◎ Sankyo Kõki Tokyo (三協光機) KOMURA− 105mm/f2.8《後期型》(L39)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産の
三協光機製中望遠レンズ・・・・、
KOMURA- 105mm/f2.8《後期型》(L39)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Украине!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

この当時のKOMURAブランド焦点距離105mmには都合5種類のモデルが存在します。

《焦点距離105mmモデルの発売順 (時系列)》
1955年発売:105mm/f3.5 (〜1957年まで製産)
1957年発売:105mm/f3.5 II モデルバリエーション上の2つ目
1958年発売:105mm/f2.8 (〜1964年まで製産)
1960年発売:105mm/f2 (〜1967年まで製産)
1964年発売:105mm/f2.5 (〜1970年まで製産)

さらに今回扱う105mm/f2.8 (1958年発売) にはモデルバリエーションが存在します。

《モデルバリエーション》
オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。

初期型:1958年発売

光学系:拡張エルノスター型構成
絞り羽根枚数:16枚
ローレット (滑り止め):幅広型正八角形

中期型:

光学系:拡張エルノスター型構成
絞り羽根枚数:16枚
ローレット (滑り止め):細型多角形

後期型:

光学系:拡張エルノスター型構成 (再設計)
絞り羽根枚数:16枚
ローレット (滑り止め):ほぼ円筒形

今回扱うKOMURA- 105mm/f2.8《後期型》(L39)』は初めての
扱いになりますがモデルバリエーションで言う「後期型」発売時点でおそらく光学系が再設計されているとみています (カタログ掲載光学系構成図と大きく異なる)。
また発売された対応マウント規格は「L39」のみでライカ判ネジ込み式とCanon向けネジ込み式の2種類である事がカタログに記載されています (いずれもレンジファインダーカメラ向け)。

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上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
左端からシャボン玉ボケが破綻して円形ボケへと滲んでいく様をピックアップしています。焦点距離が105mmなので標準レンズなどに比べるとやはり大きめの円形ボケ表出が適います。また収差の影響からピント面中心域のみほぼ真円に近い円形ボケに至りますが、エッジは明確ではなく合わせて繊細でもありません (どちらかと言うとエッジが際立つので煩めの印象)。その一方で右側2枚の実写のように円形ボケへの滲み方はキレイなグラデーションの玉ボケへと変化していきます (エッジがちゃんと溶けずに明確に残っている)。従ってシャボン玉ボケよりも玉ボケとしてこの円形ボケが好きな方は活用すると背景ボケの効果が期待できそうです。

二段目
さらに円形ボケが滲んで溶けていくと収差の影響を盛大に受け始めます。シャボン玉ボケから続くエッジの強調感はやがて収差の影響から乱れた二線ボケ傾向に向かいますが合わせて同時に溶けてしまうので左端のような大人しめの収差ボケに至ります。また特に開放側では左から2番目の実写の如く「まるでグルグルボケ」にアウトフォーカス部が映る楽しみまで味わう事が叶います。その先のボケ味は右側2枚の実写のように逆にエッジの強調感が消えて「トロトロボケ」のように滲むのである意味2つの特性を愉しめる滲み方とも受け取れそうです。

三段目
ピント面のエッジもやはり明確で太目に現れその特徴も相まりピント面の鋭さが強調される傾向です。また発色性のコントラストが高めに出るので色飽和なくクッキリカッチリの印象でこの当時のKOMURAブランドモデルとして捉えるならどちらかと言うと「f3.5或いはf3.5 II」モデルに通ずる描写性のようにも見えます。その一方で「f2.5f2」モデルはエッジの強調感が消滅してむしろ繊細感のほうが印象づけられる写りなので似たような開放f値で集中的に発売してきたその戦略性を汲み取るのもまた楽しいかも知れません。右側2枚の実写ではダイナミックレンジを観ていて暗部の黒潰れに耐性がない一方で明部の耐性がありビミョ〜なイントネーションも滑らかにグラデーションで表現できています。

