◎ MINOLTA (ミノルタ) MD MACRO ROKKOR-X 50mm/f3.5《1977年版》(SR/MD)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、国産は
MINOLTA製マクロレンズ・・・・、
『MD MACRO ROKKOR-X 50mm/f3.5《1977年版》(SR/MD)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を
始めた13年前からの累計で、当時のMINOLTA製マクロレンズ「50mm/f3.5」の括りで
捉えても初めての扱いです。
先日もオーバーホール/修理ご依頼分にて『MC W.ROKKOR 28mm/f2.8《1974年版》(SR/MD)』をこのブログにアップしましたが、モデルバリエーションの多さがハンパなく (最低でも25種類)(笑)、調べるだけで丸一日を要しました。
今回扱うマクロレンズについては、さすがに少なめで7種類しかありませんが、せっかくなので実写を確認してみたいと思いつつ調べると、フィルムカメラで撮影した特定の人の写真アルバムになっているような、相当な枚数が掲載されていました。さらにそれら特定の人の写真
データは、おそらくスキャンした画像データを素のままにアップしているようで、読み込み
だけで時間を要する始末です(泣)
さすがに枚数が多く今回は実写確認を諦めることにしましたので、今回の扱いが初めてながらも描写性の確認は省いています。こういうフリーの撮影写真アップサイトに載せるデータは、なるべく小さく仕上げるのが「鑑賞する人に対するせめてもの礼儀」とも考えるのですが・・日本人的な感覚なのでしょうか???(泣)
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《モデルバリエーション》
※発売年度別に時系列で列記しています。
❶ 1961年発売:
MACRO ROKKOR-QF 50mm/f3.5
光学系:4群6枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:23cm
フィルター枠径:⌀55㎜
※ SRマウントの他「L39マウント規格」品もあり
❷ 1967年発売:
MC MACRO ROKKOR-QF 55mm/f3.5
光学系:4群6枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:23cm
フィルター枠径:⌀55㎜
❸ 1973年発売:
MC MACRO ROKKOR-QF 50mm/f3.5
光学系:4群6枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:23cm
フィルター枠径:⌀55㎜
※ローレット (滑り止め) がラバー製に変更
❹ 1974年発売:
MC MACRO MINOLTA CELTIC 50mm/f3.5
光学系:4群6枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:23cm
フィルター枠径:⌀55㎜
※北米向け輸出仕様で「CELTIC (セルティック)」銘
❺ 1976年発売:**
MC MACRO ROKKOR 50mm/f3.5
光学系:4群6枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:23cm
フィルター枠径:⌀55㎜
※一部の筐体外装パーツが樹脂製に設計変更
❻ 1977年発売:
MD MACRO ROKKOR 50mm/f3.5
光学系:4群6枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:23cm
フィルター枠径:⌀55㎜
❼ 1981年発売:
MD MACRO 50mm/f3.5
光学系:4群6枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:23cm
フィルター枠径:⌀55㎜
※モデル銘がフィルター枠外壁に変更され刻印
光学系は上のモデルバリエーション全てで同じ構成を採り、典型的な4群6枚のダブルガウス型構成です。
↑上の図は、1967年のレンズカタログに印刷されていた「MC MACRO ROKKOR-QF 50mm/f3.5」の図面です。
ネット上で案内されている、当初1961年に発売された一番最初のモデルバリエーション「❶ MACRO ROKKOR-QF 50mm/f3.5」の光学系構成図を当方がトレースしたのが右構成図ですが、同一の光学設計を継承していたのが分かります。
この光学系設計のまま1967年登場の「❷ MC MACRO ROKKOR
-QF 55mm/f3.5」に引き継がれ、その製産は1972年頃まで続いたようです。
1973年になると「❸ MC MACRO ROKKOR-QF 50mm/f3.5」が発売されますが、このタイミングで光学系が再設計され同じ4群
6枚ダブルガウス型構成のまま、右構成図の光学設計として設計を
変更します。
右構成図も当方がネット上に掲載されている構成図を基にトレース
した図になります。この後、最終「MCシリーズ」たる「❹ 1974年発売:MC MACRO MINOLTA CELTIC 50mm/f3.5」まで光学系構成/設計は踏襲され続けます。
そして1976年発売の「❺ MC MACRO ROKKOR 50mm/f3.5」のタイミングで、三度目の光学設計変更が行われます。右構成図も
同様、ネット上の掲載図を当方がトレースしています。
この後すぐに登場するのが今回扱った「MDシリーズ」のモデルバリ
エーションになりますが、すると実質僅か1年で光学系の設計を変更していく話にならざるを得ません。それで「???」と考えました。
そしてついに今回のオーバーホール/修理ご依頼分で扱った個体
「❻ 1977年発売:MD MACRO ROKKOR 50mm/f3.5」を完全解体し、光学系を調べる機会を得られました(涙)・・ありがとう御座います!
