♦ LEITZ CANADA (ライツ・カナダ) SUMMILUX 35mm/f1.4《2nd》(LM)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、カナダは
LEITZ CANADA製準広角レンズ・・・・、
『SUMMILUX 35mm/f1.4《2nd》(LM)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で捉えても僅か4本目です。
先ずは冒頭で、このような大変希少なオールドレンズのオーバーホール/修理ご依頼を賜り
ました事、ご依頼者様に感謝とお礼を申し上げたいと思います・・ありがとう御座います!
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開放f1.4〜f2.0辺りの滲みのある世界と、f2.8〜f5.6辺りまでのキリリッと驚異的なほどまでに引き締まった写りの、或る意味二面性を持つ写りが魅力でいまだに人気が高い『SUMMILUX 35mm/f1.4《2nd》(LM)』です。
↑今回扱ったモデルの第1世代の登場は、1964年に「製造番号:2060501〜2061500」から始まったようですが、開発設計者は「Walter Mandler (ヴァルター・マンドゥラー)」氏と「Erich Wagner (エーリッヒ・ワグナー)」氏2人による共同作業だったようです。
(ドイツ語発音ではWalterの「L」は詰まったルになるのでほとんど発音されずイに聞こえる)
・・ドイツ人なので、ネット上でよく記されている「ウォルター・マンドゥラー」と明示してしまうと正しくありません(笑) 例えば今現在日本で「ウクライナ」との呼称が一般的であるものの、海外では「ユークレイン」との発音が当然なのと似たような話です (つまり互いに意思疎通に至りません/通じない発音だと言っている)(笑) こういう日本独特なヘボン式ローマ字的表記での発音概念は、そろそろ国際的に通用する発音/表記に改めるべきと強く思いますね(笑)
上に示した特許出願申請書『FR1233449A』は1958年夏にフランス向け申請されたものですが、同じタイミングでドイツ国内とスイス、そして米国向けも申請しています。
然し主体的に考案したのはWalter Mandler氏のほうで、戦後直ぐの1947年に25歳でErnst Leitzに入社し、1950年にはミラーレンズを発案し特許出願申請書を提出しています。その後も長焦点距離の考案を続ける一方、1954年には標準レンズ域のElmarやNoctiluxへと繋がる光学系を発案し特許出願申請書を提出しています。また準広角レンズ域では先に1957年Summicronの8枚玉構成を考案し特許出願申請書を提出しています。
上の構成図は中央が特許出願申請書の掲載図からのトレースで、右が今回扱った個体の光学系をオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。
↑今回のオーバーホール/修理個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。具体的なオーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『SUMMILUX 35mm/f1.4《2nd》(LM)』のページをご参照下さいませ。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。
↑上の写真2枚は、今回のオーバーホール/修理に際し取り出した光学系第1群〜第5群を順に並べ撮影しています (2枚目の写真は単にヒックリ返して、裏面側を上に向けて撮っているだけです)。
冒頭で光学系構成図を載せているのでそれを見ると分かりますが、第2群は2枚の貼り合わせレンズであるものの、第3群〜第4群は単独の第3群に近接して第4群の2枚貼り合わせレンズがモールド一体成型されているような造りになっているのが分かります。
逆に言うなら、単独の光学硝子レンズとして単体で格納するのは第1群前玉だけで、第2群
以降は全て格納筒にモールド一体成形です (第5群のみアルミ合金材で他は黄銅材の格納筒)。
↑上の写真は、その第2群2枚貼り合わせレンズ (左) と第3群〜第4群 (右) 並べて撮っています (ヒックリ返して裏面側を上に向けています)。
共に黄銅材格納筒にモールド一体成型で格納していますが、その黄銅材格納筒の「性格/役目/目的」が互いに違います。なお、上の写真では既に当方の手により過去メンテナンス時に着色されていた光学硝子レンズコバ端の「反射防止黒色塗料」厚塗りを溶剤で除去しています。
逆に言うと右側の第3群の格納筒だけが「反射防止黒色のメッキ加工」が製産時点に施されており、溶剤如きで溶けて剥がれ落ちたりしません(笑)
今回の個体で問題だったのは、ブルー色の矢印で指し示している黄銅材格納筒のフチ部分に (ブルー色の矢印で指し示している面のグルっと一周) 過去メンテナンス時の整備者の手により「反射防止黒色塗料」がコバ端に向かって全て厚塗りで着色されていた点です。
実は、このブルー色の矢印で指し示している面は「絞りユニット内の開閉環と接触する為に
平滑仕上げされている」ので、ここに「反射防止黒色塗料」を塗ると絞り環操作に影響を来し
且つ塗膜粉が微細な塵/埃のように光学系内に剥がれます(汗)
一方右側の第3群〜第4群については赤色矢印で囲っている黄銅材格納筒の中に「第3群の
単独硝子」がモールド一体成型されており、その次の近接している第4群の2枚貼り合わせ
レンズがどのように格納して「このような一体型に仕上がっているのか」が不明です(汗)
