◎ Ernst Leitz Wetzlar (エルンスト・ライツ・ヴェッツラー) Summitar 5cm/f2《collapsible》(L39)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わりヤフオク出品するモデルは戦時中ドイツ
Ernst Leitz Wetzlar製標準レンズ・・・・、
Summitar 5cm/f2《collapsible》(L39)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時のErnat Leitz Wetzlar製「Summitar 5cm/f2」だけで捉えると2本目にあたりますが、実は前回の扱いが「一部解体品」の再組み立て作業だった為
実質的に「完全解体してのオーバーホール作業は今回が初めて」になります。

何しろライカ製品に関しては超初心者ゆえ、且つ高額品ばかりでサクッと調達入手できない
問題が立ちはだかり、なかなか経験値を積み上げられないのがリアルな現実です(汗)

そんな中で、今回注目したのは「戦時中の1942年製」と言う、製造番号から捉えた背景に触手が靡いたものの、年間で僅か5,500本しか生産できていなかった中の1本ですが、そもそも第二次大戦を乗り越えて、さらに戦後80年近くを生き存えてきたその「運の良さ」には
例え工業製品としても改めて感銘を受けた次第です(涙)

・・しかも1942年以降の製産は、戦後を待たなければなりませんでした。(涙)

その意味でも、今回の調達に際し「ノンコーティングへの魅力」が相当大きかった点は隠せ
ません (1946年以降シングルコーティング層が蒸着されます)(汗)

確かにオールドレンズはその実装光学系に纏わる開発背景や当時の世情など含め、そのロマンが尽きません。さらに個体別に経年に耐えてきた顛末など、当然ながら決して知り由もありませんが「そこに想いを馳せられること自体に価値が在る」と・・当方には今ドキのデジタルなレンズとは全く別次元の光学製品としてしか捉えられないのが、世俗一般の皆様とは違いそれこそ白い目で睨まれつつも異端児的な物の考え方だったりします (スミマセン!)(汗)

逆に言うなら、今ドキのデジタルなレンズの緻密で精細で収差による破綻のない描写性に・・
何ら魅力を感じ得ません(笑)

もっと言うなら何処ぞの「CO◯INAとか言う光学メーカー」の、CARL ZEISSとか、VOIGTLÄNDERとか、それら商標権を手に入れておきながら、かつての光学設計を完全無視し続けた描写性の製品群を発売し続ける企業姿勢に、ほとほと呆れ果てている次第です(笑)

今ドキの緻密で精細で情報量過多の画を生み出す光学設計を狙うにも、せめてその母体たる (最低限モデル銘を継承しているなら) 始祖の光学系から受け継ぐ「性格や個性、クセ」をちょこっとでも体現化すれば良いものを、相変わらず何年経っても自社レンズを名前を取っ替え引っ替え発売しまくっているだけで、なんとも商魂逞しすぎて節操なく腹が立つのを通り越して呆れるばかりです(笑)

そういう卑しい精神性だから、Bertele様に「日本人は嫌いだ!」と言われてしまうのです(涙)

そんな中でライカ製品だけは戦前ドイツから延々と粛々と続く一貫した理念に基づき、昔も
今も製品を世に送り出し続けているからこそ「至高の存在」なのだと思います (私の人生では一つも買えませんが)。

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←先に1932年に発売していたレンジファインダーカメラ向け標準レンズ「Summar 5cm/f2」の後継品として1939年に供給が始まったのが最初のようです。
(但し製造番号表をチェックすると1938年から割り当てされている)

今回扱う個体は 色付した1942年の生産個体です。

以降おそらく軍需生産に切り替えざるを得ず「Summarex 85mm/f1.5 (500本) とElmar 50mm/f3.5 (1,000本)」しか戦時中には製産していませんが、これらでさえ軍の要請で
広報撮影用に使う軍の備品として造っただけの話かも知れません。運が良ければ市場流通品で他のモデル含め、当時の軍用備品が入手できるチャンスに遭遇するかも知れません(笑)・・「Heer (ドイツ陸軍)」に「Luftwaffen Eigentum (ドイツ空軍)」そして「W.Haven (ドイツ海軍)」など鏡胴に必ず刻印で記されています。

それにしても同じ「陸軍/空軍 (日本は航空隊)/海軍」にしても、ドイツ語になると何だかそれだけで格好良く聞こえてくるから不思議です(笑)

そういう探し方から捉えるなら、今回扱った個体は民生品として流通していた当時の個体だったことが分かり、いずれにしても相応に裕福な人の手に渡り、戦時中の空襲すら免れつつ戦後を生き抜いた1本だったと言えそうです(涙)

右の図は当時のレンジファインダーカメラ「Leica IIIf」に装着した「Summitar 5cm/f2 (collapsible) (L39)」です。「collapsible」は「沈胴式」の意味ですね(笑) もしも海外オークションebayなどで沈胴式モデルを探す場合必須の検索文字になるので、知っていると便利でしょう(笑)

逆に指摘するなら、日本人は「沈胴」とレンズ自らの動きに焦点を当てるのに対し、外国人は「折りたたむ」とレンズに施される操作に焦点を当てている違いが面白かったりします(笑) これは例えば「のこぎりを引いて切るのか、押して切るのかの違い」と似たような話で、要は「自分主体の概念世界 (外国)」なのか「他人主体の概念世界 (日本)」と言う、まるでニッポン人感覚が透けて見えてくる話だったりします(笑) そういう部分から捉えてみると「今ドキの
世界規模のニッポンブーム
」も何となく理解できますし、そこに来て「Disney+でSHO_GUN
:将軍が、エミー賞18部門総嘗めの史上初
」と、おそらく今後数年内に「日本の時代劇の新時代が始まる (要は海外に打って出る)」との予測すら既に現実味が増しています(笑)

これは「英語のセリフが当たり前の世界で、日本語で話し、視聴者に英語字幕を」と言う偉業を成し遂げた真田広之は、おそらく日本の映画史に名を残すと思いますね。それ
こそ時代劇のみならず、日本映画が今後世界に羽ばたく新しい時代に突入することを示唆しているようにも思います(涙)

また合わせて同時に、ニッポン人女優のちょっとした仕草や表情などもまるで火が点いてしまったようで(笑)、フジフジ・・こと女優 穂志 もえか のセリフ「お引取りくださりませ」を
外国人が舌をかみながら一生懸命発音している様がバカウケだったりします(笑)

すると近年今までの漫画文化やアニメ、或いはJ-POPに加えて、なんとも自分達の足元たるお家芸「日本の映画/ドラマ文化」がそのまま、字幕で世界に広がっていく時代が来るのかも知れません(笑)・・そんくらい英語圏での字幕視聴はショッキングな話だと思います!(驚)

