関心です(笑)

四段目
左側2枚の実写で歪の度合いを確認しています。「」と一言で言っても、決してその正確性を担保すべくキッチリ検証している話ではなく「あくまでもサクッと観た時に違和感なく自然なス~ッと入ってくる写り方」としての歪の無さであり、それは人の五感感覚にも似たような捉え方とも言えますから、写真の隅々まで拡大して検証するかのような無碍な事はしません(笑)

一方右側2枚の実写はパースペクティブを確認しています。焦点距離:25nnの画角として観るなら当然ながら上方向に向かって尖ったカタチで写るのは仕方ない話です。

五段目
この段では左側2枚で陰影の確認をしています。いったいどのくらいの濃淡でストンと黒つぶれに堕ちてしまうのかをチェックしていると言い換えれば良いでしょうか??? 当然ながらカラー成分を254階調のグレースケール世界に割り振る時、その割り振りの協会は決して決まっていないので、この写真を観る限りこのモデルの光学系はなかなかよく頑張って暗部の耐性が強い設計ではないかと見て取れます。右側2枚は純粋に気に入った写真として載せているだけですが、右端のように写真周辺域の四隅に「周辺減光」が残るのがちょっと不思議です (他の実写には周辺減光が少ないから)。

このモデルの光学系を考察する際、必ず避けて通れないのが右構成図で、独特な4群4枚のトポゴン型光学系です。この光学系を設計した設計者はドイツ人光学設計技師のRobert Richter (ロバート・リヒター/ドイツ語発音) で、1933年に特許出願申請し1936年に認可されている「DE636167C」で確認できます (右構成図はこの特許出願申請時の記載内容から当方がトレースした構成図です)。

この時の特許出願申請書を読むと何処にも開発者本人の名前「Robert Richter」名が現れず、さらに出願者はZeiss Ikon AGになっており、何とも不遇な話です(泣) アナスティグマート
あるこの光学設計は中間に絞りユニットを配置して真ン丸な対称型とする事で、理論上100度の画角と開放f値「f6.3」を実現させ、屈折率を高めたクラウンガラスを配置する事で、同時に色収差と球面収差にコマ収差、像面歪曲、非点収差の全てを低減できている、対角線画角が82度と言う超広角レンズを実現し、当時は航空写真用レンズとして重宝したようです。

Robert Richterは1886年にドイツはベルリン創業の光学機器メーカー「C. P. Görz (ゲルツ)」に1923年転職した後、ゲルツ合併に伴いZeiss Ikonにそのまま在籍していたようです (最後はZeiss Ikonの吸収先たるCarl Zeissに在籍したまま1956年にアーレンで死去)。

この時の開放f値「f6.3」を今現在の感覚のまま「暗い」と表現する人が絶えませんが(泣)、当時は二桁台の開放f値が当たり前だった時代なので、むしろ高速な部類に入っていると受け取っています (当時f6~f8は十分高速な部類に受け取られていた)。

もっと言うなら、今後近い将来50年後に「光学硝子材を一切含まない平面レンズ」が当たり前の時代に突入し、光を波長だけで捉えられるようになってしまえば「開放f値f1.2すら暗いと言われてしまう」時代が到来するかも知れません(怖) その時、もしもスマホが生き残っていれば(笑)、その裏面は丸い形をした光学ガラスレンズが組み込まれておらず「単なる裏板だけ」なのに、あらゆる画角で瞬時に総ての被写体に対しピント合焦した写真や動画を残せている
時代になっているかも知れません (静止画/動画の別なく、後から使用者がアプリでピント位置とボケ味に明暗を決めていく使い方)(笑)・・そもそも今でこそLED光の照明器具が当たり前ですが、鯨油の街灯が当たり前だった時代に電球が開発された当時からすれば、想像すらできなかったハズです (石油もその頃発見された)(笑)

・・つまり写真そのモノが「現場の記録」なのか否か、その是非を問う時代に入る事の現れ。

するとその時、現場を100%イジる事なく「真正の証」たるデジタルな記録をデータに強制的に含むことで、ようやく「現場」の証拠として使える話になる時代を意味します (或る意味
まさに今騒いでいるAI技術の最たる話/何が本当なのか???
)(怖)

右構成図は今回扱ったモデルについてCanonのホームページで公開
されている構成図を、そのまま当方がトレースした構成図です。
(おそらく特許出願申請書時の概念図と受け取っている)

