〓 mamiya (マミヤ光機) AUTO mamiya/sekor 50mm/f2 (black)《後期型:富岡光学製》(M42)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なおーオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産は
マミヤ光機製標準レンズ・・・・、
AUTO mamiya/sekor 50mm/f2 (black)《後期型》(M42)』です。


 

  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品する個体は、当方がオーバーホール作業を始めた12年前からの累計で10本目にあたりますが、今回扱った個体「後期型」だけでカウントすると7本目になります。

いわゆる富岡光学製のOEMモデルの一つですが、特にその描写性が優れているとか人気とかではないものの、このモデルの登場時期1966年以降に出てきた同じ富岡光学製の様々なOEMモデルの写りに比較すると、特徴的にピント面とアウトフォーカス部との滲み方が異なり、その境界が極端に現れるとの印象から扱っています (その後に登場したOEMモデルの多くはアウトフォーカス部のボケ方が強めで境界が繊細/曖昧)。

その意味では割と早い時期に登場していた分その描写性も明確な傾向を示すのかも知れませんが、例えば富岡光学にとりもっと近しい供給先としていの一番に挙げられるヤシカ向け製品で、1951年登場の半自動絞り方式を採り入れた「M42マウント規格」たる「AUTO YASHINON 50mm/f2 (M42)」がありますが、その後の廉価版標準レンズ50mm焦点域で捉えても明らかにその描写性が違うと受け取っています。

供給先相手がマミヤ光機となればそもそも主体が中判・大判サイズだったのでそう言う部分も影響しているのかも知れません。

ちょっと漠然としたとても抽象的な理由ですが、同じ廉価版標準レンズ域の富岡光学製で捉えると、その中で多少なりとも写りに特徴があるとみて、いつも好んで扱っています。またひいて言うなら、ピントの合い方がスパッと急にピーク/山を迎えるのが、その後に登場した富岡光学製の様々なOEMモデルのピントの合い方と比較しても、やはり違うように感じます。

  ●               

1966年にマミヤ光機から初めて発売された「M42マウント」の
一眼レフ (フィルム) カメラが「1000TL/500TL」になり、セット用標準レンズとして「AUTO MAMIYA-SEKORシリーズ」が用意され
ました (右写真は1000TL)。

パッと見で見落としがちですが、実はレンズ銘板のモデル銘が一般的に現在市場に数多く流通しているタイプとは異なります。つまり「MAMIYA-SEKOR」表記であり「mamiya/sekor」ではありません。これがこの当時のマミヤ製オプション交換レンズ群の中で「初期型/後期型」の最も見分けやすい特徴です・・「後期型」が「mamiya
/sekor
」ですね。

この時の取扱説明書をチェックすると、用意されていたセット用標準レンズ群は「f1.4/f1.8/f2.0」の3種類で「f1.2」が存在しないことになります。

この時の標準レンズ群は全てマミヤ製モデルとしては「初期型」になります。

典型的な4群6枚のダブルガウス型構成ですが、例えば市場で非常に数多く流通しているRICOH製標準レンズ「XR RIKENON 50mm/f2《前期型/後期型》(PK)」があります。

このモデルも光学系は4群6枚のダブルガウス型構成であり、巷では「和製ズミクロン」などと呼ばれ大変人気があります。ところがこのオールドレンズの光学系第1群前玉の外径サイズは「⌀ 27.5mm」です。一方マミヤ光機の「初期型」モデルAUTO MAMIYA-SEKOR 50mm/f2 (silver)《初期型》(M42)」の前玉外径サイズは「 30.59mm」ですから、約3mmも大口径なのが分かります。

そもそもRICOH製モデルは1977年発売の一眼レフ (フィルム) カメラ「XR-1/XR-2」向けセット用標準レンズとして同時発売されていたので、マミヤ光機が発売した「初期型」モデルの登場時期1966年からすれば11年後の話です(笑) 登場時期や光学系の設計は当然ながら異なるので一概に並列で比較できませんが、もう少しマミヤ光機製モデルのほうも人気があって然るべきではないかとヤッカミ気味です(笑)

