◎ PORST (ポルスト) Super-weitwinkel MC 28mm/f2.8 auto H《後期型》(M42)
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ネット上に掲載されているオールドレンズの分解/組み立ての解説ページを見ていると、時々「分解/組み立て工程の写真を載せるのは修理業者に悪い」と言う意見を目にしますが、残念ながらメンテナンスを業としているプロのメンテナンス者にとっては悪いと感じる要素は何ひとつありません(笑) いえ、むしろ解体経験が無いモデルに関してはありがたいくらいです。
それは、肝心なメンテナンス時の「コツやポイント」は全くそのような次元の話ではないからです。分解する際の注意点は初めて解体する場合には、事前に知識を得ているほうがありがたいのに決まっているのですが、組み立て工程に於ける注意点などは、そんな生易しい話ではなく、またネットなどで解説できる類の内容にもなり得ません。従って、必然的に当方ブログでのオーバーホール工程についても同様で、肝心な話は一切記載されていません。つまり、このような作業を業としていない一般の方が、このページを参考に分解しても「完ぺきな組み立てはできない」と言うのが現実です。あくまでも趣味の領域で組み立てるのであれば、それ相応の域まで仕上げられるかもしれませんが、完成度を追求するならば「コツやポイント」は全く別次元の話ばかりです。
当方がよく使うコトバ「原理原則」とは、実はそのような意味合いも含めて使っている次第ですから、本来の調節/調整する箇所やその度合いは、長い経験値から積み重ねられた「必然的に養われた勘」であり、それは解説しようにも表現方法があり得ませんね(笑)・・組み立て工程に於ける留意が必要な事柄は、オールドレンズ内部の構造から始まり、使われているパーツや小さなネジに至るまで、それこそ100を優に超える「コツやポイント」を暗黙のうちにチェックして調整し仕上げているワケで(笑)、とても逐一書き出せる内容ではありません。単焦点レンズでそのような状況ですから、まだまだ未熟な当方にとってはズームレンズなどは到底歯が立たないワケです・・。
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今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツのPORST製広角レンズ『PORST Super-weitwinkel MC 28mm/f2.8 auto H (M42)』です。ちなみに、レンズ銘板の「weitwinkel」は「ヴァイトヴィンクル」と発音するドイツ語で「広角」の意味になります。ドイツ語の「w」は英語の「v」の発音のようですから「ウェイトウィンケル」ではありません(笑) また、モデル銘の最後「auto H」の「H」が何を意味するのかは不明です。マウント種別に限らず他にも「F」「N」「G」がありますが何の意味だか分かりません。
このモデルは鏡胴に「LENS MADE IN JAPAN」刻印があるとおり日本製のオールドレンズなのですが、当方はこのモデルの描写性からある予測を伴って今回調達しました。今までに解体した経験は1回だけあるのですが、その当時はまだオーバーホールを始めた初期の頃でしたので (つまり今回が7年ぶりの2回目です)、深い処まで考察が及んでいませんでした。
PORST (ポルスト) はブランド銘で、戦前の1919年にドイツ人のHanns Porst (ハンス・ポルスト) 氏によって、旧ドイツのニュルンベルク市で創業した主に写真機材を専門に扱う通信販売専門会社「PHOTO PORST」で使われていたブランドです。会社所在地のニュルンベルク市はバイエルン州に属する街ですが、敗戦後の東西ドイツ分断の時期に於いては、バイエルン州自体が複雑に東西ドイツに跨がっていたためにネット上の解説では旧東ドイツの会社だと案内されていることがあります・・正しくは「旧西ドイツ」になります。同じPORSTでも創業者の名前を採ったブランド銘ですから当時実在していた「Porst市」とは一切関係がありません。
ちなみに、1930年〜1950年代に駆けては自身の名前の頭文字から「HAPO」ブランドを展開していたようですが、PORSTブランドの製品も含めて自社での開発をせず、他社光学メーカーからのOEM製品供給に頼っていたようです。終盤期にはPORSTブランドに追加して「carenar (カリーナー)」ブランドが新たに加わりますが、愛娘の名前をあしらってブランド銘にしています (日本語的な読み方のカリーナーではありません)。
【モデルバリエーション】
※オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。
前期型「Super Weitwinkel Auto 28mm/f2.8 (M42)」
最短撮影距離:45cm
自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) :有り
光学系:6群6枚レトロフォーカス型
絞り羽根枚数:8枚
最小絞り値:f16
距離環ローレット (滑り止め) :金属製
★中期型-I「Super-WW MC AUTO H 28mm/f2.8 (M42)」
最短撮影距離:40cm
自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) :有り
光学系:6群6枚レトロフォーカス型 (?)
