◆ TAMRON (タムロン) tamron 24mm/f2.5 BBAR MULTI C.《初期型:アメリカ向け輸出仕様》(ADT)
(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産は
TAMRON製超広角レンズ・・・・、
『tamron 24mm/f2.5 BBAR MULTI C.
《初期型:アメリカ向け輸出仕様》(ADT)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた10年前からの累計で当時のTAMRON製超広角レンズ「24mm/f2.5」の括りで捉えると累計で4本目にあたりますが今回扱った個体「初期型」だけでカウントすると僅か2本目です。
この独特な筐体意匠を纏った「アメリカ向け輸出仕様モデル」に関して、前回オーバーホール済でヤフオク! してから2年が経ってしまいましたが、来年夏の引退までの扱いは残念ながら今回が最後になります。
特にこの当時のTAMRON製オールドレンズの独特なアンバーに振れた発色性に魅力を感じる方は是非ともご検討下さいませ。また今回の扱い個体は「初期型」なのでその画の質としても後に登場した「01B (1979年発売)」或いは最後の「01BB (1989年発売)」に比べまだまだ収差の影響が色濃く残っていた時代のモデルとも言え、特にマウントアダプタ経由で今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼に装着して撮影するなら「むしろこの独特な収差の影響と発色性の傾向が病みつきになる」との狙いから今回の扱いを決めた次第です。
しかしそうは言っても何しろ完全解体するのが相当ハードですし、そもそも実は単にバラした時の順番でそのまま単純に組み上げていくと「決して適切な微調整に至らない」と言う何とも天の邪鬼な設計を執っているが為に、おそらくは当初バラすにしてもまともに解体できる方はとても少ないと思います。
どうしてこのモデルがそんなに天の邪鬼な性格の設計なのかについて今回は解説していきたいと思いますが、そもそも前回扱った2年前の個体は「イモネジの固着が酷く完全解体が叶わなかった」点からしても、今回完全解体できた点で当方にとり大きな進展でした。
そして何よりもその「天の邪鬼な設計」を発見できた事が何よりも大きな成果だったと受け取っています (但しそのおかげで組み立て工程での微調整には相当手を焼いてしまった)。
なお、このモデルの全体を通した組み立て工程の解説などは前回扱った時のブログがあるのでこちら『BBAR MULTI C. 24mm/f2.5《輸出仕様》(ADAPTALL)』のページをご参照下さいませ。
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。何しろ今回の扱いが2本目ですから、前回扱った個体がイモネジの固着が酷く完全解体が叶わなかっただけに今回の個体で完全解体できたのが当方にとり最大の成果です。
とは言っても解体できなかったのは鏡筒周りだけだったので、部位別に捉えるならそれほど多くの部位で構造化が判明した話ではありません。
ところがこのモデルで最も重要な構造化だった箇所が「まさに鏡筒周り」だったので、さすがにこのような話については現実に解体してみないと分かりません。
↑焦点距離24mmなので当然ながら光学系はレトロフォーカス型構成で、当時からして相応に大口径な光学系第1群 (前玉) から順番に小径に向かう光学設計を執っているのは自然な話です (別にTAMRONだけに限った話では決してない)。
従って後群側の方向に向かいながら光学系の格納筒にセットされている光学硝子レンズが「どんどん小径に変化していく」からこそ上の写真のように「小っちゃな/コンパクトな鏡筒サイズ」なのが理に適います。
鏡筒は絞りユニットや光学系前後群を格納する役目になります。上の写真で赤色矢印で指し示している箇所が「光学系後群側の光学硝子レンズ格納筒」にあたります。
するとここが先ず最初の「観察と考察」になりますが、鏡筒が内側/外側の別なく全てが「マットで微細な凹凸の梨地仕上げ」に仕上げられているにもかかわらず、赤色矢印で指し示している光学系後群側の格納筒だけが「内壁がアルミ合金材のまま」である点に着目する必要があります。
逆に言うなら上の写真は前玉側方向から撮影している鏡筒の写真なので、光学系前群が入るべき鏡筒内部が「マットで微細な凹凸の梨地仕上げ」で設計しているとも言い替えられます。
すると光学系前群側が「マットで微細な凹凸の梨地仕上げ」なのに、どうして後群側だけが「アルミ合金材のまま」なのでしょうか???
