◎ OLYMPUS (オリンパス) OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-S 50mm/f1.2《後期型》(OM)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、OLYMPUS製
標準レンズ・・・・、
ZUIKO AUTO-S 50mm/f1.2《後期型》(OM)』です。


オーバーホール/修理ご依頼分として承る中には数多くのOLYMPUS製オールドレンズがあり ますが、オーバーホール済でヤフオク! に出品するとなると、OLYMPUS製オールドレンズは 実に3年ぶりになります。

この当時のOLYMPUS製オールドレンズのほとんどのモデルが複雑な内部設計なので、完全に解体した上で微調整を完璧に仕上げたオーバーホール済でヤフオク! 出品しても「作業対価分の回収ができない」ことから「普段敬遠しているオールドレンズ」の一つです。

従って今回オーバーホール済でヤフオク! に出品する「即決価格」で落札されなかった場合は再びまた数年ほど次の出品を見送る「普段敬遠しているオールドレンズ」に戻ります(笑)

今回扱うモデルは2年ぶりですが、今までに扱った個体は全てオーバーホール/修理ご依頼分でしたので、オーバーホール済でヤフオク! に出品するのは今回が初めてになります

1972年7月に発売された当時のOLYMPUS初の一眼レフ (フィルム) カメラ「OM-1」発売に際し、用意されたオプション交換レンズ群 の中の標準レンズが今回のモデルです (1973年5月にOM-1と改名)。

ところが「OM-1」の取扱説明書をチェックしたところオプション 交換レンズ群の一覧に掲載されているのは「G.ZUIKO AUTO-S 55mm/f1.2」になっていました (50mm/f1.2記載無し)。

そこで今回扱うモデル『ZUIKO AUTO-S 50mm/f1.2《後期型》(OM)』の発売時期を探る為にいろいろ調べたところ、1983年に発売されたフィルムカメラ「OM-4」のカタログに、そのオプション交換レンズ群一覧で掲載されているのを発見しました。

従って1983年時点では既に製産されていたことになります。

 

【モデルバリエーション】
オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。

前期型:1972年発売

焦点距離:55mm
フィルター枠/絞り環の銀枠飾り環:あり
コーティング:マルチコーティング (パープルアンバー)
光学系構成:6群7枚 (拡張ウルトロン型)

後期型:1982年発売

焦点距離:50mm
フィルター枠/絞り環の銀枠飾り環:無し
コーティング:マルチコーティング (パープルアンバーグリーン)
光学系構成:6群7枚 (拡張ウルトロン型)

光学系は6群7枚の拡張ウルトロン型ですが、当初1972年時点で用意されていた「G.ZUIKO 55mm/f1.2」から基本的な光学系の構成は変化していません。

右構成図はその初代「G.ZUIKO 55mm/f1.2」の構成図になります。

今回扱うモデル『ZUIKO AUTO-S 50mm/f1.2《後期型》(OM)』の 構成図が右図です。光学系の硝子レンズを1枚ずつ清掃した際にデジタルノギスで実測した数値を基に当方がトレースした構成図になります。

当然ながら焦点距離が僅かに変更になった為、再設計していることが 分かります。





上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています。

一段目
左端からシャボン玉ボケが破綻して滲んで単なる円形ボケへと変化していく様をピックアップしています。しかしそもそも非点収差の影響が現れており、口径食も出るのでキレイな真円のシャボン玉ボケは本格的に表出させるのが難しいと思います。あくまでも他社光学メーカーの中にあって同一焦点距離と開放f値で捉えた時に「円形ボケがちゃんと表示される部類」と言う評価は与えられると思います。

二段目
さらに背景に汚く乱れた滲み方が附随する背景ボケに絞ってピックアップしてみました。ある意味背景に気を遣う必要があるような乱れ方のボケ味ですが、これを敢えて「効果」として活用してしまうのがオールドレンズの愉しみ方の一つでもあると考えます。従ってこれら乱れた「収差ボケ」も「オールドレンズの味」として捉えれば逆に魅力に見えたりしますね(笑)

