◎ PETRI CAMERA CO., INC. (ペトリカメラ) C.C Auto Petri 35mm/f2.8(PB)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わってご案内するモデルは、国産は
ペトリカメラ製の準広角レンズ・・・・、
C.C Auto Petri 35mm/f2.8 (PB)』です。
(オーバーホール/修理ご依頼分につきヤフオク! 出品商品ではありません)
            ※当方データベース記録用として無償にてブログ掲載しています


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回オーバーホール済でご案内する個体は「オーバーホール/修理ご依頼分」にて承りました。当方がオーバーホール作業を始めた10年前からの累計でも初めての扱いになるペトリカメラ製の準広角レンズです。

今回の個体はバラしたところ過去メンテナンスが最低でも2回施されているように見えますが、どう言うワケか光学系の清掃は1回だけのようです。その回数を推測した根拠はヘリコイドグリースに古い固形化した「黄褐色系グリース」と言うよりも「潤滑剤」のほうを塗ったように見える一番古い時代に施されたメンテナンスの後に、おそらく近年10年以内で「白色系グリース」を塗布したメンテナンスが1度古いグリースを除去せずにその上から塗り足しています。

しかし直近のメンテナンス時には何故か光学系を開けなかったようで、特に光学系前群の光学硝子レンズ格納筒の固着は「だいぶ古い時代の固着剤でほぼ全周に塗ってガチガチに固着させていた」整備を行っています (現在の整備ではほぼ使っていないタイプの固着剤)。

またおそらく清掃したとしても光学系後群側だけを取り外したようで、後群の格納筒には一部に「反射防止黒色塗料」が着色されていました。

逆に言うとその古い時代のメンテナンス時には一切「反射防止黒色塗料」を着色しておらず、且つおそらく完全解体までしてオーバーホールしたのだと推測できる痕跡が残っています。

光学系後群の第4群と第5群の光学硝子レンズはコバ端のみならず入射光が透過する光学硝子面にまで相応にはみ出して着色していたので、今回のオーバーホールでは当方にて溶剤を使い全て除去しています。当方では基本的に理由がない限りは「反射防止黒色塗料のインク成分が飛ぶ懸念」からオーバーホールに際し着色しません。

インク成分が経年でコーティング層に頑固にこびり付く現象 (とても薄いクモリに見える) の他に、例えば光学硝子レンズのコバ端に「反射防止黒色塗料」を着色していた為に、光学硝子レンズ格納筒への収納時にキツキツすぎて「光路長を保てず極僅かに甘い印象のピント面に至っていた」個体も数多く見てきていますし、最悪のパターンでは簡易検査具ですが当初バラす前の実写確認時に「光軸ズレ」が起きていた個体もありました。

或いは前回のオーバーホール工程でも解説しましたが、貼り合わせレンズの取り出し時に接着面たるバルサム切れの影響から汚れ状に白濁が進行してしまう事もあります。通常格納筒からすぐに工具を使って取り出せない場合は「加熱処置」を施しますが、それでも微動だにしないからと下手に加熱を繰り返すとむしろバルサム剤を剥離させてしまう結果に繋がる事もあり、何にしてもこの「反射防止黒色塗料の着色」と言うのはなかなか厄介です。

・・基本当方では「迷光」に一切こだわらないので反射防止黒色塗料を着色しません

何度も述べますが、以前工業用光学硝子製造会社様に取材させて頂き「迷光を気にする意味の無さ」をご教授頂いたので、当方のオーバーホール作業では基本的に理由がない限りは着色しません。

その取材時にご担当頂いた方に「そんなに迷光を問題視するなら、ではどうして絞り羽根をマットな黒色 (マットな漆黒) に造らないのでしょうか?」と逆質されて全く返答できませんでした (ッて言うかまさに目から鱗状態)(恥) マジッで穴があったら入りたいとこの時ほど思った事はありません(笑)

その後にたまたまネットでニュース記事を読んでいて、その取材時にご教授頂いた内容をさらに補強する話で至極納得できたのを覚えています。

そのニュース記事では日本の塗料会社が「光吸収率99.4%というマットな漆黒の黒色塗料」を開発したと謳っており、且つニュース記事の結びとして「人工衛星に搭載する光学製品の迷光に期待が持てる」とありました。この時初めて「迷光というコトバを広く公に語る一般向け文章の中に見た」ような気がしました (オールドレンズ沼界隈ではよく見かけるコトバだが)。

逆に言うなら今まで10年間オーバーホール作業をしてきて、凡そ3,000本以上をバラしましたが、確かに教えて頂いたとおり「マットなブラックの絞り羽根を見た記憶がない」ですし、もっと言うなら彼のライカ製オールドレンズですら実装している絞り羽根は「シッカリした厚みがありながらもメタリックグレーの絞り羽根」なのが明白です (何本もバラしているから)。

