◎ Canon Camera Co., Inc. (キヤノンカメラ) CANON LENS 35mm/f2《Sレンズ:第1世代》(L39)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク!出品するモデルは、国産は
キヤノンカメラ製広角レンズ・・・・、
CANON LENS 35mm/f2《Sレンズ:第1世代》(L39)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

前回オーバーホール済でヤフオク!出品した同じキヤノンの広角レンズ『CANON LENS 35mm/f1.8《Sレンズ》(L39)を扱った時、それで
やめておけば良かったのです
(やはり人気がなかった)(涙)

・・人気なさすぎ(涙)

Japanese Summicronの異名を持つ光学系を知りたいと思ったのが
そもそも間違いでした(涙)

オークション形式に変更して再出品したので、もしもご落札頂ける方が
いらしたら、お好きな価格でご検討下さいませ。

また今後のキヤノン「Sレンズシリーズ」のオーバーホール済ヤフオク!
出品は考え直し、扱い数を減らします。
(ニコイチ/サンコイチしている専門の整備会社に任せます)(笑)
隣の畑が良く見えてしまい
慣れないことをヤルからこういう目に遭います。

自分的には、こんなにちっちゃな広角レンズなのに「空気を撮る」ことに
メチャクチャ感動し「ライカだけじゃないぞ!」の勢いで扱ったのですが
未熟でしたね・・(笑)

いえ、もしかすると、当方が扱うから人気がないのかも知れません・・。

世知辛いですね、誠に残念です・・(涙)

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた14年前からの累計で、当時のCanon製広角レンズ域「35㎜/F2」だけで括ると初めての扱いですが、実はつい最近 (昨年末) 同じキヤノンの広角レンズCANON LENS 35mm/f1.8《Sレンズ》(L39)』を扱っており、その際光学系の後群側第3群に「3枚の貼り合わせレンズが居る」ことからそのバルサム切れのリスクがあまりにも高すぎて、扱いを最初で最後とした経緯がありました。

当方は頭が悪い人間なので(笑)「一度痛い目を経験しないと学習できないヤツ」なので、今回おそらくは同一の光学系構成を採用しているハズとの憶測ながら、確実に自分の目で視て触って確認したいが故に、叩かれることを覚悟して今回のモデルを扱った次第です(笑)

・・従って「35㎜/F1.8」同様、今回のモデルもその扱いは最初で最後です!(涙)

  ●               

↑例によって「極度のカメラ音痴」ともなれば、そもそも今回扱うモデルの存在すら知らなかったほどで、上の図はキヤノンのカメラミュージアムからの引用になります (当方により構成図など手を加えています)。

上の光学系構成図は、今回のオーバーホールで完全解体した際、光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図なので、まさに実装しているその実態を正確に表しています (ネット上に多く掲載されている構成図を引用しての、そのままのトレースとは別モノです)。

そもそも昨年末に扱った「35㎜/F1.8」と比較する時、明らかに「開放F値が僅かに暗いモデル」なのは明白ですが、まだまだキヤノンにしてみれば「Sレンズシリーズ」と言う初期段階でしかなかった時代に、いくら最後のほうの登場としても「どうして暗いF値で発売する必要性があったのか???」との、純粋な疑問が湧き上がります(汗)

そんな思いが引率して今回も先ずはネット上から事前情報を漁るべく探りましたが、再びの「コピーライカ」「ズミクロンコピー」「パチモン」などなど、前回の「35㎜/F1.8」同様、巷ではズミクロンをコピーしたとの捉え方が「まるで常識」なのに・・再びフツフツと腹煮えたぎり・・こっちの「35㎜/F2」すらそういう境遇に甘んじるしかないのか???(涙)、と忸怩たる思いです(涙)

・・コノヤロウ!!!(怒)

と (心の中で) 拳を握りしめてネット検索しまくっていると「或る法則」に気づきました(汗)

コピーライカ」「ズミクロンコピー」「パチモン」と自身のブログやサイトで言いまくっているのは「ニッポン人ばかり」なのです!(驚) むしろ外国人 (海外の方々のことを指してそのように呼んでいます) のほうが「普通にライカと同列扱いで客観的に冷静な視線を注いでくれている」ワケで・・ニッポン人ョ! この事実を恥ずかしいと思わないのか???!!!・・と言いたくなりました(汗)

こういう風潮と言うか、ちょっと昔の「インスタ映えヨロシク」サクッと自分のブログやサイトで背景を説明するのに使われている感が強いですが、そういうことを『』としない立場なのが「自己主張を明確に自分の責任範疇として述べる」外国人のほうが優れており、言うだけ言っておいて、然しでも周りからは好かれたいと言う、相矛盾した感情を匂わせたまま当たり障りなく済ませようと言う「ズルい魂胆丸見え」なのが、カチンと来るのです!(怒)

そこで今回もやはり「光学系の開発経緯」からこのモデル「35㎜/F2」を説明し、有終の美を飾りたいと思います。

  ●               

←今回のモデル「35㎜/F2」の光学系に関する特許出願申請書の出発点は、全てこの発明案件に繋がっていると考えます。

DE1095539B (1955-01-14)』ドイツ特許省宛て出願

この特許出願申請書は、前回扱ったCANON LENS 35mm/f1.8《Sレンズ》(L39)』実装光学系に関する発明案件の推測に至ります。

発明者はキヤノン在籍時の「向井 二郎」氏ですが、その申請書内記述を読むと「7つのレンズから成るガウスレンズの使用」との一文から始まります。

つまりこの一文が冒頭でイキナシ明示してしまったのは「決してレトロフォーカス型光学系ではない」ことを表し、まさにレンジファインダーカメラたる由縁のバックフォーカスが短い
フィルムカメラでの使用を大前提とした対物レンズの発明だったことが一目瞭然です。特許出願申請書内記述の多くは専門用語と数値羅列に終始しているものの、最後のほうで明確な主張を述べています。