四段目
そもそも焦点距離105mmなので当然ながら人物を対象としたポートレートレンズ撮影が得意で左端の実写の如く明確に表情を写し込めます。しかしその一方で開放撮影すると2枚目の実写のように相応に被写界深度が狭いのでピント面のエッジが強調されつつも背景の滲み方と相まり独特な写り方を楽しめます。3枚目の写真は広大な空の青さと雲の僅かに色が変化している部分を余す事なく表現できる描写性能をチェックしています。また右端は光源を含む場合のそれでも明部の耐性が許容範囲なのでピント面のエッジが破綻せずに写し込めている素晴らしい写真です。

光学系は第2群に貼り合わせレンズを配した4群5枚の特異な拡張 エルノスター型構成を採りますが右構成図は前出のカタログからの トレースになります。

ところが今回扱った「後期型」では絞り環側の設計が「初期型中期型」と違うのでおそらく光学系を再設計しているとみています (初期型中期型の扱いがないので不明なまま)。

こちらは今回扱った個体を完全解体した際にオーバーホール工程の 中で光学系清掃時に逐一各群を当方の手でデジタルノギスを使い計測した実測値に基づくトレース図になります。

すると明らかに設計変更が伺えおそらくこの違いからも収差の影響がだいぶ改善されている方向性なのではないかと推測できます。

それはこのモデルKOMURA- 105mm/f2.8 (L39)』の実写をネット上でチェックしていくと一部の写真に「四隅に相当な収差の影響が現れている描写が確認できる」事からその改善を狙ったものではないかと事前に仮説を考え、今回敢えて「後期型」を扱いました。

するとこのブログ最後に載せたようにオーバーホール後の実写で四隅の収差の影響が抑えられている写りである事が相応に確認できたと受け取っています (そうは言ってもオールドレンズなので収差が無いワケではない/収差の種類と方向性が改善に向かっているという意味)。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。この当時の三協光機製の他の焦点距離モデルと同様の内部構造を踏襲していますが今回のモデルがバリエーション上からも「L39マウント規格に限定している」事から実は距離計連動ヘリコイド部分の設計とその駆動概念に違いが見つかりそれがまた厄介な構造なのでおそらく解体してグリース入替ができる整備者は相当少ないと考えました。

このモデルも他モデル同様鏡胴が「前部/後部の二分割方式」なので特に鏡胴「前部」側の構造はそれほど難しくないものの実は過去メンテナンス時の配慮が足らずに問題を抱えていた個体でした。

その一方で鏡胴「後部」側はおそらく一度も解体されておらず製産時点のままだったとみています。実際塗布されていたヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」ながらも既に経年劣化が進行し、且つおそらく途中で一度「潤滑油」が注入されていると推測できる状況でした。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。

↑絞りユニットには上の写真のとおり「位置決め環」と言う絞り羽根が刺さって絞り羽根の格納位置が決まる環/リング/輪っかが必ずどんなオールドレンズにも存在しますが、今回の個体はご覧のように既に酸化/腐食/錆びが進んでしまい、且つ過去メンテナンス時 (おそらく1回だけ整備されている) の絞り羽根に対する配慮を怠り「4枚の絞り羽根が格納を保持していない状態」だった事が明白です。

・・その根拠を次に示しますがこれらの事実から上の写真のとおり4枚の絞り羽根が外れてしまいます。上の写真の状態のままひっくり返しても格納されている他の12枚の絞り羽根は脱落しませんが、外れてしまった4枚はひっくり返した時点で外れた次第です。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

左写真は今回のモデルがまさに「羽根を用意して保持させる/刺さる 方式の設計概念」を解説しています (赤色矢印)。

絞り羽根に「十字の切り込みを入れてプレッシングの際に折り曲げると三角形状の羽根が4枚現れる」概念ですね。

ところがグリーンの矢印で指し示した箇所に本来突出するべき「三角形状の羽根が存在しない」のが一目瞭然です。実際精密ピンセットでこのグリーンの矢印で指し示した根元の場所に極僅かに残っている羽根の一部を摘み揚げると絞り羽根を持ち上げる事が適います。

十字型の切り込みを入れてプレッシングの際に反対側に折り曲げてできる「4枚の羽根の開口部形状」は誰が考えても容易に推測がつきますが「4辺の微細な弧を持つほぼ正四角形のカタチ (の開口部)」になりますね (実際ちゃんと4枚の羽根が残っている別の絞り羽根を拡大視認すると分かる)。

ところが上の左写真ではグリーンの矢印部分の2枚の羽根が根元だけを残して破断してしまったのでその破断箇所の根元部分だけが垂直状に立ち上がっているままなので「微細なピンセットで摘まむ事が適う」と言うお話です。

・・何を言いたいのか???

