◎ MINOLTA (ミノルタ) MC W.ROKKOR 28mm/f2.8《1974年版》(SR/MD)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、国産は
MINOLTA製広角レンズ・・・・、
MC W.ROKKOR 28mm/f2.8《1974年版》(SR/MD)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時のMINOLTA製広角レンズ「28mm/f2.8」の括りで捉えても
累計で何と2本目でしかありません(汗)

ちょっと死角に入っていて全く扱いを忘れていたようなモデルです(笑)・・しかも、前回の扱いはMC MINOLTA CELTIC 28mm/f2.8 (SR)』で2015年なので、ほとんどMINOLTAの事を失念していたとしか言いようがありません(汗)

この「CELTIC (セルティック) 銘モデル」は北米とカナダ向けの輸出仕様専用機シリーズを指し、国内販売されていなかったようです。「CELTIC」はそのまま直訳/和訳すると歴史学上は「ケルト/ケルト人」と訳されますが、古代ローマ時代に黒海周辺に住まっていたケルト系民族を指しているものの、民俗学面では「ケルト人」の括りと言うのは不明瞭なようです。

サッカーチーム名でも使われているコトバですが、ラテン語/英語の発音では「ケルティック」なので(笑)、それこそ今ドキの「Ukraine」を日本/日本人だけが「ウクライナ」と呼称しますが、ラテン語/英語発音は「ユークレイン」と聞こえ、英語圏での会話では通じません(汗)・・こう言う日本人の「ローマ字的読み方」が現代でも罷り通っているのは、そろそろ英語教育面でも国際的に通用する「正しい発音」へと変更する時期ではないかと強く考えますね(笑)

さて、実は今まで扱いを敬遠していたホンネがあり緑のロッコールたる『アクロマチックコーティング (AC)』が非常に薄い薄膜蒸着なので、経年劣化進行に伴い清掃しただけでヘアラインキズ状に剥がれてしまう問題を抱えており、それが怖くて扱いをやめてしまったのが
本当のところです(汗)

現実に、実際に数多くの個体を扱うと、ヘアラインキズ状に剥がれてしまわない個体も顕在し
剥がれる場合と剥がれない場合の見分けが人の目では不可能です(怖)・・逆に言うなら、少しでもヘアラインキズが視認できる個体は「清掃したらもっと剥がれる」個体と覚悟するべきで
覚悟を決めて実際に作業を進めるとその予測どおりの結果に至り、どうにもなりません(怖)

後でいろいろでてきますが、特に初期の頃のモデルほど、大変美しい緑のロッコールの光彩を放っているので、オーバーホール/修理など承るととんでもない結果に到達します (右写真は以前オーバーホール
したAUTO ROKKOR-PF 58mm/f1.4です
)(怖)

・・それこそが敬遠していた最大の理由だったりします(涙)

個人的には、それこそ当時のKONIKA製オールドレンズのモデルに相通ずるような「印象面でとても優しい写り方をする描写性」が大好きで、KONICA同様MINOLTA製オールドレンズの各モデルも大好きなのですが、如何せん光学系の状況は相当切迫しており、多くの市場流通個体が手を出せない状況です(涙)

それは掲載写真を隅から隅までチェックしてヘアラインキズが視認できない個体を手に入れたとしても「清掃したらアウト」で『アクロマチックコーティング (AC)が剥がれまくり、ヘアラインキズだらけに堕ちてしまいます(怖)

もしも仮にそのヘアラインキズ状を何とかするなら、それこそ逆に剥がしまくってしまって『アクロマチックコーティング (AC)を全除去してしまえば、どんなに光学系内を光に反射させて確認しようともヘアラインキズ状に剥がれているコーティング層を視認できなくなりますが・・その結末は緑のロッコールが消滅したパープルアンバーな光彩・・の話であってとても許容できる話ではありません(涙)

・・まるで『緑のロッコール』が「普通のロッコール」に堕ちてしまったような話です(涙)

それは、MINOLTAファンにとりとても受け入れ難い結末で、例え「そうなる事がありますョ」と事前に申告していても、手元に戻って来た個体を見たら、どんだけガッカリなのかは容易に想像できます(涙)・・それ故、クレーム怖さ以前に、申し訳ない気持ちのほうが大きくて扱えなくなってしまったのがホンネの心情だったりします(涙)

但し、一切問題なく清掃できてしまう個体も1/3ほど在るので、コーティング層の状態は
本当に奥が深くて目視では全く分かりません(涙)

なお『アクロマチックコーティング (AC)層を完全除去するなら、光学硝子研磨を試みてしまえば良いので、一般的なコーティング層の研磨/剥がしが相応に大変なのに比較して、むしろ逆に『アクロマチックコーティング (AC)層の完全除去はアッと言う間だったりします(涙)

・・要は、それだけ薄膜によるコーティング層蒸着なのだと言えそうです(涙)

 

  ●               

このMINOLTAの、当時世界初と謳われた『アクロマチックコーティング (AC)層を解説する際にどうしても避けて通れないのが「ノンコーティング (コーティング層蒸着なし) /シングルコーティング (単層膜コーティング)/モノコーティング (複層膜コーティング)/マルチコーティング (多層膜コーティング)」の話になります。

この時ネット上の解説により「シンクルコーティングとモノコーティングの区分けが不明瞭」だったりします(汗)・・要は単層膜なのか複層膜なのかの捉え方に一貫性がないので、言葉の綾に陥っているような話になり兼ねません(汗)

そこで現実的に具体的な特許出願申請時期から有名処のコーティング技術を調べると・・、

《Carl Zeiss Jena (戦前〜戦後) コーティング技術の発展》
1934年ノンコーティング (反射防止コーティング層の蒸着無し)
1935年〜:シングルコーティング (反射防止単層膜コーティング層の蒸着)
1939年〜:モノコーティング (反射防止複層膜コーティング層の蒸着:zeissのT)
1972年〜:マルチコーティング (反射防止多層膜コーティング層の蒸着:zeissのT*)
※ 世界初の薄膜複層膜蒸着技術開発は1958年のMINOLTAによるアクロマチックコーティング
 (AC) が最初でありモノコーティングとは異なる技術/当時のライカがMINOLTAと技術提携
※ それぞれドイツ国内に於ける最初の特許登録年を列記/国外登録年はまた別

・・と言う話になります。この中で、例えば1936年8月1日開催された戦前ナチスドイツによる第11回ベルリン夏季オリンピックは
当時「国威発揚映画」として白黒撮影され残っていますが、その際使われたCarl Zeiss Jena製 Olympia Sonnar 180mm/f2.8《前期型》(exakta)」は、技術上到達していたコーティング層蒸着が「シングルコーティング (単層膜)」だった為「zeissの」刻印がレンズ銘板に存在しません (後の時代に登場した同型モデルのレンズ銘板から刻印が始まる/オリンピック開催時点は刻印なし)。

右写真は以前そのモデルをオーバーホール/修理した際に撮影した写真から転載しましたが、
よくもまぁ~87年も前シングルコーティングにしても、白黒撮影で鋭いピント面を維持した映画を残せたものだと (実際にオーバーホール後に実写してみて) とてもオドロイタのを覚えています (ピント面鋭くて、しかも違和感ない自然な写り)(驚)

さらにその後1939年ドイツ軍ポーランド侵攻時には既に複層膜モノコーティング層蒸着技術「zeissの」が整い、様々な軍用光学製品にも活用が進んだようです (当時1931年~
1938年の対旧ソビエト連邦向け経済協力協定で技術移転された中に、この複層膜コーティング層蒸着技術が含まれていなかった点も専門研究者論文から学びました/特にその影響が様々な軍用照準機の精度相違として実際にドイツ軍とソビエト軍で大きな差が現れていた
)。

