検証:白色系グリースはヘリコイドのネジ山を摩耗しているか
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冒頭からイキナシ愚痴なのですが(笑)、先日お問い合わせ頂きいろいろとメールでやり取りした結果、すっかりブル〜になってしまい、何だかんだ言っても、当方にはやはり「信用」が無いんだなぁ〜とつくづく感じ入った次第です。この際これを現実と受けとめ、心にクサビ打ち真摯な気持ちで「いつの日にかプロを目指して」とこれからも精進に励みたいと思います。
このような決意に至る機会を与えて頂いた方にこの場を借りてお礼申し上げます。大変参考になりました・・。
その内容は・・「白色系グリースはヘリコイドのネジ山を摩耗させると言うが、それはグリース成分の中に金属質成分が含まれていて摩擦により濃いグレー状になっているだけではないか?」と言うお問い合わせでした・・つまりヘリコイドのネジ山は決して摩耗していないと言うご指摘です。
正直、当方は業界の人間ではないのでグリースに詳しいワケではありませんが(笑)、グリース成分の増ちょう剤に関するお話なのではないかと思います。残念ながらネットで勉強しても (今頃勉強してる?) 確たる知識には至らないので (元々そんなに賢くないので)、試しに次のような実験をやってみました (昭和生まれの年寄りは何ごとも自分で試す)。
↑上の写真は、当方がオーバーホール/修理などで改修などの必要に応じて使っているアルミ板です。その上に当方が整備時に使っている白色系グリース (左) と黄褐色系グリース (右) を置きました。
↑この状態で新しい綿棒を使って各グリースを50回ほどグリグリと混ぜたのが上の写真です。写真が下手クソなので(笑)、ちょっと分かり辛いのですが、左側の白色系グリースのほうは僅かにグレーっぽく色が変わってきています。一方右側の黄褐色系グリースは変色が全くありません。
もっとも、白色系グリース (左) は綿棒をご覧頂ければ、グリグリ前は真っ白だった綿棒が黒っぽくなっているのが分かります (黄褐色系グリース側は白いまま)。
この白色系グリースに於いて「グレー状」に色が変わる (元々は白色) ことを指して、当方は「ヘリコイドのネジ山が摩耗している」と言っている次第ですが、それはグリースに含まれている増ちょう剤たる金属質成分が擦れて変色しているだけだと言うのが冒頭のご指摘でした。
↑だとすると、実験に使ったアルミ板は両方のグリース共に摩耗が確認できないハズなのですが、上の写真をご覧頂くと左側の「白色系グリース」のほうのグリグリ痕が微かに確認できます (右側の黄褐色系グリース側は痕がありません)。せいぜい50回程度グリグリしただけですが、撮影のためティッシュペーパーを使いアルコール洗浄した擦れ痕さえも写っています。
↑今度は、試しに白色の厚紙の上で「白色系グリース」をグリグリと50回やってみました・・実はグリグリ好きなんです。
↑結果は、ほんの微かに台紙の厚紙にグリースが浸みてしまい黒っぽく見えていますが、新品だった綿棒は真っ白のままです。仮にグリース成分に含まれる増ちょう剤の金属質が削れているのだとすれば、相手がアルミ板だろうが厚紙だろうが関係なく綿棒が黒っぽくなるハズだと考えます・・。
本当は100回程度グリグリしたほうが、もっと分かり易い写真を掲載できたハズで申し訳ないのですが、如何せん手が疲れてしまいました (最近、頭ではまだ大丈夫だと思っていてもカラダが反抗する最後の反抗期に入っています/今頃反抗期なのでまだ若いです)(笑)
以上の実験から「白色系グリース」のほうはアルミ板を摩耗させているのではないかと推察していますが、正直やはり詳しいことは判りません・・当方の頭では限界です(笑)
なお、当方が使用している白色系グリースと黄褐色系グリースの成分内容などのお問い合わせにはご返答できません (個別のグリース種別に対する良し悪しを確定され兼ねないので)。
また、黄褐色系グリースと同じ成分でありながらも白色の色合いのグリースも存在するので、一概に「白色系グリース=ヘリコイドのネジ山摩耗」とも繋がらないのも事実です。
それもこれも、当方が提唱している「DOH」で「白色系グリース」を責めたてているからのご指摘なのだと思いますが、本当に申し訳なく思います。ちょっと反省しつつも、現実問題としてオールドレンズをバラした直後の濃いグレー状に変色している「白色系グリース」の結末が説明できないので、拘っているワケであり、全く以て年寄りは頑固で話が通じないから困りものですね(笑)・・スミマセン。
ちなみに、凡そオールドレンズが生産されていた当時に使われていたグリースは「黄褐色系グリース」が主流だったハズで (当時はまだ白色系グリースが出回っていなかった?) ヘリコイドのアルミ合金材の成分も、それを勘案した設計だったと推察できます。だとすると、現在のメンテナンスに於いて白色系グリースを使ってしまうのは、生産時に於ける諸元値を逸脱したメンテナンスを実施していると言わざるを得ません。
個人の範疇で趣味の一環としてメンテナンスするならば致し方ないことと思いますが、メンテナンスを業として営んでいる場合には、はたして良いことなのかと言う疑念が自らにも突き刺さるワケで、少なくともヘリコイドのネジ山を故意に摩耗させる環境を整えてしまうのは、如何なものかと考えます。
(しかし当方でも仕方なく最後の手段として白色系グリースを塗布していることはあります)
もっと言えば、個別のオールドレンズに於いては、使われていたヘリコイド・グリースはヘリコイドの金属成分や設計、或いは負荷/抵抗などの状況から専用の成分/粘性を考慮した特定のグリース (つまりオリジナルなグリース) を使用していたハズであり、当方のように6種類の種別の中から選んだヘリコイド・グリースだけでメンテナンスしていること自体が問題を含んでいます。
その意味では、オリジナルな純正グリースを使わずにオーバーホールしている当方の仕業も問題があると言わざるを得ませんが、如何せんオリジナルな純正グリースを入手することは今となってはムリなお話であり、せめて当時使われていたであろう黄褐色系グリースに拘っている次第です。
従って、実際にメンテナンスしていてもトルク改善に至らない場合も多く「言っていることとやってることが違うだろ?!」と言われれば一切反論できないのが正直なところです。本当に申し訳御座いません。それもこれも、詰まるところ当方の技術スキルの低さ故ですから、これからもスキルアップに努め邁進していく所存です・・としか申し上げられません。