◎ OLD DELFT (オールド・デルフト) ALGULAR 135mm/f3.2《前期型》(alpa)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、オランダは
OLD DELFT製中望遠レンズ・・・・、
ALGULAR 135mm/f3.2《前期型》(alpa)です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回オーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた12年前からの累計でも初めての扱いです。先ずはこの場を借りて今回オーバーホール/修理を賜ったご依頼者様にお礼申し上げます・・ありがとう御座います!(涙)
このような機会を得たことにとても感謝しています。

このような得体の知れぬ光学メーカー、オールドレンズを目の当たりにすると、フツフツと
その探究心や研究心が湧き上がり、とても楽しくて仕方ありません(笑)

  ●               

『OLD DELFT』は光学製品を扱っていたオランダの会社です。そもそもこの光学メーカーの名称からして印象が薄いのですが、それは当方のオールドレンズやカメラに対する知見の低さや『カメラ音痴』から来るところが大です(汗)・・基本的に当時のフィルムカメラの事もオールドレンズの事も何一つ詳しくありません(笑) それで当然ながら興味津々でネット上を探索するのですが、意外にもあまり情報を得られません。

この光学メーカーの名称について深く調べていくと3種類の呼び方をしている問題に突き当たりました。ラテン語/英語で呼称する『OLD DELFT (オールド・デルフト)』の他にオランダ語の呼称『OUDE DELFT (アウデ・デルフト)』が正しいとの解説、或いは同じオランダ語なのに『DE OUDE DELFT (デ・アウデ・デルフト)』との呼称まで登場します・・しかしいずれも言語に乏しい当方はGoogle翻訳に頼るしかなく、そのまま和訳すれば「古いデルフト」としか訳してくれません(笑)

この「古い」との案内がいったいどのような意味合いを持って附随するのかについて、ちゃんと理解を促す解説をしているサイトがありません(泣) 創業者やドイツ系ユダヤ人だった事柄、或いは工場所在地と共にこの光学メーカーのロゴに関する由来などを親切に紹介してくれますが、肝心な「名称の意味合い (何が古いのか?)」についてちゃんと述べてくれていません(涙)

・・正直なところ、性格上気になると妥協できず調べまくるので相当時間を費やしました(笑)

そこで先ずは左写真を最初に掲載してから解説を進めていきます。

左写真は『OLD DELFT』が当時本社兼工場として入居していた建物を近年撮影した写真です 。
(白色のバンが建物の前に停まっている)

この建物が造られたのは1630年〜1650年との事で相当な歴史を持ちます (現代まで数多の改修/改築を繰り返している)。

このような角度で撮影してしまうと、如何にもこの建物が薄く見えてしまいますが、実はこの背後に複数の建物群を連ねる「当時の街の作り方そのまま」であり、まるでちょっとしたお城のように中庭などまで包括する建物群が密集する街です。

そもそもこの建物に隣接する道路と目の前の運河の存在に着目する必要があります (それをしないから解説自体がピンと来ない)。オランダは南西部に位置する古くから数多くの運河によって栄えた交通の要衝「Zuid-Holland (南ホラント州)」に在る最古の運河とそれに隣接する通りを含む「OUDE DELFT (アウデ・デルフト市)」を以てラテン語/英語では『OLD DELFT』と呼ぶようです (つまり光学機器を扱っていた会社名以前にそもそも街の名前を指す)。

さらにご紹介するなら特にオランダで1640年〜1740年にそのピークを迎えていた有名なDelft Blue pottery (デルフトブル〜の陶器)」を思い浮かべればどれだけ栄えた街で有名な場所だったのかがご理解頂けると思います (つまり光学メーカーのOLD DELFTだけが有名な話ではなかった)。或いはバロック期を代表する有名な画家「Johannes Vermeer (ヨハネス・フェルメール)」の存在を挙げれば間違いがないでしょうか
・・誰も疑わないと思います(笑)

これら全ての発祥地がこのオランダ南西部に位置する「OUDE DELFT市」なのであって決して一つの光学機器メーカーだけを指す名称だったのではありませんね(笑)

話を戻すと、そもそも街の名称だったワケですが (それを解説しないから全く伝わらない)「OUDE DELFT市」はそのまま直訳するなら「古都デルフト市」とでも表現すれば伝わり易いのかも知れませんね(笑)

すると冒頭に載せた「OLD DELFT社」が入居していた建物とその運河の場所が気になり始めます (人とは欲が深いもので一つが分かると次を知りたくなる)。
・・「OUDE DELFT 36番地と隣接する運河に掛かるレンガ造りのSint-Jans橋」を実際にGoogleMapで歩いて散策しました (左はGoogleMapの写真)(笑)