つまり過去メンテナンス時の整備者がこの方式「4枚の羽根で保持する方式」の製産時点の 工程をちゃんと認識できておらず (十字型に切り込みを入れてプレッシングする方式) 合わせて「位置決め環側の円形の穴に4枚の羽根を差し込んでいる時の問題点」までちゃんと考えて いなかった事が今回の4枚の絞り羽根が脱落してしまった根本原因なのです。

逆に指摘するならこの方式の絞りユニットをちゃんと正しく適切に整備できる整備者はそう 多く居ません(笑)

いいですか・・?! 十字型に切り込みを入れてプレッシングしたら「必ず折り曲げられた 羽根部分は緩やかな円弧を伴いつつほぼ正四角形に開口部が空いて反対側に4枚の羽根状が 現れる」のは自明の理です。それがプレッシングの際の金属の処置結果であり上の左写真をよ〜く観察すれば「プレッシングで突出した羽根の根元部分に円形状の弧が視認できる」のが何よりもその証拠ではありませんか (金属材の応力で互いの折れ曲がり箇所にプレッシングのチカラが集中するので羽根の中心部分はチカラが及びにくく普通は円弧状に折れ曲がる)(笑)

・・決して当方がウソを言っているのではありません!(笑)

その一方で「位置決め環側には円形の穴が用意されている」事がポイントです!

もしも仮に位置決め環側の穴まで同じように「4辺の緩やかな円弧を併せ持つほぼ正四角形の穴」を用意してしまったら確かに絞り羽根がピタリと確実に刺さりますが「肝心な絞り羽根の角度は変化しない/回らない」からこそ「位置決め環側の穴は円形である必要がある」設計なのは至極当然な話ではありませんか???(笑)

・・こんな簡単な事が分かっていないのです!(笑)

つまり過去メンテナンス時の整備者は「反対側に突出している羽根4枚に対する配慮を怠った」からこそ4枚の絞り羽根が脱落してしまったのです。

・・ではどういう配慮が本当は必要だったのか???

同業者たる整備者に利する事をあまり解説したくありませんが(笑)、残念ながらこの配慮を 怠ると今回の個体のようにどんどん絞り羽根の脱落が進行し「やがて製品寿命を迎える」のが120%確実なので敢えて説明しているのです!(涙)

・・当方の狙いは/方針は1本でも多くできるだけたくさんのオールドレンズの延命処置を講じ10年先20年先さらに50年先まで次の世代まで遺していきたいと言う切なる想いからだけなのです!(涙)

逆に指摘するなら今現在これらのオールドレンズ達をまるで当たり前にオークションで安値で手に入れている皆さんは「今のこの時代だからこそそれが適っている現実」なのであって今後近い将来の50年先にはおそらく半数以上の個体が製品寿命を迎え「ただただ正常に機能しているだけでとんでもない高価格帯で市場取り引きされている時代」に至っていると間違いなく指摘できます!

つまりこれらオールドレンズ達は全てのモデルが絶滅危惧種であるとご認識頂くのが本来と当方は申し上げている次第です。

そしておそらく近い将来の50年後には技術が進歩して「光学硝子を一切必要としない時代」に到達し「カメラボディは平面レンズを内蔵している時代」と容易に推測できます。

つまりカメラボディ側内部のシステムで「光の屈折状況をソフト的に処理してあたかも光学 硝子レンズ時代の如く味付けされて出力する時代」が到来していると考えられます。既にPanasonicなどがこの「平面レンズ技術」を編み出しているので「光を波長だけで捉えて記録する時代」に至り光学硝子の必要性が失せてしまった未来が来ると考えられます。

