◆ CARL ZEISS JENA DDR (カールツァイス・イエナ) MC FLEKTOGON 35mm/f2.4《前期型−I》(M42)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧東ドイツは
CARL ZEISS JENA DDR製準広角レンズ・・・・、
MC FLEKTOGON 35mm/f2.4《前期型−I》(M42)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Украине!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた10年前からの累計でこのモデルバリエーション全てでカウントすると228本目にあたりますが、 今回扱ったバリエーションタイプ「前期型−I」だけでカウントすると90本目にあたり、さらにその中で「光学系前群にグリーン色の光彩を放つタイプ」だけでカウントすると相当少なくなって僅か11本目と言う状況です。

・・後でその放つ光彩を写した写真が出てくるのでご確認下さいませ。
・・ハッキリ言って少ないです。

当方が今まで10年間で扱ってきたオーバーホール総数が3,000本を優に超えている中で一つのモデルバリエーションだけに限定して228本と言う数はこのモデルだけです。10年前の当初より2019年辺りまでは真面目にコツコツとほぼ毎月のようにオーバーホールを続けていましたが、ハッキリ言って不具合の多さに嫌気が射してしまい、2020年から激減し昨年は年間でたったの2本という状況なので今回の扱いが確かに1年ぶりだとしても如何に飽きてしまったのかを物語っているようです(笑)

しかし実際はそれら200本以上扱ってきた個体の大多数が「オーバーホール/修理ご依頼分」の個体だったので、どんだけ市場の流通品に不具合が多く発生しているのかをも現していると当方は受け取っています。従って嫌気が射したのは「このモデルに飽きたのではなくトラブルの多さがイヤになった」からとも言い替えられます。そもそも今はオーバーホール/修理のご依頼を断ってしまったので扱い本数が伸びる要素はオーバーホール済でヤフオク! 出品するタイミングしか残っていません。

ここから今回扱った個体に起きていた不具合箇所も含め市場流通品にどのような問題を抱えた個体が多いのかを解説していきますが、まずは先にこのモデルが登場した当時の時代背景を サクッとご案内していきます (超長文なのでサクッととはならない)。

左写真は1950年に世界で初めて発売されたフランス屈指の老舗光学 メーカーP. ANGÈNIEUX PARIS社から登場の「世界初の準広角レンズ RETROFOCUS TYPE R1 35mm/f2.5《前期型》」です。

写真で眺めてしまうと多少なりとも鏡胴が大きい印象を与えますが、実は現物は本当に小っちゃな可愛らしいオールドレンズです。

戦前〜戦後に当時静止画写真用フィルムカメラの主流を担っていたのは長い間レンジファインダーカメラが中心だったので、戦後にようやく量産化がスタートして民生市場に出回り始めたフォーカルプレーンシャッター方式の一眼レフ (フィルム) カメラの登場により、フィルム印画紙の直前に配されたミラー機構の存在から「装着するオールドレンズの光学設計でバックフォーカスを延伸させてそのスペースを確保する必要性に駆られてしまった」のがこのモデルが 登場するそもそもの時代背景です。

つまりレンジファインダーカメラではリーフシャッター方式が主体なので装着しているオールドレンズの後玉端からフィルム印画紙までの実距離が短く済みオールドレンズ側の光学設計上「標準レンズ域の光学設計のままで広角レンズ域まで延伸させて対処できた」のがそもそも1950年まで「広角レンズ専用の光学設計が求められていなかった理由」だからです。

ここを見誤ってしまうとどうして戦後の民生レベルでしか広角レンズの需要が存在しなかったのかどう考えても理解に苦しむ話に至ります。逆に言えば戦時中のほうが軍用レベルでの敵情偵察や砲火の着弾観測など、その必要性から望遠レンズ域のみならず広角レンズ域だって十分に求められていたハズだからです (実際に軍用広角レンズが製産されていて存在していたものの民生レベルではなかった)。

・・まずは1950年という戦後のタイミングで世界で初めて広角レンズ専用の光学設計が開発された事がポイントです。

そして本来このモデル銘たる「RETROFOCUS (レトロフォーカス)」はP. ANGÈNIEUX PARIS社により当然ながら商標登録されていたワケですが「コトバだけが一人歩きしてアッと言う間に世界中に広まってしまった」からこそ商標権にこだわらなかったと言う逸話さえ残っている 始末で、逆に言えばそれ程までに世界にとっても「広角レンズ域専用光学設計の着想/発想が 目から鱗だった」のだと当方は感慨深く受け取っています。

・・冀求されたのはまさに後玉からフィルム印画紙までのスペース/空間確保!