既に当時からしてアナスティグマートだった前述の4群4枚のトポゴン型光学系により磨きをかけて、プラスして第5群に「無限遠曲り率の特殊ガラスレンズ」を配置したことで、本来のトポゴン型の欠点から乖離させています (像面歪曲のさらなる低減)(驚)

これはCanonが自ら明示しているとおり「無限遠曲り率」の「特殊
ガラス
」を使っているので「単なる平面ガラス」とネット上サイトなどで解説してしまうのは少々危険です・・特定の波長に対して特に制御させるよう光学硝子材を精製しているらしい
ので (なので特殊ガラスとの表現に至る)、意識的な注意が必要です (真っ平らなのは計測済)。

さらに右構成図こそが、今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。

特に第5群の特殊ガラスの厚みが、ネット上に数多く掲載されている光学系構成図と比較すると明らかに薄い印象です (一部のサイトだけがちゃんと当時のCanonが発表していた構成図を解説していて、まさに正しい構成図でした/こちらのサイトの構成図が最も現物の計測値に対する比率で適正値を執っており、さすがです)(驚)

曲り率ならともかく、さすがに「厚み」だけは、いくらデジタルノギスを使う手による計測としても、数回計測した中からの平均値をとった時、いくら何でも「厚みが違うモノのは違う」と明言しても良いのではないでしょうか???・・と思います(笑) せいぜい計測時に誤差が含まれるとしても、それは平面な特殊ガラスにキズを付けないために覆っている「光学硝子レンズ専用ワイパー (クロス)」の厚み分だけなので、たかが知れています (ネット上に掲載されて
いる構成図の厚さには到底及ばない
)。それを以てして「公然と平気で嘘を拡散している」との誹謗中傷は真に心外です。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。完全解体してみると、内部構造は至って簡素で理にかなった設計で造られているのが分かりますが、その反面、特に光学系の格納に対する神経質さや絞りユニットの設計、或いはヘリコイド群の微調整が厄介な点には少々難儀します(泣)

当初バラす前の実写確認時よりも「結果的に極僅かに無限遠位置をピタリと詰められた」ものの、ヘリコイドのトルク制御の難しさにはさすがに対応に限界を感じました・・その根底に在ったのは「空転ヘリコイド方式を採り入れていない考え方」であり、ここにCanon内での整備に特化した設計前提が隠されているように結論づけます (つまりヘリコイドグリースの質を選ぶ造りとの当方判定です)。

・・従ってオーバーホールは完璧に仕上がっていますが或る意味当方の限界を感じた次第(泣)

こういう要素が当方との相性面で相容れないので、残念ながらやはりCanon製オールドレンズはあまり好きになれません(泣)

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する、黄銅材で造られている鏡筒です。当初バラした直後に溶剤で洗浄しただけの時は「上の写真で最も濃い茶色の部分と同じ色合い」に経年劣化進行に伴い酸化/腐食/サビが進んでいる状況でしたが、当方の手による「磨き研磨」により本来必要とする平滑性に戻っています (最低1㎜幅から磨き研磨を処置している)。

↑どうしてその「必要とする平滑性」が存在するのか、或いは重要なのかについて解説していきます。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている

先ずは、一番最初に気づくべき話ですが、このモデルに実装している「絞り羽根のカタチ」を見れば分かるとおり、とても小さな光学系内 (第5群を除く最大径12.57㎜) のサイズを
考えても、せっかく6枚という多さの枚数で絞り羽根を用意していながら「ほとんど塞ぐ方向でしか配慮していない形状」で設計されている時点で「入射光の透過量を減ずる方向性」でしか考えられていない事が分かります。

つまりそこに「絞り羽根が閉じていく際に角張ったカタチで閉じるのは意識的に設計している証」なのを感じずにはいられません・・端から「キレイな円形ボケを狙う」気持ちなど設計陣には微塵も無かった事が分かります。

逆に言うなら、それほどこの光学系の基本成分たる「4群4枚のトポゴン型構成」が非常に
限られた厳しい環境下でしか入射光を料理できないことの表れではないかとみています(泣)