既知の広角レンズと比較して像面歪曲と非点収差が大幅に改善され、実質的に除去されているため、記載した利点のみが残り、他の収差が悪影響を及ぼさない

とまで言い切ってしまっているワケで凄いと思いませんか???(驚)

だからこそのこの光学系の発明案件だったのだと納得せざるを得ませんが、ここまで言い切ってしまっていながら「ではどうして数年後に35㎜/F2を発売する必要性が起きたのか?」との疑念がさらに増大してしまいました(汗)

従ってライカ製Summicronのほうも、その光学系を紐解く必要性に駆られます・・(汗)

←いわゆる巷で8枚玉と揶揄され続けているErnst Leitz Canada Ltd.製『Summicron 35mm/f2』の実装光学系を明示させる発明案件です。

US3006249 (1957-10-01)』米国特許庁宛て出願
→ Ernst Leitz Canada Ltd. Walter Mandler (ヴァルター・マンドゥラー)

視野角62°を目指した高速広角対物写真レンズ用の発明である」旨の記述からスタートし「絞りユニットを挟んで互いに4つの凹メニスカスレンズを配置し、そのうち正負の要素で一対を成す」としており、先ずは前後群で対称型である前提を明示しています (記述の多くが実施例を示す数値なので、当方の頭ではとても追いつけない)(恥)

・・しかしこの発明案件が参照する既知の発明案件を探るとオドロキの事実が現れます!(驚)

↑上の図は、いわゆる巷で8枚玉と揶揄される、ライカ製「Summicron 35mm/f2」の実装光学系に関する特許出願申請書の登録データからの引用です。参照した特許出願の発明案件を時系列で昇順に並べ替えています。

・・この参照している既知の発明案件を手繰れば、本質に迫ることができるワケです(笑)

←イキナシ現れたのは、何とNikonの「村上 三郎」氏発明案件だと
言うのです!(驚)

US2828671 (1956-04-10)』米国特許庁宛て出願
→ Nippon Kogaku KK. 村上 三郎

いいですか?! ライカの発明案件の参照先のいの一番に現れたのがNikonの光学設計なのです (上記一覧最下行)!

・・凄いと思いませんか???!!!(驚)

記述を読み進むと「理論上、開放f値:f1.1を実現し得る、色収差、球面収差、コマ収差、非点収差、且つ像面歪曲も最小限に抑えられる、広口径対物写真レンズの実施が可能」とまで明示しています(驚)

当時、日本の光学メーカーの多くがライカの光学設計をパクっていたとの指摘は、この実例からしても該当しないのが歴然ではないでしょうか・・少なくとも頭が悪い当方にはそのように受け取れてしまいます(汗)

←いろいろ時系列に他の参照案件を遡りつつ、一番古い時代の発明に到達すると左の構成図になります。

・・これ、何処かで見たような気がしませんか???(笑)

US213076 (1936-05-05)』米国特許庁宛て出願
→ KAPELLA Ltd. Arthur Warmisham (アーサー・ウォーミィシャム)

彼の「4群6枚オピック型光学系」を発明した、Horace William Lee (ホレス・ウィリアム・リー) が独立後、自身の会社KAPELLA Ltd.を創設した後の発明であり、在籍していたArthur Warmisham (アーサー・ウォーミィシャム) 氏による特許出願申請書です (右写真)。

この発明の目的は「視野角45°~50°を実現し、開放f値:f2以上の高速、且つ平坦性のとれた対物写真レンズ」と記しており、それが意味するのはまさに広角レンズとしか言いようがありません(汗)

何故なら、当時戦前~戦時中に最も利用されていたのはレンジファインダーカメラであり、そこにはバックフォーカスが必要になるクィックリターンミラーも存在せず「標準レンズ域の光学設計活用で広角レンズ域まで対応できていた」からであり、もっと言えば当時の標準レンズ域の視野角が「35°辺りから」と捉えるなら、決して広角レンズ域も不可能ではないとの妄想にハマります (光学知識皆無な当方の妄想範疇に留まります)(汗)

なお「4群6枚オピック型光学系」を発明した、Horace William Lee (ホレス・ウィリアム・リー) 氏に関する解説はSummarit 5cm/f1.5《1956年製》(L39)』のページ冒頭で詳説しています。

これらの探りからライカが参照していた本質は、同じドイツの発明案件に辿り着くのが判明しましたが、その過程の中に登場したのはNikonの設計だったのは紛れもない真実です。

では、ここでようやく冒頭に戻ることが適い「35㎜/F1.8」が参照していた発明案件の中に「はたしてライカの発明が隠れているのか???」について検証していきます。
(CANON LENS 35mm/f2を明示する特許出願申請書はありません)

↑前述したキヤノンの「向井 二郎」氏が発明した時の参照案件の一覧で、同様に時系列で昇順です。

US2611295A (1951-06-14)』米国特許庁宛て出願
→ Eastman Kodak Co. Willy E. Schade (ウィリー・シャーデ)

特許出願申請書の記述を読むと最小絞り値:f11.4f11.5辺り
を目指した映画撮影用レンズとして発明しているようで、特にバック
フォーカスを勘案した際に課題として残る斜め球面収差の改善に着目
しているようです (要は像面が合致せず解像度不足に陥る問題)。