だったのに、そこに「光学設計上の基本成分に拠る描写性の個性までもその含みとして一つの設計に帰結させてしまった概念」こそがまさに目から鱗状態なのです。

右構成図がまさにこの1950年世界初として登場した「RETROFOCUS
TYPE R1 35mm/f2.5《前期型》
」の構成図です。

5群6枚のまさにレトロフォーカス型構成ですがその基本成分 部分が3群4枚エルマー型構成なのです!

皆さんよくご存知の標準レンズ「Tessar 50mm/f2.8」となれば例えオールドレンズだとしても相応に鋭いピント面でパキッとしたコントラストが期待できるのはすぐ頷けませんか?(笑)

・・やった事はたったの一つ「焦点を後に後退させて/延伸させて結像をズラしただけ」なのです。

その為の工夫が 部分の基本成分の前に配される「延伸要素」なのです。従ってその「RETRO (後退させる)」と「FOCUS (焦点)」という2つのコトバを合体させた造語としてもまさにその先に存在する「基本成分があるからこそその個性まで生き残る」ワケで、それこそが世界中にアッと言う間に広まってしまった目から鱗状態の要素だったと当方は感心しているのです。

従って巷ではまさにこの世界初の広角レンズ「RETROFOCUS TYPE R1 35mm/f2.5《前期型》」を指して「古めかしい何となく眠い写りで一枚ベール越しに撮ったような写真」とか「低コントラストでまさにオールドレンズライクな写り」とまるで貶められたような印象にも揶揄されますが、実は基本成分がテッサー型そのモノなのでそのような評価自体がこの光学系の設計の趣旨に適っていないと気づかなければイケナイのです。逆に言うならそのような写りに堕ちてしまう要素が光学系内の何処かに顕在するからそんな写真になっていると受け取らなければダメだと思うのです。

・・オールドレンズをリスペクトするとはそういう事なのではないかと思います。

そこからスタートして初めて光学系内のここが曇っているとかキズが多いとか不都合の改善を考察すれば良いのではありませんか? そうすればちゃんと設計者に対する (オールドレンズ に於ける) リスペクトが適いつつも問題意識が芽生えて改善策まで至ると思いますね(笑)

フランスのP.Angenieux Paris社がイキナシ発売してから遅れること
3年・・「3年も遅れてから」発売されたのが旧東ドイツはCarl Zeiss Jenaから登場した準広角レンズ「Flektogon 35mm/f2.8 (silver)」でした。

もう一度言います・・発売されたのは1953年です!(笑)

おそらく戦後の1950年代初頭となれば戦後の復興が世界各国で進んで経済や文化面に彩りが 感じられる時代に入っていくところだったと思いますが、その矢先によりによってフランスの光学メーカーに先を越されて驚異的な広角レンズ域専用光学設計を開発されてしまったことが旧東ドイツのCarl Zeiss Jenaには相当悔しかったのだと当方は思います(笑)

何故ならすぐにANGÈNIEUX社のこの製品を手に入れて模倣すればCarl Zeiss Jenaならアッと言う間に製品化できていたハズなのにそれをしなかった (しかも3年かかった) 点こそが相当に頭に来たのだと笑ったのです(笑)

3年もかかってやったのは「最短撮影距離をANGÈNIEUXの90cmから35cmまで劇的に短縮させた」点に於いて「コノヤロウ!どうだコラぁ〜!」と言う声が聞こえてきそうです(笑)

確かに5群6枚の同じレトロフォーカス型構成ですが実はこの光学系に当時のCarl Zeiss Jenaが相当頭に来ていたことが伺える要素を垣間見てしまったのです。

右図は1953年に一番最初に発売された「初期型」の光学構成図なのでその後に一度モデルチェンジした「前期型」とは異なります。基本成分は 部分4群5枚のBiometar型構成です。このビオメターは確かに製品化されていて「Biometar 80mm/f2.8」などありますがメインは6×6判PENTACON SIX向けだったりします。

その反面基本成分前に配置された 部分延伸要素はたったの一枚なので入射光の集光面でどうなのでしょうか? しかも最短撮影距離は35cmまで短縮化しておりそこまで徹底的に短く せずにせいぜい60cmくらいでも良かったように思います。

何が気に入らなかったのか同じ1953年後半にはすぐ再設計して「前期型−I」を用意し、その後も1960年までの間に次の「前期型−II」と立て続けに設計をイジっています。詰まるところ当時のCarl Zeiss Jenaはこのシルバー鏡胴の何かが気に入らなかったのだと受け取りました。

それは例えば内部構造にしても全部で3つの工場で設計変更しているのが判明しており、内部構成パーツのメッキ加工塗色が「オリープ色ブルー色パープル色」と変化しつつその都度製産工場が減じられ最後はCarl Zeiss Jenaの母体工場「パープル色のメッキ加工塗色」だけに限られています (オリープ色の工場はゼブラ柄の時代には既に消滅しブルー色の工場も黒色鏡胴時代に入った時点で消えている/逆に言えば符番製造番号と内部構造の違いまでも合致していると明言できる)。

