◎ OLYMPUS (オリンパス) OM-SYSTEM G.ZUIKO AUTO-S 55mm/f1.2《前期型》(OM)
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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません
今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、OLYMPUS製
標準レンズ・・・・、
『OM-SYSTEM G.ZUIKO AUTO-S 55mm/f1.2《前期型》(OM)』です。
1973年にOLYMPUSから発売されたフィルムカメラ「OM-1」用交換レンズ群の中の標準レンズとして登場したモデル『OM-SYSTEM G,ZUIKO AUTO-S 55mm/f1.2《前期型》(OM)』です。
このフィルムカメラ「OM-1」の取扱説明書を見るとオプション交換レンズ群の一覧に今回のモデルが既に記載されています。
従って「OM-1」発売のタイミングに合わせて用意されていたことが分かります。
今回扱う個体はフィルター枠や絞り環などに「銀枠飾り環」を有する「前期型」ですが、この後に「後期型」が登場し銀枠飾り環が省かれています。さらにその後にはマルチコーティング化が進みモデル銘に「MC」が附随するようになりました (左写真は後期型)。
他の標準レンズは全てフィルター枠径が⌀49mmですが、この55mm/
f1.2だけが大口径なので⌀55mmのフィルター枠径を採用しています。
光学系は6群7枚の拡張ウルトロン型構成で、格下の開放f値「f1.4」と
同じ構成になりますが、開放f値が「f1.2」と明るい分、必然的により
大口径の光学設計を採っており、例えば第1群 (前玉) の外径サイズは「f1.4:⌀37.98mm」に対し「f1.2:⌀45.78mm」と巨大ですし、後に登場する「後期型」の焦点距離50mmでさえも「⌀42.49mm」ですから当時としてはもちろんOLYMPUS内のオプション交換レンズ群の中に於いても大口径モデルだったと考えられます。
さらに右構成図の 部分で示していますが、第1群 (前玉) と第4群貼り合わせレンズの一部の光学硝子材に「酸化トリウム」を含有させた、俗に言う「アトムレンズ (放射線レンズ)」で、屈折率を最大20%台まで向上させる目的で使っていたと考えられます。
しかし経年の化学反応により光学硝子材に「ブラウニング現象」が発生し「黄変化」する事から、1970年代に入ると多くの光学メーカーが「ランタン材」へと含有する成分を変更しています。「ランタン材」の屈折率向上は最大でも10%台なので、その際同時にコーティング層をマルチコーティング化させる事で、諸収差の改善と共に解像度の向上を実現することで「酸化トリウム」含有時のスペック更新を狙っていたと考えられます。
ここがポイントで、実は「酸化トリウム」の光学硝子材への含有はこの時点で始まった事ではなく、既に1950年代から世界各地の光学メーカーで採用され続けていました。ところが前述の「黄変化」問題から今回のモデルが登場する1973年時点では、どちらかと言うと「ランタン材への切り替え時期」に入っており、このタイミングで「敢えて酸化トリウムを含有させてきた」と言えます。
つまり今回のモデルの光学設計、ひいてはその吐き出す描写性を評価する時、この点を勘案しないと適切な判定に至らないと当方は考えています (単に写真の実測値やチャートの解像具合などを比較してしまうだけの判定では当時の設計者がかわいそう)。
年代として1973年というタイミングは既にマルチコーティング化する技術革新が進んでおり実際この後の「後期型」モデルでは最後にMCタイプが登場しています。逆に言えばワザワザ故意に「敢えてモノコーティングのままで光学設計してきた」とも考えられる年代なのが、1973年という発売の時期です。
何を言いたいのか?