すると全く異なる光学設計を採っていた事が判明しました。右構成図は今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い、逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。
つまりネット上に数多く掲載されている光学系構成図が違う/別のモデルの構成図であると推察できます (❺の構成図が違っていて❻の構成図であったハズだと考えられるから)。
その理由は、僅か1年で光学系を再設計していた事は当時のMINOLTAの背景からして考えられず、さらに実は前玉直前の「遮光環の設計を大きく変更していた」事実を掴んだからです。
つまり既に「MCシリーズ最後のモデルたる❺の時点で遮光環部分の設計を変更していた」事が見ただけで判明し、合わせて次に登場した「MDシリーズの❻」でも同じ設計を継承していたのが分かったからです。
逆に説明するなら「❹ MC MACRO MINOLTA CELTIC 50mm/f3.5」までは、レンズ銘板が
金属環で造られており、且つレンズ銘板だけで取り外せる設計を当初からず〜ッと採り続けています。
ところが「❺ MC MACRO ROKKOR 50mm/f3.5」のタイミングで、フィルター枠~レンズ銘板~遮光環部分まで含めた部位が「全て樹脂製の一体モールド成型に設計変更してきた」事が掴めます (実際に見てチェックすればすぐに分かる/それに合わせて製造番号の刻印位置を
鏡胴側に変更している)。
❹まではレンズ銘板部分の外周に枠が付随しているのでレンズ銘板が外せるのが分かりますが
❺からは一体モールド成形に設計変更してきたので外周に枠が存在せず、合わせて遮光環部分も同様に延長した一体モールド成形として設計しています。
もっと正しく正確に述べるなら、実は距離環側の縁に用意されている「撮影倍率の刻印箇所」まで同じ樹脂製の一体モールド成形で用意しているのが判明します (❺~❼までがフィルター枠~レンズ銘板~遮光環まで一体モールド成形で設計している)。
従って前玉直前の設計変更なので (前玉の締付環の形状が変化するから)「❺~❼までが同一の設計/一体モールド設計」と捉える以外に道理がとおりません(汗)
すると浮いてしまうのは/違っているのは突然光学系を設計変更した構成図としてネット上に
載っている「❺の構成図がおかしい/違う」との推察に至り、合わせて❺発売時点1976年
登場「MCシリーズ最後のモデルから、❻の光学設計/MDシリーズ設計を先に採用していた」と捉えるのが理に適い、自然だとの考察に到達しました。
そして最後「❼ 1981年発売:MD MACRO 50mm/f3.5」で最後の光学設計変更が行われ、右構成図として終演を迎えたのではないかと考えられます。
右構成図もネット上の掲載掲載図から当方がトレースした構成図に
なります。
これら考察の大前提は、7種類挙げたモデルバリエーションの中で「光学系構成も最小絞り値も最短撮影距離も何もかもその仕様が一切変化されていない」点です。
その一方で遮光環前後の作りや、筐体外装パーツの設計変更は頻繁に行われ、特に1981年の最終モデルの発売に向けて「コスト削減策が強化されていった流れ」なのは、当時のMINOLTAだけに限らず、多くの光学メーカーが窮地に立たされていた事からも頷けます。
そのままマニュアルフォーカスモデルの終焉とともに、最終的にその設計は次世代のオート
フォーカスモデルへと継承されていくので、決してそのまま消えて逝ってしまった話では
ありませんね(涙)
少なくとも、当方がこのような解説を試みると「公然と平気でウソを拡散し続けている」との誹謗中傷コメントが某有名処に現れるので(笑)、ちゃんと「証拠写真」を載せないとイケナイみたいです(笑)
↑上の写真は、今回扱った「❻ 1977年発売:MD MACRO ROKKOR 50mm/f3.5」をオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時に取り出して並べた「証拠写真」です(笑)
光学系構成の第1群前玉から順に第4群後玉までを並べて撮っています・・その際、第1群~第2群の「光学系前群」はグリーン色の矢印で指し示した方向が前玉側方向にあたり、前玉の露出面側の方向と同一である事を意味します。
一方第3群~第4群の「光学系後群」も同じ様に、今度はブルー色の矢印で後玉側方向を指し示しています (つまり互いに前後群で露出面側方向を上に向けて並べている意味合い/前群と後群は互いに反対向きとの意味)。
↑今度は同じ並び順のままひっくり返して裏面側を写真上方向に向けて撮影しました・・すると左から順に「光学系前群」はグリーン色の矢印方向が前玉の露出面側方向にあたり、同様「光学系後群」もブルー色の矢印が後玉露出面側方向を意味します (互いに前後群で反対向きとの意味)。
この時、当方がデジタルノギスを使って計測したトレース図が「決してウソではない」証として、光学系第3群の裏面側形状を矢印で指し示しています。