その意味で、或る意味この当時のCanonの英断はこの焦点距離25㎜に於ける開放f値「f3.5」と言う、当時最速の明るさでありながらも、決して妥協を許さず徹底的に「できる
限り
」を追求した頑なな性能重視思想が見え隠れてしているようにも受け取れます・・当時のCanonの意地を賭けた製品の一つだったようにも受け取れそうです(驚)

・・そんな事柄をこの絞り羽根のカタチから考察した次第です(笑)

前置きが長くなりましたが、上の写真の解説に移ると「開閉環位置決め環」の立場と役目はともかく、開閉環と絞り環との連携を実現させる「開口部/切り欠き/スリット」をブルー色の矢印で指し示している、外周凡そ1/4を占める開口部として空いているのがポイントです。

その一方で、実はここがこの絞りユニットを非常に神経質な存在にしてしまっている設計なのですが、グリーン色の矢印で指し示している箇所に備わる「突起」が、その開口部の直近に「2箇所だけ備わる点」が問題なのです。

逆に言うなら、円周方向にチカラが及ぶ時、3点支持の均等配置でそのチカラを及ぼす設計に考慮せず「1/4を占める開口部の両側だけにチカラを及ばせた設計」なのが、生産後のサービスレベルで「Canon内での整備しか想定していない証拠」だからです。

・・こういう考え方が当方には相容れません!

円周方向にチカラを均等に及ぼすつもりなら3箇所でイモネジ締め付けなりすれば良いものを (他の一般的な光学メーカーでとても多い設計手法) 敢えて1/4の領域を占める開口部の直前両側に締め付けるチカラを及ぼす突起を備えたのは「開閉環の平滑性を担保しない限り絞り羽根開閉制御の応力配分を確保できない設計」と結論づけしかできず、あまりにも手前味噌な概念です。

・・それを示す証拠を次に写真掲載します。

↑上の写真は鏡筒最深部にセットされる「位置決め環」の拡大撮影ですが、その側壁下部に「3箇所のイモネジ締め付け痕」が残っているのを赤色矢印で指し示しています。この3点のイモネジ締め付け痕の中で「生産時点の正しい締め付け箇所は1箇所だけ」ですが、既にこれを見ただけで「過去メンテナンス時にミスッて締め付け固定していた事実」が判明してしまいます。

これが意味するのは「絞り羽根の開閉角度が生産時点と違っていた時期がある」事を表しています・・その結果が、まさに絞り羽根の表裏面をシッカリ観察すると判明しますが「必要以上に閉じすぎていた擦れ痕が残っている」点です。

↑同じ「位置決め環」の拡大撮影ですが、今度は反対側を撮っています。するとご覧のように「明確に1箇所だけ生産時点に用意されている確定孔 (下穴)」が用意されているのが分かります (一番左端の大きな下穴)。この切削されて用意してある大きな下穴の底部分をよ~く観察すると「ズレた位置でイモネジを締め付けた痕跡が一切残っていない」からこそ「生産時点」と断定できます。

その一方で右側に微かに残っている微細な点状のイモネジ締め付け痕が2つ視認でき、さらに最も右端の締め付け痕は「だいぶ上の位置にズレている」且つ「締め付けた時のチカラが相当弱かった」のが判明します。

このようにオールドレンズを完全解体した時に「観察と考察」をシッカリ進める事で、過去メンテナンス時にいったいどのように処置が講じられたのかが判明し、どうしてそうなったのかまで見えてきます。

つまりこの「位置決め環」の固定位置を確定するのは「上の写真左端の大きな下穴」であるものの、反対側にもう1箇所しかイモネジの締め付け箇所が存在しない時点で「絞り羽根の開閉角度微調整ができない設計」なのが確定します・・合わせてこの「位置決め環の締め付け固定も2箇所だけなのが確定」です(泣)

ところがこのような「円形のカタチをした黄銅材パーツを2方向からしかイモネジで締め付け固定せず、且つ開口部の両側に突起を備える」となれば、その適切な正しい締め付け固定が相当難しい話なのに整備者が気づく必要があります。

おそらく過去メンテナンス時の整備者は2回に渡りこの「位置決め環の締付固定」作業をミスったのだと考えますが、そもそもそのような因果を生んでしまったのは「Canon設計陣の設計の拙さ」であり、配慮の無さ (Canon内部での整備しか想定していない) と言う前提の現れだからです。

