◎ Rodenstock München (ローデンストック) Rodenstock-Heligon 35mm/f2.8 A (L39)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、旧西ドイツは
Rodenstock製広角レンズ・・・・、
Rodenstock-Heligon 35mm/f2.8 (L39)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた12年前からの累計で、当時の旧西ドイツはRodenstock製広角レンズ「L39マウント」のオールドレンズは今回の扱いが初めてです。

逆に言えば、そもそもRodestock製の広角レンズの中で「L39マウント規格品」は今回のこのモデルしか造られていないので、もぉ〜それだけで手が震えそうです・・(笑)

まずは、このような大変希少価値の高いオールドレンズのオーバーホール/修理を賜り、ご依頼者様に感謝を申し上げます・・ありがとう御座います!(涙)

・・ただただありがたい想いで心が熱くなります(涙) ありがとう御座います!

  ●               

Rodenstock (ローデンストック) はドイツの老舗光学メーカーの一つで、四世代にわたる家族経営光学メーカーです。創始者たる「Josef Rodenstock (ヨーゼフ・ローデンシュトック)」により、ドイツのバイエルン州ヴュルツブルク市にて1877年に最初の精密機械工房を創設しました。1883年にミュンヘンに移転してからは、眼鏡や光学レンズの設計開発に勤しみ、順調に販売数も増大し工場の拡張と共に従業員数も増えていきます。

1900年代に入ると眼鏡のみならず、光学硝子レンズ向け溶融解炉設備まで整え、何十万もの写真用光学レンズの製産に漕ぎ着けています。第一次世界大戦が終結した後1919年には息子の「Christian Alexander Rodenstock (クリスチャン・アレクサンダー・ローデンストック)」氏が経営を引き継ぎ、後の第二次世界大戦〜大恐慌を乗り切りました。しかし戦時中のナチス政府との関わりや、ドイツ陸軍向け光学製品・軍需品の製産、或いは敗戦直前の囚人による強制労働問題などから戦後はなかなか会社経営に集中できていなかったようです (戦犯指定は戦後の早い時期に取り下げられている)。

さらに1953年には三代目「Rolf Rodenstock (ロルフ・ローデンストック)」氏に会社経営が引き継がれ、世界的に活躍する光学製品企業の一員としてその名を広めています (右写真は1982年撮影)。なお旧西ドイツ時代を経て1970年代後半〜1980年代の商工会議所会長職歴任など、戦後ドイツの著名人リストに名を連ねています。

すると、特に戦後の大変長い期間に渡る様々な裁判や戦後処理など
まで含め考察すると、タイミング的にロルフ・ローデンストック氏が会社を引き継いだ1953年以降「1954年」が今回扱ったモデルの登場時期ではないかとの考察に至ります。それは1960年代に入るとすぐに日本製光学製品の台頭に耐えられなくなり、メガネとプロ向け
光学製品に集約していく流れで舵を切った背景からも、今回扱ったモデルの登場時期としてその時間的猶予を見出せるのは「1954年1960年代まで」が濃厚になるものの、合わせてこのモデルの製造番号符番から捉えれば「自ずと1954年時点の符番が存在している」事からも推測が適いそうです。

  ●               




↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
円形ボケや背景ボケなどの特徴を見てみたいといろいろ検索しましたが、そのボケ味よりも発色性とコントラストの関係性のほうが気になってしまいます。大変元気良いクッキリハッキリ的な発色性を示すものの、不思議にも「それら発色性は決して誇張的に偏らず、鮮やかなのに違和感がなく、色飽和すらしにくい写り」にアッと言う間に釘付けです!(驚)

一番左の写真だけ見てしまえば、いわゆるコッテリ系かとの印象に墜ちますが、ところがその次からの3枚を観てしまったらもぉ〜戻れません(涙) 下手したら、フランスの印象派代表たる画家のクロード・モネ「睡蓮」の如く、まるで溜息混じりにしかならないような写真を何枚も
残せてしまいそうです(涙)

特に右側2枚の写真を観ると「決して色飽和していない赤色」に「数が少ないのに記憶に残る紫色」など、薄いピンク色も含めてグリーンの中に散りばめられたそれら鮮やかな色合い・・決して煩くないのです!(驚)

二段目
この段では僅かに検索でヒットした収差ボケの特徴的な実写をピックアップしました。これらを観る限り、決してコッテリ系で括れません(涙) 被写体の材質感や素材感をキッチリ写し込む質感表現能力の高さはハンパありません(怖) 合わせて背景ボケの滲み方もクセが無く、まるで当方の琴線に触れまくりです(笑)