そしてこのニュースのさらに真髄は「真のニッポン文化に外国人が飢えまくっている」要素であり、世界で唯一無二の凡そ2,600年以上の歴史が続く皇族の存在と、そこに在るが儘に佇むニッポン文化の歴史的街並みや神社仏閣、民俗芸能や習慣、匠の芸術や職人技など、もっと言えば街なかを歩けば自販機にぶつかるが如く(笑)、盗難を気にせず治安維持が永続的に守られ続けている世界に、それらアニメや映画の世界だけで終わる話ではない「リアルな現実に繋がっている異次元感」こそが、まさに「世界で唯一の観光地」たる所以ではないでしょうか(汗)

日本人に帰化する外国人が増える中、その一番の理由が「子供を育てるのに世界で一番良い
環境だから
」に、同じ親として至極納得感が憑き纏うのは、はたしてどうなのでしょうか(笑)
子供達だけでワイワイ騒ぎながら、それでもちゃんとシッカリ交通安全しながら通学している様に、驚愕し感激しまくっている外国人が後を絶ちません(笑) 私達には普通な日常が、実は世界では「異世界丸出し」に映るのがニッポンなのです(笑)

・・新しい時代が到来し、日本人俳優がさらに活躍の場を広げることを期待します!(祈)

↑当時の沈胴式として開放f値:f2の標準レンズだけでその変遷を示すなら上の写真になり、左から順に「Summar 5cm/f2 (L39)(1932年〜1939年)」に今回扱う「Summitar 5cm/f2 (L39)(1939年〜1953年)」後継機 (右) の「Summicron 5cm/f2 (L39)(1953年〜1963年」
です。

なおご覧のとおり「SummarSummitar は途中まで大陸 (欧州) 絞りを採っていた」為に、絞り環の刻印が「2.23.24.56.312.5」なので、ちょっととっつきにくい
かも知れません(笑)・・戦後1946年以降一般的な国際絞りに統一されています。

←またSummitarの絞り羽根は「発売当初から平型絞り羽根で10枚実装」であるものの、どのような理由で退化したのか「???」ですが、1950年以降「歪曲型6枚絞り羽根」に設計変更しています。
当方ではこの全方向に丸く曲がった/歪曲した絞り羽根を指して「カメレオンの目」と呼んでいます(汗)

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これら1932年発売の「Summar 5cm/f2 (L39)」や今回のモデルの実装光学系を開発したのは、1912年Ernst Leitz Wetzlarに入社した、ポーランド生まれの物理学者/数学者「Max Berek (マックス・べレク)」氏です。偏光顕微鏡の開発などを手掛ける中で、3群5枚のアナスティグマートな「Elmax 50mm/f3.5」を開発し (Ernst Leitz Max Berekによる
造語
)、その後に3枚玉トリプレット光学系の欠点を補うべく発明に進んだようです。

↑1928年から申請していった特許出願申請書を順に掲示しています。

Max Berek (マックス・べレク) 発明3群6枚ヘクトール型 (独国)
DE526307 (1928-12-25)』ドイツ特許省

3群4枚テッサー型光学系、ひいてはエルマックス型からの派生型とも考えられるでしょうが
しかし詰まるところその基は、英国のHarold Dennis Taylor (ハロルド・デニス・テイラー) が
1893年に発明した3群3枚トリプレット型光学系の改良/改善から派生していった発明だと思います。

しかも各群を貼り合わせレンズ化してしまうと言う、他に類を見ない特異な光学設計です・・色消し効果でヤっていることは分かるのですが、如何せんフレアの発生率が高くなかなか厳しい状況だったようです (コントラスト低下を招く)(汗)

Max Berek (マックス・べレク) 発明4群6枚ズミルックス型の始祖??? (独国)
FR822753 (1936-08-13)』フランス特許庁

いくらドイツ軍による侵攻前にしても、どうしてわざわざフランスで特許出願申請する必要があったのかよく分かりません。後群側を3枚貼り合わせレンズにした、下手すればBertele様の1924年発明ゾナー型への通過点US1708863 (1924-12-09)』のような印象も受けますが、実のところ着眼点は全く違うようです(汗)

Max Berek (マックス・べレク) 発明4群6枚ズミタール型への通過点 (独国)
FR822694 (1936-08-15)』フランス特許庁

この1936年の特許出願申請は一部がフランスで行っているので、何故ドイツ国内で申請しなかったのかが謎です(汗) そもそもポーランド生まれであり、特に戦前の直前に当時のナチス政府からの要請を拒否したことから、1940年には役職を剥奪されてしまったようですから、その辺りの影響も何かあったのでしょうか (こちらの情報)。

Max Berek (マックス・べレク) 発明4群6枚ズミタール型の完成 (独国)
DE685572 (1936-08-16)』ドイツ特許省

いよいよ4群6枚ズミタール型光学系完成です。Summarからの改良含め、開放f値f2.0を狙って開発してきた点で、完成形ではないかとみられます。と言うのも1949年に亡くなってしまうので、Summitar後継品たるSummicron開発には携わっていないのですが、この
発明を継承した光学設計だったことは間違いありません・・もっと長生きして、さらに活躍
してほしかったですね(涙)

↑当方の手でトレースした光学系構成図ですが、右端の色付のみ今回のオーバーホールで完全
解体した際、光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。

左端は前述の特許出願申請書DE685572 (1936-08-16)』掲載図からトレースしています。すると光学系前群と後群の外形サイズがほぼ同一なので、実際に製産工程で使う光学硝子材ではない「発明段階の構成図」なのが分かります。

一方中央はネット上に掲載されている構成図から当方がトレースしました。とても製品版に
近い構成図なのですが、残念ながら第1群前玉のカタチが違います。さらに製品の後玉側から光学系内を覗き込めば一目瞭然なのですが(汗)、後玉のほうが光学系第3群の2枚貼り合わせレンズよりも外径が大きいです・・何故なら、第3群の締付環が見えるから外形サイズが大きい道理になりますね(笑) 従って後玉の大きさが違っており、これだとバックフォーカスが
長くなってしまいます(汗)

そして右端が完全解体してバラしてから各群を計測した実測値でのトレース図です。すると
光学系第1群前玉 (貼り合わせレンズ) の裏面側 色付した部分が他の構成図とは全く違って
いました(驚)

特許出願申請書もネット上掲載図も共に裏面側は「凹メニスカス」レンズですが、現ブツは
違っていて「両凹レンズ」だったのです(驚)

当方がトレースした右図を見ると、パッと見で裏面側が「凹平レンズ」に見えますが、実は計測値「▲0.03㎜」凹んでいるのです・・つまり表裏面で両方凹んでいるワケです。また光学系第2群の2枚貼り合わせレンズは、特許出願申請書の曲がり率と100%一致していました (但し外形サイズは小さい)。

そして 色付した後玉の外形サイズが大きく「光学系第3群 (貼り合わせレンズ):⌀ 19.13㎜」に対し「光学系第4群後玉21.19㎜」と言う実測値になります。

↑上の写真は今回のオーバーホールで取り出した光学系第1群前玉の、2枚貼り合わせレンズをヒックリ返して撮影しています。当方の写真スキルが皆無なので(汗)、上手く撮れていませんが
裏面が極僅かに歪曲して凹んでいるのが分かるでしょうか (ミニスタジオの写り込みが、円弧を描いて歪曲しているのを見れば分かります)???