ここでも調査になんと2時間を要しました。サイトの解説で「OLD DELFT社ロゴの由来」として紹介されていたレンガ造りの橋が別モノだったのです!(泣)

さすがにこれには参りました・・(涙)

当時「OUDE DELFT」社が実際にその建物に入居していたと言う事実 (記載) を確認した上で先ずはその番地を調べました・・サイトの案内どおりで「36番地」であり、間違いなく左写真に写っている建物です (現在は賃貸オフィス及び住居として貸し出されている/ちゃんと建物の登記簿まで確認済)。

サイト上でのロゴの由来になった解説の橋は「Roosburg (ルース橋)」の白黒写真が案内されていましたが、だとすれば外れのほうに位置し番地が全く違います(泣)

それでとにかくGoogleMapを歩き回り(笑)、建物の外観を頼りに隣接するレンガ造りの橋の有無を確認しました。すると上左写真の橋がまさに建物の位置とピタリと合致です(笑)・・橋は「Sint-Jansburg (シント-ヤンス橋)」転じて「聖ヤンス橋」なのが判明しました。何故ならワザワザ入居する自社の建物から倍以上離れた、それこそ街の端に位置する橋を模してロゴに据える理由が見つからないからです (その理由を誰一人解説していない)。

従って「OUDE DELFT社のロゴは目の前にある聖ヤンス橋を模したマーク」だったと当方は受け取りました。そうすれば建物以外に橋を目印として来所するのも適いますね(笑) ちなみにこの運河両脇の石畳の道路こそが「OUDE DELFT通」と地図にも記載されており、この地域だけが「おそらくOUDE DELFT町みたいな話」ではないかと受け取っています(笑)・・古都デルフト市のまさに最古の運河とその通りである古都デルフト通に面した社屋とレンガ造りの橋が全ての由来だったのですねぇ〜(驚)

・・第一デルフト陶器が大好きなので運河の橋と建物まで物語が繋がり充分に酒の肴です(笑)

なお創設の頃から述べるなら、1939年にOscar van Leer (オスカー=ファン・リーア) 氏により創設され、後にAlbert A. Bouwers博士を社に迎え入れ「Optische Industrie De Oude Delft (アウデ・デルフト光学産業)」と改名したので冒頭のロゴマークに至っています・・由緒正しく情緒タップリに呼称するなら「古都デルフト光学」とでも呼んだら、もぉ〜堪りませんね (酔いが進んでしまいます)!(笑) せっかくなので、できたらちゃんと「Delft Blue」のステキなカップで一盃やれれば、どんだけ至福のひとときを過ごせるのでしょうか・・(涙)

オマケにもう一つ「事実」をご案内すると、今回扱ったオールドレンズALGULAR 135mm
/f3.2《前期型》
(alpa)の筐体外装は全てが「濃いブル〜を基色としたブライトメッキ塗色」だったのが判明しており (内部構成パーツのメッキ塗装塗り始め部分で判明)、まさに「DELFT Blue」にこだわりを受けていたのが伝わってくる次第で、これだけで鳥肌立ちました!(涙)

  ●               

ALPAはスイスのボー州バレーグで1918年に創業したPignons S.A. (ピニオン) と言う時計部品メーカーが前身にあたり、1944年発売のALPA REFLEX I型から続く一眼レフ (フィルム) カメラのシリーズ銘です。初期はウエストレベルファインダーを装備しながらも分類上は レンジファインダーカメラでありマウント規格が異なります。
(右写真は初期の頃のALPA REFLEX I型)

一般的に「ALPAマウント」と言うと後に登場した「ALPA ALNEA mod.4」以降に採用されたマウント規格になり「3つの爪を持つスピゴット式マウント規格」ですね。

今回扱ったオールドレンズALGULAR 135mm/f3.2《前期型》(alpa)もこの「ALPA ALNEA mod.4」からのシリーズに装着できるスピゴットマウント方式です。
(右写真はALOLAR 50mm/f3.5を装着したALPA ALNEA Mod.4)

一度だけこの一眼レフ (フィルム) カメラを触る機会がありましたが、まさに燻し銀の大変美しい微細な凹凸を伴う梨地メッキ加工仕上げが施され、相当手間暇掛けて造り込んだフィルムカメラだった事が伝わってきました(涙)

↑上の写真は今回扱ったALGULAR 135mm/f3.2 (alpa)のモデルバリエーションを示す写真ですが、今回扱った個体の「前期型 (左)」に対し右側が「後期型」です。