これはドイツ敗戦時の戦後賠償に特許権剥奪が含まれていたものの、これらコーティング層蒸着技術に関する特許権はその総てが含まれていなかった事も影響し、後に当時18年間に及び争われた「旧東ドイツのCarl Zeiss Jenaから提訴された旧西ドイツ側oberkochen市、Carl Zeissの商標権侵害訴訟 (1953年に提訴され1970年結審1971年Carl Zeiss Jena側が敗訴確定)」でも証拠として利用されていたようです。

例えばこう言う敗戦時の話も、特にオールドレンズに纏わる興味深い考察がちゃんと顕在しています。それは同じ敗戦国ながらも「ドイツは多くの特許権が戦後賠償の一環で剥奪された」ものの、その一方で同じ枢軸国に属していた日本は「戦前までの特許権が保護された」点で、その後の数十年間で驚異的な復興と経済成長を成し遂げています。これは経済成長による戦後賠償を優先させる政策を占領統治国の米国が執ったものの、それに当時の日本政府が積極的に関わった事で、互いの意思疎通とその保証が担保された、とても良い例ではないかと思いますが、一番の背景は「当時戦後の国際秩序の中で欧州蹂躙と共に南下政策を積極的に執り始めていた旧ソビエト連邦の脅威」こそが最大の要因であるとも考えられます。

・・はたして現在21世紀に於いてもなお、同じような世界分断が進んでいるのが現実です。

すると当時MINOLTAのカタログでさえ明確に「世界初」と謳った『アクロマチックコーティング (AC)層技術は特許出願申請が済んでいるとは言え、辻褄が合わない話になります(汗)

それがヒントになりいろいろ調べていくと、どうやら「複層膜の捉え方が間違っていた」からこそ、まるでコトバの綾状態に陥っていたのが分かりました。当時の「zeissのモノコーティングは「単に蒸着コーティング層を複層で (単層ではなく) 被せていた」特許であるのに対し
MINOLTAの『アクロマチックコーティング (AC)層技術は、その下の基になる既に被せられている蒸着層に「シングル/モノ/マルチコーティングの別なく、そのらの上に被せられると
言う意味での『複層膜蒸着』技術
」を指しているのです。

従って、現実にリアルに後の時代になるとMINOLTAのオールドレンズはモノコーティングの上でも、マルチコーティングの上でもプラスαで『アクロマチックコーティング (AC)層を被せていたので、これらの話に辻褄が合います(笑)・・そのような意味合いで、既存の蒸着コーティング層の上にプラスして (まるで緑色の光彩を放つ薬味の如く) 効果を狙って被せられる「さらなる複層薄膜蒸着技術」なのだと納得できました(泣)

・・これで清掃しただけで剥がれてしまうとの論説/言い訳が補強されたような感じです(汗)

何故なら、実際に清掃して剥がれてしまうと、その下から現れるのは既存のモノコーティングマルチコーティングだったりするからです (グリーンの光彩が消滅してパープルアンバー
光彩に落ち着く
)(汗)

もしもウソだと思うのなら、実際に清掃を試してみれば分かるでしょうが(笑)、現実にリアルに緑のロッコールたるモデルなのに、どの角度から光学系内を光に反射させても「グリーン色の光彩が見えない」単なるパープルアンバーな光彩の個体に堕ちてしまっている場合も多々あるので、或る意味納得するしかありませんね (前出の右写真AUTO ROKKOR-PF 58mm/
f1.4
AUTO ROKKOR-PF 58mm/f1.4などが例としては最も分かり易い)(涙)

ちなみに、ネット上で誰もちゃんと解説してくれませんが(汗)「どうして緑色のコーティング層蒸着でそんなに大騒ぎするのか???」と言う問題です(笑)・・逆に指摘するなら、どうして当時のMINOLTAは、巷で緑のロッコールと呼ばれ有名になるほどこだわりを見せたのか
・・です、誰かお分かりでしょうか???(笑)

この点については、実は現在でもなお「グリーン色の光彩が持て囃されている」のがリアルな現実です(笑)

それは「可視スペクトルと波長」の話に到達する内容です。

↑太陽光も含めた「自然光」と言うのは「電磁波」の一種ですが、電磁波には「波長」と言う基準があり (波形の山から山/谷から谷の一つのサイクル/距離/長さを指す)、波形の長い周期のほうから順に「電波/赤外線/可視光線/紫外線/X線/ガンマ線」など呼び方が変化しています。

この時、物体に当たって吸収されずに反射した光の波長のうち「人の瞳/網膜でその波長を物体の色として認識できる範囲を可視光線」と呼びます・・この可視光線の中で人の瞳が捉えられる/認識できる波長域を指して「380nm780nm」辺りを可視光と言い、波長の波形周期から「短波長波」と変化します。

これらの可視光は波長が違うのでそれぞれで屈折率が異なり、光は分散し様々な色合いとして捉えることが適うと同時に、合わせて波長である以上「減衰する周期が異なる」ために、短い波長の「紫外線方向 (380nm方向)」が最も減衰する度合いが早く/多く、一方反対側の「赤外線方向 (780nm方向)」が最も長く波形を維持できることになりますね。

するとちょうどド真ん中辺りが「グリーン色の色合い」の領域に含まれ、この領域での反射率/屈折率を制御する事で可視レベルを上げていく/維持させていく事で「より自然な色合いの表現性を高める (維持させる) 概念」の一つです。

例えばミラーウインドウなどで反射してガラスの反対側が全く見えない状況などが該当し、反射率/屈折率を制御する事で反射したり透過したりを制御できます。この時、一般的に光学硝子レンズ面の片面側で「必ず入射光の4%分が反射する」原理から、その反射して減衰してしまう入射光を減衰させずに透過させて、可能な限りフィルムカメラの印画紙まで届ける目的で開発されたのが「反射防止膜の蒸着技術」であり「ARコート (Anti-Reflection)」と呼びます。(そのまま直訳で和訳すると反射の反対の意味=転じて反射防止の意)

例えば初期の頃の有名処光学系として、右構成図のような「3群3枚トリプレット型光学系」を考えた時、3枚の光学硝子レンズ面を透過していく入射光は「第1群前玉表面で4%反射し裏面で4%分反射、
次の第2群の表面で4%分反射して
・・」を繰り返すので、3枚で「表裏2面 x 3群 x 4%24%の減衰」と、凡そ3/4の入射光
しかフィルムカメラのフィルム印画紙に到達しない事が分かります。

この入射光の透過率を (反射を防いで) 向上させる事で、各群の光学硝子レンズによりそのガラス成分や曲り率に屈折率など「入射光を料理する」制御により、より期待値に近づけた描写性を記録した写真としてフィルム印画紙に残していた話になりますね(笑)

従って波長が最も安定している「グリーン色の帯域幅」で入射光の透過率を稼ぐ事は、他の帯域幅の「紫外線側方向赤外線側方向」の制御がし易くなる話になり、中間地点の「グリーン色の帯域幅」を包括させることで「パープルアンバーの蒸着コーティング層」での制御に到達します。

総天然色を表す時「色の三原色」と言う原理があり、今ドキの現代ではデジタルな「 ()」ですが、例えば「」でパープル色が混色できます。同様「」で黄色が混色されるので、その逆は「」であり、最も波長が短い早く減衰する (透過されなくなる) パープル青色は、波長が長い赤色黄色で補い合うことでバランス良く制御ができそうです (波長が長すぎて入射光に残り続けるとそれはそれで害になるから)(笑)

そこで中間地点の「グリーンの色合い」を強化してあげれば、より自然色に近く忠実な色再現性とともに「ピント面の鋭さ感」まで改善が期待できる次第です (波長の長短が介在するので合焦点の色ズレを防ぐ事でピント面の鋭さ感が向上できる)。