同じ4群6枚のダブルガウス型構成としても「初期型」と「後期型」とでは光学設計が異なります。右構成図は以前扱ったAUTO MAMIYA-SEKOR 50mm/f2 (silver)《初期型》(M42)」のオーバーホールで完全解体した際、光学系清掃時に当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての群の光学硝子レンズを計測して描いたトレース図です。

一方こちらの右構成図は「後期型」の構成図になり、今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての群の光学硝子レンズを計測したトレース図
であり、各群のカタチや外径サイズに曲率/厚みなどビミョ〜に異なっています。

これらの相違がどのように吐き出す写真の描写性の違いとして現れるのか興味が尽きませんが、もう一つ厄介者が市場流通していたりします(笑)

↑上の写真 (4枚) は、今回扱ったマミヤ光機製標準レンズ「50mm/f2」の括りとして「初期型」及び「後期型」を並べて掲載しています。左から「初期型」に「後期型」の色違いと・・
何と何とRodenstock製モデルです (一番右端)!(笑)

『AUTO MAMIYA-SEKOR 50mm/f2 (silver)《初期型》(M42)
『AUTO mamiya/sekor 50mm/f2 (two-tone)《後期型》(M42)
『AUTO mamiya/sekor 50mm/f2 (black)《後期型》(M42)
Rodenstock Edixagon 50mm/f2 (M42)

左端から順番にモデル銘を挙げるとこんな感じになりますが「初期型」は以前このブログでも扱った事があるのでリンクしてあります。また「後期型」もオーバーホール工程などを掲載したページがあるので同様リンクしています。

ところが一番最後のRodenstock製だけが異端児で(笑)、現在海外オークションebayでも4万円弱13万円の値が付けられて流通しています(驚)

このRodenstock製モデルだけは、あまりにも高価すぎるので今まで扱う気持ちすら湧きませんでしたが(笑)、実は以前このブログでも「その真偽」を正しているので、こちらのページAUTO mamiya/sekor 50mm/f2 (black)《後期型》(M42)』Rodnstock製Edixagonの正体を暴いています(笑)・・さすがに13万円台の価格が付いてしまうとオドロキを通り越して呆れてしまいますが、そもそもRodenstock製モデルのほうは製造メーカー銘が何処にも刻まれていませんし、もっと言うなら「LENS MADE IN JAPANと製造国表記していない」のでこのオールドレンズをいったいどうやって国外に輸出できていたのかいまだに不思議でなりません(驚) 当時の国際輸出入管理法からすれば製造国表記は努力義務ではなくて「必須」だったハズなので、その輸出入管理法に違反しているとなれば輸出できる理由が思い付きません(笑)

それこそ当時の旧東ドイツから闇取引で旧西ドイツ側に流れていた (表向きで輸出したことになっていない) ような話で、何とも「???」です(笑)

これは最も頻繁に (裏で) 実施されていたのが旧東ドイツ内に位置していたベルリン市の話で、ベルリン市も「東ベルリンと西ベルリンに分断」されており、有名な「ベルリンの壁」は1961年から「西ベルリンを分断するべく囲っていた (東ベルリンと接している場所の分断を意味し、他の東ドイツ内の街に隣接する領域は有刺鉄線と監視所による監視)」になっていたワケで、東ベルリン側は一切有刺鉄線や壁などで囲まれていませんでした(笑)

すると西ベルリン側にあった巨大な操車場で闇取引が横行していて、操車場の貨車で積み荷の中味を入れ替えたりしつつ、西ベルリンから欧州の西側陣営に流していたようです(笑) それにより税関を通さずに闇で流して欧州の西側陣営に多くの製品が渡り、その中に旧東ドイツ側のCarl Zeiss Jena製オールドレンズもたくさん含まれていたようです (以前ギリシャのディーラーから話を聞きました)。

従ってCarl Zeiss Jena製モデルの中に「aus JENA表記」或いは「Pancolarと刻印できずPの一文字だけの刻印」或いは「T刻印のテッサー」など、いわゆる西側陣営への輸出制限を課されていた状況からすれば、それら制約を受けていた個体が現在の市場で圧倒的に少ない流通数で流れている状況も納得できてしまいます・・要は国内流通品、或いは東欧圏流通品たる「CARL ZEISS JENA DDR」製の個体がそのまま西側陣営にまで流されていたワケで、正しく輸出入法に則っていたハズの「CARL ZEISS JENA GDR」刻印の個体数が少ない背景も理解できます。特に1970年代の旧東ドイツ側経済状況からすれば、とても制約を受けていた輸出量だけでは立ちゆかなかったのも当然のことなのかも知れません。