オレンジ色の矢印で指し示している光学硝子レンズのコバ端部分が「平坦で幅広である」点、或いは赤色矢印で指し示している「貼り合わせレンズの5枚目に当たる光学硝子レンズの外形サイズが僅かに大きいだけのカタチ」なので、これらを計測してトレースすると「❻ 1977年発売:MD MACRO ROKKOR 50mm/f3.5」の構成図に到達します(笑)
↑また、上の写真は光学系第1群前玉の外形サイズが、第4群後玉の外形サイズよりも「小さい外形サイズである事実」を表し、且つその「厚みも後玉側のほうが厚い」事をグリーン色の矢印で指し示しています・・従って、トレースした光学系構成図もそのような構成図として上にちゃんと掲載しています (決してウソではない)(笑)
↑さらにプラスαの証拠写真として「光学系第2群の貼り合わせレンズは構成の2枚目の厚みが薄く、凡そ1/3の厚みしか有していない」ことを赤色矢印で指し示して解説しています (前玉側方向はグリーン色の矢印で指し示している方向)。
何から何までちゃんと「証拠写真」を載せて解説しないと「嘘を平気で広めている」と某有名処にコメントが載せられてしまうので、堪ったものではありません(涙)
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。
↑上の写真は、当初バラし始めた時に撮影していますが、鏡筒 (ヘリコイドオス側) を抜いて撮影しています。赤色矢印で指し示している箇所に長大な長さのヘリコイドメス側のネジ山が続いていますが「ヘリコイドグリースが濃いグレー状に変質」しています (分かりにくくてスミマセン)。
また距離環のラバー製ローレット (滑り止め) を取り外したところ、グリーン色の矢印で指し示しているように「黒色のテーピングで固定している」事が判明しました(汗)
確かにマクロレンズなので鏡筒の繰り出し量/収納量が長大なのは理解できますが、どうして締付ネジで締め付け固定せずにテーピングにしているのかが「???」です(笑)
↑さらに内部を覗き込むとこんな感じです(汗)・・相変わらず写真がド下手で申し訳ございません!(汗)・・長大なヘリコイドメス側のネジ山に「白色系グリース」がビッチリと少々多めの量で残っているものの、既に経年劣化進行に伴い「濃いグレー状にアルミ合金材の摩耗粉を多分に含んでいる状況」です(汗)
赤色矢印で「鏡筒」を指し示していますが、この鏡筒の外壁には「ヘリコイドオス側のネジ山」が備わります。また鏡筒の内側に「絞りユニット」が組み込まれているもののブルー色の矢印で指し示している「操作アーム」或いはグリーン色の矢印で指し示している板状のパーツ「直進キー」と、いずれも長さを有するパーツなのが分かります。
↑ヘリコイドオスメスを取り外したところです。右側から「基台に距離指標値環」そして「開閉アーム」を赤色矢印で指し示して解説しています。
要は前述の黒色のテーピングを剥がして取り除いてバラした次第です。するとこんな感じでグチャグチャに「濃いグレー状」で、量的に少し多めの印象でしょうか???
実は当初バラす前の確認時点で「距離環を回すトルクが相当に重い印象」を受けたのと合わせて、且つ距離環を回した時にトルクムラのように抵抗を感じる印象が指に伝わりましたが、この時点では明白に受け取れませんでした。
そもそもトルクが重く感じられたのは「白色系グリースを塗っているから」とも指摘でき、バラす前の時点で大凡予測はできていました(笑)
↑ここからはバラ完全解体した各構成パーツも当方の手による「磨き研磨」で仕上げてあり、それらパーツを使って各部位を組み立てていく工程です。
絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒ですが、外周は「ヘリコイドオス側のネジ山」が切削されています。するとご覧のように「ヘリオス側のネジ山は意外にも厚みがない/薄めの印象」です・・逆に言うなら、ヘリコイドメス側のネジ山が前出のとおり長大なので「この鏡筒がグリグリと繰り出し/収納を長い距離で行ったり来たりしている」仕組みなのが分かります。
つまり使うべきヘリコイドグリースの性質をミスると、たしかに重いトルク感に堕ちてしまうのはよ~く理解できます(泣)
↑一つ前で出てきた鏡筒の内側最深部に組み込まれる「絞りユニットを構成するパーツ」で「開閉環 (左) と位置決め環 (右)」です・・この間に6枚の絞り羽根が挟まれ仕組みですね(笑)
↑同じ「開閉環 (左) と位置決め環 (右)」をひっくり返して反対側を上に向けて撮影しました・・この時、写真上方向が「前玉側の方向」にあたりますから、上の写真の2つのパーツは共に前玉側方向を向いて並んでいると言えます。
するとパッと見てすぐに気づきますが「左側の開閉環と右側位置決め環は共に微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」が施されているものの、どういうワケかそのメッキ塗色が違う・・のが分かります。