パッと見ですぐに判明しますが「絞り環が実絞りなら前期型 (黒色の環/リング/輪っかが一つしかない)」で「シルバーな環/リング/輪っかが2本揃っているのが後期型」です・・つまり後期型だけが「プリセット絞り方式」を採用しているので、シルバーな環/リング/輪っかが2本揃っています (片方はプリセット絞り値をセットする際に回す環/リング/輪っかだから)。

するとネット上の解説では「前期型579本」に「後期型704本」しか顕在しないとの事で、相当な稀少品です。しかしそのサイトの解説によると製造したのは「前期型だけがOLD DELFT製」との案内でしたが、そもそもその「前期型」のマウント部直前に付けられているアルミプレートが「EXTENSAN ALNEA / MADE IN SWITZERLAND」と表記しています。念の為に現状ネット上で検索に引っかかる同じ「前期型」個体だけを片っ端にチェックしましたが全ての個体で同様「MADE IN SWITERLAND」表記のアルミプレートが付けられています。

・・とうとうOLD DELFT製の前期型を見つけられませんでした(泣)

と言うのも、実はその「前期型/後期型の違い」の根拠を「実絞り方式/プリセット絞り方式の違い」と区分けして説明しているネット上サイトの解説に「さらに付け足すべき事実」が判明したからです。モデルバリエーション上の相違点を外見から判定できる「絞り方式の違い」だけと捉える事に異議を申します。

ちなみにスイスはSPECTROS A.G.社によるOEM製産だったので、当時の国際貿易輸出入管理法に則り製造国をちゃんと表記している次第です。また「EXTENSAN ALNEA」の駆動方式を以て「汎用ヘリコイド方式」と解説されていますが、この点についても当方の意見は違います。当時オールドレンズの鏡胴を「前部/後部」と二分割化して設計していたのは世界中に顕在しますから(笑)、汎用ヘリコイド駆動と言う説明はそれすら見誤ります。もしも仮に汎用ヘリコイドと述べるなら、ではいったい他にどの焦点距離のモデル (同じALNEA向け製品の身内の中で) にも転用できていたのかを示すべきであって、今回扱ったモデルALGULAR 135mm/
f3.2《前期型》
(alpa)だけに限定してのみ焦点距離を正しく維持できるヘリコイド群を指して「汎用」とは決して言えないと考えます(笑)

従って単に鏡胴を「前部/後部」に二分割しただけの話で特段珍しい設計手法を採っていたワケではないと思いますね(笑)

  ●               

【事後談】

・・と勝手に受け取っていましたが、ご依頼者様から「EXTENSAN仕様」の汎用ヘリコイドたる所以をご教授頂きました!・・ありがとう御座います!(涙)

そもそも鏡胴「前部」と「後部」を「別の製品として製造メーカーを分けて設計していた」点に於いて、当方の受け取り方が全く以て間違っていた事が判明しました・・これはさすがに思い付きませんねぇ〜(笑)、まず考えが及ぶ人は居ないと思います。

相応に「ALPAカメラに精通している方々」には当然の事実として「EXTENSAN仕様 (ALPA ALNEA 4以降のオプション交換レンズ群に対応)」の他にALPA ALNEA 4以前のオプション交換レンズ群に対応する「EXTENSAL仕様」も顕在する事をご教授頂きました。

つまり今回扱ったモデルが「前期型」なので「鏡胴前部のレンズ銘板箇所にはちゃんとHOLLAND刻印が在る」が、その一方で「後期型の鏡胴前部はMADE IN SWITERLAND刻印に変わっている」点もちゃんとネット上の個体写真をチェックして調べられました。

鏡胴「後部」のヘリコイド群ばかりに気が取られていて事の真相を違えていました・・反省です!(汗)

しかし、だとすればALPA向けオプション交換レンズ群の解説には「一般的に鏡胴の前部/後部で製品製造メーカー自体が変わる事のほうが少ない点」にちゃんと配慮して「EXTENSAN仕様」を解説してもらったほうが正しく伝わると思います。

逆に言うなら、それほど一般的なオールドレンズで鏡胴「前部/後部」二分割方式で設計している (当然ながら同じ製造メーカーのもとで) 事実しか、お恥ずかしいながら今までの12年間で扱ってきた3千本を越すオールドレンズ達で体験していないので、正直な話「鏡胴前部と後部で製造メーカーが異なるのは今回が初めて」であり、全く以てその概念の相違が伝わっていませんでした・・(汗)

・・ようやくここに来てEXTENSAN仕様の真の意味と言うか姿が掴めました!(汗)

