◎ Carl Zeiss (カールツァイス) CONTAREX Planar 50mm/f2 silver(CRX)
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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません
今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツの
Carl Zeiss製標準レンズ・・・・、
『CONTAREX Planar 50mm/f2 silver (CRX)』です。
先月7月末に一度このモデルの黒色鏡胴タイプをオーバーホール済でヤフオク! 出品しましたが、すぐに「即決価格:89,500円」でご落札頂きました。ありがとう御座います!
今回再び同じシリーズを扱いますが、今回はシルバー鏡胴のほうです。この当時のオールド レンズとなれば、シルバー鏡胴から黒色鏡胴へと変遷していったモデルが様々なメーカーで たくさん存在しますが、単に鏡胴の色が変わっただけではなく「光学系が再設計されている」点に留意する必要があります (つまり描写性の何処かに相違が表れるかも知れない)。
光学系が再設計されれば必然的に同一の光学性能になるハズがありませんが、如何せん人の 目で見て判別できるのか、もっと言えば写真レベルで分かるのかと言う問題もあるので、一概に光学系が再設計されたからと大騒ぎする必要はありません(笑) しかし当方も含めて気に なる人には気になる話なので(笑)、今回このシルバー鏡胴を再びこのブログにアップする事にしました。
当方がこのモデルの存在を知ったのは、4年前の2016年にオーバーホール/修理ご依頼として遙々アメリカのボストンから承った時が最初になります。このご依頼者様には当初からいろ いろとご助言頂き、励ましや勇気を頂いたりしました。特に当方がこだわる『完全解体』や、オーバーホールをさらに超越した『DOH』などは、ご依頼者様の言によると「私達の病理解剖に通じる部分があり憶測によるメーカー名や内部構造とは説得力が違います」とまで仰せ頂き真に光栄極まりない思いです。この一言だけで今までの9年間が救われる気持ちになります。 ありがとう御座います!
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当時はこのモデルの光学系を日本の多くの光学メーカーが模倣したと言う逸話をよく聞きますが、まさにそれもそのハズ凄まじいほどに卓越したその描写性能は文句の付けようがないレベルであり、今もなお憧れの的になっている素晴らしいオールドレンズです。
1959年に旧西ドイツのZeiss Ikonから発売された一眼レフ (フィルム) カメラ「CONTAREX (コンタレックス)」は後に「CONTAREX I型」と呼ぶようになり、巷での俗称「Bullseye (ブルズアイ)」の愛称と 共に今もなお憧れの的であり続ける僅か約32,000台しか製産され
なかったカメラです。
大きな円形窓が軍艦部に備わりますが絞り羽根開閉動作とシャッタースピードの両方に連動する世界初のクィックリターン式ミラーを装備した一眼レフ (フィルム) カメラですね。この円形窓を指して「Bullseye」と呼ばれますがセレン光電池式連動露出計であり、この俗称の由来は「bulls (雄牛) のeye (目) を射貫く」から来ており「射る的」転じて最近では軍用語でもある「攻撃目標地点 (ブルズアイ)」に至っています (攻撃目標を無線などで傍受されても分からないようする暗号として使われた)。
1959年の発売と同時に用意されたオプション交換レンズ群は実に多彩で、焦点距離21mm から何と1,000mmまで揃っていたので、本気度が違いますね(笑) とは言いつつも、現実的な話しとして非常に高価なフィルムカメラだっので、はたしてこれらオプション交換レンズ群を揃えられた人が世界中でいったいどれだけ居るのかと考えてしまいます(笑)
当時の「CONTAREX I型」俗称”Bullseye“の取扱説明書を開くと、今回扱うシルバー鏡胴の 標準レンズ『CONTAREX Planar 50mm/f2 silver (CRX)』がちゃんと掲載されています。
しかしその光学系構成図を見ると「典型的な4群6枚ダブルガウス型構成」で載っています。
今回扱う個体が累計で12本目にあたり、且つシルバー鏡胴では累計5本目ですが、その4群6枚ダブルガウス型構成の光学系を実装した個体を見た事がまだありません。おそらく本当の発売時点に製産済みで用意されていた僅かな本数のみ、4群6枚ダブルガウス型構成なのかも知れ ませんね。
