◆ tamron (タムロン) BBAR MULTI C. 28mm/f2.8 《CW−28 後期型:米国輸出仕様》(ADT)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産は
tamron製広角レンズ・・・・、
BBAR MULTI C. 28mm/f2.8《CW−28 後期型:米国輸出仕様》(ADT)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた12年前からの累計で、当時のtamron製広角レンズ域「24㎜~28㎜」辺りで捉えると9本目にあたりますが、今回扱った「28㎜」だけでカウントすると僅か2本目です。

ご落札いただきました!(涙)
ありがとう御座います・・。
tamronのサメ肌・・是非ご活用下さいませ。

筐体は、まるで新品のようにピッカピカに輝いています。

実は以前2020年に1本目を扱っていて、オーバーホール工程など詳細をアップしています
・・BBAR MULTI C. tamron 28mm/f2.8 (M42/adaptall2)』・・しかし、今回扱った
個体は同型モデルながら、その時の製造番号から凡そ「3万6千番分」後の符番で生産された個体であるのが分かりました (単純計算なので、その差は必ずしも生産台数を表すとは限らない)。タムロンでは製造番号の先頭2桁がモデル別割当番号になっているようなので、前回扱い個体が凡そ「6千本分」のシリアル値を執っていたとすると、今回の個体は「3万番台分」の差に至ります。

そして前回のオーバーホール時に内部構造の難しさよりも「微調整の難しさ」にすっかり懲りてしまい「最初で最後の扱い」と判定していました (内部構造自体は当時のタムロン製単焦点モデルに倣った設計を踏襲)。今回その時の判定 (難しくて懲りた) をすっかり失念しており、
再度入手してしまいました(笑)

ところが完全解体したところ、内部構造/内部設計が更新されていて「外見上は一切判定を下せないが、内部構造は当時の24㎜と100%同一に替わっていた」のです(驚)

タムロンのホームペーシをチェックすると、以下の通りこのモデルと24㎜とは「1976年発売」で同一表示なのですが、明らかに内部構造は別モノでした(驚)

↑下の方で今回の個体を完全解体した時の「全景写真」を載せるので、それで比較して頂ければ歴然です。上のカタログはタムロンのホームページ用引用しています・・それを確認すると、発売時期も推定製造終了時期も同一になっていますから、もしかすると焦点距離24㎜のほうのモデルにも前回同様「微調整が相当厄介なタイプ」が、当初出荷された製造番号が符番されている個体に隠れている可能性も捨てきれません(汗)

・・いずれにしても共に製造番号が完全なシリアル値ではないのでちょっとコワイですね(笑)

迂闊に手を出すと/手に入れると前回の個体のように「弧を描いた長大なアームが組み込まれていて大変だったりする」との恐怖感が漂います(怖) 逆に言うなら、このように内部構造とその設計を更新してきたと言う事は、裏を返せば「タムロン内部でさえその長大な孤を描いたアームを問題視していた」とも受け取れます(笑) 何しろほぼ反対側からグルっと鏡筒を周ってマウント面から飛び出ている絞り連動ピン (車輪ですが) からの押し込みされるチカラを伝達しなければならず、経年劣化で容易に変形する為に相当厄介です(怖)

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↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
前回扱い時は二段分しか実写がピックアップできませんでしたが(笑)、2年経過してだいぶ増えました!(驚) おそらくはデジタル一眼カメラ/ミラーレス一眼カメラ向けにマウントアダプタが製品が増えて、特に今回のタムロン向け製品も用意された点が実写が増えた背景にあるようにも思えます。

この段では前回扱い時にはほとんど確認できなかった円形ボケからの変化をチェックしています。左端から円形ボケが破綻して背景ボケへと遷移する中、収差の影響を色濃く受けて「被写体の背景に気を遣わないとザワザワした煩い写真に堕ちる」点について参考にしています。