これはちょっと考えれば当然な話ですが「前玉側方向から見て/光学系内を覗き込んで視界に入るのは位置決め環だけ」なので、黒っぽいメッキ塗色を敢えて使っているのが理由です(笑)・・共に経年劣化進行に伴い内部に廻る揮発油成分が流入するのを嫌うので「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」が施されています。
絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。
◉ 位置決めキー
「位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー
◉ 開閉キー
「開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー
◉ 位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)
◉ 開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環
◉ 絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている
すると上の絞り羽根の写真 (左側) を見れば分かりますが「開閉キー」側は金属棒のプレッシングではなく「単に楕円形状に穴あけしているだけ」なのが分かります。
しかもその開口部には「弧を描いたカタチで切削されている」ので、このカーブで絞り羽根が角度を変えていく原理なのが分かります。
・・どうしてそのような設計にしたのでしょうか???(笑)
整備者なら、この答えをすぐにパッと言えなければダメですね(笑)・・どうして「位置決めキーと同じ金属棒のプレッシングにしなかったのか???」ですね(笑)
↑工程を進めています。既に鏡筒最深部に「絞りユニット」が組み込まれています・・すると「開閉環の1箇所に円形状の棒バネが付けられている」のを赤色矢印で指し示しています。
またさらに「棒バネの一方をグリーン色の矢印で指し示し、反対側をブルー色の矢印で指し示している」ワケですが、ここが過去メンテナンス時の整備者による1つ目のミスでした(汗)
↑円形状のカタチの棒バネを既にセット済みですが、過去メンテナンス時の整備者は「この棒バネのブルー色の矢印で指し示している箇所とオレンジ色の矢印で指し示している箇所の2箇所を固着剤で固定してしまった」のです(汗)
・・棒バネが経年で外れないよう気を利かせたつもりだったのでしょぅが、アウトです(泣)
実際に「開閉アーム」が操作されている時のこの棒バネの状況を、ちゃんと「観察と考察」でチェックしていれば一目瞭然なのですが、単に反発するチカラを与えるだけだからと早とちりして固着剤で固めてしまったのが拙いのです(涙)
ブルー色の矢印で指し示している箇所の棒バネの「引っかかり部分/フック部分」を見ると、特にガチッと確実に固定されるように設計していないのが分かります・・実際に「開閉アーム」を操作すると、この「引っかかり部分/フック部分」がその応力で僅かに微動しているのが見えます。
つまりこの「引っかかり部分/フック部分」を引っ掛ける穴のほうが僅かに大きめに切削されているので「開閉アームが操作されるたびに極僅かに微動するように仕向けてある」のです(涙)
・・それが設計者の意図です(笑)
どうしてそのような意図を持たせたのか???(笑)・・答えは簡単で「絞り羽根か常に閉じるようチカラを及ぼす円形棒バネの役目だから」です・・つまりこの絞り羽根が閉じる際に必要以上のチカラが加わると「絞り羽根は最小絞り値まで閉じた時に僅かに浮き上がってしまう」ので、それを適度に、然し確実に適切な位置まで絞り羽根を「常時」閉じさせる必要から、必要以上のチカラが及ばないよう「フック側が微動するように応力対処した」のが設計者の意図です(笑)
実は、そんな事柄は「開閉アームを操作した時のフックの微動」を見ていれば、自ずと「何で確実にシッカリ固定しなかったのか???」となるハズなのです・・そう言う疑念が湧かないから拙いと言っているのです(笑)
当方のオーバーホール工程で「本来在るべき姿」としてできる限り追求していると述べているのは、そう言う話であって、単に固定するだけなのか、違うのか???まで、いろいろあ~だこ~だ考えているワケです(笑)
さらに指摘するなら、当初バラす前の確認時点で「開放時に光学系内を覗き込んでいたら覗く角度によって6枚の絞り羽根のうち1枚だけがその縁が微かに見えていた」次第で、この時
初めて「絞り羽根の1枚の向きが適正ではなくなっている個体だ!」との判定に至りました。
そんな経緯があったので、バラしていく中で「固着剤で固められていた棒バネ」を発見して「あ~、そうだったのか!」と分かった次第です(笑)
ちなみに固着剤で固められていたのは、反対側の固定箇所も同じで、同様この円形状の棒バネはキチっと確実にハマるように設計されておらず、同じ様に「開閉アームの操作時に微かに微動する/円形状の棒バネの向きが僅かに変わる」ように設計されていたのです(涙)