この取扱説明書からトレースした構成図が右図になります。最短撮影 距離は30cmですし他の仕様諸元も全く同一なので、どうして光学系を4群6枚から5群6枚へとすぐに変更してきたのかが、どうしても気に なりますね(笑)
今まで単に5群6枚へと、特に後群側の貼り合わせレンズを分割して 拡張してきただけだとばかり考えていたのですが、今回扱う個体で話がヒックリ返りました・・!(驚)
右図は今回扱った個体を完全解体して、光学系を清掃する際に当方の 手でデジタルノギスで逐一計測してトレースした構成図です。
後群側の貼り合わせレンズを分割させてコーティング層の面数を増やす事で諸収差の改善や解像度の向上、或いは色補正などを目的として再設計したと考えられます。
しかしよ〜く右の構成図をご覧下さいませ。
光学系第2群です。第2群の貼り合わせレンズの貼り合わせ面がガラッと変わっているのです。
実は今回扱った個体は、届いた時に「バルサム切れ」が酷く、且つ前後玉にコーティング層 経年劣化に伴う極薄いクモリが生じていました。さすがに第2群の貼り合わせレンズは中心部からほぼ全面に渡り浮きが生じて「虹色に反射している状態」ですから、これは見ただけでも描写性能が悪化している事が分かります (実際バラす前の実写チェックではとても使いモノにならない)。
そこで仕方ないので一旦第2群の貼り合わせレンズを剥がして、再接着した次第です。その際、ついでなので貼り合わせ面などをチェックしたら発見したワケです。
↑上の写真はこの完全解体して清掃している時に撮影した光学系第1群〜第5群までの光学硝子レンズです。既に第2群の貼り合わせレンズを剥がしているので、そこだけ上下に2枚並んで います。グリーンの矢印で指し示した第3群のみ「マルチコーティングのように光彩を放つ」のを確認しました (つまりパープルアンバーブル〜の3色の光彩)。ブル〜の光彩だけがほんの微かな色合いなので、組み上がるとほとんど視認できませんが、間違いなく光学硝子単体の 状態では (見る角度によっては) 輝いていました。
従っておそらくマルチコーティングではなくモノコーティングのほうだと踏んでいます。また前後玉の厚みも違うのがコバ端を見れば一目瞭然で、後玉で強制的に屈折率を稼いでいるのが分かります。
↑上の写真 (2枚) は、光学系第2群の貼り合わせレンズを剥がした時の個別の写真です。すると前玉側の「凸平レンズ」は接着面側が平坦なのが分かりますが、さらに驚いたのは「接着面側が突出している設計」だったので、曲率があるワケでもなく独特なカタチでした。なお貼り 合わせレンズの後側は当然ながら「平凹レンズ」であり、もちろん接着面も平坦です。
また当方がウソを掲載しているとSNSで批判される為(笑)、証拠写真を撮影しておきました(笑)
↑上の写真 (2枚) は、同様に光学系後群側の第3群と第4群です。ここもまた新たな発見で、第3群は第4群方向に向かって「凸状」だったのです。従って自動的に第4群が「凸メニスカス」になっています。これはまさに本来の貼り合わせレンズを分割させた前述の意図による設計ではないかと考えられます。
この第3群と第4群の間には「シム環」と言う薄いスペーサーのような環 (リング/輪っか) が 挟まるので、その厚み「僅か0.21mm」しかありません (つまり第3群と第4群との間のスペースが0.21mmと言う意味)。
すると今回のシルバー鏡胴モデルの特に後玉側光学系内を覗くと、意外にも外周部分が黒くなっていて入射光として使っているのは中心部分だけと言うのが分かります。
そこで閃きました!(笑) このシルバー鏡胴では第3群と第4群にそれぞれ厚み:0.21mmのシム環と0.31mmのシム環が入り、特に外周部分を (薄い金属板なので) 強制的に塞いでしまうワケですが (厚みだけではなく入射光の遮蔽環も兼ねている)、結局このモデルが黒色鏡胴を発売した時、やはり光学系が再設計されて特に後群側の外径サイズが「同径になってしまった」理由が、まさにこの「シム環」だったのです。
つまり、今回のシルバー鏡胴と黒色鏡胴とでは、確かに光学系の各群の外径や曲率/厚みなどが変化しており再設計されていますが、光学系後群側に関しては「使っている入射光量は同一だった」と言う考えに変わりました。それは前述の構成図を見ると確かに光学系後群側の外径サイズが大きいワケですが、その大きい分を「シム環」が覆ってしまうので、結局入射光量は「後期型」の黒色鏡胴モデルと何ら変わりないのです (黒色鏡胴モデルにもシム環が入るが 外径サイズが違うので細い環になる)。
この後1967年から登場する黒色鏡胴モデルでは再び光学系が再設計 されたようで、特に「フラッシュマチック」を装備した”Blitz“モデル は右図の構成図に変わっています。