詰る処、当時のMINOLTAが一番先に狙っていたのは「カタログ掲載のとおりより自然で忠実な色再現性」として緑のロッコールにこだわっていたものの、時勢と共に/時流と共に自然な色合いの追求よりも「クッキリハッキリ鋭いピント面」へと顧客の需要が変化していってしまったのが大きく影響し、合わせて新種ガラスの技術革新に伴い「最も安定度の高い波長帯域のグリーンパープルアンバーの蒸着コーティング層で十分対処できる」からこそ、モデルの変遷とともに緑のロッコールの必需性はどんどん低減していったのだと納得できます(涙)

・・あぁ~まさにロマンそのモノ! 悲しいかな『緑のロッコール』ョ~ぉ!(涙)

  ●               

・・と、ここまで緑のロッコールに纏わる話を主体的に続けましたが、当時のMINOLTAの背景などはまた別の機会として (ちょっと疲れてしまった/超長文でむしろ皆さんのほうがよほど大変で、いつも苦痛を与えており本当にスミマセン!)(涙)、 ここではもうひと踏ん張りして「ネット上でなかなか解説されない広角レンズ域28㎜/f2f3.5モデルの変遷」に
ついて挑戦したいと思います!(努)・・相当大変です!(驚)

海外向け輸出製品も含め、全部で25種類のモデルバリエーションに分かれますが、一部には僅かな相違点から実際は27種類に分類しています。

また各モデルバリエーションは、最もその区分けが面倒な「発売年度別の時系列」としており
年度内で捉えても「f2/f2.5/f2.8/f3.5」までの上下格付ランクが混在します。
(但し焦点距離は28㎜に限定し開放f値のみ混在)

各モデルバリエーションは相当複雑なので、できる限り分かり易くする為に「時勢/時流で変遷していく仕様の変化を文字の色付けで表しました」ので、パッと見で「AUTO-ROKKORシリーズ/MC ROKKOR−I型シリーズ/MC ROKKOR-II型シリーズ/MD-I型シリーズ/MD-II型シリーズ/New MDシリーズ」に分け、さらに海外向け輸出仕様モデルとして「MC MINOLTA CELTICシリーズ/MD MINOLTA CELTICシリーズ」の2つに分けてあります。他に実際はレンズ銘板の刻印を見た時に「MC W.ROKKOR-X」とオレンジ色文字で刻印されている「北米/カナダ向け輸出専用モデル」がありますが、レンズ銘板の刻印で判定できる為バリエーション上の色付けは省いています。

また同族のシリーズの中で (同じ開放f値の中で) 仕様が変わった項目については⌀55㎜のように背景色を 色付けして明示したり「※」記号を付随させて「細かく変化した要素」なども
併記しています。

《モデルバリエーション》
※発売年度別の時系列で列記 (開放f値が混在しています)

1963年発売
AUTO-ROKKOR-SG 28mm/f3.5
光学系:7群7枚
最小絞り値:f16
最短撮影距離:60cm
フィルター枠径:⌀67㎜

1966年発売
MC W.ROKKOR-SG 28mm/f3.5
光学系:7群7枚
最小絞り値:f16
最短撮影距離:60cm
フィルター枠径:⌀67㎜

1968年発売
MC W.ROKKOR-SG 28mm/f3.5
光学系:7群7枚
最小絞り値:f16
最短撮影距離:60cm
フィルター枠径:⌀55㎜
※ローレット (滑り止め) の縁が平型のカタチ

1969年発売
MC W.ROKKOR-SI 28mm/f2.5
光学系:7群9枚
最小絞り値:f16
最短撮影距離:50cm
フィルター枠径:⌀55㎜
※ローレット (滑り止め) 縁が平型で長い

1970年発売
MC W.ROKKOR-SG 28mm/f3.5
光学系:7群7枚
最小絞り値:f16
最短撮影距離:60cm
フィルター枠径:⌀55㎜
※ローレット (滑り止め) の縁が波型のカタチ

1970年発売
MC W.ROKKOR-SI 28mm/f2.5
光学系:7群9枚
最小絞り値:f16
最短撮影距離:50cm
フィルター枠径:⌀55㎜
※ローレット (滑り止め) が波型で短い長さに変更

1973年発売
MC W.ROKKOR-SG 28mm/f3.5
光学系:7群7枚
最小絞り値:f16
最短撮影距離:60cm
フィルター枠径:⌀55㎜
※ローレット (滑り止め) がラバー製に変更

1973年発売
MC W.ROKKOR-SI 28mm/f2.5
光学系:7群9枚
最小絞り値:f16
最短撮影距離:50cm
フィルター枠径:⌀55㎜
※ローレット (滑り止め) がラバー製に変更

1974年発売
MC MINOLTA CELTIC 28mm/f3.5
光学系:7群7枚
最小絞り値:f16
最短撮影距離:60cm
フィルター枠径:⌀55㎜
※北米向け輸出仕様で「CELTIC (セルティック)」銘

1974年発売
MC W.ROKKOR 28mm/f2.8
光学系:7群7枚
最小絞り値:f16
最短撮影距離:30cm
フィルター枠径:⌀55㎜

1974年発売
MC W.ROOKOR-X 28mm/f2.8
光学系:7群7枚
最小絞り値:f16
最短撮影距離:30cm
フィルター枠径:⌀55㎜
※北米向け輸出仕様「-X」のサフィックス付随

1975年発売
MC W.ROKKOR 28mm/f3.5
光学系:5群5枚
最小絞り値:f16
最短撮影距離:30cm
フィルター枠径:⌀55㎜
※光学系設計変更、最短撮影距離短縮化

1975年発売
MC MINOLTA CELTIC 28mm/f2.8
光学系:7群7枚
最小絞り値:f16
最短撮影距離:30cm
フィルター枠径:⌀55㎜
※北米向け輸出仕様で「CELTIC (セルティック)」銘

1975年発売
MC W.ROKKOR 28mm/f2
光学系:9群10枚
最小絞り値:f16
最短撮影距離:30cm
フィルター枠径:⌀55㎜

1977年発売
MD W.ROKKOR 28mm/f3.5
光学系:5群5枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:30cm
フィルター枠径:⌀55㎜

1977年発売
MD W.ROKKOR 28mm/f2.8
光学系:7群7枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:30cm
フィルター枠径:⌀55㎜

1977年発売
MD MINOLTA CELTIC 28mm/f2.8
光学系:7群7枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:30cm
フィルター枠径:⌀55㎜
※北米向け輸出仕様で「CELTIC (セルティック)」銘

1977年発売
MD W.ROKKOR 28mm/f2
光学系:9群10枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:30cm
フィルター枠径:⌀55㎜

 1978年発売
MD W.ROKKOR 28mm/f3.5
光学系:5群5枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:50cm
フィルター枠径:⌀49㎜
※フィルター枠径が⌀49㎜に変更

1978年発売
MD W.ROKKOR-X 28mm/f2.8
光学系:7群7枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:30cm
フィルター枠径:⌀49㎜
※フィルター枠径が⌀49㎜に変更/北米仕様

1978年発売
MD MINOLTA CELTIC 28mm/f2.8
光学系:7群7枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:30cm
フィルター枠径:⌀49㎜
※北米向け輸出仕様

1978年発売
MD W.ROKKOR-X 28mm/f2
光学系:9群10枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:30cm
フィルター枠径:⌀55㎜
※北米向け輸出仕様

1981年発売
MD 28mm/f3.5
光学系:5群5枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:30cm
フィルター枠径:⌀49㎜