当方は「プロにもなれず、マニアすらなれなかった整備者モドキのクソな転売屋/転売ヤー」との話なので(笑)、「公然と平気でウソを拡散し続けている」と某有名処コメント欄で誹謗中傷され続けている始末で(泣)、仕方ないのでちゃんと『証拠写真』を載せて解説しなければイケナイみたいです(笑)・・イチイチ面倒くさい(笑)

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↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
左端から円形ボケの確認としてピックアップしています。そもそも標準レンズの為、円形ボケはそれほど大きく表出しませんが、それでもちゃんと円形ボケとして維持できているのが
さすがの光学設計です。しかしすぐに収差の影響を受けて (口径食も盛大に影響を受けける) 歪なカタチに変わります。

そして何よりもグルグルボケが背景で騒がしく現れるのが特徴的でしょうか・・。

二段目
そのグルグルボケに収差の影響が極端に増大していくと、この段のような「独特な雰囲気を
残す収差ボケがとってもステキ
」と言う、当方は或る意味この収差ボケのほうがこのモデルの魅力として強く感じ入りました(汗)

いわゆる「ザワザワと煩い粗さばかり目立つ背景ボケ」ではなく、あくまでも芸術的に官能的に表現し得るこの収差具合に、言い知れぬ魅力を感じます(笑)

その意味で、当方はむしろ「滲みの表現性よりも収差の表現性のほうに注目したいモデル」として受け取りました。

三段目
ところが、ご覧のようにピント面の鋭さ感は、さすがSummicronを彷彿します(驚)「彷彿し
ます
」と言うよりも、こちらの光学系のほうが先の開発なので、この表現性を継承し、さらに追求したのがSummicronと捉えるのが道筋なのでしょうが、この「それでいて繊細感に曖昧さが残る正確性が堪らない」のです(涙)

Summicronのように完成の領域に入った「繊細感」ではなく、何処となくもう一つも二つも
何かが足りないような、そういう消化不良的な繊細感なのに「それを表立って表現しきらない奥深しさ的な控えた表現手法の光学設計」に唸りました(笑)

コントラスト低下も酷くなく、かと言って決して異質感を伴うコントラストの乗り具合では
ない、あくまでも自然な印象に仕上がる発色性がステキです!

四段目
この段では特にポートレート撮影をピックアップしてみましたが、何なんですか???・・
この写り!(驚) 標準レンズでこの写りでポートレート撮影をこなしてしまう時点で「!!!」です(笑)

人物の表情はもちろん細かく極々僅かにソフトフォーカスが掛かっているが如く残してしまう写り具合にオドロキです。そして動物毛もご覧のように「猫毛のフワフワ感」がまるで目の前に居るかのように映るのが凄いです!(驚) 当方は猫毛で喉が引っかかるのが大嫌いなので(汗)
この写真を見ただけで気分が悪くなりました(笑)・・それほどリアルなのです。

いわゆる今ドキのデジタルなレンズのように緻密すぎる切迫感が全く無い中で、しかしリアルなのです(驚)

この「程よい先鋭感と言う鋭さ感」が当方のような人間にはちょう度よい印象です(笑)

五段目
ここでは被写体の材質感や素材感を写し込む質感表現能力の高さと、そこから背景のボケ具合との反応により醸し出される「空気感」の要素について、その受けた印象からピックアップしています。するとやはり「ちょっと足りない感」が影響するのか(笑)、ここでも明確な「空気感」の表現性は、後に登場するSummicronよりも劣る印象です。

六段目
たぶん、おそらくはこのモデルの収差から来る「まさに滲みの表現性」が色濃く影響しているのだと推測しますが、それに呼応してやはり中間調のグラデーション表現が相当滑らかに見えます。下手にストンと黒潰れに堕ちず、イキナシ真っ白に白飛びせず、意外にも相当踏ん張って頑張っている明暗部の耐性を持っている光学設計と受け取りました(驚)

そして一つ感心したのは、その性格/性能が白黒写真だけに限定せず、カラー撮影でも活かされ続けている点を以て、素晴らしいと感動しました。

七段目
この段では標準レンズなのですが、どういうワケか気になってしまいパースペクティブをチェックしています。多少堤形寄りかも知れませんが、この当時の光学設計で、これだけパースペクティブをしっかり維持できているのは想定外でした。要は歪も率がだいぶ少ないのかも知れませんが、なかなか使いでがある標準レンズです(驚) 右端は被写界深度を調べています。

八段目
ここでは光源や逆光耐性をチェックしていますが、意外と耐え凌いでいる部類に入るのではないでしょうか???・・特に3枚めの洋上からの撮影写真は「もう少し工夫するとまるで絵画的な作品に (フィルター処理を使って) 仕上げられそうなくらい」の懐古的な復古的なレトロチックな写りを残します(驚)

・・こういうの、好きですね(笑)

総じて「何かが足りない的な感じ」のもう一歩感が、当方には琴線に触れる写りとしてその
表現性に期待値大になるモデルの一つです(笑)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。ライカ製に限らず、この当時の「沈胴式モデル」なので、ご覧のように内部構造は非常に簡素で、且つ構成
パーツ点数も少ないです。

一見すると「初心者向け」のようにも見えてしまいがちですが(笑)、実はその微調整と「確かにその位置で良いのかどうか???」との判定には、残念ながら相応のスキルを要するモデルです(汗)

従ってこのモデルを完全解体してバラした時に「内部に過去メンテナンス時の痕跡が残っていた場合」には、その時の整備者には、既にライカ製オールドレンズを幾つか手掛けている経験者たる素養が必須になります(汗) 逆に言うと、その内部に残っていた痕跡を辿ることで・・
その整備者の素養を確認できる」ワケで、こればかりはどうにもこうにも隠しようがありません(笑)

調達時の内容としては「程度不良品」とのことで、光学系内にクモリが残るのを確認済で、且つ絞り羽根がほぼ固着に近い状態なのも推察が適う説明でした(汗)・・総じてあまり手放しで喜べない状態の個体であることは事前に察しがついていましたが、届いて現ブツを確認すると「いやぁ〜、これは酷い」と、ちょっと調達をミスったかと焦ったほどでした(涙)

・・例えSummitarと言えども、当方には高額品の範疇なので必死に整備するしかない!(笑)

と言う、まさにリアルな現実に「背水の陣」を張ったところで御座います(笑)