二段目
今回扱ったモデルの素晴らしさが確認できる段ですが、タムロンレンズとなれば「いわゆる
アンバー寄りの画造り
」陣営で、今ドキのカメラボディで言えばSONY筆頭にPanasonicやOLYMPUS或いはPENTAX辺りのデジタル一眼カメラ/ミラーレス一眼カメラに共通項的に見える、CanonやNikon陣営のスッキリした画造りと対極を成すカラーリングにも感じます。

そのような印象を抱く中にあって、この後に登場する「02B」のおとなしめな、ナチュラル的な印象の画造りに相反し、シッカリした個性を全面に打ち出していた頃の元気の良いタムロンの写りにも見えたりします(笑)

その意味で、例えば植物の葉っぱの色合いなどを見ていくと、意外にもそれほどコッテリ系な印象には至らず、むしろナチュラルにさえ感じる程であるものの、その一方で特定の線引を超えると「コロッとコッテリ系に豹変する」みたいなオモシロイ写りに見えます(笑)

これらピックアップした実写の中で意外だったのは、一番右端の人物撮影で、そもそも最短
撮影距離が25cmと寄れるモデルだとしても、それでいてこれだけ人肌感を写し込めるなら、下手にポートレートレンズにこだわるよりも、サクッと撮影できて (しかも画角広いし) むしろ使いでがあるかも知れません(笑)

三段目
左側2枚のピックアップ実写では「画に漂う何処となく優しい感じ」の印象確認として載せてみました。また右側2枚はその反面で被写体の素材感や材質感を写し込む質感表現能力の高さをチェックしています・・つまりこれらの実写で「優しく見えてもピント面の鋭さ感は犠牲になっていない」つもりでピックアップしています(笑)

四段目
この段では左側で白黒写真での特に明暗部のグラデーション表現をチェックしていますが、少々黒つぶれがストンと現れているように見えます。右側2枚ではパースペクティブの確認で載せています。

五段目
一つ前で述べたように「白黒写真ではストンと黒つぶれしてしまう傾向」だった(泣)、特にグレースケール上でカラー成分を256階調に割り振りする際に、何処で明るい方のグレースケール成分に振るのか、或いは暗部表現へと振り分けるのかの境界に難しさが隠れているように見えましたが、こちらのカラー写真になるとそのような心配を他所に(笑)、微妙な明暗部表現も無難に熟しているように見えます。その点、コロッと豹変する前述の印象もまだ残っているので、それはそれ、このモデルの特に光学系を覗き込めば「明らかに後のモデルと比較して
コーティング層が放つ光彩の色味が違う
」ことに大きな期待値が被さりそうです(笑)

・・当方はこの豹変する要素、意外と好きだったりします (何しろオールドレンズですし)(笑)

光学系は典型的な7群7枚のレトロフォーカス型構成です。前回扱った際にそのオーバーホールで完全解体した時、光学系の清掃時に当方の手によりデジタルノギスを使い、逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。

各群の光学硝子レンズを着色しているのは「光に翳して反射させると視認できるコーティング層が放つ光彩 (の印象)」を基に着色していますが、実際は片面側ごとに放つ光彩の色合いは違うので、現物はこのような色付きではありません・・但し、そうは言っても光学系第3群~
第7群後玉まで光学硝子レンズが放つ光彩は、主体的に右図の着色の印象です。

一方第1群前玉や第2群は表裏面で多少放つ光彩の主体的な色味は右図とは相違がありますがこれらが全て7枚格納筒の中に収納されてしまうと、光学系を覗き込んだ時にこんな色合いに見えたりします(笑)

確か旧西ドイツ側の写真機材を扱う商社「FOTO-PORST (ポルスト)」のこの当時のオールドレンズ (各製品全てがOEMモデル) が、まさにこんな色味に映るコーティング層蒸着だった
ように記憶しています。特に光学系第1群前玉と第2群の「赤味の強烈な光彩」はとても似ています(笑)