↑実際に「位置決め環」に6枚の絞り羽根を組み込んでから「開閉環」を被せると上の写真のようになりますが、この時「グリーン色の矢印で指し示している2箇所だけが開閉環を押し込んでいるチカラが及んでいる場所」なのです(泣)

しかもオレンジ色の矢印で指し示しているとおり「開閉環と絞り環が連結する場所 (アームが刺さる場所)」が存在するので、この絞りユニットの内部で起きる「チカラの状況」は「円周方向に対して1/4の領域だけに限定して極度にチカラが及ぶ」設計を採っているのです。

逆に言うなら「開閉環の平滑性を担保できていない限り絞り羽根の開閉に影響が現れる」のを平気で (分かっていながら) 設計してしまっているからこそ「配慮がなさすぎる!」と明言しているのです。

結局、過去メンテナンス時の整備者のうち2回分の処置に於いて「開閉環の平滑性を担保できていなかった (つまり磨き研磨していなかった)」からこそ、イモネジでの締め付け箇所を敢えて、故意にズラしてでも変更せざるを得なかったのです(泣)

もっと言うならグリーン色の矢印で指し示している箇所に「開閉環の浮き上がりを阻止する突起を用意しなければ良かった」ワケで、その設計の目的、或いはこの突起の意味合いをちゃんと理解して整備する環境を「強いている時点でCanonが好きになれない!」次第です。

・・こういう要素に当方は相容れられません!

こういう「変わった設計の絞りユニット」は今回初めて目にしたワケですが (こういう1箇所に極度にチカラが集中する絞りユニットの設計は大変少ない)、その設計陣の考え方が分かってしまったが為に、相当嫌気が差してしまいました(涙)

まだ前出の「大きな下穴」が備わっていなければ助かったものの、ワザワザ敢えて「ここが位置決め環の固定位置」と明確にしていながら、開口部の両サイドで開閉環の浮き上がりを阻止する考え方は、あまりにも乱暴すぎます!(怒)

そんなの誰が気がつくのか??? 誰が分かると言うのか???・・と鼻息荒くなります!(怒)

従って自前の整備部署でしかメンテナンスを考えていなかった設計なのが明確になってしまいホトホト嫌気が差しましたね。Nikonや当時のMINOLTAなどはこんな仕打ちをしないのに (ちゃんと整備レベルのスタンダート化まで配慮している)、Canonは平気でこう言うことをします(泣)

ちゃんと配慮して設計するなら、せめてもう1箇所開閉環の浮き上がりを阻止するべく突起を用意して「ちゃんと3方向から均等にチカラを回収する」よう設計してくれれば、何の問題にもならなかったハズです・・その結果が絞り羽根が必要以上に閉じていた「擦れ痕」として残っていた次第です (過去メンテナンス時の整備者を責めるにはあまりにも厳しすぎる話/むしろCanonの配慮の無さを責めるべき)(泣)

・・2箇所にしか備わらないグリーン色の矢印で指し示している突起がとても恨めしいです!

なお、そのような酷い設計をしていながら、実はこの絞りユニット全体の固定はまだ完璧ではなく、最終的に「光学系前群格納筒による抑え込み」で、ようやく固定される設計という、真に中途半端な概念です(泣)

ちなみに上の写真のように6枚の絞り羽根が閉じている状況こそが「開放f値f3.5の状態」です (絞りユニット内部で完全開放していない)。

↑絞り羽根が最後まで閉じきるとここまで閉じますが、当初バラしている最中の (過去メンテナンス時の) 固定位置では、絞り羽根がさらに閉じている状況だったので「最後はほぼ四角いカタチにまで閉じきっていた」次第です・・それで「???」となり「観察と考察」から前出のグリーン色の矢印で指し示した、2箇所しか用意されていない「開閉環浮き上がりを阻止する突起」に気づいたのです (つまり酷い設計だと理解できた)(泣)

↑完成した鏡筒を建てて撮影しています。オレンジ色の矢印で指し示している箇所に絞り環と開閉環が連結する開口部/切り欠き/スリットが見えています (写真上方向が前玉側方向)。

実は解説しませんでしたが、さらにこの「位置決め環」には「台座が存在する (と言っても単なる環/リング/輪っか)」ので、鏡筒内部の台座分だけ高い位置に締め付け固定される設計です。