どうして光学系後群側も前群と同じように「マットで微細な凹凸の梨地仕上げ」に仕上げなかったのでしょうか???
このような話が「観察と考察」であって、単に分解してバラすのではなく「どうしてこのような構造に設計したのか?」との疑念を抱かない限り、或いは疑念と共にその答えを見出さない限り「このモデルの組み上げに際し最も適切な微調整が分からない」とも指摘でき、単にバラした時の逆手順でしか組み上げられない話になってしまいます。
・・それではせっかくバラして整備した意味がありませんね(笑)
例えヘリコイドグリースを入れ替えて絞り羽根の油染みを除去して光学系を清掃したとしても「適切に微調整されていない」個体では何の意味も成しません。
絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。
◉ 位置決めキー
「位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー
◉ 開閉キー
「開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー
◉ 位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)
◉ 開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環
↑この当時に登場した他のTAMRON製オールドレンズと同じですが、鏡筒内部にセットされる絞りユニットの基本構成はこの4点になります。
直接鏡筒内部に絞り羽根を組み込む手法を採らず「敢えてワザワザ絞りユニットのケースを用意して、そこに絞り羽根を組み込んでいく手法」を採っています。
するとこの絞りユニットの内部にセットされる各構成パーツの仕様諸元などをイジるだけで別の焦点距離の絞りユニットを構成することが実現でき、いちいち個別に専用設計する手間とコストが省けます。
よくオールドレンズに於ける製造時のコスト削減で「使用する金属材の量を減らす/材質を変更する」など挙げる場合が多いですが、実は実際に金属加工している製造会社を取材するとそれはシロウト感覚の思い込みとのご指摘を頂きました。
製造メーカや組み立てメーカーで最もコストが掛かる要素は「材質でも部品点数でもなく工程 (製造時の他組み立て時も含めての) 管理」だとご教授頂きました。
要は金属材の質や量を変更しても期待したほどのコスト削減には至らず、むしろ工程管理面から例えば金属材を使わずエンジニアリング・プラスチック材に変更したほうが工程面で大幅に工程数を減らせる場合もあり、そこで一番金食い虫なのは「一にも二にも (下手すると三にもくらいの勢いで) 人件費」しかないと教わりました。人件費が関わる工程の場合はその時間と賃金の関係性が強いものの、それらの制御は必ずしも計算できるとは限らないのがリアルな話で、機械化が進んでいればそれらの計算がし易い場合も多いようです。
当然ながら詳しい話は分かりませんが、シロウト考えだけではこのようなオールドレンズという単純な構造の工業製品でさえも、真に正しく内部の構造化を理解する事は難しいのかも知れません。
そのような以前取材した時の知識のおかげで「観察と考察」のレベルも向上し、だいぶ精度が上がりました (社長さんありがとう御座いました!)。その会社の社長さんが趣味でオールドレンズをイジっているものの当方のブログをご覧頂き、是非とも会って互いに有意義な時間を創りたいとのご要望に、むしろ当方のほうが恐縮しまくりで取材に向かいました。
午前中のお昼近くの時間をご指定頂いたものの、伺うとすぐに近場の老舗の鰻屋さんに社用車で向かい、いきなり初っぱなからご馳走に与りもぅその時点でカッチコチに緊張しまくり状態です (当方は基本人見知りするタチなので)(笑)
何しろ相手は一つの会社の社長さんですから (従業員数も相当多い) 緊張しないワケがありません(笑) このまま死んでも悔いは残らないと言うくらいに非常に美味しい鰻重を頂きながら、何とも嬉しそうに楽しそうにひっきりなしにオールドレンズについて語られる社長さんを見ているだけでとても楽しかったのを覚えています。