このような話はもちろんネット上で誰も述べていませんが(笑)、単に製産ラインの区分けだけで明確化する為にメッキ加工塗色を変更するのはあり得ると以前取材した金属加工会社の社長さんから伺いました。しかし内部構造やその制御方法まで設計変更して、合わせてメッキ加工塗色まで違うのは一つの工場で製産ラインが違うだけの目的でそこまでコストを掛ける必要性はあり得ないとの事です・・つまり複数工場でそれぞれが自分の機械設備に見合う専用設計を任されていたと考えるのが自然というお話でした。

・・これには当方自身も至極納得できた想いがあります。

実際この当時のシルバー鏡胴モデルには同じレンズ銘板のモデル銘を刻印していながら鏡胴の途中に締付ネジがあったり (実際に内部構造が別モノ) ヘリコイドの駆動域が違ったり (しかし最短撮影距離は同じ) どう考えてもワザワザ設計変更する意味と理由が思い浮かびません。

ちなみにこのモデルシルバー鏡胴の1953年に1年にも満たない期間 だけで製産された「初期型」が左写真でレンズ銘板には何と「zeiss の」刻印が刻まれています。後にも先にもこのシルバー鏡胴モデルでレンズ銘板に「」が刻まれたのはこの「初期型」だけです。

そしてこの「初期型」だけが特別に限定して顕在していたと明言できる要素がちゃんとあって右写真のとおり何と
絞り羽根が14枚も実装している!」ので必然的に内部構造はそれ以降の「前期型」とは別モノなのです (前期型は9枚に減じられる)。

このように1953年に登場したCarl Zeiss Jenaのシルバー鏡胴はなかなかミステリアスな存在です。ちなみに一つ前の写真で「付モデルのフィルター枠ネジ山が極端に少ない」理由も掴んでいますが検証できていません(笑)
(何しろこのタイプは超希少なので見つけたら後先考えずに必ず手に入れるべし!)

その後1965年になると世界規模でゼブラ柄が流行り始めて登場しますが (左写真) この期に及んでもCarl Zeiss Jenaの迷走が止まりません。パッと見でそのままシルバー鏡胴から引き継ぎ「Flektogon 35mm/
f2.8
(zebra)」と単にゼブラ柄に意匠が替わっただけに見えますが、実は「最短撮影距離18cm」と再び短縮化してきます。

ところがもうここまで来るとご乱心状態で(笑)、このモデルは「見なし開放f値f2.8」モデルで最短撮影距離を18cmまで驚異的に短縮するのと入れ替えに「主体的な開放f値をf4近くに暗くしてしまった」いわゆる「Flektogon 35mm/f2.8」からの源流に対して「全くの異端児!」なのです(驚)

同じ時期に登場していたやはりゼブラ柄の広角レンズ「Flektogon 20mm/f4 (zebra)」があります。このモデルの開放f値が「f4」ですが距離環を回そうが何をしようが開放f値のままちゃんと維持しますが、前述の「Flektogon 35mm/f2.8 (zebra)」は距離環を回していくと「勝手にf2.8→f4直前まで絞り環が自然に移動していく」動き方をします。

左写真はこの「Flektogon 20mm/f4 (zebra)」の鏡筒をバラした時に撮影していますが鏡筒の 外周にグルッと回っている「絞り環連係ガイド (溝)」が垂直状である事をハッキリ覚えておいてください。

真っ直ぐの垂直の溝なのでどんなに距離環を回して (ヘリコイドが回って) 鏡筒を繰り出そうとも 絞り羽根の開閉はそのままを維持します。

↑上の写真は前述の「Flektogon 35mm/f2.8 (zebra)」の鏡筒部分を撮影しています。同じ ように鏡筒外周に「絞り環連係ガイド」がグルッと回っていますがその「溝部分」が斜め状 なのです。

つまり開放f値「f2.8」の時は上の写真一番下の赤色矢印の位置に絞り環が刺さっていますが、距離環を回して鏡筒を繰り出していくと「溝が斜め状なので勝手に自然に連係ガイドが回ってしまう」ので最短撮影距離位置では開放f値「f2.8→f4手前辺り」まで移動しています。

要は距離環を回していくと勝手に絞り羽根が閉じてくる仕組みです。一度閉じてしまうと距離環を再び無限遠位置まで戻してから「絞り環を回してf2.8にセットする」動作が必ず必要に なります (勝手に絞り環が戻らない)。

つまり開放f値がf2.8からf4近くまで移動する時は勝手に移動するのにイザッ戻そうとすると 必ず距離環を無限遠位置「∞」まで戻さなければ「溝自体が斜めっているから戻らない」制御方法なのです。

これを解説する為に一つ前で広角レンズ「Flektogon 20mm/f4 (zebra)」の鏡筒部分をお目にかけました。

実はこの概念をちゃんと解説せずに「絞り環が勝手にf4近くまでズレるがそれは仕様だから」で済ませているヤフオク! の出品者が複数居ます。

・・どうして開放f値「f2.8」だと信じて落札したのに気がつけばf4近くまでズレるのが仕様
なの???