入射光を遮り具体的にf値を制御する絞り羽根が表裏で「メタリックグレー」となれば、入射光が光である以上「波長/波動」なので絞り羽根の表面で反射した光は「乱反射」として影響を来し、且つ絞り羽根の裏面に潜り込んだ光も同様に透過する入射光に対して「余計な立場」なのは歴然です。

そのような話を述べつつも仕舞には顔が火照ってしまい本当に恥ずかしかったのを今でも昨日のように思い出します (顔が火照る)(笑)

そんな次第で「反射防止黒色塗料の着色」の多くは実は過去メンテナンス時の整備者の「自己満足大会」でしかなく(笑)、却ってそれが原因で経年で悪影響を及ぼしている始末で「真に迷光処置が必要なケースはとても少ない (その場合は確実に着色して迷光を改善させるべき)」とも言えるので、当方ではちゃんと「観察と考察」を行い処置している次第です。

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1907年に写真用品メーカーとして「栗林製作所」から始まり「栗林
写真機械製作所
栗林写真工業」を経て最後の社名であった「ペトリ
カメラ
」と変遷しています。
(左写真は1959年当時の栗林写真工業梅島工場の様子)

戦後の海外進出動向を探ると、1958年にニューヨーク事業所を開設し1962年に「ペトリカメラ」に商号変更しますが1965年時点での輸出比率は80%を越える状況でした。

1960年に「Petriマウント」に仕様変更してから僅か5年で8割を越える輸出に軸足を移していた事になり、国内需要の低迷が相当堪えていたのでしょうか。

ところが海外需要も独自マウントの「Petriマウント」より指向先販路からの要求は根強い需要が期待できる「M42マウント」による展開だったのかも知れません。1972年時点での海外輸出モデル製産はどうやら「M42マウント化への回帰」だったようです。

ここから一眼レフ (フィルム) カメラのマウント規格「M42マウントPetriマウント」2つに 絞ってその変遷を追っていきます。最後期 (倒産後) に登場した「PKマウント」モデルについては今回省きます (長いのでフィルムカメラに興味関心がない方は飛ばしてください)。

1959年自社初の一眼レフ (フィルム) カメラとして「Petri PENTA」を発売しますが、この時のマウント仕様は「M42マウント」のネジ
込み式でした (プラクチカ・スクリューマウント規格)。

ところが翌年の1960年にはいきなりブリーチロック式のスピゴット
マウント「Petriマウント」に変更してしまいます。

ブリーチロック式とは「爪が備わる締付環側を回して締め付け固定する方式」を指し、スピゴットマウント方式はCanon方式と同じようにオールドレンズは単にフィルムカメラ側マウント部にあてがうだけで (ハマる位置が決まっている) 締付環を回すことで初めて締め付け環側の爪が締め付けて固定してくれる方式を言います。従ってオールドレンズをマウント部にあてがう際ちゃんと手で保持していないと落下の危険性が伴います (ブリーチ環を回す前に手を離すとオールドレンズが落下する/填まる位置が決まっていても保持されるワケではないから)。

一方バヨネットマウント方式は「オールドレンズとフィルムカメラ側の両方に備わる爪同士が互いに噛み合う方式」なので、リリースキーを目安にハメ込んだ後、オールドレンズを捻って回すと互いの爪が噛み合ってロックされる方式を指します。従ってオールドレンズを捻って 回す際に必ず保持しているので、不用意に落下する懸念が相当低くなる方式です。

先日のブログ掲載同様に今回も当時発売されたペトリカメラ製一眼レフ (フィルム) カメラを実系列でまとめて自分の参照用として残します。

《ペトリカメラ製一眼レフ (フィルム) カメラ発売時期》
以下掲載一眼レフ (フィルム) カメラ以外にも多数在ります

Petri PENTA (M42)1959年発売
Petri PENTA V (PM):1960年発売
Petri Flex V (PM):1960年発売
Petri Flex V (PM):1960年発売

Petri Flex V2 (PM)1961年発売
Petri PENTA V3 (PM):1964年発売
Petri Flex 7 (PM):1964年発売
Petri PENTA V6 (PM):1965年発売

PETRI FT (PM)1967年発売
PETRI FT EE (PM):1969年発売
PETRI V6II (PM):1970年発売
PETRI FTII (PM):1970年発売

PETRI FTE (PM)1973年発売
PETRI FTE (PM):1974年発売
PETRI FA-1 (PM):1975年発売

PETRI FTX (M42)1973年発売
JC Penney SLR3 (M42):1973年発売
PETRI TTL (M42):1976年発売
PETRI FT-1000 (M42):1976年発売

FOCAL (PETRI TLR OEM) (M42)1977年発売
FOCAL (PETRI TLR OEM) (M42):1977年発売
PETRI FTL (M42):1977年発売 (詳細不明)
PETRI MF-1 (M42):1977年発売