これは”Blitz“モデルの最短撮影距離が従来の30cmから38cmに後退 してしまった為に、その分の光学系再設計だったのではないかとみて います。
ちょっと何処でミスったのか思い出せないのですが、光学系構成図をトレースする際に倍率の計算をしくじったようで今まで掲載していた構成図が違いました。正しくは今回掲載した構成図がそれぞれ「初期型〜後期型」としてより正確です (再びトレースし直しました)。
なお今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品も、お題が存在します(笑)
【今回の当方DOH挑戦内容】
市場流通品の多くの個体でとても重いトルク感に堕ちている問題を
「軽快な操作性に仕上げる」事を命題とする
また前回同様今回もちょっとしたこだわりがあったりします(笑)
【今回の出品で狙った成果】
一にも二にも最短撮影距離30cmをどこまで短縮化できるか・・という
「疑似マクロ化」の挑戦です (改造等一切やらない)
・・というお題ですね(笑) 別にたかだか「5cm」しか最短撮影距離を短縮できなかったのだから、特にマクロヘリコイド付マウントアダプタにメリットも感じないと言う話も当然考えられますが、当方は逆に「このPlanarだからこその5cm短縮化は大きい」と言うポジショニングです(笑) それほどこのオールドレンズの描写性能に惚れ込んでいますね!(笑)
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。中央の白紙の上に並べた光学系のうち、剥がした貼り合わせレンズ (第2群) を並べるのを忘れてしまったので空白になっています(笑)
内部構造はそれほど難しくもないですが、実は「トラップ」が幾つか仕掛けられており(笑)、それらにちゃんと気が付いたのかどうか、或いは「原理原則」に則っているのか否か、それらが結果的に最後の仕上がり状態を左右してきます。
本当に「そういうことだったのか〜ぁ!」と言うくらいのトラップが設計時点で仕掛けられていますね(笑)
こういう「設計者の企み/意図が分かってしまう」と、何だか1960年代にトラップしたかのような想いが込み上げてきて(笑)、とても共感が湧いてくるから不思議です。
ちゃんと「観察と考察」をして、さらに「原理原則」に則って考えていくと「自ずと処置すべき内容と微調整の概略が明確になる」ワケで、特に製産時点の組み立て工程を見ていたワケではありませんし(笑)、もちろんサービスマニュアルなど一切手元にありませんが、それでも「本来のあるべき (組み立て工程の) 流れや姿 (微調整の内容) カタチはたったの一つしか無い」ことがよ〜く分かりますね。
不思議なモノでオールドレンズと言うのは『完全解体』しつつも、或いは当然ながら個別に歩んできた経年の歳月が違うとしても、組み上がった「佇まいと操作性」は、近似してくるのだと思います。要はそれがどれだけ均質に仕上がるのかが腕の見せ所なのでしょう (と言っても全く100%同一になる事は無い)。
↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。このモデルはヘリコイド (オス側) が独立しているので別に存在します。
↑鏡筒をひっくり返して後玉側方向から撮影していますが、鏡筒内部に (前玉側方向の面に)「位置決めキー用の穴」が用意されています。
絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。
◉ 位置決めキー
「位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー
◉ 開閉キー
「開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー
◉ 位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)
◉ 開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環
↑9枚の分厚いメタリックな絞り羽根を組み付けて「開閉環」をセットしたところです。光学系後群のガラスレンズ格納筒があり「絞りユニットのカバー」も兼ねているためグリーンの矢印のように被せて初めて絞り羽根が落ち着く設計です。
従って絞り羽根の開閉動作や絞り環操作時の軽快さを決めるのがここの工程でもあります。
↑鏡筒を横向きで撮りましたが「開閉アーム」が鏡筒から飛び出ています (赤色矢印)。
↑距離環やマウント部が組み付けられる基台です。両サイドに「直進キー」と言うパーツがそびえ立ちます。
◉ 直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目