とまるで詐欺に抵触するが如く認識の相違みたいな話になってしまいますが(笑)、この挙動を「設計上の仕様だから」と説明するよりも「貴方が落札しようとしているオールドレンズは
見なし開放f値のモデルですョ〜ぉ!
」を一番先にちゃんと出品ページに明記するのが「良心的な出品者の務め」なのではないかと言いたいのです! あたかも「最短撮影距離18cm」まで近接撮影できるまるでマクロレンズの如く褒めちぎっておきながら、肝心な「でもちょっとお暗いのョ〜ぉ」を告知しないその姿勢をどうかと思いますね・・最近そういう企業も多くなってますが。

実はこの件について今まで10年間にオーバーホール/修理ご依頼でクレームに近い処まで至った案件が2〜3あり、知らないまま手に入れた時にそんな説明をしていなかったと文句が来ます(笑)・・いや、出品してたの当方ではないので・・は当然なので1人を除いて他の人は悶々した思いのまま諦めたのかどうか不明です (1人は本格的にクレームしてきた/そんな弁明するのは当方だけだとプロのカメラ店まで行って確認してきたそうです)。

当方は単なる個人レベルですが確認先はお店を構えているプロのカメラ店ともなればまさに 信用性の部分で天と地の差なのでしょう(笑) 結局そのオーバーホール/修理ご依頼者様は納得されずご請求額は「無償扱い」という悲しい結末でした(笑)

こういう部分でも入手したオールドレンズの素性 (構造的な仕様の問題点) の説明を認知した上で手に入れていない所有者 (ご依頼者様) からのオーバーホール/修理ご依頼は、下手すると「オールドレンズに対する認識の相違」から「そんな弁明は今まで来たい事も目にした事もない」と何かしら当方の所為に対して攻撃的になってクレームしてくる人が必ず存在します(笑)

まぁ〜それも一つの人情ととっくに諦めていますが (少なくとも攻撃対象を得る事は叶うから) 納得できない要素に対して徹底的に調べ上げてもそもそもネット上でこのように個別のモデルの問題点や構造上の制限など、凡そその認知として客観的に知るべき事柄を告知しているサイトがありません。

オールドレンズのモデルとしての時代背景などを懇切丁寧に説得力を以て解説しているサイトは世界中で多いのに、その一方で内部構造や使っている構成パーツの問題から起きている制限 (使用する上で支障と感じるような要素の多く) があったりしますが、それをちゃんと細かく 丁寧に客観的な立場で解説しているサイトは「世界中に一つも存在しない」事を認めるべき ですね(笑)

入ってきた光を記録する側のフィルムカメラの自慢話や使用方法などの解説サイトがあるのにどうしてその入射光を司るオールドレンズ側の解説サイトが必要ないと皆さんが考えるのか
・・少なくとも当方は10年経った今でも納得いかず歯がゆい想いのままです。

それで今までに何度悔しい想いをしてきた事か(涙) このような話を不条理だと文句を言うだけで今度は「自信過剰のくせに他人の批判ばかりしている」とSNSで罵られる始末で、ならばその批判されている内容/要素が影響して使用感などに支障を来している人達 (所有者) の人情にどうして触れないのか、いつもその不公平さに疲れますね(涙)

詰まるところ責められるべきは加害者であるべきなのにいつも被害者ばかりが二度も三度も苦難に遭う今ドキのご時世なのでしょう。もちろん加害者だけが悪くない事もあるのでしょうが、少なくとも加害者はその事案が発生した時だけしか加担しませんが、被害者はその後も二度三度と加害者とは一切関係が ないハズの「世間」から攻撃され続けます。
声を挙げた者が叩かれる世の中・・。

そういう事柄が当方は精神的に耐えられずに弱ッちいワケですョ(笑)
オーバーホール/修理ご依頼をやめた理由の一番大きな部分です(涙)
結果的にそのような逃げ根性が今度は引退へと向かいました・・弱ッちいヤツは何処までも子犬のようにキャンキャンと叫き散らして煩いのでしょう。
(それは本人が一番よ〜く分かっています)(笑)

↑ようやく黒色鏡胴に辿り着きました。超長文で本当に申し訳御座いません。

上の写真はいずれも「MC FLEKTOGON 35mm/f2.4 (M42)」ですが、左端が今回扱う個体としても中央は「初期型」タイプで「最短撮影距離19cm」です。そしてその内部構造の写真が右端で全くの別モノです (今回の個体前期型は最短撮影距離20cm)。