また汎用ヘリコイドの意味合いもようやく理解できたので、それ故に「距離環に距離指標値刻印が存在しない」点も納得できました。しかしそれならなおさらのこと「距離指標値が存在しない理由」と合わせて「汎用の意味の違い (汎用が適用する対象が顕在する説明)」もちゃんと解説するべきと思いますね。

・・EXTENSAN仕様と言われてすぐに汎用の意味を理解できる人は相当少ないと思います(涙)

こう言う部分に「通にしか相通じない内容/話として仕様が顕在する事実」が在るので、正直な話当方には自身の「カメラ音痴」を克服する気概すら沸きませんね(笑)

そういう点を加味して是非ともネット上の解説ページでは説明をお願いしたいものです。「EXTENSAN仕様」を簡単に一言で「汎用ヘリコイド方式」と説明されても、全く伝わりませんね(笑)・・そういうのは不親切ではないかとむしろ思ってしまいました(笑)

↑上の写真は光学系の第2群と第3群を並べて撮影した写真です。当方が光学系の設計が違うと述べると「公然とウソを拡散し続けている」と誹謗中傷の嵐になるので、このようにネット上で語られている内容と違う話をする際は「証拠写真」をいちいち載せないと誰も信じてくれません(笑)

このモデルの光学系は第2群と第3群がご覧のように貼り合わせレンズになっています。

貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤 (バルサム剤) を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す

バルサム切れ
貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態

ニュートンリング/ニュートン環
貼り合わせレンズの接着剤/バルサム剤が完全剥離して浮いてしまい虹色に同心円が視認できる状態

フリンジ
光学系の格納が適切でない場合に光軸ズレを招き同じ位置で放射状ではない色ズレ (ブルーパープルなど) が現れてエッジに纏わり付く

コーティングハガレ
蒸着コーティング層が剥がれた場合光に翳して見る角度によりキズ状に見えるが光学系内を透過して確かめると物理的な光学硝子面のキズではない為に視認できない

ハレーション
光源からの強い入射光が光学系内に直接透過し画の一部分がボヤけて透けているような結像に至る事を指す

フレア
光源からの強い入射光が光学系内で反射し乱反射に至り画の一部や画全体のコントラストが 全体的に低下し「霧の中での撮影」のように一枚ベールがかったような写り方を指す

↑今度はひっくり返してそれぞれの裏側を撮影しました。ちゃんと「厚み分の硝子があって裏側は凹メニスカスになっている」ことが分かります。

それでは今度は光学系構成図を載せます。右構成図は「ALGULAR 135mm/f3.2」の光学系構成図を表し、ご覧のように3群5枚になっています。

この構成図をいったいどこから手に入れたのかというと、実は「ALPA ALNEA Mod.4」の取扱説明書にちゃんとオプション交換レンズ群の紹介と共にその構成図が掲載されているのです。

この点についてもちゃんと「証拠」を掲載しないと誹謗中傷の嵐になるので(笑)、取扱説明書の一部抜粋を載せました。

実はここがポイントで、取扱説明書からの抜粋部分は確かに「ALGULAR 135mm/f3.2」と紹介されていますが、その写真に写っているのは「後期型」だからです。

確かに右構成図のカタチで印刷されています (その構成図からトレースしたので同一なのは当たり前の話)(笑)

ところが前に2つの写真をご案内しましたが、今回の個体をバラしたところ実装していた光学系は全く違うカタチをしていました。

右構成図は今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての群の光学硝子レンズを計測したトレース図です。

単に実装する光学硝子レンズのカタチが異なるだけではなく「そもそも曲率からサイズまで含め何もかも違う」のです。

そこで「前期型/後期型の相違は絞り方式のみに限定されず光学系そのモノの設計も違う」と判定せざるを得ません。特に第2群の貼り合わせレンズの2枚目を構成する両凸レンズの曲率は相当なレベルで一つ前の取扱説明書の構成図とは全く別モノです。もっと言うなら光学系第3群の外径サイズすら後期型ではだいぶ小さめに設計変更しています。

プリセット絞り方式」に絞り環の機能を設計変更するのに「光学性能は一切関係ない」ので絞り環の構造が違うからと光学設計まで変更してきた根拠には決して到達しません。何某かの理由があって「後期型のタイミングで光学設計自体を根本から変更してきた」と受け取るのが良さそうな印象です。

これらの事実から、おそらく「前期型/後期型」の相違でその描写性も多少なりとも変化してくる事が予想されます。当方ではまだ「後期型」をバラした事がないので現状不明なままです。

なお、これら光学系の構成として考察する時、3群5枚のスチグマティック型構成と受け取るのが当方の最終的な判定です。

例えば左図は19世紀に登場した古典的なクラシックレンズの一つ「DALLMEYER’s PATENT F6 STIGMATIC LENS 8 」と刻印されている英国はロンドンの「DALMMEYER製テレフォトフォトレンズ」のカット図です。