光学硝子材に当時「ランタン材に更新」が進んでいた「酸化トリウム」を敢えて含有させる事で、且つモノコーティングのままの光学設計を採る事で、使える占有スペースを最大限に有効活用できる前提条件が整うのであればマルチコーティング化による描写性とは「異なる写りを目指していたモデル」なのではないかと、当方は考えている次第です。
逆に言うなら、当時の市場に対してOLYMPUSの一つの提案としてこのモデルの描写性は位置付けられていたのかも知れません。それ故、市場の反応を見極めた上で最終的に (他社同様) マルチコーティング化へと舵切りを変えたのかも知れません。
このように当時の時代背景を勘案する事で「むしろランタン材へと更新していた最中に酸化 トリウムを使ったその意図」を考察するべきであり、同時に直近の技術革新による業界動向も踏まえてこのモデルのポジショニングを考えると「OLYMPUSが狙っていた事」が垣間見えてくるような気がします。
従って発売の年代というのも勘案しなければ、オールドレンズのスペックだけで判定してしまうにはあまりにもかわいそうだと考えますね(笑)
↑上の写真 (2枚) は、左側が当初バラした直後の第1群 (前玉) と第4群貼り合わせレンズであり前述光学系構成図の 部分に当たります。一方右側は、UV光の照射を行い光学硝子材に経年で生じてしまった「黄変化」を可能な限り低減させた状態を撮影しています。完全な無色の状態まで改善できていませんが「ほぼ半減程度」と捉えて頂ければと思います。
上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています。
◉ 一段目
左端からシャボン玉ボケが破綻して滲み円形ボケへと溶けながら変化していく様をピックアップしました。そもそも光学系が6群7枚の拡張ウルトロン型構成なので、非点収差の影響が多く出て口径食もあり真円のシャボン玉ボケ表出が難しいと考えられます。それでもなお明確なエッジを可能な限り維持させて円形ボケを表出できる能力があるのが、逆にたいしたものだと感心させられます。
特に後に登場した焦点距離:50mmモデルの円形ボケと比較して頂ければ「明らかに写り方が違う」のが掴めると思います。ここにこのモデルの狙いの一つが隠されているように感じますね。従ってモノコーティングだからとバカにすると(笑)、それは実はOLYMPUS設計者の意図を汲み取れていない話に繋がると思います。
◉ 二段目
さらに円形ボケが破綻して今度は乱れた (汚い) 滲み方を伴う「収差ボケ」をピックアップしてみました。これらの乱れ方を見ても50mmモデルとは明らかに描写特性が異なっており「むしろ55mmのほうが乱れ方が大人しい」と言えます。
マルチコーティング化に伴い収差改善や解像度向上を果たせていますが、実際の描写性を見ると実はより乱れ方が明確化されている (強調されてしまう) と言う相反する悪影響にも繋がっていると言えるので、その意味で「モノコーティングにこだわった理由」を何となく感じ取る事ができる要素ではないかと、この「収差ボケ」を考えています。
◉ 三段目
させらピント面の表現性としてピックアップしましたが、実はここでも50mmモデルとの大きな相違点が現れており、ピント面を「より自然に強調させる能力」はむしろこちらの55mmモデルのほうが高いのではないかとさえ感じます。50mmモデルのほうは逆にピント面がマイルド感へと突き進むので落ち着いた印象の (大人しい印象の) イメージになります。
◉ 四段目
そして50mmモデルとの大きな相違がこの段での解説です。50mmモデルに対してさらに広いダイナミックレンジを保持しており、明暗部の耐性は相当なポテンシャルを持っていると考えられます。特に暗部で比較すると50mmモデルでは潰れてしまっている部分が55mmでは微かに解像しており、ここにモノコーティングとしての「良さ」がある意味如実に表れているのではないかと当方は考えています。
つまり「何でもかんでもマルチコーティング化が正義」みたいな感覚でオールドレンズを捉えている人には、絶対に理解できない一種「オールドレンズライクな味わい」とでも言い替えられる要素だと考えます。
何を置いてもこのように暗部が潰れる瞬間の境界部分をちゃんと写し込めると言うのは、実はそれほど簡単な光学設計の話ではないのではないかと当方は受け取っていますから、その意味でこのモデルの光学設計者の意図がここにも見出せると考えています。
◉ 五段目
左端の実写で一目瞭然です。この樹木の木肌の感触や背景の壁面など、それらのグラデーションを余すことなく表現できている部分が「酸化トリウム」にこだわった理由であり、且つモノコーティングでなければ成し得ない階調表現だったのではないでしょうか。当方にはそのように見えてしまいますね。
これら実写の相違から「焦点距離:55mm/50mm」の2つのモデルの違いは単なる「前期型/後期型」の別だけに留まらない「表現性の相違」として捉えた方が分かり易いと考えます (そのくらい写り方が違う)。
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。
実はこのモデルを完全解体できる整備者はそれほど多くないと考えています。その理由は「チカラの伝達経路」に隠されたトラップの概念が事前に理解できるかどうかであり、もちろん例え初めて扱う場合でも解体していく中でその概念に気づけるのかどうかがポイントになります。
その概念の根本は「どうやって使えるスペースを確保するか」と言う設計者の目でこの構造を捉えられるか否かにかかっていると言っても良いと思います。つまりは光学系の設計にどれだけ注意深く「観察と考察」ができる整備者なのか、そして同時に「原理原則」をもちろん熟知していなければこのモデルは解体しても適切に組み上げることすらできません。
つまり「高難度モデル」の一つです・・。
↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒 (ヘリコイド:オス側) です。一般的なオールドレンズと何ら変わらないように見えますが、オリンパス製オールドレンズの絞りユニットはほぼ全ての制御系パーツが密集した設計なので恐れ入ってしまいます。
絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。
◉ 位置決めキー
「位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー
◉ 開閉キー
「開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー
◉ 位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)
◉ 開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環
↑こちらは絞り羽根が組み付けられる絞りユニットのベース環です。ここに様々な制御系パーツが所狭しとビッシリ組み付けられます。
↑先ずは「開閉環」と言う絞り羽根を開いたり閉じたりしている環 (リング/輪っか) を組み付けてから8枚の絞り羽根をセットします。右横に並べているのはメクラ蓋ですが、オリンパス製オールドレンズのほとんどがこのメクラ蓋で塞ぐことによって初めて絞り羽根が固定されるので、意外とこのメクラ蓋の「平滑性」が重要になります (裏面側の話)。
↑完成した絞りユニットを鏡筒最深部に組み込みます。こんな感じで様々な制御系パーツが密集します。
↑さらに絞り環との連係環 (制御環) をセットします。結局オリンパス製オールドレンズの鏡筒内部はご覧のように4層構造を採っており、第1階層が「絞り羽根」第2階層「制御系パーツ」第3階層「絞り環連係環」そして最後に第4階層としてこの上に光学系前群が組み込まれます (赤色矢印)。そのスペース面での猶予は僅か5mm程しか無く、そこに絞り羽根〜制御系のほぼ全てを集めてしまった独特な設計です。この独特な設計をほぼ全てのモデルに踏襲しているからこそ、とてもコンパクトな筐体サイズを実現しており、それはもちろんフィルムカメラのボディサイズとのマッチングも考慮してのことですね。
↑こちらは距離環やマウント部が組み付けられる基台です。この基台もオリンパス製オールドレンズの特徴ですが、どのモデルもみんな非常に薄い厚み (高さ) の設計ですから、モデルによっては鏡筒の繰り出し量が相当なレベルになります。つまりそれだけヘリコイドネジ山の切削精度が要求されるワケで、既にこの当時から相当な自信があったことが窺えますね。
↑最短撮影距離45cmなので前述のとおり基台の厚みからすれば相当な繰り出し量を持つヘリコイド (メス側) です。このモデルはマウント部を除いて全てアルミ材削り出しパーツばかりですから (光学系の締め付け環まで含む) パーツの切削レベルも必然的に要求度が高くなります。
ヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。
↑完成している鏡筒 (ヘリコイド:オス側) をやはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で7箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。
上の写真で鏡筒 (ヘリコイド:オス側) の右端に「溝」が切り込まれていますが (反対側にももう一つあり) この「溝」部分を前述の「直進キー」がスライドして行ったり来たりします (結果鏡筒が繰り出されたり収納されたりしている)。つまりヘリコイド (オスメス) にはネジ山が刻まれているので当然ながら回転させながらネジ込んでいくワケですが、然し「直進キー」はこの「溝」部分に刺さらなければイケマセン。さらにネジ込み位置は7箇所あり、無限遠位置の適合性ももちろん必要です。
これが一般的なオールドレンズと同じ「L字型直進キー」ならば問題無いのですが (ヘリコイド:オス側に刺さるのはL字の長く伸びている板状部分だから)、このモデルは「コの字型」をしているので厄介なワケです。しかも「直進キー」が刺さった後の「トルク調整」が必須ですから (距離環を回した時にトルクムラが残っては拙い) 調整したいのですが、一般的な組み立て手順で考えてかかるとこの後の工程で問題が出てきます。
↑鏡筒 (ヘリコイド:オス側) をネジ込んだ後に内部を撮影しました。ご覧のように「直進キー」が鏡筒 (ヘリコイド:オス側) の「溝」にささっておりちゃんとコの字型を避けています。
↑マウント側にはフィルムカメラボディ側と繋がる連係環が2本組み込まれます。それぞれ「絞り値伝達用アーム」と絞り羽根を勢いよく開閉する「開閉アーム」が飛び出てきます。
↑ご覧のように光学系後群側と2本の連係環との間にはスペース (隙間) がほとんど無い状態になります (赤色矢印)。さらに問題なのがグリーンの矢印で指し示した2本のアームで2本共に「くの字型」に曲がったカタチをしています (実際に用意されている隙間は僅か3mm程度の空間しかない)。
このアームの形状から後から光学系後群をネジ込めないことになり一般的なオールドレンズと同じ手順で組み立てることができません。もっと言えば、この2本の連係環は当初バラす時も外れません (固定用ネジを全て外してもそもそも環が抜けない)。と言うのも光学系後群が横から見た時に後玉側方向に向かってすぼまったカタチをしているからです (ピラミッド状)。
従って光学系後群は中から入れる (上の写真では下から入れる) ことになりますが、すると今度は鏡筒 (ヘリコイド:オス側) と「直進キー」との噛み合わせが全く見えません。「直進キー」が一般的な「L字型」ならば問題ありませんが「コの字型」なので避ける必要があるのですが、その時に見ることができないのです。