1981年発売
MD 28mm/f2.8
光学系:7群7枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:30cm
フィルター枠径:⌀49㎜
※前玉の締付環が見えないタイプ (レンズ銘板の下に隠れているから)

1981年発売
MD 28mm/f2
光学系:9群9枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:30cm
フィルター枠径:⌀49㎜

1983年発売
MD 28mm/f2.8
光学系:5群5枚
最小絞り値:f22
最短撮影距離:30cm
フィルター枠径:⌀49㎜
※光学設計変更/前玉外周に締付環が見えているので判定できる

・・これだけまとめ上げるのに丸一日かかりました (要領悪いから)(笑)

上のモデルバリエーションで「機構上の仕様の相違」について捉える必要があります。

AUTO-ROKKORシリーズ
自動絞り方式対応ながら、フィルムカメラボディ側への絞り値伝達機能を持たない。

MCシリーズ 色表記 色表記 色表記
MC」は「Meter-Coupler (メーターカプラー)」の頭文字でマルチコーティング蒸着の意
ではない。
フィルムカメラボディ側に開放絞り値を伝達する爪を有するので「開放測光」が実現する。

MDシリーズ 色表記 色表記 色表記
MD」は「Meter-Dual (メーターデュアル)」の頭文字で絞り値とシャッタースピードを
フィルムカメラ側と連携できることを意味する。

NMDシリーズ 色表記
NMD」は「New MD」を表すが、当時MINOLTA内で使われていた呼称ではなく、便宜上
巷で使われている呼称。ちなみに筐体外装の多くが樹脂製に変更されている。

このように見ていくと、各開放f値をバリエーション上の格付ランクとして捉えていた戦略も見えてきますが、如何せん時勢とともに/時流とともにこれだけ多くのモデルバリエーションを設計し生産してきた事が仇となり、その需要と供給の狭間で勢いを失っていった背景まで伺えます(涙)

最後は1981年に各開放f値で1種類ずつしか発売せず、且つその後数年間に渡り新型を発売できなかったのが伝わってきます・・これらマニュアルフォーカスモデルは、New MDシリーズ最後のモデルとして「㉕ MD 28mm/f2.8」を1983年に発売し終演を迎えます (このモデルの筐体設計はその後オートフォーカスモデルへと継承されます)。

  ●               




↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
いつものように円形ボケの状況を見たかったのですが、実写が少なく確認できていません。しかしそれでも一番左端のように「とてもきれいなシャボン玉ボケリングボケ」が表出できているので、広角レンズ域のモデルでこれだけ真円で大きさを維持できているのもたいしたものです(驚)

背景ボケはそれほどトロットロに溶けず、どちらかと言えば少々輪郭が残るのでざわついた印象を受けます。

二段目
この段では陰影の表現性と明部のグラデーション状況を確認しています。明暗部での階調表現がシッカリできているので、違和感を感じるような黒つぶれや白飛びまで起きていませんし、グラデーション表現もキレイです。

三段目
白黒撮影になると少々黒つぶれ傾向が増してしまうような印象を受けます。その一方で明部のグラデーションと解像感は素晴らしく、明るい方向へのカラー成分の残し方に特徴を持たせている光学設計なのを感じます。

四段目
この段ではパースペクティブを確認していますが、焦点距離:28㎜ながら歪も少なくよく頑張っていると思いますが、僅かに樽型の印象でしょうか。

光学系は典型的な7群7枚のレトロフォーカス型構成です。右図は
当時のカタログ (1975年版) からこのモデルの光学系構成図を抜粋しています。特にカタログで強調的に解説されているとおり、光学系後群側に4枚構成を設計してきたところが、その意気込みの強さとして感じ取れます。

確かに1974年当時の他社光学メーカー光学設計と比較しても、ワリとコンパクトに設計しており、それだけ光学硝子材の質の高さが伺えます(驚)

右図はネット上で確認できる今回扱ったモデルの構成図から当方の
手でトレースしてきた構成図になります。

確かに一つ前のカタログ掲載の構成図とほぼ同一の状況です。

一方右構成図は今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の
清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子
レンズを計測したトレース図です。

すると各群の曲り率や外形サイズに僅かな相違がありました。特に
前群側3枚は光学硝子材の成分/配合の調整 (屈折率の向上) から曲り率を大幅に変更しているようにみてとれます (曲り率がだいぶ違うから)。

さて、ここから再び大変なのですが、今度は上記で列挙したモデルバリエーションに伴う光学系構成の変遷をご紹介していきます (すべて当方の手でトレースした構成図です)。

AUTO-ROKKOR-SG 28mm/f3.5
1963年発売の7群7枚構成です。光学系前群が筐体も外側に突出している大玉設計を採っています。

また当時の他社製品と比較しても光学系第3群~第4群の距離は長大に採っており、光学硝子レンズの質の高さが伺えます。

MC W.ROKKOR-SI 28mm/f2.5
1969年発売ですが、開放f値をf2.5に採ってきたこだわりの設計で、
7群9枚構成ととても贅沢な使い方です。

特に第3群と最後の後玉第7群に貼り合わせレンズを配置してくるこだわりようで、ここでもMINOLTAの意地を見せているのをとても強く感じます (色消し効果絶大)。

MC W.ROKKOR-SG 28mm/f3.5:
1973年発売で開放f値:f3.5ながらも筐体をコンパクトに抑えつつも光学設計は決して手を抜かないMINOLTAの一貫した設計概念を感じ入るモデルです。

7群7枚構成で光学系第2群を凹面を全面に持ってきた凸メニスカスで配置することで、第1群前玉と第2群との間に空気レンズの効果を狙っていると考えられ、色ズレを抑えた鋭いピント面の構成に一躍買っているのではないでしょうか。

MC W.ROKKOR 28mm/f2.8:
今回扱うモデルでもありますが、1974年の発売で7群7枚構成
です。このモデルの光学系で今回バラしていて感心したのは、光学系後群側の設計で第4群を黄銅製格納筒にモールド一体成型させつつも
その後ろに配置される第5群~第7群まで全てを「落とし込み方式」の格納とした設計なのが凄いのです。光路長が狂わない確信がない
限りなかなかできない話です (コスト削減を多角的に捉えていた証拠とも言える)(驚)

なお、今回バラして初めて気づきましたが、光学系第2群の凹メニスカスは表裏面で非常に
強力な (とても濃い) グリーン色の『アクロマチックコーティング (AC)層を纏っていました(驚)・・さらに何と何と最後の第7群後ろ玉さえ露出面に同様グリーン色の光彩を微かに採り入れていますから、1974年と言う時期でありながらも、まだまだ挫けずに「自然な色再現性への飽くなきこだわり」を続けていたのが判明しました(涙) 素晴らしい!(驚)

MC W.ROKKOR 28mm/f3.5:
1975年発売の5群5枚構成へと、従前の7群7枚から大きく設計変更してきています。

合わせて最短撮影距離を30cmまで縮めてきたところが凄いワケで、開放f値:f3.5でここまでこだわるのかと、少々驚きを隠せません(笑)

MC W.ROKKOR 28mm/f2:
同じく1975年にはまるでフラッグシップモデルの如く開放f値:f2を発売してしまい、MINOLTAの威信をかけた光学設計に驚きます。

筐体サイズが巨大化 (長い) してしまいますが、最短撮影距離30cmのままで9群10枚と贅沢三昧に注ぎ込んだ設計で、相当強力な屈折率で出してきているのが分かります。

なお、実はこの後の1977年に最小絞り値:f22モデルを発売してきているので、例え同一の解放f値としても最小絞り値が変われば、光学系は最設計を余儀なくされます。しかし残念ながらネット上の何処にも構成図が発見できません(泣)

