♦ OLYMPUS (オリンパス光学工業) OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm/f2(OM)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、国産は
オリンパス光学工業製中望遠マクロレンズ・・・・、
OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm/f2 (OM)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で捉えても、僅か3本目です。

先ずは冒頭で、このような大変希少なオールドレンズのオーバーホール/修理ご依頼を賜りました事、ご依頼者様に感謝とお礼を申し上げたいと思います・・ありがとう御座います!

このモデルは今回の扱いが3本目にあたりますが、実は前回オーバーホール/修理したのが2017年と2018年なので、何と6年ぶりの扱いになり「スッカリ忘却の彼方へと追いやられていたモデル」の一つです(汗)

特に敬遠していたワケでも苦手なモデルでもなく、むしろ当方は当時のオリンパス光学工業製オールドレンズ「OMシリーズの光学製品」が大好きだったりします(笑) 何を隠そう、当方が社会人になって一番最初に購入したフィルムカメラを選ぶ際、足繁くカメラ屋さんに数十回も通い、最後の最後まで少々型落ちの「OM−1」と、発売されたばかりのNikonF−3」のどちらを買うか散々迷っていたくらいです (結局上司の猛烈な勧めでF-3を購入した)(笑)

何しろ上司と言っても家電売場責任者ですから、その接客トークの術中に完璧にハマってしまったワケですが(笑)、自分的には尖り頭の小ぶりなボディたる「OM−1」が価格面でもお買い得感を感じていたものの、長いものには巻かれろを地でやってしまった次第です(汗)

それはともかく今回6年ぶりに扱うものの、ハッキリ言ってこのモデルは「超高難度モデル」であり、例えば月に1〜2本このモデルのオーバーホール作業を熟しているなら、構造面や作業工程時のコツ、組み立て手順なども覚えるでしょうが、さすがに6年ぶりでは初めて扱っているに等しい状況です(汗)

覚えていないなら、初めての扱いの如く臨めば良い」だけですが、問題なのは「このモデルは過去メンテナンス時に散々ごまかして組み立てられている個体ばかり」であることを、今回
確信した次第です(泣)・・当方がこのように述べると「たかが3本の扱いだけで大げさに騒いでいる」と直ぐに、某有名処のコメント欄やSNSに誹謗中傷が載るのでしょうが(笑)、そうは
言ってもその根拠と言うか『証拠』を掴んだのも「3回目」なので、このリアルな現実からはどうにも逃げられません(汗)

・・今回のブログ掲載ではそれら『証拠』を交えて解説を進めていきたいと思います。

なお、今回のオーバーホール/修理ご依頼は「絞り環のガタつき (前後左右方向でのガタつきが発生)」と「光学系内の薄いクモリ除去」に「距離環のトルクを軽めに改善を希望」との内容
です。

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何を隠そう、当方はこのOMシリーズ用オプション交換レンズ群の中でも「F2シリーズ」の大ファンであり、どの焦点距離のモデルが来ても「諸手を挙げて大喜び」でオーバーホールをしたくなります(笑)

↑上の光学系構成図は、今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の
手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。

光学硝子レンズのカタチは、前群側第1群前玉から順に凸メニスカス (裏面側が極僅かに凹んでいます)、第2群凸メニスカス第3群凹メニスカスの順で、後群第4群凹平メニスカス (裏面側は平レンズ)、凸メニスカス両凸レンズ、最後フローティング機構部に移って第7群平凹メニスカス凹メニスカス、最後後玉が両凸レンズです。特に以下に示す特許出願申請書の掲載図との違いは第1群前玉裏面側が凹んでいる点と、さらに途中の第4群と第7群の凹メニスカスの裏面側が「平レンズ」である点に於いて、発案時光学設計と量産型光学設計の相違が認められました。

←このモデルの光学系情報は「【 深層解説】オリンパス中望遠マクロレンズ OLYMPUS Zuiko 90mm F2.0 Macro – 分析003」を参考にしており、ここで紹介の特許出願申請書JPA1987018513記述
構成図を参考にすれば、発案時光学系を継承した設計での量産化だったとの推測が適います (左の図はその特許出願申請書の中から光学系
構成図記述のみをピックアップ)。

するとこの光学系の基本成分は 色付光学系前群と、その次の絞りユニット (上の構成図では縦線) を挟んで 色付光学系後群であり、4群6枚のダブルガウス型光学系構成を全て単独に独立させた状態で使う光学設計を採っているのが分かります。

特に光学系前群内の第2群第3群は「特殊分散ED硝子異常分散硝子」を配した、当時としては非常に贅沢な光学硝子材精製にこだわりを見せ、且つ光学系後群の後方にさらにプラスで「フローティング機構」を装備し「追加の3枚を丸ごと横方向に回転させながら直進方向に直進/後退を交え徹底的に色収差を排除したアポクロマートレンズ」である点を鑑みても、まさにOLYMPUSの粋を極めた、中望遠マクロレンズと明言しても良いのではないかと思います(涙)

従って距離環を回した時にズズぅ~ッと光学系前群光学系後群が絞りユニットを挟んで一緒に繰り出されていきながら、その背後で「フローティング機構」が働いて「昇降筒」が回転しながら、同時に前後左右に位置を可変させていく独自のシステムです(汗)