上方向からは「光学系前群格納筒の底面で抑え込み」しつつ、下方向からは「台座の環/リング/輪っかによって上方向に持ち上げて」プラスして最後は「2箇所だけで開閉環の浮き上がりを阻止」と言う、非常に神経質な組立工程を強いられる設計を採っています(怒)

・・こういうの、マジッで気に入りませんね!(怒)

そりゃあ~、Canon専門の認定整備会社なら当時のサービスマニュアルも存在するでしょうから、このモデルの組立工程時に「いったい何に気をつけるべきか?」がちゃんと示されているでしょうが、普通の一般的な整備会社や整備者には、なかなかそのような内容まで周知できません(泣)

・・だから配慮がなさすぎる酷い設計だと言っている!(怒)

こういう配慮がない手前味噌な設計は、他にも例えばコシナなんかが同じですが、自分達さえ理解できていればそれだけで十分と言う考え方の設計は、どうにもこうにもニッポン人的な「心配りの痕跡」を微塵も見い出せませんね(泣) 逆に言うなら当時のNikonMINOLTA、或いは特異な内部構造のOLYMPUSでさえ、配慮を見出だせる内部設計を採っていたのが歴然なので、こういう部分に「企業姿勢」が垣間見え、納得できません!

だからこそ、余計な要素にまで企業利益を注ぎ込まずにいたからこそ威勢を持続できたのだとすれば、はたして「造る側の覇気とはいったい何ぞや?!」と罵りたくなってしまいます。このモデルに設計者としての意地も何も感じません・・(泣)

↑この鏡筒の周囲に真鍮製/ブラス製のフィルター枠と絞り環がセットされますが、過去メンテナンス時の整備者はこれら2つの環/リング/輪っかにグチャグチャにグリースを塗りまくっていましたが(笑)、今回のオーバーホール工程ではグリースを塗りません。

唯一グリース塗るとしても、それは「鋼球ボールがハマってカチカチとクリック感を実現している箇所」だけの話です・・何故なら、平滑性を求められている面取とともにメッキ加工が施されてるので、下手にグリースを塗布して経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビを促すのは好ましくありません(泣)

↑黄銅材で切削されている光学系前群格納筒を撮影していますが、その内側のグリーン色の矢印で指し示している箇所は「平滑性の担保」が必須です・・何故なら、光学系第1群がこの内部に「落とし込み」だけで格納されるからです (バラした当初は上の写真にも写っている、一番濃い焦げ茶色と同じ色合いに経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビが進んでいた)。

黄銅材に一体成型でモールドされている第2群は、この第1群の下側にネジ込みでセットされるので、結果的に「光学系第1群~第2群が落とし込みで格納 (だから第1群の外周も平滑性を取り戻す必要がある)」と言う話に至り、当然ながら正しく適切な光路長確保を保証するなら「格納筒の内壁の平滑性担保が必須」なのは歴然です(笑)

↑一つ前の工程で光学系前群格納筒はピッカピカに平滑性を取り戻すべく磨き上げていましたが(笑)、鏡筒内部に組み込んでしまえばご覧のとおり「何処にもピッカピカに光り輝いている要素は視認できない」次第です(笑)・・よく内部パーツなのにピッカピカに磨いても意味がないと批判されますが「キレイに光り輝かせるのが目的ではない」ので、全く以てお門違いな批判です(笑)

・・正しい適切な光路長確保しても鏡筒内部は光り輝いていなのが歴然。

↑同様後群側の格納つつも磨き研磨してから光学硝子レンズを清掃し組み込みます。

↑フィルター枠 (レンズ銘板) と絞り環をセットしたところです。

↑この状態でひっくり返して裏側を撮影しました。光学系後群は第3群~第5群までの光学硝子レンズがちゃんと視認できていますね (グリーン色の矢印)(笑) 第5群の無限遠曲り率の特殊平面ガラスを締め付け固定している締付環は、当初バラす前の時点ではカッパー色でしたが「反射防止黒色塗料」で着色しています。

鏡筒内部の「開閉環」との連結が「連携アーム」として左側に写っています (赤色矢印)。一方その反対側にはカチカチと絞り環操作時のクリック感を実現すべく「板バネによる鋼球ボールの固定」が備わるのが分かります (赤色矢印)。