マルチコーティング化されたので光学系の設計がガラッと変化して 6群6枚のレトロフォーカス型構成ですが、当初テッサー型構成を 基本成分としてきたのがここでも血迷っていて 部分は3枚玉トリ プレット型構成と時勢的に退化しています。焦点を後退させる「RETRO」要素として 部分をちゃんと2枚も配置して入射光の集光と共に収差の改善まで狙っています。

長々とこのモデルのシルバー鏡胴時代から源流だったハズの流れを解説してきましたが、ここに来てようやく長年に渡る恨み辛みを晴らせたようです。それはどうして当時も今も中途半端な開放f値「f2.4」なのかと言う話と共に再び最短撮影距離が後退してしまい「20cm」になり、合わせて基本成分を貼り合わせレンズが介在しない3枚玉まで変更してきたワケで、ここに何某かのこだわりや意地がCarl Zeiss Jenaにあったのではないかといまだに唸っています。

・・それほどまでに「おフランスのf2.5がカチンときたのか?」かどうかは知りませんが。
・・何しろオールドレンズだからこそのロマンが憑き纏います。

  ●               

↑マウント面に位置する「締付ネジ4本」を外すと上の写真のようにゴロッとマウント部だけが分離できます。鏡胴後部のマウント部側に絞り環が配置されています。その一方で鏡胴前部に距離環が位置し当然ながら鏡筒と光学系前後群が含まれます。

・・ここがポイントで「絞り羽根開閉を伝達してるのはマウント部側の塊」と言う点です。

例えば絞り環を回した時両端でちょっとずつ先まで動いて「開放f値f2.4の先まで動き最小 絞り値f22の先まで動く」のは実はこのマウント部内部の微調整機能の整備が拙いのです。ガタつきを感じる個体が多いのもこの鏡胴「前部/後部」の関係性です。マウント面の締付ネジをキッチリ硬締めするとどうして距離環のトルクが重く変わってしまうのか? そんなのも 過去メンテナンス時の正誤の問題ですね(笑)

・・今回の個体も絞り環がキチッと両端で気持ち良くスパッと停止しませんでした。

↑基台に距離環たる「ヘリコイド (メス側)」がネジ込まれた状態です。

↑同じ距離環ではありますが前玉側方向から撮影するとご覧のようにヘリコイド (メス側) の ネジ山の長さ/多さを皆さんは確実にご認識頂く必要があります。

・・これ意外に重要な話なのに何処のサイトでも説明していない!

もしも過去の経年使用で落下したりぶつけたりして「距離環に酷い打痕が残っている個体」は「ヘリコイド (メス側) が真円を維持していない」のでトルクムラやトルクが重くなる懸念が 高まる理由がこの写真と解説だけで理解できませんか???

オールドレンズなので多少のキズや打痕など気にしないと言う人が多いのは十分理解できますが、はたして真円を維持していないネジ山でどうやってトルクムラを防げば良いのでしょうかどうやって真円に戻せるのですか??? だからこそトルクムラを確認するべきなのです。

・・外観の問題がその先のどんな不都合に繋がるのか知るべきではありませんか?
・・距離環がスムーズに動くだけで安心ではなくトルクムラの有無が重要なのではあり
ませんかね?

↑前述のヘリコイド (メス側) のネジ山の長さ/多さに対してヘリコイド (オス側) はご覧の
とおりです。このヘリコイド (オス側) がズズ〜ッとあの長いネジ山を回っていくのです。

・・どうして皆さんは「スムーズ」と言うコトバだけで安心するのかいつも不思議です。

↑さらにその距離環 (ヘリコイドメス側) のネジ山と基台側のネジ山は上の写真で示している
グリーンの矢印の領域しか/段数しかネジ山がありません。

・・この点も誰も問題視しません!

距離環を回すネジ山がたったこれだけの段数なのにヘリコイド (オス側) の鏡筒をグルグルと 繰り出し/収納するヘリコイド (メス側) のネジ山はあれだけの長さがあるのです。

・・何を言いたいのか???

この基台にも経年の打痕や凹みがあれば同様真円を維持しておらずトルクムラと重いトルクに至る因果関係が残るのが歴然なのではありませんか???

