〓 FUJI PHOTO FILM CO. (富士フイルム) FUJICA FUJINON 55mm/f2.2《前期型:総金属製》(M42)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産の
FUJICA製標準レンズ・・・・、
FUJINON 55mm/f2.2《前期型:総金属製》(M42)』です。


このモデルの総扱い数は今回の個体が累計で57本目にあたり,その中で「前期型」モデルは34本目。さらに光学系内の透明度が高く「スカッとクリア!」だった個体数でカウントすると今回が15本目にあたり、究極的な『総金属製』は何と僅か6本目です。
(製造番号を基にしたデータベースがあり作業記録も残しているのでカウントできる)

そもそもこの『総金属製』の存在を知ったのが2020年なので、当方がこのオーバーホール作業を始めて昨年は9年目でしたから、その間1本も手にしなかったのが何とも不思議です。

しかも昨年は立て続けに3本調達でき、年が明けてすぐに1本,そして半年経過後の今月初めに1本、さらに続けて今回の1本と運良く立て続けに手に入れられました。

要は1年間に1〜2本程度の出現率でしかないのがこの『総金属製』モデルです。実際はほぼ毎日チェックしているのですが半年に1本レベルなので、相当品数が少ないとみています。

このモデルは当時のFUJICA製オールドレンズの中では最も格付が低い「廉価版モデル」でしたから、外見上は筐体外装の相違で「前期型/後期型」と区別できるものの、基本的にエンジニアリング・プラスチック製の筐体外装がメインです (筐体外装の中で金属製なのはフィルター枠とマウント部だけ)。

ところが内部構成パーツになると明確に「前期型/後期型」に二分されないから困ります。さらにもっと言うなら,普通は内部構成パーツも何かしらの問題点を改善させる目的なのか、或いはコスト削減策の一環なのか仕様の変遷に相応な法則性を見出せるのですが、ことこのモデルに関しては全く以てバラバラで製造番号から捉えることが一切できません。

そこから推定したのは「製造番号の先頭1桁目2桁目までが暗号」かも知れないとみています。つまり内部構成パーツの仕様の変化と製造番号に追従性/法則性がないので,仮に製造番号のシリアル値別に並べると全く以てバラバラになってしまい前後の説明できません。

こればかりはどんなに扱い本数を増やしても「永遠に答は不明なまま」なので,何とも歯がゆい思いです(泣)

しかし一つだけハッキリしているのは・・・・エンジニアリング・プラスチック製の中で『総金属製』モデルは間違いなく超稀少品だということです。そしてその描写性で捉えるなら大変美しい明確なエッジを伴い、且つ真円でシャボン玉ボケを表出させられるモデルは極限られたモデルだけなので、日本製オールドレンズの中で考えると、それも貴重な要素の一つではないかと考えます。

なお、このモデルは「廉価版モデル」の位置付けから、光学系の特に前後玉のコーティング層蒸着が限界に到達しているようで、カビの繁殖以外に「コーティング層の経年劣化に伴う薄いクモリの発生」個体が多く、まず以てクモリが生じた個体はどんなに清掃しても一切除去できないので要注意です。さらに筐体外装のエンジニアリング・プラスティック材は「前期型」に 於いてはヒビ割れを伴うのでボロボロになっていきます。

↑前回出品した時の個体を完全解体したパーツ全景写真を転用して掲載しています (今回の個体のパーツ全景写真ではありません)。いちいち撮影するのも面倒なので使い回ししていくように変更しています。

オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など、詳しい解説は「FUJINON 55mm/f2.2《前期型:総金属製》(M42)」のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。何度扱っても総金属製に変わるだけで高級感を十分に感じられるから不思議です(笑)

実はこの個体の前に1本オーバーホール/修理を承った分のオーバーホール作業を行いましたが今回の個体と合わせて2本バラしたものの、やはりいつもと同じように「マウント部内部の パーツの使い方をミスっている」ワケで、こうも毎度の如く同じミスを犯してそれをごまかす処置まで同一に講じられているとなると、本当に腹が立つのを通り越して呆れてきます(泣)

その過去メンテナンス時の (整備会社の) 整備者は、必ず同じような不具合に見舞われる点を どうして不思議に感じなかったのか? 逆に言うなら、バラす前の状態では絞り羽根開閉異常が発生していなかったハズなのに、組み上げたら絞り羽根開閉異常が必ず起きる事にどうして「???」とならなかったのか、本当に不思議でなりません!(怒)

あまりにも注意散漫が過ぎるのではないかと、本当に整備スキルを疑いたくなりますね?!

こういう整備会社に限って「何十年も前に製産されたモノだから」などと全く以て意味不明なこじつけを平然と言い訳しながら仕上げていたりするので、本当にロクな事をしません!(怒)

おかげで毎回、そのごまかしで講じられた処置を「正す作業」をするハメに陥っているのが まさに当方であって、本当に腹が立ってきます!(怒)

どうして整備する都度「ペンチで少し変形させないと上手く絞り羽根が開閉しない」処置自体が、製産時点でそのような作業工程がなかったはずだとの考えに至らないのか・・頭が悪いのではないかと腹が立ちます!(怒)

おそらく経年が原因でそのような処置を必ず施す必要があるモデルなのだと、自分に言い聴かせて処置していたのでしょうが、そのように結論づけてしまう事自体、頭悪いとしか思えませんね!(怒)

結局、毎回毎回必ずマウント部内部パーツの極僅かな傾き/変形を正しつつ、最後まで仕上げた後に逐一「各絞り値での絞り羽根開閉の整合性チェック」が必要になってしまい、本当に面倒でなりません!(怒)