溝が切削されているところに、この棒バネの「Uの字型のフック形状」がハマっているものの「開閉アームの動きに連動して」ハマっているUの字型のフック部分が僅かに回転します (凡そ数度のレベル)。するとその棒バネの動きは、両端の引っ掛かり部分/固定部分で僅かに移動なり、回転なりのチカラが生じて「必要以上に円形の反発力が及ばないように考えられている」と受け取られ、これら両端部分の作り/構造がキチッと完全に固定するように設計していない
理由に到達しました(泣)
それを固められてしまったので、その影響を受けて6枚中の1枚の絞り羽根だけ傾きの角度がキツく変化していたのです(汗)・・なお、ここで言う「固着剤」はこの 色合いなので、近年の整備で塗布されている固着剤なのが分かります (数十年前なら赤色の固着剤が主流だったハズだから)。
・・こういうのが「観察と考察」であり「本来在るべき姿」を知るきっかけになます(笑)
なお上の写真でグリーン色の矢印で指し示している「直進キーガイドの四角い開口部 (両サイドにあり)」も、キレイにきっちり四角に切削されておらず「何となくガタガタに切削されている
???」ように見えるのも、実はポイントだったりします(笑)
四角い開口部を拡大して見てみれば分かりますが、辺の部分は平らになっていません(笑)
↑距離環やマウント部が組み付けられる基台です。基台の上部には「制限キー」と言う金属棒の突出が2本備わります (赤色矢印)。
このパーツの役目は「片方が無限遠位置で、反対側が最短撮影距離位置での突き当て停止場所」なので、要は「無限遠位置と最短撮影距離位置の両端の位置は変更できない」設計なのが、これだけで確実になってしまいます(泣)
つまりこの「制限キー」存在により、当時のMINOLTAは、これ以上筐体サイズの外径を大きくしたくなかった事が伺えます(泣)・・逆に言うなら、筐体サイズ外径を可能な限り小さく抑えたかったが為に「黒色のテーピング」と言う手法で距離環のヘリコイドオス側環/リング/輪っかと距離指標値環とを固定させて「無限遠位置たる∞刻印の位置をちゃんと適切に微調整して固定できるように設計した」との憶測に繋がり、冒頭のバラし解説部分で現れていた「黒色のテーピング」を使っていた理由が掴めたような気がしています(笑)
何故なら、もしも締付ネジによる締め付け固定方式で設計するなら、どんなに薄めの皿頭ネジを使うにしても/締め付けるにしても、ネジ部の厚み分は互いに厚さを確保しないとネジ込め
ない話に至るからです。
それだけで外形サイズは (ネジ部の深さ分) 厚みが増大し、筐体外形サイズもそれに合わせてさらに大型化してしまいます(汗)・・そして一番の問題は、このモデルが1/2倍撮影のハーフ
マクロレンズだからです。
1:1の等倍撮影を実現させるには、さらにマウント部にエクステンションを延長装着させる必要が生じますが、そのエクステンションの外形サイズまで考慮する必要が出てきます(泣)
それらを勘案すれば、ネジ部の長さだけのために悪戯に筐体外装の外形サイズを大型化する
意味は、相当低くならざるを得ないと考えたからです。
↑長大なメスネジが続くヘリコイドメス側を無限遠位置の当たりをつけた正しいポジショニングでネジ込み、且つ合わせて外壁にヘリコイドオス側のネジ山を備える鏡筒も、同様無限遠位置の当たりをつけた正しいポジショニングでネジ込みます。このモデルは全部で13箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ません (合焦しません)。再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。
上の写真では養生テープで仮止めしていますが(笑)、ヘリコイドメス側と距離指標値環に鏡筒が既にセットされています(笑)
どうして「養生テープで仮止め」しているかは、前述の「制限キーの問題」から歴然です(笑)
↑この時、同時に鏡筒両サイドに「直進キー」をそれぞれ3本の締付ネジで硬締めします・・ちゃんと前述したキレイに四角にキッチリ切削されていない開口部の「直進キーガイド」に刺さっているのが分かります。
何しろ「直進キー」も長大で長いので、このモデルで一つだけ明確なのは「グリグリと浅めの厚みしか無い鏡筒:ヘリコイドオス側が、行ったり来たり繰り出し/収納を長い距離で移動していく原理」なのは間違いありません。
逆に言うなら、決してヘリコイドグリースの粘性だけに頼るのではなく「直進キーとガイドが互いに接触している時の平滑性」如何で、このモデルのマクロレンズとしての「ピント合わせ時の操作性の良さ/軽さ」が決まるのであって、塗布するヘリコイドグリースの粘性だけの問題では決して無い事が明白です(泣)
↑同じ方向からの撮影ですが、少し斜めに傾けて「直進キーの長さ」の印象が伝わるように撮影しています・・最短撮影距離位置まで鏡筒:ヘリコイドオス側を繰り出した時の状況で撮影しているので、これだけの長さで「直進キーが内部で露わになっている」のがポイントです(泣)
・・何を言いたいのか???