だからこそこのモデルに関して「筐体外装の打痕/凹み/キズはトルク感に致命的」と認識すべきで、それをごまかす為に敢えて鏡胴の締め付けを緩くしたままガタつきが残ったりして仕上げています・・昔からの「ごまかしの整備者の常套手段」です。

互いの締付ネジを強く締め付け固定すると (要は固定の為の本締め) 互いのビミョ〜な変形が 影響し合って距離環を回すトルクムラが増大しトルクが重く変わります。だからユルユルの まま本締めせずにワザと故意にガタつきをそのままにする「ごまかしの整備」です。

何一つ深く考察せずに、然しネジを締め付けるとトルクムラと共に重くなるので締め付けないまま組み上げて「仕様です」とかガタつきに触れずに「スムーズに操作できます」とだけ謳って他の不具合要素については「細かい事を気にする神経質な人は落札しないで下さい」と言う逃げ口上が最大限の効力を発揮します(笑)

・・こういう姿勢の腐ったヤツらが当方と同業者たる『転売屋/転売ヤー』の本質です!(笑)

このような謳い文句をあたかも今ドキのオークションの「裏ガイドライン」の如く幾つも羅列する事でノークレーム/ノーリターン/ノーキャンセルとか2N/3Nなどを防ぐ目的よりもまさしく究極的な「全てのクレーム要素を個人の主観と一括りで逃げられる『転売屋/転売ヤー』の常套手段」の一つです(笑)

・・これを腐っていると言わずしていったい何を貶すべきなのか???(笑)

↑鏡筒をゴッソリ抜き出すとこんな感じになっています。写真下側から「光学系後群格納筒」に「鏡筒と延長筒」そして「光学系前群格納筒」です。

・・ここでのポイントは延長筒って何??? イモネジは???

準広角レンズ域のモデルなので延長筒の長さが必要になってしまい鏡筒から飛び出ているのです。つまり冒頭解説の 部分の「RETRO」の要素がまるでそのまま延長筒なのだと理解でき ますョね???

・・だからこそ光学系構成図を解説しているのです。
・・当方にとって光学系の知識は内部構造の問題から捉えています。

↑その延長筒から「光学系前群格納筒」をさらに取り出しました。右横に居るのは「光学系 後群格納筒」です。すると後群側が「ネジ込み式で固定する」仕様なのが一目瞭然ですが問題なのは「何と前群はイモネジで締め付け固定」なのをグリーンの矢印で指し示しています。

イモネジ
ネジ頭が存在せずネジ部にいきなりマイスの切り込みが入っている ネジ種

すると締め付ける先が「V字型の窪み箇所に締め付ける」のがこの モデルで描写性能を大きく劣化させてしまう整備が横行している根拠です。

従って後群側はまともに固定できても前群側のこの延長筒で適切な締め付け固定ができていなければ「仕上がったオールドレンズの写り具合はピントの山が不明瞭に至る」と言っているのです!

・・実は今回の個体もピントの山が全く不明瞭でした。
・・そんな個体は実はザラに転がっています!

↑さらにヤバいのが上写真の問題で、どうしてこのような仕様で設計してしまったのかいまだに答えを見出せません。

前述の光学系前群格納筒を前玉側方向から撮影していますが、既に第1群前玉を取り外して います。光学系第2群の光学硝子レンズとその締付環が写っているのですがグリーンの矢印で指し示したように「締付環が内壁と共に塗られている状態」なのが大問題なのです!

塗料がビッチリ流し込まれているのでまるで一体のように締付環と内壁がキレイです。実は この第2群の光学硝子レンズは下に入る第3群の光学硝子レンズが突き上げる事で格納位置が決まります。

今回の個体はこの次の下に入る第3群をセットして突き上げたにもかかわらず「光学系前群の格納筒を振ってみたらコトコト音がしていた」ワケです(笑)

・・つまりイモネジで光路長がズレてさらに締付環まで浮いていた!(驚)

この2つの理由から今回の個体を当初バラす前の実写チェック時点で「甘〜ぃピント面」に 堕ちていたのです。

・・ではどうしてこんな事になるのか???

SNSなどで当方が自信過剰と批判の嵐ですが(笑)、そういう前にちゃんと整備したらどうなんでしょうかね(笑) この第2群の締付環をこんなふうに塗りまくるのは「過去メンテナンス時の整備者の自己満足大会」だからです・・断言してしまいます!(笑)

その根拠は例えば後群側で使う一部締付環は溶剤でゴシゴシやっても塗色が剥がれませんが、この第2群の締付環と格納筒の内壁はすぐに溶剤で塗色が剥がれます。つまり「過去メンテナンス時に整備者が反射防止黒色塗料を塗った」事が判明します。もしも製産時点にメッキ加工していたなら黒色塗料は溶剤などで溶けて剥がれません! 設計時点でちゃんと必要だから マットな艶消し黒色でメッキ加工してあるのです。

単に前玉から覗き込んだ時に見栄えが良くなるよう真っ黒に塗りまくっているワケです。そういう整備・・身に覚えありませんか???

