◆ LZOS (リトカリノ光学硝子工場) JUPITER-9 85mm/f2 (silver)《前期型》(L39)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、今日ソ連時代の
LZOS製中望遠レンズ・・・・、
JUPITER-9 85mm/f2 (silver)《前期型》(L39)』です。


当方でのこのモデル「JUPITER-9シリーズ」扱い数は、今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品個体が累計で43本目にあたりますが、その中で製産工場を当初のKMZ (クラスノゴルスク機械工廠) からLZOS (リトカリノ光学硝子工場) へと移管した後の個体数でカウントすると、23本目になります。

当方では『ロシアンレンズ』と呼称していますが、戦後当時のソ連 (ソビエト連邦) で造られていたオールドレンズの総称として呼んでいます。

この『JUPITER-9シリーズ』自体はもともとソ連で独自に開発設計 されたオールドレンズではなく、戦前ドイツのZeiss Ikonが1932年に発売したレンジファインダーカメラ「CONTAX I型」合わせて同時に 用意されたオプション交換レンズ群の中に存在していた中望遠レンズ「Sonnar 8.5cm/f2 T」を戦後に模倣した「まんまコピー」のプロトタイプから発展した系列の名称になります。

その「まんまコピー」した原型モデルの標準レンズは戦前ドイツのCarl Zeiss Jenaから供給されていたのでカメラボディのZeiss Ikon製ではありません (左写真はCarl Zeiss Jena製Sonnar 8.5cm/f2 T)。

さらにそのマウント規格は、現在よく目にするようになったライカ判ネジ込み式マウント「L39マウント規格」とも違い「CONTAX初期型マウント」と呼ばれる独自バヨネットマウント方式の規格です。

第二次世界大戦終結時に連合国軍に参画していたソ連軍は、ドイツ敗戦時にCarl Zeiss Jenaの技術者や工場機械設備など、ありとあらゆるモノ (//図面) を接収し本国ソ連に引き揚げてしまいました。その経緯から、戦後の旧東西ドイツでそれぞれが独自に継承し発展を遂げた、戦前Carl Zeiss Jenaからの系統とは全く別に「第三国で独自進化していった戦前ドイツからの潮流」たるオールドレンズが『ロシアンレンズ』なのだと言う認識です。

つまり旧東ドイツで戦後建て直しを図り製産を再開した戦前ドイツから継承するCarl Zeiss Jenaと、さらにアメリカ軍によって接収された中心的な技術者や設計図面により旧西ドイツのOberkochen (オーバーコッヘン) で立ち上げたCarl Zeissの創設、そして当時のソ連で模倣からスタートした戦前ドイツのCarl Zeiss Jenaを出発点とした独自進化を遂げた系統という・・「実に3つの系統樹で枝分かれしてその後の発展に進んだ」非常に奇異な背景を持つのが『JUPITER-9シリーズ』とも言えます (他のモデルにも多数顕在)。

接収した人材や設備/資材をもとに、旧ソ連のKMZ (Krasnogorski
Mekhanicheski Zavod:クラスノゴルスク機械工廠) で設計された
モデルが「ZK-85 8.5cm/f2 Π」として1948年に極少数作られ、1949年より本格的な量産型モデルとして再び設計し直したたモデルが「ZORKI ZK 8.5cm/f2 Π」として登場し新たな源流となっていきます (右写真)。

今回扱うモデルはその後1958年にKMZからLZOSに製産が移管された後の出荷個体で、モデルバリエーション上では「前期型」にあたりますが、輸出用だった為に「JUPITER-9」とレンズ銘板に刻印されています (ロシア語のキリル文字ではない)。

従って本家戦前ドイツのCarl Zeiss Jena製品の他、戦後旧東西ドイツでそれぞれ独自に進化していったモデル、プラスして旧ソ連で発展を遂げた全く別名称のモデルと「基となる光学系は一つでもその発展系の光学系は似て非なるモノ」と言う認識で捉えて、その描写性についても考察する必要があるから相当ややっこしい話なのです(笑)

さらにもっと言うなら、旧ソ連製のロシアンレンズは当然ながらロシア語であるキリル文字で命名されレンズ銘板に刻印されていったので「ラテン語圏/英語圏」での呼称とは別にその呼び名が広まったりしているので相当複雑な状況に至っています。