逆に指摘するなら、1977年時点で開放f値:f2.5モデルを発売してきていないので、当初の目論見に反して市場受けしなかった/評価が悪かったとも考えられ、f値f2.5モデルは事実上
1973年発売モデルを最後に撤収したと受け取れます(涙)

MD W.ROKKOR 28mm/f2.8:
1977年発売の7群7枚構成で従前と構成枚数は同一ですが、最小絞り値:f22に採ってきたので必然的に再設計しています。

また構成図を見る限り、後群側第5群の両凹レンズが驚異的な屈折率で設計してきているのが分かります。

MD 28mm/f3.5:
いよいよMINOLTAと言えども企業収益の圧迫改善は難しくなり、マニュアルフォーカスの終焉へと突き進んでいきます(涙)・・1981年に発売された「New MDシリーズ」の一環としながらも、とても残念なことに各開放f値のモデル1機種の投入のみと言う非常に寂しくも厳しい状況です。

そんな中、他社光学メーカーや弱小メーカーが開放f値:f3.5から撤退していく中、MINOLTAはここでも最後の意地を見せつけ発売してきます。5群5枚と簡素化しつつも、ちゃんとヤルべきことを正直に真正面から取り組むからこそ「最短撮影距離30cm」の短縮化までやってきます(涙)・・こう言う「背水の陣の真っ只中なのに、決して甘んずることなく打って出る企業努力を怠らない姿勢」と言うのを、今ドキの大企業は少しは見習って「今一度企業回帰」に
努めてほしいととても強く思いますね(涙)

・・真逆の不正のほうに企業努力の舵切りをしている、為体な大企業の多いこと多いこと(涙)

企業も企業ですが、政治家も政治家で、あいも変わらず30年も前から延々と「裏金工作」に興じているその姿勢とは、いったい何の為の政治資金規正法なのかと、毎日ニュースを観ていて腹が立ってきます(怒)・・既に21世紀になり、これでもかと続く感染症の真っ只中で、より安定した協調の世界へと舵を切らなければイケナイ時に、リアルな現実はより深刻化した世界の分断ばかりの話で、まるで20世紀へ逆戻りしているような印象です(泣)

㉔ MD 28mm/f2:
最後の断末魔と言うかあがきなのでしょうか? フラッグシップモデルの更新までやっています。意地を見せつけるには良い機会ですが、光学系を再設計してきているので相応にコストが掛かっているワケで、合わせてフィルター枠径まで小さくコンパクト化してきたので、筐体外装まで設計変更です。

㉕ MD 28mm/f2.8:
ついに最終モデルになりこのモデルの後にマニュアルフォーカスから撤退してしまいます(涙) それでも申しわけ程度に発売するのではなく
ちゃんと光学設計を再設計してできる限りのコスト改善を真っ当に
狙っています。こう言う姿勢こそがMINOLTAがいまだに素晴らしいと感じる要素の一つですが、最大の魅力は「後の時代のサービスレベルにまで配慮した内部構造の徹底意識」であり、その構造設計には「必然性と合理性しか現れていない」とても素晴らしい設計です。それにプラスしてそれぞれのモデルバリエーションでステキな光学設計が実装されるので、本当に魅力タップリなオールドレンズ達です!(涙)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。内部構造は2015年に扱ったMC MINOLTA CELTIC 28mm/f2.8 (SR)』と100%同一です。当時は分からなかった (他に扱った比較個体がなかったので) 鏡筒から飛び出ていたイモネジ3本まで、全く同じ状況でした(汗)・・何でこんなに長いイモネジを使う必要があるのか、正直「???」不明(笑)

そもそも2015年時点で丸っと1年経っても扱い本数は100本前後しか増えておらず、総扱い数がまだ1,500本を超えていなかった時代なので、当方自身の「観察と考察」能力が低いのは否めません(汗)・・あぁ~恥ずかしい!(恥)

ッて思って、今一度現状を調べたら・・あらッ! 今年2023年も扱い本数はせいぜい120本あまり、扱い総数3,330本でたいして変わらない・・ッてことは、未だに「観察と考察」能力が低いままなのだと、自ら宣言してしまったようなモノ・・あぁ~恥ずかしい!(恥)

・・そういう始末です(笑)

↑上の写真は、当初バラし初めてすぐに撮った写真です。フィルター枠とレンズ銘板を取り外しただけの、ヘリコイドオス側が露わになっている状況です (赤色矢印)。

グリーン色の矢印で指し示している箇所には「白色系グリース」がビッチリ付着していますが、既にアルミ合金材の摩耗粉が混じっていて「濃いグレー状」に閉室しています(汗)

ブルー色の矢印で指し示している箇所も含め、正直な話、指で掴む場所がないほどに、ヒタヒタとそこいら中に経年の揮発油成分が液化して廻っている状況です(汗)・・写真スキルが低いので撮影がド下手ですが(笑)、上手く濡れている感じを撮れていません(汗)

またオレンジ色の矢印で指し示している箇所には、一部に黄銅材に生じてしまった経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びの「緑青」も出ていて・・キモいです(汗)

↑ちょっと綿棒で拭っていては埒が明かなかったので(笑)、ティッシュでエイッと拭いてしまいました(笑)・・こんな感じで相当液化して濡れている感じです (やはり緑青が付着していてキモイ)(汗)

↑当方が「白色系グリース」をコケにすると、技術革新で開発が進んだシリコーン系グリースの事を全く知らないと、誹謗中傷メールが着信する始末ですが(笑)、そう言われても (確かに専門ではないので詳しく知りませんが) 現実にリアルに上の写真のとおり「直進キーガイドの溝部分」には、過去メンテナンス時に塗られていた「白色系グリース」が、使われないので「そのまま残っている始末」です(笑)

上の写真はその「証拠写真」として撮影していますが「直進キーガイドの基台側」(上の写真で黒っぽい円形状の部分) はアルミ合金材にメッキ加工が施されているものの、肝心な「直進キー」自体は真鍮製/ブラス製です(笑)

相手がアルミ合金材なら「濃いグレー状」に、或いは黄銅材なら「焦げ茶色」に摩耗粉が混じるのがいつもの事ですし、そもそも今回のこの個体でもヘリコイドオスメス側にはアルミ合金材と黄銅材とで「濃いグレー状」に変質しています。

しかし、いつもこの「直進キー」周りの話で述べているように、この「直進キーガイドの溝部分」に距離環を回すトルクが溜まると「非常に重いトルク」に堕ちるので(汗)、距離環を回す時に指に伝えたチカラは「そのまま鏡筒の繰り出し/収納のチカラとしてチカラの方向性が変換されて伝達されてしまう」と何回も何回も執拗に述べているとおり(笑)、ご覧のように真っ白なままに残っています。

つまりここで「過去メンテナンス時に塗布していたのが白色系グリースなのだと動かぬ証拠が残っている」次第です(笑)・・ましてやご覧のとおり「直進キー」とガイド (溝) との間には、空間たる「隙間」さえ空いているのまでハッキリ写っています(笑)

この話も何度も何度も述べていますが「直進キーガイドの溝部分」は互いに長辺部分で接触しません(笑)・・それが「原理原則」です。もしも仮に互いが接触していたら、直進キーは板状パーツなので「左右のコバ部分と長辺の平面との3面で接触/接地している」事に (説明上は) なりますが、リアルな現実は、それでは上手く滑らかに動かないのが明白です (実際にその
状態にして動かしてみれば分かる話
)(笑)

・・つまり長辺の平面部分は溝の底面に接触していません、何度も述べています(笑)

そして実際に当方のオーバーホール作業でも、この部位にはグリースなど少しも塗布しません(笑)・・それでもちゃんといつも通りの「ヌメヌメっとしたシットリしたトルク感に仕上がり
ピントのピーク/山の前後での微動が適う
」次第です(笑)