絞り羽根枚数:8枚 (?)
最小絞り値:f22
距離環ローレット (滑り止め) :金属製
中期型-II「Super-Weitwinkel 28mm/f2.8 auto H (M42)」
最短撮影距離:30cm
自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) :有り
光学系:6群6枚レトロフォーカス型 (?)
絞り羽根枚数:8枚
最小絞り値:f16
距離環ローレット (滑り止め) :ラバー製
★中期型-III「Super Weitwinkel 28mm/f2.8 auto N (M42)」
最短撮影距離:40cm
自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) :有り
光学系:6群6枚レトロフォーカス型
絞り羽根枚数:6枚
最小絞り値:f22
距離環ローレット (滑り止め) :ラバー製
後期型「Super-weitwinkel MC 28mm/f2.8 auto H (M42)」
最短撮影距離:30cm
自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) :有り
光学系:7群8枚レトロフォーカス型
絞り羽根枚数:8枚
最小絞り値:f16
距離環ローレット (滑り止め) :ラバー製
・・製造番号を基にバリエーションを並べてみたのが上記になります。一番最初の「前期型」だけは、製造番号の桁数が1桁少ないので間違いないのですが「中期型」に関してはモノコーティングとマルチコーティングが製造番号の前後で入り乱れています。しかも、光学系の構成や絞り羽根枚数自体までバラバラなので、2社の光学メーカーによる供給を同時期に併行して行っていたのかもしれません (詳細は不明)。
なお、★マークの「中期型-I」のみ筐体構造からみて「富岡光学製」と踏んでいるのですが、他は違うようです。また★マークのモデルは過去にメンテナンス済で、アメリカのargus社にOEM供給されていた「Cintar 28mm/f2.8 (M42)」と全くの同一タイプです (レンズ銘板のみすげ替えているだけ)。従って、光学系や絞り羽根枚数など各諸元値も確認済で同一です。
そして、今回出品するモデルが「後期型」になるのは、この後に新たなタイプが登場していないことから間違いなさそうなのですが、いったい何処の光学メーカーによって生産されたOEM輸出モデルなのでしょうか?