例えば今回のオーバーホール済でヤフオク! 出品する個体のレンズ銘板には「JUPITER-9」とラテン語/英語で刻印されていますが、市場流通品をチェックしていると、それらの中には「ЮПИТЕР-9」とロシア語キリル文字で刻印されている個体があったりします。これをそのまま直訳するとモデル銘の呼称は「ユピテル-9」と発音されるので『JUPITER-9シリーズ』と「ユピテル-9シリーズ」は同一品である事が分かります。

さらにここに当時の時代背景として製産国の自国内で流通する個体以外に海外向け輸出品として「西欧圏に輸出したのか東欧圏に輸出したのか」が関わってきます。つまり輸出品オールドレンズはレンズ銘板の刻印が西欧圏と東欧圏で違うワケです(笑)

これは当時の国際貿易管理法が「ラテン語/英語表記の義務づけ」を採っていた為、輸出指向先の国が西欧圏なのか東欧圏なのかが輸出入時の通関処理で問題になったワケです。すると前述のラテン語/英語表記なのか、相変わらずのロシア語/キリル文字なのかの違いがレンズ銘板に顕在してしまったワケですね(笑) もちろんさらにマウント規格の相違も加味して考えないとおいそれと手に入れられませんから (カメラボディに装着できない)、その辺がオールドレンズをより難しくしている一因とも言えます。

これだけでも相当難解で複雑な系統に陥っているのに、さらに悪いことに旧ソ連も現在のロシアも社会主義体制国家なので、企業に私企業の概念がなくソ連/ロシアでは全ての企業や組織が「国営企業/国営組織」とみなされます。一方戦後に占領統治していた旧東ドイツも当時のソ連方式の国家体制を採ったので、必然的に社会主義体制の国家で全ての企業と組織が「人民所有企業 (VEB)」として管理されました。同じ社会主義体制国家でも中国は共産党一党による独裁体制で同じく全ての企業と組織が「人民公社」の認識です。

ところが旧ソ連と旧東ドイツは産業工業を「5カ年計画で国が直接に管理しつつも各組織体に権限移譲」する体制を採った為に、何から何まで共産党が逐一管理する中国の「人民公社」とはそもそも概念が全く別モノです (但し現在とは異なる)。

従ってネット上で氾濫している何もかも「人民公社」と記載して、旧ソ連や旧東ドイツの企業/組織体を指した説明には、当方は自分で各専門分野の先生 (研究者) の論文を読み漁ったので、同一とはみなしていません。つまり解説する国に従い「国営企業/人民所有企業/人民公社」と3種類のこの当時の解説には使い分けるべきと考えています

するとロシアンレンズに関し「様々な工場で並行製産により増産コントロールしていた」のがそもそもの「産業工業5カ年計画」の基本的概念なので、必然的に当時旧東ドイツでも様々な産業分野で採り入れられていた概念です。つまり旧東ドイツのCarl Zeiss Jenaは戦前ドイツの企業名称と同じながら「合併吸収していった企業体の工場に並行製産させていた」と言う事実も論文を読んで把握しました。

例えばシルバー鏡胴〜ゼブラ柄鏡胴時代の様々なオールドレンズのモデルをバラしていくと、製造番号の若い/古いのシリアル値にそぐわない「別設計の個体が同一モデル内に顕在している
/混在している」のを確認できています。この事象をもしも仮に一つの工場で製産していたと言い張るなら「1カ月間に何度も製産ラインを入れ替えて別設計/別のカタチをした構成パーツで同一モデルを製産出荷していた」事になります。

つまり外見上はパッと見で大きな相違が分からない同一モデルながら「バラして完全解体すると全く異なるカタチの構成パーツと構造が顕在する」ワケであり、内部構造が違うと言う事は「必然的に各部位の動き方まで異なる」のに外面は同じに見える (現実はビミョ〜に外見上にも相違点がある) のです。

製造番号をシリアル値で捉えた時 (並べた時)、そのような相違点が任意の製造番号の前後で頻繁に現れるとなると、どう考えても非効率的です。従ってそれら先生 (研究者) 方の論文に記載されている内容 (別工場に並行製産させていた) は至極説得力を持っていました。