最後の右端だけは香港が懐かしくてピックアップしてしまいましたが(笑)、大陸側から香港島へ向かうスターフェリーの写真です・・しかし香港でこんな鮮やかでキレイな空の色は、2年半住んでいましたが一度も見た記憶がありません (一年中どんより湿気を多分に含んだ曇り空)。

三段目
白黒写真になると途端に趣が変わります!(驚) どの実写を観ても「総天然色のカラー成分を
256階調しかないグレースケールの世界に素晴らしく振り分けられている
」としか言いようがないほどにグラデーションの美しい白黒写真です(驚) もしかしたら白黒写真にはこのオールドレンズを先ず持ち歩くべきなのかも知れません。なかなか白黒写真で立体感に感じ入るのは難しいのですが、街中写真などまるで凄いです。

四段目
この段も当方の琴線にビンビン来てしまいましたが(笑)、よく「空気まで撮れる」とライカ製オールドレンズなどで指摘されますが、これらのピックアップ写真を観ると「暗がりを立体的に撮れる」と、まさに黒潰れ部分にまで「別の表現性」があるみたく感じ取れてしまうほどに「暗部が素晴らしすぎ」と、普段あまり感動しない要素に感動しまくりです!(笑)

逆に言うなら、それら暗部の表現性に感心するのは、詰まる処「その黒潰れ直前までは階調を以て粘り強く耐えていた/表現できていた」からこそとも考えられ、そこに光源が含まれていてもちゃんと場の雰囲気を残せている事は「階調表現が広くてとても素直」ではないかと、光学知識ドシロウトながら感銘を受けている次第です(笑)

おそらくこのモデルの写り具合は、コトバで書き連ねるモノではなく「ただただひたすらに感じ入るだけ」みたいな表現性なのかも知れませんが・・ハッキリ言ってそのような要素には
当方はまるで弱いです(笑) このモデル・・マジッで気に入りました

光学系はネット上を散々探索しまくっても (何しろ情報が少ないので) 右の構成図の如く典型的な4群6枚ダブルガウス型構成しか発見できません(泣)

今回完全解体してみると、確かに4群6枚のダブルガウス型構成ですが、そもそもネット上に載っているこれら構成図はまるで別モノです
・・何故なら「前玉よりも後玉のほうがサイズが大きい」ので、右の構成図のような前後配分に至りません。

おそらくこの構成図は同じRodestockの「Heligon 50mm/f1.9」辺りの構成図ではないかとみています・・右構成図はネット上で発見できた構成図から当方がトレースしたものです。

一方こちらが今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い、逐一全ての群の光学硝子レンズを計測したトレース図です。各群の間の間隔や絞りユニットの前後空間までちゃんと計測しているので、ほぼこの構成図に近くなると思います。

特に第1群前玉は何回計っても「緩やかな曲率の凸メニスカス」に
しか計測できませんでした (ほんの僅かに中心部の厚みが多い)。
また後玉はご覧のような平凸レンズでした (中心部に凹みなし)。

↑上の写真は今回扱ったオールドレンズから撮りだした光学系で、当初バラした直後に「溶剤を使って清掃し一部の反射防止黒色塗料を落としたところ」です。本当は「反射防止黒色塗料」の一部を溶かして落とす前に撮影すれば良かったのですが、撮った写真が分かりづらく当方の写真スキルがド下手なので上の状態まで処置してから撮影しています。

左側の第1群と第2群が前玉方向に向いており、右側第3群と第4群が後玉方向に向いた並び方です (つまり写真上方向がオールドレンズに格納されている時の外向き方向)。

↑同様ひっくり返して今度は裏側を撮影しています。写真上方向が「内側向き」になるので、左側の第1群と第2群は「絞りユニット側の方向が写真上に向いている」ワケで、右側の第3群と第4群も同じ絞りユニット側方向を向いています・・つまり第4群の後玉は下面がオールドレンズに格納した時外側に出てくるほうになります。

当方がネット上の掲載図と異なる光学系構成図をこのブログに載せると「公然と平気でウソを拡散している」と某有名処のコメント欄やSNSで誹謗中傷の嵐らしいので(笑)、このようにちゃんと「証拠写真」を載せないとイケナイみたいです(笑)

後で解説しますが、実は今回の個体は当初バラす前の実写チェック時点で「ピント面の鋭さってこんなもん???」的な感想を持ったワケですが、バラしてみると「光学系内の各群に厚塗りされていた反射防止黒色塗料のせいで光路長が狂っていた」ようで、拙い場所の「反射防止黒色塗料」を溶剤で溶かして除去してしまいました (それが上の写真)。