《当初バラす前のチェック時に気になっていた内容》
極僅かにオーバーインフ状態で、無限遠位置は∞刻印の僅かに左位置 (GXRで確認)。
無限遠合焦を調べるとピント面の鋭さ感があまりにも少ない印象が残る (開放撮影時)。
距離環を回すトルクが重すぎる、トルクムラも出ている。
距離環のツマミロックが硬すぎてロック/解除で指が痛い。
 絞り環操作は調達時説明通り硬くてほぼ動かない (絞り羽根の開閉はOK)。
絞り値基準マーカーが “●” と “|” の2つ有り、互いに位置がズレている (どちらかが偽物)。
光学系内は薄いクモリが各群に残り、且つ拭きキズや汚れが酷い。
沈胴筒が一切スライドせず沈胴できない。
マウント部の爪ロック/解除が非常に硬くて操作し辛い。

《バラした後に新たに確認できた内容》
空転ヘリコイドの空転レベルが酷く重すぎる。
絞り環や鏡筒にグリースを塗布しており、相当に錆びついている。
ネジ類や締付環などを徹底的に硬締めしている。
 光学系にはコバ端含め執拗に厚塗りで反射防止黒色塗料が着色されている。
 光学系格納筒や鏡筒内壁、鏡胴など不必要な箇所にまで反射防止黒色塗料を塗りまくり。
そもそも光学系の光路長が全く確保されない整備手法で仕上げられている。
 総じてプロの整備者の手による所為ながら、完璧にグリースに頼った整備丸出し状態。

・・と、これでもかと酷い有様で、よくもまぁ〜ライカ製オールドレンズにこのような仕打ち/整備を施して、公然と平気で市場に流すものだと呆れるのを通り越すようなレベルです(汗)

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話が反れますが、当方には或る一つの認識が完成しており「一般民生用のオールドレンズも、プロ向け機材たる中判向け光学製品も、詰まるところ同じ土俵製品」と受け取っています。

これは新品で販売されていた頃の話ではなく、今現在の話として認識している内容です。フィルムカメラ側のほうは詳しく知りませんが、少なくとも一般的なオールドレンズや中判向けのレンズ機材は「内部構造こそ違えども基本概念は100%互いに同一」であることを完全解体してバラしている経験値から確信を持って指摘できます (中古品を対象にした話)(笑)

確かに新品でまだ現役で発売していた頃の時代なら、その製品化に向ける投資や研究開発など相応のコスト回収が責務になりますが、何十年も経って市場流通している中古品に限って、そこにコスト回収もクソも有りません(笑)

すると、では「どうして今現在も市場流通品の、特に中判向けレンズ側は相変わらず割高な
ままなのか
???
」と言う大きな大きな疑問にブチ当たります(笑)

まさにここがポイントです!(笑) 中判向けレンズもバラしてしまえば、何一つ一般向け民生用オールドレンズと100%変わらないのです(笑) 要はオールドレンズも中判向けレンズも同じ土俵の製品であり、それにもかかわらず「どうして中判向けになると高額で当たり前に流通し続けているのか???」と言う話になります(笑)

・・誰か返答できますか???(笑)

その答えはたったの一つ・・「割高な価格で仕入れてしまったから、利益を乗せて割高で売るしかない!」であり、要は新品で流通している時代の頃の価格設定がそのまま生き残って継承し続けているから「割高な価格帯で今現在も相変わらず流通し続けている」だけの話です(笑)

しかしここには或る一つの企みが隠れていて「中判というプロ向け機材だから割高でも納得して売れていく」と言う、人情を逆手に捉えた営業サイドの企図が見え隠れしています(笑)

当方からすればそこにはオールドレンズや中判向けと分け隔てる要素が一つもないと受け取っているのに、その一方で皆さんは相変わらず「高くても中判向けだから」と買っていきます。

これが「消費者心理」であり、確かにそのように考えて割高ながらも一生懸命買っているのは分かりますが・・それ、間違ってます(笑)

同一光学メーカーの範疇でチェックするなら、オールドレンズだろうが中判向けだろうが内部構造が大きく変わったり、事細かく仕上げ処理が変わったり、何かしらプロ向け機材を見越して特別に仕上げられている話には100%の勢いで繋がっていません(笑)

・・それをそのようにひたすら信じて大枚はたいて買っているのは皆さんの思い込みです(笑)

真に正しいのはこういう話です・・もっと足元を見据えるべきで、光学メーカーの設計概念や企業理念は、一般向け/プロ向けの分け隔てなく、共通的に同一であることを認識すべきです。

NikonならNikon製品に今も昔も一貫した設計思想と理念が顕在し、それに基づいて製品化
されます。そこに一般向けもプロ向けも分け隔てがないのです(笑)・・そんなの、言われれば確かに至極当たり前な話だと思いませんか???(笑)

重要なのはそのメーカーの設計思想であり理念であり、企業姿勢なのではないかと思います。それがライカ製オールドレンズと他の多種多様な一般光学メーカー製品との大きな、本当に
大きな違いです。

例えばとっても小さな要素の話ですが、レンズ銘板と前玉の間に「紙環」を挟んでいた光学
メーカーは、当時も今もライカだけです(笑) 絞り羽根の厚みをとんでもなく肉厚にして、
さらにプレッシングする「キー」の金属棒まで確実にプレスしていたのも、やはりライカだけです。

重要なのは一般向け/プロ向けの話ではなく、設計思想であり「製品造りに対する企業理念」そのモノなのではないかと言いたいのです。だからこそ未だにLeicaは世界各国の主要メンバーからサポートを受けつつ、その企業存続に身をもって製品として体現を続けているのだと信じてやみません(涙)

・・製品に対する付加価値とは一体何なのか??? そろそろ気づくべきですね(笑)

従ってお金を払うべきは「その中身であり質なのではないか???」と言いたいのです(笑) 中判向けだから割高価格で、今ドキも中古品を一生懸命買う必要はないと思いますね(笑)

そしてそろそろ販売サイドも、そういう低俗な目論見を捨て去って「真に商いし始めると、自然に自ずと固定客がつき、凡そ2割〜3割の顧客だけで将来的な運営すら成り立っていく」と言う法則に安寧を得られるのです(笑)

・・当方はマジッにそう信じて、ただただひたすらに真面目に真っ正直にヤルのみです(笑)

万一後で評価されたとしても、その時当方はもうこの世には居ません・・意外とそんなもんです! 正直者がバカを見るのは、いつの時代も不変なのが世の常でしょう(笑)

と言いながら、未だに金欠丸出しで貧乏暇なしなのは変わらず、時間だけが過ぎていきます(笑)

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話を元に戻します。要はバラしてみれば何のことはなく、このモデルを解体してヘリコイド
グリースを入れ替えたり「空転ヘリコイド」にグリース注入できるスキルなので、間違いなくプロの整備者であるものの、全く以て勘違いしまくりで「グリースに頼った整備」に見てくれの良さばかり追求し「ごまかしの整備」に終始する様は、マジッで低俗極まりない話です(笑)