話が長くなりましたが、当時旧ソ連ではオールドレンズに於いて製産工場を表すロゴマークをレンズ銘板に刻印管理していたので、当初の州立GOI光学研究所で設計された「まんまコピー」の「Sonnar 8.5cm/f2モドキ (Zorki ZKモデルと呼称)」は、その後の量産化でKMZ (クラスノゴルスク機械工廠) 向け光学系の開発が行われて製産され続けました

この時点でモデル名称は「JUPITER-9」に変わっているので「まんまコピー」とは別モノなのが分かります (実際過去の検証でZKモデルとの光学系の相違を確認済)。

そして敗戦時に接収した戦前ドイツCarl Zeiss Jena時代から使い続けられていた光学硝子資材が潰えてしまうと「ロシア産の硝子材での光学設計」の必要性に迫られ、ついに1958年にはKMZ (クラスノゴルスク機械工廠) での製産を打ち切り、LZOS (リトカリノ光学硝子工場) 工場に製産の全てを移譲してしまいます。

なおその前年1957年ウクライナのKeiv (キエフ) にある「Zavod Arsenal (アーセナル工場)」でもやはり同一モデルの製産がスタートしていますが、これは戦前ドイツはZeiss Ikon製レンジファインダーカメラ「CONTAX I型」のマウント規格を模倣した、レンジファイン ダーカメラ「Keivシリーズ」を発売したからであり、その「Keivマウント規格」モデルとして合わせて設計と製産をアーセナル工場に任せています。

今回オーバーホール済でヤフオク! に出品する個体は、まさにLZOS (リトカリノ光学硝子工場) で1966年に製産/出荷された個体になり、合わせて鏡胴に刻印されている「Made in U.S.S.R.」さらにはレンズ銘板の「JUPITER-9」刻印から「西欧圏向け海外輸出品」として出荷されていた事まで掴めます。

ところが距離環の距離指標値をチェックすると「メートル表記のまま」なので、アメリカなども含めた「フィート表記」圏向け輸出個体ではなかったと推測されがちですが、実はロシアンレンズにはフィート表記刻印の個体が少ないとみています。従って当時は「あくまでも国際 輸出管理法に則ったレンズ銘板モデル銘刻印と原産国刻印の2項のみ西欧圏、或いは欧米向け海外輸出品の対応として出荷していた」と捉えられます (余計な事に手間暇掛けない)。

要は指向先国、或いは地域向けへの「距離表記単位」に対する配慮が一切なかった事が伺え、こんな点一つを考察するだけでも何となく国民感情と言うか民族的な違いを感じられるので「思いやり大国ニッポン」として考えると、なかなか面白かったりします (おそらく同じ立場になれば日本人設計者の場合指向先国の距離表記単位に変更して刻印していたハズ)(笑)

オールドレンズ・・単に写真撮影の道具としてだけ眺めるのではなくいろいろ考察していくとまた奥が深くて楽しいですね!(笑)

光学系は3群7枚の典型的なゾナー型構成ですが、製産工場の別で ビミョ〜に光学系の各群別に設計が異なったりしています。

右構成図は今回の個体をバラして完全解体した後に、光学系の清掃時に各群を当方の手でデジタルノギスを使って逐一計測してトレースした構成図になります。

ちなみに今回扱う個体のLZOS (リトカリノ光学硝子工場) ロゴマーク刻印ですが、三角や丸形などの光学硝子を製産している工場を表しており、そのカタチの中に「硝子」と言うコトバのロシア語キリル文字「Стакан」頭文字の「」を配した意匠である事が分かります。

またここまで記載してきた「LZOS」の文字は、実はラテン語/英語変換 (翻訳ではない) した時のリトカリノ光学硝子工場頭文字であり、本来のロシア語キリル文字で正しく表記するなら「Лыткаринский Завод Оптического Стекла」になり、すると頭文字表記は自ずと「ЛЗОС」とロシア語キリル文字表記が正規の表記です。従ってさらにこの文字だけをラテン語/英語に単純変換したのが「Lytkarinskii Zabod Opticheskogo Stekla」ですから「LZOS」なのであって、もしも仮にロシア語キリル文字をそのままラテン語/英語に「翻訳」したのなら「Lytkarino Optical Glass Factory」になるので「LOGF」こそがラテン語/英語翻訳時の工場頭文字なのであって・・全く別モノになってしまいます(笑)