US2171641A (1936-09-02)』米国特許庁宛て出願
→ Ernst Leitz GmbH Max Berek (マックス・べレク)

特許出願申請書の記述を読むと「ガウス型対物レンズとトリプレット型光学系の特徴を組み合わせている発明である」と述べ「光学系前群にガウス型を配置し、絞りユニットを挟んで後群側にはトリプレット型要素を組み合わせているものの、それを超越する役目として追加で単独の要素を組み合わせることで、球面収差とコマ収差の改善に奏している」との記述です。そして特に後群側のこの3枚貼り合わせレンズ (トリプレット化/集合体とも記述) の特に両凹レンズには、非常に高い屈折率の硝子材が求められ、それによる結果として球面収差、コマ収差、非点収差、歪曲収差に像面歪曲に対して良い結果を示すとの実施例に臨んでいます。

するとこれらの参照案件から見えてきたのは「Summicron系どころか、もっと遥か昔に登場していた発明案件からのルーツ」なのが間違いなく、冒頭でご紹介していた「コピーライカ」「ズミクロンコピー」「パチモン」などの言い回しは全く当たらないことが明白ではないでしょうか。

その一方で、では本家8枚玉たる「Summicron 35mm/f2」の特許出願申請書の記述がどうなっていたのかを辿ったのが、まさに1つ目の参照一覧で「Summilux 35mm/f1.4」の登場が1960年である一方、8枚玉「Summicron 35mm/f2」は・・数年早い1958年発売であることに着目する必要があるのです

比較するべき光学系は「Summilux 35mm/f1.4」ではなく「Summicron 35mm/f2」であり、さらにそのルーツを探ればまさにライツの「Max Berek」氏に辿り着くのが判りました。

当方の受け取りとしては、そもそも広角域の「Summicron光学系」の始祖を示すのは、まさにこの Max Berek氏 発明の光学設計 US2171641A (1936-09-02)ではないかとみています(汗)

全てはここから始まっており、そこにキヤノンライカも何も無く、純粋に発明家の情熱の
為せる技だったのではないかと思うのでございます(涙)

↑上の構成図は、左が前回扱ったCANON LENS 35mm/f1.8《Sレンズ》(L39)』を完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。

また右が今回のモデルCANON LENS 35mm/f2《Sレンズ:第1世代》(L39)』の同様完全解体時に取り出した光学系各群のトレース図です。

このように2つ並べて眺めてみると、明らかに「F1.8とF2の差」がそれぞれの光学硝子レンズの曲がり率や厚みの相違として明確に現れているのが分かります(驚)・・「F値をF2に採ってきた理由は、屈折率を追求せずに他の収差改善に合わせて何よりも、像面収差と非点収差のゼロ化を狙った」のではないかとの妄想が沸き立ちます(汗)

そしてこの同じことが「Summicron 35mm/f1.4 vs Summicron 35mm/f2」に該当し、それがそのまま「CANON LENS 35mm/f1.8 vs CANON LENS 35mm/f2」に近似し、詰まるところ「CANON LENS 35mm/f1.5 vs CANON LENS 35mm/f2」に匹敵するのではないかとの憶測すら湧きいでます。

それが示すモノは「必ずしも開放F値の追求だけが画の総てではない」ことを意味し、まさに今回扱うCANON LENS 35mm/f2《Sレンズ:第1世代》(L39)』の描写性こそが「空気まで写し込み、場の雰囲気も音や温度すら感じ入る光の造形」ではないのかと、改めて感動しました(涙)

それこそが日本国内も海外も含め『Japanese Summicron』の俗称を恣にしている謂れではないかと、光学系のルーツを辿ってみて感じ入った次第です。

当時の背景としても、まさに明るい高速レンズを求めたシングルコーティング層の蒸着から、やがてアンバーパープルモノコーティング層への蒸着へと進み、すぐ後に登場するマルチコーティング化したオールドレンズの登場が当たり前になり、世間の目が肥えてきた分、描写性追求の流れは忠実な色再現性からより緻密にリアルに結像する解像度指向へと向かい、中心部のみならず周辺域の収差すら許さない風潮へと進んでいったのではないでしょうか。

・・皆様は、どのように感じ取られますか???(涙)

そんな中で当方のような人間には、まるで自分の瞳で観ているがままに写る「観ているようで見えていないような」収差混じりの写りのほうが生々しく感じられて、緻密な精緻感よりも「場の雰囲気を留める/再現する/体現できる」空気まで写し込む描写性のほうが、より没入感を誘い、自然に視線が向くのだと思ふ処で御座いまする。

それは大好きな映画を観ていても、そのシ~ンの中で「一瞬だったハズのシ~ンが、眼の前でスローモーションの如く視え感じられている瞬間」とまるで同じような感覚であり「見えすぎないが故に、感動が増す瞬間」という人の知覚能力に訴えるオールドレンズの描写性が・・
好きなのです(涙)

F2」という余裕をもたせた開放F値が求めたモノは、そういう「バランスの中でリアルを上手くまとめ上げる能力の追求」でありその描写性であったのではないかと、今回結論づけしたいと思います・・「Sレンズシリーズ」有終の美を飾るべく広角レンズとしての最後の役目は、まさに「Sレンズシリーズ」の集大成だったのかも知れません(涙)
(実際はこのモデル発売の翌年に筐体意匠だけ変更した第2世代が発売されます)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは完全解体した後に、当方の手により『磨き研磨』を施した各構成パーツを使ってオーバーホールの組立工程を進めていきます。