このブログで語っている内容にとても共感し、且つその根性に惚れまくった・・とまでお話頂き、光栄なのを通り越して逃げたいくらいに顔が熱くなっていたのを覚えています(笑)
結局金属加工業界も「急がば回れ」ではありませんが、ムリにあ〜だこ〜だ捻っても詰まるところ必ずその影響が現れるので、さらに金属加工の立場側と末端顧客の立場とは相容れない事も多いらしく、その狭間で圧を食らったり (プレッシャーのこと) 或いは曖昧すぎたりと、おそらくどの業界でもゴロゴロしている話なのでしょうが、当方には全く知り得ない業界で本当に素晴らしい体験をさせて頂きました!!!(涙)
・・話が反れました(汗)
この上の写真でのポイントは前述した「部位を構成するパーツの仕様諸元でコントロールできる設計」の素晴らしさもありますが、最大のメリットは「鏡筒内の最深部に配置される絞りユニットに制御系を収めてしまったこと」です。
実はこのような開発/設計/製造が得意なのが当時のOLYMPUS光学でしたが、そのOLYMPUSが採っていた設計では「絞りユニットがケースに収まっていなかった」点が挙げられます。つまりTAMRONはそれを「ケースに収めた絞りユニットにより一つの大きな塊のパーツとして標準化できた」点が工程面でのコスト削減に大きく意義を持ったのだと指摘できそうです。
このように当方が言うとまた批判されてしまうのですが「当時のOLYMPUSよりもTAMRONのほうが優れていたと言うのか?!」とまるでお叱りを頂戴しそうな内容です(笑) いえいえ、そんな短絡的に捉えずにもそっと緩〜く受け取るのが宜しいかと存じます。
確かに当時の評価としてはサードパーティーのTAMRONですが、その頃のオールドレンズをバラしていくと「明らかな技術の高さを目の当たりにする」のがリアルで右にも左にも一切ブレない「正真正銘の事実」です。
例として挙げるならTAMRONの「ヘリコイドのネジ山切削技術」が既に完成の域に到達しており、だからこそ「後に登場し長きに渡りその実力を明示してまるで伝説になってしまった90㎜マクロの世界 (伝説になってしまったポートレートマクロたる52B)」の存在があります。
当方も既にオーバーホールしているモデルの一つですが、そのヘリコイドのネジ山切削レベルは「決してヘリコイドグリースに頼らない平滑性を実現してしまった」とも指摘でき、相変わらず通り一辺倒に「白色系グリース」を塗りまくっている今ドキの整備会社のせいで「重いトルク感」に堕ちてしまった個体が数多く市場流通していますが、これを当時に近似した「黄褐色系グリース」にするだけでスルスルと適度な抵抗/負荷/摩擦を指に感じながらもグリグリ繰り出していく「マクロレンズの醍醐味」をそのピント合わせのタイミングに体験できます。
前述の社長さんも当方がこの点について述べていた事に感銘を受けてコンタクトしてきて頂いたのがそもそものスタート地点でした (社長さんとのお付き合いは相応に長いのです)。
詰まるところ当方はこれら金属加工会社の取材や工業用光学硝子レンズ製造会社への取材により自身の「観察と考察」がより説得力を増して、そこに「原理原則」との関係性が構築できた時点で、この『DOH』を含めた当方のオーバーホール作業に具体性/説得性が強まったと言っても過言ではありません。
ネット上ではあからさまに当方の「磨き研磨」を「外から見えないのにピカピカに磨いても意味がない」とまるで貶しまくりな評価を下しているネット上サイトがありますが(笑)、そもそも「磨き研磨」の目的を履き違えているので話になりません(笑)
例えばそのような話一つを取っても、前述の金属加工会社の社長さんは「我々が言うなら顧客も聞く耳を持つが、まるで畑違いの貴方が説明しても誰も靡かない」そんな不遇な環境の中でもず〜ッと事実に基づく自分のポリシ〜をひたすらに貫徹し続けて「さらにそこに確たる技術スキルを構築できてしまった事」がそっくりそのまま私の会社に転用できるのです。
・・とまでお話頂きました(涙) 最高の一日でした!(涙)
その後、まさか全体朝礼でお話頂いたとは再び顔が火照ってしまい大変でした(笑) 要は自分達の仕事に対してもそのくらいの職人根性を抱いてもらいたいとの訓示だったようですが、あまりにも光栄すぎて「いや、それ違います!」とは言えなかったほどです(笑)
・・当方はプロに師事した経験なく伝統技術の伝授もないのでプロでも職人でもない!