詳しい事は当方が「光学知識皆無」の為分かりませんが(汗)、このモデルの光学系前群後群第1群第6群までの光学硝子レンズが、全面を使って入射光を透過させていく概念に対し「フローティング機構」内部の「昇降筒」が実装している光学系第7群第9群の3枚の光学硝子レンズは、その全面を必ずしも一意的に使用せず、入射光の透過に対し局部的に透過させるのを目的として設計してあるのではないかとみています(汗)

例えば入射光が透過していく際に「光学硝子レンズ自体が回転していても透過には影響が起きない」ものの、回転しつつも前後方向と横方向で位置を可変していた時「結果的に任意の入射光の透過は半径曲面の特定の場所だけを透過するので、その際の曲がり率が変化し透過の処理が変化していく」とも考えられる為、この「フローティング機構と昇降筒の関係性」の設計は
明らかに前方配置されている「光学系前群後群の立場とは別世界」なのが窺い知れます。

この「フローティング機構内の昇降筒が後退をもする」点に於いて、ネット上では一切触れられませんがその光学設計の素晴らしさが担保されていると、当方は強く、本当に強く申し上げたい思いです(涙)・・何故なら、いったい誰が「繰り出している最中に光学系内の一部が後退している事もある」と考えるでしょうか???(驚) 確かに当時でもズームレンズなら、似た
ような構造で光学系が動いているモデルなど、いくらでもあったのでしょうが、単焦点モデルでそれをヤッてしまったところがOLYMPUSのこだわりではないかと思ったりします(汗)

確かに今ドキのデジタルなレンズの世界では「非球面レンズ」などは当たり前の存在でしょうが、この当時のオールドレンズに於いて「球面レンズの世界の中ででき得る最大限の効果を
期待して光学設計された
」概念こそが「フローティング機構と昇降筒との関係性」のようにも受け取れます(汗)

この当時のOLYMPUS製「F2シリーズ」の全てのモデルに実装している、これら「フローティング機構」の発想の素晴らしさに、もっと注目してほしいと願わざるを得ません!(涙)

ちなみに上に示した特許出願申請書を見れば「フローティング機構内の昇降筒」がズズぅ~ッと直進してきて「光学系後群の直ぐ背後に到達している時の状況」も確認できるので (第1図)
これだけの距離を移動しながら、前後左右に回転しつつ「非常に滑らかに可変していく様」を視認できないものの、妄想するだけでも酒の肴には十分なくらいです(笑)

・・当方はシッカリ昇降筒を手で動かし、オーバーホール工程の中で散々遊びましたが(笑)

今でこそ、OLYMPUSは医療機器業界で、世界規模で捉えてもトップシェアを誇る企業であり「同じものをより小さく造る」との思想の徹底こそが、最終的に人の命を守る企業へと変遷していったと、まさに誇りに思ふところで御座いまする(笑)

考えてみれば、富士フイルムも同じように写真機材の世界から飛び出て、今はまさに医薬品業界のパイオニアとして発展を遂げているワケで、本当に素晴らしい限りです(涙) 異業種共存ではありませんが、畑に囚われずに隣の青い畑も直視して、将来を見据えて真正面から挑んでいく潔さに、本当に心を奪われる思いです(涙)

そう言う気概に心を洗われながら、当方も実直に正直に、これからも自身が
し得る最大限の挑戦を、臆する事なく真正面から臨んでいきたいと強く決心
する次第で御座います(汗)


今一度、今回の「90㎜/F2」モデルのオーバーホール/修理の機会を与えて下さったご依頼者様に、感謝とお礼を申し上げます! ありがとう御座います!(涙)

  ●               








↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
左端から円形ボケの状況を観たいと考え探しましたが、そもそも円形ボケの実写自体が見つかりません(汗) このモデルでは円形ボケの表出は叶わないのでしょうか???(汗)

マクロレンズとしては1/2倍撮影ですが、この当時は他の光学メーカー含め等倍撮影はエクステンションを介在させない限り不可能だったと思います。それでもさすがマクロレンズだけあってトロットロボケのレベルは相当だと思います。

二段目
この段では、どうやればこういう写真を残せるのかよく分かりませんが、特徴的な素晴らしい実写をピックアップしてみました。特にピント面の鋭さ感がハンパないので、それも相まみえて、まるで光っているかのようにさえ見えてしまいます(驚)

三段目
ここではそのピント面の鋭さ感を背景のトロットロボケだけに囚われずにチェックしています。要は下手にカリッカリに鋭くなってしまい誇張感だけで構成されている写真ではないのがよ〜く分かると思います。この自然なまでに、然しメチャクチャ鋭いピント面の構成が、何とも癖になります(笑)

四段目
当方はこの左端の収差ボケの状況が大変気に入っており、ピント面の鋭さ感や茎に「一抹の優しさ感を漂わせたまま移す撮影スキルの高さ」に惚れ込んでしまいました(汗) その意味で、このような二線ボケさえも「背景効果」として使い切ってしまうのは、たいしたものだと関心です!(驚)

五段目
この段では被写体の素材感や材質感を写し込む質感表現能力の高さをチェックしています。後の実写でとんでもなくコントラストが高い写真も現れますが、このように低コントラストな中でもシッカリと質感を移し込めるのがたいしたものです(驚)