外見やカタチは違えども実装されている光学系の各群は今回扱ったALGULAR 135mm/f3.2《前期型》(alpa)と近似しています。

従って光学知識に疎い当方は、せめて光学系の理解の端くれとして近似した光学系構成を期待してネット上を探索した次第です (それ以外の他意はありません)。

また最短撮影距離もネット上解説では「132cm」と案内されていますが、オーバーホール後に実測すると「126cm」しかありませんでした。厳密に計測すれば「125cmを下回る」かも知れませんが、そんな印象です (極僅かなオーバーインフ状態の設定)。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。内部構造はとても簡素で構成パーツ数も大変少ない為にまるで「初心者向け」と受け取られがちです。が然し、絞りユニットの仕上げと光学系の格納位置、最後は最もハードなヘリコイド群の調整方法を理解しているなら楽かも知れませんね(笑)

今回の個体で特に問題だったのが「光学系各群のコバ端に着色されていた反射防止黒色塗料の厚み」と、執拗に鏡筒内部に着色されていた同様「反射防止黒色塗料」でした。

ご依頼者様によると入手時は海外オークションebay経由との話ですが、海外での整備時に使われる頻度が高い「芳香を含むグリース」を使っていない点、及び執拗な鏡筒内部の「反射防止黒色塗料着色」から、日本国内で整備されていたと捉えています・・しかも相当なレベルの整備者が作業しています。

特に今回の個体で問題だったのが「光学系各群のコバ端に着色されていた反射防止黒色塗料の厚み」であり、その最も大きな影響を受けていたのが事前にご依頼者様からご指摘があった「後群の割れ/欠落」です。

冒頭で撮影した写真では既にその着色した「反射防止黒色塗料」を溶剤で除去して撮っていますが、割れてしまっていた箇所が明確に視認できると思います。

そもそも当初バラす前の実写チェック時点で「極僅かなオーバーインフ状態」ながらも「ピントのピークにはフリンジが憑き纏い違和感を感じた」のが大きな印象でした。すぐにピ〜ンと来ましたが(笑)、3群の光学系のうちの何処かの群で「格納位置が適切ではない/本当に極僅かに斜めッている光軸ズレ/偏心」を察知しました。

・・残念ながらその因果関係がまさに後玉の光学系第3群貼り合わせレンズだったのです(涙)

それを調べる方法があるので、その手法を執りつつ光学系を取り出していくと案の定、最後の第3群後玉貼り合わせレンズで明確にその結果画現れました。ほんの僅かに斜めッていたのは第3群でしたし、そもそも割れてしまった原因もその着色されていたコバ端の厚みが影響して「無理に締め付け環を締め込んだ時にバシッと割れた」のが明白です。割れてしまったので慌てて取り出し硝子材の破片を取り除いてからもう一度格納させたのでしょう (その時に斜めッたまま入った)。

前玉の締付環も本締め/硬締めしておらず、後玉も同じ状況だったので、相当怖がっていたのだと思います (一度割ってしまうと怖くなる)。使っている硝子材が柔らかいタイプ、或いは経年で劣化していると受け取り怖くなるのです・・(怖)

しかしそもそも根本的に「反射防止黒色塗料でコバ端着色したのが間違い!」なので、今回のオーバーホール工程では当方により全ての「反射防止黒色塗料」を一旦除去しています。どうしても必要なら特に薄い塗膜面を構成するタイプで着色する必要があり、或いは当方の手法たる「磨き研磨」にて鏡筒内壁の経年に伴う酸化/腐食/錆びを可能な限り完全除去してから光学硝子レンズを格納する工程で仕上げています (当然ながら確実に最後まで格納できている)。

光学系の外径サイズが小さい分、最も極端にその影響を受けてしまったのが後玉の貼り合わせレンズだったので、残念ながら「バルサム切れ」が起きており、後玉を光に翳してチェックすると「2箇所に雪の結晶のような痕跡を視認できる」次第です(涙)

これはバルサム切れの一種で圧に耐えられずにバルサム剤が浮いてしまった箇所です (多くの場合でその箇所の接着強度が弱かったのが因果関係)。接着強度が弱かった理由には幾つか在りますが、一番多いのは「不純物の混入」です。

不純物と言うのは何もそのコトバどおりに「異物」ではなく、例えば「ガスの封入」も不純物になるのでその箇所が後に経年で浮き上がり易くなります・・すると多くの場合でパッと見「雪の結晶のように見える浮き」が現れる次第です。