まさにSNSで相変わらず批判されまくりの「プロになれなかったド素人崩れの何処のウマの骨だか分からないスキルしか持たない整備者」とのご評価が120%の勢いで当方を現していると断言できます(恥)
最後に社用車で近くの駅まで送って頂きましたが、その運転手の方にまで「久しぶりに楽しそうな社長でしたョ、ありがとう御座いました」とまで仰せ頂き、顔面爆散状態でした(汗)
当方も自前でこのような仕事を生業として生活していますが、世の一国一城の主とはまさにこのような方なのですねぇ〜。本当に何回も穴を探したくらいに本当に逃げたいほどに恐れ多い恐縮至極な時間でした・・ありがとう御座いました!!!(涙)
・・たぶんあの時食べた鰻重に勝る鰻料理はもう食べられないでしょう(笑)
社長さんの御言葉は引退してからも大切に大切に心の奥底にシッカリしまって大事にしたいと思っています。ありがとう御座いました。
↑またまた話が反れまくりで申し訳御座いません。実際に完成した絞りユニットを鏡筒最深部に組み込んだところを撮っています。
ご覧のように絞り羽根の開閉角度を決定する「制御系」まで全てを内包してしまった設計を採っています。別にこのような設計を採っていた当時の光学メーカーやオールドレンズのモデルは他にも数多く出回っていますが、TAMRONの特にこのモデルでの「驚異の設計」はそんなレベルの話に留まりません (完全解体して初めて判明した事実)。
絞りユニットには「制御アーム」と「開閉アーム」が備わり、それぞれ他の部位からのチカラの伝達で初めてコントロールが叶います。
「制御アーム (赤色矢印)」が絞り環操作で動くと/回ると (ブルーの矢印❶) 設定絞り値が伝達されて「開閉アーム (赤色矢印)」が操作される事で (ブルーの矢印❷) 操作アームに伝わってブルーの矢印❸の動きが連係し、その際金属棒が「なだらかなカーブ」に突き当たる事で「なだらかなカーブのその勾配に従い絞り羽根の角度が決定される原理」を採っています。
別にこのような原理の制御系設計は珍しい話ではなく、当時の本当に多くのオールドレンズでまるで共通項のように採られていた設計の要素です。
その「なだらかなカーブ」は当然ながらコトバの通り「勾配を有する坂」なのですが、その頂上部分が「開放状態」を決めて、且つ勾配の麓部分が「最小絞り値」を決定づけて絞り羽根の開閉角度を決めています (グリーンの矢印)。
従って多くの皆さんがこのリアルな現実を知り得ませんが (今まで日本国内で数多くの整備者が居るにも関わらずちゃんとこのような原理をネット上に公開してこなかったから)、絞り環で設定絞り値を決めている「つもりになっているのは誰なのか?」と言えば、まさにそのオールドレンズを操作している当事者と言い当てられます(笑)
絞り環はあくまでも使用者の意思決定に即したパーツとして配置されているだけで「実際にリアルに傾く絞り羽根の角度を決めているのはこの制御環だけ!」と言う現実を皆さんは知るべきですね(笑)
そしてその「絞り羽根が閉じる時の角度」を決めているのはこの「なだらかなカーブに制御アームの金属棒が突き当たる動作」で決まっているのであって、この時に捻りバネが介在している事を誰も知りません (もちろん整備者は知っていますが)(笑)
・・何を言いたいのか???