すると「光の全てが/総天然色で波長として数値だけで捉えられる」のであたかも今流通している様々なオールドレンズの光学系のように「レンズ内を透過してきた光のデータ」としてのみソフト的にデジタル技術で超高速処理してしまえば「普通に静止画像を残せる (つまり今と同じ写真の世界)」が叶うワケで決して夢物語ではありません。

仮に例えば「光学硝子レンズが少し曇ってしまった低コントラストな写り」もまるでカメラ内現像の如くフィルター処理で瞬時に叶うでしょう(笑) 有名処のCarl Zeiss製モデルの写りもフランス屈指の光学メーカーP. ANGÈNIEUX PARIS製広角レンズの写りも何もかも「プリセット値を入力するだけで全ての光の加減が叶う時代」であって同時に合わせて「画の全ての位置でピント面を構築できボケ味まで自由自在の時代」・・まさに光学硝子レンズを内蔵したオールドレンズの必要性が一切無い時代の到来です!(笑)

しかしそのような時代に至っても「必ずクラシックなレンズの操作性を楽しみたい勢力」が 顕在するのが人情と言うもので(笑)、どんなに技術革新が進んで容易に処理できる時代になっても「ジックリとピント合わせするんだ!」と言う人達が現れるでしょう(笑)

・・当方はそのような人達に少しでも多くのオールドレンズを伝えたく「延命処置」しているに過ぎません(涙)

話が反れてしまいましたが(笑)、この方式の絞り羽根を組み付けた際の配慮とは「位置決め環側の穴に羽根を差し込んだ後に4枚の羽根を極僅かに反対側に折り曲げてあげる」作業が必須なのであって「単に刺しただけでそのまま組み上げてしまったからこそ経年の酸化/腐食/錆びで羽根の一部が破断して消えてしまった」のだと指摘できます。

そしてその根拠こそが前述の「円形上の穴に円弧を伴うほぼ正四角形の羽根が4枚刺さる事」を蔑ろにしているワケで、逆に言うなら絞り羽根が設定絞り値に従い角度を変えて回る原理から「円形の穴に刺さる必要がある」次第です。

これこそが4枚の羽根をプレッシングで突出した際「辺の中心に従い円弧を描く必要性があった」事の裏返しです!

当方はこんな金属加工のプロでも何でもないので (ハッキリ言ってド素人で且つド素人崩れ レベルに留まるヤツと揶揄され続けている)(笑)、このような話が真実なのか否かは正直知り 得ませんがこれら「観察と考察」から照らし「原理原則」を当てはめれば見えてくる話です(笑)

従って今回脱落してしまった4枚の絞り羽根には残っている2〜3枚の羽根を後生大事にキレイに垂直に戻しつつ位置決め環側の穴に差し込んだら今一度折り曲げて脱落を防ぎ、且つ円に回るよう仕向けなければ残っている2〜3枚の羽根まで次の整備時には脱落してしまい「今回脱落してしまった4枚の絞り羽根がちゃんと制御できない製品寿命に到達してしまう (何故なら絞り羽根がズレて顔を出すから円形絞りにならない)」と明言できます。

・・こういう一つ一つが「製品寿命を迎える要素」と知るべきですね(涙)

何でもかんでも単にバラしてグリースを塗って組み上げれば良いと考えるとはたしてその個体の「正常に機能する寿命はどうなのか?」と合わせて問い正したいです(涙)

星の数ほど流通しているのだから自分がバラす個体の数など気にする必要はないと言うなら、はたして世界中でどれだけの人がバラしているのか考えた時、50年後の状況は容易に察しが付きます!(笑) 確かに50年後の先を心配しても仕方ないしそんな「責任と義務」を自分に押しつけられる謂れも無いと指摘されればもちろん返すコトバがありませんが(笑)、あくまでも当方だけが絶滅危惧種と案じているに過ぎません(涙)

まぁ〜せめてもの救いは「平面レンズの時代にソフト的にピント合わせまでの操作が適えば 取り敢えず似たような操作環境は楽しめる」かも知れませんが、当方のような天の邪鬼はどうしてもオールドレンズそのモノを手にして掴んで「ウ〜ンこいつのトルク重いぞ!」などと 唸りながら撮影している様を妄想してしまいます(笑)