もぅ非常に多くの方々がご存知で、特に毎月のようにオーバーホール/修理をご依頼頂いている人達には、よ~く理解されている話でもありますが(笑)・・当方のこのトルクの感触がクセになるとご指摘頂いています(笑)

まぁ~、まさにそれこそが狙いで、撮影時に撮影に没頭していながら、その瞬間 (ピントが合う瞬間) の感触を愉しんで頂きたいのが当方のホンネであり、その時初めて「あぁ~この感触、感触!」(涙)と一瞬だけでも感じ入ったら「やったぁ~、勝ったぞ!」みたいな悦に浸っている始末で・・人間、性格が悪いですョねぇ~???(笑)

要はどんなに一生懸命整備しても、それでイザッ撮影に臨むと没頭している始末なので(笑)、整備した事実などを撮影時に誰ひとり感じ取ってくれていないのがリアルな現実だったりします(笑)・・それこそがオーバーホール/修理の宿命でもありますが、だからこそその瞬間にここぞとばかり「あぁ~!」と思わせたいワケですョ・・はい(笑)

・・それが当方が仕上げているトルクの秘訣だったりします! 目指すは「あぁ~!」です(笑)

↑余計な話はさておき(笑)、オーバーホール工程を進めます。絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。この当時の他社光学メーカーでは、とても多くのオールドレンズ達がこの鏡筒内壁に「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」を施し、経年劣化進行に伴う揮発油成分の流動を可能な限り防御したがりますが、ご覧のとおり当時のMINOLTAはツルッツルです(笑)

これでは絞り羽根の油染み三昧なってしまうと貶されるくらいにツルッツルですが、実はよ~く考えてみると、旧東ドイツのCarl Zeiss Jena製オールドレンズのモデルでも、多くのモデルで鏡筒はツルッツルに仕上がっていました(笑)

↑しかしその一方で、絞り羽根を前後から挟み込む絞りユニットの構成パーツ「開閉環 (左) と位置決め環 (右)」はご覧のとおり、前述の「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」に仕上げられており、そのメッキ塗色すら「焦げ茶色」です (材はアルミ合金材の切削パーツ)。

↑同じ絞りユニットの構成パーツを、今度はひっくり返して反対の裏側を撮影しています。ご覧のとおり両面で「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」ですが、垂直状に「開閉アーム」がネジ込まれています。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている

するとこのモデルの設計では、絞り羽根の片側のキーは「楕円状の開口部」として「開閉キー」を備えており、その開口部を「開閉環が移動するから絞り羽根が設定絞り値の角度まで動く」原理なのが分かりますね(笑)

・・絞り環に連携して回っているのは開閉環側なのです。

↑絞りユニットを鏡筒最深部に組み込んで完成したところです。

↑完成した鏡筒を経てて撮影しました。写真の上側方向が前玉側方向にあたります。すると鏡筒の底面から棒状の「開閉アーム」が飛び出ているのが分かりますね(笑)

↑さらに拡大撮影していますが、鏡筒から飛び出ているイモネジ (鏡筒周りに均等配置で3本ネジ込んでいる) を撮っています。2015年時点も同じでしたが、どうしてこんなに長いイモネジを使い突出させる必要があるのか「???」です(汗)

実際にこのイモネジの飛び出ている長さ分が、オールドレンズ内部の何処かに接触しているのかと、さんざん確認しましたが、このイモネジは3本壁て「中空に飛び出ているまま」なのでこれだけの長さを与える理由が不明です(汗)

・・まだまだ設計者の意図を汲み取れないお粗末で技術スキルが低いのが丸出し状態です(汗)

↑距離環やマウント部を組み付けるための基台です。距離環の回転域が短いので (無限遠位置から最短撮影距離位置までの距離が短い) 基台の厚みは薄めで浅いです。

↑黄銅材を切削して用意されているヘリコイドメス側を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

↑同様、今度はヘリコイドオス側を無限遠位置のアタリを付けた正しいネジ込み位置でネジ込みます。このモデルでは全部で13箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ません (合焦しません)。再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

↑前述した「直進キーガイドの溝部分」を拡大撮影しましたが、解説したとおりオーバーホール工程の中でもグリースは一切塗布していません (ウソは言っていない)(笑)

それてもスルスルと鏡筒の繰り出し/収納が適うので、ここで初めて「トルク管理ができる」話に至ります・・何故なら、オールドレンズのモデルによってはピントの合焦時に、そのピーク/山の合い方が「まだかまだかと少しずつピークを迎える」合焦の光学設計もあり、その一方で「スパンッ!と突然ピント合焦する」モデルだって在るワケで、それら光学設計上の「ピントの合い方」まで勘案してトルクを仕上げていくなら、必然的に「必ずしも軽いトルクだけが正義ではない!」もっと言えば、逆に重めのトルクを与えたほうが使い易いと感じる場合だってあるのです(笑)

従って、当方のオーバーホール/修理では必ずバラす前の時点で実写確認を行い、当然ながら無限遠位置の確認をしますが、それに合わせて「ピントの合い方の癖」を確認し、軽めのトルクが適しているのか、或いは多少重めに仕上げたほうが良いのかの判定を下している次第です。

・・せっかく完全解体で組み上げるなら、そういう細かい芸当だって意味がありそうです(笑)

ヤフオク!で当方とご同業者の『転売屋/転売ヤーが「トルクはスムーズです」と一言だけで済ませているものの、その一方で「人の感じ方は千差万別なので細かい部分にこだわる神経質な方や完璧を求める人は入札をご遠慮下さい」などと、あたかも定型句の如く必ず記載しますが・・当方からすれば「アホの烏合の衆」の如くにしか見えていませんね(笑)

・・ちゃんと逐一自分で確認したのが本当なら全て記載すれば良いのです!(笑)

そう言うと、今度はツラツラと異常に長い文章にせずにサクッと解説していると言いますが、
そのサクッ!部分にハマってクレームしてきても、ケツを捲くって逃げているのは出品者側のほうであって、言っていることとヤッていることが整合性ありません(笑)

よく自分のブログだから、都合が悪いことは載せないと誹謗中傷されますが、ちゃんと「事後談」として当方のミスや思い違いなど、ご依頼者様との意思疎通が適わなかった事柄については、逐一正直に後のタイミングで追加掲載していますし、お詫びを申し上げている場合もあります(笑)

・・できる事とできない事をちゃんと明確にし、総てその根拠/理由解説が適うからです(笑)

当方の辞書には「生産後長年経っているから経年劣化です」で済ませてしまうコトバ/解説が存在しません(笑)・・必ず総ての事柄について、具体的に内部のどの部位が因果で、どのような現象が起きているから、このような仕上がりになっているのかの解説が100%できます。

それに納得できなければお金は全額返しますョ~ぉ、と言っているワケで(笑)、このいったい何処に「高い整備料金で儲けたいだけ」との誹謗中傷の根拠が隠れているのでしょぅか???(笑)

そのちゃんとした根拠を一切説明せずに、貶すだけ貶している人達が居ます・・どんだけ人としての良心が低俗なのかと言うお話です(笑)・・まぁ~そう言う人達は「白色系グリース」に右往左往していれば良いのだと思ったりします (当方の整備は整備後7年は再整備の必要がないのを回収確認済)(笑)

↑マウント部内部の写真ですが、既に内部の構成パーツを取り外して、当方の手による「磨き研磨」が終わった状態を撮っています。当初バラした直後は冒頭同様に経年劣化進行に伴う揮発油成分でヒタヒタに濡れていました(涙)

↑この当時のMINOLTAの「MC ROKKORシリーズ」は、ご覧のようにマウント部の「」を先に締め付け固定しないと、後からセットできない設計を採っています。他社光学メーカーのようにこの爪自体を締付ネジでダイレクトに筐体の外から締め付け固定する設計にしていません。

・・どうしてなのか???