↑上の写真は、当初バラす前に撮影した絞り環と絞り値の基準「●」マーカーの拡大写真です。赤色矢印で指し示している箇所のマーカー刻印「●」が製産時点であり設計の刻印になりますが今回の個体はもう一つ別のマーカーが用意されていて、グリーン色矢印箇所に「黒色の縦線」があります(驚)

しかもその位置に絞り環の刻印絞り値が合致して仕上げられています (グリーン色の矢印位置で絞り環は突き当て停止する)。

本来は赤色矢印の「●」位置で突き当て停止するべきで、どうしてズレているのか、或いはどうしてワザワザ基準「|」マーカーを用意して、そこに合わせているのか「???」です・・これは何かありますね(怖)

↑バラしてから溶剤を使い一度格納筒だけを洗浄した後に並べて撮影しています (光学系の清掃作業はまだ未実施)。赤色文字が光学系前群を意味し、ブルー色文字が光学系後群です。

グリーン色の矢印で指し示している方向は前玉の露出面側方向を表しています・・従って後群側は絞りユニットを境に向きが反転する為、それに合わせてグリーン色の矢印も逆転している次第です。

↑今度は各群をヒックリ返して裏面側を撮影しています。第2群のフチをご覧頂くと分かりますが、前述の絞り環に対する基準「●」マーカーがズレて2種類備わるのが、この群のフチ/格納筒の外周だったのが分かると思います。

するとここから考えられる話は「この第2群をネジ込む際の締め付け具合で、これら2つの
基準マーカーの位置もまた変わっていく
」話になる点を、お気づきでしょうか???(笑)

こういう要素も「観察と考察」であり「原理原則」に則れば、自ずとその答えが導き出され
ます(笑)

↑同じ写真ですが、今度は赤色矢印で光学硝子レンズのコバ端部分に着色されていた「反射
防止黒色塗料
」を、溶剤を使い徹底的に完全除去した状態で並べて撮影しています。

さらに当方の手による『磨き研磨』も既に終わっているので、ご覧のように各群はピッカピカに戻っています(笑)

↑冒頭で一度説明した光学系第1群前玉の2枚貼り合わせレンズをヒックリ返して撮った写真
ですが、裏面側が極僅かに凹んでいるのが分かるでしょうか・・既に「反射防止黒色塗料」を除去済みです。

1枚めがバラした直後の洗浄しただけの状態で、2枚めの写真が『磨き研磨』後であり「反射防止黒色塗料」除去後です。

↑こちらも同じ順番で撮影していますが、光学系第2群の2枚貼り合わせレンズです。赤色矢印で指し示している段差部分に、一つ前の光学系第1群前玉がネジ込まれて入ります。2枚めの写真が当方による『磨き研磨』後の撮影です。

また第2群の光学硝子レンズ直前に広がる「黒色遮光環」部分まで「反射防止黒色塗料」で
塗りまくられていたのが判明した為、完全除去しました(笑)・・するとご覧のように「やはり製産時点からダークメタリックのメッキ加工」であったのに、見てくれの良さから過去メンテナンス時に「反射防止黒色塗料」を塗ったくっていた所為が分かります(笑)

・・どうして製産時点のままではイケナイのでしょうか??? 誰か答えて下さい!

どうして執拗にこのように述べるのかと言えば「前玉もこの第2群も薄いクモリは反射防止黒色塗料のインク成分だった」からであり、どうしてそういう余計な不必要な所為を行うのかを問い正しているのです。

・・皆さんが、迷光迷光!と騒ぐからこうなります!

確かに過去メンテナンス時整備者の「自己満足大会」ですが、そもそもは「見てくれが良ければ高く売れる」との土壌を今もなお広げまくっているから、整備者に差別化の一環として目をつけられてしまうのです(涙)

こういうのって、なんだか悪循環しているとは・・思いませんか???

整備会社に整備を依頼するにも「不必要な反射防止黒色塗料の着色はやめてほしい」と、ちゃんとご依頼者様が伝えないから、今も変わらずこういう状況が延々と続きます(涙)・・いずれ蒸着コーティング層が耐えられなくなり、除去できない薄いクモリになって、最後は「製品
寿命扱い」
へと堕ちていきます(涙)

↑こちらはバラした直後の光学系第3群2枚貼り合わせレンズの写真で、写真上方向が後玉側方向です。ご覧のように相当な突出で曲がり率が備わるのが分かると思います。

一部光学系格納筒金属材の黄銅材の地が微かに現れていますが、やはり「反射防止黒色塗料」で上下表裏面で執拗に厚塗りです(汗)

↑こちらは距離計連動ヘリコイドですが、同様2枚めが『磨き研磨』後です。

実は1枚めの赤色矢印箇所に「反射防止黒色塗料の粉や欠片が侵入し、黄銅材の金属質に擦り込まれていた」部分を指し示しています(汗)

この赤色矢印で指し示している箇所は「空転ヘリコイドの格納場所」になるので、なによりも「平滑性の担保が必須条件」なのに、こういう始末です(涙)

しかも2枚め写真は既に当方の手による『磨き研磨』が終わっているものの、擦り込まれてしまった「反射防止黒色塗料のインク成分」がまだ完全除去できず残っています。

それには理由があり「下手に磨きすぎて寸法公差を広げすぎると、空転ヘリコイドと内壁が
カジリ付現象を生じてしまいトルクムラが現れる
」からこそ、磨きすぎないところで作業を
止めているのです。

グリースを塗れば何でもかんでも平滑性が確保できると「グリースに頼った整備」ばかりしているから、こう言う話になります(涙) 上の写真を凝視すれば一目瞭然ですが、黄銅材の金属質の内部に侵入してしまった/浸透してしまったインク成分なのが、目で見て確認できると思います・・これこそがリアルな現実です。

・・どんだけ「反射防止黒色塗料」が罪深き存在なのか、分かりますか???

結局、この黒色に筋が付いている箇所は、空転ヘリコイドと黄銅材同士が擦れ合って「平滑面であるハズだったのに摩耗している箇所」だからこそ、削れて筋が残っているのです。いったい何の為に設計者がワザワザここに「空転ヘリコイド」を配置したのか、全く以てそこまで
何も考えずに、ひたすらにグリースを塗りまくっているバカです!(怒)

正直な話、この空転ヘリコイドの平滑性如何でこのモデルの距離環を回すトルク感は決まってしまうので、当初バラす前時点でトルクムラが現れていたり、重かったりしたのは、至極当然の成り行きで納得なのです(笑)

↑今度は鏡筒です。同様2枚めの写真は『磨き研磨』後です。1枚め写真で赤色矢印で指し示している箇所の焦げ茶色は酸化/腐食/サビです(驚)

この場所に絞り環が被さり回転するので、そこにグリースを塗り続けるからこういう結果に
到達します(汗)

↑その上から被さる絞り環もこんな感じです(笑) 同様赤色矢印で指し示している箇所は酸化/腐食/サビです。

いったいこういう「グリースに頼った整備」をする作業を指して、どうして「整備している」と言えるのでしょうか??? どうして皆さんは、こういうグリースを塗ったくる整備ばかりを望むのでしょうか???