そのヒントは内部パーツに隠されていました・・「絞りユニット」の設計が全く同一であるオールドレンズが存在していたのです。内部構造には僅かに相違があるものの、SOLIGOR製広角レンズ「WIDE-AUTO 28mm/f2.8 (M42)」に実装されている「絞りユニット」だけは同一パーツだったのです。
このSOLIGORの製造番号から「トキナー製」であることが判明しました (製造番号先頭1桁目で判定できる)。
さらに、SOLIGORと共に★マークのモデル、及び今回の個体と3本が同じ設計の「絞り連動ピン機構部」をマウント部内部に装備しているのです・・つまり、すべて「トキナー製」と言うことになります。これは、マウント面の「絞り連動ピン」押し込み動作で、絞り羽根開閉アームを押し込んでいるチカラを「解除する」方向に働く設計の「絞り連動ピン機構部」であることから判明します (通常のオールドレンズは逆の動きが多い)・・当然ながら、機構部で使われているパーツの細かいカタチなども非常に近似しており設計思想が同じです。
検索してもネット上には一切詳細がアナウンスされていませんでしたが、バラしてみると今回の出品モデル『PORST Super-weitwinkel MC 28mm/f2.8 auto H (M42)』の光学系は7群8枚の典型的なレトロフォーカス型でした。右図は今回バラして光学系を清掃した際に各硝子レンズを参考にスケッチした図なので、曲率などは正確ではありませんがイメージは近いハズです。
ここで再び次の疑問が湧いてきました・・これらのバリエーションのどれを見ても、光学系の設計思想が同じなのです。もちろんバリエーションによっては、光学硝子レンズの構成枚数が6群6枚だったりしますし、そもそも最短撮影距離自体がバラバラですから光学系の設計も異なっているハズです。しかし、光学硝子レンズを格納筒に格納する方法 (設計)、或いは光学硝子レンズ自体の設計 (仕上げ方) そのものが、これらの3つのモデル (前述のSOLIGORとCintarに今回の個体) で同一なのです。通常、生産メーカーが異なれば、自ずと光学硝子レンズを格納筒に格納する方法 (設計) は近似するハズがありません。その疑問が湧いた最大の理由は、描写性だったのです・・どのモデルの描写性も「富岡光学製」オールドレンズに見られる特徴にとても似ています。ピント面のエッジが繊細で非常に細く出ていながら、被写体の素材感や材質感を写し込む質感表現能力に長けており、アウトフォーカス部の滲み方から来る背景のボケ味と相まり空気感や距離感まで感じさせる大変立体的な画造りをしています。
これらの事柄から、トキナーは光学メーカーではあっても、当時は一部のモデルに関して富岡光学より光学系の供給を受けていた、或いは富岡光学に光学系のみ生産を委託していたと言う推測に至ります。そうでなければ、ここまで富岡光学製オールドレンズと非常に近似した光学系の設計にする意味が説明できません (仮に真似をして同じ光学系の設計だとしても格納筒への収納方法は自社の機械設備に沿う設計にするハズだから)・・ワザワザ似せた設計でコストを掛けてまで用意することの意味 (目的) が見当たりません。
従って、生産/販売元は「トキナー」だとしても光学系だけは富岡光学から供給を受けていたために、これらのモデルの描写性が似てきているのだと結論しています。ちなみに、この描写性についてはFlickriverにてこのモデルの実写を検索しましたので、興味がある方はご覧下さいませ。
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。絞りユニットは前述のSOLIGOR製オールドレンズと全く同一ですが、その他の構成パーツに関してはビミョ〜に設計が異なっています。しかし、それらパーツの設計思想 (例えば絞り環の設定絞り値伝達方法など)、或いはヘリコイドの切削方法、鏡筒自体の設計に対する考え方、マウント部の構造などなど、すべて同じ思想で設計されていることを確認しています。
↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒 (ヘリコイド:オス側) です。絞りユニットに制御系の各パーツを装備した設計なので、必然的に制御系のアームが外部へ飛び出てくる大きな「開口部」が用意されている鏡筒になっています。
- 絞り羽根開閉幅制御環:
アームが絞り環と連係することで設定絞り値が伝達されて絞り羽根の開閉角度 (開口部/入射光量) を制御している環 (リング/輪っか)。 - 絞り羽根開閉アーム:
マウント面の絞り連動ピンの動作に従い絞り羽根を勢いよく開閉している環 (リング/輪っか) に附随するアーム。 - カム:
絞り羽根開閉幅制御環に用意されている「なだらかなカーブ」にカムが突き当たることで絞り羽根の開閉角度を決定している。