しかし現実には、この後の組み立て工程で再びピント面の鋭さが足りないように見えてしまいさらに細かく調査し「光学系内のいったい何処の抵抗/負荷/摩擦、或いは干渉が光路長に影響しているのか???」を掴んでいます (従って再び溶剤で落としている)(涙)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。ご覧のように完全解体してみれば、内部の構成パーツ点数は少なめですが、実は構造面/設計概念は相当難しく、プラスして組み立て手順の再構築も必須なのが判明し、合わせて「L39マウント規格」ともなれば、必然的に「距離計連動ヘリコイド装備」なので、ヘリコイド駆動方式の「繰り出しの時に鏡筒は格納し、格納の時に繰り出す逆方向の駆動」を理解している必要があります (距離計連動ヘリコイドの内側を見た時にそのように見える動き方)(笑)

後で解説しますが、それをミスると「距離環の固定位置がズレてしまう」次第です(笑)

《当初バラす前のチェック時に気になっていた内容》
距離環を回すトルクは充分に軽い (ツルツル感にまでは至っていないように思う)。
実写確認するとピント面の鋭さ感がネットの実写と比較して足りない気がする。
 絞り環のクリック感が硬めの印象。
無限遠位置は1目盛半のオーバーインフ。

《バラした後に新たに確認できた内容》
白色系グリースがヘリコイドのほうに塗られている。
距離計連動ヘリコイドは黄褐色系グリースを使っている。
光学系内の光路長を狂わす場所に反射防止黒色塗料が厚塗りされている。
直進キー環締付固定ネジ4本全てがユルユルのまま (締めると距離環停止する硬さに変化)。

・・とこんな感じです。 無限遠位置は1目盛半のオーバーインフは、特にライカ判「L39マウント規格品」の場合に調べると、一般的に概ね1目盛〜1目盛半辺りのオーバーインフが集中的に多い印象なので、今回の個体の設定も適正値の範疇です (当然ながら焦点距離によっても変わりますが)。

また 直進キー環締付固定ネジ4本全てがユルユルのまま (締めると距離環停止する硬さに変化)は、どう考えてもメーカーの設計として「締付ネジを締め付けずに緩いままに済ませるのは設計面からして考えられない」と指摘でき、おそらく過去メンテナンス時の不適切な整備に起因すると推測されます。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。今回扱ったこのモデルは「筐体外装含めた構成パーツの全てが黄鋼製と真鍮製/ブラス製の集合体」です (アルミ合金材のパーツは一つもなし)(泣)

今回のモデルで使っている絞り羽根は全部で10枚ですが「両面フッ素加工が施された厚みのある大変シッカリした設計の絞り羽根」として造っており、さらにプレッシングで絞り羽根の表裏面に打ち込まれている「金属製のキー (円筒) も相当シッカリしたプレッシングをしている」次第で、まるでライカ製オールドレンズを扱っているような印象でした!(驚)

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている

↑ところが問題がありました!(涙)・・上の写真は一つ前と同じ鏡筒を前玉側方向から撮影していますが、写真自体は内部が丸見えになるよう「真上から撮っている」状態です。

全部で「絞り羽根の位置決めキーが入る穴が10個空いている」ワケですが、その中の4個で赤色矢印で指し示した穴が「経年で酸化/腐食/錆びてている状態」です(涙)

絞り羽根は単にこれらの穴に刺さっているだけ (絞り羽根の位置決めキーが刺さっている) なので、一般的なのオールドレンズは「ひっくり返せばパラパラと絞り羽根が落ちてくる」ワケですが、赤色矢印で指し示した箇所に刺さっている絞り羽根は全く落下しません!(汗)

作業を進めて取り敢えず8枚を外した後にこれら外れない4枚を外そうにもビクともせず(泣)、仕方なく「加熱処置」しましたが引っかかっています(驚) あまりいい調子になって「加熱処置」を何回も実施すると、下手すれば「プレッシングされているキーの脱落 (撃ち込まれている穴が熱で広がり絞り羽根から外れてしまう)」の懸念もあるので、ほどほどに、しかし確実に取り外した次第です。

上の写真のとおり穴の周囲が既に錆びておりどうにもなりません。合わせて取り外した絞り羽根の「位置決めキー」も「見ると真っ赤に錆びている」状況です(涙)

サビが「位置決めキー」の根元部分で広がっているようにも見えるので、今後の将来を見据えて「それら4本の位置決めキーを守る処置」を今回のオーバーホール作業では執る事に決めました(泣)

このように「絞り羽根の酸化/腐食/錆び」は見てくれの良し悪しではなく「プレッシングされているキー脱落」が最も怖いので、それを防ぎ可能な限り「製品寿命の延命」を狙うが為に「絞り羽根の清掃」は頻繁に行うべきなのです!

