◆ 注意喚起:鏡筒のブレ幅が大きいプラスチック製オールドレンズ

直接当方がオーバーホール済でヤフオク! に出品しているオールドレンズとは関係ないのですがたまたま見つけてしまい気になったので載せる事にしました。

《気になった内容:注意喚起》
筐体外装がエンジニアリング・プラスチック製なのに告知しない
鏡筒のブレ幅が大きいのに仕様としか告知しない
ピント合わせ時に大きく写真が左右ブレするのに告知しない

上記に羅列した当方が気になっている内容の対象は「現在ヤフオク! に出品されている他の 出品者の商品」であり当方がオーバーホール済でヤフオク! 出品している個体の話ではあり
ません。

このように他人の出品について問題提起したり注意喚起するから相変わらずSNSなどで批判されまくるのですが(笑)、そうは言っても知らずにそのまま落札してしまうご落札者様が必ず居るので「落札前にその認知を広める一つの手段」としてこんな事をしています(笑)

・・自信過剰で他人の批判ばかりすると拡散したければお好きにどうぞ(笑)

そもそもご落札者様に対する良心的な配慮が欠如している出品者なので、そのような被害に 遭われるご落札者様をできるだけ減らしたいと言う想いだけです。

それでは一つずつ説明していきましょう・・。

筐体外装がエンジニアリング・プラスチック製なのに告知しない
これはオールドレンズの中で何処の光学メーカー品でもそのブランド銘に関係なくモデルバリエーションで言う処の「後期型」辺りになるとそれまで金属製だった筐体外装がエンジニア リング・プラスチック製に替わってモデルチェンジする場合が多くあります。

また合わせて当時の流れとして「廉価版」の位置付けでいきなり登場した際に既にエンジニアリング・プラスチック製の筐体外装だったモデルも当然ながら数多く顕在します。

当時のそのような状況の中で特に日本製ではない「旧西ドイツ製のオールドレンズ」でそれらモデルの変遷の中で終盤期に登場してきたエンジニアリング・プラスチック製の筐体外装を持つオールドレンズをピックアップして指摘しています。

パッと見でエンジニアリング・プラスチック製の筐体外装だと分からないので知らないままに 落札してしまい手元に届いたら落胆してしまったという事例が実は当方が過去にやっていた オーバーホール/修理ご依頼の中で10年間の間に10件以上知り得た話だからこそこだわって指摘しています。

もちろんそれら対象となるオークションは一部はヤフオク! ですし、或いは海外オークションebayだったりします。

ただ単に筐体外装の材質が金属ではない事だけならその落胆の落ち込み度も相応に少ないのでしょうが、実はそのエンジニアリング・プラスチック製の筐体外装であるが故に「特異な使用感と不満/不快感を伴う」のでその落胆度が高いというお話です。

その意味でオークションで現物を触れないままに手に入れるとなれば金属製筐体が多いオールドレンズのなかにあって筐体外装がエンジニアリング・プラスチック製である事は下手すれば「チープ感」の印象にも繋がり易いのでちゃんと告知するべき要素だと考えますね。

鏡筒のブレ幅が大きいのに仕様としか告知しない
さらに筐体外装がエンジニアリング・プラスチック製であると同時に「ヘリコイドまでエンジニアリング・プラスチック製だったらどう言う問題が起きるのか」に着目する必要があります。

鏡筒がエンジニアリング・プラスチック製だとしてもヘリコイド (オスメス) が金属製のオールドレンズは数多く存在しますが、その多くでヘリコイド (オスメス) の駆動とトルクは適正に 維持されるようちゃんと設計されている事が多いです。

ところがヘリコイドがエンジニアリング・プラスチック製となると激変します。特に旧西ドイツの光学メーカーが自社生産で用意していたエンジニアリング・プラスチック製のヘリコイド
(その多くはオス側の設計) はそのネジ山のマチ幅が大きすぎるので「製産時点のヘリコイド グリース以外対処できない懸念が高い」と指摘できます。

これが日本製のオールドレンズの話ならそんな問題は起きませんが旧西ドイツ製の場合はまずヘリコイドグリースが替わるとそのマチ幅の多さが仇となり「鏡筒のブレを起こしてしまう」因果関係に至ります。

まさにこれこそが「製産時点のヘリコイドグリースを考察するべき要素の一つ」と指摘できますが、残念ながらこの問題に対応できるヘリコイドグリースは今現在の市場には流れておらず潤滑剤の専門会社にオーダーする以外入手方法がありません。

どんなに厚塗りしようがネジ山の溝自体にマチ幅が備わるのはその専用グリースを塗る以外 対処できません。

従って結果として「仕上がった時に必ず鏡筒ブレが生ずる」のが大きな問題に至ります。

これは人の受け取り方としてある人は「ヘリコイドのガタつき」と述べる場合がありますし、別の人は「鏡筒がガタつく」と言う場合もありました。中には鏡胴のガタつきと指摘してきた人も居ますがその現物をチェックすると鏡胴はガタついていません。