基本的な内部構造は今まで扱ってきた「Sレンズシリーズ」に共通しますが、特に今回バラしてみて感心したのは「鏡胴後部側のヘリコイド群のコンパクト化」であり、やはりトルクを決定づけてしまう「空転ヘリコイドの封入手法の改善」に製品設計の努力を観た印象です(涙)

それこそがまるでちっちゃな (パンケーキレンズの如く) 筐体サイズ「最大径49㎜ x 全高28㎜」に凝縮されている本質でもあります(驚)

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒 (アルミ合金材削り出し) です。今まで採られていた「微細な凹凸を伴うブライトクロームな梨地メッキ加工/サテン仕上げ」がとりやめられ一般的なメッキ加工に変わっているのが分かります。

↑しかしその一方で絞りユニットの構成パーツの駆動方式には変化がありません(汗)「開閉環 (左)」に「位置決め環 (右)」です。グリーン色の矢印で指し示している箇所のネジ穴は絞り環との連結のために用意されています。またブルー色の矢印で指し示している箇所に用意されている「下穴」は、この「位置決め環」の格納固定位置を確定させる役目と目的で切削されています。

今まで扱ったどの「Sレンズシリーズ」にも100%必ずこの箇所に「下穴」が切削されていたのかと言うと、実は存在しなかったモデルがある為、その時点で「この下穴は過去メンテナンス時の整備者が開けたのか???」との妄想が膨らみ、真実は謎のままです(汗)

←そしてこの「位置決め環」を鏡筒内部に固定する際に使う締付ネジが左写真のような「イモネジ」であり、ネジ込むことで締め付けていく原理です。

従って円形パーツを均等に締め付け固定することを主眼に据えるなら「3方向から均等なチカラで締め付けていくのが適切」の道理になります。

ところがこの「位置決め環」は側面の一部に切り欠き/スリット/開口部が切削され、そこを貫通し内部の「開閉環」と絞り環が連結する駆動であることからこの『』に突き当たります。

3方向からイモネジ締め付けせずに「1箇所だけに位置確定用の下穴を用意した」のがブルー色の矢印で指し示している箇所の「下穴」の役目と目的です。これは「Sレンズシリーズ」全てに共通する絞り環の回転方向から捉えた時、最小絞り値側での「実装絞り羽根の重なり合う接触面積増大に伴う膨れ上がるチカラの発生 (つまりトルクが重くなる)」と言う物理的な現象から「その応力配分を見据えて、ブルー色の矢印の位置だけに下穴を用意した」ことが分かるからです。

逆に言うなら、もしもキヤノンの製品設計者がイモネジの3方向からの均等締め付けを採ったのなら (つまり絞り環からのチカラの伝達と絞り羽根の膨れ上がる現象を無視して単純に位置決め環の固定だけを目指した場合)「下穴を用意する必要性があるなら3箇所に下穴を用意したハズ」との憶測に至ります。

それを均等にしなかった根拠が何か顕在していたハズで、明らかに絞り環からのチカラの伝達が脅威になっていたことが明白です(汗)

つまり当方が考えるに、位置決め環を独立させてしまったのが問題なのではなく「絞り値操作の駆動域が長すぎる」設計が大きく影響しているのではないかとみています・・それは「Sレンズシリーズ」全モデルに指摘できる要素であり、そもそも「絞り値キー (溝) と鋼球ボールによるクリック感の実現に板バネ方式を採用したのが間違いの始まり」ではないかとの憶測に辿り着いています(汗)

・・何故なら、全てのモデルで絞り環の操作性にムリが憑き纏うからです(泣)

クリック感の実現に「板バネ」を介在させず「鋼球ボール反発式スプリング」によるクリック感に設計していれば、こんな問題は起きなかったように考えるのです。

・・ではどうして「板バネ」を介在させたのか???

その最大の理由は「筐体サイズをできるだけコンパクトに仕上げたかった」のが至上命令だったのではないかとみているのです(汗) そうは言っても「Sレンズシリーズ」の各モデルはどれもマチマチな大きさです。

ところが一つ前のシリーズ「SERENARシリーズ」の各モデルと比較すると明らかになてきます(汗)・・このシリーズは開放f値の大小に関わらず「ほぼ筐体サイズは一定化できていた」一方「Sレンズシリーズ」では広角レンズ域は「F1.5」を目指し、標準レンズ域も「F0.95」或いは「F1.2」と、否応なく光学設計に引きずられて筐体サイズは横方向に大きくファット化を免れず(泣)、おそらくはその光学設計方針が製品戦略として当初時点で完成していたのだと・・当方はみたのです(汗)

それゆえに、前世代の「SERENARシリーズ」では共通項的にコンパクト化が適っていたのに「Sレンズシリーズ」ではまるでバラバラになってしまったのだと考えられます(汗)

従って製品設計者は、少しでも筐体サイズをコンパクト化したかったハズで、その現れの中で「板バネを使わざるを得なかった」・・何故なら「鋼球ボール反発式スプリング」の組み込みには「その2つを格納する為の肉厚が必要になるから」と指摘でき、要は筐体外装の金属材まで含め外形サイズの大型化を促してしまい逆行するからです(汗)

その意味で「Sレンズシリーズ」には「開放f値の追求」が製品戦略上の最優先課題に据えてあったのではないかと考えられるのです(汗)

そんなことの影響が最終的に「位置決め環の固定手法」と言うムリに繋がっていったのではないかとみていますが、はたして真実はどうだったのでしょうか???(汗)

ブルー色の矢印で指し示している箇所の「下穴」を拡大撮影しました。不思議に今まで扱ってきた全ての「Sレンズシリーズ」でほぼ近似した径と深さでこの「下穴」が切削されているのを自分の目で確認済です。