三段目
今度はピント面にフォーカスしてみましたが、ご覧のとおりピント面のエッジが際立って表現され易いので、それはエッジが骨太なところが影響しているように見えます。つまり他社光学メーカーなどで開放f値「f1.2」の繊細な印象の画造りの中にあっては「まるで異端児」的な表現性のモデルとも言えます。

これがこのモデルの大きな特徴になると当方は考えていますが、シッカリとピント面を下手すれば誇張的にまで浮き出させていながら、実はアウトフォーカス部がすぐに柔らかく優しく溶けていくので、結果的にピント面はインパクトが強く表現されながらも画全体的にソフトな印象に仕上がると言う、少々独特なピント面を構成していると考えます。同じシ〜ンを他社の「f1.2クラス」で撮影すれば、自ずともっと繊細なイメージで仕上がるハズなので、その意味では貴重なモデルとも言えます。

四段目
被写体の材質感や素材感を写し込む質感表現能力に優れているので、木質感の表現性も素晴らしいのですが、何処となくやはり優しい感じに仕上がるのが不思議です。

 

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。「絞り環を前玉のほうに配置」と言う基本姿勢は変わりないので、必然的に内部構造の設計概念も変化がありません。但し今回のモデルは開放f値を「f1.2」と明るく採っている為に光学系の設計上可能な限りの工夫を凝らして最大限のスペース確保に努めた事が分かります。

↑特大の絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒 (ヘリコイド:オス側) です。大口径なのでOLYMPUSにしては巨大な部類です。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑絞りユニットのベース環を撮っていますが、同じ焦点距離50mmの標準レンズ「f1.4/f1.8」と比べて、前述のとおり光学系のスペース確保を最優先した設計変更を余儀なくされ、絞りユニットは可能な限り簡素化していますが、ご覧のとおり「マットな梨地仕上げメッキ加工」に設計変更しています。

↑8枚の絞り羽根を組み付けてメクラ環を被せますが、メクラ環はプラスティック製でした。

実は初めて扱うオールドレンズを完全解体する際、当然ながら初めての扱いなので内部構造を知りませんから以下の点が大きな問題になります。

【初めて扱う時の完全解体に於ける問題点】
完全固着している箇所に「溶剤」を流し込んで良いのかどうか。
溶剤を流し込んでも固着が改善されない場合「加熱処置」できるか否か。
それでも固着改善しない場合「専用工具」で外しても良いかどうか。

オールドレンズはたいていの場合、過去メンテナンス時に光学系ネジ込みの際に「固着剤」を塗られている事が多いのですが、仮にネジ山の「全周に渡り固着剤塗布」していた場合、まず完全固着してしまいカニ目レンチを使っても全く外れません。

そこで先ずは「溶剤」を流し込んで「古い固着剤」を溶かしつつカニ目レンチで回しますが、ここで問題になるのが今回のような「プラスティック製パーツの存在」です。

光学系前後群で挟まれている絞りユニットの一部に「プラスティック製パーツ」を使っていた場合、間違いなく「プラスティック材が溶剤で溶ける」結果に繋がる危険度が非常に高くなります (の問題点)。

すると一度溶けてしまった「プラスティック製パーツ」は当然ながらもう二度と元の状態には戻りませんから「イキナシ製品寿命」を迎えかねません(怖)

同様に「溶剤注入」でも全く固着が改善しなかった場合に次に行う「加熱処置」では、さらに「プラスティック製パーツ溶解」の懸念が高くなります。何故ならたいていの場合鏡筒や光学硝子レンズの格納筒には「アルミ合金材」或いは「真鍮 (黄銅) 」が使われている為「熱伝導率が高い」からですね (の問題点)(怖)