これの理由と言うか、解説ができない整備者は・・はたして整備者としてどうなんでしょうかねぇ~(笑)・・もちろん当方は解説できますが(笑)

↑取り外していたマウント部内部の各構成パーツも全て「磨き研磨」して組み込みました。一部には酸化/腐食/サビも出ていましたが、総て除去しています。内部構造は至ってい簡素ですが、実はこれが本当によ~く熟考して造られている、非常に合理的なインパクトを有する設計です(涙)

・・本当にMINOLTAには頭が下がります!(涙)、手を抜くことを知りません!(涙)

例えば、このマウント部内部は「半光沢状のメッキ加工」に仕上げられていますが、その中で「制御アーム操作アーム」だけが、パーツの表裏面で微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工なのです!(驚)

・・どうしてなのか分かりますか???

マウント部内部の全てに手間隙かけて同じ微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工を施さずに、最低限のパーツに限定しています。当然ながら微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工を施す理由は「経年劣化進行に伴う揮発油成分の影響/流入を最低限に抑える目的」ですが、どうしてマウント部内部の内側全てにその処置を施さないのでしょうか???

・・使うべきグリースの成分と配合をきちっと100%管理できているからです!(涙)

例えば当時のNikonやCanonと同じで、内部に使っていたメーカー純正のグリースは「専用の独自配合と成分」ですから、そこから逆算していったい何年間経年劣化進行に伴う揮発油成分の流入まで時間を要するのかまで、ちゃんと調べて検証していた事の現れです (NikonやCanonもやっていた検証)。

グリースだからと皆さんはよく粘土/粘性のトルクだけを指摘してきますが、それよりももっと重要な要素は・・そう言う話なのです(涙)

だからこそ、距離環を回した時のトルク管理に最も影響度が高いとは決してならないように、ちゃんと設計時の配慮が成され、且つ合わせて絞り羽根開閉動作時の「開閉角度の管理に厳密にキッチリ適合させるだけの目的」の為だけに、これら2つのパーツに限定して表裏面で微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工を施してきているのです(涙)

・・この設計姿勢に、本当に今でも目にするたびに感銘を受けて涙出そうです!(涙)

詰まるところ、コスト削減策でこうしているのではなく「適材適所」との設計姿勢を貫いて、ちゃんと絞りユニット内の「開閉環位置決め環」と、それらにダイレクトにチカラを伝達する「制御アーム操作アーム」の連携時の/操作時の信憑性を担保して、連続的に微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工で仕上げているのです!(驚)

逆に言うなら、このモデルの内部で微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工が施されているパーツは、これら4つのパーツだけで、他のパーツは普通の処理で終わっています。

何処も彼処も延べつなく微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工を施さずに、本当に限られた企業利益を/コストを徹底的に必要な箇所だけに注ぎ込んで、その代わり「一切の妥協は許さない」との設計姿勢を一貫して継承し続けたからこそ、本当に素晴らしい光学メーカーなのだと、当方は未だに惚れ込んでいますね(涙)

・・MINOLTAのオールドレンズはいつの時代もそういうモデルばかりで素晴らしいです!(涙)

いつも思いますが、当方の技術スキルが本当に高ければ、もっと『アクロマチックコーティング (AC)層のモデルを積極的に扱っていきたいと、常々反省ばかりの日々ですが、何年経っても、結局技術スキルは全く上がっていかないレベルです (要はプロどころかマニアすらなれなかった整備者崩れのモドキと誹謗中傷されている、まさにそのとおりの話です)(汗)

↑ようやく出てきました(笑) マウント部内部で使っている2種類の「捻りバネ」です。巻き方向と左右にハの字型に長く突出している部分のカタチが違います。

この全てに理由と根拠が在って、それを熟知していないとこのパーツ「捻りバネ」は正しく組み込めません(汗) 「捻りバネ」は円形状に丸く巻かれている中央部分を基点として、左右に広がっている手の部分 (ハの字型の突出部分) に適切で必要とされる反発力を矯めているバネ類です。

従って、このカタチや長さをペンチで変えてしまったり、短く切ったりしてしまうと、設計時の/製産時の適切なチカラが及ぼせなくなり、凡そ適切で正しい絞り羽根の開閉動作が適わなくなります(泣)

しかし、今回のこの個体も過去メンテナンス時の整備者は自己満足大会」に仕上げてしまいました(涙)

固着剤」を使って左右に広がっているハの字型の突出部分を「引っ掛けのために用意されているキー部分に固定してしまった」のです(涙) その「固着剤」の色合いが 色なので、数十年前の「赤色タイプ」が流行っていた時代の処置ではなく、近年、おそらく10年前後内の整備時期とみています。

すると、本来は、正しくは中央の丸く巻かれている箇所が固定されたまま基点とし、左右に広がる手の部分で必要となる適切な反発力をパーツに伝達する役目ですが、それか逆転してしまいます(泣)

つまりこの「捻りバネ」の実際の動き方がどう変わるのかと言えば、本来は左右の手の部分だけが引っ掛けのキーに擦れながら伸び縮みするのに対し、左右端を「固着剤」で固められてしまったので「応力が反転してしまい中央の丸く巻かれている部分が浮き上がる」間違った反応をします(汗)

この時、前述の「制御アーム操作アーム」に正しく適切なチカラが伝達されて、それが最終的に絞りユニット内の「開閉環に伝達される」べき処、全く違うチカラが及んでしまいます(涙)

当初バラした際に、このチカラの伝達レベルをチェックしたところ (普段は特にチェックしないが、今回は固着剤で固められていたので) やはり絞り羽根の開閉動作になんだかムラを感じます。

それは当初バラす前のチェック時点では一切確認できませんでしたが、完全解体をしている途中でこの「捻りバネ」が固着剤で固められていたので、4つのパーツのチカラの伝達レベルを実際に (当方がオーバーホール工程を進める前時点で) 確認た次第です。

その時になんだか不安定なチカラの伝達をしていたので、すぐに「捻りバネ」に影響が現れていると気づきました(涙)

このように何か内部のパーツに処置を施した時に「その結果いったいどう言う違いが生ずるのか? どう言う動きの変化が起きるのか?」と言う点についてすぐに察知しなければイケマセン(笑)

特にこれら2つの「捻りバネ」は、絞り羽根開閉動作にとって何よりも重要なパーツなので、コイツの「耐用年数を縮める因果」を故意にワザと与えてしまうのは、如何なものかと強く思いますね(涙)

↑オーバーホール工程を進めます。ひっくり返してマウント面側方向から撮影しましたが、ちゃんと「操作アーム」が爪の先に飛び出てきていて、フィルムカメラ側ボディと連携できるようになっています。

さらにマウント部の側面には「絞り値キー」と言う溝が備わり、ここに鋼球ボールがハマるのでカチカチとクリック感を実現できます。

ところがここの「絞り値キー」の溝を観察すると「全ての溝が等間隔で刻まれている」ことが分かります・・いったいどうして等間隔なのでしょうか???(笑)

するとすぐに整備者なら返事が返ってきますが(笑)「半段ずつの絞り値による絞り環操作だから」と言います。では、今度は質問を変えて「その時の絞り羽根の開閉幅/開口部の面積/カタチ/入射光量の微調整はどうするのですか???」と質問します。

・・返事できるでしょうか???(笑)

半段ずつの絞り環操作なのは、それこそ絞り環を回してみてクリック感を感じ取れば誰だって分かります(笑) しかし現実にリアルに閉じたり開いたりしている絞り羽根の開閉角度は、どんだけ適切なのでしょうか???