PETRI MF-10 (M42)1980年発売
PETRI MF-2 (M42):1980年発売 (詳細不明)

PETRI MF-101A (PK):1982年発売 (詳細不明)
PETRI GX-1 (PK):1982年発売 (コシナ製OEM)
PETRI GX-2 (PK):1982年発売 (コシナ製OEM)
PETRI GX-3 (PK):1982年発売 (コシナ製OEM)

・・とまぁ〜羅列するとこんな感じですが、他にもとんでもなくまだたくさん残っていて、特に1975年にペトリカメラが倒産してから以降の発売製品は一部が組合のほうで残っていた部品を使って仕上げたようですし、他にも他社OEM製品が多数存在していてそもそも製品名が違うのでさすがに気力が失せました(笑)

すると上の一覧の中で赤丸数値は取扱説明書を確認でき、その掲載オプション交換レンズ群から今回扱った焦点距離たる「35㎜準広角レンズ域」をチェックしていくと以下のようになりました (ちなみに青丸数値は取扱説明書を確認できていません)。

↑左端から・・・・、

K,C, Petri Orikkor 35mm/f3.5 (zebra) (M42):1959年〜1960年
Petri Orikkor 35mm/f3.5 (two-tone) (PM):1960年〜1964年
C.C Auto Petri 55mm/f1.8 (silver) (PM):1965年
C.C Auto Petri  55mm/f1.8 (black) (PM):1967年〜1970年

C.C Auto Petri 35mm/f2.8 (two-tone) (PM):詳細不明
C.C Auto Petri 35mm/f2.8 (two-tone) (PM):詳細不明 ← 今回の扱い品
C.C Auto Petri  35mm/f2.8 EE (two-tone) (PM):1969年〜1975年

上記掲載のオールドレンズは焦点距離35㎜の準広角レンズを探したのですが、一部はどうしても発見できず仕方なく標準レンズを載せています。

最後の焦点距離35㎜準広角レンズ3本を見ていくと、左端は「A/M切替スイッチの使用が違う」と同時に距離感の距離指標値の中で「メートル表記が赤色」です。但し光学系の写真をチェックすると全く今回扱った個体と同一のように見えるので、単純に筐体の操作方法が一部異なっているだけの相違点です。

なお、当初1959年に発売した一番最初の「M42マウント規格モデル」のセットレンズだけが新規設計だったようで、おそらく一眼レフ (フィルム) カメラ「Petri PENTA (M42)」のセット用標準レンズとして戦略的に間に合わせたようなイメージで、その一方でオプション交換レンズ群が全て「ゼブラ柄」でしかも多くのモデルでプリセット絞り機構を装備している「円形絞り方式」となれば、現実的な話で1959年当時はセット用標準レンズを用意するだけで精一杯だったように伺えます。

・・左端から順にセット用標準レンズを並べました。

C.C. Petri Orikkor 50mm/f2 (M42):1959年 4群7枚変形ダブルガウス型構成光学系
C.C. Petri Orikkor 50mm/f2 (PM):1960年 4群6枚ダブルガウス型構成光学系
C.C. Petri Automatic 55mm/f2 (PM):1961年 4群6枚ダブルガウス型構成光学系
C.C. AUto Petri 55mm/f2 (PM):1962年 4群6枚ダブルガウス型構成光学系

・・と上の羅列フィルムカメラの中で順に 辺りのセットレンズとして準備された標準レンズですが、最初のOrikkorだけが「50mm/f2の4群7枚構成」と言う特異な光学設計を採っていましたから、その写りもまた趣が深いと言うものです(笑)

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↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
左端からシャボン玉ボケと言うよりもリングボケ〜玉ボケ辺りの実写に見えますが、そうは言ってもこれだけちゃんとした円形で表出できてしまうところが「標準レンズじゃなくて準広角レンズなのに?」的な新鮮なオドロキを伴い、なかなか調べていて楽しかったです(笑)

円形ボケのエッジが相応に制御できるようなので、これはこれで凝ってしまうといろいろ楽しめそうです。また右端のように収差ボケを超越してトロットロに滲んでくる素直さが「まるで初代のOrikkor姫のよう (Orikkor 50mm/f2のこと)」で何とも美しいと溜息です(笑)

二段目
なにしろ準広角レンズ域となると標準レンズに比して圧倒的に実写レベルがガクンと落ちますから枚数が少ないです。当方は基本的にAngenieuxも含め決してアンチ派ではないので、レトロフォーカス型構成の光学系を実装したオールドレンズも大好きです。