そしていよいよ最後の解決策「専用工具」使用ともなれば、人力での最大限のチカラが掛かるので「金属材の変形」を招く懸念が高くなります (問題点)(怖)

このように「初めて扱うオールドレンズ」の完全解体には相当な恐怖心が憑き纏うのが現実の話であり、当方にとっては過去に扱いがあるのか否かが非常に重要な話になります。

ヘリコイドグリースに「白色系グリース」を塗布していながら、どう言うワケか「至る箇所に執拗に固着剤を塗る」な〜んにも考えていないバカな整備者が非常に多いのが実際の話であり本当に困りモノです

どうしてそのように言い切るのか???

白色系グリース」を塗っていた場合、たいていは早ければ1年、遅くても5〜6年でオールドレンズ内部には相当な量の「経年による液化した揮発油成分」が廻っている事になります。 下手すれば絞り羽根に油じみが発生しますし、光学系の特にコーティング層には相応に揮発油成分が附着してしまいます。

もっと言えばたいていのオールドレンズはその内部構造として「マウント部内部に捻りバネ/スプリングを包括する」事が多いですが、それら「捻りバネ/スプリング」に酸化/腐食/錆びが生じてしまい「及ぼすチカラが弱ってしまう」結果に繋がります。すると「絞り羽根の動きが緩慢」或いは適切な設定絞り値まで絞り羽根が開かない/閉じないなどの「絞り羽根の開閉異常」を来す一因になります。

もちろんコーティング層経年劣化を促す要因にもなりますし、最悪カビの発生を助長する因果関係にもなりますから、完全解体する事で可能な限りオールドレンズ内部の「揮発油成分除去」を行うとすれば、それら執拗に塗られた「固着剤」が厄介な話だからです。

白色系グリース」を使っていながら、その整備者本人が10年もしないうちに再びオールドレンズ内部が油だらけになると「自覚していない/認識していない」から、且つ「必要ない箇所にまで執拗に固着剤を塗布する」いわゆる「整備者の自己満足」だけの所為が将来的な再整備時の大きな障害になっています。

しかも未だに同じ所為を続けている整備者が居るのでお話になりません!(怒)

使っているグリースの特性や性質を知ろうともせずに、且つ「思い込みによる慣例」だけで固着剤を執拗に至る箇所に塗りたくって「調整箇所が経年でズレないようにしている」つもりなのですが、実はその調整自体が適切ではない「原理原則に則っておらず観察と考察もできない整備者」であるにもかかわらず、本人が全く自覚していない話ですね(笑)

皿頭ネジと鍋頭ネジの使い方/特性の相違すら知らない (配慮できない) 整備者がマジッで居ますから、はたしてそれでプロの整備者などと言っている始末で笑えます(笑)

こう言うの、本当にどうしようもありませんね・・(泣)

↑厚さ8mm程度しかない大変薄い絞りユニットです。絞り羽根の開閉制御が簡素化 (合理化) されているので絞りユニットを構成しているパーツ点数自体が少なめです。

上の写真は写真上部が前玉方向になります。「絞り羽根開閉幅制御環」と「絞り羽根開閉アーム」が用意されていますが、構造上OLYMPUSでは「絞り環」がこの絞りユニットの真上に位置しているワケですが「絞り羽根開閉幅制御環」のアームは下方向 (つまりマウント側方向) に飛び出ています。この上部に位置している絞り環とどのように連係させているのでしょうか・・。

絞り羽根開閉幅
絞り羽根が開いたり閉じたりする際の開口部の大きさ/カタチ/入射光量の相違を示すコトバ

絞り環を回して設定絞り値にセットした時、連動して「絞り羽根開閉幅制御環」も回っているワケですが、絞り値を伝達する目的でマウント側方向にもアームを出している設計です。一方「絞り羽根開閉アーム」のアームが下方向 (つまりマウント側方向) に向いているのは理解できますね。