当方はこのブログで執拗に絞り羽根についてちゃんと清掃するよう述べていますが、一にも二にも「キーが外れたら絞り羽根は正しく動かなくなりキレイなボケ味が写らなくなる」ワケで下手すれば絞り羽根が一枚二枚と常に内側に飛び出ている状態に陥ったりします(涙)

然しそのように述べると多くの方々が「では絞り羽根の油染みを気にかけるようにします」と仰いますが、例えばまさに今回の個体が良い例であり「当初バラす前の時点でも絞り羽根には油じみの痕跡すら一切無かったのに真っ赤に錆びている」ワケで(涙)、残念ながら油染みが視認できたらその時に整備すれば良い・・との概念が、そもそも間違っているように考えます。

・・注意すべきはサビであり絞り羽根を凝視して確認するべきで油染みは二の次の話!

例えば冬の時期に於ける「結露」でも、絞り羽根が油染みしていなくても「既に僅かな油成分が附着していれば界面原理から水分は引き留められてしまう」事から、現実的な絞り羽根表面の油染みだけを注意していても「赤サビが生じる環境を逃していることになる」点に留意が
必要です(怖)・・詰まる処、なかなか厄介な部位であるだけに絞り羽根には相応に気にかけ続ける必要があるのかも知れませんね(涙)

↑上の写真は、冒頭で載せた光学系の写真と同じですが、オーバーホール工程の中で冒頭の写真の状態から「さらに反射防止黒色塗料を除去した」次第です。

左から光学系の第1群前玉〜右端の第4群後玉の順です。これらについて赤色矢印で指し示している箇所に塗られていた「反射防止黒色塗料」をさらに溶剤で除去しました。これら赤色矢印で指し示した箇所の「反射防止黒色塗料」は、その全てが「光路長を狂わせる要因の一つになっていた」のがだいぶ後で判明したので、処置した次第です・・もぅ何度も組み直ししつつピント面の鋭さを確認した後に上の写真を撮っています(涙)

光学系の各群の光学硝子レンズが重なり合って4群6枚のダブルガウス型構成ですから、重なり合う方向「つまり直進方向」での厚塗りした「反射防止黒色塗料」の塗膜の厚み分が「光路長を狂わせる要因」だからです。

その一方で、例えばグリーンの矢印で指し示した箇所は「塗布されていた反射防止黒色塗料を溶剤で溶かして除去しても黒色のメッキ加工が現れた」次第で、要はちゃんと製産時点から黒色メッキ加工を施してあった事が判明します。

・・何を言いたいのか???

つまり、これら赤色矢印で指し示した箇所は、仮に「反射防止黒色塗料」を着色しても「互いに重なり合ってしまうので意味が無くなる」ワケで、「それどころか着色した塗料の厚み分がそのまま光路長を狂わせる要因にしかなっていない」話になります(泣)

↑再びひっくり返して裏側に着色されていた「反射防止黒色塗料」の箇所を赤色矢印で指し示しています・・ほとんどの場合で「光学系内の直進方向の位置」なので「光路長に影響する」次第です。

なおグリーンの矢印で指し示した箇所は当初バラした直後には「反射防止黒色塗料」が塗られていましたが、このモデルの設計は「平滑処理」が必要な箇所なので、塗料を溶剤で溶かして剥がし「平滑処理」を施しました。

・・理由は、絞りユニット内の開閉環がここに接触して回転するからです!

当初バラし始めた時に、この第2群だけがすぐに回して外せたので (他はカニ目レンチなどが必要な硬さで締め付けられていた)、明らかに締付が足りていなかったハズです (つまりここも光路長が極僅かに狂っていた)(泣)

結局全てを剥がしてから必要箇所のみ当方にて「再着色」していますが、厚塗りは一切していません(笑)

↑10枚の絞り羽根が刺さって絞りユニットが完成したところですが、実はこの状態ではまだ「開閉環」が固定されていないので、このままひっくり返すと絞り羽根がパラパラと散けてしまいます(泣)