結局、1976年辺りの発売から考察すると、既に「ブル~系のコーティング層蒸着」に頼らずとも、十分入射光の短波長域を後群側まで延伸できる新種ガラスなどが注ぎ込まれている分を勘案すれば、このように「パープルアンバーの延長線上の赤味が強いコーティング層蒸着」こそが、製品の性格付けに功を奏したのかも知れませんね。

右構成図を見れば一目瞭然ですが、特に第3群に表裏面でグリーン色の光彩を強力に放つコーティング層蒸着を配置してきた時点で (マジッで色が濃いです)「画の優しさ表現はお墨付き」とも指摘でき、その一例は何かと言えば「MINOLTAの緑のロッコール」でもあるので(笑)、確かにMINOLTAのオールドレンズ群は後世に至るに従い「緑のロッコールたる所以が消滅」していった (いわゆる時勢の流れからパープルアンバー主体へと変遷した) 事実まで勘案すれば、中核層にドンと配置している時点でタムロンの設計陣が狙ったところがパチっと適合しているようにも見えます(笑)・・素晴らしいモデルです!(涙)

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はBBAR MULTI C. tamron 28mm/f2.8 (M42/adaptall2)』のページをご参照下さいませ。

但し内部構造で今回の個体と全く同一なのは、むしろBBAR MULTI C. 24mm/f2.5《輸出仕様》(ADAPTALL)』のほうです。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わっています。巷では「タムロンの鮫肌 (サメ肌) モデル」とも揶揄されている(笑)、1976年発売の (1979年まで製造) 米国向け輸出仕様モデルです。当方はこの「しっかりした総金属製筐体でアールを基調とした意匠」に前述「鮫肌ローレット (滑り止め)」が相まみえ、確かにこの当時の米国人好みたる意匠でありながら、実は当方も
大好きだったりします(笑)

同じ総金属製としても、この後に日本国内でも登場する「02B」の角張った雰囲気や、或いは24㎜/f2.5辺りで最後期に登場する「01BB」の樹脂製筐体に比較すると、明らかに「高級感」すら漂い(笑)、独特な見栄えがこの当時の日本製国内モデには見られない (ある意味このまま旧西ドイツでも十分通用していた) 白人好みの意匠に惹かれたりします(笑)

現物を手に取ると本当によ~く伝わりますが「筐体の金属製外装は全てが光沢仕上げ」でメッキ加工が施され、そこに距離環と絞り環ローレット (滑り止め) に貼られている「特異な鮫肌ラバー」が何ともバランス良く大好きです!(笑)

そして何はともあれ、ご覧のような光彩を放つ蒸着コーティング層の色合いがとても魅力的です!(涙) ちなみに「BBAR MULTI CO.」は「Broad Band Anti-Reflection MULTI Coating」の略なので、和訳すれば「広帯域反射防止マルチコーティング」みたいな話です(笑)

↑光学系内は透明度が非常に高い状態を維持した個体です。残念ながら最後の光学系第7群後玉露出面に、経年並みのカビ除去痕が菌糸状に微細な点状として複数残っています。そう言われて光に透過させてチェックして初めて見えるくらいに、外見では「微細な点キズ」がポツポツと数点残っているようにしか見えませんが、菌糸を伴うカビ除去痕です・・但し、写真には一切影響しませんし、仮に玉ボケを表出させて撮ったとしても「その玉ボケの中にポツポツと写り込まない」ほどの微細なカビ除去痕です (そもそも広角レンズなので写り込まない)。

この当時のオールドレンズで言えば、例えば旧東ドイツのCarl Zeiss Jena製「Flektogon 35mm/f2.8」や、或いはフランスはP. ANGENIEUX PARIS製広角レンズなどでめっぽう多い「光学系内の中核に位置する小径光学硝子レンズが経年劣化進行で除去できないクモリに見舞われる」致命傷に比較すれば、こんな微細な点状カビ除去痕などは在って無いに等しいくらいです(笑)