↑完成した絞りユニットを鏡筒に組み込むとこんな感じです。このすぐ直上に光学系前群の格納筒がセットされますから「可能な限り絞りユニットを薄くして光学消す前群用のスペースを確保した」設計なのが一目瞭然です。

↑こちらは距離環用のベース環になります。

↑ベース環にヘリコイド (メス側) を、無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。ベース環が薄すぎるのでヘリコイド (メス側) の内側にベース環まで収まってしまいます (外に見えません)。

↑鏡筒 (ヘリコイド:オス側) を、やはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルでは全部で7箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

↑この状態で、後から組み付けることができないので光学系後群をセットしてしまいます。冒頭の解体パーツ全景写真で、白紙の上に置いてある硝子レンズ右端から3個が光学系後群の硝子レンズになります。特に第6群 (後玉) とその直前の第5群がモールド一体成形で作られており、しかも硝子レンズの格納筒自体がアルミ合金材の非常に薄い肉厚なので、手でグシャッと潰せるのではないかと感じるくらい柔です(笑) つまり、そのくらい格納筒の厚みを減らしてまで「光学硝子が使える有効面積を稼いだ」と言うこだわりの設計が理解できます。

↑ここに、鏡筒の絞りユニットから飛び出ているアームと連係する「絞り値伝達環」と「絞り羽根開閉環」の2つの環 (リング/輪っか) が組み合わさって入ることで、マウント側までそれ ぞれの「チカラ伝達経路」を確保させています。

過去メンテナンスではこれら「2つの連係環」にまでビッチリと「白色系グリース」が塗られていましたが、既に経年劣化進行から揮発油成分が生じており「粘性を帯びていた為に却って絞り羽根開閉を緩慢にする原因に堕ちていた」と言う結末です(笑)

如何ですか? こういうレベルなのが過去メンテナンス時の整備者です(笑)

何故なら「これら2つの連係環はマットな梨地仕上げメッキ加工」が製産時点で施されており「経年の揮発油成分を嫌った設計配慮」であるのが歴然なのに、過去メンテナンス者は「それに気づいていない」から自らグリースを塗ってしまっているワケです(笑)

設計者が油成分を嫌った箇所にグリースを塗っている話が問題だと言っているのがご理解頂けるでしょうか?(笑)

例えば光学硝子レンズが格納される「格納筒」の内側/内壁や「締付環」なども「マットな梨地仕上げメッキ加工」が製産時点で施されている事がオールドレンズの場合は非常に多いワケですが、それら「格納筒/締付環」にグリースを塗りますか???(笑)

塗りませんョねぇ〜?(笑)

何でもかんでも「駆動箇所を滑らかにする為にグリースを塗る」つもりなのでしょうが、実は「グリースを塗れば滑らかになる」とは限らず、そもそも「使われている金属材の種別と表面加工」に対する「観察と考察」が全くできていないから、このような「間違った整備」が現在もなお横行しているのが現実なのです

マットな梨地仕上げメッキ加工」或いは「光沢な梨地仕上げメッキ加工」「鏡面仕上げ」などなど、それら金属材の「表層面の平滑性を確保」する処置すら何も行わずに、単にバラしてグリースを塗ったくって組み上げているのが現実的な現在の整備レベルと言えますね(笑)

それでプロですから・・(笑)
(このモデルの組み上げができるレベルはシロウト整備ではムリだから)

プロではない当方でさえ細かい部分までいろいろ配慮して組み上げているのに・・です(笑)
(もちろん簡易版ですがちゃんと検査具を使って調べつつ工程を進めています)

↑ご覧のように光学系後群の周囲ギリギリの配置 (赤色矢印) で (光学系後群用硝子レンズ格納筒のカタチに合わせてまで)、僅かな隙間も可能な限り有効活用して、結果的に光学系後群が使える有効面積を最大限まで確保していることが分かります。