ここでグリーンの矢印で指し示している箇所が「開閉環の平滑面」であり、要はこのモデルの設計上は「光学系前群格納筒の底面でこの開閉環を固定している」ワケで、それ故前述の光学系第2群の平滑面を「平滑処置」した次第です・・もちろんこちらの「開閉環も平滑処置を施してある」次第です (互いに接触するから)。

すると当初バラす前の時点では、厚塗りしていた「反射防止黒色塗料」の塗膜の厚さ分で光学系第2群の締付が足りていなかったのが納得と言うお話です(笑)

↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。上の写真上方向が前玉側の向きになります。すると鏡筒両サイドに「スリット/切り欠き」が備わり、ここで絞り環と連結して設定絞り値が伝達される原理です (赤色矢印)。

またグリーンの矢印で指し示した箇所も当初バラした直後は「反射防止黒色塗料」が着色されていましたが、ここも「絞り環用ベース環が接触する箇所」なので、正しくは「平滑処置」です (もぅ既に磨き研磨して処置してある)(泣)

なお、上のほうの赤色矢印が「丸い穴」を指し示していますが、ここにベアリングが入り (都合2箇所) 絞り環を回した時のクリック感を実現しています。ブラスしてブルーの矢印で指し示している場所に「ハガネの板」が入って「板バネによるクリック感」としている設計です。

↑一つ前の鏡筒にはまだ光学系がセットされていないので、絞りユニットの「開閉環はひっくり返したら絞り羽根が外れる」状況です(笑) 上の写真のとおり光学系第2群の底面が「平滑面」です (グリーンの矢印で指している場所)。また赤色矢印で指し示している箇所も、何回か組み直している最中に「最小絞り値まで絞り羽根を閉じると干渉している」のが判明した為、厚塗りしてあった塗料を剥がしています (後で当方で再着色しています)。

結局こういう要素は、例えば当初バラした直後にこれら光学系各群の状況を逐一調べていった時「反射防止黒色塗料が塗られている箇所に極僅かに擦れている痕跡が残っている」場合に、その痕跡が「擦れてできた痕跡」なのか「擦れ痕ではなく実は白っぽいカビなのか???」との判定を下す必要がある話に至ります(泣)

これは塗料に詳しい方ならご存知ですが「塗膜の表層面にはカビの菌糸が根を下ろす」ために経年でカビ菌が繁殖し「白っぽくポツポツと見えていたりする」次第です(怖)・・それを単なる汚れと思い込んで何も処置を講じずに整備してしまえば「数年内にカビがさらに繁殖する」次第です(泣)

そしてもっと言うなら、とても多くの方々が思い込みしていますが、これら光学系を締付環で締め付け固定している事で「封入しているのだから密閉状態にあるカビ菌が内部に侵入しない/するワケがない」と安心する考え方です・・残念ながら、このような程度の締付固定で封入する事も「密閉する事」できていません(泣)

従って、まるで一般的な電子防湿庫と同様に「オールドレンズの光学系内部にまで空気中を浮遊しているカビ菌糸は好きなだけ自由に侵入できている現実」を知るべきですね(涙)・・これらの話は以前の工業用光学硝子レンズ精製会社様での取材で深く知る事が叶いました。

そこでさらに多くの質問をさせて頂いたのですが「ではどうしてカビ菌が内部の光学硝子材に繁殖するのか???」について、詰まるところ経年で内部のグリースから生じる揮発油成分が金属材に留まり、さらにそこに界面原理から湿気分の水分が吸い寄せられ (実際に物理的に吸引される) 留まる事で「吸着したカビ菌糸が水分の有機物質を糧として繁殖を始める」のが、多くの場合でオールドレンズの世界に於ける「光学系内のカビ発生の原理」です(怖)

当方も同じですが「電子防湿庫」でカビ菌の侵入を防げていると言うのは、単なる自分の思い込みでしかありません(笑) カビ菌の侵入は、それこそ「無菌室」でない限り防ぎようがありません (そもそも人の目で見えるレベルの世界ではない)(笑)

↑上の写真は「絞り環用ベース環」で、この後鏡筒にネジ込まれます。内側の1箇所に「絞り値キー」と言う溝が刻まれていて、そこにベアリングがカチカチとハマるのでクリック感を実現しています (赤色矢印)。

ところが後で出てきますが、このモデルの絞り環との接続は「2箇所」なので上の写真のとおり下部分に四角い切り欠きが2つ用意されています (前述の鏡筒側面に用意されている2箇所のスリット/切り欠きを通ってこのベース環に連結する)。さらに合わせて「ベアリングも2つ入る」のに「絞り値キーだけは片側に1箇所だけ」なのです!(驚)