詰まるところこの「捻りバネ」が経年で弱ってしまったら「絞り羽根開閉異常」に至る事を解説しているのです。
ところが過去メンテナンス時の整備者は (今回の個体での話として) 制御アームの微調整機能の金属製パーツに「青緑色の固着剤」を塗ったくっているだけで肝心な「捻りバネ」に一切注目しておらず、その反発するチカラの微調整を蔑ろにしてしまいました。
そのような微調整は今回のオーバーホールで適切に処置を施しましたが、おかげで凡そ近年に (数年以内) この個体が一度整備されている事が「固着剤の色合いで判明した」と明記できます。
現在市場流通している多くの固着剤が「青緑色の固着剤」だからです(笑) そもそも今回の個体はありとあらゆる締付ネジや締付ネジではない箇所まで含めて「青緑色の固着剤」を塗りたくっていたので、そのような整備を今も続けている整備会社と指摘できます(笑)
基本、製造メーカーが固着剤を締付ネジに塗布する時、「重要なのは経年で緩んで回ってしまうのを防ぐために固着剤を塗布する」ハズなので、実は「締付ネジのまさにそのネジ山部分に塗布する」のが適切なのに、相変わらず「ネジ頭に塗布している」始末です(笑)
そんな固着剤の使い方は、例えば締付ネジをドライバーで回せばいとも簡単に回ってしまい外せます(笑) しかし製造時点を維持していた個体の場合は「締付ネジのネジ山部分に固着剤が塗布されている」ので、例えドライバーで回そうにも容易く緩みません。
このような部分にも「観察と考察」が働き、合わせて「原理原則」に則るなら自ずと正しい固着剤の使い方が導き出されますね(笑)
従って重要なのは制御アームのほうではなくて「捻りバネ」の弱まりだけで絞り羽根開閉異常が起こると言う話になります。
↑上の写真は光学系前群の第1群 (前玉) 〜 第5群までの光学硝子レンズを格納する「光学系前群の格納筒」であり、ご覧のように鏡筒と同じレベルで「マットで微細な凹凸を伴う梨地仕上げ」で処置されています。
すると前述した「光学系後群側のアルミ合金材剥き出し状態の格納箇所」との対比で気づくべき要素があるのですが、ここでは敢えて伏せておきます(笑)
↑完成した (最深部に絞りユニットをセットした) 鏡筒を立てて撮影しました。上の写真上側方向が前玉の方向になります。
鏡筒の外側には内部の絞りユニットにセットされている「制御アームと開閉アーム」に附随するパーツとして「制御棒と開閉アーム」がさらに組み込まれています (赤色矢印)。
すると絞り環と連携する事で「制御アームが移動 (ブルーの矢印❶)」して具体的な設定絞り値が伝達され「開閉アームが操作される (ブルーの矢印❷)」事で瞬時に設定絞り値まで絞り羽根が閉じる時の「その閉じる絞り羽根の角度を決めているのがブルーの矢印❸」である事を前述の解説でお話しています。
↑いよいよクライマックスに向かいつつあります(笑) 今回完全解体できて初めて判明した「驚異の設計」の解説になっていきます。
完成した鏡筒をやはり上方向が前玉に当たる位置でそのまま並べていますが、ヘリコイド (オス側) にフィルター枠と光学系前群用の格納筒の4点が構成パーツになります。
ここでの最大のポイントは「ヘリコイドオス側が光学系前群用の格納筒にセットされること」です。逆に言うなら「鏡筒は何と光学系前群の格納筒にブラ下がり状態」なのが「驚異の設計」なのです。
距離環を回してピント合わせする時、その指で掴んで回している距離環は最終的に「ヘリコイドオス側が直進動するチカラに変換されて鏡筒を繰り出したり/収納したりしている原理」が内部に備わっています。
そうしないとピントあわせの時「距離環を回している」のだから、その「回転するチカラ」が何処かで「鏡筒を直進動させるチカラに変換」されないと合焦する道理が通りません(笑)
