〓 FUJI PHOTO FILM CO. (富士フイルム) EBC FUJINON 55mm/f1.8《後期型》(M42)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産の
FUJICA製標準レンズ・・・・、
『EBC FUJINON 55mm/f1.8《後期型》(M42)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Украине! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
このモデルの扱い本数は今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体が累計で85本目に あたり、且つその中で光学系内のコーティング層が放つ光彩に「微かなブル〜の輝き」を伴う個体数のカウントでは18本目と少なめです。
特に「微かなブル〜の輝き」を伴わない普通のパープルアンバーな光彩を放つ個体ならいくらでも常時市場流通しています。この「微かなブル〜の輝き」を放つと一体写真にどのような 効果が期待できるのかと言えば、当時のカタログを見ても直接言及していませんが他社含めておそらくは「より人の目で見た自然な発色性に近づける狙い」があったように受け取れます。
例えば当時のMINOLTA製自動絞り方式のオールドレンズが発売当初から「緑のロッコール」と呼ばれていたとおり国内で流行っていたようにも見えますが、マルチコーティング化に伴い徐々にその要素を際立たせずとも「人の目で見た自然な色合いの発色性」の追求が適うようになり、いつの間にか消えていったようです。
もっと言うなら今回の個体も含めその放つ「微かなブル〜の輝き」の濃さが個体別に違い、特に今回の個体は光学系後群側のコーティング層に「微かなブル〜の輝き」の蒸着がありませんし、おそらく前群側の濃さも薄めの印象です。
従って製造のタイミングで (当時のフジカ製オールドレンズは製造番号の先頭2桁に暗号を持たせていたようなので) 必ずしも製造番号がシリアル値の並びで製産されておらず「新旧/前後」の判定が適わず「徐々に光彩の濃さが増えたのか/減じられていったのかが不明」とも言え何とも消化不良な感じです(泣)
いずれにしてもパープルアンバーにプラスして「微かなブル〜の輝き」を放つ多少なりとも少なめな流通数モデルとの判定です。
↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『EBC FUJINON 55mm/f1.8《後期型》(M42)』のページをご参照下さいませ。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わっていますが、このモデルで「後期型」且つ「微かなブル〜の 輝き」を放つ個体を扱った前回から2年が経過してしまいました。
オーバーホール工程の中で特に難しい箇所があるモデルではありませんがその逆で「市場流通価格帯が安すぎてオーバーホールの作業対価が回収できないモデル」なので2年前から敬遠 していたりします(笑)
従ってしょっちゅう扱わないと決めているモデルなのでタイミング良くお探しの方は是非ともご検討下さいませ。
特にスパッと鮮やかに映る描写性やいきなりピントのピークを迎える合焦のし易さなどから1本持っていてそんは無いオールドレンズの一つなので楽しめると思います。
↑光学系内の透明度が高い部類に入る個体ですが残念ながら光学系第2群の貼り合わせレンズ「表面側中心付近にコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリ」が残っています。但し順光も白黒では視認できずLED光照射でジックリ観察すると気がつくレベルなので写真への影響はまず判定できないと思います(笑)
冒頭で解説していた「微かなブル〜の輝き」は見る角度によってパープルアンバーだけだったり「微かなブル〜の輝き」を伴ったり変化します。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑光学系後群側も透明度が高くLED光照射でコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。
特に後群側の状態が良いのでだいぶ救われている印象です。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:17点、目立つ点キズ:13点
後群内:16点、目立つ点キズ:9点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後群内にカビ除去痕が複数残っています)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(特に後群内極微細な薄い8mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:あり
(第2群外周附近に微細な当てキズ4点あります)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):あり
(第2群表面側にコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが微かに残っています)
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。
↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ全域に渡り完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・マウント面に「開放測光用の爪」が1mm程突出しています。「切削」が必要な方はご落札後の一番最初のメッセージにてご申告下さいませ。別途「作業料:2,000円」を送料欄に加算の上お支払い頂きます。再度マウント部を解体後に切削し着色後に発送します(発送が数日遅延します)。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
① marumi製MC-Nフィルター (新品)
② 本体『EBC FUJINON 55mm/f1.8《後期型》(M42)』
③ 汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
④ 汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)
⑤ 純正金属製専用フード (中古品)
↑マウント面に「開放測光用の爪」を残したまま仕上げています (厳密には絞り環の縁/マウント面側に突出しています)。この当時のFUJICA製フィルムカメラ「ST-801/901/AZ/1」などに装着すると開放測光機能がご使用頂けます (グリーンの矢印)。
もしもマウントアダプタ (ピン押し底面タイプ) 経由デジカメ一眼/ミラーレス一眼に装着される場合は、マウント面の「開放測光用の爪」を当方にて切削しキレイに着色処理しますので、必ずご落札後の一番最初の取引ナビメッセージにてその旨ご案内下さいませ。
再び一旦バラして絞り環だけを取り出し「爪」のみ切削するのでとてもキレイに削れますし、もちろんちゃんと目立たないよう着色します (装着するマウントアダプタ側に擦りキズが付いたりしません)。作業料として別途「2,000円」を申し受けます (発送が数日遅延します/作業料はヤフオク! の送料欄に加算してお支払い下さいませ)。
但し次に解説するマウントアダプタには切削せずともそのまま (オリジナルの状態のままで) ちゃんと最後までネジ込めて使えますので安心です。
↑当方所有のK&F CONCEPT製M42 → SONY Eマウントアダプタに装着した状態を撮影しました。マウントアダプタのオールドレンズ側マウント面に「1㍉弱」の突出があるので、ご覧のように隙間が空きますが、同時に「開放測光用の爪」が当たらないので最後までネジ込めます。
このK&F CONCEPT製マウントアダプタのマウント面の突出はこれら「FUJICA製M42マウントの開放測光用の爪を避ける目的」で突出しているのでありがたいです (赤色矢印で指し示した箇所)。同様mamiya製mamiya/sekorなど「SXシリーズ」もマウント面から飛び出ている金属製の棒状ピンを避けられるのでご使用頂けます。
この時の絞り羽根の閉じ具合を撮影しました。絞り環を回して最小 絞り値「f16」まで回した時の、絞り羽根の閉じ具合です。
ちゃんと最小絞り値まで閉じて、もちろん正五角形を維持したまま 閉じています。
↑同じように今度は日本製のRayqual製品に装着したところを撮りました。同様マウントアダプタのオールドレンズ側マウント面に「1㍉強」の突出があるのでご覧のような隙間が空きますが、前述のとおり「開放測光用の爪」を避けられるのでちゃんと最後までネジ込めます (赤色矢印で指し示している箇所)。
この時絞り環を回して最小絞り値まで絞り羽根を閉じた時の状態を撮影しました。やはりキッチリ最小絞り値「f16」まで正しく閉じています。
もちろん絞り羽根は「完璧に正五角形を維持」したまま閉じていくので安心です。
↑上の写真 (3枚) は、附属の受領連絡運勢金属製フードですが中古品なので多少経年並みに 擦りキズや部痕が残っています。一部は着色しましたがキレイに仕上げられません。
↑附属のフードを装着するとこんな感じになります。オモシロイものでオールドレンズ側のレンズ銘板には「FUJI PHOTO FILM CO.」と刻印されていますがこの純正金属製フードには「FUJICA」銘の刻印なのでどうして分けているのか不明です(笑)
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当レンズによる最短撮影距離45cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑最小絞り値「f16」での撮影です。「回折現象」の影響が現れ始めていて僅かに解像度が低下しています。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。