後の工程で実際に (当方が言っている事がウソではないと) 確認できますが(笑)、たいていの 過去メンテナンス時にこの「直進キーはグリースを塗る」のが当たり前なようでグチャグチャになっている事がほとんどです (今までの9年間2,000本以上扱った中でグリースが塗られて いなかった個体数は僅か数本レベルの話)。
確かにグリースを塗りたくなるその気持ちはよ〜く分かりますが、然しよ〜く「直進キー」とその行ったり来たりする溝部分「直進キーガイド」を観察すれば、自ずと答えが出てくるのですが(笑)、これら「直進キーとガイド部分にはグリースが一切必要ない」のが明白です。
組み立て工程を知っているワケでもないのに、どうしてそのように断言できるのか???(笑)
答えは簡単です!「直進キーガイド」の溝部分が平滑性を確保していないのです。これがもしも仮に滑らかに行ったり来たりする為にグリースが必須なのだとすれば「溝たるガイド部分の平滑性確保が前提条件になる」ハズです。
ましてや、ご覧のようにオールドレンズは「円筒形」ですから、必然的に「直進キーも歪曲している」話になり、互いに歪曲したパーツ同士が擦れ合う箇所なのが「直進キーとガイドとの関係性」になりますョね?(笑)
こんな事は言われなくても写真を見れば分かるのかも知れませんが(笑)、然し実際に過去メンテナンス時にグリースをドップリ塗っている整備者が多いのが現実の話なのです(笑)
当方のオーバーホールでは「直進キーとガイド部分には一切グリースを塗らない」ワケですがその根拠がまさに前述「平滑性が必要ではない箇所にグリースを塗る必要性は存在しない」と言う結論だからです。
この点について誰か異論を挟む方がいらっしゃれば、ちゃんと解説して頂きたいですね(笑)
距離環を回す時の「回転するチカラ」を「鏡筒が直進動するチカラに変換する役目」なのが「直進キーと直進キーガイドの任務」です。然しそこに平滑性を伴わないのだとすると、いったいどう言う考えが導き出されるでしょうか???
答えは「掛かったチカラはそこに留まらずにすぐに伝達されてしまうから」と言う話です。
これが過去メンテナンス時の整備者には誰一人分からないようで(笑)、必ずグリースを塗ったくっています(笑)
つまりよ〜く考えたらすぐに理解できる話ですョ(笑)
チカラが留まってしまったら「距離環を回すトルクが異常に重くなる」ワケですョね???
距離環を回すトルクが軽いのだとしたら、それは「掛けたチカラがそこに留まっておらず伝達されているから」だと言えませんか? もっと言うなら、その距離環を回す為に掛けたチカラは、いったい何処へ行ってしまったのですか???
要はそう言う話なのです。単なる思い込みだけで、或いは昔からの慣例だからと「グリースを塗ったくっているのは実は整備者の自己満足大会でしかなかった」と言う結論です。
内面反射が少ない方が良いと光学系内にところ構わず黒色反射防止塗膜を塗りまくって、実は経年でそのインク成分がコーティング層に廻っていたりするのが実際の話だったりします(笑)
要は「整備者の単なる自己満足」でしかないワケですね(笑)
↑こちらは完成している鏡筒と右横に「制御環」を並べて撮影しました。鏡筒から飛び出ている「開閉アーム」が「制御環」に用意されている「開閉アームガイド」と言う、要は「溝」部分に入ってスライドする仕組みです (グリーンの矢印)。
逆に言うと「開閉アームガイドの長さ=鏡筒の繰り出し量」と言う方程式が成り立ちますね(笑)
何を言いたいのか???
つまり距離環を回している時に掛かるトルク感と言うのは「単にヘリコイド (オスメス) の抵抗/負荷/摩擦だけではない」と言うお話しです。この「開閉アームとそのガイド」が互いに接触しながら行ったり来たりスライドしている時の抵抗/負荷/摩擦まで一緒に距離環を回す時のトルクとして伝わっているハズですね(笑)
これが意外にも整備者にも理解されておらず(笑)、ヘリコイドグリースだけでトルク感をどうにかしようと試みているアホな整備者が居ます(笑) 要はな〜んにも考えていない人達ですね(笑)
↑その良い例が今回の個体のオーバーホールで出てきました。上の写真はその「制御環」がスルスルと何の抵抗感も無くスムーズに平滑に回転する「原理」です。
何の事はなく鋼球ボールがギッシリ周囲に埋め尽くされているワケですが (つまり鋼球ボールの転がりでスムーズに回っている)、この鋼球ボールをさらによ〜く観察すると「大小2つの径がある」さらに「鋼球ボールの材が2種類使っている」事が判明します。
実際上の写真でその周りを埋め尽くしている鋼球ボールを見れば (グリーンの矢印) シルバー色のちょっと大きめな鋼球ボールと、僅かに褐色系の小さめの鋼球ボールの2種類が見てとれます。
ここがポイントです!