いまだに当方もこのロシア語キリル文字とラテン語/英語「変換表記なのか翻訳なのか」で 何度も戸惑うことがあり、本当に複雑です!(泣)

またロシア語キリル文字のアルファベットが、ラテン語/英語の一部と同じ文字を使ったりしているので相当複雑な話なってしまうのです。例えば「LZOS」の「」はロシア語キリル文字で「」ですね (だからロゴマークの中心は英語ではSなのだと分かる/英語のCではない)(笑)

つまり世界中に向けたラテン語/英語で表記している話や解説なのか、ロシア語キリル文字での扱いなのか?・・その都度注意して接する必要があるのがロシアンレンズの難しい部分だったりしますね(泣) せっかくロシアンレンズを解説/説明してくれている素晴らしいサイトが世界中に存在するのに、このような「言語の認識問題」までキッチリ解説してくれているサイトが意外にも少ないのが残念です。

そしてこのような考察に及ぶ時、意外にも重要なのが「当時の国際輸出管理法」なのであってそこにまさに「ラテン語/英語表記の義務づけ」からこの複雑さの因果関係を辿れますね。
(当方は当時のその国際輸出管理法まで原文条項を研究しました/現在の国際輸出管理法とは 当時の法律は一部異なるようです)

どうしてそんな事までワザワザ研究したのかと言えば、オールドレンズのレンズ銘板や鏡胴に刻印されている「文字の矛盾」を追求したかったからであり、その根本は「オールドレンズ 個体別の素性を知りたかった」と言う自らの純粋な想いであって(笑)、単にオーバーホールしている最中のそのオールドレンズに対する、こよなく愛しむ想いだけなのです・・何もたいした理由がなくて全く以て恥ずかしい話です!(笑)

然しそうは言っても、自分の年齢よりも長きに渡り様々な修羅場をくぐり抜け九死に一生を得て生き存え、そして今もなお (ちゃんと整備してあげさえすれば) まだまだ機能して活躍できるのだと、頑固にそして気概を以て「老兵は死なず!」とまさにタダ消え去るのみ・・そのような想いで一本逸本を自分が納得できるまで整備し尽くしているワケです (整備し終わったら また新たな主人の下に旅立ち手元から消え去っていくから)(涙)

あくまでもスタンスは「DOH」なのであって、その真髄はオールドレンズに対する限りない 慈しみだけしかないと言う、何とも実利のないお話です!(笑) 何故なら、当方は単に整備をしているに過ぎず『本当にそのオールドレンズを活用し活躍の場を与えていらっしゃるのは
・・まさに皆様なのだから!
(偉そうな事を言っているが当方は整備以外何もしていない)

こんなプロでも何でもない整備屋モドキが扱ったオールドレンズを、言い値でご落札頂き活躍の場を与えて下さる・・当方がこうやって日々生活していけるのも、まさにそのような皆様のとこしえなるご厚情にすがっているワケで、感謝の念に堪えません!(涙)

ありがとう御座います・・!

《モデルバリエーション》
※各バリエーションの製産時期はネット上サンプルの製造番号から推測

前期型

製産工場:KMZ / LZOS
製産時期:1950年〜1963年

中期型

生産工場:LZOS / ARSENAL
製産時期:1958年〜1968年


後期型

生産工場:LZOS
製産時期:1968年〜2000年代 (?)