ここの溝が均等間隔で刻まれてしまっている以上、そのクリック感をカチカチと感じる時の「適量」は、いったい何処で微調整するのでしょうか???

↑オーバーホール工程を進めて鋼球ボール+スプリングを組み込んでから「絞り環」をセットしました。

↑組み上がって完成したマウント部を基台に固定しました。

↑再びひっくり返して、今度はマウント面の「飾り環」をイモネジ3本で締め付け固定します。この「飾り環」は敢えて燻し銀の微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工が施されているこだわりの意匠です。

↑さて、ようやく出てきました(笑)この状態でマウント部内部をまた覗きこんで撮影しています。

すると絞り環に付随する「制御キー」と言う「なだらかなカーブ」の板状パーツが固定してあります。さらにそこにブルー色の矢印で指し示している「制御アーム」から垂直状に突出している金属棒が接触しているのが分かります。

実はここが「絞り羽根の開閉角度を決めている場所」なのですが、過去メンテナンス時の整備者は全く理解しておらず「この制御キーの固定角度をイジッて固定しエポキシ系瞬間接着剤で固めていた」次第です(笑)

つまりこの「制御キー」で絞り羽根の開閉角度を微調整しており、各絞り値での適切な開口部の面積/カタチ/入射光量に至るよう工夫していましたが、実は「絞り羽根の開閉角度を微調整する箇所が全く違う」と言うのがリアルな結末です(笑)

上の写真解説するなら「制御キー」に用意されている「なだらかなカーブ」を登りきった頂上付近が「開放側」の絞り羽根の開き方になり、その反対側の麓部分が「最小絞り値側」の閉じ方になります。

従って、確かにこの「制御キー」の固定角度を斜め状に位置替えすると、絞り羽根の開閉角度がダイレクトに変化するので、過去メンテナンス時の整備者の「考えている思考回路」は理解できますが、残念ながら当時のMINOLTAの設計者が用意した「本当の正しい絞り羽根の開閉角度微調整機能」は、全く別の部位です(笑)

逆に指摘するなら、そもそも固着剤で固めて角度を微調整するような「心許ない固定手法」を、このような大企業たるMINOLTAのような本当の光学メーカーは設計しません (もちろん締付ネジが介在しますが)(笑)

・・ちょっと深く考えればすぐに分かる話だと思いますが???(笑)

当初バラしている最中にエポキシ系瞬間接着剤で固めてあるのを発見して「あぁ~そうか、そうしたか!」とすぐに理解しましたが、組立方法が違っています(笑)

もっと言うなら、この過去メンテナンス時の整備者もいつもながらですが、マウント部内部のパーツの使い方をミスっていて、その結果「制御アーム操作アーム」の軸周りは、何と擦れが酷くて微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工が剥がれていました(泣)

この2つのパーツのチカラ伝達が適切ではなくなると「絞り羽根開閉以上に陥る」と「捻りバネ」のところでさんざん述べましたが、もぉ~それ以前にちゃんと組み立てられていなかったワケですね(笑)

MINOLTAの設計者が、どんだけこだわって微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工を施したのかとの、その意図を全く汲み取っていない始末で、本当に可愛そうな状況に追い込まれていた個体でした(涙)

・・このタイミングで本姓在るべき姿に戻せて本当に良かったです!(涙)

↑最後に「鏡筒」を入れ込んでから「押さえ環」をググッと締め付け固定して初めて鏡筒が格納されます。ネジ込みとか締付ネジで直接鏡筒を固定する手法を採っていませんが・・どうしてなんでしょうか???(笑)

ちなみに、ここの工程で絞り羽根の開閉角度を微調整しているワケでも・・ありません(笑)この後は無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホール/修理が終わっています。結局、2015年にオーバーホール/修理た「CELTICモデル」と内部構造は100%同一で、鏡筒の外に飛び出ていた「???」なイモネジまで同じでした(笑)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無ですが、残念ながら前玉の外周付近に極微細な擦りキズが数本残っています (露出面側)。また光学系内の各群は、当初のチェック時点で「経年の塵/埃」なのかと推測しましたが、多くが点キズやヘアラインキズでしたので、そのまま残っています。

もう1本ご用意頂いた同型個体は、さらに後群側にクモリが見えたので (キズなどの状況は似たような感じ)、こちらの個体のほうをオーバーホール/修理しています。

↑後群側格納筒は黄銅製ですが、内壁部分に「反射防止黒色塗料」が着色されていて、当初バラす際に「加熱処置」しないと光学硝子レンズが外せない状況でしたので、当方のオーバーホール工程ではそれら「反射防止黒色塗料」を全て完全除去しています。

・・もしも本当に必要なら、ちゃんと製産時点にメッキ加工しているハズです。

↑当初バラし初めて必要なパーツだけの状態にしてから絞り羽根の開閉動作を確認した際に「不安定な動き方」をしていた要素は全て消えました(笑)

問題の「捻りバネ」とマウント部内部のパーツの使い方ミス、合わせて絞り羽根開閉角度の微調整をちゃんと正しい手法で仕上げたので、本当に気持ち良い動き方に戻りました(笑)

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」を使い、いつもどおりの当方独特なヌメヌメっとしたシットリ感漂うトルク感に仕上がっており、このモデルはピントのピーク/山がまだ鎌高と少しずつ迎えるので、掴んでいる指の腹に極僅かにチカラを伝えるだけでピント面の前後で微動が適うよう軽い操作性に仕上げています (もちろん距離環全域に渡り完璧に均質なトルク感を維持/トルクムラも皆無)。

↑付属のマウントアダプタを使い、合わせて当方所有マウントアダプタとのダブル装着で無限遠位置はピタリと合わせて仕上げています。

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

実は一つ前の写真を見ると微かに見えていますがKenko製ブラックミストフィルター No.05と言う特殊フィルターが付属していました(驚)・・リンク先のKonkoのページをご参照頂けければ、どんな効果を期待できるのかが分かりますが、もぉ~こちらのご依頼者様は、いつもこうやって当方の「カメラ音痴」や「写真スキルの低さ」を補うような、発見を促して頂けるので、本当にありがたいご依頼者様です!(涙)

・・ありがとう御座います!!!(涙)

当方の技術スキルの低さ知識不足を貶すばかりか、このように成長していく為の機会をちゃんと提供して頂ける、とても優しい良心的なご依頼者様です (但しちゃんと成長していないので何とも申し訳ないばかりですが)!(涙)

ご配慮が無にならないよう、誠心誠意臨んではいるのですが、如何せんスキルが追いついていないと言うか、何と言うか・・(汗)

↑当レンズによる最短撮影距離30cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

オーバーホール後の実写を2枚掲載しているのは、1枚目が「特殊フィルター:ブラックミストNo.05」を装着していない、素のままの状態での実写で、2枚目がはたしてどんな効果に至るのかを知りたくて (恥ずかしいです) 装着して実写した写真です (ちゃっかり検証させて頂きましたぁ~)(汗)

何とも確かにKonkoのホームページ記載のとおり、微妙なソフト感と言うか「優しい感じ」がより強調されていて、まさにこのモデルMINOLTA製オールドレンズのこだわりの特徴を積極的に表に出すような結果に繋がり、とても好感が持てます!(涙)

・・ありがとう御座います!!!(涙)

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」での撮影です。

↑f値は「f8」に上がっています。

↑f値「f11」です。もう殆ど絞り羽根が閉じきっていますが、まだまだ「回折現象」の影響は微塵も感じ取れません!(驚)・・素晴らしい描写性能です。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。引き続き次のモデルの作業に入ります。

・・どうぞ良いお年をお迎え下さいませ。