ちなみに東欧圏に流通する個体の刻印はドイツ語表記で「CARL ZEISS JENA DDR (Deutsche Demokratische Republik)」になり、一方欧州向け西側陣営に輸出される個体の刻印が「CARL ZEISS JENA GDR (German Democratic Republic)」とラテン語/英語表記が義務づけられていた次第です。従って制約を受けていたハズの欧州向け輸出品のCarl Zeiss Jena製オールドレンズは「全てGDR刻印」なのが正しいと言えますが、現在の市場流通数を見る限り圧倒的に多いのは「東欧向けのDDR刻印された個体ばかり」であり、辻褄が合っていません。
(ここでは分かり易くするために赤色文字で表しています)

話が反れましたが、前述のRodenstockモデルはその真偽の根拠からどう考えても「mamiya
/sekor 50mm/f2のOEM製品
」と判定を下せますが、肝心な「Rodenstock刻印」と最も重要な「LENS MADE IN JAPAN刻印」の2つが見られない点で「相変わらずミステリー」なままなのです(怖)

なお、今回扱った個体は光学系は4群全てで無色透明ですが、念の為に各群の放射線量を計測すると「第1群前玉0.07μ㏜/h第2群0.07μ㏜/h第3群0.06μ㏜/h第4群後玉0.05μ㏜/h以下」との結果でした。光学硝子レンズが無色透明で放射線量も一般的なオールドレンズとの近似値なので「ランタン材を含有していない」と言えそうです。

但し製造番号で横並びにすると矛盾していて「〜162xxxx 迄と273xxxx 〜 294xxxx は無色透明で放射線量も一般値を示す」のに対し「189xxxx 〜 198xxxx は黄変化していて計測値も上がっていた」ので、製造番号で捉えようとすると新旧で入り乱れてしまい整合性が執れていません(泣)

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はAUTO mamiya/sekor 50mm/f2 (black)《後期型》(M42)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わっています。実は当初バラす前のチェック時点で以下のような問題点を抱えている個体でした。

《当初バラす前のチェック時に気になっていた内容》
距離環の∞刻印の先まで回ってしまい「ft」刻印の処で突き当て停止する。
無限遠合焦はその「ft」刻印の位置で合焦している。
 距離環を回すとツルツルしたトルク感の印象。
最小絞り値f16で絞り羽根が閉じすぎている。

《バラした後に新たに確認できた内容》
白色系グリースが塗布されている
ヘリコイドの駆動域設定をミスっている。

・・こんな感じで気になる点が顕在していましたが、バラしてみると「おそらくすぐ直近の
タイミングでメンテナンスしたのはマニアによる整備
」で、整備会社による作業ではなかったようにみえます。

但しヘリコイドを解体して、合わせてマウント部内部や絞りユニットまでバラせるので、相応のスキルを持つマニアとみています(笑)

↑上の写真はヘリコイドの駆動域を制限する目的で使う「制限キーを締め付け固定する役目の締付ネジ」を3つ並べています。これら3本の締付ネジを全て一箇所の「制限キーの締め付け固定」で使うのですが、よ〜く見ると赤色ラインで区切った処で、左側2本と右側1本で「ネジ頭の外径サイズが違う」のが分かります。右側のブルーの矢印よりもさらに外径サイズが大きいネジ頭なのが左側のグリーンの矢印の2本です。

↑「制限キー」は上の写真のように黄鋼製の「ヘリコイド (メス側)」の下部分に「3本の締付ネジで締め付け固定される (ブルーの矢印)」ワケです。

既にヘリコイド (オス側) がネジ込まれていますが、ヘリコイド (メス側) が回っていくとヘリコイド (オス側) が繰り出されていきます (ヘリコイドオス側=鏡筒)。