そう考えると「製産時点の切削」と考えざるを得ないのですが、一方で「下穴が無いモデルもあった」点から確証には至っていません(汗)

↑こちらの拡大写真は同じ「位置決め環の側面」ですが、2本のイモネジを使い側面方向から締め付け固定するものの、こちらの側には「下穴が備わらない」のが「Sレンズシリーズ」の全てに共通なのを確認済みです (この位置に下穴が用意してあったモデルは皆無)。

ところがご覧のように「イモネジの締め付け痕が全部で3箇所残っている」ワケで (ブルー色の矢印)、この中の1つだけが製産時点を意味します。

ここで問題だったのは「これだけ横方向に各痕跡が離れて残っていた」のは「絞り羽根の開閉が適切に設定されていなかった」ことを表し、明らかに完全開放させようとワザと故意にズラしていたか、或いは最小絞り値側が足りないまま組み上げていた形跡として指摘できます(笑)

それは後で解説しますが、このモデルは「内部で絞り羽根が顔出ししている設計」だからです
・・光学系の最小径に合わせて絞り羽根が顔出しするのが適正であるのに、他の焦点距離モデルと同じように「絞り羽根を完全開放させようとして位置決め環を固定してしまっていた時期がある」(逆に指摘するなら最小絞り値がちゃんとF22まで閉じていなかった時期がある)(笑)

・・過去メンテナンス時の整備者は、そういうデタラメをするのです!(笑)

例を示すなら、旧東ドイツのCarl Zeiss Jena製広角レンズ「MC Flektogon 35mm/f2.4」と言うモデルが市場流通している時、その最小絞り値まで閉じた写真が出品ページに載っていることがありますが「閉じすぎていたり開きすぎていたりとバラバラ」なのに、誰も気にせずに高額落札されていきます(笑)

逆に言うなら、そのモデルは多くの場合で「閉じすぎ」のまま市場流通している個体がとても多いのがリアルな現実だったりします(笑)・・然し、誰も気にしません!(笑)

実は当方がオーバーホール済でヤフオク!出品し「39,500円」の価格設定を何回か続けてから、市場流通品の落札価格帯が3万円台に乗るようになりました (それまでは凡そ3万円以下で25,000円前後が一番多かった)(笑) ヤフオク!では最後のほうで「49,500円」を当方がつけていたので(笑)、今ではその価格帯まで上り詰めています(笑)

笑ってしまいますが(笑)、しかし市場流通品の多くは「未整備品ばかり」であり、オーバーホールして出品している個体のほうが少ないです(汗) そのような個体でさえ「過去メンテナンス時にテキト〜されていた」から、絞り羽根の閉じ具合がバラバラなのです(笑)

・・どうして皆さんは、気にならないのでしょうか???

例えばFlektogonで最も美味しい「F4辺り」の描写性を堪能したいと考えた時、はたしてその時の絞り羽根の閉じ具合が「F5.6」なのか「F4の遥か未満」なのか・・どうして気にならないのか不思議でなりません(汗)

・・当方は目一杯気にしてしまうタチだったりします(恥)

完全開放だけが「写真」ではないと思いますし、そもそも収差と解像感とのバランス性から捉えるなら、数段絞った時の写りがその子の (モデルの) 性格なのではないでしょうか???・・と、当方は思いますね(笑)

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている

↑鏡筒最深部に絞りユニットがセットされました。

↑完成した鏡筒を立てて撮影していますが、写真下方向が前玉が方向にあたります。

赤色矢印で指し示している箇所のパーツは「鏡筒固定用金具」であり、ご覧のように「皿頭ネジ」で締め付け固定している為「微調整を必要としない締め付け手法」なのが一目瞭然です(笑)

さらに左側に写っているマーキングはカタカナの「カカ」ではなくて(汗)、数字の「44」です。やはり今回扱った個体も内部の様々な構成パーツに「数値がマーキングしてある」ものの、それは「鏡胴の前後で決して一致していない」ワケで、それが意味するのは「ニコイチ」品としか考えられません(涙)

当方は「ニコイチ/サンコイチ」を決して否定しませんが、その反面『是』ともしていません。

最低限『磨き研磨』なり施して、内部の各構成パーツに残る経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びを除去してあげれば、自ずと再びちゃんと使えるように戻ることが多く、少なくとも今までの14年間に携わってきた3,400本を超えるオールドレンズ達の中では、十分に当方の手による『磨き研磨』だけで機能が復活し、最適な仕上がりに戻っています。

それができないから「安直にニコイチ/サンコイチに走る」のが・・巷のプロのカメラ店様や修理専門会社様・・なのではないでしょうか???(笑)

何処ぞの大手整備会社で「純正パーツを用意している」と声高々に謳っていますが、はたしてその純正パーツは何処から来たのでしょうか???・・その説明すら一切行わずに済ませている時点で、その会社の企業姿勢が疑われます(笑)

何のことはなく、単に手当たり次第にバラして部位別に構成パーツを揃えているだけで、だからこそその個体調達時の「コスト」を管理するべく、部位別にマーキングしているように見えてなりませんね(笑)

すると整備が終わって乗せられている利益には、その「コスト」が上乗せされるハズで、それらの金額を除外した時「本当に整備にかかった金額って幾らなの???」と妄想すると、意外にも低価格の整備作業代価であり、そんな低価格でいったいどんな整備が施されるのか、さッすがプロのカメラ店様や修理専門会社様となれば技術スキルは孤高なのだと感心しますね(笑)

