◎ Kern-AARAU (ケルン・アーラウ) KERN-SWITAR 50mm/f1.8 AR《前期型−II》(ALPA)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、スイスは
Kern-AARAU製標準レンズ・・・・、
 『KERN-SWITAR 50mm/f1.8 AR《前期型−II》(ALPA)』です。


《ご落札頂きましたぁ〜!》
ありがとう御座います! このコロナ禍の折、今月は入院してしまいキチョ〜な半月という時間を無駄にし、出品数を増やすことができなかった中で本当に助かります!(涙)

入院費用はもとより生活費も稼げていないので、もぉ〜感謝感激大喝采・・!
頭ン中でクラッカーが爆裂しまくってましたねぇ〜(嬉)
ありがとう御座います!(涙)

今回初めての扱いになりますが、巷で非常に有名で人気が高いのはモデル銘に『MACRO』が入る「KERN-MACRO-SWITAR 50mm/f1.8 AR」モデルのほうですが、実は当方は敢えて今回扱う「最短撮影距離が長いMACROが入っていないモデルのほう」を探し続けチョイスしました。

もちろん『MACRO』が入るモデルのほうは「KERN-MACRO-SWITAR 50mm/f1.8 AR《中期型−I》(ALPA)」などを幾つか扱っていますが、当方にはある一つの理由があって今回の「前期型−II」を狙っていたのです。

それは「MACROが入る最短撮影距離28cmモデルのほうは自分には緻密すぎる」からなの です(笑) 逆に言うなら『人の目で観たがままにシ〜ンの切り取り感が強いほうが自分好み だから』とも言い替えられます。その意味で最短撮影距離「28cm」は、自分にとっては
むしろ選択肢の二番煎じ的な要素だったと言えます。

ピント面の鋭さや情報量の多さ、緻密感の素晴らしさを目指すなら誰が何と言おうと間違いなく『MACRO』が入るモデルのほうだと当方も考えます。しかし逆に緻密すぎて背景になる アウトフォーカス部の滲み方に「曖昧さ」や「乱れ感」が低減し制御されてしまい、良く言えば整った描写性、悪く言うなら優等生的な大人しすぎる写り方に、観ていて (自分にとっては) ハッとする要素がむしろ減ってしまった感が拭えない気持ちが強かったのです。

映画鑑賞が大好きな当方にとって、写真を観る時の基準も「没頭感/没入感」であり、その写真が持つ/表現する/伝えようとしている「ストーリー性」に最大限の興味関心が強いワケです。すると当然ながら観ているその写真は「臨場感がリアルであるべき」であり、それがまさに 前述の「シ〜ンの切り取り感」であって、まるで自分がその場に居合わせるかの如く (瞬時に) 感じ入ってしまう「感覚的な直感的な要素」のほうが重要なのです (つまり描写性能を表す 数値ではない)。

逆に言うなら、当方は等倍鑑賞に全く以て興味が無いので(笑)、オールドレンズの描写性について光学面からの重箱の隅を突くような追求/探索は自分にとって何の意味もありません。どんなに優れた数値を吐き出そうが、その光学系から映し出された写真にリアルさを感じなければ当方にとってはフツ〜のオールドレンズ達の中のタダの1本なのです (当方が魅力を感じるのは本命の逸本!)(笑)

従って今までオーバーホール/修理を承っていた「中期型後期型」モデルのほうも確かに素晴らしいモデルなのですが、自分の好みとしてはどうしても「一度は前期型をバラさなければ このまま人生終われない!」くらいに狙っていた次第です!(笑)

↑上の一覧表は今回の出品個体「前期型−II」を扱って初めて気がついた事実から今一度モデルバリエーションを調べ直した結果です。

製造番号を基に現在ネット上で発見できる53本の個体について調べています。すると1951年発売時点から「〜3xxxxx」までの製造番号ではモデル銘が「Kern Aarau SWITAR」と刻印されていました (上の一覧 部分)。serial値が「4xxxxx〜以降」 部分になりますが「KERN
-SWITAR
」としています。この2つのモデルが「前期型−I前期型−II」になり、最短撮影 距離55cmのタイプです。

そして「6xxxxx 〜以降」の途中からモデル銘に『MACRO』が入った最短撮影距離28cmの モデルに替わり、光学系も幾度となく再設計を繰り返します。これらを として、モデルバリエーションでは「中期型−I中期型−II」にしました。最後は開放f値がf1.9になってしまった「後期型」の とコシナ製モデルです (重要なのは光学系設計の相違点)。

従って「前期型−I」のほうはまだバラしたことがないので何とも結論付けできておらず、合わせて実は開放f値f1.9の「後期型」もまだ扱っていません(笑)