六段目
焦点距離が90㎜なので、十分ポートレートレンズ域に入りますが、人物撮影の人肌感がどうも今一つのような気がします(汗) その一方で不思議と動物毛はとても素晴らしい表現性で残せており、右端の猫などは (当方は猫の毛の細さが嫌いなので) 喉がイガイガしそうなくらいです(笑)

七段目
左側2枚の実写でコントの高い写真もこのようにちゃんと残せる事を確認しています。その一方で右側2枚のとおり、グラデーションの階調がちゃんと残せている点も分かります。

八段目
左側2枚のハイキ〜な実写は、昨今如何にもオールドレンズ的な描写性として、特にプロの写真家が好んで使いますが(笑)、それでも特に2枚目の実写が「まさにこのモデルの光学性能を如実に表している写真」のように当方には写ります(汗)

↑今回のオーバーホール/修理個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。具体的なオーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 90mm/f2 (OM)』のページをご参照下さいませ。

なお、今回の個体も「光学系第2群第3群絞りユニット鏡筒」のひと塊が丸ごと解体できませんでした(汗)・・申し訳ございません。今までの2本含め、これで3本全ての個体でこのひと塊の部位が解体できない事が確定しました(汗)

解体できない最大の原因は「光学系第2群を締め付け固定している締付環が薄すぎて専用治具が必要になる」点に合わせて、実は「絞りユニット内部に樹脂製環/リング/輪っかが入っている」事も確認できており、当方で頻繁に行う「加熱処置」が一切処置できないのです(涙)・・加熱した途端に「樹脂環が溶けてしまう」からで、例えば光学系第2群の締付環を外す為に
溶剤を流し込んでも樹脂環が溶ける懸念があり、いくらでも流し込める話にはなりません(汗)

・・従ってこのモデルは完全解体ができず、特に鏡筒周りが一切バラせません!(汗)

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑いつもはここからオーバーホール/修理が終わった個体写真を載せて解説していくのですが、今回は冒頭で述べたように「過去メンテナンス時にごまかした整備をしている事実を『証拠』を挙げて解説していく」為に、先にその解説からスタートします。

普段はそのような解説を細かくこのブログで説明しません。その理由はたったの一つしか無く「同じ商売敵たる競合整備会社や整備者達の営業補助は一切しない」からです(笑)・・当たり前の話です(笑) 同業者の整備を助けるような説明を自慢話の如く解説したりしません(笑)

もッと言うなら、ここで細かくご案内しているオーバーホール工程解説や掲載写真、或いは
組み立て手順の中には「一部にワザと故意にトラップを仕掛けてある」ので(笑)、ここに
掲載してる全てを鵜呑みにして、そのまま真似て組み立てていってもまともに適切に仕上がり
ません(笑)

・・そういう仕掛けをちゃんと施してあるので、営業補助はしないと言っているのです!(笑)

上の写真は左側が「光学系後群格納筒」でこの中に光学系第4群第6群の光学硝子レンズが格納されます・・つり光学系後群ですね。一方右側は「昇降筒」で、この中に最後の3枚たる光学系第7群第9群の光学硝子レンズが格納され、且つ「フローティング機構」として機能します。

すると先ず、この左右に並んだ格納筒をちゃんとシッカリと観察すれば一目瞭然なのですが、左側の「光学系後群格納筒」は内外全てが「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」に
仕上げられています(笑)

このようなマットな微細な凹凸を伴ってワザワザメッキ加工を施している理由はたったの一つ「経年劣化進行に伴う揮発油成分の侵入を防ぐ目的」だけです。光学系なのでグリースを塗る事も有り得ませんし、絞り羽根のように経年劣化進行に伴い油染みに至ってしまう事を嫌うのも、至極当然の道理です。

ところが右側の「昇降筒」を見て下さいませ。確かに内側の光学硝子レンズ3枚が格納される箇所は、左側と同じように「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」が施されているのがそのメッキ塗色の色合いでちゃんと分かると思います。

然し、格納筒の外側を見て下さい。被せてあるメッキ塗色の色合いが少し違うのと同時に、
僅かに光沢感も備わる」点が見て分かるでしょうか???

フローティング機構」内で昇降する部位なので、左側と同じように外回りまでマットなメッキを被せてしまったら抵抗/負荷/摩擦が増大してしまいます(汗)・・それを嫌うので「敢えてワザと平滑性を担保したメッキ加工でありながらも、光学系の格納筒なので可能な限り経年劣化進行に伴う揮発油成分も同時に嫌う」からこそ「半つや消しのようなメッキ加工」に仕上げてあり、実際このメッキ塗色は「僅かに光沢感を伴う濃い紫色」です(笑)

これが意味するのは「フローティング機構内にはグリースなどの潤滑剤の類を一切塗らない」設計として配慮しているワケで、その「根拠」はフローティングさせる際に使う「キー」が金属製の光沢平滑仕上げメッキ加工を施したシリンダーネジに「ポリエチレン製キャップを被せてある」事実で、それによりグリースなどの潤滑剤の塗布が無くても、ちゃんと平滑に滑らかに機能するよう設計されているのが分かります。

・・要は「観察と考察」をちゃんと行い「原理原則」に照らし合わせれば自明の理(笑)

過去メンテナンス時の整備者は、この「フローティング機構」に白色系グリースを塗ったくるので(涙)、油成分を嫌うにも関わらず、設計者の意図を「過去メンテナンス時の整備者が自ら
進んで台無しにしている
」始末です!(怒)

いったいどうして設計者が敢えて「半光沢で平滑性も合わせ持つメッキ加工に仕上げている」のに、それを無視して台無しに仕上げるのですか???