過去メンテナンス時の整備者はこの点に一切気が付いておらず「デタラメに鋼球ボールを入れ込んでしまった」のです。つまり今回の個体は当初バラす前のチェック時点で、距離環を回す時のトルク感に何故かスリップ現象が起きていました (ピント合わせ時にククッと微動する現象)。
その原因がまさにこの「鋼球ボールをデタラメにテキト〜に入れちゃった!」と言うお話しです(笑)
シルバーなちょっと大きめの鋼球ボールが「総数:25個」さらに茶褐色のちょっと小さめな鋼球ボールが「総数:50個」なので、答えは自ずと明白で「シルバーとシルバーの鋼球ボールの間には茶褐色が2個ずつ入るのが正しい組み込み方法」であり、実際上の写真では既にそのように組み込んでいます。
結果は・・バッチシ、スルスルと滑らかです!(笑)
これは鋼球ボールの材を変えることで、或いは外径サイズを違えることで、互いの摩耗係数を上手く補っているのではないかと考えます。また当然ながらそれぞれの鋼球ボールの転がり係数もありますから、その辺に設計時の意図が隠されているとも考えられます。
要はな〜んにも考えずに、単にバラした時と同じ位置で再び固定して組み上げていくだけと言う整備をず〜ッとやっているから、いつまで経っても本当のメンテナンスができないままで居ます(笑) 「観察と考察」によりちゃんと考えていけば、それぞれの工程でクリアしていかなければならないポイントが、たかがこのようなオールドレンズだとしても幾つも出てきます。
そのようにどれだけ丁寧にそのオールドレンズと接してあげたのかが、結果的に最後の仕上がり具合として素晴らしい操作性となって完結してくるワケですね(笑) ウソだと思うなら、今回の出品個体を触って操作してみて下さいませ。こんなに素晴らしいトルク感で仕上げられるのかと、間違いなく感心するハズです!(笑)
↑こんな感じで基台の内側にさらにもう一つの環 (リング/輪っか) として「制御環」が位置してブルーの矢印のように、スルスルととても滑らかに (何ら抵抗感を感じず) 回ります。
↑工程を進めます。ヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。
基台のネジ山に対してヘリコイド (メス側) のネジ山数が相当長く (深く) 鏡筒の繰り出し/収納量が大きいのが、このネジ山を見ただけでも分かりますね (しかもネジ山の勾配も急だったりする)(笑)
↑さらにヘリコイド (オス側) を、やはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルでは全部で10箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。
このモデルには一般的なオールドレンズのように「絞り環が存在しない」構造ですから、如何にこのモデルのヘリコイド (オスメス) のネジ山数が長大なのかが分かると思います (つまり繰り出し/収納量が多い)
要は筐体のほとんどがヘリコイド (オスメス) だけと言うくらいの設計です(笑)
なお、今回の個体は冒頭のお題のとおり「最短撮影距離の短縮化」に挑戦しているので、ヘリコイド (オスメス) のネジ込み位置を敢えて当初バラした時よりも変更しています。もちろん ヘリコイド (オス側) だけ変更したら正しく機能しなくなるので(笑)、ヘリコイド (メス側) も ネジ込み位置を変更し、且つヘリコイド (メス側) のネジ込み位置が変わると言うことは距離環の固定位置まで変わっています。
要は何を目的として変更したのかによって、ちゃんとそれに従い変わる部位が存在することを逐一理解している、つまりは「原理原則」が理解できているからこそ「このような工夫ができる」話であり、決して改造/改修などは一切行いませんね(笑)
従っていつでもオリジナルの状態に戻せます・・。
↑さて、前述の当方が散々解説していた話がウソではない証拠が上の写真です。グリーンの矢印で指し示しましたが「直進キーとその直進キーガイド」部分にはグリースが一切塗られていません(笑) まさしくバーツそのままの状態でも、とても滑らかに軽い操作性でヘリコイド (オスメス) が回っていくワケです。
これがまさに当方の『DOH』の成せる技であり、たった一つのポリシ〜『可能な限り製産時点の状態まで各構成パーツを戻す』つまりは工場で組み立て工程の最中には「経年で錆びついた構成パーツは一つも使っていない」からです(笑)
これ、至極真っ当なお話ですが、実は過去メンテナンス時の整備者は誰一人この処置にこだわりません。製産時点の状況に戻してあげれば、自ずとベストな状態でオールドレンズは仕上がりますね (当たり前の話です)(笑) 当たり前のことをごく普通に当たり前にやっているだけの話で、何一つ特別なことはやっていません。何一つ褒められるような事はやっていないのですョ(笑) 然し、この当たり前のことを当たり前にやる事が、現実問題としてなかなかちゃんとできない部分なのです。