つまりブレてしまう箇所が何処なのかの判定が適ってないので表現が変わってくるのであって唯一共通項として指摘できるのはたったの一点「ガタつきがある」と言う不満です。

これら指摘事項が指す根本的な与件に対し「それは仕様です」と一言に済ませてしまう考え方は「あくまでも数多くの個体を扱っている側しか判定できない事象の一つ」であり、これから落札して手に入れようとしている落札者が出品ページに明記されているその「仕様」の意味をどんだけ正しく把握/認識できるのかと言えば「まず99%確実に認識できない」と断言できます。

それが前述の人によってガタつきが起きている箇所の認識が異なってしまう現象として現れています (当方が10年間にオーバーホール/修理ご依頼を承った時の指摘事項/事実だからこそこのように明言できている)。

はたしてそのガタつきを正しく知り得た時に「それは仕様です」の一言がどのような印象としてその落札者に残るのか想像するのは難くありません(笑) 間違いなく手にする前のガタつきの印象/大きさ/違和感とは全く以て合致しておらず、その結果こそが「落胆」に繋がっていると指摘できますが、その最大の現実が次のに起因します。

ピント合わせ時に大きく写真が左右ブレするのに告知しない
つまりヘリコイドなのか鏡筒なのか鏡胴なのかの別はともかくガタつきが起きている「事実」を自分で手にした時に初めて受け入れた時、そのようなオールドレンズの個体が多少なりとも今までの自身の購入歴の中で経験があるとすれば「それはガタつきの量の大小の違いでしかない」ワケでガタつきが生じている事実に対する落胆は想定内の範疇と言えます。

ところが撮影する際の「ピント合わせの時にピントのピークの山前後で微動するたびに画面が左右にググッと動く挙動」は普通一般的にピント合わせに集中している人間として「これほどの違和感はない!」と指摘できるほどに大きな不満に至ります。

何故ならオールドレンズの何処かにガタつきが生じている個体など今現在の市場流通品の中でも数多く存在するものの「ピント合わせ時に画面が大ブレする」個体など極端に少ないハズだからです。

どうしてそれが極度のストレスに感じるのかと言えば「ピントの山のピークでピントを合わせたハズの箇所が左右に大きくブレて凝視した位置から外れる」ので耐えがたい違和感に至るのです。こんな違和感は多少ガタつきが残るオールドレンズで必ず体験する話ではありません。

だからこそ「それを仕様だと言われて一体どんだけの人間にちゃんと伝わるのだ?!」と執拗に申し上げているのです!

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↑上に羅列した写真はネット上からピックアップしてきた代表的なモデルですがこの他にもOEM製品で別ブランド銘で製産されていたオールドレンズも顕在するのでまだまだ数多く見つけられます。

なお一段目〜二段目のまでは単なる写真のピックアップですが三段目のは当方 ブログのオーバーホール工程掲載があるのでそのリンクも以下にセットしてあります。また ピックアップしたのは一部であり各モデルにモデルバリエーションが顕在します (前期型/後期型の相違などありますがそれを考慮していません)。

《上記羅列モデルの詳細》
Revue MC MACRO-REVUENON 24mm/f4 (18cm)
Revue MC MACRO-REVUENON 28mm/f3.5 (20cm)
Revue MC MACRO-REVUENON 35mm/f2.8 (26cm)
ENNA MÜNCHEN MC MACRO-ENNALYT 28mm/f3.5
ISCO-GÖTTINGEN WESTRON 35mm/f3.5
ENNA MÜNCHEN Ennalyt 35mm/f3.5
PORST WEITWINKEL 35mm/f3.5
ISCO-GÖTTINGEN WESTROMAT 50mm/f1.9
Revue MC MACRO-REVUENON 28mm/f3.5
Revue MC MACRO-REVUENON 35mm/f3.5
PORST MACRO Weitwinkel 35mm/f2.8
ISCO-GÖTTINGEN WESTRON 35mm/f3.5

・・こんな感じです。基本的にこれらモデルを主体的に供給していたのは旧西ドイツのENNA WERK (エナ・バーク) から1962年に社名変更したENNA MÜNCHEN (エナ・ミュンヘン) ですがOEMモデルとして製産していました。ちなみに社名をそのまま日本語訳するとローマ字発音が適用され表示されるので「エンナ・ミュンヘン」になりますが正しくはドイツ語なので「エナ・ミュンヘン」でありローマ字発音は不適切です (今のウクライナでKeivをロシア語でキエフと発音しているようなもの/ウクライナ語はキーウです)。

ちなみにまでに( )で括って最短撮影距離を明記してありますがマクロ銘が附随する理由が分かると思います (但し1/3倍マクロ)。特にマルチコーティング化された「MC MACRO」表記のモデルはそのピント面エッジの繊細感も伴い今ドキの「インスタ映え」に於いても一躍有名になったオールドレンズの一つで、真円のリングボケなどが表出するものの何処となく画の色成分にシアン色が多分に含まれるのでコントラストに違和感を起こさないままに然し青味がかった清涼感が森などの植物撮影にも表れ、合わせて空のスッキリ感や赤色表現の艶やかさにも貢献する「隠れた銘玉」と当方では評価しているモデルです。