さらにもっと言えば、鏡筒の絞りユニットから飛び出ているやはり2本のアームと最終的に「2本の連係環」が噛み合わなければイケマセンから上の写真の工程は以下の全てを一度で仕上げなければ完遂しないことになります。
① 直進キーをヘリコイド (オス側) に差し込む
② 絞りユニットから出ている2本のアームを噛み合わせる
③ 無限遠位置が適切である
④ 直進キーのトルクムラ調整を済ませる
③の無限遠位置に関しては後から微調整は可能ですが、あくまでも微調整の範囲内なので適切な位置でヘリコイドが入っていなければ意味がありません。またトルクムラの調整は後から一切できない設計なので、この工程でキッチリトルクムラを解消しておかなければどうにもなりません (④)。
ここの工程、或いは当初バラす際の解体手順などが分かりにくいので完全解体できない人が居るみたいですね(笑)「原理原則」に則って考察すれば自ずと答えは出てくると言うものです。
↑こちらはマウント部内部を撮影していますが全てに当方による「磨き研磨」を終わらせた状態で撮影しています。
↑外していた構成パーツも個別に「磨き研磨」を施してセットします。オリンパス製オールドレンズはほぼ全てのモデルで同じ構造のマウント部を採っています。単純にマウントのリリースボタンと絞り込みボタンの構造を組み込めば良いだけです。
↑ようやく光学系前群を組み込みます。この後は無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板、そして肝心な絞り環をセットすれば完成です。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑当時単焦点のオリンパス製オールドレンズとしては大型の部類に入るズッシリと重みを感じる『OM-SYSTEM G.ZUIKO AUTO-S 55mm/f1.2《前期型》(OM)』です。このモデルの魅力は何と言っても開放で撮影した時のフワッとした印象の画造りです。ピント面は決してソフトフォーカスに堕ちるワケではなくちゃんと解像しているのですが、画全体の印象が「ふわっ」なのです。これが好きな人には病み付きになるモデルだと考えます (他社光学メーカーの同クラスの中で一番ふわっと感じるかも)。
なお、出品個体には「イ6Y」の記載がラバー製ローレット (滑り止め) 裏側にあり、1976年11月にオリンパス光学工業伊那事業所での製産個体と推測できます。
↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層の経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。
ちなみに「驚異的にスカッとクリアな光学系」と言うキャッチフレーズは、この55mmモデルも別件出品中の50mmモデル同様です(笑)
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑光学系後群側も透明度が高い状態を維持しており、LED光照射で極薄いクモリが皆無です。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:10点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:16点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い4ミリ長が数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内の透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。
↑8枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根か閉じる際は「完璧に正八角形を維持」したまま閉じていきます。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡って完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せます。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
↑完璧なオーバーホールが終わりました。別件で出品している50mmモデルのほうとはその描写性に於いて異なる方向性を狙った光学設計を採っていると当方では捉えているので、このモデルはこのモデルでまた一つの個性を表していると考えます。
特に今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼にマウントアダプタ経由装着して使われる方には、OLYMPUS製標準レンズの中で「最もオールドレンズライクな表現性を愉しめるモデル」と評価していますね。
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑オリジナルの樹脂製スナップ式前キャップと樹脂製後キャップが附属します。距離環のラバー製ローレット (滑り止め) は貼り付けてありますが、経年劣化進行によりだいぶ伸びており緩みが生じています (現状貼り付けで凌いでいる状態)。
↑当レンズによる最短撮影距離45cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
ピンボケに見えますが、ちゃんと手前側ヘッドライトの球にピントを合わせています。
なお、この実写はミニスタジオで撮影していますが上方と右側方向からライティングしています。その関係でフードを装着していない為に絞り値の設定によりハレ切りが不完全なまま撮影しています。一応手を翳していますがハレの影響から一部にコントラスト低下が出てしまうことがあります。しかし簡易検査具による光学系の検査を実施しており光軸確認はもちろん偏心まで含め適正/正常です。
↑さらに回してf値「f2.8」で撮っています。急にピント面の鋭さが向上してきます。