・・技術スキルが低俗な当方は、ひたすらに時間ばかり掛けせっせとヤルしかありません(笑)

↑同じ鏡筒を別の角度で撮っています。鏡筒内部の絞りユニットには「開閉キー」が内部の開閉環と連結し (グリーン色の矢印) 絞り環の特定位置に受け金具を伴って連結します (ブルー色の矢印)。

つまり絞り環の駆動域は「鏡筒の切り欠き/スリット/開口部の長さにイコール」なのが分かり、まさにそれがグリーン色の矢印で指し示している箇所の「開閉キー」により確実です。

・・つまりこの位置が開口部の終端なので、ここが開放位置なのは歴然です(笑)

もちろんその反対側が今度は「最小絞り値側反対側の終端」を意味するのは道理です。

さらにここでのポイントは、冒頭で解説したとおり「光学系の最小径に合わせて、絞り羽根が顔出しする設計」なのを、赤色矢印で指し示しています。

この絞り羽根顔出しの「原理原則」を全く理解していない整備者だから、平気で完全開放させようとして位置決め環を固定してしまいます(笑) ではその「原理原則」に則れば全ての「Sレンズシリーズ」で絞り羽根が顔出ししているのかと言えば・・答えはNOです(笑)

そもそも「原理原則」の捉え方が間違っているので、そのような質問が現れますが(笑)、当方が何度も何度も執拗にこのブログで述べているとおり、自ずと理に適った道理から導かれて明示されるのが「原理原則」であり、サービスマニュアルなど手元に無くても誰が整備しても一意にしか組み上がらないのが「原理原則」の為せる技です。

それを自分の都合の良い状況に強制的に変えてしまうから「原理原則」から逸脱しまくった「ごまかしの整備」へと堕ちていくワケで(笑)、まるで本末転倒な話です(笑)

では上の写真で顔出ししている絞り羽根はどうやって顔出し量を決めているのかと次の質問が飛び交いますが(笑)、それすら「原理原則」から導かれるだけの話です (ちゃんと物理的な根拠があって顔出し量が決まる)(笑)

このようにオールドレンズ内部の構造や微調整などは全て「原理原則」から一意しか執りません。それを「ごまかしの整備」によりズラされてしまうから、再び別の部位で微調整が困難に陥っていく・・まるで悪のスパイラル・・なのです(笑)

・・技術スキルが低すぎる当方には、そういう簡単な整備作業しかできないのです(恥)

↑さらに鏡筒を回して別角度で撮影しています。ぼうとうでさんざん説明してきた「板バネー使ったクリック感の実現方式」の構造になります。

グリーン色の矢印で指し示している箇所のパーツが「板バネ」になり、既に鋼球ボールを押さえ込んでいます。一方赤色矢印で指し示している箇所の溝が「絞り値キー」であり、ここに鋼球ボールがカチカチとハマるのでクリック感が体現できます。

従って「板バネの左右方向での微調整幅」が、絞り環に刻印されている絞り値との整合性を微調整する道理なのがご理解頂けるのではないでしょうか???(笑)

実際に板バネをスライドさせて固定位置をズラして絞り環の刻印絞り値とクリック感の感触を一致させます・・できた!と喜んだところ(笑)、それも束の間「F2で絞り羽根が僅かに顔出ししている」或いは「次のF4に向かう時に、すぐに絞り羽根が出てこない (つまり開きすぎの状態)」などの歌詞が現れます(汗)

それに影響しているのが一つ前の「ブルー色の矢印で指し示している箇所の受け金具の微調整ミス」を意味し、絞り環の設定絞り値 (刻印) とクリック感との整合性にプラスして、シボ゛リバ値の挙動制御を決めている仕組みであり、それこそが「原理原則」です(笑)

ようやく気づいて受け金具のスライドを微調整し、初めて絞り値とクリック感と絞り羽根の挙動が合致しますが、さらに今度は「クリック感が硬く感じられる」或いは「クリック感が弱すぎてクリックしているのかどうか分からない」と言う「リアルな現実の操作性」と言う部分で再び悩まされることに陥ります(笑)

・・これがリアルな現実のオーバーホール作業時の実態です!(笑)

逆に言うなら、このいずれかの工程で「ごまかしの整備」を所為すれば、その影響が次の部位に及んでしまう道理がご理解頂けたでしょうか???(笑)

「原理原則」とはそんな容易いものでなく「ごまかしの整備」で収まる話でもありません(笑)

実際、今回のモデルで説明するなら「位置決め環に鏡筒に受け金具に板バネに絞り環に」・・と、幾つもの「原理原則」を通過して初めて適正な微調整として組み上がります(笑)

そしてもっと言うなら、上の写真でブルー色の矢印で指し示している箇所の「クリックする時鋼球ボールが通過して摩耗していった削れた痕跡」をよ〜く観ると「鋼球ボールの径に対して削れている痕跡の筋の太さが合致していない」点に気づかなければイケマセン(汗)

・・これが「観察と考察」です(笑)

つまり過去メンテナンス時に「鋼球ボールを一つ小さい径に入れ替えられてしまった」が為に本来の製産時点からついていたハズの摩耗痕跡に重なって、もう一筋の摩耗痕が増えたので「太めの痕跡に至っている」との瑕疵内容に着目しなければイケナイのです(笑)

そこで今回のオーバーホール整備で当方が執った所為は「鋼球ボールを板バネに用意されている保持用の穴の径を参照して入れ替えた」ワケで、結果当然ながら当初のぎこちない印象のクリック感や絞り環操作から大幅に改善された操作性へと変わりました(笑)