・・まぁ〜その頃には当方も居ないので知った事ではありませんが!(笑)

↑脱落していた4枚の絞り羽根も残っていた羽根2〜3枚が無事に本来の機能/仕事を果たしてくれたのでご覧のとおりキレイな円形絞りが復活しました!(涙) 当初バラす前に何となく 歪なカタチで開閉していた因果関係がこんな事実だった次第です(涙)

↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。写真上部が前玉側方向になります。赤色矢印で指し示した箇所に「開閉孔」と言う絞り環と連結させる為に用意されている切り欠き/スリットが備わりますが、過去メンテナンス時にヤスリ掛けしていた事が見ただけで分かります。

この「開閉孔」の両端側でヤスリ掛けしているので「開放側と最小絞り値側の両端で硬いクリック感に至っていた」現象が既に過去メンテナンス時の整備時点で発生していたと推測できます。

然しクリック感が重くなっていた本当の理由はそんなヤスリ掛けする必要性ではなく「当然ながらクリック感を実現させる機構部の微調整機能が適切ではなかったから」と指摘できますね(笑)

・・何故なら生産時点にはこんなヤスリ掛けしていないからです。

もしも逆に製産時点にヤスリ掛けしていると断言したいなら「ではどうしてこの切り欠き部分が平らになっていないのか?」と指摘できます(笑) だからこそ製産時点ではないと明確に言えるのです。

↑カチカチとクリック感を伴って絞り環操作が適う要素としてご覧のように「絞り値キー」と言う溝が切削され、そこに「棒状ピンスプリング」方式でハマるのでクリック感が適う設計です (鋼球ボールを使っていない)。

つまりここがポイントで鋼球ボールとスプリングなら「それらの2つを格納する穴の深さは少なくて済む」が棒状ピンとスプリングとなると「その棒状ピンの長さ分の穴の深さが必要」なのでここの「絞り値キー環」の微調整が必須なのです。

それを単純にイモネジで締め付け固定するから前述の「開閉孔」を削ってクリック感が重くなるのを防いでいた始末です(笑)

おかげで今回はその分のチカラが影響してしまうので (切り欠きが水平を維持していないのでクリック感にそれが現れる) ロクな事をしません。

要は自分が整備する時だけ改善されれば良いと考えるのでこんな製産時点には処置されていなかったヤスリ掛けを講じて「ごまかしの整備」で組み上げてしまいます(笑)

↑こんな感じで絞り環が組み込まれました。既に棒状ピンとスプリングがセットされているのでカチカチとクリック感を伴い操作できますが残念ながらその操作時のトルク/指のチカラには僅かにムラがあります。

・・これは前述のとおり切り欠きが削られている為に改善不能です。

↑光学系前後群をセットしました。今回の個体は操作系が全く以て厳しい状況ですが「ハッキリ言って光学系内の透明度はピカイチ!」なので敢えてオーバーホールして出品することにしました。

鏡胴「前部」はそれで完成なので次は鏡胴「後部」の工程に入ります。

↑鏡胴「後部」はヘリコイド部と距離計連動機構部だけなので簡素です。上の写真のとおりこのモデルのマウント規格が「L39」なので距離計連動機構を備えますが特異な構造なのでなかなか一筋縄に作業を進められません。

ヘリコイド (オスメス) が噛み合って回っていく事で鏡胴「前部」が繰り出されたり収納したりする原理ですが、厄介なのはその際同時に「距離計連動筒 (赤色矢印左手前側)」まで引っ張り上げていく仕組みなので「どうしても距離環を回す時のトルクに影響が現れとても重い操作性に至る」のがこのモデルのネックです。

実際今回の個体は当初バラす前のチェック時点で距離環を回すトルクが異常に重く (ほとんど両手で回す必要があるほどに回らない状態) 合わせて絞り環のクリック感まで重くてやはり両手が必要でした(泣)

さらにどうもアンダーインフ状態で無限遠が出ていないように思いますし距離計連動筒の突出が「ライカカメラの二重像」に合致していないように感じますが確認する術がありません。