当初バラす前の確認時点で「過去メンテナンス時に白色系グリースが塗られている感触」をそのトルクに感じ取れるのは事前に分かっていましたが「どうしてトルクムラが出るのか?」はバラすまで不明でした(泣)
バラしてみると「2本の直進キーを並べた時に微妙に直角を維持していないように感じる」ものの、いろいろ検査しつつも何しろ曲がっている箇所があるので確実に調べられません(涙)
その影響でトルクムラが僅かに残っているように印象を受けますが、もしかしたらヘリコイドオスメスのネジ山の一部が摩耗しているのかもしれません。
・・組み上がった状態で距離指標値の「0.35m」前後で抵抗/負荷/摩擦を指が感じ取る(涙)
状況です・・最終的にいろいろあ~だこ~だ、凡そ2時間ほどかかって調べましたが、残念ながらその因果関係を突き止められませんでした・・申し訳ございません。
その一つには、本来MINOLTA製オールドレンズの多くのモデルで採用しているのは「細かいネジ山」であるものの、さすがにマクロレンズではトルクを重くする因果にも至りかねないので「大ぶりな切削のネジ山」に設計が違います。
従って、これら全周で隅から隅まで長大なメス側ネジ山を凝視しましたが、その切削に慣れておらず、何処が摩耗しているのかは発見できませんでした(涙)
また「直進キー」も前述のとおり、2本並べると何となく傾きが違うように見えるものの、
互いを重ね合わせるとピタリと接触し合うので「???」です (片方だけ浮いたりしない)(涙)
いずれにしても、考えられる要因は「過去メンテナンス時のバラす際にムリなチカラを加えてヘリコイドオスメスを回してしまった???」のか、或いはちゃんと無限遠位置まで収納状態にせずに「僅かでも繰り出し状態で回してしまったのか???」分かりませんが、何かしら影響が残っていて距離指標値の「0.35m」前後で急に抵抗/負荷/摩擦を掴んでいる指が感じ
取れます(汗)
ご依頼者様は、いつもの当方が仕上げているトルク感を既にご存じですから、且つ全域に渡り「必ず均質なトルク感を維持している」のが当然な話なので、それらを勘案するとこのトッと抵抗を感じる「0.35m」前後は・・ウ〜ンと唸ってしまうかもしれません(汗)
・・申し訳ございません!!!(涙)
なお、上の写真では既に「黄褐色系グリース」を塗布済みなので(笑)、どんだけ量が少ないのかが分かると思いますが、これでもちゃんと軽いトルク感に仕上げられています (もちろんスカスカでもない)(笑)
↑上の写真はマウント部内部の写真ですが、既に各構成パーツを取り外して当方の手で「磨き研磨」を施してあります。
↑いつもと同じですが、MINOLTA製のこの頃のモデルは「マウント部の爪を締め付け固定している締付ネジに後からアクセスできない設計」なので、ここで先に固定しておきますが、当初バラした直後はこの爪の裏面にまで「固着剤」が塗られており、おそらくエポキシ系瞬間接着剤ではないかと思います (一部起伏が在ったのでこじいて除去しています)。
・・基本的にMINOLTAの場合マウント部の爪には固着剤の類は塗布しません(笑)
ちゃんとNikonやCanonのように、光学メーカーとしての固着剤の使い方に則っており、必要外の固着剤の塗布は一切しません (しかしちゃんと締付ネジには固着剤が入っているから爪の裏面に塗布する必要がない/MINOLTA独自の専用嫌気性固着剤)(笑)
↑ひっくり返して取り外していた各構成パーツも全て「磨き研磨」を施し組み込みます。前の方に赤色矢印で「捻りバネ」を指し示していますが、今回の個体もやはりグリーン色の矢印の箇所で/捻りバネの両端で「固着剤で固められていた」次第です(涙)
例えば、上の写真でこの使われている「捻りバネ」は「どうして左側だけ長めで/バネが少し余って飛び出ている状態で、カタチが真っ直ぐなのか???」分かるでしょうか???(笑)
逆に言うなら、どうして「右側はカタチが付けられていて/1箇所で曲げられていて、長さが
ピッタリなのでしょうか???」
そもそもこの点を明確に返答できない過去メンテナンス時の整備者だったからこそ「捻りバネの両端を固着剤で固めてしまった」ワケです(笑)
必然的に、これらアームが操作された時に「捻りバネは本来の動き方をせずに中央の丸巻き
部分に応力が跳ね返ってしまい時々浮き上がっていた」次第です・・まだ中央の丸巻き部分
まで固着剤で固めていなかったので、マシでした(汗)・・もしも中央の丸巻き部分まで固着
剤で固めていたら、自ずと適切な組み上げに至らなかったので (絞り羽根の開閉異常発生)、
再びバラして調べるハメに陥っていたハズです(笑)
・・そう言う「原理原則」が分かるから、何をしたらどう変化するか確実に指摘できる(笑)
いずれにしても、これらの意味がちゃんと顕在するからこその「このカタチ」として設計してあるのを一切説明できない過去メンテナンス時の整備者の仕業です(涙)
「捻りバネ」を使うべく目的とその役目、合わせてその時チカラの伝わり方がどのように変化
するのか、そのような事柄に対してちゃんと真摯に向き合い、シッカリと探求する気概を持つ
整備者なら「自ずと捻りバネの目的や役目と原理」を研究せざるを得ません(汗)
そう言う事柄を省いて研究せずに、単にバラした時の逆手順で組み立てていくから「経年で
捻りバネが外れないように固着剤で固めておこう」など、まるで「整備者の自己満足大会」
にしか至りません(笑)
・・では、その影響がいったい何処に現れるのか???