  ●               

ロシアンレンズのマウント規格について注意事項があるので解説しておきます。

左図はGOI Leningrad (Gosudarstvennyi Optichaskij Institut Leningrad:州立GOI光学研究所) の設計諸元書から転載しました。

L39スクリューマウント (L39 x 1)
ライカ判を模倣したFed-Zorki (フェド・ゾルキ) 版ネジ込み式マウント
マウント内径:⌀39mm x ピッチ:1mm (フランジバック:28.8mm)

M39スクリューマウント (M39 x 1)
旧ソ連のフィルムカメラZenit (ゼニット) 版ネジ込み式マウント
マウント内径:⌀39mm x ピッチ:1mm (フランジバック:45.2mm)

Kiev/CONTAX旧型マウント (バヨネットマウント)
「CONTAX I」を模倣したやはり旧ソ連の独自マウント規格。

すると上記3つのマウント規格の中で「L39とM39が同一径のネジ込み式マウント」です。

マウントが同じ「ネジ山内径39mm x ピッチ1mm」なので、パッと見で同一に見えて しまいますが、フランジバックが違うので間違えて入手するともちろんピントが合いません。

さらに厄介なことに、右写真のような「M39 → M42変換リング」が存在するので、これをネジ込んで「M42マウント」と謳い平気で市場に流しています (古い場合は真鍮製の変換リングもある)。

 

ややこしい話ですが、必ず「フランジバック」を考えなければオールドレンズは使えません。

L39マウント規格:フランジバック:28.8mm±0.02
M39マウント規格:フランジバック:45.2mm±0.02
M42マウント規格:フランジバック:45.46mm±0.02

つまり、ヤフオク! でも平気で公然と「M42マウントとしても使えます」と謳われていますが変換リングの類を使ってM39を「M42マウント化」したとしてもフランジバックがそのままなら「相当なオーバーインフ量」になっていることになります (距離指標値の∞から5目盛以上もズレた手前の位置で無限遠合焦してしまう)。

何故なら、M42マウントのフランジバック「45.46mm」との差が「0.26mm」もあるので、ヘリコイド (オスメス) の「直進方向に於ける差異」で捉えると、距離環を回す「横方向での ズレる度合いは5〜6目盛分に相当する」と推定できるからです。

すると、例えば今回の中望遠レンズで言えば、距離環に刻印されている距離指標値はメートル表記 (M刻印あり) で・・・・、

M 1.15 1.3 1.5 1.8 2 2.2 2.5 3 3.5 4 5 6 8 12 25 ∞

・・なので (上記距離指標値の左端が最短撮影距離で右端が無限遠位置)、下手すると5mを 過ぎた辺りから無限遠合焦してしまい、ポートレートレンズとしての画角で考えるとだいぶ 使い辛いと思います。

5mから先∞刻印に向かって再びボケ始めるから “オーバーインフ状態” と呼ぶ

いわゆる高く売りたいが為の謳い文句として敢えて詳しく案内しない出品者も居るので本当に厄介です (シロウトなので詳細は不明/委託品なので未確認などが横行している)。

従ってL39なのかM39なのか、或いは本当のM42なのか (変換リングがネジ込まれていない) 等確認が必要になります。しかしライカ判「L39」を「M39」と表記している人も居るので非常に分かりにくい話になっています。当方も調達時は必ず無限遠位置が適正なのか質問して入手しているくらいです。

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は「LZOS JUPITER-9 85mm/f2 (black)《前期型》(L39)」の ページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。当初バラす前のチェック時点で、例えば距離環を回すトルク感は少々重めの印象でしたし、実写チェックしてみるとピントの山が掴み辛く緩やかにピークを迎えているように見えます。そして何よりも「このモデルにしては鋭さが足りない」印象だったので、明らかに内部光学系の締付が緩い懸念が高まりました。

実はこのブログではオールドレンズに関する情報をこうやって掲載する際「なるべく累計本数をカウントして掲載に努めている」ワケですが、その理由がまさしくこの「ピント面の鋭さの感覚をチェックする時の目安になる」と言うお話なのです。

今回のモデルで言えば43本目ですから、相当な数を仕上げてきているので「このモデルの ピントの合い方やクセ、或いはピント面の鋭さを把握している」メリットがあります。

すると例えば当方とご同業の『転売屋/転売ヤー』の中には同じように同型モデルを多数扱っている出品者も多いワケですが「ピントが鋭い時は実写も問題なし」と明記しますが「ピントが甘い時は記載しない」輩が居ます!(怒) それは海外から出品している出品者も似たような事をしているので、本来『転売屋/転売ヤー』ならば多くの同型個体を扱っているハズですから、ちゃんと実写確認していれば「ピント面の鋭さを出品前に事前チェックできている」ハズで、それを敢えて明記していないワケです(笑)

酷い場合は実写確認してもキレイに撮影できました・・などと記載してごまかしています

従ってこういう要素がシッカリと出品ページに記載されているのか否かも「出品者の落札者に対する配慮」の評価基準になるべきですが、意外にも評価数だけで判定されたり、それこそ「プロ」のような振る舞いや「専門店で動作チェック済」を謳って、如何にも描写性能に問題ないかのように記載している輩も居るので要注意です!