残念ながら今回の個体は「距離計連動で二重像合致しない可能性が高い」と感じていますが、そもそも当初バラす前の時点で不明なままなので今回のオーバーホールでは取り敢えず当初位置のままで距離計連動ヘリコイドを組み込みました。

・・ごく僅かに飛び出しが足りていない (つまりアンダーインフ状態) のように感じますが二重像確認できていないので対処できません!(泣)

この点クレーム対処できませんのでご留意下さいませ。つまり今回の個体はマウントアダプタ経由デジカメ一眼/ミラーレス一眼にてご使用頂くのを前提としてオーバーホールしています。

逆に言うならマウントアダプタ経由での無限遠位置確認は当然ながら終わっており、無限遠位置「∞」刻印の極僅か手前で無限遠合焦しますがこのモデルのピントの山は「緩やかにピークを迎える」のでスパッと突然合焦するようなピントの山にはなりませんから少しずつピーク前後で距離環を微動させる事で「ピークを掴む」ピント合わせの手法になります。

従って必然的に距離環を回すトルクが軽く微動できる状況に設定されていないと撮影していて使い辛くて仕方ありません。それを見越してトルク調整してあるので「普通」か多少僅かに「重め」くらいの印象であり、緩やかにピントのピークを迎える特徴に合わせてあります。

そのような背景もあって無限遠位置の「∞」刻印の極手前左側で微動させる事でピタリと合うようにセットしてあります。

この後は書くヘリコイド筒を順に組み込んでいきながら距離環や指標値かにマウント部などセットし、完成している鏡胴「前部」を組み込んでから無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑このモデルのバリエーションに関わりなく今回が初めての扱いですが、正直なところ鏡胴「後部」の各ヘリコイド筒の組み込みで位置がなかなか合致せずに凡そ6時間がかりで処置したためもう懲りてしまいました(泣)

・・残念ながらこのモデルについては「今回が最初で最後」として次の扱いをしません。もしも探して居られる方がいらしたら是非ご検討下さいませ。但し距離計連動機構は疑わしいままなのであくまでもマウントアダプタ経由デジカメ一眼/ミラーレス一眼でのご使用に限定で宜しくお願い申し上げます。

↑開放f値「f2.5」の端正な写りもステキなのですが今回のモデルの収差の影響が残る描写性にも「オールドレンズlikeで愉しい!」とyか替え特に光学系に注目しつつ調達した個体です。

ハッキリ言ってこれほどの「スカッとクリア!」なこのモデルの個体に出逢わなかったので(涙)、まさに一期一会で今回限りの扱い品になってしまいました (そのくらいの勢いで市場流通品の光学系内にはクモリの影響が怖かったりする)。

もっと言うなら実は今回の個体は本当にジックリチェックしてクリアな光学系なのを期待して手に入れたのですが、何と届いた個体を覗き込んだら「明らかに光学系内にクモリがある!」のをLED光照射で視認でき、当然ながら実写確認しても相応にこの当時のオールドレンズらしくコントラスト低下を招いた写り具合でガックリでした!(涙)

それでバラしていったところ光学系第2群の貼り合わせレンズと何と後玉表面に薄いクモリが生じておりまさに致命的です!(涙)

これはオーバーホールしてもジャンク品扱いで100円スタートと覚悟して光学系を清掃していくと「シルボン紙に薄く黒色が残る」のを確認できました!(驚)

・・これはたったの一つしか因果関係がありません!(泣)

そうです! 光学系内に過去メンテナンス時に塗られまくっていた「黒色反射防止塗料」のインク成分が経年で飛んでしまいコーティング層と科学反応している状況です。状況が進んでしまえば清掃してもコーティング層に帯びた「極薄いクモリ」は除去できなくなり硝子研磨して一旦コーティング層を剥がした後に再蒸着しない限り戻りません(涙)

しかしありがたい事に今回の個体はその極薄いクモリが何度も何度も清掃していく事で (2時間掛かりましたが) ようやく除去でき「スカッとクリア!」に戻りました!(涙)

感無量・・みたいな感傷に浸りましたが(笑)、しかし残念ながら清掃時のコーティング層が線状に一部薄く剥がれてLED光照射した時にパッと見でヘアラインキズ状に見える箇所が特に後玉に残ってしまいました (コーティング層の微細な線状剥がれなので写真には一切影響せず/物理的なキズではない)。