・・整備会社の整備者の人、聞いてますか??? このブログ読んでますか???

↑上の写真は「直進筒」で、この中に鏡筒が格納され、合わせて「昇降筒」も入ります。「直進域」が備わり、その一方で「フローティング域」も併せ持ちます。互いにこれらの領域は重なったり接触したりしませんし、もっと言えば「フローティング域」は中に組み込まれる「昇降筒」が内壁にダイレクトに接触しながら駆動する設計であるものの、一方「直進筒」のほうは一切パーツが内壁に接触しません。

この「直進筒」に唯一接触するのは「両サイドの切り欠き/スリット/ガイドに入るポリエチレン製キャップだけ」であり、それが意味するのは『中に組み込まれる光学系前後群含めた鏡筒は中空に浮いたままの状況』に至り、前述の「ポリエチレン製キャップとフローティング機構内の昇降筒の接触だけで保持される設計」なのが、これらの内部の動きをちゃんと「観察と考察」すれば歴然です(笑)

実際は前玉の締付環の箇所でダブルヘリコイド方式のうち「内筒」のほうが締め付け固定されるので、光学系前後群まで含めた鏡筒の一切が丸ごと「前玉締付環と昇降筒の接触だけで支えられている設計」であり、相当に大胆な設計を強行してしまったのが分かります(汗)

・・だからこそフローティング機構部にグリースを塗ったらダメだと執拗に述べている!(怒)

もっとハッキリ言うなら、過去メンテナンス時の整備者の所為により「このモデルは次から
次へと製品寿命に向かい短命化しつつある個体の状況
」と言えるほどに最悪なのです(涙)

自分達が整備した時、顧客の手に渡った時だけ良ければいいと言う、そういう天狗極まりない思考回路が酷いと言っています!(怒) よくもそう言う思考回路でプロを名乗れるとオドロキを隠せませんね!(怒)

確かに当方は20歳で社会人になったので高卒であり、大学に行っておらず頭が悪いと罵られても返す言葉がありませんが(笑)、そんな当方でさえ、ちゃんと「観察と考察」を行い「原理原則」に照らし合わせて「本来在るべき姿に仕上げる努力」を惜しまないのに、学卒で賢明なプロの整備者がこのようないい加減な整備を平気で執っていて「どうして恥ずかしいと思わないのか???」本当に不思議でなりません!(怒)

・・甘ったれるのもいい加減にしてもらいたいですね!(怒)

↑その「フローティング域」の外側、外壁も合わせ、そもそもこの「直進筒」が丸ごと「平滑性を担保した光沢メッキ加工」なのに、赤色矢印で指し示したように過去メンテナンス時の
不適切な整備のせいで (白色系グリースを塗っていたから) 擦れ痕が残ってしまいました(涙)

・・いったい何の為に平滑なメッキ加工を施して設計しているのですか???

どうしてそう言う設計者の意図を無視して台無しにするような所為を、平気で執り行うのですか???・・全く以て信じられません!(怒)

↑同じ「直進筒」ですが、ご覧のとおりブルー色の矢印で指し示している箇所は全てが「本来は光沢が在る平滑性を担保したメッキ加工」を施してあるのに、赤色矢印で指し示すようにスレ痕が残ってしまい、今回のオーバーホール/修理工程で、当方の手により「磨き研磨」を処置しても全く元に戻りません・・当たり前です!(怒) 一度削れてしまった金属材を元通り平滑に戻す事は不可能です!(怒)

最近のヤフオク!でも自ら整備して出品している出品者が多くなりましたが(笑)、中には平気で「金属用研磨剤」を使い磨いていると自ら述べている始末で、本当に世も果です(汗)・・金属用研磨剤で磨けば、金属材の表層面は削れ、且つ研磨剤の成分が浸透してツヤツヤに光沢感を残す仕上がりに至るものの、そんな処置を施せばオールドレンズの設計時点想定を逸脱してしまい「製産時点から乖離する」脅威なのが、全く分かっていません(怖)

このような「見た目だけで満足して自分だけ良ければいいと言う考え方」が、本当に当方は許せません!(怒)・・その出品者が処置した個体は、おそらく次の整備時には上の解説と同じように、経年の擦れ痕がより酷く残ってしまい「ひたすらに製品寿命へと向かっていくだけ」と言う悲しい現実しか迎えません(涙)

ちなみにグリーン色の矢印で指し示してる箇所が「フローティング機構」であり、切り欠き/スリット/ガイドのカタチを見れば「前玉方向に進むと思えば後玉方向に極僅かに一度戻っているのが分かる」と思います。しかも横方向にスライドするので「昇降筒」は横方向にも回転している動きなのがこれでハッキリします (3方向から均等にガッツリ保持する設計)。

↑実際に「昇降筒」を差し込んでみました。グリーン色の矢印で指し示している位置に「ポリエチレン製キャップ」を伴うシリンダーネジがネジ込まれて、この切り欠き/スリット/ガイド部分を「潤滑剤などが介在しない環境のまま、それでも大変滑らかにスムーズに、この複雑な
カタチの溝を前後左右に自在に移動していけるよう配慮した設計
」です。

当方のオーバーホール工程で「磨き研磨」を行い、可能な限り平滑性を取り戻してから、ご覧のように「グリースなど一切塗らずに」単に差し込んで駆動するように仕上げます。実際、上の写真の角度から覗き込んでも「昇降筒内部の微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工と、外回りの半光沢平滑仕上げメッキ加工との相違が明白」ではありませんか???