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

当初バラす前のチェック時点では第2群の3枚貼り合わせ硝子に「非常に薄いクモリ」が全面に渡って生じており、さらに外周部分に僅かながら濃いめのクモリがあったので、下手すればバルサム切れの懸念にもなり (しかし出品ページには一切記載なし)、ちょっと調達を失敗したかと焦ったくらいです(笑)

貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す

バルサム切れ
貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態

完全解体して光学系を清掃していくと、普段の清掃工程である3回の清掃でもそれらクモリが除去できず、しかしジックリ覗いてみると「クモリは貼り合わせ面ではないのでバルサム切れではない」と判定し、これはコーティング層の経年劣化かも知れないと覚悟しました。

しかし、各光学硝子レンズを締め付け固定する「締付環」の一部を洗浄した時に判明しました。そうです、今回扱った個体も「反射防止黒色塗料の重ね塗り」が影響し、経年で揮発した内部のグリース成分がインク成分の揮発を促しコーティング層に頑固に癒着してしまったのです。

仕方なく倍の回数で清掃を施しようやく「スカッとクリア!」な光学系内に至りました。

なお光学系内には「大小の微細な気泡」が複数残っていますが、写真には影響しません。

気泡
光学硝子精製時に適正な高温度帯を一定時間維持し続けた「」と捉えていた為、当時の光学メーカーは正常品として出荷していた

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

1枚目の写真を見ると微かに写っていますが、前玉表面側のコーティング層経年劣化が進行している為「斑のように反射する箇所」がありますが、これはコーティング層の劣化なので改善できません (写真には影響しないレベル)。

またやはり前玉中央表面に微かな拭きキズやヘアラインキズが経年相応に残っています。

↑この当時のロシアンレンズ光学系、特に「前玉裏面側」に多い状況を解説しています。上の 写真グリーンの矢印で指し示した箇所の微細な点は、ワザと故意に強めに反射させて撮影していますから、現物を見るとあまり目立たないかも知れません (個人差による)。もちろん写真に影響しませんが、実はこれらの点を拡大撮影するなどしてチェックすると「彗星のように尾を僅かに引いている」ように反射して視認できます。

これは光学硝子レンズ精製後のコーティング層蒸着の際に「コーティング層の資材に不純物が混じっていた」事による影響らしいです。さすがに当時の旧ソ連以外の光学メーカーならそこまで資材管理が悪いこともなかったので見かけませんが(笑)、逆に言えばこの当時のロシアンレンズには結構見かける要素です(笑)

↑光学系後群側の貼り合わせレンズも「スカッとクリア!」でLED光照射でも極薄いクモリが皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:15点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:11点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(後群内に極微細な薄い24mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
(前後玉に微細な拭きキズ/擦りキズ/点キズあり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・特に前玉中央に目立つ擦りキズがありますが写真には影響しません。
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり、一部は一見すると極微細な塵/埃に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷されていた為クレーム対象としません)。「気泡」も点キズにカウントしているので本当の点キズは僅かしかありません
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑15枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に真円の円形絞りを維持」して閉じていきます。

また絞り環操作はクリック感のない無段階式 (実絞り) 方式で基本的にスカスカ状態ですが、今回のオーバーホールで敢えてワザと故意にグリースの「重め」を塗布してトルクを与えてスカスカの違和感を低減しています。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります
・絞り環は設計無段階式(実絞り)でスカスカですが今回のオーバーホールで極僅かにトルクを与えてスカスカ感が低減するよう微調整済です。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