これが意味する事柄をちゃんと「原理原則」から読み取り、実際のオーバーホール工程の中でこの点を汲みして「具体的に錆びていた絞り羽根の4つの位置決めキーを守る処置を施した」次第です(泣)

↑ハガネの板は板バネなのでこんな感じです(笑)

↑こんな感じでベアリング (2個) とハガネの板がセットされます。絞り環操作した時の「クリック感の強さ」はこの2つのベアリングが板バネのチカラで反発を受けながらカチカチとクリックしていくワケですが、実は当初バラす前の時点で「絞り環操作のクリック感が硬かった」のは「この鏡筒内部にネジ込んだ光学系の特に第2群のコバ端に厚塗りされていた反射防止黒色塗料の厚み分がこのハガネの板バネの反発力に干渉していた」のを掴みました(泣)

要は、光学系第2群コバ端の着色されていた「反射防止黒色塗料の擦れた痕跡」の位置を調べたら、このハガネの板バネが反発して接触している箇所だったのです。

つまり「ベアリングがベース環の絞り値キーの溝の箇所でカチカチとクリックする際に、その受けた反発でハガネの板を内部に押し込むのに、光学系第2群のコバ端に塗られていた塗料が当たって干渉していた」ワケで、その結果が「クリック感が硬い/絞り環操作が硬い」との現実的な、物理的な違和感に到達していた次第です。

絞り環のクリック感が硬いと言う、たったそれだけの現象にこれだけの関わりが介在していたワケで、すぐには気づけませんでした(泣)

・・如何に当方の技術スキルが低いのかをまさに表す内容で、恥ずかしいですねぇ〜!(恥)

↑「絞り環用ベース環」がネジ込まれて、グリーンの矢印で指し示した位置でシリンダーネジによって鏡筒内部の絞りユニットに被さっている「開閉環」と連結します。従って絞り環を回して設定絞り値を決めると、その角度で絞り羽根が閉じる原理ですね(笑)

絞り環用のイモネジの下穴はご覧のように用意されていますが (赤色矢印)、製産時点の下穴だけしか残っていないので過去メンテナンス時に正しく組み立てられていたのが判明します(笑)

↑ひっくり返して今度は「後玉側方向から撮影」しています。すると分かり辛いですが「鏡筒の外壁に光学系後群格納筒の外壁が互いに接触して重なり合っている」のが分かります。

つまり冒頭で光学系に必要外に着色されていた「反射防止黒色塗料」の一部がこの位置を表しています・・要は光学系後群格納筒がちゃんと最後までネジ込まれていなかったので、この赤色矢印で指し示している箇所が「互いに重なり合いつつ、しかも平坦に組み上がる」必要があるのに、当初バラした直後は段差が在ったのです (赤色矢印で指し示している箇所が平らではなかった/段差が在った)(泣)

・・それで光路長が狂っていると判明しました!(泣)

↑ここからは鏡胴「後部」の組み立て工程ですが「後部」はヘリコイド群だけですね(笑) マウント部に対して左横の「ヘリコイドオス側」がグリーンの矢印の方向からネジ込まれ、合わせて今度は「距離計連動ヘリコイド」がマウント部の底面ブルーの矢印方向から同時にネジ込まれます。

↑さらに赤色矢印で指し示している箇所がポイントで、ここに「制限環」と言うパーツが入って締付ネジで締め付け固定されます。

↑上の写真のパーツがその「制限環」で、1箇所の内側に「制限キー」が用意されています (赤色矢印)。この「制限キー」のおかげで「距離環が回る範囲が決まる」原理です。

↑いよいよ佳境に入ってきました(泣) 上の写真は「直進キー環」と言う環/リング/輪っかで、両サイドに「直進キー」が垂直状に突出しています (赤色矢印)。

↑ところがこのモデルの設計では「グリーンの矢印で指し示した位置の直進キーが割れている」次第です!(驚)

最初バラしている最中は「過去メンテナンス時に破断してしまいネジ穴の箇所で割れたのか
???
」と疑いましたが、ネット上で他の個体写真をチェックして「割れているのが正常で、そう言う設計になっている」のが判明しました。

↑その「証拠」として、現在海外オークションebay内で出品されている同型モデルのマウント部写真を掲載しました。赤色矢印で指し示している箇所の「直進キー環ネジ穴」が割れているのが分かります・・つまりこの部分でトルク管理しているのです。