・・整備者の人達はどうしてこれが理解できないのですか? 理に適っていませんか???

後の工程写真でちゃんと掲載しますが、この「昇降筒」が外周で3方向から均等に保持されるものの、そもそもこのフローティング機構の動きをさせる為のチカラが及ばない限り「勝手に動くハズがないのは当たり前の話」です!(怒)

・・何を言いたいのか???

このフローティング機構内外に「白色系グリース」を塗ってしまう事で、経年劣化進行に伴い変質し抵抗/負荷/摩擦が増大して「リアルな現実に擦れ痕が残っていく」のは、まるで前述の「金属用研磨剤で削っているのと同じ話」であり、本来互いがダイレクトに接触しつつ保持させる目的だったのに「擦れ痕が残る適切な内径を維持できなくなり抵抗/負荷/摩擦がどん
どん増していく
」悪循環に入ってしまいます(怖)

後で解説しますが、光学系前後群を含む鏡筒を保持しているのは「この昇降筒」なので、ここが摩耗していくと致命傷に至るのが、どうして分からないのでしょうか???(涙)・・どうして扱った3本全てが「白色系グリース」で塗ったくられているのでしょうか???(涙)

↑上の写真は駆動系や制御系で使う「ポリエチレン製環/リング/輪っか」ですが、ご覧のとおり「鋼球ボール」用の穴が空いていて、ここに「全部で7個の鋼球ボールが入る」設計です。
(合計で14個入る)

・・ところが、今回の個体は全部で4個だけしか入っていませんでした!(怒)

他の10個の鋼球ボールは、いったいどうしたんですか???(怒) しかもこのポリエチレン製環/リング/輪っかをよ〜く観察すると「片面は艶消し処理されているが、反対側の面は平滑性を伴う光沢仕上げになっている」設計なのに、このポリエチレン製環/リング/輪っかの使い方さえ間違ったままです!(怒)

・・どうして設計者の意図を汲み取ろうとしないのですか???(怒)

↑上の写真は制御系と駆動系のアーム環が順番にポリエチレン製環/リング/輪っかに挟まれて入る様子をイメージしています。

制御環 (設定絞り値に対する絞り羽根の角度変更指示環)
開閉環 (開閉レバーに拠る絞り羽根の瞬時開閉動作)
開閉レバー環 (マウント部に飛び出てくる開閉レバー)

↑上の写真は、このモデルの駆動イメージをちゃんと構成パーツの順番を合わせて並べ、解説しています。

制御環
❷ 開閉環
❸ 開閉レバー環
絞り環
鏡筒 (光学系前群と後群)
直進筒
フローティングガイド
直キー (直進筒両サイドに刺さるので2本)
直進キーガイド
❿ 鏡筒直進ガイド

例えば 鏡筒内部には絞りユニットが組み込まれているので、当然ながら絞り羽根が入っていて「開いたり閉じたり」するのは当たり前の話です。その時、❹ 絞り環の操作で設定絞り値が決められ、その絞り値まで❶ 制御環が移動する為、絞り羽根が設定絞り値まで閉じます。

ところが、この時設定絞り値を決めているのは「操作した❹ 絞り環」ですョね???(笑)
するとこの❹ 絞り環は、いったいどうやって❶ 制御環に設定絞り値を伝えているのでしょうか???(笑)

・・こんな話はちょっと考えれば誰でも理解できる話です!(笑)

距離環を回した時にズズぅ~ッと鏡胴が繰り出されて長〜く伸びるワケですから、上の写真の❹ 絞り環から飛び出ているアームの長さでは・・足りませんョねぇ〜???(笑)

そうです! このモデルは内部で、直進筒❹ 絞り環とを連携させて鏡胴が伸びたり縮んだりしているのです(笑)

逆に言うなら「❶ 制御環❹ 絞り環は同じ操作を行う為に2つ分用意されている話」だと述べているのです。同じように❷ 開閉環❸ 開閉レバー環も同じ操作の為に用意されています。

一方「❻ 直進筒」の両サイドに切り欠き/スリット/ガイドが用意されている❾ 直進キーガイドには❽ 直進キーの板状パーツが刺さって、距離環を回した時にズズぅ~ッと鏡筒を延ばす
役目をしています。

同様、今度は「❻ 直進筒」の、やはり両サイドに用意されている「❿ 鏡筒直進ガイド」に
キーが入ってヘリコイドのネジ山に従いさらに繰り出していく仕組みです。

つまりこのモデルは「距離環を回して❻ 直進筒を繰り出すと、自動的にさらに鏡筒が伸びて
繰り出されていく
」原理です。

逆に言うなら、距離環を回している時の掴んでいる指が伝えているチカラは「距離環だけではなく鏡筒まで伸ばすチカラが必要になる」原理なので・・ダブルヘリコイド方式なのです(笑)

従って過去メンテナンス時の整備で「白色系グリース」を塗ったくると、数年〜5年くらいでどんどん距離環を回すとトルク感が重く変わっていきます(泣)・・何故なら「白色系グリース」を塗布する想定で設計していないからです(笑)