ところがこのモデルでは「鏡筒が直接ダイレクトに繰り出し/収納しているのではなくその対象はヘリコイドオス側だけ」なのに、そのヘリコイド (オス側) がイモネジで締め付け固定されるのは「光学系前群の格納筒だった」のが驚異なのです。
すると鏡筒はまるでその光学系前群の格納筒にネジ込まれるにしても「一切他に保持されることなくまるでぶら下がっている状態」なのを上の写真のブルーの矢印で指し示しています。
この当時の多くのオールドレンズでヘリコイド (オス側) はたいていの場合鏡筒に固定されてヘリコイド (オス側) が繰り出し/収納する際、同時に鏡筒も繰り出し/収納するのが一般的ですが、このモデルは「鏡筒はあくまでもブラ下がっている状況」なのです。
するとどんな事が指摘できるのかと言えば「画の光路長を適切に確保するならヘリコイドの固定位置が肝心」であると同時に「当然ながら光学系前群の格納状況と共にその下にブラ下がる鏡筒の固定状況まで重要になってくる」と言う話をしているのです。
逆に言うならヘリコイド (オス側) もフィルター枠も光学系前群の格納筒も全てが「鏡筒に集中的に締め付け固定される」のが一般的な当時のオールドレンズの設計だったにもかかわらず、このモデルはその常識を採っていません(笑)
・・それが「驚異の設計」なのです。
従ってこのモデルでの適切な光路長を担保するには「光学系前群の第1群〜第5群の格納位置」は当然ながらその格納筒のネジ込みもヘリコイドのネジ込みも最終的な鏡筒のネジ込みも三つ巴でネジ込みが重要なのが理解できます。
しかも鏡筒と光学系前群の格納筒とのセットは「ネジ込み」度合いで決まるので、厄介極まりないのです。このモデルでピント面が甘い印象との評価がネット上を観ていると多々出回っているのを知るにつけ、このような背景があったことが今回のオーバーホールで判明しました。
当時、少なくともこのような「鏡筒の懸垂式のセット方法」を採っていたのは旧西ドイツのSchneider-KreuznachやA.Schacht Ulm、Steinheil、或いはISCO-GÖTTINGENだったりしましたが、まるでそれと同じ話です。
↑こんな感じで前述の4つのパーツが組み合わさって一つに仕上がります。グリーンの矢印で指し示しているのが「光学系前群の格納筒」であってフィルター枠もヘリコイド (オス側) も鏡筒 (赤色矢印) までもそこに一極集中的に固定される設計です。
従って距離環を回してグリグリと繰り出し/収納操作をしているものの、その対象は内部では光学系前群用の格納筒であって鏡筒は全く保持されていないのが分かります。
しかしその鏡筒の外側には前述のとおり2つのパーツが飛び出ていて「一つは制御棒が絞り環と連係 (絞り環に刺さる)」から設定絞り値が絞りユニットまで伝達されるワケで、その一方「開閉アームも常に操作するチカラが加えられ続けている」と・・まるでぶら下がっている状態の鏡筒に2方向から2種類のチカラが及び続けている事を知る必要があります (しかもその影響を及ぼしている2方向からのチカラは鏡筒の横方向からチカラを及ぼしている状況なので、余計に光路長に対する影響度が高くなる)。
・・その結果距離環を回すトルクが決まってくるのがこのモデルの設計。
と知るべきです。詰まるところこのモデルで距離環を回すトルクを軽く仕上げるのは相当な技術スキルを要するとの覚悟が必要です。
もっと言うなら誰でも確認できますが「鏡筒裏側から飛び出ている光学系後群側の格納筒はゴロッと丸ごと製品の後側を見れば剥き出し状態」なので、どんだけこの鏡筒がブラ下がっている設計を採ったことに「驚異の設計」なのかがご理解頂けると思います。
・・この鏡筒を保持してくれているパーツが存在しないのですから(怖)
そんな設計でも平気でやってしまうくらいの技術力を既にこの当時のTAMRONが持っていた事を皆さんは今一度ご認識頂きたいと執拗にここまで解説してきました。決してサードパーティーと卑下するに値しない光学メーカーの一つです!!!