・・だから50年後にはオールドレンズは半減以下まで激減していると執拗に述べています!

どうせ当方はもう居ないので構いませんが(笑)、おそらくは光学硝子レンズすら存在しない/
必要としない時代が訪れていて、誰一人見向きもせずに、ただただ朽ちていくのを待つだけのオールドレンズだけが残っている時代なのでしょう(涙)

それはそうです! 50年後はきっとシステム的にアプリで自由自在にピント面やボケ具合、或いは光学設計まで指定して再現画像を表示でき残せる時代に変わっているハズです(笑)

そんな時代に、ワザワザ自分の手で掴んでピント合わせしつつ撮影したいなどと考えるバカは
当方ぐらいしか居なかったと言う話でしかありません(笑)

・・独りこだわり続けても、何の価値にも至らないのがリアルな現実の当方の存在です(笑)

↑鏡筒内部に組み込まれる絞りユニットの、上の写真は「開閉環」をヒックリ返して裏面側を撮影しています (前玉のほうから光学系内を覗き込んでも見えない面)。

赤色矢印で指し示している箇所には古いグリース (薄い緑色) が残っており、左側の半分は既に当方の手により洗浄して除去済みです。するとこの「薄い緑色のグリース」を一体何処の会社が使っているのかと言えば・・何処なのでしょうか???(笑)

普通一般的には近年多いのは「白色系グリース」でありもちろんホワイトですが、その一方で当方が使う「黄褐色系グリース」はイエローとしても、実はグリースに添加剤を混ぜて色付しているだけなので、どんな色合いにでも製品化できます。

またグリーン色の矢印で指し示している箇所は鏡筒内壁と擦れ合って摩耗してしまい黄銅材の地が現れている場所です。するとこの「開閉環」は経年劣化進行に伴い酸化/腐食/サビが進んでこのような色合いに到達していたと結論できます(笑)

2枚めの写真は既に『磨き研磨』が終わり、ちゃんと「エイジング処理」まで終わっているため、この後すぐに数年で酸化/腐食/錆びが生じたりしません。もちろん「平滑性の担保」すら終わっているので、このままグリースなど塗らずに組み込むだけです(笑)

↑同じ「開閉環」をヒックリ返して前玉側方向から光学系内を覗き込んだ時に見える側を撮影しました。中央黒っぽい箇所のみ「製産時点でメッキ加工が施されている」ので『磨き研磨』してもちゃんとそのまま残っていますね (メッキを被せているのだから当たり前です)(笑)

↑この「開閉環 (左)」は、右の「光学系第2群」の上からスッポリ被さりますが、こんなピッカピカに磨きまくったら、いくらなんでも「さすがに迷光の影響が現れる (つまり悪影響)」と皆さんは面と向かって言います(笑)

↑ならば上の写真を見て説明して下さいませ(笑) どうして赤色矢印で指し示している箇所に
光学系第2群のコバ端が直近まで差し迫って来ているのでしょうか??? どうしてグリーン色矢印で指し示している箇所は、光学系第2群と互いに接触しているのでしょうか???(笑)

・・いったいこの何処に迷光!の影響が歴然と、言うのでしょうか???(笑)

↑上の写真は沈胴筒とマウント部の筒を互いにくっつけて撮影しているだけですが赤色矢印で指し示している「沈胴時のガイド/溝も連結している/繋がっている」のが分かります。

直進方向はこの沈胴筒が沈んで格納される分の長さを持っています。一方横方向のガイド/溝は「マウント部の爪がロックされる分の長さ」なので、鏡胴を横方向に回して爪がロックするのと同じ長さなのが理解できます。

要はこの「L字型」に操作する事で沈胴させたり、ロックさせて使う仕組みの設計です。

すると当初バラす前時点の確認時に「一切沈胴しなかった」原因はいったい何なのでしょうか???(笑)

ライカ製オールドレンズを扱い、さらにこのような「沈胴式モデル」を整備するプロの整備者なら当然ながら熟知しているべき内容なのに、過去メンテナンス時の整備者は知りませんでした(笑)

グリーン色の矢印で指し示している箇所は横方向のガイド/溝の終端です。先ずはこの位置を
ピタリと合わせてみます(笑)

↑この時に今度は反対側の「L字型で直角に曲がる箇所」をグリーン色の矢印で指し示しています。

↑さらに拡大撮影しました(笑) 赤色矢印で指し示している箇所がマウント部の格納筒側の分かれ目で、グリーン色の矢印で指し示している箇所が沈胴筒のガイド/溝の終端です。

・・分かりますか???(笑)

爪のロックを解除した後、鏡胴を回して爪を横方向に移動させても引っかかって沈胴してくれない原因は「グリーン色の矢印で指し示している箇所の極々僅かな出っ張り」が引っかかって沈胴しなかったのです(笑)

このことから「これら2つの部位のパーツで互いに合わせる位置はいったい何処なのか」について、ちゃんと「観察と考察」ができない整備者が、ライカ製オールドレンズの整備をヤッているのが明白です(笑)

↑ここからはオーバーホール工程の作業に入ります。絞りユニットは光学系前後群を格納する
鏡筒であり、同時に「沈胴筒」でもあります。真鍮製/ブラス製ですが赤色矢印箇所に経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビが残っています。

真鍮製/ブラス製に施されたクロームメッキ加工はとても薄いので『磨き研磨』も限界があり
ます (だから酸化/腐食/サビが完全除去できず、残ったままになっている)。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている

↑10枚の絞り羽根を組み込んで鏡筒最深部に「開閉環」をセットしたところですが、まだこの状態では「開閉環が固定されていない」為に、このままヒックリ返すと絞り羽根がバラけてしまいます(涙)

↑一分完成の鏡筒 (沈胴筒) を立てて撮影しました。写真上側が前玉側方向です。赤色矢印の箇所に絞り環からの化粧ネジが貫通して刺さることで、初めて「開閉環が固定される」仕組みであり、グリーン色のラインで囲った領域が「絞り環の駆動域」を意味します。

従って重要なのは「このグリーン色のラインの中の何処で開放f値f2なのか」或いは「何処で停止するのが適切な最小絞り値f1.25なのか???」と言う話になります。これを整備者はちゃんと理解している必要がありますね (当たり前ですが)(笑)