↑「❹ 直進筒」ですが、❾ 直進キーガイド❿ 鏡筒直進ガイドが切削されています。❾ 直進キーガイドのほうは❽ 直進キーの板状パーツが刺さるので、ご覧のように片側が空いていますが、一方❿ 鏡筒直進ガイドのほうは移動範囲が限定されています。

だからこそ距離環を回してダブルヘリコイドが回転していくと❾ 直進キーガイドのほうが刺さったまま長〜く伸びるので、その時に同時に❿ 鏡筒直進ガイドが鏡筒を丸ごと延伸させる動きをする原理なのが理解できると思います。

・・こういう構造だから距離環を回す時のチカラは、両方分のチカラが必要になる原理。

ご理解頂けるでしょうか??? マクロレンズでググっと鏡胴が伸びるのに、その時の必要なチカラは「実は2つ分の繰り出しのチカラを距離環を回してやっている」次第です(笑)

従って、このモデルに「白色系グリース」を塗ると、ダブルヘリコイドのトルクは年を追って重くなる一方なのが分かるでしょうか???(笑)

↑上の写真は解体できない鏡筒で、光学系前群格納筒も取り出せない為、光学系第2群と第3群が格納したままであり、合わせてその次に絞りユニットも収まっています。絞りユニットから飛び出ているコの字型の「制御爪」がブルー色の矢印で指し示してように移動するので、絞り環で設定した絞り値まで絞り羽根が閉じたり開いたりします。

↑同じように鏡筒の反対側を撮影しましたが、今度は絞りユニットからコの字型の「開閉爪」が飛び出ていて、この爪が動くので絞り羽根が瞬時に開いたり閉じたりします (ブルー色の
矢印
)。

❶ 制御環❷ 開閉環ですが、ブルー色の矢印で指し示した箇所に、やはりが用意してあります。ここに絞り環からのアームが入り、或いは開閉レバーからのアームが入るので、連携して伝えられているのが分かると思います。

↑こんな感じで❹ 絞り環からアームが伸び、❸ 開閉レバーからもアームが伸びています。

↑さて、ここからが過去メンテナンス時の整備者のごまかし行為の『証拠』とその「検証」です(笑) ❶ 制御環を例にして解説を進めます。ポリエチレン製環/リング/輪っかを一つだけ載せて撮影していますが、グリーン色の矢印で指し示した位置に鋼球ボール用の穴が空いています (全部で14個分)。

この穴に鋼球ボールが入るので、❶ 制御環は平滑性が担保されスムーズに駆動できるようになりますが、今回の個体は4個しか鋼球ボールが残っていませんでした(汗)

実は3個の鋼球ボールが「何とダブルヘリコイドの中から出てきた!」(驚) 次第です。ヘリコイドのネジ山をチェックすると、たしかに削れている箇所が一分に残っているので、一時期その位置に鋼球ボールが挟まっていたのかも知れませんが、溶剤で洗浄して初めて鋼球ボールを発見したので、いったい何処に挟まっていたのかは「???」なままです(汗)

↑ではどうしてポリエチレン製環の穴に入っていたハズの鋼球ボールが飛び出てきたのでしょうか??? その説明を上の写真で行っています。

ポリエチレン製環は「C型締付固定環」により挟まれて固定されますが、ご覧のとおりグリーン色の矢印で指し示した鋼球ボールが入る穴の全てが隠れません(汗)

↑イメージとしてどんなふうに組み立てられていたのかを上の写真で示しています。ポリエチレン製環はこんな感じで「直進筒」にセットされ「C型締付固定環」により固定されますが、グリーン色の矢印で指し示したように鋼球ボール用の穴が現れてしまいます。

❶ 制御環❷ 開閉環も共に絞り環操作やマウントからの開閉レバー操作などによってブルー色の矢印で指し示した領域で移動しますから、その時に「同時にポリエチレン製環まで一緒に回ってしまう」ので、鋼球ボールが入っている穴が露わになってしまいます(涙)

従って、もしかしたらちゃんと全部で14個の鋼球ボールを入れて過去メンテナンス時に仕上げたのかも知れませんが、そもそも「ポリエチレン製環の使い方をミスっていた」為に、経年の中で鋼球ボールが飛び出てしまい、或いは落下してしまい、一部がヘリコイドのネジ山にまで廻ってしまったと推測しています(涙)

・・その結果ヘリコイドのネジ山が一部削れ距離環を回すトルクに悪影響を来しています(涙)

実際に上の写真の状態ではなく、ちゃんと組み立てていって、当初バラした時と同じ順番で「ポリエチレン製環が一番上に来てC型締付固定環で固定する」状態に仕上げた時、絞り環の操作やマウント部レバー環操作に従い、❶ 制御環❷ 開閉環が共に駆動している時、ポロポロと入れ込んでいた14個の鋼球ボールのうち「リアルな現実に2個が落下して、ヘリコイドのネジ山にくっついた」のを目撃しています(笑)

落下した鋼球が入っていたのが上の写真のとおり「C型締付固定環」により固定されていた側のポリエチレン製環に入れ込んでいた鋼球ボールであったのも確認しました (その下側のポリ
エチレン製環に入っている鋼球ボールも暫く使い続ければ、おそらく脱落していくと推察しますが、今回試してはいません
)(汗)