シルボン紙に本当に薄くですが黒色の痕跡が残るとなれば後は時間を掛けて何時間でもひたすらに清掃し続ければやがて除去できるかも知れません (必ず除去できるとも限らない/経年劣化状況で異なる)。たいてい2〜3時間ひたすらにゴシゴシゴシゴシと都度清掃薬剤を付けて拭いていればやがて少しずつ取れてきます。

・・がしかし後玉については「黒色反射防止塗料」が附近に存在しません!(驚)

焦点距離が中望遠レンズ域なので後玉の先マウント方向に向かって「遮光環」と言う艶消し黒色のヒダヒダを伴うのですが、テッキリそこを過去メンテナンス時に整備者が「黒色に塗りまくった」と推測して溶剤で落とそうとしたのですが「全く黒色がとれない!」(驚)

つまり過去メンテナンス時の整備者が後玉近辺で「黒色反射防止塗料」を一切塗っていなかった事が判明してしまいました!(驚)

・・するとどうして後玉表面側が薄い曇るのか「???

何とも納得できないままとにかく「スカッとクリア!」に磨き上げて組み上げ出品用の写真を撮っている時に発見!!!(驚)

・・何と金属製のネジ込み式後キャップの内側に「黒色反射防止塗料」を塗りまくっていました!(笑)

さすがにこれには思いが至らず全く分かりませんでした!(笑)

笑ってしまいます・・(笑)

仕方ないので附属品ですがこれもまた溶剤を使ってひたすらにゴシゴシゴシゴシ今度は45分かかりました!(涙)

もぉ〜面倒くさいったらありゃしない!(泣)

要は今回の個体はこの内側が「黒色反射防止塗料」で塗られてしまったネジ込み式後キャップをネジ込んだまま「数年間保管され続けていた」からこそインク成分が飛んで後玉表面側のコーティング層に化学反応を来し「LED光照射で初めて視認できる薄いクモリ」に至っていたと推察できました。

まさかそんな事になるとは思いもしなかったので(笑)、さすがに後キャップは確認していませんでしたが「やはり黒色反射防止塗料のインク成分はコーティング層にとり天敵」と認識を新たにしました。

これが例えば光学系内の内壁部分などに「黒色反射防止塗料」が塗られまくっているのは本当に多くたいていの個体で過去メンテナンス時に処置されていますが、そのインク成分が飛んで経年劣化によりコーティング層にダメージを与えている事も多いです。

ある意味後キャップのインク成分でさえも後玉表層面のコーティング層に影響を与えるのだと今回はとても良い勉強になりました!(涙)

・・が然し疲れましたね!(涙)

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑後玉の非常に薄いクモリもキレイに除去できてこのモデルにしては大変珍しく「スカッとクリア!」レベルです(笑)

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後群内にカビ除去痕が複数残っています)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(特に前群内極微細な薄い7mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり、一部は一見すると極微細な塵/埃に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷されていた為クレーム対象としません)。「気泡」も点キズにカウントしているので本当の点キズは僅かしかありません
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑無事に脱落していた4枚の絞り羽根を刺す事が適いご覧のようにキレイな円形絞りに戻りました。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」して閉じていきます。また絞り環操作のクリック感も当初バラす前の硬く重い状態から改善させたので軽やかですが、オーバーホール工程の中で指摘した「開閉孔が水平ではない」因果関係から開放側と最小絞り値側で僅かに抵抗/負荷/摩擦を感じます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡りほぼ均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります
・設計構造上無限遠位置と最短撮影距離の両端で詰まったような感じて停止します。その際僅かにトルクムラが現れ重く感じますがその中間領域のトルクは軽めです。
・距離計連動ヘリコイドの設定は当初バラす前の位置でセットしていますが実際にライカカメラなどに装着してのファインダー二重像合致確認できていません(カメラ所有していないため)。ライカカメラ等での使用を前提にしていません。
・このモデルは設計上距離環を回すと絞り環側も一緒に回っていく仕様です。また絞り環操作はクリック感を伴うので距離環を回してピントを合わせてから絞り環操作するとアッと言う間に動いてしまいピント位置がズレます。先に設定絞り値を決めてセットしてからピント合わせを行う使い方をお勧め致します。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
純正KOMURA製UVフィルター (中古品)
本体『KOMURA- 105mm/f2.8《後期型》(L39)』
汎用金属製ネジ込み式M39後キャップ (中古品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