一つの影響先は、前述した「絞り羽根の開閉時」であり、操作アームが絞りユニットから飛び出ている「開閉アーム」をガシッと掴んだまま「無限遠位置~最短撮影距離いちの間を繰り出し/収納で移動している」ワケで、その際に「常時必要以上に強いチカラが及び続けていた」
からこそ、もしかしたら「絞り羽根の1枚が微かに角度を変えてしまった/キーが傾いてしまった」のかもしれませんし、或いは下手すれば距離環を回した時のトルクムラの因果関係かもしれません(汗)
それぞれの動きの時に、現実に及んでいるチカラを検査する機械設備がないので、当方では
調べようがありませんが(汗)、要はそう言う話で、各部位からのチカラの伝達がいったいどう
変化していくのか・・もしも仮に伝達されていく過程でそのチカラが減衰しているのなら、
バネ材のチカラを借りて、再び伝達量を増大させているのか???・・いや、そうではなく
チカラの伝達方向を変えているのか???
そのような類の設計者の意図を一つずつ丁寧に汲み取っていかなければ、チカラの伝達など
知る術がないのは当たり前の話です(笑)・・それをちゃんと探求する気概が整備者に在るのか否かが常に問われている世界なのが、このオールドレンズのオーバーホールの話です(笑)
↑同じマウント部内部ですが、今度は撮影する向きを変えて撮っています。フィルムカメラボディ側に伝達される「伝達環とその突出しているアーム」の他に前述の「操作アーム」が備わり、二重構造で互いに重なり合っている設計なのが分かります。
また「操作アーム側の環/リング/輪っかの一部には赤色矢印で指し示した箇所に絞り羽根の角度を決める金属棒が下方向に飛び出ている」ものの、上の写真には写っていません。
するとこれらの二重に重なっている環/リング/輪っかとアーム類は「下側が微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」なのに対して「上側は微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工が施されていない」のが明らかです・・何故なのですか???(笑)
ヒントは絞りユニット内部に存在した「棒バネが常に絞り羽根を閉じるチカラを及ぼしているから」ですね(笑)・・こんなのは整備者なら当たり前の話で、いちいち解説する必要などありません(笑)
・・しかし過去メンテナンス時の整備者はこのパーツの中の1つの使い方をミスっていた(涙)
ワケで、本当に数多くのオールドレンズをバラしているとパーツの使い方をミスっていると言うか、そもそも間違った認識をしている整備者が居るのではないかと勘ぐりたくなってきます (そのくらい多い)(汗)
結局、今回の個体は複合的な影響で絞り羽根の1枚の角度やトルクムラの問題や経年劣化の進行度合いの相違などなど、幾つか正す必要がありました (全て調べ上げて微調整し、できる
だけ製産時点に近い状況まで戻しています/完璧に戻せていない/因果が掴めていないのも在るから)(涙)
・・全ての因果関係が掴めないと、何処かに影響が伝わるのがリアルな現実の為厄介です(涙)
↑再びヒックリ返してマウント部を上に向けて撮っていますが、フィルムカメラ側への伝達アームが飛び出ています。
↑鋼球ボール+スプリングを入れ込んでから絞り環をセットしたところです。すると途中に「制御キー」が固定されていて、なだらかなカーブが備わるので「その登りつめた坂の頂上が開放側」である一方「麓の部分は最小絞り値側」になり、ここに前述したマウント部内部の「操作環」と言う環/リング/輪っかの途中に下向きに突出していた金属棒が突き当たる事で「絞り羽根の開閉角度が決まる原理」です。
すると冒頭から解説している「1枚の絞り羽根の縁が微かに見えていた」因果関係は、この「制御キーではない」のが歴然で・・何故なら、突き当たる金属棒は1本だけなので、6枚
全ての絞り羽根が一斉に影響を受けるハズだからです(笑)
そう言うのが「原理原則」であり、起きている事象に対して疑うべき部位なのか否かを決めていきます・・つまり絞り羽根の問題は別の部位からの影響として現れるようになってしまった=詰まるところ、1枚の絞り羽根のキーが既に垂直を維持していないと判定を下すしかない
話に到達します (脱落の懸念が高いので修復できません)(涙)
・・だから「観察と考察」に「原理原則」はとても重要だと何度も執拗に述べています(涙)
仕方ないので、その1枚の絞り羽根のキーはイジらずに、別の手法を使い微調整を施し、適正な絞り羽根の開閉動作の中で縁が微かに見えないよう組み上げました。
このように何かの不具合や不適切な動き、或いは必要とするチカラの伝達が成されていない場合は、それら因果関係を掴むのが、まず一番目の作業です(泣)・・その因果関係さえ掴む事が叶えば、そこから再び考察を進めて「別の手法でそれらの改善ができるのか否か」考えれば良いだけの話です(笑)
いろいろあ~だこ~だ考えても、どうにもこうにも改善の手立てがなければ、それは諦めるしかなく「最後組み上がってからも残ってしまっている瑕疵内容」としてご依頼者様にご報告
するしかありません(涙)
従って、当方でのオーバーホール/修理作業は、その全ての結果について100%因果関係を説明でき、且つ改善できたのか否か、どの程度改善したのか・・などなど、逐一説明が適う次第です(笑)
↑完成したマウント部をセットして、この後は光学系前後群を組み込んでから無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。