・・今回の個体はこれら2つの因果関係からピント面が甘かったのです。

↑最後は鏡筒です。もぉ〜本当に次から次へと問題箇所があってこのモデルは嫌気が射します。鏡筒には絞り環から伝達される設定絞り値に見合う角度で絞り羽根を開閉するために「制御 カム」と言う上下のプラスチック製パーツが備わります。

・・ポイントはこのプラスチック製カムを金属製ネジが締め付けている事です。

プラスチック製と金属材が直接接触している時に互いが常に駆動していた時「摩耗していく のはどっち???」簡単な質問です!

金属製の締付ネジはたいていの個体で間違いなく確実に締め付け固定されていますが、その 一方でプラスチック製カムは経年摩耗で白い粉が出ていたり既に水平を維持しなくなっていたりします。もちろんご覧のようにスプリングで常時引っぱられているのでそのチカラの強さの分だけ摩耗度が激しくになります。

↑さらにこれら2つの上下に接触している「プラスチック製制御カム」はご覧のような大きなスプリングで常に引っぱられています。しかも上下のカムが互いに接触している領域は「僅かたったの1mmほど (グリーンの矢印)」です。

誰が考えてもどんなにオールドレンズの仕組みを知らない人でもこのスプリングの引っ張る チカラは最終的に「この僅か1mmの接触箇所に集中する」のがご理解頂けませんか???

つまり例えば上カムがプラスチック製なので締付金属ネジのせいで経年摩耗してしまい「水平がほんの少しでも狂ったら?」或いは同じように下カムもプラスチック製に金属製締付ネジなので「水平が狂ったら?」その僅か1mmしか接触していない箇所の「接触角度が狂って制御すべき絞り羽根開閉角度が狂う」のが自明の理なのに「過去メンテナンス時の整備者はその 耐性を維持しようと処置しない」のです。

・・プラスチック製と金属製のパーツの問題点を全て放置プレイ!

その「証拠」として極めつけの写真を左に敢えて載せて公然と告知 してしまいます!!!

左写真のように最小絞り値「f22」で絞り羽根が閉じきってしまって いる個体がどれだけ多いのか・・?!!! 今現在ヤフオク! に出品されている個体でも閉じきっている個体が幾つか数えられます(笑)

・・これがこのモデルの「現実」なのに誰一人告知しようとしません!!!

※但しちゃんとこのように閉じる理由が顕在する場合がありますがそれを明示できないバカな出品者ばかりです(笑)

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はMC FLEKTOGON 35mm/f2.4《前期型−I》(M42)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。久しぶりに1年ぶりに扱いましたが今まで整備してきた228本の中でとびっきりに素晴らしい仕上がりの個体であり、合わせて当然ながら光学系内の透明度も素晴らしいです!

そもそも相当嫌気が射しているモデルでもあるので(笑)、冒頭からさんざん文句垂れまくりでしたがその分今回出品する個体には何もありません! 敢えて指摘するなら距離環を回した時にトルクムラが無くてトルクも超絶軽くてとても良い操作性ながらも「ヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる」のは当方がメインで使う「黄褐色系グリース」の性質からです。

皆さんが大好きな「白色系グリース」を使えば無機質な感触に改善できますが当方は内部に廻る「揮発油成分」が大キライなので「白色系グリース」を使わずに徹底的に対策を講じています。

なお冒頭解説のとおり「距離環の裏側が全てヘリコイド (メス側) のネジ山」なので (ネジ山が隙間から丸見えで露出しているので簡単に砂が入るから) 残念ながらこのモデルは「海などの砂が飛んでいる場所での使用は適さない」とご留意頂くのが操作性を維持させる一つの方策です。

海で使うなとか「そんな話を面と向かってカメラ店で言われた事などない」とか言ってたオーバーホール/修理ご依頼者様が過去に居ましたが (前述のクレームした人)(笑)、前述の解説で その根拠が明白ではありませんか? 少なくとも当方は砂がヘリコイドのネジ山に附着してザリザリした感触と共に音まで聞こえてくる操作性に至るのを決して好ましく思いませんが・・皆さんはどうなんでしょうか(笑)

大好きなプロのカメラ店様が絶対であって当方がメールで説明した事柄全ては「ちゃんと整備できなかった言い訳」としか受け取れなかった方でもあります。それで「無償扱い」に至り 当方のオーバーホール作業がタダ働きになったとしても何ら人として心にわだかまりを残さないのも・・哀しいかなそれもまた人情なのです。

そもそもは「勝手にf2.8→f4直前まで移動するのが改善できなかったクセにいろいろあ〜だこ〜だ言い訳するヤツ」とのレッテルを貼られてしまったために何も聞こうとしないワケで、そういう人って居ますョね?(笑)

オーバーホール/修理ご依頼時にちゃんとそこまで指摘してくれればまだしも「絞り環の動きがおかしい」としか記載がなく、オーバーホール後にお届けしたら「不具合の一つが直っていない!」とクレームに至り、それは「絞り環連係ガイドの影響なので設計上の仕様」と説明しただけでブチ切れ状態になり事の結末に辿り着きました(笑)