ちょうどグリーン色の矢印で指し示している箇所の黄銅材格納筒の構造と言うか、モールド一体成型の手法が「???」なのです(汗) 合わせて左の第2群とは異なり黄銅材の平滑性は「鏡筒に格納する際の落とし込み時のみの平滑性を担保するのみ」と、少々同じ黄銅材でも
性格が違うのが明白です。
↑光学系第2群 (右) が実際に絞りユニット内の「開閉環 (左)」とどのように接触するのかを示していますが、ブルー色の矢印で指し示している箇所が互いに接触します。
逆に言うなら絞り環操作で最小絞り値「f16」方向に操作された時、絞り羽根が閉じていく際の「膨れ上がり」を防ぐ役目も兼ねている為「開閉環 (左)」抑え込みの目的も兼ねています。
従って互いに接触する時もあれば、接触しない時もある (開放付近の場合に絞り羽根は収納の状態に近づくので、嵩高が絞り羽根の厚み分だけで膨れ上がらないから) ので、それを見越した設計を執っています。
当初バラす前の確認時点で「絞り環のクリック感がガチガチした印象」だったのが「反射防止黒色塗料」の厚塗りだったとみていますが、問題なのはその影響で開閉環側が摩耗してしまい
上の写真を見ると分かりますが、ブルー色の矢印で指し示しているフチの黄金色の幅が全周で均一ではありません (逆に言うなら焦げ茶色の幅が均一ではない)(汗)
この摩耗の影響から現状オーバーホール/修理が終わり組み上がっている状態で「絞り環操作時にf2.8〜f5.6辺りで重くなる」状況です(涙)
また今回の個体の鏡筒を確認すると「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」で内外処置されているものの「絞り環用のベース環は光沢が在る平滑メッキ加工仕上げ」と明らかに被せているメッキ加工の処理が違うので、グリースを塗らずにクリック感を実現させています・・結果、絞り環操作時のクリック感は当初のぎこちなさが解消し小気味よい印象に戻りましたが
如何せん残念ながら「開閉環のフチの摩耗」に拠り、絞り環操作が一部で重く変わります(汗)
↑ヒックリ返して撮影しましたが、こんな感じで「開閉環と第2群のフチが互いに接触する」ことを前述のブルー色の矢印で指し示して解説していた次第です(汗)
ライカ製オールドレンズなのに、このように何でもかんでも「反射防止黒色塗料」を塗りまくって、特に光学系内の見てくれの良さ・・真っ黒に仕上がっていて迷光の懸念が無い・・と言う所為が、どんだけ間違っているのかご理解頂けたでしょうか???(涙)
ちなみに光学硝子レンズのコバ端は、当方のオーバーホール/修理工程の中で「コバ端だけを再着色」して仕上げています。
↑上の写真は光学系第5群後玉を裏側方向から撮影しています。アルミ合金材格納筒にモールド一体成型なので取り外せませんが、実は赤色枠内に菌糸状のカビ除去痕が薄く残っています (コーティング層を侵食していたようで集中的に極微細な点状にポツポツと剥がれています)。また赤色矢印の箇所には外周に「遮光環」が棚のように迫り出していますが、この裏側の光学ガラス面との間の空間に「一部やはり菌糸状のカビ除去痕がワサワサと複数残っている」状況です(涙)
↑上の写真はヒックリ返して後玉の露出面側を撮っていますが、前述の「微細な点状にポツ
ポツとカビ除去痕が残っている箇所」を撮っており、コーティング層が剥がれています(泣)
↑さらに上の写真は、今回のオーバーホール/修理ご依頼内容の一つであった最大の問題点たる「薄いクモリ」をLED光照射しつつ撮影しています (下手くそな写真)(汗)
赤色に円形状に囲っている内側に円形状の薄いクモリの領域があり、そこに付随して斜上に
外周に向かって同様薄いクモリが広がっています (凡そ5時〜9時の領域)(涙)
この中心部の円形状の薄いクモリの曇り具合と、そこから斜上に広がる薄いクモリの曇り具合が同一でははないので、おそらく中心部の円形状の薄いクモリはまさにバルサム切れと推察します。
その一方で斜上に広がる領域は単に汚れて (経年の揮発油成分の侵入) 薄いクモリに至っているようにも見えますが、バラして清掃しなければ覗き込んだだけでは確定しません (つまり中心部と斜上の広がりとの領域は互いが同一面ではないと判定します)(汗)
↑上の光学系構成図は今回のモデルの光学系ですが、上の写真でLED光照射しているのは 色付の光学系第3群と、その次に近接してモールド一体成型されている光学系第4群です ( 色付の箇所)。
この薄いクモリが上の構成図で 色付部分の空間 (空気レンズ) に生じている薄いクモリなのか或いは光学系第4群の2枚貼り合わせレンズに生じているバルサム切れなのか・・不明です。
パッと見では 色付の光学系第3群の裏面側/内側のクモリのようにも見えますが、その一方第5群後玉側方向から光学系内を光に反射させて翳すと第4群貼り合わせレンズのバルサム切れのようにも見えます・・つまり特定できていません(汗)
今回一旦剥離させてから再接着するか否か、散々考えまくりましたが、諦めました(涙)・・申し訳ございません。
理由は上の構成図が解説しています。問題なのは2点あり、そもそも第2群と第4群の2枚貼り合わせレンズ ( 色付の箇所) が赤色矢印で指し示したように「貼り合わせ2枚の外径サイズが違う/ズレている」点です。これを再接着時にミスると光軸ズレや偏芯に至りますし、特に
第4群は直前の第3群との関係性から「バルサム剤の厚み」すら狂うと描写性能を落としかねません(怖)
さらに2点目の理由ですが、この第3群と第4群のモールド一体成型が冒頭の掲載写真からも分かるとおり、どうやって第4群の貼り合わせレンズを黄銅材が確保しているのか「???」
だからです (黄銅材格納筒がくっついている原理が分からない)(汗)
おそらく事前に型枠の治具を用意して剥がした後に落とし込みつつ再接着すれば良さそうなものの、ここの構造が分からなければ手を出せませんし、そもそも「極僅かにズレている段差の精密性を担保できる型枠の作成が困難」との結論に達し、諦めた次第です(涙)