当然ながら、現状今回のオーバーホール/修理の工程全てが完了した時点では、これらポリエチレン製環や❶ 制御環❷ 開閉環の組み込み順番なども正しい手法に変更しており、どんなにオールドレンズを操作しても鋼球ボールが脱落しないのを確認済です (当たり前ですが)・・
今後将来的に組み込んである14個の鋼球ボールが脱落していく事は100%起きません(笑)

↑それは上の写真を見れば分かりますが、以前扱った際の写真から転載したものの、今回の
個体もバラしてみると同じように組み上げられていました(泣)

白色系グリース」を「昇降筒」に塗ったくり、合わせてポリエチレン製環が一番上に来る
位置で組み立てられていたので鋼球ボールの一部を紛失しています。

もッと言うなら、下の方に挟まっているポリエチレン製環のほうは「❸ 開閉環」が被さるので鋼球ボールが外れないように思うかも知れませんが、実はそのポリエチレン製環の下部分には空洞になっている場所がある為、やはり落下してしまいまさにヘリコイドのネジ山に入っていきます(怖)

従って、今まで扱ってきた3本の個体全てに於いて「ポリエチレン製環の使い方が間違っている」ワケで(汗)、鋼球の紛失と共にこれかせ因果になって、今回のオーバーホール/修理ご依頼内容の一つ「絞り環の前後左右で発生しているガタつき」が起きていた次第です(涙)

もちろん鋼球ボールはついに4個しか残っていなかったので「足りない10個の鋼球ボールを調達した」次第です(汗) サイズ「⌀ 1.01㎜径」と言う特殊径の鋼球ボールです(汗)・・市場流通しているサイズ「⌀ 1.0㎜径」ではダメで、必要なのは正しくサイズ「⌀ 1.01㎜径」の鋼球ボールです。

何故なら、径が正しく適合しないと穴の中に入った後に組み立てられた時、挟んでいる「❶ 制御環❷ 開閉環」から伸びる長いアームのチカラが及んで、その応力が加わった際「鋼球ボールが浮き上がって抵抗/負荷/摩擦の原因に至る」から正しく径を適合させないとダメだと言っているのです!(怒)

ポリエチレン製環が一緒に回転しながら駆動する部位なので、その時に鋼球ボールが脱落して落下していくのは当然の話しではありませんか???(怒)

しかも過去に扱った個体2本のうち、1本はこのポリエチレン製環にまで「白色系グリース」が塗られていたワケで、本当に何も考えていません!(怒)

・・グリースを塗れば潤滑性が確保できると考えるのを、そろそろやめてくれませんか???

潤滑剤を塗らずとも十分に平滑性が担保されるべく「ポリエチレン製環を使い、且つ平滑面まで仕上げて用意している」のに、それを台無しにしているのは過去メンテナンス時の整備者のせいです!(怒)

↑さらに上の写真のとおり、距離環の内側に備わる「制限キー」の手前に、ブルー色の矢印で指し示したとおり「擦れてしまう時の抵抗/負荷/摩擦に至らないようテーピングしてあった」次第です(汗)・・左右2枚テーピングされ、右側のテーピングだけが剥がれ落ちています。

この「制限キー」により無限遠位置と最短撮影距離位置の両端でカツンと音が聞こえて突き当て停止する原理です。

←左の写真は剥がれて内部に落ちていた右側のテーピングだと思いますが、何と「セロテープに反射防止黒色塗料を塗った」と言う安直な所為に及んでいます(汗)

どうして製産時点にこんなテーピングなど施されなかったのに、自分達が整備する際に処置する必要が起きるのですか??? 何かがおかしい、何か間違えて組み立ててしまったと、どうして素直に認めないのですか???(怒)

・・こういう所為を平気で執っていて、何でプロの整備会社/整備者と名乗れるのですか!(怒)

  ●               

以上、長々とここまで過去メンテナンス時の整備者による「ごまかしの整備」について解説してきましたが、ここでポイントになるのは「今までの扱い分も含め3本全てで似たような所為を執り間違った組み立て方をしている」点です(汗) 最低でもポリエチレン製環と「C型締付
固定環
」の使い方に関しては、3本全てでアウトでした!(驚)・・どうりで組み込まれていた鋼球ボールの数が一致しなかったワケです(汗)

これらの事実から、おそらく一番最初期に整備した時の整備会社でミスっていて、それ以降
バラした時の逆手順で再び整備されていくので、毎回毎回使い方が違ったまま、鋼球ボールも次から次へと補充されずに紛失が進んでいったのだと推測していますが、これはあくまでも
当方の憶測でしかありません(笑)

最近特に感じますが、YouTubeなどのせいで、例えば「車の修理やパーツ加工動画の番組」或いは「経年劣化進行に伴い酸化/腐食/錆びが生じた金属材のメンテナンス動画」などを視聴して、その所為を真似てオールドレンズの整備に適用する人達が増えているようですが、飛んでもないです!(涙)

化学薬品を使ったり、下手すれば本当に化学反応を活用したり(驚)、前述の金属用研磨剤もそうですし、そういう動画の番組で紹介している内容は「下地処理としての所為が大前提」なので、その後にちゃんとコンパウンドで目止めしたり補充してから磨いてメッキ加工したり、相応に工程を経て仕上がっているようです。