それは意外にも様々なお仕事に対しても共通的に指摘できるお話なのではないでしょうか?(笑) 当たり前のことを当たり前にやる事を、本当に真剣に突き詰めていこうとすれば、その努力と甲斐は意外にも期待したほどの利益をすぐに生み出さないかも知れませんが、然しながら長い目で考えたら確実に顧客を確保できているのだという、ある意味当方にとっては自らに課した提言のようなお話ですね (何しろ当方は信用/信頼が皆無らしいので)(笑)
その一つの現れ、効果として例を挙げるなら、例えばこのヤフオク! に於けるオールドレンズの出品に際し、光学系内の状態を事細かくちゃんと明記して出品する出品者が10年前と比べると確実に増えてきているのは、いったいどう言う現象なのでしょうか???(笑)
当方がこのヤフオク! で整備済でオールドレンズを出品するようになった10年前には、そのような出品をしている出品者は一人も居ませんでした(笑) 当然のようにオールドレンズの出品時にちゃんと光学系の状態を明記するようになるのに、10年もかかるワケですョ(笑) 至極 当たり前の配慮でしかないのに、それを全うにやろうとするとそれだけの時間が掛かると言う良い例ではないでしょうか(笑)
だから当方は「直進キーにグリースなど塗った事がありません」と言明しているワケです。『本質を極める』とは、そのような事なのではないでしょうか。ついに9年が経過してもプロになれなかった当方には、もう既にその『本質を極める』道しか、恥ずかしながらも残されていないのですョ(笑) それが現実なのであり自らに課すべき厳しさなのだと覚悟しているワケです。
ことわざに「六十の手習い」と言うのがありますが(笑)、これは六◉歳になってから習字を始めることを指して、年齢を重ねてからも勉学や稽古事を始めることを意味し、歳が幾つになっても自発的に何かを覚えたい、習いたいと思う気持ちには決して遅いと言うことはないと言う喩えでもあります。まさにそのような気持ち、想いなワケですが(笑)、残りの人生ももぅそれほど長くはありません。プロになりたいと言う頂上を目指すことは既に適いませんが、せめて「八合目までは・・」なんとか辿り着きたい一心ですね、まだまだ未熟な当方には、目の前に長い長い険しい道が続いています・・(笑) どうかどなたか、八合目辺りでチカラ尽き果てている当方を見かけましたら、一輪の花なぞ手向けて頂ければ供養になります(笑)
そんな先々のことまではと仰るご奇特な方がいらっしゃいましたら、でしたら今出品中のオールドレンズをご落札頂くだけでも『十分に手向けになりますョ〜ぉ!』と附しておきます(笑)
↑梨地仕上げの、いえもっと厳密に言えば「ヘアライン状のアルミ合金材アルマイト仕上げ」の距離環をセットしたところです。このモデルの材はほとんどがアルミ合金材ですが、筐体外装は拡大して観察すると分かるのですが「横方向のヘアライン状に微細な筋が入っているアルマイト仕上げ」ですから、ちゃんと「磨き研磨」した後に「エイジング処理」しています。
↑ひっくり返して基準「▲」マーカーがある指標値環をセットします。
↑この後は光学系前後群がセットされている完成している鏡筒を組み込んでから無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑もぉ〜好きで好きで仕方ないので(笑)、またもこのモデルを扱ってしまいます! と言っても当方の資金力にとっては高額な部類なので、そう滅多やたらに扱うことはできません。となればできるだけご落札者様が使い易いよう、拘りを以て仕上げたいと言うのがホンネですね。
今回も「これでもか!」と言うくらいに距離環を回すトルク感が「素晴らしく軽い操作性でしかもヌルヌルッとシットリしたトルク感が堪らない」と言う、当方のファンの方々皆さんが喜ばれるトルク感に仕上がっています(笑)
ピント合わせで当然ながら被写体のピント面を微動させて前後で最も鋭い位置を探す操作をするワケですが、その時の「前後に微動する感触がヌルヌルっと堪らない」ワケです(笑)
このようなトルク感に仕上げる事で、実は「撮影する愉しみ感が増す」事にも繋がるワケで、単に操作性だけの問題ではありませんね(笑) 要はそう言う部分にまでできるだけ配慮できるのがオーバーホールの良さでもあります。
↑光学系は冒頭解説のとおり「バルサム切れ」だったので光学系第2群を剥がして再接着し、且つ前後玉は当方の手による「ガラス研磨」を施したので、今はスカッとクリアに仕上がっていて、もちろんLED光照射でコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。