実際上に並べた4枚の実写を観ただけでも確かに「基本成分たる3群4枚のテッサー型の如く相応に鋭さを保ったピント面を残してくれる」のが観ていてス〜ッと入っていける暗黙の納得感があったりします。そのクセ例えば左端の紫陽花に纏わり付く収差ボケが決して誇張的でなくて何となく曖昧なところがむしろステキですし、2枚目の「微かに滲んでいる様」などはひんなピント面を撮ってしまう写真スキルの高さに感心します。3枚目〜4枚目を観てもディストーションが少なく (ネットで言われるほど樽形に感じない)、確かに黒潰れでアンダー域には相当弱い性格なれど、決してハイキーに寄らずに人の瞳で観たがままに素直な写り、いえ、もっと言うなら「記憶色や記憶シ〜ンをちゃんと留める頼り甲斐」をネット上で無名モデルと揶揄されつつも、当方はむしろそんな印象を強く抱きました。

・・巷のサイトでも決して貶すだけで終わらせるべきではないとむしろ思いますね。

光学系は典型的なこの当時の5群6枚レトロフォーカス型構成で、右の構成図は1950年に世界で初めて開発され登場したフランスはP. ANGÈNIEUX PARIS社製の準広角レンズ「RETROFOCUS TYPE R1 35mm/f2.5」になり、特に 部分で色付けした基本成分からして「3群4枚エルマー型」なので、必然的にピント面の解像度が高いと容易に察する事が適います。

従って巷で評価される「レトロな写り」或いは「ハイキ〜な写り」との受け取り方は当方には甚だ差別的に聞こえます。そもそも戦前戦後で主流を占めていたのはバックフォーカスが短い一眼 (フィルム) カメラやレンジファインダーカメラでしたから、そこにクィックリターンミラーを装備した一眼レフ (フィルム) カメラが登場して慌てて開発されたのが「レトロフォーカス型」です。

まるで言葉の綾をとっているが如きな話ですが「レトロ後退 (させる)」にプラスして「フォーカス焦点 (を)」なので、印画紙たるフィルム面迄の距離が長くなってしまった分、結像点を延伸させる目的が「レトロフォーカス」たる造語の意味なので、これを「古めかしい/レトロチックな」と受け取ってしまう事に齟齬が生まれています。

上の右構成図を確認すれば明白なとおり、基本成分にテッサー型構成を持ってきているので甘い写りになるハズがありません。画の周辺域での収差を指摘しても、そんなのは当時のオールドレンズにすればどれも五十歩百歩だったのではないでしょうか。

詰まるところバックフォーカスを延伸させる目的で前衛に凹メニスカスと両凸レンズを配置しただけの話なので、ハイキ〜だったり甘い写りに至るのは「むしろ個体の光学系の問題」と当方ではみています (特に第2群〜第3群のクモリが多い)。もちろん最後の後玉自体が貼り合わせレンズですからバルサム切れが生じていれば微かに白濁化が始まっていても不思議ではありません。

今回扱った個体を完全解体した後、光学系の清掃時に逐一各群の光学硝子レンズを当方の手でデジタルノギスを使って計測したトレース図が右図です。当然ながら同じ5群6枚のレトロフォーカス型構成で、且つ基本成分まで同一の 部分たる3群4枚エルマー型構成です。

フランジバック
レンズマウント面から撮像面 (フィルムカメラならフィルム面でデジカメ一眼/ミラーレス一眼ならば撮像素子面) までの距離

バックフォーカス
光学レンズの後玉端から撮像面 (フィルムカメラならフィルム面でデジカメ一眼/ミラーレス 一眼ならば撮像素子面) までの距離

貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤 (バルサム剤) を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す

バルサム切れ
貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態

ニュートンリング/ニュートン環
貼り合わせレンズの接着剤/バルサム剤が完全剥離して浮いてしまい虹色に同心円が視認できる状態

フリンジ
光学系の格納が適切でない場合に光軸ズレを招き同じ位置で放射状ではない色ズレ (ブルーパープルなど) が現れてエッジに纏わり付く

コーティングハガレ
蒸着コーティング層が剥がれた場合光に翳して見る角度によりキズ状に見えるが光学系内を透過して確かめると物理的な光学硝子面のキズではない為に視認できない

フレア
光源からの強い入射光が光学系内に直接透過し画の一部分がボヤけて透けているような結像に至る事を指す

フレア
光源からの強い入射光が光学系内で反射し乱反射に至り画の一部や画全体のコントラストが 全体的に低下し「霧の中での撮影」のように一枚ベールがかったような写り方を指す

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。内部構造は他のペトリカメラ製オールドレンズと同一の設計概念を踏襲しています。このモデルに限った構造としてはそもそも準広角レンズなのでレトロフォーカス型構成の光学系で、特に光学系前群の延伸筒の分だけ筐体が長いことくらいです。

但し長いのは「筐体全体の長さ」であって「光学系前群の延伸筒」を鏡筒に継ぎ足している設計概念があるからで、その結果として筐体全体が長くなる点をシッカリ光路長確保に繋げられれば本来の鋭いピント面を確保できます (何故なら光学系の5群6枚レトロフォーカス型構成の基本成分が3群4枚のエルマー型だから)。