・・こんな感じで各制御系の役目が決まっています。上の写真ではカムが「なだらかなカーブ」の麓部分に位置しており「最小絞り値側」なので、絞り羽根は最小絞り値まで角度を変えて閉じています。この時「絞り羽根開閉アーム」が押されると絞り羽根は勢いよく「開放位置」まで開ききりますから、通常のオールドレンズとは全く逆の動作をしていることになります (普通は絞り連動ピン押し込み動作で絞り羽根が閉じる動作)。
↑完成した絞りユニットをひっくり返して裏側を撮影しました。絞り羽根には表裏に1本ずつの「キー (金属製の突起棒)」が打ち込まれており、裏側のキーが「位置決めキー」と言って絞り羽根の位置を確定させているキーになり、もう一方表側のキーが「制御キー」で絞り羽根の角度をコントロールしているキーになります。
上の写真の「位置決め環」を固定しているネジは、締め付け後に切削されて絞りユニットから飛びでないように処置されています。しかも真鍮製のネジなので、締め付けた場所3箇所にピタリと切削面がキレイに一致するようネジを選んでネジ込まなければイケマセン・・実は、富岡光学製オールドレンズには、このような方法で固定する位置決め環のモデルが1本たりとも存在しません (つまり絞りユニットに関しては富岡光学製ではないことになる)。
このことから絞りユニットを基に過去に整備したモデルを探っていけば、自ずと生産メーカーに辿り着くと考えた次第であり、それが冒頭のSOLIGOR製広角レンズに行き着いた経緯です。
↑鏡筒 (ヘリコイド:オス側) に完成した絞りユニットをセットしたところです。
↑とろこが、当初バラした際には上の写真に写っているスプリングが、なんと「固着剤」だけで両端が固定されていました。固着剤が剥がれなければ、そのままでも良いのでしょうが、固着剤だけで固定しているオールドレンズと言うのは今までに見た記憶があまりありません。将来的なことも考慮してドリルを使って「絞り羽根開閉アーム」と鏡筒に穴を用意し、スプリングをシッカリと外れないように固定しました。
↑完成した鏡筒をひっくり返して撮影していますが、上の写真のグリーンの矢印のように、2つのアームは頻繁に動作するのでスプリングが固着剤だけで固定されているのはイタダケませんね(笑) ここで「絞り羽根開閉アーム」は常に絞り羽根を閉じる方向のチカラが働いており、逆にマウント面にある「絞り連動ピン」は通常突出した状態になっていますから、この「絞り羽根開閉アーム」を押し込んで絞り羽根を開放状態にし続けている考え方です。従って、マウント面の「絞り連動ピン」が押し込まれると「解除」になり、絞り羽根は絞り環で設定した絞り値まで閉じるという仕組みです・・一般的なM42マウントのオールドレンズとは、全く逆の動き方をしている設計であることが判ります。
↑ヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを着けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。
↑完成している鏡筒 (ヘリコイド:オス側) を、やはり無限遠位置のアタリを着けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルでは全部で6箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。このヘリコイド部の設計も、具体的なサイズは異なるものの、SOLIGOR製オールドレンズと全く同一です。
↑このモデルは基準「Ι」マーカーが刻印されている指標値環の固定位置が確定しない設計なので、ここで先にアタリ付けのために距離環を仮止めしてしまいます。この点も富岡光学製オールドレンズとは全く異なる設計です (富岡光学製オールドレンズでは指標値環の位置は必ず確定します)。
↑鋼球ボール+スプリングを組み付けてから絞り環をセットします。
↑さらにすぐ上に、やはり鋼球ボール+スプリングを組み込んでから、大変美しいホワイトシルバーな梨地仕上げの自動/手動切替スイッチ (A/Mスイッチ) を組み付けます。
↑マウント部を絞り連動ピンの機構部を噛み合わせながら、セットします。この後は光学系前後群を組み付けて、無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認をそれぞれ執り行い (それぞれ「解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認について」で解説しています)、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすればいよいよ完成です。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑このモデルの最大の特徴は、上の写真のとおりコーティング層の光彩です・・マルチコーティングなのですが大変美しいエメラルドグリーンの光彩を放つモデルです。
↑光学系前群の透明度は非常に高く、LED光照射でもコーティング層の経年劣化に拠る極薄いクモリすら「皆無」です。