↑上の解説は距離環を回していって最短撮影距離「1.15m」に至った時に、カツンと音がして停止しますが (グリーンの矢印)、この時鏡胴「後部」と絞り環との間に「隙間」がご覧のように空きます (赤色矢印)。これはこのモデルの設計上の仕様なので、この隙間を無くすような 微調整は不可能です (クレーム対象としません/一部タイプには隙間が塞がっている場合もあるがそれも設計の相違)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-Nレンズガード (新品)
本体『JUPITER-9 85mm/f2 (silver)《前期型》(L39)』
汎用樹脂製ネジ込み式M39後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

↑当初バラす前のチェック時点では上の写真のグリーンの矢印のように、赤色矢印で指し示している絞り環用の基準「」マーカーや絞り環の絞り値刻印、或いはマウント側の基準「」マーカーがキレイに「一直線上に縦方向に並ぶ」状況ではありませんでした。

要は鏡胴「前部」がネジ込み式で鏡胴「後部」にセットされるので絞り環用の基準「」マーカー位置がズレており、距離環の刻印距離指標値で言うところの2目盛分ほど左側にズレて いました。

逆に言うとこのモデルは鏡胴が「前部/後部」の二分割方式なので、距離環〜マウント部までの「後部」に「絞り環から上の前部がネジ込みで入る」セット方法を採っている為、本来なら「ピタリと縦方向に一直線上に並ぶ」のが適正なのに、意外とズレたまま公然と市場に流され続けていたりします(笑)

単に縦位置がズレているくらいぜ〜んぜん気にしない!

・・という人も多いでしょうが(笑)、実はこの構造が大きなポイントになります!

前述のとおり鏡胴「前部」を「後部」にネジ込んでいくセット方式なので、キッチリ硬締めでネジ込み終わった状態で初めて「絞り環操作しても鏡胴前部が回ったりしない/つまり完全固定状態」と言えますが、その時の問題点は・・・・、

前後の直進方向で、光学系各群に於いて光路長が多すぎる/足りていないなどの不適切な固定位置の問題が起きる懸念が高い構造

・・と明言できます。これは何もロシアンレンズだけに限定した話ではなく日本製オールドレンズもフランス製も含め世界中で「鏡胴二分割方式の構造」モデルは非常に多く存在します。

逆に言うとこの当時に「敢えてに分割方式で設計していた理由」は前後ネジ込みの際に「無限遠位置を微調整する目的で薄い環/リング/輪っかを挟んでいた」目的があって、ワザと故意にそのような設計を踏襲し続けた経緯があります。

つまり必然的にこの当時の設計には「無限遠位置微調整機能が備わっていない」からそんな手間を掛けて (ある意味ごまかして) 使っていたワケです。

どうして「それを指してごまかしの設計と指摘するのか」と言えば、そもそもネジ込み式で前後をセットするので、その間に例え薄いとしても環/リング/輪っかがサンドイッチされるとなれば「ネジ込んで硬締めで停止する位置がズレるのは自明の理」と言う話です。

従って無限遠位置が合っているのに縦方向の位置はズレまくっているなど、そんな個体が数多く流通しているのです。

しかし、ここで問題点を履き違えないで下さいませ。
逆に言うなら無限遠位置の微調整に気を取られて本当のポイントを見失っています

前述のとおり「ネジ込み位置の変化は光路長の変化に直結する」ので「ピント面が甘い現象を招きかねない」と断言できます!(怖)

要するに無限遠位置を強制的に合わせてクレームにならないよう施したが為に「結果的に却って甘いピント面に堕ちてしまった」個体が氾濫しているのです。

話が長くなりましたが、このように「オールドレンズに於いて扱っている本数が多い最大のメリットは、モデル別のピント面の鋭さやピントの山のピーク前後での癖などを特定できる」のがポイントになりませんか?