・・そういうのを不条理と感じたのですが当方は人として何処か異常なのかも知れません(涙)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。僅かなカビ除去痕として点キズが幾つか残りますがまず発見できません(笑) また「気泡」が僅かに光学硝子材に入っています。

気泡
光学硝子材精製時に、適正な高温度帯に一定時間到達し続け維持していたことを示す「」と捉えていたので、当時の光学メーカーは正常品として「気泡」を含む個体を出荷していました (写真に影響なし)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

ご覧のとおり2枚目の写真で「とても希少なグリーン色の光彩を放つタイプ」なのが分かります。

↑光学系後群側も前群同様「スカッとクリア」なのでパッと見で「/」に見える点キズや「気泡」が僅かに視認できますがLED光照射で極薄いクモリが皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:15点、目立つ点キズ:9点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:17点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後玉に微かなカビ除去痕が計3箇所あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い2mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズなし)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
(第6群後玉に僅かに目立つ点キズ1点あります)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり、一部は一見すると極微細な塵/埃に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷されていた為クレーム対象としません)。「気泡」も点キズにカウントしているので本当の点キズは僅かしかありません。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑6枚の絞り羽根もキレイになりA/M切替スイッチや絞り環共々確実に駆動しています。最小絞り値「f22」での閉じ具合は簡易検査具で検査しつつ微調整して組み上げています。上の写真では絞り羽根の開口部の大きさ/カタチ/入射光量が相応に大きいように見えますが現物をチェックするとそれほど大きくなく、然し前述の閉じきっている個体とは明らかに違うのがご理解頂けます。

なおこれら絞り羽根の閉じ具合はモデルバリエーションでも異なり構成パーツの加工など過去メンテナンス時に施されている事も多く、そういう個体の場合は閉じ具合も変化します (つまり改善できない場合がある)。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が指に伝わります(擦れ感強め)。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-Nフィルター (新品)
本体MC FLEKTOGON 35mm/f2.4《前期型−I》(M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

↑唯一フィルター枠の外側に1箇所だけ打痕修復跡が残っています (赤色矢印)。過去メンテナンス時に修復したようですがキレイに直せているのでそのままです。フィルターの着脱に支障は一切ありませんし距離環を回す時のトルクムラ要因などにもなりません。

距離環も本当に軽いトルクで回せますし、当初実写チェック時に「ピーキングが反応しないくらい」に甘々だったピント面も本来の鋭いピント面とピントの山に至りちゃんとピント合わせの時に醍醐味を感じる事が叶います。

絞り環のクリック感も確実に微調整しましたし前述のとおり絞り羽根開閉制御もキッチリ合わせてあります。もちろんA/M切替スイッチの操作性 (しっかり切り替わります) や絞り連動ピンの反応と共に絞り羽根開閉の挙動まで全てチェック済です。

・・残るは一つだけ「ヘリコイドの擦れ感がちょっと強め」だけです!(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

なお当方は根拠があるから自信過剰のように明記していますし、そのスタート地点がそもそも批判ありきではありません(笑) 過去のメンテナンス時に整備者がそのような処置を講じているのが具体的に問題を起こしているからです。

また当方はプロではないと明言しているのは一度もプロに師事して伝統の技術を伝承されて いないからで (要は独学オンリ〜) そのような人間はプロと口にできないとのポリシ〜だから
です。「プロ」や「匠」の人生を賭した身を削る努力とはそのように他人 (ひと) が軽く語る べき事柄ではありません!

・・「プロ」や「匠」とはそのような至高の存在です

従って自信が無いからプロではないと明言するのではなく「プロの技術しか信用しない人が 居る」から正直に申し上げているだけにすぎず、当方自らオーバーホールを施した全ての工程に於いて納得ずくで進めている以上「当然ながらその仕上がりには自信があります!」と明言できるのが当たり前の話でしょう!(笑) こういう日本語/文章が理解できない人達は当方の ブログを閲覧すべきではありませんね(笑) SNSの世界に浸っているのがせいぜいでしょう(笑)

・・単にプロ以外の人から手に入れたくない考えの方のために配慮しているに過ぎません(笑)

少しは自分でバラして整備してみればオーバーホールすると言うのがどういう事なのか少なからず知る事ができると思います。まずはそれからでも当方を批判しまくるのは遅くないと思いますね(笑)

↑当レンズで撮影に使っているミニスタジオで被写体の全景が入る位置で撮影すると開放実写でこんな感じです。

↑当レンズによる最短撮影距離20cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮っています。

↑f値「f8」に上がっています。

↑f値「f11」での撮影です。

↑f値「f16」です。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。「回折現象」の影響はまだ視認できません。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。