従ってこのヘリコイドネジ山のマチ幅に起因する鏡筒ブレに伴う「画の左右ブレ違和感」は 相当慣れが必要ですし、そもそも覚悟して落札すべきオールドレンズとも言い替えられます。

ちなみにヘリコイドネジ山のマチ幅に起因する鏡筒ブレは凡そ「0.50.8mm」程度ですが (但しマウント面で鏡筒との隙間を計測した数値) 塗布しているヘリコイドグリースの種類/成分で変わるので必ずしもこの範囲とは限りません。

逆に指摘するなら「白色系グリース」を塗布すると最大幅でブレる事が多いのを今までに検証済なので一言指摘しておきます。

なおPORST製品でモデル銘に含まれる「Weitwinkel (ヴァイトヴィンケル)」はドイツ語なので「広角域」を現しラテン語/英語圏で言う「wide angle」そのものを指します。同様ISCO-GÖTTINGEN社製品の「WESTRON (ヴェストロン)」や「WESTROMAT (ヴェストロマット)」もドイツ語ですからヤフオク! などでアホ転売屋/転売ヤーが謳っている「ウェストロン/ウェストロマット」はあまり適切ではありません。ドイツ語の多くで「」はラテン語/英語発音の「」に近似します。

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さんざん長々と執拗に指摘しましたが(笑)、要は「それは仕様です」と言う出品者側の表現は「あくまでも出品する側の立場しか考慮していない逃げ口上/クレーム回避手段の一つ」でありあたかも落札者に仕様である旨を促し配慮しているが如く「現実的にそれが伝わっていない」のを当方のオーバーホール/修理ご依頼時に10件以上の数で事前のご依頼者様からの指摘事項として伺った過去の履歴から「伝わっていない」との判断を下しています (落札前に正しく落札者に伝えらなかったという意味)。

これはそもそも当方がまだ働いていた頃にお客様とのトラブルが発生した際に例えば「言った言わない」或いは「話した聞いていない」と言う販売員側の言い分とお客様側の認識に齟齬が生まれる事案がよく起きます。

こういう販売/接客に於けるトラブル (或いはクレーム時) に対処する際最も重要なのは「お客様に適確に言いたい事柄が伝わったのか」が問題になります。それは例えばお客様からその事案の範疇を逸脱した要求や見返りを請求された時に「いえそれはできません」とちゃんと申し伝えられたかどうかが問題を広げる事があるからです。

この時、前述の互いの認識齟齬が生まれる時点で実は「既に販売側/接客側の負け」が明確になります(笑) お客様に認識させて確実に納得させたと販売側/接客側が明確に進言できるのは「たったの一つお客様が納得した瞬間」であり、それが販売側/接客側の立場だろうが何だろうが一切関係ありません。

例を挙げるなら販売側/接客側がミスッた事を認めた時、初めてお客様は納得されますが販売側/接客側がミスっていないと主張しつつも結果が同一に至っている場合お客様は納得しません。そこで明確に根拠を示しつつ仮に販売側/接客側の思い込み/思い違いなどが起因して間違った案内をお客様にしてしまった場合、それをあたかも「お客様がそう思っていると思っただけ」と主張するとお客様は絶対に納得されません。

正しくは「私がそのように思い込んだのが間違いだったのです」と自らのミスを認めるとお客様は納得され次のステップに進む事が叶います。そこで例えばお客様のその要求には応えられないと述べるなら「できるできない」はより明確に主張できて話がまとまります。

つまりお客様がそのように思ったのかどうかをその前にちゃんと確認しなかった自らの確認処理を怠ったのが「ミス」なのでありそれを明確にお客様に話すとスルッと納得されます。ここで初めて「お客様に主張が伝わった」事に至るので「(販売側) いや私は話しました」「(お客様) 私は聞いていない」などの多くのパターンは「伝達齟齬」がトラブル/クレームをより拡大傾向に導きます。

前述の話に戻すとこの現実世界の目の前に並んでいる与件は「出品者側の立場でしかない言い分仕様です」と「落札者側の認識そんなの分からない」と言う伝達齟齬が生まれクレームになったり大きな不満に至ります。

だからこそこれら出品者の「それは仕様です」と言う出品ページの表現には一切落札者側に 伝えようとする意志/配慮が含まれず欠如した概念であると断言できてしまうのです(笑)

・・ならばどう出品ページに明記するのが良いのか???

そのガタつきは鏡筒のブレなので (その因果関係は前述のとおりネジ山のマチ幅の問題であり専用グリース前提の設計だから) ピント合わせの際に大きく画面が左右にブレますが、設計上の仕様が影響している話なので承知の上でご検討下さい・・が正しい表現です。

この表現によって初めて現象たるガタつき/ブレが結果として写真撮影時のピント合わせ時に「画面が大きく左右にブレる」事まで示して出品している「キッチリ落札者に配慮を示しつつ仕様である旨明記して個体の問題ではない点を出品者の立場として主張した」事に至ります。何故なら設計上の仕様なので個体差が発生しません。これほど強力な出品者側の主張を通す 表現はありませんね(笑)

・・ようやくウインウインの結果に辿り着きました(笑)