残念ながら経年相応に前後玉外周附近には「菌糸状のカビ除去痕が残っている」のですが清掃済です。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑光学系後群側の特に後玉に経年相応に極微細な点キズが少々多めに残っているので、パッと見で「微細な塵/埃」に見えがちですが、3回清掃しても除去できていません (つまり微細な点キズ)。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:14点、目立つ点キズ:9点
後群内:15点、目立つ点キズ:10点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い3ミリ長が数本あります)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・前後玉の外周附近に菌糸状のカビ除去痕が幾つかありますが写真には一切影響しません。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。
↑9枚の絞り羽根もキレイになりマウント部内側にある絞り環との連係環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に均質な閉じ方を維持」しています。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せます。
(絞り環操作はマウントアダプタ側の機能です)
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
↑まさに完璧なオーバーホールが終わりました。筐体外装には僅かに経年の擦りキズなどが残っていますが、経年で茶褐色に変色していたシルバーホワイトな筐体外装やローレット (滑り止め) 部分は、キレイにアルマイト仕上げを復活させています (エイジング処理済)。
当方はだいぶ昔に家具屋にも勤めていたことがあるので(笑)、その時に職人から「磨き研磨」について伝授されているので、このような金属の (と言ってもアルミ合金材ですが) アルマイト仕上げも磨きを処置できます。
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑今回のオーバーホール済によるヤフオク! 出品に際し用意した附属品を一堂に並べて撮影しました。
【今回のヤフオク! 出品に係る附属品】
① 本体:『CONTAREX Planar 50mm/f2 silver (CRX)』
② マウントアダプタ:haoGe製CONTAREX → LMマウントアダプタ
③ マクロ月マウントアダプタ:haoGe製LM → SONY Eマウントアダプタ
④ 後キャップ:SONY E 用樹脂製後キャップ
⑤ フィルター:Zeiss Ikon USA製純正UVフィルター (B56) (中古品)
・・とこんな感じです。
↑附属の中古フィルターはZeiss Ikon USAの製品になります。硝子面外周附近に経年相応の菌糸状のカビ除去痕が複数残っています。UVフィルター部分はまだまだキズも少なくとてもキレイです。
↑附属の中古フィルターは、ご覧のようにバヨネット式なので赤色矢印の爪と爪ではない箇所とで合わせて捻ればすぐにロックされます (軽い操作性で着脱できるよう仕上げています)。
↑ここからは附属したマウントアダプタの解説をします。このモデルには一般的なオールドレンズのように「絞り環が存在しない」ので、マウントアダプタ側に「絞り環が用意されている」構造です。CONTAREXの様々なオールドレンズモデルに対応できるよう、開放f値「f1.4〜f22」で絞り環操作できるようになっています (クリック式/グリーンの矢印)。
また③のマクロヘリコイド付マウントアダプタはマクロヘリコイドのローレット (滑り止め) 部分をスライドさせると繰り出し/収納します (ブルーの矢印)。
↑まずは②のCONTAREX用マウントアダプタですね。「●」のリリースマーカー位置を合わせてオールドレンズのマウント部を重ね、捻ればマウントロックします。この時、今回のモデルが開放f値「f2」なので、事前にマウントアダプタ側「絞り環」を「f2」にカチッとクリック感を伴いつつセットしておきます。
↑また次の③マクロヘリコイド付マウントアダプタとの装着も、やはり「●」のリリースマーカー同士を合わせてから捻ればカチッとロックされます。外す際はマクロヘリコイド付マウントアダプタ側にある「シルバーのツマミを下方向に押し下げながら捻る」と外れます。