さらにそこから圧を加え続けると最終的にはその箇所から「パリッ!」とバルサム剤の剥がれが一気に進むのでコワイのです(怖)

↑何しろ焦点距離が「135mm」なので鏡筒自体が長くて深いです(笑) 絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。

↑一つ前の写真はいつもと同じ方向から撮影しているので「前玉側方向からの撮影」でしたが、こちらの上の写真はその反対側「後玉側方向からの撮影」です。

すると赤色矢印で指し示していますが、絞りユニット〜光学系第3群 (後玉) 格納位置直前までを「黒色の不織布で内壁をグルッと張り巡らせている」のが分かります。もう既に一部には極僅かな浮きが出ていますが (上の写真下側の処に微かな隙間が写っている)、ハッキリ言って光学メーカーはこのように鏡筒内壁の「特に光学系の各群が格納される間の位置」内壁にこのような不織布を貼り付けたりしません!

どうしても鏡筒内壁での「迷光」を防ぎたいのであれば「そもそも製産時点からメッキ塗装する」ハズであり、ご覧のようにタダでさえ「/」の附着を招いてしまう不織布を貼り付けるなどゼッタイにしません!(怒) もっと言うなら、例えばライカやライツ製の「沈胴筒」タイプのモデルなどは、スライド筒が接触する箇所のみこのような不織布を貼り付けて「特異な感触の操作性」を併せ持つ配慮をしますが、さすがに光学系の各群が介在する空間内にこのような不織布を貼り付けません!(怒)

今回の個体では既に浮きが現れているものの、この不織布を剥がした後の状態が「???」なので、仕方なくそのままで仕上げています。

本当に執拗に「反射防止黒色塗料の厚塗り」と共にこのような不織布の内壁貼り付けなど、凡そ海外の整備者は面倒がってやりません(笑) ましてやヘリコイド群に塗っていたヘリコイドグリースも「白色系グリース」となれば、多くの場合で日本国内の整備会社の仕業とみるのが普通です(笑) しかも古い「黄褐色系グリース」の上から「白色系グリースの塗り足し」をしているので、大凡何処の整備会社の仕業なのかは目処が着くと言う話です(笑)

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている

↑上の写真は一つ前で解説した「絞りユニット」の完成形を撮っています。位置決め環に絞り羽根12枚と開閉環が被さって完成した「絞りユニット」の状態です。

今回の個体でさすがにそれをやったらダメだろうと言うのがここの「絞りユニット」の話で(笑)、何と上の写真で赤色矢印で指し示している「開閉環」まで「反射防止黒色塗料で厚塗り」していました(笑)

上の写真は既に当方の手により「溶剤で反射防止黒色塗料を除去済」なので製産時点の本来の鈍い黒色メッキ塗膜の状態に戻っています・・この「鈍い光沢を伴う黒色メッキ塗装が気に入らない」から敢えてワザワザ「反射防止黒色塗料」を過去メンテナンス時の整備者は塗りまくっています。

こういう「迷光を嫌う仕業」というのは本当に異常ですね!(怖) いったいどうして絞り羽根が開いたり閉じたりする稼動部の構成パーツ (今回の個体では開閉環) に平気で「反射防止黒色塗料」を着色するのか、その概念が全く以て信じられません!(怒)

バラしている最中に12枚の絞り羽根を清掃している時「何だか分からないが黒っぽくなる」のが「???」だったのですが、まさか開閉環を塗りまくっているとは考えもしませんでした(笑)

・・そんなに迷光が気に触るなら12枚の絞り羽根も表裏面で塗ったらどうなんだ?!(怒)

そう言いたいですね・・。

↑過去メンテナンス時にこの絞りユニットが丸ごと外されていた痕跡を発見したので「過去に一度整備されている」と判定を下した次第です。上の写真で解説しているのは「製産時点にイモネジで締め付け固定する際の下穴」を赤色矢印で指し示していますが、今回の個体には本来製産時点に一つしか存在し得なかったハズの下穴が2つ残っています(笑)

もちろん今回のオーバーホール工程では、このどちらの下穴が正しく正確な絞り羽根開閉値を司るべく固定位置なのかまで調べ上げて仕上げています(笑)

↑本当にロクな事をしませんが(怒)、やっと鏡筒が完成しました。一番最深部の「絞りユニット」まで内壁が段々状になっているのが分かると思います。この内壁部分に「反射防止黒色塗料」を塗りまくりだったので、当然ながらここにセットする光学硝子レンズのコバ端の「反射防止黒色塗料」と反応してしまい、その応力の働きで光学硝子材には不必要な圧が長い時間掛かり続けます(怖)