その際、上の写真解説のとおり「制限キーにヘリコイドメス側の制限壁が突き当たって無限遠位置最短撮影距離位置 (グリーンの矢印) で突き当て停止する原理」なので、この「制限キーを何処に締め付け固定するのかで無限遠位置が変わってしまう」話になります (もちろん反対側の最短撮影距離位置もそれに合わせて変わる)。

もっと言うなら、内部でこのように「制限キーと制限壁でヘリコイドの駆動域を確定させていて、それがイコール無限遠位置の確定にも繋がっている」設計概念なので、どんなに距離環の指標値側を適切な無限遠位置に合わせようとも「制限キーの位置がズレていれば距離環指標値も必ずズレている」結果にしか到達しません(笑)・・直近で整備したマニアの整備者は、それが理解できていなかったようです (だからちゃんと無限遠位置を合わせたつもりなのに現実のリアルでは∞刻印ではなくft刻印の場所で無限遠合焦してしまっていた)(笑)

当初バラした直後は前述の「黄鋼製の締付ネジ3本を使って制限キーが締め付け固定されていた」ものの、ネジ頭の外径サイズが大きすぎた為に「ヘリコイドメス側の下部分の縁に干渉」してしまうので、それを避けるために無限遠位置をワザと故意にズラしてあった次第です(笑)

つまり上の写真でブルーの矢印で指し示している3本の締付ネジのネジ頭が大きすぎて黄鋼製のヘリコイドメス側に接触して「ヘリコイドが動かなくなってしまう」ので、その接触を避ける為に「距離環の∞刻印から離れた先のft刻印の位置で停止するように固定していた」ので、前述の問題点だったのです(笑)

然し、どう考えても「無限遠合焦するのは∞刻印の位置」でなければ、おかしいですョねぇ〜
???(笑)

そこでいろいろあ〜だこ〜だ調べたところ「ネジの頭の大きさが大きすぎる」締付ネジを使っていたから正しい組み立てができなかっただけでした(笑)

つまり、おそらく直近でメンテナンスした際は、そのバラす前の時点でやはり無限遠位置が
ズレていたのだと思います。それを直そうとバラしたものの、ネジ頭の大きさの違いに気づ
けず直せなかったと言うのが真相なのかも知れませんね(笑)

・・観察と考察」により「原理原則」に照らし合わせれば自ずと原因が見えてきます!(笑)

黄鋼製のヘリコイドメス側が一周回れば最短撮影距離位置側でカツンと突き当て停止し、反対側に回して元に位置まで来ればやはりカツンと音が聞こえて無限遠位置で停止します・・それが道理なので、そのようにならない (途中でヘリコイドメス側が硬くなって止まってしまう) 時点で「何かがおかしい」事になって調べるワケですが、その方法は「ヘリコイドのネジ込み位置をミスったのか???」以外は普通考えられません。それを調べてみて正しい位置でヘリコイドがネジ込まれているとなれば「硬くなって止まってしまう原因はネジ山のせいではなく全く別の問題」になるので、単にそれを「観察と考察」で発見すれば良いだけです(笑)・・ここで因果関係 (ネジ山のせいではない) に気づくのは「原理原則」なので、どんなオールドレンズでもヘリコイド群 (オスメス) を装備しているモデルなら全て同じ原理ですね(笑)

結局、上の写真ブルーの矢印で指し示している3本の締付ネジは「当方で用意したネジ頭が少しだけ小さめの代替ネジ」であり、それを使ってちゃんと正しい組み立て工程を経て微調整し組み上げています (必然的に当初の固定位置とは違う場所で締め付け固定している/ちゃんと正しい適切な場所で固定している)(笑)

このように「何の為にそのネジ種を使っているのか???」と言う要素でちゃんと「原理原則」に従えば、黄鋼製のヘリコイドメス側が干渉して動かなくなってしまうハズがないワケで(笑)、それをそのまま (バラした時の逆手順で) 組み立てようとこだわるからこんな話に陥ってしまいます(笑)

当方が「初めて扱うオールドレンズをバラす時に内部構造も組み立て手順も何一つ知らないまま対処できる」理由は、単にバラす際に「観察と考察」を行い、その時の答えを「原理原則」に照らし合わせて「妥当なのか否か」判定を下せば、自ずとどうしてそうなのか「理由が見えてくる」或いは「その理由に納得できない」ならまだ別の理由が隠れているワケで、さらに「観察と考察」を進めるだけです(笑)