この一覧の中で「???」と感じたのは 部分が の途中にも見え隠れしている点です。これは推測でしかありませんが、おそらく一眼レフ (フィルム) カメラ側の製産に合わせて途中で 急きょ組み上げて出荷されたから「製造番号が途中で付番された」のではないかとみています (確かな情報が無い)。何故なら光学系も外径サイズも全く異なるのでレンズ銘板だけを入れ替える事ができませんし、もっと言うならこの「SWITARモデル」に関しては構成パーツの設計自体も違うので「ニコイチ/サンコイチ」すら不可能である事を確認しています。

従って外観からとか、鏡胴の要素からとか、製造番号を基にして考察するだけではなく「内部構造や使われている構成パーツの仕様の相違点」から捉える事で、より強力に変遷を辿ることが叶うと言うモノです。

さらにもう一つ「???」だった事実が確認できましたが、上の一覧を見ても「中期型−II」が存在しないのです。53本もチェックして現れないというのは相当なレベルで、以前扱った「KERN-MACRO-SWITAR 50mm/f1.8 AR《中期型−II》(ALPA)」はもしかしたらだいぶ ヤバい稀少品だったのかも知れません。

鏡胴「前部」側が「中期型モデルの設計」に対して鏡胴「後部」側は「後期型の設計」というハーフなのですが、実はこれは「ニコイチ」できない証拠をちゃんと掴んでおり「ヘリコイド駆動時の直進キーの設計が専用なのでニコイチが不可能」と言う話です。

このように完全解体してバラすことで「事実とその根拠」まで明確になるので、当方がウソを平気で公然と載せ続けていると (SNSなどで) 言うなら、是非とも覆す「新たな証拠」をちゃんと掲示してから批判して頂きたいと考えますね(笑) 逆に言うならどんなに批判されようとも当方が自らの目と手で確認した「物理的な現実面での相違点」は、どうにもこうにもヒックリ返りません(笑) それは例え当時在籍していた方々の証言だとしても、具体的な青図面が示されない限り「はたして全ての設計に携わっていたのか否か」は当方にとって疑わしい話でしかありません (何故なら物理的に構成パーツがそのカタチなのだから)。カタチが異なるモノを 当方は無視/黙認できませんね!(笑)

詰まるところ「カタチが異なれば組み立て工程や微調整も変わるから」と断言できるワケで、それを否定できる人は居ないと思いますが、当然ながら在籍者にも「守秘義務」が課せられているハズなので、接点だけで判断するワケにはいきませんね(笑)

  ●               

スイスのBallaigues (バレーグ) に1918年創業の時計部品メーカーPegnons S.A. (ピニオン) 社が1952年に発売した一眼レフ (フィルム) カメラ「ALPA ALNEA Model 4」から採用した、スピゴット式の マウント「ALPAマウント」用交換レンズとして、同じくスイスのシネレンズで有名なKern-AARAU社から1951年に発売された標準レンズ「Kern Aarau SWITAR 50mm/f1.8 AR (ALPA)」が初代のモデル「前期型−I」です (右写真はModel 6)。

【モデルバリエーション】
オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。

前期型−I1951年発売
製造番号:1xxxxx〜5xxxxx
モデル銘:Kern Aarau SWITAR 50mm/f1.8 AR
光学系:5群7枚アポクロマート
絞り羽根枚数:9枚 (自動絞り)
最短撮影距離:55cm
フィルター:専用タイプ

前期型−II1951年発売 (不明)
製造番号:4xxxxx〜10xxxxx
モデル銘:KERN-SWITAR 50mm/f1.8 AR
光学系:5群7枚アポクロマート
絞り羽根枚数:9枚 (自動絞り)
最短撮影距離:55cm
フィルター:専用タイプ

中期型−I1958年発売
製造番号:6xxxxx〜11xxxxx
モデル銘:KERN-MACRO-SWITAR 50mm/f1.8 AR
光学系:5群7枚アポクロマート
絞り羽根枚数:9枚 (自動絞り)
最短撮影距離:28cm
フィルター:専用タイプ

中期型−I1958年発売 ※ブラックバージョン
製造番号:6xxxxx〜11xxxxx
モデル銘:KERN-MACRO-SWITAR 50mm/f1.8 AR
光学系:5群7枚アポクロマート
絞り羽根枚数:9枚 (自動絞り)
最短撮影距離:28cm
フィルター:専用タイプ

中期型−II1958年発売 (不明)
製造番号:6xxxxx〜11xxxxx (?)
モデル銘:KERN-MACRO-SWITAR 50mm/f1.8 AR
光学系:5群8枚アポクロマート
絞り羽根枚数:9枚 (自動絞り)
最短撮影距離:28cm
フィルター:専用タイプ

後期型1968年発売
製造番号:109xxxx〜11xxxxx
モデル銘:KERN-MACRO-SWITAR 50mm/f1.9 AR
光学系:5群8枚アポクロマート (再設計)
絞り羽根枚数:9枚 (自動絞り)
最短撮影距離:28cm
フィルター:専用タイプ