↑こちらはマウント部内部の写真ですが、当方による「磨き研磨」が終わった状態で撮っています。

↑他のモデルと比べると、制御系や連動系・連係系パーツが別の場所に配置されているので、このマウント部内部は意外と簡素です。

↑距離環を後から入れられないので、先に入れ込んで仮止めしてから完成したマウント部をセットします。

↑上の写真は、ワザと絞り環とその機構部をセットせずにフィルター枠を取り付けていますが、フィルター枠自体が「前玉固定環の代用」になっています (フィルター枠を固定しないと前玉が外れてしまうと言う意味)。

絞り環と光学系前群の硝子レンズ格納筒との「僅かな隙間:0.8mm程度」のところに、絞り環の設定絞り値を前述の「絞り羽根開閉幅制御環」に伝達する役目の薄い板がセットされるので、絞りユニットの「絞り羽根開閉幅制御環」にあるアームはマウント側方向にだけ向かって飛び出ていてOKだったワケですね。

どんな隙間もすべて有効活用すると言う考え方がこう言う部分/要素でも垣間見え、まさに当時の「OLYMPUS光学工業のポリシー」の具現化と言えるのではないでしょうか。

こういう要素を見ただけでも「追求する最高の性能を最も小さいサイズで造り上げる事が命題」と語りかけているような気がします(笑)

オールドレンズは・・ロマン・・ですね(笑)

この後は絞り環をセットしてから無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (それぞれ解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

 

 

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わった『ZUIKO AUTO-S 50mm/f1.2《後期型》(OM)』です。大玉に見えますがフィルター枠径は他モデルと同じ⌀49mmのままですから不思議ですね(笑)

上の写真 (3枚) は、すべて同一個体の写真ですが、写す角度を変えて「前玉コーティング層が放つ光彩の変化」を示しています。なお今回出品個体は付番されている暗号から「1990年5月にオリンパス光学工業の辰野事業所で生産された個体」なのが推測できます。

↑光学系内の透明度は驚異的に「スカッとクリアな透明度」を維持しており、LED光照射でもコーティング層の経年劣化による極薄いクモリすら皆無です。3回清掃しても除去できなかったパッと見で「微細な塵/」に見えてしまう、経年で生じてしまった「極微細な点キズ」が少々多めです。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑同様に光学系後群も2枚写真を撮りましたが「後玉コーティング層が放つ光彩の違い」を分かるように角度を変えて撮影しています。

光学系後群側も非常に高い透明度を維持しておりLED光照射で極薄いクモリが皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:8点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:10点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い3ミリ長が数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内の透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑8枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正八角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になります。経年の使用感があまり感じられないとてもキレイな状態を維持した個体です。当方による「磨きいれ」を筐体外装に施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡って完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せます。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

↑このモデルのピントの山が「本当に一瞬にピタッと合焦してアッと言う間」なので、結構ピントが合った位置を通り過ぎてしまったりします(笑) 従ってピント合わせの際は細かく行ったり来たりの「微動」をするでしょうから、それを勘案した「軽い操作性」として距離環を回すトルクを仕上げています。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑出品商品には純正の前後キャップが附属しています。

他社光学メーカーの同クラス品と比べても、これで開放f値「f1.2」モデルなのかと言う大きさの筐体サイズです(笑)

非常にコンパクトですね・・。

↑当レンズによる最短撮影距離45cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

この実写はミニスタジオで撮影していますが上方と右側方向からライティングしています。その関係でフードを装着していない為に絞り値の設定によりハレ切りが不完全なまま撮影しています。一応手を翳していますがハレの影響から一部にコントラスト低下が出てしまうことがあります (簡易検査具による光学系検査を実施済で偏心まで含め光軸確認は適正/正常)。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」にセットして撮影しています。

↑さらに絞り環を回してF値「f2.8」で撮りました。

↑絞り値は「f4」になっています。

↑F値「f5.6」です。

↑F値「f8」になりました。

↑F値「f11」です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。