上から下まで (前玉から後玉を経てマウント面まで) 基準マーカーがピタリと縦一直線上に気持ち良く並んでいるのは「ピント面が適正である事の一つの目安」と捉えられるワケで、そうなるとぜ〜んぜん気にしないと言っていた人も顔色が変わるかも知れませんね(笑)

下手すれば「プロの写真家」が自ら整備してロシアンレンズの「JUPITER-8 50mm/f2」などをヤフオク! にやはり出品していますが、見ていると縦一直線に並んでいないまま平気で (一切明記せずに) 出品していたりします。出品者がプロの写真家なので信用/信頼が高くクレームももちろん来ませんから、さすがたいしたものです!(笑)

当方のような『転売屋/転売ヤー』が同じ事をすればアッと言う間にクレームの嵐ですね(笑)

では実際にどのくらいピント面が鋭くなったのか、或いはこのモデル本来のピント面とはどんな鋭さなのかは以下の実写をご覧頂ければ「ピント面のミニカーが浮き上がる鋭さ」が、まさにゾナー型たる由縁であり、旧戦前ドイツのそれこそ「Sonnar 8.5cm/f2 T」から受け継ぐべき光学系の特徴なのではないでしょうか?

また下のオーバーホール後の実写でワザと故意に被写体たるミニカーの、さらに手前側ヘッドライトの中の「電球」に開放撮影時のピント面を合わせているのは、以下で事前解説のとおり「被写界深度の変化とボケ味との対比をご確認頂く目的」としていますが、この点について「何だボケ具合のチェックか!」と吐き捨てる方が居ます(笑) そういう人に限ってオールドレンズに対する認識/捉え方までがデタラメだったりします(笑)

このブログでも何度も指摘しているとおり「オールドレンズに於ける残存収差は、そのモデルの特徴的な要素の一つであり、ある意味モデル別描写性の味とも捉えられる」のに、それを「ボケ具合か!」と吐き捨てるワケですから(笑)、こう言う人はオールドレンズに何を期待しているのかしらと不思議に思ってしまいます。

少なくとも数多く扱った当方の印象としては、ドイツ製とロシアンレンズとの違いは「ピント面エッジの太さと画全体の繊細感の強弱」と捉えており、それ以外は残存収差の話だったりするので、オールドレンズの楽しみとはまさに「収差=そのモデルの味」みたいな話にも繋がると認識しています。

そして当方がこのようにオールドレンズに期待するからこそ「敢えて初期の頃のモデルに興味関心が沸く」のは、まさにその残存収差がまだ多く、改善される前のモデルやタイプだから とも言い替えられます。

確かにネット上を観ると「初期のモデルのほうが優れている」と言う意見を数多く目にしますが、その優れている内容はともかく、当方もまさに「後期型のマルチコーティング化した整った優等生的な写りよりも多少乱れたほうが楽しい!」と言うのがホンネだったりします(笑)

もっと言うなら、そんなに等倍鑑賞/撮影して逐一光学性能をはじき出すなら、ハナッからデジタルなレンズを使えば良いのではありませんか? オールドレンズに端正な写りばかりを要求されるほうが、当方にはむしろつまらないと思えてなりません(笑)

人の感性は千差万別なのだから,オールドレンズの評価をする時に必ずしも数値データが必須だとは思いません。何もかも厳密にチェックした上で整備し仕上がった時にこそ初めて、そのオールドレンズこそがまさしく「製産時点の本来の姿に戻った」と仰るならまだ分かりますがそれぞれの個体が何十年もの歳月を辿ってきた「そのいにしえの時の流れを無視してまで無味乾燥的に扱う」のは、当方にはちょっとできませんね(涙)

当方のオールドレンズに対する心構え・・接し方を少しばかりお話しさせて頂きました

なお今回のオーバーホールでは調達個体の過去メンテナンス時の状態がまだマシなほうだったので「距離環を回すとトルク感がこのモデルにしては軽いほう」で仕上がっており、且つ以下実写のとおり「本来の浮き上がるような鋭さをキープ」させた仕上がりに至り、もちろん当然ながら「光学系内はスカッとクリア!」なので、是非ご検討下さいませ。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離1.15m附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはハレーション気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値を「f2.8」にセットして撮影しています。

↑さらに回してf値を「f4」で撮りました。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」になりました。もうだいぶ絞り羽根が閉じてきているのですがまだまだピント面の鋭さが分かります。

↑f値「f11」です。極僅かですが一つ前のf値「f8」に比べると微かに解像度が変わらないような印象です (つまり回折現象の影響が出始めている)。

↑f値「f16」での撮影です。このf値になると確かに「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。