残念ながらこの薄いクモリの影響により、撮影時写真にフレアの影響が酷く現れ、実用できる絞り値の範囲を低下させており、その実用範囲は「f1.4〜f5.6」といったところでしょうか。
・・残念です(涙) お役に立てず、本当に申し訳ございません!(涙)
なお、光学系第2群の貼り合わせレンズ裏面側 (絞りユニット側) にも揮発油成分に拠ると推測できる非常に薄いクモリが残っていましたが、完全除去できています。
さらにお伝えするなら、後玉含めカビ除去痕が複数微細な点状キズの如く、ポツポツとその芯が残っている状況で、おそらく過去のメンテナンス時に既にカビ除去していると思われ、経年の微細な塵/埃のように見えていたのは、カビ除去痕でおそらく「芯」だと思います(涙)
↑完璧なオーバーホール/修理が終わりましたが前述のとおり、光学系の状況は改善できませんでした(涙) なお当初バラす前の確認時点で幾つか問題点を把握していたので、その点について以下ご案内していきます。
↑今までの解説のとおり、光学系第3群〜第4群の薄いクモリがそのまま残っています。さらに後玉の一部領域はカビ除去痕として微細な芯が点状キズのように残っています。これらの点状キズは例えば円形ボケで玉ボケなどを表出すると、その内側に微細な点状の影となって写り込むことは考えられますが、このモデルの焦点距離からすると小さい玉ボケしか表出せず、合わせてボケ味の特性からもそれら影は視認できないと思います。
↑薄いクモリの盈虚ゥが甚大で(涙)、実行絞り値で「f1.4〜f5.6」がフレアの影響が少ない範囲と推察できます(涙)
↑10枚の絞り羽根は綺麗に洗浄できましたが「そもそも10枚全てで赤サビが相応に出ていた/取れた」状況からして、相応の期間油染みしていたように捉えています。また冒頭解説の
とおり過去メンテナンス時の「反射防止黒色塗料」のせいで「開閉環の一部に摩耗」が残り、その影響から絞り環操作時「f2.8〜f5.6」間でトルクが重くなります(泣)・・申し訳ござい
ません。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
溶剤で洗浄した際、距離環含め筐体外装の全ての刻印が退色した為、当方にて再着色しています。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し「製品寿命の短命化を促す」結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない『磨き研磨』により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる『完全解体を前提とした製品寿命の延命化』が最終目的です(笑)
もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)
実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)
その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施す『DOH』そのものなのです(笑)
↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」を使い、全域に渡り均一なトルク感で操作
頂けるものの、距離環を回すトルクは「重め」の印象です(汗)
そもそもバラす前の確認時点で「ピント合わせの際のピーク/山の前後動時にククッと微動する使い難さ」があったので、それを解消するほうに注力し微調整を施しました。現状ピーク/山の前後動時はククッと微動する抵抗/負荷/摩擦が消えましたが、相応の重さです(涙)・・申し訳ございません。
↑以上、瑕疵内容が残ったままの仕上がりとなり、お詫びのしようもありません(涙)・・申し訳ございません。
オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離:35㎜、開放F値:f1.4、被写体までの距離:34m、許容錯乱円径:0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度:17m、後方被写界深度:∞m、被写界深度:∞m」の為、20m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の35m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。
・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭です(笑)
従って、以下仕上がり後の今回扱った個体によるオーバーホール後の実写確認も「常に被写界深度を意識」して写真掲載しています。
↑当レンズによる最短撮影距離1m付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑f値「f5.6」での撮影ですが、薄いクモリの影響が既に現れているので、実用面でこの絞り値が限界ではないかと考えます(涙)
↑f値「f8」での撮影です。ピント面の鋭さ感は残りますが、フレアの影響からコント低下を著しく招いています(涙)
↑最小絞り値「f16」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっているので「回折現象」の影響も現れています。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
◉ 焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。
今回のオーバーホール/修理ご依頼、真にありがとう御座いました。明日梱包しクロネコヤマト宅急便でご返送申し上げます。どうぞ宜しくお願い致します。