これが当方が執拗に述べている「観察と考察」「原理原則」に則ったオーバーホールを経て初めて「製産時点に限りなく近似した状態近づく」ことを説明しまくっています(笑)

ではどうして「鋼球ボールの径を小さく入れ替えたのか???」については明白で、板バネの微調整をミスったのかスケーム金具がまずかったのか、そもそも「位置決め環の固定位置が横方向に相当ズレていた」点からして、最終的な絞り環の操作性に向かって「ごまかしの整備」しまくりの背景が透けて見えてきました(笑)

・・全くロクなことをしません!(笑)

「観察と考察」「原理原則」に則っると言うことは、こういう「ごまかしの整備」の経緯や流れすら白日の下に晒されるワケで、当方が視ればどうにもこうにも逃げようがありません(笑)

ッて言うか、もうここまでの解説で全て見えていなければ、そもそも整備者としての資質すら欠如していると猛反省すべきですね(笑) 自分で整備している人も、ここまでの解説の途中で察知できていなかったのなら「整備する資格は無い」ので、自分で整備せずプロのカメラ店様や修理専門会社様宛に依頼するのが良いとしか言いようがありません(笑)

・・整備者の方、貴方は如何でしたか???(笑)

↑完全解体により取り出した光学系第1群前玉後群第4群後玉までを並べて撮影しています。光学系前群を赤色文字で表記し、後群側をブルー色文字で表しています。またグリーン色の矢印が指し示す方向は前玉の露出面側方向を意味します。

↑同様、今度はヒックリ返してレ面側を撮りました。当方は「プロにもなれず、マニアすらなれなかった整備者モドキのクソな転売屋/転売ヤー」との話なので(笑)、「公然と平気でウソを拡散し続けている」と某有名処のコメント欄に誹謗中傷され続けている始末で(泣)、仕方ないのでちゃんと『証拠写真』を載せて解説しなければイケナイみたいです (いちいち面倒くさい)。

後で引退してから当該被疑者2人を営業妨害と慰謝料請求で告訴する為に、その被害を被っている事実として2022年以来記載し続けています (しつこくてスミマセン)。

↑冒頭に述べたとおり、光学系のリスクが最も高い要素たる光学系第3群の3枚貼り合わせレンズです。

↑ヒックリ返して裏側を撮影していますが、赤色矢印で指し示している箇所は「反射防止黒色塗料」の浮きや既に剥がれている箇所、或いは剥がれている途中を示しています。

いったい過去メンテナンス時の着色で、このような状況に至る処置に何の意義があると言うのでしょうか???(汗)

ちなみにグリーン色の矢印で指し示している箇所の「反射防止黒色塗料」と赤色矢印の箇所の塗料とは「塗料の成分が全く別モノ」なのが分かります。

・・その証拠を次にお見せします。

↑同じ光学系第3群3枚貼り合わせレンズですが、油性溶剤を使って洗浄し「反射防止黒色塗料」を完全除去した直後の撮影です。

↑ヒックリ返して撮影していますが、実は上の写真は「今度は水性溶剤を使って反射防止黒色塗料を完全除去した直後」の撮影です(笑)

つまり赤色矢印で指し示している箇所に着色されていた「反射防止黒色塗料」は油性溶剤では溶けず「水性溶剤で初めて溶けた」為に、前のほうの写真で既に溶剤洗浄していながら一切溶けずに「反射防止黒色塗料」が残っていました。

すると最後に上の写真でグリーン色の矢印で指し示している箇所の「反射防止黒色塗料」はいったい何を意味するのかと言えば「油性溶剤でも溶けず、水性溶剤でも溶けなかった、製産時点を示す焼付塗装」なのだと理解できます(笑)

これが「原理原則」であり、製産時点に処置されていた塗膜は油性溶剤や水性溶剤で溶けません(笑) それはそもそもこの処置に使っている塗料の成分/配合が全く別モノだからできる話であって、単にそういう成分の塗料を塗るだけでは処置は完結しません(笑)

だから油性溶剤で洗浄すれば多くの場合で「反射防止黒色塗料」が溶けるものの、その工程を経てもなお残る「反射防止黒色塗料」は水性溶剤で溶けるのです。そして最後まで頑固に残ったのがまさに「製産時点」を示す道理なのが、ご理解頂けると思います(笑)

↑光学系前後群を清掃を済ませて組み込みます。

光学清掃は必ず「カビ除去汚れ除去クモリ除去仕上げ清掃」の4つの工程を経て終了します。このどれを除外してもイケナイですし、合わせてその順番を入れ替えてもダメです(笑)・・それは光学硝子レンズの多くがコーティング層を蒸着されており、且つ当方の考えではさらにその上に最終的な「保護層を蒸着している」とみているからです。

この順番を違えることは、それらの蒸着層の脅威になり、合わせて「無水アルコール」などに依る強制的なクリーニングは「それぞれの蒸着層に対するクラック/裂け目の因果を与える要素になり、最終的な製品寿命の短命化に繋がる」と認識すべきですね(笑)

・・意外とネット上には多く紹介されている清掃手段ですが、大きな間違いです(怖)

逆に言うなら繁殖しているカビ菌糸は「無水アルコール」では一切除去できず、その次の汚れ成分もその内容によって「無水アルコール」では歯が立ちません。そしてクモリ除去の際に致命的なクラック/裂け目を蒸着コーティング層に追加しないが為に、専用の洗浄液を使うワケで、大凡「無水アルコール」の使用は弊害あってメリットなしとしか言いようがありません(怖)