↑上の写真 (2枚) は、③マクロヘリコイド付マウントアダプタの「ヘリコイド部分の繰り出し/収納」を解説しています。ローレット (滑り止め) を掴んでブルーの矢印方向に回すと繰り出し/収納ができます。ローレット (滑り止め) を右方向にスライドさせると繰り出しを始めて、逆に回すと収納です (ローレットの操作自体は少々重め/勝手に繰り出し収納しません)。
マクロヘリコイド部分の繰り出し/収納量は「約5mm (4.7mm)」くらいです。
この繰り出しによって最短撮影距離:30cmからどんだけさらに近接撮影ができるのかが今回のお題の2つ目です。
何しろ素の元の光学性能が高いので(笑)、5mm繰り出したところでオリジナルの描写性能が 堕ちることもなく、と言うか判断のしようがないくらいに素晴らしい写り具合です!(驚)
こうなると、被写体に少しでも近接してトロトロボケで撮れる要素が嬉しかったりしますね(笑)
↑実際にマクロヘリコイド付マウントアダプタのローレット (滑り止め) を操作して、さらに近接撮影の実写を撮ってみました。
上の写真は1枚目が当レンズによるオリジナルの最短撮影距離30cm付近での開放実写ですが、ワザと離れて全体が入る位置で撮っています。2枚目がオリジナルの最短撮影距離30cmでの撮影です。また3枚目がマクロヘリコイド繰り出し時の撮影で、いずれも開放f値「f2.0」で撮っています。
ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
なお手前側ヘッドライトの球部分にピントを合わせて撮っている事には理由があり、決して「前ピン」で撮っているつもりではありません。要は「ピント面と各絞り値によるその被写界深度の変化」を各絞り値ごとの実写でご確認頂く事を趣旨として、このような撮影をしています (被写界深度が浅いのか深いのか相違を見る目的)。
単に「前ピン」にしか見えない方は、ぜひ当方が出品するヤフオク! のオールドレンズはスル〜して下さいませ (ご落札頂かないほうが良いです)(笑) このブログも含め様々な角度からいろいろな配慮をして、少しでもオールドレンズの良さや特徴、或いは当時の背景などが伝わるよう工夫しています。そのような趣旨が伝わらない (ご理解頂けない) 方にお渡ししたいとは思いません! 是非ヤフオク! に大勢いらっしゃる信用/信頼が高い出品者様のオールドレンズをご落札下さいませ。
この実写はミニスタジオで撮影していますが上方と右側方向からライティングしています。その関係でフードを装着していない為に絞り値の設定によりハレ切りが不完全なまま撮影しています。一応手を翳していますがハレの影響から一部にコントラスト低下が出てしまうことがあります (簡易検査具による光学系検査を実施済で偏心まで含め光軸確認は適正/正常)。
↑同様に、1枚目が絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮った全景写真で、2枚目がオリジナルの最短撮影距離30cm位置での撮影で、3枚目がさらに繰り出した「実測距離:25cm」での撮影になります (いずれもf2.8)。
↑さらに回してf値「f4」で撮っています。1枚目全景位置で2枚目最短撮影距離30cm、3枚目が25cm位置での撮影でいずれも「f4」での撮影です。
↑同様f値「f5.6」での撮影です。1枚目全景位置、2枚目30cm、3枚目25cm位置。
↑同様にf値は「f11」まで上がりました。それぞれ1枚目全景写真、2枚目オリジナルの30cm、3枚目近接25cmです。
↑f値「f16」です。もぅだいぶ絞り羽根が閉じきっているのですが、それでも「回折現象」の影響が最近接撮影の25cmでも感じられません。如何に光学性能が高いのかを物語っていると思います。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
↑最小絞り値「f22」での撮影です。3枚目の最近接撮影25cmでも最小絞り値「f22」でこれだけまだ背景にボケが残っています(笑) 従ってたかだか僅か5cm程度、最短撮影距離を短縮化しただけですが、それでも絞り値の幅が広がり、且つトロトロボケで被写体を狙える楽しみとは、まさにマクロレンズのような撮影方法ではないかと言う「疑似マクロ化」の目的になります。これはどんなオールドレンズでも最短撮影距離を縮めれば必ず滲みが多くなりますが、はたして光学性能の高いモデルだからこそ仕様を逸脱した状態ながらもこれだけ素晴らしい描写性を残せるのだと言う良い例ではないでしょうか。さすがPlanarであるが故の結果ですね。是非ご検討下さいませ。