ちなみに鏡筒とフィルター枠の2つが光学系前群の格納筒にねじ込まれて固定されるものの、前述のとおりヘリコイド (オス側) は「イモネジで締め付け固定」です。例えばその締付ネジをイモネジではなくてプラスネジだったりにして、ちゃんと光学系前群格納筒側に「下穴」を用意して確実にネジ込みが完了して、且つそれによって自動的に適切な光路長が確保される設計を採っていれば、非常に組み立て工程もスムーズに進められると再びシロウト考えに至りますが(笑)、実はビミョ〜な光路長の微調整まで考察すれば「むしろイモネジのほうが製造メーカーには微調整の範疇が残りありがたい」との考えも見え隠れしているように思います。
従って製造メーカーならちゃんと組み立て工程時点で治具が用意されているハズなので、たいして難しかったり面倒な工程にならず、それよりも微調整の範疇を残してある事のほうが重要度が高いとの考察も浮かんできます。
・・オールドレンズはなかなか奥が深いですね(泣)
これ以降のオーバーホール工程での解説は以前扱った時のブログページ『BBAR MULTI C. 24mm/f2.5《輸出仕様》(ADAPTALL)』をご参照下さいませ。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わりました。このモデルの筐体外装のデザイン/意匠を見ると、如何にも欧米人が好みそうな一種独特なハデさがありますが、特にピッカピカにブライトブラックで仕上げられている筐体外装の仕上げもなかなか所有欲を充たしてくれると言うものです。
なお上の写真のとおりレンズ銘板に刻印されている「BBAR MULTI C.」が目を惹きます。「BBAR」はまさにその次のコトバたるマルチコーティングを現すものですが、実はこのコトバは分解できます。
「BB」は「Broad–Band」の略を現し「広帯域」を意味します。またもう一方の「AR」は「Anti–Reflection」の略であり「反射防止」を意味し、二つ合わせて「広帯域反射防止」コーティングを意味しています。
実はこの「BBAR」は現在も数多くの光学硝子製造会社で使われているコーティング種別の一つで、そもそも「AR」が反射防止コーティングを指す技術なので、その中には単層膜蒸着コーティング (シングルコーティング) や複層膜/二層膜蒸着コーティング (モノコーティング) 或いは多層膜蒸着コーティングのマルチコーティングなどあります。
コーティング対象の光学硝子材の状況にも左右され、且つどのようなコーティングを施すのかはその目的や効果など様々な与件から決まる内容なのでとても当方のようなド素人レベルで理解が進む内容ではありません(笑) また実際に蒸着させるコーティング層/反射防止被膜 (薄膜のほうです) が光学硝子材に固着するレベルも違いがあって、必ずしも蒸着したからと言って「清掃しても剥がれない」とは限らない事を皆さんも知るべきです。
例えばオールドレンズの光学硝子面のキズを研磨してキレイにしたとしても、その先のコーティング層蒸着がちゃんとその光学硝子に定着するのか否かはまた別の話で、単に光学硝子面の表層面に被膜形成しただけで「清掃しただけで除去されてしまう定着レベル」なのが、簡易版の真空蒸着釜だったりしますから、真に完全定着を狙うならそれ相応の蒸着釜設備が必要になるようです。
またそれら光学硝子レンズの表層面にコーティング層を蒸着させる加工をしている会社のホームページをチェックすればすぐに分かりますが、どのような資料をどのような被対象光学硝子に蒸着させるのかは或る特定の資料だけを使って万能の如く様々な光学硝子面に蒸着できる話でもないようなので、なかなか簡単に考えられる/話を進められる内容ではないと、当方は以前の取材で思い知らされました (ここで言う資料とはコーティング層として薄膜蒸着させる金属鉱物の種類/成分を指します)。
その意味でオールドレンズの光学硝子面を研磨してキズを無くしてキレイにする処置/加工は確かに有益であるものの、その先のコーティング層蒸着については「その対象となるオールドレンズが当時蒸着されていたコーティング層とは全くの別モノ」に至ってしまう事をちゃんと理解した上で処置を進めるべきと考えます。
もっと言うならシングルコーティング/モノコーティング/マルチコーティングなど凡そ万能的にどんなオールドレンズに蒸着しても変わりがないコーティング掃除溶着の種別が在るとするなら、ではどうして光学設計がこうも数多く乱立しているのかとの説明に合致せず、なかなかその矛盾を取り払えないのがリアルだと思います。
すると当初の製産時点やもっと言うなら光学設計者の意図を全く逸脱して「別モノ」を創り出すとの範疇に於いて「硝子研磨や新たなコーティング層蒸着」はそちらの方向性に対してのみ有意義なのではないかとも考えられ、残念ながら当方はオリジナルの状態をイジりたくないと考えている派なので賛同できませんね (決してそれらの処置を貶している話をしているのではない)(笑)
ちなみに当時の設計諸元書を見る限り例えば旧東西ドイツやそれを戦後に模倣したロシアンレンズも、或いは国内の様々な光学メーカーでもその設計誤差許容値は「±0.01〜±0.02」としているようですが、光学硝子研磨の際の許容値は「或る処では大凡±5%」らしいので、その点を以前の取材時に尋ねてみると「ウチの範囲とはちょっと違うのでどうでしょうか」とのお話だった事をここでお知らせしておきます (ホントはもっと明確にご返事頂きましたが敢えて濁しておきます)(笑)