ましてやモーターや電源部を駆使して駆動する機械ではなく「人の手で掴んで回して操作するだけの道具」なのがオールドレンズなのだから、それら動画の内容を真似るのはそもそも大きな間違いです!(怖) 人力に頼った道具である事を、どうか、本当にどうか今一度考え直して頂きたいです(涙)

自分だけ良ければいいと言う思考回路を捨てて、どうか残り僅か50年後には『絶滅危惧種』の境遇なのがオールドレンズなのだと、認識を新たにしてほしいと本当に願ってやみません
・・お願いです! 平伏して懇願します!(祈)

当方などは「磨き研磨」してからそのまま組立工程に進むのではなく「ちゃんとエイジング処理まで進めている」からこそ、最低限に必要ない箇所にまでグリースを塗らずとも「製産時点に限りなく近づいた仕上がりに至る」のであって、いったい構成パーツを「金属材なのに中性洗剤で洗浄してしまって、どうやってエイジング処理を施しているのか???」或いは金属用研磨剤で研磨してしまって、その変質してしまった金属材表層面をいったいどう処置して戻しているのか???

そういう細かい事柄をちゃんと直視して、逐一対処して仕上げるからこそ「製品寿命の延命化に至る」のが本当なのではありませんか???・・当方はそのように考えますね(涙)

・・同じニッポン人なのに、自分の事しか考えないなんて、あまりに酷い仕打ちです(涙)

↑完璧なオーバーホール/修理が終わりました。結局6年ぶりだったので「新規扱い」の如く「観察と考察」に「原理原則」を照らし合わせて、あ~だこ~だやっている始末です(汗)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。冒頭で述べたとおり、光学系第2群と第3群に絞りユニットまでが解体できないので、それらの中に残っている微細な塵/埃は
除去できません・・申し訳ございません。

また光学系第1群前玉裏面のコーティング層や第2群表面などにコーティング層にとても薄い線状ヘアラインキズ (実際は剥がれ) も経年劣化進行に伴い起きています。これも清掃時に起きてしまったことなので防ぎようがありません(汗)

↑一番問題だった「光学系内の薄いクモリ」の正体は、前述してきたとおり「フローティング機構内の昇降筒に白色系グリースを塗布したのがイケナイ」ので、その経年劣化進行に伴う揮発油成分が光学系第7群〜第9群内のコーティング層に固着してしまい、頑固に残っていたのが原因です。

1回の清掃では完全に除去できず、数回に分けて清掃した為、一部には微細な点キズが残っています・・都合4回清掃作業しましたが、除去できなかったのでどうにもなりません(汗)

↑またご依頼内容の一つだった絞り環の前後左右方向に及ぶガタつきも完璧に解消され、シッカリセットできています (当たり前の話ですが)。原因は今まで散々解説してきた「過去メンテナンス時のごまかしの整備」で、特にポリエチレン製環と「C型締付固定環」の使い方をミスっているのが原因でした(汗)

現状9枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動しています。クリック感もシッカリしているので、ガタつきが消えた分、操作性も小気味よいクリック感に戻りました (当たり前の話です)。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」ですが、ダブルヘリコイド方式である点と合わせて、全体のネジ山長が大変長いので、距離環を回す時のトルクは少々重めの印象です。

おそらく当初よりたいして変化していないと思いますが、当方の印象では「僅かに軽めかな
???
」と言う程度の話です。当方で所有する「黄褐色系グリース」の種別では、これ以上
軽く仕上げる事はできませんが、最低でも今までの検証からオーバーホール/修理実施後8年
は経年劣化進行に伴う揮発油成分の発生も想定内に抑えられているのを確認済なので、まだ「白色系グリース」を塗布するよりは、特に光学系内の薄いクモリの発生や蒸着コーティング層への悪影響は避けられると考えます。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離90㎜開放F値f2.0被写体までの距離156m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度78m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、80m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の160m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭です(笑)

従って、以下仕上がり後の今回扱った個体によるオーバーホール後の実写確認も「常に被写界深度を意識」して写真掲載していますから、確かに皆様がネット上で仰る通り、当方は「プロにもなれずマニアすらなれなかった整備者モドキのクソな転売屋/転売ヤー」との話ですから(笑)、電子検査機械設備を所有しない以上、せめてもの基準としてそのように仕向けている
次第で御座います(汗)

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には
応えられません

↑オーバーホール工程の中で解説したように、過去メンテナンス時に距離環内側の「制限キー」直前に貼られていたテーピングのせいで、赤色矢印で指し示した位置にはテカリが残っています(汗) これは経年で常に擦れ続けていたせいで表層面のメッキ加工が変質してしまったので、当方の「磨き入れ」を処置しても元に戻すことはできません(汗)・・申し訳ございません。

以上、距離環を回すトルク感を「ご希望の軽めに仕上げられなかった」点、及び「光学系内の点キズが残っている」など、ご納得頂けない場合は以下摘要下さいませ。申し訳ございません。

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

↑当レンズによる最短撮影距離40cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮りました。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」での撮影です。

↑f値「f11」です。

↑f値「f16」になりました。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっている状況なので「回折現象」の影響がそろそろ現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

今回のオーバーホール/修理ご依頼、真にありがとう御座いました。本日梱包しクロネコヤマト宅急便にてご返送申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。