すると前述した「チカラの影響」を考えた時、これだけ本格的な「連携アーム」で絞り環と接続し、且つプラスして反対側から絞り環操作時のクリック感を「板バネで押し込まれて」それでいて「絞りユニット内部の絞り羽根は開閉環からの偏った2箇所からのチカラで抑え込まれれる」と言う、真に不遇な環境下で絞り羽根開閉動作を強いられる整備を強要されるのが納得できないのです!(怒)

↑とにかく鏡筒周りの整備が非常に神経質だったので、相当時間を要しましたが、鏡胴「前部」はこれで完成したので、ここからは鏡胴「後部」の組立工程に移ります・・と言っても、鏡胴「後部」は純粋にヘリコイド群だけの構造です(笑)

すると冒頭解説のとおり、ご覧のように「このモデルには空転ヘリコイドが介在しない」設計を採っており、筐体の厚みが薄いにもかかわらず「空転ヘリコイドが存在しない」理由が「???」です。

逆に言えば、たったこれだけの話で「Canon内製の専用グリースしか一切想定していない設計」なのが歴然で、何とも手前勝手すぎてホトホト嫌気ばかりです(泣)

↑それでいてグリーン色の矢印で指し示している箇所の「平滑性の担保」だけは強要するので、いったいどう言う概念での設計なのか「???」極まりない話です(泣)

ヘリコイドメス側
ヘリコイドオス側
距離計連動ヘリコイド

鏡胴「後部」のヘリコイド群も相当神経質でトルク管理面での微調整が本当に厄介で時間を要します(泣) この後は完成している鏡胴「前部」をセットして無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成ですが、鏡胴「前部」がセットされる位置は決まっているので変更できません (つまり絞り環とは互いの基準▼マーカー位置が同じ箇所に来ない)。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホール/修理が終わっています。特異な5群5枚の拡張トポゴン型光学系構成を実装したモデルですが、その吐き出す写りはともかく内部構造にはホトホト嫌気が差したので「おそらく今回の扱いが最初で最後」とみています(泣)・・やはりCanonとは相性良くないです(笑)

だいたい昔小売業界に居た時にCanonにはだいぶ虐められていたので、そもそも企業に対する印象からして好きではありません (十数年の期間で何度も担当営業所が変遷しながら何処も皆同じようにまるでヤ◯◯集団)(笑) その点、Nikonは本当に紳士でしたね(笑) それが影響してか否か知りませんが、企業の威勢は今でこそ逆転状態でしょうか (悲しい現実です)(涙)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。上の写真の開口状態が「開放f値f3.5」なので、ご覧のように絞り羽根が閉じている/顔出ししている状態なのが「」です。

そしてご覧のとおり「光学系前群格納筒をピッカピカに磨いて平滑性を担保」しても、光学系内は真っ黒な状態に至っています(笑)

↑光学系後群側もスカッとクリアです。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。当初バラす前の閉じすぎていた状況からは適正な状態に開閉位置を微調整済です。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」を塗っていますが、過去メンテナンス時の「白色系グリース」の時のトルクに比べると、今回のオーバーホールでは敢えて/故意にトルクを与えて仕上げています。特にこのモデルのピントのピーク/山がまだかまだかと不明瞭なので、それもあって意識的にトルクを与えています。

↑従って無限遠位置でのツマミ収納時は少々シッカリした印象でしょうか。何しろ焦点距離:25㎜で見えないので(汗)、ライブビューでの無限遠位置はピーキングで「真っ赤っ赤」状態なのをチェック済です・・当初よりほんの僅かですがピーキング反応領域が増大しています。

距離計連動ヘリコイド」の設定は、当初バラす前の位置のまま組み上げているので当時のライカカメラやレンジファインダーカメラなどを使って確認できていません (当方にはライカカメラが無いので確認環境がありません/当時のレンジファインダーカメラなどを使っても視認できないので確認できません)。あくまでも今ドキのデジタル一眼カメラ/ミラーレス一眼カメラ向けにマウントアダプタ経由装着してご使用頂くことを前提としています (距離計連動ヘリコイドに纏わる無限遠位置の問題などクレームとして対応できません)。

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離1m付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮りました。

↑f値は「f8」に上がっています。

↑f値「f11」での撮影です。元々光学系の大きさがちっちゃいですが、絞り羽根ももうだいぶ閉じきっているので、そろそろ「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

↑f値「f16」での撮影です。ピント面の解像度低下と共に「焦点移動」も起きており、背景のお城の模型のほうに鋭いピント面が移り始めています。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。