まぁ〜それでもそれだからどうなのかと問われれば、確かにその処置を講じた個体から吐き出された画を観て、当初との相違を明確に指摘できるほどの眼力が在るのかと逆質されても何も返答できなかったりします (情けなさすぎ)(笑) 要は場外でキャンキャン吠えまくっている部類と一緒ですね(笑)
・・それでも当方はオリジナルを維持するほうが好きです。
↑当初バラす前は相当光学系内に汚れやクモリが多かったのですが、オーバーホール後の状況はスカッとクリアになり光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。
但し前玉中心辺りに経年の擦りキズが僅かに残り、また光学系内の一部の群には非常に微細な点キズがパッと見で「微細な塵/埃」に見えがちですが残っています。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑光学系後群側も同様、LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。但し極微細な点キズは少々多めです。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後玉に微かな点状カビ除去痕が複数あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大8mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:あり
(前後玉に点状カビ除去痕複数残っています)
(前後玉に極微細な経年の拭きキズ数箇所あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。
↑5枚の絞り羽根もキレイになり絞り環やA/M切替スイッチ共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正五角形を維持」したまま閉じていきます。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
もちろん「光沢剤」などを使って処置していないので、確かに「ブライトブラックの光彩を放つ筐体外装の美しさを取り戻している」としても、それは当方の手で処置した「磨きいれ」による結果ですので近い将来にポツポツと錆が出てきたりすることもありません(笑)
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が指に伝わります(擦れ感強め)。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
① HAKUBA製WIDE MCレンズガード (新品)
② 本体『tamron 24mm/f2.5 BBAR MULTI C.
《初期型:アメリカ向け輸出仕様》(ADT)』
③ 純正樹脂製スナップ式前キャップ (中古品)
今回の個体にはマウントアダプタが附属していないので金峰寺は光学硝子レンズに対応したワイパーで来るんで発送します。
↑一応、手元にあるK&F CONCEPT製のTAMRON製オールドレンズ用マウントアダプタにも問題なく装着が適い、合わせて装着時も外す際も何一つ違和感なく軽い操作性で着脱ができることを確認済です。もちろんガタつきも起きていない事をチェック済ですので、今回の機会に新たにマウントアダプタをご用意頂く方はK&F CONCEPT製の製品なら安心かも知れません (但し当方がチェックしたのはSONY Eマウント用の製品だけです)。
なお、同じK&F CONCEPT製マウントアダプタの中で「TAMRON ADAPTALL2 → M42マウントアダプタ」は確実に装着でき着脱も硬くなったりしませんが基準「●」マーカーの位置が90度反時計方向に向いてしまい上の写真で言えばちょうどマウントアダプタの右端側面を向いている位置で装着されますから「M42マウントアダプタ」に変換する製品を後予定の方は「M42マウントアダプタに装着後そちらのマウントアダプタ側のほうでネジ部の位置を90度回して適合させる必要がある」事をお伝えしておきます (もちろんいずれもちゃんと無限遠位置が適合していて全く正常に使えます)。
その他、絞り環操作も小気味良くクリック感を伴い確実に駆動していますが「A/M切替スイッチ」の切替時は少々硬めと言うかシッカリした操作性です。これは内部の鋼球ボールのマチが備わっていないので改善できません (おそらくそう言う設計なのだと思います)。合わせてマウント面に位置する「絞り連動ピン/車輪」の動きもちゃんと確認済で、その挙動と共に「絞り羽根への反応/伝達」も適切で確実である事を既に確認済です。
当然ながら絞り羽根開閉異常は一切無く、合わせて各絞りでの絞り幅も簡易検査具で適正である事を確認しました。但しフィルムカメラに装着しての「AEモードでの挙動チェック」は実施していませんのでご留意下さいませ。
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当レンズによる最短撮影距離25cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。開放がイキナシとんでもない収差の嵐の中の写り具合ですが(笑)、実はこれが楽しかったりします。もちろんピント合わせ時はちゃんと明確なピント面がミニカーの手前側ヘッドライトの「まさに電球そのモノに合焦」しています。f値「f4」で多少その傾向が落ち着いてきましたが、まだまだその余韻が残っています・・強烈です(笑) この収差はちょっとクセになりそうです(笑)