もっと言うなら、ではどうして光学硝子専用洗浄液の成分が「無水アルコール」とは違う成分なのかを、もっと研究するべきですね(笑)・・何でもかんでも油分を溶かすなら良いと言う、そういう低俗な考え方が拙いと言っているのです。

無水アルコール」を使って光学清掃しておきながら、駆動する部位の整備はプロに任せてなどと言う言い草も、まるで本末転倒であり、写真撮影の道具である以上「一番重要なのは駆動する部位ではなくて光学硝子レンズ」なのに、ヤッていることがまるで逆です(笑)

・・何も考えずに思い込みだけでヤルから、そうなります(涙)

だから50年後にはオールドレンズは『絶滅していく宿命しか残されていない』としつこく述べています!(怒)

・・光学清掃するなら、最低限専用洗浄液を使うべきです!!!(怒)

そんな中で真に光学硝子洗浄できる専用液の揮発性の相違はどうなのか???・・まで、ちゃんと研究しない限り、間違いなく適切な洗浄などできないのがリアルな現実であり、要は非常に多くの皆さんが間違った清掃作業を処置し続けているワケで、さらにその先には「ではいったいカビ菌糸はどうやって除去するのか???」と言う問題すら残り、光学硝子レンズの清掃は、そんな簡単な話ではありません(笑)

・・目に見える、見えないだけでヤルから、こういう話になります(笑)

↑光学系後群も組み込みました。今回は3枚貼り合わせレンズを剥がしていないので、大騒ぎにならず済みました(怖)

↑鏡胴「前部」が完成したので、ここからは鏡胴「後部」のヘリコイド群の組立工程に移ります。

距離環ローレット (滑り止め) 外装 (アルミ合金材)
ヘリコイドオス側 (アルミ合金材)
マウント部 (真鍮材/ブラス材)
距離計連動ヘリコイド用直進キーガイド環 (黄銅材)
ヘリコイドメス側、兼距離環駆動域制限環 (アルミ合金材)
距離計連動ヘリコイド (黄銅材)
空転ヘリコイド封入環 (黄銅材)
空転ヘリコイド (黄銅材)

・・こんな感じです。

↑距離計連動ヘリコイドを構成するパーツはこれだけです。

↑さらに「 空転ヘリコイド」に係るパーツは上の写真のように、上下左右裏表全てに渡り「平滑研磨」が必須になります (グリーン色の矢印)。

これを過去メンテナンス時の整備者は「グリース塗布でごまかす」から、平滑性を復元されないまま処置されていく為に、さらに摩耗度合いが悪化していき、やがて『製品寿命』を迎える運命です(涙)

ちなみにこの「 空転ヘリコイド」に「直進キー」と言う原理がとッシュしている為 (ブルー色の矢印)、この「 空転ヘリコイド」がどれだけこのモデルの操作性の中で重要なのかが明白です。

直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目

直進キーガイド
直進キーが直進動でスライドして移動するガイド/溝であり鏡筒の繰り出し量をカバーする

↑一つ前の「 空転ヘリコイド」が何処に格納されるのかと言えば、ここなので、このメッキ加工してあるグリーン色の矢印で指し示している箇所の「平滑性」すら担保されない限り、このモデルの操作性は適切に仕上がりません(泣)

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。何しろ光学系第3群の3枚貼り合わせレンズの状況が、完全解体しない限り全く掴めないので、そのリスクが高すぎて扱う気持ちが失せました(涙)

・・今回の扱いが最初で最後です

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側もスカッとクリアで、極薄いクモリすら皆無です。

↑【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:9点、目立つ点キズ:6点
後群内:15点、目立つ点キズ:9点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:なし、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大2mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
光学第3群コバ端に僅かな浮きがあります。撮影した写真に影響は現れません。
(覗き込むとポツポツと白い領域が視認できます)
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。

↑9枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正九角形を維持」しながら閉じていきます (途中カタチが変わります)。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
距離環を回すとヘリコイドネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。
なお距離環を早めに回すと設計上の問題からトルクムラのような抵抗感を感じますが、操作しているうちに解消します(内部空転ヘリコイドと格納箇所の金属材の違いの影響)。事前告知済みの為クレーム対象にしません。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「美 品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
HAKUBA製MCレンズガード (新品)
本体『CANON LENS 35mm/f2《Sレンズ:第1世代》(L39)』
汎用樹脂製ネジ込み式M39後キャップ (新品)
社外品樹脂製被せ式前キャップ (中古品)
 クリーニング用ファイバークロス (新品)

付属した中古品の社外品被せ式前キャップは少々カパカパです(汗)

↑当方所有RICOH製GXRにLMマウント規格のA12レンズユニットを装着し、ライブビューで無限遠位置の確認等行い、微調整の上仕上げています。その際使っているのは「Rayqual製変換リング (赤色矢印)」です。無限遠位置は「∞」刻印ピタリの位置 (実際は厳密に言うと∞の左〇横辺り) でセットしています。
(写真に写っているGXRやA12レンズユニットにRayqual製変換リングは今回の出品物には含まれません)

あくまでも当方での確認環境を明示しているに過ぎません。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離35㎜開放F値f2.0被写体までの距離24m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度12m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、20m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の30m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)

↑当レンズによる最短撮影距離1m付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

被写界深度が厚いのが確認できます。背景のお城の階段付近で既にボケ量が増しています

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」での撮影です。

↑f値「f5.6」での撮影です。

↑f値は「f8」に上がっています。

↑f値「f11」です。

↑f値「f16」での撮影です。もう絞り羽根がほぼ閉じきっているので「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。