・・タダでさえ寿命を迎えつつある光学硝子材に何故に余計な圧を加え続けるのか?!(怒)

本当に腹が立ちます!!!(怒)

↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。写真上側方向が前玉側の方向にあたります。

↑「ベアリングスプリング」を組み込んでから絞り環を組み込んだ状態です。当初バラす前は少々ガチガチした印象のクリック感でしたが、オーバーホール後は軽めの操作性に仕上がっています。この絞り環の組み込み位置も、或いは絞り環を固定する役目の締付環の締め付け位置も、全て「製産時点の正しい位置」で締め付け固定しているので、まさに工場から出てきた当時の操作性に近くなっていると思います(笑)

きっと冒頭に掲載したあの建物から荷台に積み上げられた木箱に入った「OUDE DELFTのオールドレンズ達」がガタゴト揺られながら販売店に運ばれていったのでしょう・・何だかロマンを感じてしまいます!(涙)

↑鏡胴「前部」が完成したのでここからは鏡胴「後部」の工程に移りますが、鏡胴「後部」は純粋にマウント部とヘリコイド群だけの構成です(笑)

このモデルの設計が特異だったのはグリーンの矢印で指し示していますが「直進キーガイドが3箇所備わる」点です。「直進キー」と言うパーツが行ったり来たり鏡筒の繰り出し/収納時にスライドする際の「切り欠き/スリット/ガイド孔」が「直進キーガイド」です (グリーンの矢印)。

すると本来星の数ほど多くのオールドレンズ達で両サイドに1箇所ずつしか備わらないハズの「直進キー」を3箇所用意してきた意図がこのモデルの設計者にはあったハズで、そこにちゃんと想いを馳せ仕上げなければ適切な操作性には到達しません(泣)

・・では、いったいどうして3箇所用意する必要があったのでしょうか?(笑)

理由は簡単で、このモデルのピントのピークの現れ方、ピントの山の迎え方をチェックすれば自ずと分かります。瞬時にアッと言う間にピタッとピークを迎えるので、その一瞬の山を明確に前後動で微動させる必要性から「3箇所の直進キーでほんの微かな微動を実現させる」を寝競っていたのが分かります(笑)

従ってそこまで配慮した上で (製産時点に近づくよう仕上げるなら当然な話) 塗布するヘリコイドグリースの種別も勘案しもキッチリ仕上げた次第です(笑)

↑このモデルの設計は一般的なオールドレンズ達とは異なり、ヘリコイドオスメスと鏡筒の繰り出し/収納を司る「直進キー筒」の回転方向は「互いが逆回転」なので、ネジ山が収納方向の時に鏡筒は繰り出され、反対に繰り出し時に鏡筒を収納している動きになりながら「その過程の途中でキッチリと無限遠位置にピタリと合致させる必要がある」駆動方式を採っている・・本当によく考えられた造りです(涙)

従ってこのモデルをバラしてヘリコイド群を正しく組み上げられる整備スキルとなれば、残念ながらシロウトレベルの整備者の手に負えるシロモノではありませんね(笑) それ故にプロの整備者の手で過去メンテナンス時仕上げられていたと推測できる次第です。

↑無限遠位置が合致して、且つ絶妙なトルク感に仕上がったので完成している鏡胴「前部」を組み入れ、この後は光学系前後群をセットしてから無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。

↑光学系内の3つの群に帯びていた非常に薄いクモリも完全除去でき (その多くがコーティング層の化学反応で清掃だけでは除去できなかったので光学硝子研磨しています) ご覧のようにスカッとクリアになりました!(涙)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

散々嫌われ続けて着色しまくっていた「反射防止黒色塗料」を完全除去しても、ご覧のように鏡筒内部は真っ黒クロスケです(笑) このいったい何処に「迷光」の要素が在るのでしょうか?(笑) ましてや絞りユニットを構成するパーツさえ着色するなど、整備者の片隅にも置けません!(怒)

↑中央付近に光っているのが光学系第3群後玉の貼り合わせレンズに於けるバルサム切れの要素です。この後玉がコバ端に厚塗りされていた「反射防止黒色塗料」のせいで極僅かに斜めッていた為に (ちゃんと当初バラしている最中の取り出し時にそれを確認する手法を執っているから判明した次第) そもそもバラす前の実写確認でピント面のピークにフリンジが纏わり付いていたのです!(怒)

従って、現在はバルサム切れが進行する要素は皆無ですから、このままご使用頂ければまだまだ数十年活躍を期待できます(涙)

↑「反射防止黒色塗料」などで着色などせずともご覧のようにちゃんと絞り羽根が閉じて入射光を遮蔽してくれます(笑) いったいどうしてここに「迷光」の要素を見出すのでしょうか? 本当に必要以上に「迷光」にこだわる整備者が多いので、毎度の事ですが閉口です(涙)