↑絞り環をセットしました。既に横方向から化粧ネジをネジ込んで両サイドで刺さっています。

↑光学系第2群をちゃんと光学清掃した後にネジ込みました。ところが相変わらず2つの基準マーカーがズレたままです。グリーン色の矢印がおそらく製産時点であるものの、偽りの基準マーカーは赤色矢印であり、やはりそこに「f2」が合致して突き当て停止してしまいます(汗)

↑光学系第1群前玉もセットしました (光学清掃済み)。これで「沈胴筒」完成です(笑)

↑ここからは鏡胴「後部」の組立作業に移ります。距離計連動ヘリコイド (左) とマウント部 (右) の組み合わせです。

↑それぞれを無限遠位置の当たりをつけてネジ込みます。基準「▲」マーカーにピタリと∞刻印 (赤色矢印) が合致するネジ込み位置は一つだけです・・つまり距離環の駆動域を微調整することは不可能な設計です。そしてブルー色の矢印で指し示している箇所に「空転ヘリコイド」が格納されます (既に平滑性を担保できている)。

ところがこのモデルで距離環を回す時のトルクを決めるもう一つのポイントがあり、赤色矢印で指し示している箇所のグルッと周る「距離指標値部分」は、グリーン色のラインで囲っているツマミがある箇所だけでしか繋がっていないのです(笑)

つまり距離環の凡そ3/4の領域が浮いている状況と言う設計なのです。従ってこの距離指標値部分が歪に変形すると、それも距離感を回す時のトルクムラや重くなる原因に繋がります(汗)

↑いよいよクライマックスです(怖) 「空転ヘリコイド (右)」とその空転ヘリコイドを封入する締付環「封入環 (左)」ですが、互いにグリーン色の矢印で指し示している箇所の平滑性担保が必須条件です。要は黄銅材部分総てが平滑である必要があります。

さらに今回の個体はブルー色の矢印で指し示している箇所にある「封入環のカニ目溝」にトラップを仕掛けられていました(泣)

↑空転ヘリコイドをヒックリ返して、今度はマウント側方向を撮影しています (だから爪のロック部分/受け部分が見えている)。同様グリーン色の矢印で指し示している箇所の全ての黄銅材に平滑性が必須です。一方赤色矢印の箇所には大きな丸穴でネジ穴が備わりますが、ここに
鋼球ボール+スプリングが入り、沈胴筒のガイド/溝を移動していくので「沈胴操作が実現できる」仕組みです。

つまり1箇所だけで保持する沈胴方式なので、この後のSummicronと違い、操作している時のチカラ加減では沈胴筒が傾くのは設計上の問題です (Summicronは沈胴筒の両サイドにガイド/溝が備わるので傾かない)(笑)

またブルー色の矢印で指し示している箇所にあるのは受け部に入った爪の停止位置になる突出が出ている場所であり、全部で3箇所存在します。

↑空転ヘリコイドを格納したところです。既に「封入環」で締め付け固定が終わっていますが、実は前述のとおり過去メンテナンス時の整備者の手によるトラップが仕掛けられており、赤色矢印のカニ目溝位置で「マウント部の受け側ネジ山をワザと故意カニ目溝方向に折り曲げていた」と言う、全く以て信じられない荒業です(驚)

ヤッている内容は「ネジ部を内側に曲げて封入環のカニ目溝をロックさせてしまう」手法であり、そんな所為は製産していたライカは絶対に設計しません。何故なら、後の時代のサービスレベルが担保できないからです(怖)

ネジ山を曲げるのは、確かにペンチのような工具を使い、強いチカラで摘んでしまえば曲がる軟らかさですから、それによって「封入環が固定されて経年でズレない/回らない/動かない」のは間違いありません。しかし真鍮材は軟らかいので、いつか折れてしまいます(怖)・・そんな設計をライカの設計陣は120%の勢いで採りません!(怒)

・・本当に自分だけ良ければいいと言う、酷い話です!(怖)

こういう所為がライカ製オールドレンズを整備しているプロの整備者の仕業なのです。

↑いよいよ最後の工程です。光学系後群格納筒、兼マウント部です。「沈胴筒」と連結することで機能する設計です。

赤色矢印で指し示している箇所に3箇所爪がありますが「この爪の固定位置は製産時点から
1本のイモネジで決まっている
」ので変更できません (つまり沈胴時も含め爪の位置は不変)。

グリーン色の矢印は沈胴時のロックを確実にするガイド/溝ですね(笑) するとこのガイドの位置がズレると「自動的に爪の位置までズレるから爪の位置に合わせざるを得ないはたしてガイド/溝はどのように沈胴筒と連結するのか???

さらにブルー色の矢印で指し示している箇所には「くの字型の溝」が全周に備わり、イモネジ3本を使い沈胴筒を締め付け固定できます。どうやらここで自由に沈胴筒の固定位置を微調整できる設計のようですが・・いえいえ、違います!(笑)

一つお忘れです!(笑) 例の沈胴筒に備わるガイド/溝の位置は上のグリーン色の矢印のガイド
/溝と連結する必要があります。はたして上手く連続して繋がり、スムーズに沈胴操作ができるように戻るのでしょうか???(笑)

最後の極めつけがオレンジ色の矢印で「光学系後群の格納位置」です(笑) はたしてこの位置で適切な光路長を確保できているのでしょうか???(笑)

詰まるところ、最終的にこのモデルの組み上げが適切に仕上がるのか否かを決定的に左右しているのが「このマウント部」なのだと言えます(笑) ここでピント面の鋭さ感まで変わってしまうとなれば、本当にもの凄い設計だと未だに関心です(笑)

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。冒頭で挙げた《当初バラす前のチェック時に気に
なっていた内容》
《バラした後に新たに確認できた内容》まで全てが完璧に改善済
です!(涙)・・ちょっと大変でした(汗)

唯一残る瑕疵内容と言うか、告知すべき話は「光学系第1群前玉裏面側の外周部分に、本当に極々微細な拭きキズやカビ除去痕が汚れっぽく薄く、本当に薄〜く僅かに残っている」だけ
です!(驚) 1942年下らの82年間を、よくもここまで耐え凌いだと、もぉ〜それだけで感銘しか残りません!(涙)

・・ご苦労様でした! そしてこれからもまだまだ活躍して下さい!(祈)

マジッで100年を先ずは目標にしてほしいてすね(笑) せいぜい残り20年足らずですから、十分狙える範囲内です(祈) そしたらもう一度優しい人の手に渡って整備を受けて、またさらに100年生き残ってくれれば50年先の半減以下の中の1本に含まれるハズです!