従ってこういうオールドレンズにしてもその組み立て工程の中で光学系をどう仕上げていくのか、そのポイントが光学系構成をちゃんと知っていて仕上げられるのかが問われるワケで、単にバラして組み立てるだけで必ず鋭いピント面に至るとは限りません(笑)

このブログで何度も指摘している「反射防止黒色塗料の塗りまくり」もその一つで、それがどのように影響してしまったのか「観察と考察」を進めつつ仕上げれば、このブログページ最後の実写のとおり鋭いピント面に至る次第です。

それをレトロフォーカス型だから多少甘いのは仕方ないと思い込んだまま仕上げてしまうから「そのような個体が横行してしまっている」ワケで、例えば5群5枚のレトロフォーカス型なら「基本成分は3枚玉トリプレット型だからテッサーに比して僅かに鋭さには不利」など事前情報として吐き出す画の想定をある程度考えられると言うものです。

そういう考察などから組み上がった画の実写をチェックして納得できるかが問われられていると認識すべきですね(笑)

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。前述のとおりこのモデルの場合は準広角レンズなのでこの鏡筒の先にもう一つ「延伸筒」と言う光学系第1群〜第3群までを「光学系前群」として一括でこの鏡筒にネジ込む設計を採っています。

しかしそれだけで話を終わりにしてしまうからちゃんと適切に仕上げられません(笑) その「延伸筒」の中で本当にこの鏡筒から飛び出ているのがどれなのかを把握しないと意味がありません。

このモデルでは「第1群の前玉だけが鏡筒から飛び出ている配置」なので、第2群と第3群がポイントになるのが分かります。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑6枚の絞り羽根を組み付けて鏡筒最深部に絞りユニットをセットしました。

↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。上の写真上側方向が前玉側の方向になります。

↑今度は鏡筒をひっくり返して後玉側を上に向けて撮影しています。すると鏡筒裏側に幾つもの制御系パーツが備わっています。

実際に絞り羽根をダイレクトに開いたり閉じたりしているのは左横に飛び出ている「開閉アーム」です (赤色矢印)。一方右端に配されている「伝達カム」が実は絞り羽根の開閉角度を伝える役目なので、ここで設定絞り値に見合う絞り羽根の具体的な角度が決定します。

そしてとても重要なのがグリーンの矢印ブルーの矢印で指し示している2つの「バネ類」です。グリーンの矢印のほうは引張式スプリングで互いを引き戻す力を及ぼします。他方、ブルーの矢印で指し示しているのは「捻りバネ」なので、このバネ種は「反発するチカラを及ぼす」目的です。

すると互いに「引っ張るチカラ押し返すチカラの相反するチカラで操作が決まる」2種類のバネ類を配置した設計なのが分かります。

ここがポイントで特に「絞り羽根開閉異常」が起きていたりする時に「何をどう処置すれば改善できるのか?」がすぐにパッと思い浮かぶか否かがまさに技術スキルになりますが、それは実の処「原理原則」を理解しているのどうかで決まります(笑)

逆に言うなら「原理原則」が分からない人はいつまで経っても単にバラした順番で組み上げていくしかできず、そのようなトラブルの改善など全く思い浮かびません(笑)

ネット上でこのモデルの解体整備をしているサイトがありましたが、そこを観ていたら「要は仕組みを理解できていない」のがあからさまでした(笑)

ワザワザこのブログでもちゃんと絞り羽根の制御について (既に前述済) 解説しているのに、それを理解しようとしません(笑)

通常のオールドレンズは「開閉環が回ることで絞り羽根の角度が変化する原理であり位置決め環は動かない」のが一般的です。しかしこのモデルや数多くのペトリカメラ製オールドレンズ達に採用されている絞り羽根制御設計は「開閉環も位置決め環も両方とも動いてしまう」設計を採っています。

どうして絞り羽根が刺さる位置を決めるべく「位置決め環まで動くのか?」と問われれば、「それは開閉アームの使い方が一般的なオールドレンズとは違うから」とバラしている時点で気づいていないから適切な組み立てに至りません(笑)

そのサイトではやたら難しかったような事が記されていましたが(笑)、そんな事はありません。

そもそもこの2種類のバネ類の事を貶していたので、詰まるところ「相反するチカラバランスが必要な意味が全く分かっていない人」が明白で、結局は順に組み立てているに過ぎない整備者です (サイトを観ると相当な数のオールドレンズをこなしているのにいまだに理解していない)(笑)

そもそも今回扱ったこのモデルは当方は今回初めてバラしましたが、バラした時に上の写真のブルーの矢印で指し示している「捻りバネ」が外れて脱落していました。最初気づかずに「この黄銅製のネジは一体何の目的でネジ込まれているのか?」分かりませんでした(笑)