なお、養生テープで仮止めしている箇所は、最終的に「超強力薄膜アルミテープ」を貼り付けて、且つ無限遠位置もちゃんと調整して仕上げています。当初テーピングで貼っていた「過去メンテナンス時に使われていた塩ビテープ」は伸縮の懸念があるので捨てました。
ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。
↑今回初めて扱いましたが、完璧なオーバーホール/修理が終わっています。前玉の締付環のカタチが変わるので、これら前玉直前の遮光環~レンズ銘板~フィルター枠までが樹脂製なのか否かでモデルバリエーションも当然ながら変わりますし、そもそも光学系の設計まで違います。
↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。
↑光学系後群もスカッとクリアで極薄いクモリすら皆無です。
↑6枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動しています。当初バラス前の絞り羽根が閉じすぎている印象だったので、簡易検査具を使い絞り環刻印絞り値との整合性を持たせています。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
↑上の写真で赤色矢印で指し示している箇所・・フィルター枠~レンズ銘板~遮光環と距離環側の先端部分に位置する撮影倍率刻印環/リング/輪っかの2つの部位は「モールド一体成型の樹脂製」ですから、これらのパーツは下手に溶剤を付けると溶けてしまいます(怖)
↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」を使い、いつもの当方独自な「ヌメヌメっとしたシットリ感漂うトルク」に仕上げてあるものの前述のとおり「0.35m」前後で急にトッと抵抗/負荷/摩擦を掴んでいる指に感じます。
距離環を回すトルク自体は「軽め」に仕上げてあり、その根拠は「このモデルのピントのピーク/山が瞬時にアッという間にスパン!と訪れる」からです(笑)
或る意味「チョ〜気持ちいい!」的なピント合焦の仕方ですが、それを勘案してピントのピーク/山前後での微動を掴んでいる指の腹に極僅かにチカラを伝えるだけでククッと微動するよう仕上げてあります(笑)
本来なら「距離環の全域で完璧に均一なトルク感を維持」とするべき処、今回の個体は申し訳ございません!(汗)
オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。
↑ご指示に従い当方所有「LM → NEXマウントアダプタ (K&F CONCEPT製/中国製)」をダブル装着で無限遠位置を微調整しています。
↑当レンズによる最短撮影距離23cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
なお、1枚目は「等倍エクステンション」を装着せずに「1/2倍撮影のハーフマクロレンズ」として撮影し、2枚目の写真はエクステンションを装着して「1:1の等倍撮影」で撮っていますから、最短撮影距離は互いに23cmのままで変化しませんが、ご覧のように撮影画角はガラッと変わりますし、当然ながらボケ具合も変化します (等倍撮影時のほうがよりボケ量が増大する)(笑)
この概念は、特にマクロレンズだけに限定せず、例えば当方自信が好きで以前オーバーホール/整備していた『疑似マクロ化』の考え方/概念も同一で、「ヘリコイド付マウントアダプタとの併用」或いは「エクステンションの併用」により被写体までの近接距離が変化すれば/より接近すれば、同じ様にボケ量が増大して「合わせて光量も増える」ので (だからボケ量が増えるのだが) 或る意味マクロレンズ的な使い方を狙っていたハズなのですが・・何と何と嫌われてしまい「一切人気なし!」だったので、現在はもぅヤフオク!への出品もやめてしまいました(笑)
然し、当然ながら出品していた頃にご落札頂いた方々は、ほぼ全員が好意的なご感想をお寄せ頂き、中には「この味を知るとクセになる!」とまでご評価頂き本当に感謝感激でした!(涙)
ヤッた内容は、ヘリコイド付マウントアダプタをセットしただけですが、そのヘリコイド部分を操作しなければ「オリジナルな無限遠位置の状態で製品仕様のまま」でありながら、ヘリコイドのローレット (滑り止め) を回して「最大で5㎜分まで繰り出すとボケ量が増えて光量も増え、合わせて同時に最短撮影距離が1/3~ほぼ半分まで短縮化する (オールドレンズのモデルによって変わる)」仕様としたのです(笑)
ところが人気がなくて、涙、涙・・でしたねぇ~(笑) まぁ~相変わらず信用/信頼がないのも
影響していますが(笑)、然し狙っていたのはこのようなマクロレンズ的な内容だったので、
やはり当方が処置するとダメなのでしょう (残念でした)(笑)
↑さらに絞り環を回して設定絞り値「f5.6」で撮影しています。
↑f値は「f8」に上がりました。
↑f値「f11」での撮影です。
↑f値「f16」です。
↑最小絞り値「f22」での撮影です。もう殆ど絞り羽根が閉じきっていますが「回折現象」の影響を全く感じ取れません(涙)・・素晴らしいマクロレンズです!(驚)
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
◉ 焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。
今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。引き続き次のモデルの作業に入ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。