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑アルミ合金材で造られている筐体外装ですが、ちゃんと「濃いブル〜の基色を使ったメッキ塗色」で仕上げられており、感無量な感じです(涙)

塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」のみを使い、当方独特な特異な操作性でちゃんと仕上がっています。特に前述したようにこのモデルのピントの山は「スパッと一瞬でピークを迎える」ので、それを考慮したトルク感に仕上げてあるので、愉しみながら撮影に臨めると思います(涙)

・・まだまだ活躍の場がこのオールドレンズにも訪れます!(涙)

↑調べてみれば、なかなか由緒ある国と街で紆余曲折の中で時代に翻弄されながらも生き残ってきた大変貴重な逸本です!(涙) ナチスドイツのユダヤ人迫害に遭いながらもちゃんとこのようなカタチとして自らの人生の中で「成し遂げた威光」を、まるで眺めているかのような気持ちにもさえなり、本当に素晴らしいオールドレンズだと思います(涙)

次の整備にはもう立ち合えませんが(涙)、是非とも再びこのオールドレンズを愛おしく想いを馳せてくれる整備者の手に渡らんが事を願いつつ、今回のオーバーホール作業を終わりにしたいと思います。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

 

↑当レンズによる最短撮影距離1.26m附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

如何ですか? このピント面の鋭さ!(驚) 当初バラす前の実写チェックでは、この時に既にピント面にフリンジが纏わり付いていました(涙)・・そんなのあり得ません!(涙)

そもそも最近のヤフオク! 内でも「マウント改造」を謳って出品している出品者が多くなりつつありますが(笑)、その仕上がり後の実写を観て「どうしてピント面にフリンジが憑き纏っているのに平気で出品しているの」と言いたくなります(笑) そのフリンジがモロ見えの実写を出品ページに載せているので「そもそも作業時からして光軸ズレ/偏心に対する意識が全く無い!」としか言いようがありません(笑)

以前当方宛まるで「駆け込み寺」の如く質問を投げかけてきた人達が数人居ましたが(笑)、少なくとも当方は「光軸ズレ/偏心」がコワイのでマウント改造などほとんど作業しません。当方がヤッているのは技術スキルが何しろ低いので(笑)、せいぜい「サンコイチ/ヨンコイチ」で構成パーツを散々組み合わせてマウント改造している始末ですから (例えばペトリカメラ製品でMCタイプのM42マウントモデル製作など)、とても切った貼ったのマウント改造や接続環の類を被せてイモネジ固定に頼るマウント改造など「まるで異次元の話」です(笑)

当方などはそっち方面のプロではないので(笑)、是非ともそのようなマウント改造を処置しているヤフオク! の出品者宛に質問を送って頂きたいと切に願うところで御座います(笑) 少なくとも当方が過去に仕上げた同型モデルのオーバーホールでは「ピント面にフリンジが憑き纏わない」のを当然ながら (簡易検査具ですが) 検査して微調整済ですから、オーバーホールが終わった時点でピント面にフリンジが附随する事はあり得ませんね(笑)

もっと言うなら、それら改造を謳うヤフオク! の出品者の中で出品商品のオールドレンズで撮影した実写を「一切の手を加えず素のままに掲載」と出品ページに謳っていますが、実際ピント面をチェックすれば「アンシャープマスクを僅かに加えている」のがモロバレなので(笑)、それでも憑き纏うフリンジを残している時点で「この出品者の頭ン中には光軸ズレ/偏心と言うコトバがそもそも辞書に無い」としか言いようがありません(笑)・・ヤッていることと述べていることがあまりにも『低俗すぎ』ですョねぇ〜(笑) さすが当方と同じ穴の狢たる『転売屋/転売ヤー』のヤル事です!(笑)

話が反れました。このモデルのネット上の実写を幾つか観ても強く感じましたが「独特なピント面のリアル感を写し込むチカラが凄い」中望遠レンズだと、改めて感心した次第です!(涙)

↑絞り環を回して設定絞り値「f5.6」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f8」で撮影しました。

↑f値は「f11」に上がっています。

↑f値「f16」での撮影です。

↑f値「f22」です。背後のお城の開口部にちゃんと背景紙の柄が映っているダイナミックレンジの広さがたいしたモデルです!(驚)

↑最小絞り値「f32」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっている状況ですが、それでもこれだけ頑張って写し込んでくれています(涙)・・素晴らしいモデルです!(涙)

今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。引き続き次のオールドレンズの作業に移ります。