しかしオーバーホール工程で組み立てていくと「あッ! ネジにマチがあって捻りバネを引っ掛けるようになっている」とすぐに分かり、合わせて内部からポロッと出てきた長い捻りバネ1本が発見されて「脱落していたのが判明」みたいな感じです(笑)

結局初めてバラしましたからこの「捻りバネの組み付け方向/向き」を当初セットされている状態を見ていないので当然知りません。しかし「原理原則」を理解していれば特に難しい話ではなくちゃんと上の写真のようにすぐに組み上げられます。

もっと言うなら「脱落していた捻りバネのカタチ/曲げ方が逆方向だった」ので、おそらく過去メンテナンス時にムリヤリ曲げられて「違う向きでセットされてしまった為に経年で脱落してしまった」と言う経緯が見えてきました(笑)

従ってどんなにカタチを曲げて「ごまかしの整備」をしたところでちゃんと「観察と考察」が進めば「原理原則」に則りそのカタチがおかしいと分かって適切な正しいカタチに戻して組み込むことが適います。

・・それが上の写真の状態です。ちゃんと自動絞りで反応するように戻りました。

たかが捻りバネ1本ですが、間違った組み込みをしてしまうと「A/M切替スイッチの操作で自動でちゃんと動かない」不具合に至りますが、たまたまマウントアダプタ経由で今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼で撮影しているときっと使用者自身さえも気づかずに使っているかも知れません (何故なら手動絞りしか使わないから)。

逆に言うならフィルムカメラで使えばモロにトラブルに至ると思いますね(笑)

↑同じ鏡筒裏側の拡大写真です。「開閉アーム伝達カム」までの領域でブルーの矢印の箇所が互いに正しい動き方をしない限り、このモデルの絞り羽根制御は正しく開閉しません。

これだけの4つもの動き方を前述したグリーンの矢印で指し示している引張式スプリングとブルーの矢印の捻りバネのチカラで実現しているのが「絞り羽根制御の原理」なのです。もっと言うならこの写真を観ただけでパッとすぐに4つの動き方を述べられない人は残念ながら整備者のスキルがありません(笑) それこそが「まさに開閉環位置決め環の両方が同時に動いてしまう設計概念の真髄」だからです。

もっと言うならグリーンの矢印で指し示している引張式スプリングとブルーの矢印の捻りバネのチカラが経年で弱くなってしまったのか否か「そのチカラの良し悪しの判定を下す」事さえもできず、そのまま組み立てたところで「絞り羽根開閉異常」の改善などできるワケがないのです(笑)

↑まだここの工程ではセットしないのですが、解説用に敢えて組み込んで説明しています。「制御環」と言う赤色矢印で指し示している黄銅製の環/リング/輪っかに前述の「伝達カム」が刺さって、その概算見積との勾配「小さな坂の頂上と麓部分」の何処にカムが居るのかで「その位置に従い/坂の勾配に従い絞り羽根の開閉角度が決まる原理」です。

制御環」には側面に「ガイド/スリット/切り欠き」が備わり、そこに絞り環からの連係アームと言う「金属製の棒状ピン」が刺さって、鏡筒の繰り出し/収納の中でも「適切な設定絞り値を伝達する」為に備わる「ガイド/スリット/切り欠き」なのです (グリーンの矢印)。

その一方で「伝達カム」が刺さっている小さな坂道は「オレンジ色矢印で指し示している頂上側が開放状態の勾配」にあたり、一方「ブルーの矢印で指し示している小さな坂道の麓部分が最小絞り値側の絞り羽根角度を決めている場所」なので、現状上の写真でちゃんと絞り羽根が完全開放状態にセットされています。

逆に説明するなら上の写真ブルーの矢印で囲った長さが「鏡筒の繰り出し/収納量」である点をちゃんと認知しないと、特にヘリコイド (オスメス) のネジ込みが適切なのか否かの判定すらできませんね(笑)

ヘリコイド (オスメス) のネジ込みで決まるのは「無限遠位置/最短撮影距離位置」などと信じていたら整備者のスキルなんかありませんね(笑)

↑距離環やマウント部を組み付ける為の基台です。準広角レンズなのでなかなかの深さを持っています。

↑アルミ合金材削り出しのヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた正しい場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

↑同様に黄銅製のヘリコイド (オス側) をやはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で5箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

すると他のペトリカメラ製オールドレンズも全て同一ですが、ご覧のように「黄銅製のヘリコイドオス側の厚みに比べてアルミ合金材のヘリコイドメス側の肉厚が極端に薄い設計」なのが (グリーンのラインで囲っている厚み/肉厚) このモデルの「設計時の配慮不足」であり、残念ながら大凡設計センスがありませんね(泣)