別にサービスマニュアルなど手元に無くても、或いはネット上で分解を説明しているサイトを調べずともちゃんと完全解体できて、且つ内部構造が判明し、合わせて各構成パーツの微調整機能の有無まで捉えられて、一番適切な組み立て手順の再構築が適う次第です(笑)・・何一つ難しい話などありません(笑)「サービスマニュアルが手元に無いのに正しい整備などできるハズがない」などと貶しているアホなヤフオク! の出品者が居ますが(笑)、自分でちゃんと適切な整備をしたことが一度もない人に限ってそう言う批判をします(笑)

そもそも今現在営業している整備会社で、CanonとNikonの認定整備会社以外はサービスマニュアルなど手元にあるハズがなく(笑)、それでいったいどうしてプロの整備者が整備できているのかを考えれば自明の理です(笑)・・オールドレンズには「原理原則」があるので、世界中誰でも整備できるのです(笑)

フィルター枠はどのように固定しているのか、距離環の固定方法は??? 鏡筒はどうやって格納しているのか、絞りユニットの外し方は??? ヘリコイドオスメスの関係性は??? 基台とマウント部との連係はどうやっているのか???・・などなど(笑)

凡そ「原理原則」から捉えるなら、部位別に調べていけば良いだけの話で、その際ちゃんと「観察と考察」を行い「道理を導き出す」からこそ、全ての因果関係が掴め理由が判明するのです・・な〜んにも難しい事は一つもありません (単にちゃんと製品として仕上がっていたオールドレンズをバラしているだけですから)(笑)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無であり、スカッとクリアです。特に最近このモデルは光学系の状態が悪い個体が多く流通しているので、手に入れるにも要注意です(怖)

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑後群側もLED光照射で極薄いクモリが皆無で、前群同様スカッとクリアです。光学系の前後群で大きな瑕疵内容が顕在しない個体もこのモデルでは実は少なめだったりしますからラッキ〜です!(涙)

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:15点、目立つ点キズ:11点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:16点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大3mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。

↑6枚の絞り羽根もキレイになりA/M切替スイッチ、或いは絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。当初バラす前のチェック時点で「最小絞り値側が閉じすぎていた」のもマウント部内部のパーツをちゃんと微調整して改善し正しく直してあります。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
HAKUBA製MCレンズガード (新品)
本体『AUTO mamiya/sekor 50mm/f2 (black)《後期型》(M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

多くの『富岡光学製OEMモデル』でピントの合焦時は、まだかまだかと緩やかに合いますがこのモデルのピントのピーク/山は「瞬時にスパッと合う」クセがあるので、特に距離環を回す時のトルクはそれを見越して軽めに仕上げてあります。ピントが合う瞬間は掴んでいる指の腹に極僅かにチカラを伝えるだけでスパッと合いますから、とても使い易い操作性に仕上がっています。

いわゆる「白色系グリース」の♯30番や♯10番などを塗布した「ツルツルしたトルク感の印象」とは全く次元が異なり、当方が仕上げる距離環の操作性は、ヌメヌメッとしたシットリ感漂う軽めのトルク感で、掴んでいる指の腹に極僅かにチカラを伝えるだけでピント面の前後微動が適うトルクに仕上げられており、抜群の操作性を実現しています(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置から適正に変更/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑いつもどおり当方所有のマウントアダプタではありますが、ちゃんと事前に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 上の写真は中国製のK&F CONCEPT製「M42 → SONY Eマウントアダプタ」に装着し、合わせてマウントアダプタ内側のピン押し底面を「凹面」にセットした状態で全く問題がない正常動作である事を確認しています。

赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合にそれが干渉しないよう、約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後までネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる)。

↑同様今度は日本製のRayqual製「M42 → SαE マウントアダプタ」に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合に、それが干渉しないよう約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後までネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる)。

↑当レンズによる最短撮影距離50cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮影しました。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。もう絞り羽根が閉じきっている状況なので、極僅かに「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。