↑上の写真 (5枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。1〜2枚目は前玉表側のカビ除去痕に拠るコーティング層の経年劣化部分を、光に反射させてワザと誇張的に撮影しています。そして、次の3〜5枚目が、このモデルの特徴的なコーティング層の光彩なのですが、一般的なこの当時のマルチコーティングが施されたオールドレンズ同様「アンバーパープル」な光彩を基本として、しかし、実は前玉裏面側に「黄緑色」のコーティング層が蒸着されており (実際には前玉表面の色合いを含んだ写真になっている)、且つ前玉表面には「ライトブルー」なコーティング層が蒸着されている (こちらも前玉裏面の色合いが反映してしまっている) ので、結果的に4色の色合いを放つ大変美しいコーティング層のモデルです (光学系硝子レンズの清掃時に光彩をそれぞれ確認済)。
↑光学系後群の透明度も高くとてもキレイな状態を維持しています。
↑上の写真 (5枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。後玉の外周附近にはカビ除去痕としてコーティング層の劣化部分が一部あります。同様に後玉も裏面に「黄緑色」のコーティング層が蒸着され、表面は「ライトブルー」の光彩を放っています。おそらく、このコーティング層により結果的にとてもナチュラル感を強く感じる描写性に至っているのではないかと考えますし、逆光耐性が非常に高いモデルです。なお、カビに関する解説を「解説:カビの発生と金属類の腐食/サビについて」に掲載していますので、興味がある方はご覧下さいませ。
【光学系の状態】(順光目視で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:8点、目立つ点キズ:4点
後群内:12点、目立つ点キズ:8点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり
・バルサム切れ:無し (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):皆無
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが実際はカビ除去痕としての極微細な点キズです (清掃しても除去できません)。
・光学系内の透明度が非常に高い個体です。
・前玉には点状のコーティング層の経年劣化が複数あります (一部はカビ除去痕)。また後群内には極微細な点キズが複数あります。
・いずれもすべて写真への影響はありませんでした。
↑8枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感をほとんど感じさせない大変キレイな状態をキープした個体です。当方による「磨きいれ」を筐体外装に施したので大変美しい落ち着いた仕上がりになっています。また、フィルター枠やA/Mスイッチ環などのホワイトシルバーな梨地仕上げ部分、或いはクロームメッキ部分も「光沢研磨」を施し当時のような眩い輝きを取り戻しています。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度」を塗布しています。距離環や絞り環の操作はとても滑らかになりました。
・距離環を回すトルク感は「普通」で滑らかに感じトルクは全域に渡り「完璧に均一」です。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・距離感と指標値環との間に隙間が空きますが設計上の仕様なので改善できません。将来的に問題になることは一切ありません (一部距離感が擦れる微かな音がします)。
【外観の状態】(整備前後拘わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・距離感と基準「Ι」マーカーがある指標値環との間は距離環を回すのに伴って隙間が空きますが、これは設計上の仕様なので改善できません (個体別の問題ではないのでクレーム対象としません)。
↑海外オークションebayなどでも、それほど頻繁には出回らないモデルですが、トキナー製ながらも富岡光学製オールドレンズの描写性を併せ持つ素晴らしいモデルです。特にこのモデルのコーティングは相当な拘りを持っているので、その結果が実写にも現れているように感じます。
ブラックタイプは時々出回っているようなのですが、なかなか見分けがつかないのであまり真剣にチェックしていません(笑) しかし、このホワイトシルバーな梨地仕上げのモデルは飛びつきました (好きなんですョ)・・ (笑) 7年間でたったの2本ですから、当方では珍品の部類に入っているモデルでもありますね。
↑指標値環と距離環の間に「隙間」が存在するのは設計上の仕様ですのでクレーム対象としません。この当時のトキナーでは、あまり細かい部分には拘っていなかったのかもしれません(笑)
↑当レンズによる最短撮影距離30cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。
↑絞り環を回して設定絞り値を「f4」にセットして撮影した写真です。