もっと言うなら「光学メーカーならこんな肉厚比でのヘリコイドオスメスの設計など100%執らない」と断言できます。

逆に言うなら「まさにこの点こそがペトリカメラがカメラメーカー、ひいては小物機械類の設計メーカーの部類から逸脱できなかった最大の証拠」と指摘できます。

要はヘリコイドグリースの特性と性質に頼りきっている設計としか言いようがないからです。従ってペトリカメラ製オールドレンズは塗布されているヘリコイドグリースが合わないとすぐにトルクが重くなりますし、適合していても経年で潤滑性が堕ち始めると途端に重いトルクに変わってしまいます。

このような経年に対する耐性/配慮が無い設計は光学メーカーなら絶対にやりませんし、実際今まで数多くのオールドレンズをバラしてきて全くそのとおりの設計になっています。

そしてもっと指摘するなら「どうして距離環が締め付け固定されるアルミ合金材のヘリコイドメス側が肉厚が薄いのか?」と言う点です (ブルーの矢印の箇所/3箇所に締付ネジで締め付け固定される)。ペトリカメラの設計者にこの点について問い正したいくらいです。どうしてこんなに薄い肉厚のヘリコイドに距離環を固定するのか???

ペトリカメラ製オールドレンズの多くの個体で重いトルクに至ってしまう最大のネックがこの「アルミ合金材のヘリコイドメス側の肉厚の薄さ」なので、このような設計を当方は「設計に欠陥がある」と受け取っています。

従ってペトリカメラ製オールドレンズは「距離環をムリヤリ回そうとしたらアウト!」と肝に銘ずるべきです(怖) 肉厚が薄いアルミ材削り出しの真円度に影響を来すので「アッと言う間にトルクムラに至る」ワケで、そんな設計を優れているとは到底考えられません。

もっと言うならペトリカメラ製オールドレンズのヘリコイド (オスメス) に「白色系グリース」を塗布して使っているとどんどん「製品寿命を短命化している」話になります (何故なら削れるのはアルミ合金材側だから)(泣)

前述の組み立てサイトでも「白色系グリース」を使っていましたが、きっとトルクを軽くしたいからでしょうが・・何も分かっていませんね(笑)

↑ここで先に距離環を仮止めしてトルク感をチェックしておきます。もちろん既にこの時点で抜群のトルク感に仕上がっていますが、ここから先の工程でまだまだトルクに影響を来す要素がどんどん増えていきます。

↑既に「直進キーを刺してある」ので (赤色矢印) 距離環を回せばズズ〜ッと繰り出し/収納がちゃんと軽いトルク感のまま動いてくれます (上の写真はマウント側方向から撮影しています)。

前述の黄銅製ヘリコイド (オス側) には1箇所にご覧のような「直進キーガイドと言うスリット/切り欠き/溝」が備わるので (グリーンの矢印)、そこに「直進キー」が刺さっているワケです。

するとここをブルーの矢印のように行ったり来たりと「直進キー」がスライドして行くので「その時の抵抗/負荷/摩擦も距離環を回す時のトルク感に大きく影響を来す」ので単純にヘリコイドグリースの粘性だけで決まらないのです(笑)

もっと言うならこの「直進キーガイドと直進キーの両方の平滑性」が問題になり、いずれか或いは両方に平滑性で問題があれば「最終的にトルクムラに至る」と言うお話なのがすぐにピ〜ンと来なければダメですね(笑)

↑「直進キー」とは上の写真で赤色矢印で指し示しているように金属製の棒状ピンでネジ込みです。しかし過去メンテナンス時にガッチガチに硬締めされてしまったようで既にマイナスの溝が潰れています。硬すぎて外れないのでこのままヘリコイドを組み込んでいきました。

↑今度は前玉側方向から撮影しています。前述のとおり「延伸筒」がネジ込まれるので鏡筒が黄銅製のヘリコイド (オス側) のだいぶ奥まった位置にセットされているのが分かります。

↑再びマウント側方向から撮影しています。鏡筒がヘリコイド (オス側) の内側にセットされています。見えているのは鏡筒の裏側ですね。

↑ここでようやく黄銅製の「制御環」が組み込まれます。先にだいぶ前の工程で仮にセットして解説しましたが、どうしてあの時の工程でこの「制御環」を組み込まなかったのかと言えば「制御環をセットしてしまうと鏡筒がヘリコイドオス側の内側に入らないから」であり、合わせて絞り環や、もっと言えば「A/M切替スイッチ」との連係動作の微調整機能も必要だからです。

つまりこのモデルは「組み立て工程の手順を決めるのが最初のハードル」と言っても差し支えないくらいに重要な話です。

↑鋼球ボール3個を組み込んでから絞り環をセットします。

↑絞り環に前述の「金属製の棒状ピンたる連係アーム」をネジ込んで、前述の「制御環のガイド」にこの棒状ピンが刺さり、距離環を回すと繰り出される/収納する鏡筒の位置に関係なく「設定絞り値を伝達できる」ワケです。