↑何しろフィルター枠径が「⌀48mm」と特殊なので市販品で手に入れるしかなく大変ですが、今回の個体はありがたい事にワリとキレイな (硝子面のキズが少なめの) ステキな純正フィルターが附属していたので嬉しい限りです!(涙) もちろんちゃんと硝子面は清掃してありますからカビも除去済です!(笑)

黒色のKOMURAブランド品フィルターは時々見かけますがこのシルパーのタイプは少ないですね・・(涙)

たかが中古フィルターの話しですが、実はこういう細かい部分にちゃんと配慮する事で「所有欲が充たされる」のもオールドレンズの一つの側面だったりします (今ドキのデジタルなレンズなら誰でもアクセサリを購入できるから)。

フィルター枠部分のクロームメッキには経年相応のキズなどが残っていますが取り敢えず磨いてあります。

当初バラす前の状態でオーバーホール工程で解説したとおり距離環のトルクが異常に重くハッキリ言って実写確認している最中にネジ込んだマウント部が回ってしまうほどでした(泣)

さらに絞り環操作もとても硬くて開放側と最小絞り値側で両手が必要になる状態でした。

いずれも十分軽い操作性に改善できましたが、絞り環の「開放側と最小絞り値側には極僅かに抵抗/負荷/摩擦が残っている」のと合わせて距離環側は「設計上構造的に無限遠位置側と最短撮影距離位置側が詰まって停止する仕様」なのでこれは改善できません。

通常のオールドレンズで多いのは (いずれもこの後に登場したオールドレンズの話しですが)「制限キー」と言うパーツを備える事で互いの両端でカチンカチンと突き当て停止しますが今回のモデルは「両端でググッと詰まって停止している印象を感じる」場合があります (相当神経質な人の話しであって普通一般的には詰まっている感じが分からないレベル)。

人の感じ方は千差万別なので「最悪の感触や印象或いは光学系のキズなど視認できる部分」でできるだけ解説してしまえば今までも多くの方々が「いったい何処なの?」と言うくらいに受け取られていたので、まぁ〜当方の小心者のせいとお察し下さいませ(泣)

・・申し訳御座いません。

またオーバーホール工程の解説のとおり「距離計連動域の設定が不明」と言うか当初バラす前の時点で既にズレているように感じたのでこの点も調べる手がありません。今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼にマウントアダプタ経由装着使用する事を前提としてオーバーホールし出品しています事ご留意下さいませ (距離計連動のズレを以てクレームされても対応できません/事前告知済です)。

とは言っても先日のとおり当方のミスにプラスして思い込みからさらに悪化するような処置を講じて2度も届けてしまったくらいなので・・・・、

基本的に当方は『転売屋/転売ヤー』なのでオーバーホールだ何だと言っても
その技術スキルは相当低く、且つ自信過剰すぎるあまり他人の批判ばかりで
全く以て信用/信頼が置けないプロになれなかった素人崩れなヤツ!・・と
ご認識頂くのが適切とご留意の上ご検討頂けると一番良いと考えます。

逆に言うなら当方がオーバーホール済でヤフオク! に出品したオールドレンズをご落札頂いて いるのは「今まで過去にご落札頂いたリピーターの方々ばかり」であって凡そ新規の方は皆無に等しいとご理解頂けると分かりやすいでしょうか(笑)

・・要はそういうレベルなのです!(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離1.5m附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮りました。

↑f値は「f8」に上がっています。フードが未装着なのでピント面たるミニカーの背景にコントラスト低下が起き始めています。

↑f値「f11」で撮影していますがそすがに「回折現象」の影響まで現れ始めました。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

↑f値「f16」です。

↑最小絞り値「f22」での撮影で解像度低下まで現れ始めています。