・・あぁ〜、なんて壮大な希望なのでしょうか???(涙)

↑光学系内はまるでウソのようにスカッとクリアで、当然ながらLED光照射でも極薄いクモリなど皆無です。ポチポチ見えるのは「気泡」で、どちらかと言うと少なめな印象です (この当時のBiotarなんかのほうがよほと多い)(笑)

気泡
光学硝子材精製時に、適正な高温度帯に一定時間到達し続け維持していたことを示す「」と捉えていたので、当時の光学メーカーは正常品として「気泡」を含む個体を出荷していました (写真に影響なし)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側もスカッとクリアで極薄いクモリが皆無です。何一つ告知すべき要素がありま
せん(汗)

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:15点、目立つ点キズ:10点
後群内:8点、目立つ点キズ:5点
・コーティング層の経年劣化:前後群なし
・カビ除去痕:なし、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前玉に極微細な薄い拭きキズ複数あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
(前玉外周寄り極々微細な薄い拭きキズ複数あり)
・光学系内に微細な「気泡」が数点残っています。当時光学硝子材精製時に一定時間規定の高温度帯を維持した「証」として捉えており、正常品扱いで出荷されていました。
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。

↑10枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根か閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感です。距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
距離環を回すとヘリコイドネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。
(神経質な人向けに誇張的表現で記載しています)
・沈胴筒のスライド操作は距離環内側の不織布を張り替えた為、スムーズ且つ軽い操作性に仕上がっています。またマウント部の爪も確実でムリなく軽い操作性でロック/解除ができます。
・距離環のツマミ変形を垂直状態に戻しています。またツマミロック時のクッション性はシッカリした感触に仕上げました。
・絞り羽根の開閉幅(開口部面積/カタチ/入射光量)と光路長の適正化やピント面解像度の向上含め簡易検査具でキッチリ検査しつつ微調整を施し本来在るべき姿として組み上げ終わっています。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
レンズ銘板のメッキが剥がれており一部残っている箇所もありますがキレイではありません。そのまま仕上げています(事前告知済みなのでクレーム対象にしません)。また筐体外装のクロームメッキ部分も剥がれ地の真鍮材が露わになっている箇所が複数あります。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
本体『Summitar 5cm/f2《collapsible》(L39)』
汎用樹脂製ネジ込み式M39後キャップ (新品)

告知すべき瑕疵内容は、無いと言ってしまっても良いくらいですが、ひいて言うな「光学系
第1群前玉裏面側の外周に残る極々微細な拭きキズと汚れ状のカビ除去痕くらい
」ですが、
そう指摘されて光にかざして光学系内を覗き込んで探せば見つかるレベルです(笑)

なにしろ冒頭の問題箇所たる総ては解消しきっているので「十分にMax Bereke開発の光学系を堪能できる」まさにライカ製沈胴式オールドレンズの一品です!(涙)

沈胴時のスライドも引っかかりなく滑らかになり、爪ロック/解除も軽い操作性で確実にシッカリ処置できます。距離感も全域でヌメヌメ感有りで(笑)、ピント面の前後微動は感動モノです。開放時は、ピントのピーク/山が少々明確に把握できない光学設計なので、距離感を回すトルクは僅かに軽め指向です。ツマミをロック解除したら (少々明確なチカラが必要です) むしろ距離環のローレット (滑り止め) を掴んで回したほうが楽かも知れません。

いずれにしても誰が見ても「1942年製???」と驚くばかりの仕上がりに到達しています
・・もちろん光学系も光路長も・・です!(笑)

当方はなにしろ技術スキルが低いので、先ずはこういうライカ製オールドレンズから始めないとイケマセン(恥)

SummarとSummicronに挟まれて影薄い立場ですが、そんな境遇も当方に似ていて哀愁誘い
ます(涙)

↑結局、マウント部の幾つもの微調整と共に光路長を徹底的に検査していったら、なんのことはなく光学系第1群〜第2群のネジ込みすぎでした(汗) ちゃんと赤色矢印のようにピタリと基準●マーカー位置で合致させましたが、固着剤を入れて固定しています (強く反対方向に回さないで下さい)。

1本目の扱いなのでまだ分かりませんが、もしかしたら「シム環」が間に1枚入ってピタリの位置に合致していたのかも知れませんが、この個体にはありませんでした (従ってやむを得ず
固着剤を注入しました
)(涙) フィルター枠装着時に強くネジ込んだりすると、外す際に一緒に回ってしまい光路長がズレるので要注意です。

ちなみに、やはりこの位置でピント面の鋭さ感が増幅し「さすがSummicronの前身」と納得の写りでした(笑)・・この実写検証から、やはり第2群と鏡筒との間に「シム環」が入っていたハズです(汗)

ちなみに当初あった基準「|」マーカーはマイナスドライバーで引っ掻いて除去しました。なんとマーカーでペイントした上からレジン液を被せて硬化させていました (つまり溶剤で溶けなかった)・・こうなると「まるで確信犯」であり、そういう「ごまかしの整備」を真剣にヤッている現状に、ホトホト恐れ入ってしまいます(汗)

↑沈胴操作も確実でスムーズに戻り、チカラを入れる必要もなく引っかかりもありません(笑) 頗る好調な操作性です!(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置から改善/ほぼピタリ位置)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離50㎜開放F値f2.0被写体までの距離49m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度24m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、30m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の50m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)

無限遠位置などピント面の鋭さ感も含めRICOH「GXR」にA12LMマウントユニットを装着しピッタリの位置で微調整し (∞刻印の中心から0.3mmほど左位置)(笑)、α7IIでマウントアダプタ経由 (K&F CONCEPT製) では20m刻印右より辺りです。

何方かお心優しい方に是非とも復活したこのSummitar 5cm/f2《collapsible》(L39)』に、今一度活躍の場をご提供ヨロシクお願い申し上げます!(涙)

・・もう一度頑張って、逝ってこい!(涙) さようなら。

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なお、このモデルのフィルター枠はレンズ銘板の最下部、奥まった箇所にネジ山があるため、専用のスリップオン・エクステンション環「SNHOO (13 078Y)」を使う必要があります。

カタログは「Slip-on」表記ですが、実際は被せ式ではなくネジ込式で「E36.5E39」への変換エクステンション環です (⌀39mmのフィルター装着可能)。純正品にしても中国製にしてもアルミ合金材削り出しなので、本体オールドレンズ側の真鍮材/ブラス材とは金属材が
異なり、その金属質の質感の違いが分かってしまいます (まぁ〜、仕方ありません)(汗)

その代わり、同じ平目模様ローレット (滑り止め) なので、外観的には凹凸もなく同一デザインで統一する印象に仕上がります・・許してあげましょうね(笑)

オリジナルはなかなか入手できないので (海外オークションebayで現在1万円超え)、お安く
済ませたい方は中国製に頼るしかありません (こちらの海外オークションebayで2千円弱)。

↑当レンズによる最短撮影距離1m付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.2」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f3.2」で撮りました。

↑f値は「f4.5」に上がっています。

↑f値「f6.3」での撮影です。

↑f値「f9」です。そろそろ絞り羽根がだいぶ閉じてきているので「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

↑最小絞り値「f12.5」の撮影です。