このマウント部の「直進キー環」に刺さる締付ネジは「皿頭ネジ」なので「締付ネジを締め付けていく時に穴周囲のパーツを締め込んで固定していく」仕組みです。従ってこの割れている箇所だけは「締付ネジを硬締めしすぎると直進キー環の締め付けが強くなって距離環を回すトルクが硬くなり、その反面締付ネジを硬締めしないと距離環を回すトルクは軽く変わる」のを過去メンテナンス時の整備者は理解できておらず「4本全ての締付ネジを緩めたままにしてしまった」次第です(笑)

従って、当初バラす前の時点でこの赤色矢印で指し示している箇所の締付ネジ含めて「4本の締付ネジ全てがユルユルだった」のは、経年で締付ネジが緩んでしまったのではなく「過去メンテナンス時の整備者がトルクが重すぎて故意にワザと緩めたままにしていた」のが判明しました(泣)

↑実際に「直進キー環」が組み込まれるとどんな風になるのかを「仮組み」で示しました(笑) ヘリコイドオス側の両サイドに用意されている「直進キーガイド」と言う切り欠き/溝部分に「直進キー環の直進キーが刺さっているのをグリーンの矢印で指し示している」ワケで、それ故距離環が回ると鏡筒の繰り出し/収納が適う次第です(笑)

なおヘリコイドオス側の一部分には「制限壁」が備わるので (赤色矢印) ここに前述の「制限環にある制限キー」がカツンカツンと突き当たる事により「無限遠位置と最短撮影距離位置の両端で突き当て停止する」原理ですね(笑)

↑今度は左横に並べた「直進キー環」がどのように固定されるのかを解説しています。右横に並んで写っているのは「距離計連動ヘリコイド」ですが、その内側に複数のネジ穴が備わり、そこに「直進キー環の締付ネジ4本が締め付け固定される」設計です。

つまりこのモデルでは「距離計連動ヘリコイドの動きに伴い鏡筒の繰り出し/収納が連動している」設計概念なのが分かります。

↑そしていよいよクライマックスです!(笑)・・前述の「直進キー環」ですが、ご覧のとおり赤色矢印で指し示している箇所とグリーンの矢印の箇所とが互いに水平を維持していない!(驚) ほんの僅かですが縦方向にも円周方向にも共にズレているのが分かります。

↑同じ「直進キー環」をひっくり返して撮っていますが、こうすれば分かるでしょうか???・・赤色矢印で指し示している箇所が「本来正しくはピタリと接触していて、且つ互いに同じツライチ/水平」と言う設計ですが、ご覧のように変形しています(泣)

黄鋼材なので、この円形の何処かで曲がってしまい変形した分が「最終的にトルクを重くしている」が為に「4本の締付ネジ全てをユルユルにしてごまかしていた」次第です(泣)

だから当初バラす前の時点で「距離環を回すトルク感がツルツルの感じで軽めだった」ワケです(泣) 当初バラす前の時点で、試しにそれら4本の締付ネジをキッチリ締め付けたら「距離環が全く回らなくなった」或いは少しだけ4本の締付ネジを緩めていくと「少しずつ距離環を回すトルクが軽くなってきた」ので、過去メンテナンス時の整備者の所為とその因果関係が判明した次第です(泣)

↑こんな感じでヘリコイドオス側がネジ込まれて、正しい位置でカツンカツンと無限遠位置と最短撮影距離位置の両方で小気味良く突き当て停止します。ちゃんと距離環用の「イモネジ用の穴」が用意されています (赤色矢印)。その一方で過去の一時期に「距離環を別の位置で締め付け固定していた」のがグリーンの矢印で指し示したイモネジ痕でバレバレです(笑)・・もちろん今回のオーバーホールでは正しく赤色矢印の下穴で距離環を締付固定しています(笑)

↑再びひっくり返して撮っていますが、こんな感じで「距離計連動ヘリコイド」の内側に「直進キーガイド」が来て、そこに前述の「直進キー環」が4本の締付ネジで締め付け固定されます。

完成している鏡胴「前部」を組み込んでから最後に無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠を兼ねている絞り環をセットすれば完成です。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホール/修理が終わっています。全ての問題点やごまかしていた箇所など正して「本来あるべき姿」として組み上げ完了しています(笑)

ちなみにレンズ銘板の途中に刻まれている赤色文字」刻印は、ドイツ語の「Antireflex」の頭文字を意味し、日本語訳すると「反射防止」の意味合いであり、要は「シングルコーティング/モノコーティング」を指していますね(笑)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無スカッとクリア!です。