ちなみに今回の個体も (その前に仕上げたオーバーホール/修理分も合わせ)、過去メンテナンスは数年内で10年経過しておらず、且つ塗布されていたのは相変わらずの「白色系グリース」です。必然的にアルミ合金材ヘリコイドネジ山同士は摩耗してしまい「濃いグレー状に変質」していたワケで、いったい何の為の (その過去のメンテナンスは) 整備だったのかが、全く以て意味が分かりません。

ちなみにその整備会社の整備者は同一人物であり、且つ整備個体に不具合箇所があると赤色のマジックでマーキングする癖がある整備者です。何本もの同一モデルをバラす事でこのような状況証拠を積み重ねていくと「同一人物によるパーツの使い方ミス」が因果関係であり、それをごまかす為に「ペンチを使って故意にワザと変形させて仕上げる」のが一目瞭然なのです (実際、極僅かに斜めの位置にズレているから見ればすぐに分かる/ペンチで掴んだ刻みも残っているワケだし)。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

極僅かに前後玉にカビ除去痕が残っていますが (特に前玉外周附近の2箇所が光に翳すと視認できる)、写真には全く影響しませんし、上の写真などで何とか視認できるレベルであり、角度を変えると見えなくなってしまいます。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側もスカッとクリアなのが堪りません!(笑) 当然ながら極薄いクモリが皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:18点、目立つ点キズ:15点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:16点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前群内僅か)
(前群内に極微細な薄い4mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズなし)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:あり
(前玉にカビ除去痕としてキズ2箇所あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑5枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正五角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・このモデルはマウント面に「開放測光用の爪」が1mm弱突出しています。切削する必要がある場合ご落札後の一番最初のメッセージでご申告下さい。再びバラして切削し着色します(有償:2,000円)。工賃は別途送料欄に加算してお支払い頂きます。また再作業につき数日発送が遅延します。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-Nフィルター (新品)
本体『FUJINON 55mm/f2.2《前期型:総金属製》(M42)』
社外品樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (中古品)
 純正樹脂製被せ式前キャップ (中古品)

↑上の写真解説のとおり「開放測光用の爪」がマウント面から飛び出ています (グリーンの矢印)。当時のFUJICA製フィルムカメラ「ST-801/901/AZ/1」などに装着すると開放測光機能がご使用頂けます。

もしもマウントアダプタ (ピン押し底面タイプ) 経由デジカメ一眼/ミラーレス一眼に装着される場合は、マウント面の「開放測光用の爪」を当方にて切削しキレイに着色処理しますので、必ずご落札後の一番最初の取引ナビメッセージにてその旨ご案内下さいませ

再び一旦バラして絞り環だけを取り出し「爪」のみ切削するのでとてもキレイに削れますし、もちろんちゃんと目立たないよう着色します (装着するマウントアダプタ側に擦りキズが付いたりしません)。作業料として別途「2,000円」を申し受けます (発送が数日遅延します/作業料はヤフオク! の送料欄に加算してお支払い下さいませ)

なお以下のマウントアダプタに装着した場合の検証は、過去に掲載した内容の転載です (使っているオールドレンズが今回の出品個体ではありません)。

↑当方が所有している以下のマウントアダプタについて、実際に今回の出品個体を装着した状態を掲載します。特に K&F CONCEPT製マウントアダプタは2千円台で出回っているので、安価ですから手に入れるのも良いと思います。
(ここからの写真は過去扱った時の写真から転載です)

RAYQUAL製マウントアダプタ (日本製)
K&F CONCEPT製マウントアダプタ (中国製)

両方ともオールドレンズ側のマウント面に「1mm強の突出」が用意されているので (グリーンの矢印)、今回出品の個体をネジ込んでいっても引っ掛かる事が無く、ちゃんと最後までネジ込めるワケです。

なお、共に「ピン押し底面の深さ」は「6mm」です (ブルーのラインの深さ)。

RAYQUAL製マウントアダプタに今回の出品個体を装着した時の写真です。ちゃんと最後までネジ込めて、オールドレンズ側の基準「●」マーカー位置がマウントアダプタの真上の位置にほぼ合致しています。開放測光用の爪が飛び出た状態のままで装着可能ですし、絞り羽根も間違いなく最小絞り値「f16」までキレイに閉じていきます (確認済)。

↑こちらは K&F CONCEPT製マウントアダプタの装着状況を撮った写真です。同様、ちゃんと最後までネジ込めて、且つオールドレンズ側の基準「●」マーカー位置がマウントアダプタの真上の位置にほぼ合致しています。やはり開放測光用の爪が飛び出た状態のままで装着可能ですし、絞り羽根も間違いなく最小絞り値「f16」までキレイに閉じていきます (確認済)。

ちなみに中国製たるK&F CONCEPT製マウントアダプタの内側にセットされている「ピン押し底面」は「凹面を上に向けてセット」により深さが「6㍉」ですからご留意下さいませ。

このような「マウントアダプタとの相性問題」まで当方が心配して逐一検証したり調べたり する必要性も義務も本来なら存在しないハズなのですが、何しろ信用/信頼が皆無な『転売屋/転売ヤー』なので、不具合が起きるとすぐにクレームの嵐で「アンタの整備が悪いからこんな不具合になっている!」と来るので、何を説明しようとも聞く耳を持たない状況であり、そういう時はもう面倒くさいので「はいスミマセン!」になります(笑)

そんなワケで仕方なくこんな事まで検証してこのブログに載せています・・(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離60cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。絞り環の刻印は単なるドット「●」になります。

↑さらに回してf値「f4」で撮っています。

↑f値は「f5.6」に上がりました。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」での撮影です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。

極僅かですが「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。