逆に言えば、それほどレトロフォーカス型光学系の構成では「入射光を最も透過させ延伸してくる中核部分にその波長からどうしても生じてしまう経年劣化に伴うコーティング層の変質特に中心部に偏向して帯びるクモリ」を、よくぞこのモデルは耐えていると感心します(涙)

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側も透明度高くLED光照射でコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無ですが、前述のとおり後玉表面/露出面だけは微細な菌糸状を伴うカビ除去痕が複数残っています。バット見では普通の微細な点状キズにしか見えませんが、光を透過させて確認すると菌糸状を伴う微細なカビ除去痕です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:15点、目立つ点キズ:10点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:18点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(後玉表面に菌糸状伴う点状カビ除去痕複数あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大3mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズなし)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
(後玉表面に菌糸状伴う点状カビ除去痕複数あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。

↑5枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。但し実装している「A/M切替スイッチ」はマウント面に備わる「絞り連動ピン機構部パーツ」を全て取り外している為「の手動絞りのみ機能」になります。「の自動絞り」にセットしても「手動絞り」の絞り羽根開閉動作しかしません。

これはマウントアダプタなどを取り外している単独状態でも同じ駆動です (絞り連動ピン機構部が丸ごと無いのでそうなっている)。取り外した理由は、絞り連動ピン機構部の引張式スプリングが経年劣化に伴い弱ってしまったからです。特異な駆動方式を執っている為、代替できる引張式スプリングがありません。

今回の出品個体は絞り羽根駆動が「M手動絞り」のみです。A/M切替スイッチを「A自動絞り」に設定しても「M手動絞り」の動きしかしません (内部の
絞り連動ピン機構部パーツを丸ごと取り外してしまった為/商品に付属)

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
・距離環のラバー製ローレット(滑り止め)はベタつきもなくシッカリしたホールド感を感じられる操作性を与えてくれます(但し微細な塵/埃などはラバー部分に附着しますので普通に軽く水拭きなど清掃すればキレイになります)。
本体側マウント面の絞り連動ピン機構部を取り外しています。A/M切替スイッチを装備していますが、この関係で機能していません。「A自動設定」にスイッチを切り替えても絞り羽根は手動絞りでの開閉しかしません。取り外した絞り連動ピン機構部のパーツは全て一式付属します。但し取り付けても絞り羽根の開閉異常の原因になるだけです(それで取り外した)。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-1Bフィルター (新品)
本体BBAR MULTI C. 28mm/f2.8《CW−28 後期型:米国輸出仕様》(AD2)』
K&F CONCEPT製ADAPTALL → M42 マウントアダプタ (新品)
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
純正樹脂製スナップ式前キャップ (中古品)
内部から取り外した絞り連動ピン機構部のパーツ一式

赤色文字で指し示しているとおり、本来この場所には「車輪タイプの絞り連動ピン」が顔を出していますが、前述のとおり「経年劣化進行に伴い引張式スプリングが弱ってしまった為に正しく絞り羽根の開閉を制御できない」問題から、今回の出品に際し取り外してしまいました。

従って上の写真のように「単に四角く開口部が空いているだけ」の状態です。ここに付属している内部「絞り連動ピン機構部パーツ (一式)」を装着しても、絞り羽根の開閉制御は正しく行われず、完全開放しません (凡そf5.6に近い位置まで絞り羽根が顔出ししたまま停止する)。

また、付属のK&F CONCEPT製ADAPTALL → M42 マウントアダプタを装着すると、仮に絞り連動ピン機構部が正常に動いていても「手動絞りでしか絞り羽根開閉動作しない」ので、結果的には同じ状態です。

↑いつもどおり当方所有のマウントアダプタではありますが、ちゃんと事前に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 上の写真は中国製のK&F CONCEPT製「M42 → SONY Eマウントアダプタ」に装着し、合わせてマウントアダプタ内側のピン押し底面を「平面」にセットした状態で全く問題がない正常動作である事を確認しています。

赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合にそれが干渉しないよう、約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後までネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる)。

なお上の写真の状態は、既にオールドレンズ側マウント面に、同じくK&F CONCEPT製ADAPTALL → M42マウントアダプタを装着して「M42マウント規格」に変換した上で、今度はさらにK&F CONCEPT製M42 → SONY Eマウントアダプタに装着した状態を撮っています。

↑同様今度は日本製のRayqual製「M42 → SαE マウントアダプタ」に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合に、それが干渉しないよう約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後までネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる)。

↑市場流通品のK&F CONCEPT製ADAPTALL → M42マウントアダプタ (赤色文字で指し示しているマウントアダプタ) は、タムロン製オールドレンズに装着すると「M42マウント化しても指標値が真上に来ない」が数多く流通しています。実は今回付属させたこのマウントアダプタも当初は装着すると指標値がアッチの方向を向いていました(笑) 以前にも同じ状況のマウントアダプタを手に入れた事があるので、おそらく気にせずにそのまま (いまだに) 製品化しているのだと思います。

今回出品個体に付属するK&F CONCEPT製ADAPTALL → M42マウントアダプタは、上の写真のとおりちゃんと指標値が真上に来る位置で処置を施しており、グリーン色ラインのように一直線上にキレイに並びます。

↑K&F CONCEPT製ADAPTALL → M42マウントアダプタ が装着してある状態のマウント面はこんな感じです。またブルー色矢印のように前述の「絞り連動ピン機構部パーツ一式を取り外している」為に、単なる四角い開口部にしかなっていません。

従って、鏡胴には「A/M切替スイッチ」を装備しているものの、絞り羽根の開閉動作は全て「手動絞りオンリー」であり、単なるM42マウントのオールドレンズとの認識でご使用頂くのが良いと思います(笑)

↑さらにK&F CONCEPT製ADAPTALL → M42マウントアダプタは、タムロン製ADAPTALLマウント規格のオールドレンズに装着すると、個体によっては「赤色矢印で指し示したロック解除ボタンが硬すぎて押し込めず外せなくなる」トラブルを抱えている場合がありますが (今回の付属製品も当初はそうだった)、微調整を施しちゃんと軽い操作性で着脱できるよう仕上げてあります (K&F CONCEPT製マウントアダプタ側の設計の拙さから来る話)。

K&F CONCEPT製マウントアダプタ側を微調整したのではなく、tamronのオールドレンズ側
マウント部内部を微調整して仕上げています・・こういうちょっとした気遣いと言う「重箱の隅をつつくような」配慮にこだわれるのも「完全解体して臨むオーバーホールの醍醐味」とも言い替えられます(笑)

当方のオーバーホール作業は、そもそもその発端となった『DOH』からのスタートなので (倒れて入院した時に血栓体質であるカラダなのが判明したのが動機です)「中からキレイに
仕上げたオールドレンズ」
ほど触っていて気持ちの良いモノはありません(笑)

・・いつも仕上げた日の晩酌に、ニマニマしながら悦に浸って酒の肴になってくれている(涙)

経年劣化だから仕方ないです」と言われれば聞こえが良いと言うか・・何でもその一言で
済まされてしまう世界に堕ちる
・・のが何とも遣る瀬ない気持ちでいっぱいでしたが、それらオールドレンズ達の「延命処置」と共に「本来在るべき姿」に舞い戻った彼らを・・本当に
情が移っていつも想い馳せています (活躍しているかな? 元気に頑張っているかな?)(涙)

・・願わくば、末永くさらなる活躍を示さんことを!(涙)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離25cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮影しました。

↑f値は「f8」に上がっています。

↑f値「f11」です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。絞り羽根がほとんど閉じきっている状況なので「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。