ご覧のとおり、ちゃんと必要箇所は当方にて再着色してあるので光学系内はちゃんと真っ黒ですね(笑)

↑後群側もLED光照射で極薄いクモリが皆無スカッとクリア!です。当初バラす前のチェック時点で緩められたままだった締付ネジ4本は、上の写真赤色矢印で指し示した締付ネジです(笑)・・「直進キー環」を締付固定する役目のネジですね(笑)

今回のオーバーホール工程ではちゃんと硬締めしてありますが、前述のとおり「割れているほうの直進キー」は水平を維持していないので緩めに締め付けてあります (硬締めすると極僅かに浮き上がっているほうの面に応力が働きトルクを重くする原因に至るから)。

しかし他の3本の締付ネジはちゃんと硬締めしてあります・・当初バラす前のチェック時点ではそれら3本もユルユルだったので、取り敢えずは今回のオーバーホール工程を経て少しは効果があったのかも知れません(汗)

↑10枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。冒頭解説のとおり「4個の位置決めキーが赤サビ状態」なので(泣)、絞り環のクリック感のほうを「軽め」に設定してあります・・特に4個のうち1本がキ〜キ〜音が鳴ってしまうほどだったので「クリック感をだいぶ弱くしました」・・申し訳御座いません!(泣)

位置決めキーが赤サビしていた絞り羽根は4枚ありますから、さらに今回のオーバーホール工程でもそれら位置決めキー自体を磨く事はできませんから、仕方なくそのまま使っています/刺してあります(泣)

すると絞り羽根が閉じていく時にちゃんと正しい適正な角度でそれら4枚の絞り羽根が変わっているのかどうかが問われますが、取り敢えず何とか「キレイな円形絞り」で最後まで閉じているので、問題はなさそうです(汗)

・・いろいろ申し訳御座いません!(泣)

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

 

↑塗布したヘリコイドグリース「黄褐色系グリース」を塗り軽めのトルク感に仕上がるよう処置しましたが、仕上がりとしては「少々重め」です。前述の「締付ネジ4本を緩めれば再び軽くなる」ものの(笑)、緩んで落下したり脱落するのも怖いので (本来ユルユルの前提で設計していないハズだから) 締め付けてあります。

そうは言ってもピント合わせするには問題ないトルクだと思いますが、当方のいつものトルク感に比べると「重め」です(泣) また「距離計連動ヘリコイド」の設定は当初バラす前の位置と同じにしありますが、ピント面の鋭さは光学系内の「必要ない反射防止黒色塗料」を除去したので僅かですが鋭く変わっています。

↑当初の附属品に、お詫びとしてmarumi製フィルター枠UVフィルターを附属させました。

今回のオーバーホール/修理ご依頼で附属していた一覧 (一部は当方で附属)。

《上の写真の附属品》
本体『Rodenstock-Heligon 35mm/f2.8 (L39)』
 汎用金属製ネジ込み式M39後キャップ (当初からの附属品)
社外品金属製フード (当初からの附属品)
 社外品シリーズ式フィルター枠 (当初からの附属品)
marumi製UVフィルター (⌀ 29.5mm) (当方からの添付品/新品)
ライカ製金属製被せ式前キャップ
marumiのフィルター箱の中に当初のイエロフィルターと締付ネジが入っています。

がmarumi製⌀29.5mmUVフィルターで、そこにグリーンの矢印で指し示している「アルミ板テーピング」を貼り付けてあるので、被せ式フードをシッカリハメ込めます (但し最後まで入ると僅かに浮く仕様でしょうか???)。当初の附属品たるイエロフィルターと締付環はmarumiのフィルターケース内に入れてあります。戻す必要がある場合はお手数ですが宜しくお願い申し上げます(汗)

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

オーバーホール/修理ご依頼者様向けにご依頼者様と当方の立場が「50 vs 50」になるよう配慮しての事ですが、とても多くの方々が良心的に受け取って頂ける中、今までの12年間で数人ですが日本語が口語として普通に語れない、おそらく某国人に限ってここぞとばかりに「無償扱い」される方もいらっしゃいます (漢字三文字、或いは漢字とカタカナ表記を合わせて含むお名前様だけで確定判断はできませんが)(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離1m附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。クリック感は少々軽めにセットしています (4枚の絞り羽根を守る目的)。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮影しています。

↑f値「f8」に上がっています。

↑f値「f11」になりました。

↑f値「f16」です。もう既にほとんど絞り羽根が閉じきっている状態なので「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。引き続き2本目の作業に入ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。