値羽前ながら今までの工程で平滑性が必要な箇所は当方による「磨き研磨」により確保できており、また必要な連係箇所や2種類のバネ類のチカラバランスなどモロモロの微調整が適切なのでここの工程での細かい微調整機能は一切無しです(笑)

↑さらに「A/M切替スイッチ」にも鋼球ボール2個と合わせて「連係アーム」もネジ込んで組み込みます。同様に微調整が一切必要ありません (既に各部位でキッチリ合わせてあるから)。

このように各部位の微調整がちゃんと適切でないといちいち「連係アーム (金属製の棒状ピン)」を刺した時点で、例えば設定絞り値にピタリと合致しないとか、或いはA/Mの切り替え操作でシャコンと勢い良く切り替わってくれないなど、今頃になって手を抜いていたしっぺ返しを食らいます(笑)

↑いよいよ終盤を迎えます。マウント度ですッが既に各構成パーツを取り外して当方の手で「磨き研磨」を終わらせてあります。その目的は平滑性を担保する事で、このマウント部内部にグリースを一切塗りたくないからです。

↑取り外していた各構成パーツも「磨き研磨」してからセットします。そう言ってもたいしたパーツが無くてご覧のように単なる「絞り連動ピンと繋がる操作レバー」だけです(笑)しかしここにも厄介なパーツがあってグリーンの矢印で指し示した「捻りバネ」です。

この捻りバネだけは経年で弱ってしまうとどうにも処置が難しく、それこそ強制的にムリヤリ曲げたりする手はありますが、そのような処置を講ずると結果的に「製品寿命を縮める話になる」のでヤリたくないワケです(笑)

捻りバネのチカラを借りて最終的に「操作レバーがブルーの矢印のように動く」ので、この操作レバーが「鏡筒の横に飛び出ている開閉アームを操作するから設定絞り値まで絞り羽根が瞬時に開閉してくれる」仕組みです。

・・ようやくこのモデルの内部の動き方が見えてきたでしょうか?(笑)

↑実際に鏡筒裏側をもう一度撮りました。ちゃんと「開閉アーム」が待っていますね(笑) ここにマウント部の「操作レバー」が接触して動かしてくれるのです。

↑マウント部を組み付けてから実際に絞り連動ピンを動かすと、それに合わせてシャコンと小気味良く絞り羽根が設定絞り値まで瞬時に勢い良く閉じてくれます・・完璧です!(笑)

この後は光学系前後群を汲み痩けてから無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。今回初めて扱いましたが内部構造は他のペトリカメラ製オールドレンズ達とほぼ同一だったので楽チンでした(笑)

特に難しいモデルでもないのでちゃんと「観察と考察」ができて「原理原則」を知っている人なら適切に仕上げられます。

↑光学系内の透明度が高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリも皆無です。

↑光学系後群側もご覧のようなパーブルブル〜のコーティング層が艶めかしいですが(笑)、スカッとクリアになりました。この後群側だけが過去メンテナンス時に (おそらく直近のほうですが) 反射防止黒色塗料を着色されていたので全て溶剤で除去しています。結果ピント面の鋭さが戻りこのページ最後のように鋭くなりました・・嬉しい限りです。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環→A/M切替スイッチ共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」でご指示に従い「重めのトルク感」に仕上げてありますが、そうは言ってもこのモデルの場合ピントのピーク/山が分かりにくい性格なので、あまり重目のトルクに仕上げてしまうと行ったり来たりと前後に微動するのが頻繁になり面倒くさいです。

その本も考慮して適切と考えられるトルク感に仕上げてあります。距離環全体のトルクは重めでも肝心なピントの山前後での微動は軽い操作性を実現しています。

絞り環のクリック感もガチガチした印象にならないよう配慮済ですし、頻繁に操作する事が無いかも知れませんがA/M切替スイッチも小気味良く動くように仕上げてあります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。鋭いピント面も確保できて操作性も良く、これからまだまだ長き間の活躍を願うばかりです!

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離50cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮りました。

↑f値は「f8」に上がっています。相当な鋭さのピント面だと思いませんか?(驚)

↑f値は「f11」になりました。

↑f値「f16」での撮影です。もぅ相当絞り羽根が閉じてきているので、気持ち解像度が落ち着いてしまったような印象です。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。「回折現象」の影響度だいぶ解像度が堕ち始めました。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

大変長い期間に渡りお待たせし続けてしまい本当に申し訳御座いませんでした。維持用オーバーホール/修理ご依頼承りましたオールドレンズ2本について作業完了し本日便にて発送申し上げます。

なおご請求金額については、実際にこの2本のオールドレンズを手に取りご確認頂き、もしもその中でご納得頂けない場合はご請求金額から「ご納得いく金額分を減額」下さいませ。最大値は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とさせて頂き、対辺申し訳御座いませんが当方による弁償などはご対応できません。

・・どうぞよろしくお願い申し上げます。

このたびはオーバーホール/修理をご依頼頂き、誠にありがとう御座いました。