派生型1982年発売
製造番号:112xxxx〜
モデル銘:KERN MACRO-SWITAR 50mm/f1.9 AR
光学系:5群8枚アポクロマート
絞り羽根枚数:6枚 (自動絞り)
最短撮影距離:27cm
フィルター:専用タイプ

原 型1976年発売 (発売元:CHINON)
モデル銘:AUTO-ALPA 50mm/f1.7 FOR ALPA SWISS MULTI-COATED
光学系:5群6枚拡張ダブルガウス型
絞り羽根枚数:6枚 (自動絞り)
最短撮影距離:27cm
フィルター:⌀ 52mm

OEM
モデル銘:PORST COLOR-REFLEX MC 50mm/f1.7 MACRO
光学系:5群6枚拡張ダブルガウス型
絞り羽根枚数:6枚 (自動絞り)
最短撮影距離:27cm
フィルター:⌀ 52mm

こんな感じですが、「SWITAR銘」で展開したのは上のモデルバリエーションでいうところの「派生型」までの話で、開放f値「f1.7」モデルのほうは「SWITARシリーズ」とは一切関係がありません。

また当時のCHINONがALPA用に供給していますが、当方の認識/考察では当時のチノンには8mm用の光学硝子溶融解設備が整っていただけで、一眼レフ (フィルム) カメラ向けの本格的な光学硝子レンズ精製設備は、例えば当時既にヤシカに吸収されていた富岡光学と比べても 同一レベルに達するまで用意できていなかったとみています (チノンの沿革より)。

従ってこれらCHINONが供給したALPA向けモデルは、当時のコシナ製とみており、逆に言うなら内部構造や構成パーツ、或いは特に距離環駆動方式の設計をとっても富岡光学製モデルではない事が明白です (この当時富岡光学製モデルでマウント面に締付ネジを用意していたのはRICOHやCONTAX向け製品が多いハズ)。

↑上のカットモデル図面は、左側がモデルバリエーションで言うところの「前期型」で右側が「中期型」です。

また一番右端の一覧表は当時の「ALPA ALNEA Model 5」の取扱説明書に印刷されていた表で、中腹辺りに「SWITAR」として標準レンズの項目があり「最短撮影距離55cm」である事がちゃんと記載されています。また距離環に刻印されている最短撮影距離の指標値は「1/151/121/101/9」が倍率の意味で距離ではない事が分かります (距離指標値は∞〜1mまでが刻印されている)。特異な表示方式なのでちょっと面食らいます(笑)

光学系は5群7枚の変則的な拡張ダブルガウス型構成で、4群6枚の典型的なダブルガウス型構成のトップに第1群 (前玉) として1枚追加配置と言う設計です (前期型−II)。

右図は今回の個体を完全解体して光学系清掃時に当方の手でデジタルノギスを使って逐一計測してトレースした構成図です。

前述のカット図構成図と比較すると例えば第1群 (前玉) の両凸レンズの曲率が全く違うことが明白です。

さらに「中期型−I」の構成図も同様で、やはり第1群 (前玉) の表裏面での曲率が異なっていて裏面側がより平坦に近くなっています。

また後群側の貼り合わせレンズ第4群のカタチも違っていて、最短撮影距離が28cmに短縮化した「MACRO-SWITAR」銘モデルなので、必然的に光学系は再設計してきたとみられます。

こちらは「中期型−II」の構成図で、5群8枚に再設計されると同時に「絞りユニットの配置を変更」してきた事が明白です。

残念ながら現在のネット上ではこの「中期型−II」を発見できませんが、以前バラして確認している以上ウソではありません(笑)

最後に「後期型」の光学系構成図ですが、開放f値が「f1.9」に変わったことからまたまた再設計されている事が分かりました。

そもそも製産台数が少ないので非常に高価な (今でも高い) 製品である以上、十分に光学系を都度設計し直す余裕があったのでしょうが、はたして何にこだわってここまで頻繁に設計変更したのかが不明です。





上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で あり転載ではありません。

一段目
左端からシャボン玉ボケが破綻して滲んで円形ボケへと変わっていく様をピックアップしていますが、そもそも光学系の基本構成が4群6枚ダブルガウス型構成に前面配置で1枚前玉を追加しただけのハズなのに、非常にコントロールされたキレイな (真円に近い) 円形ボケがちゃんと表出できていることにオドロキでした。また円形ボケへと滲んで溶けていく様も決して煩くならずにさすが「SWITAR」だけあって滑らかな階調でとろけていきます。

二段目
さらに円形ボケに今度は収差の影響が現れて乱れていった時の状況をピックアップしましたが、それでも制御が効いているのか「ゴチャゴチャと汚い」と感じるような乱れ方をしないので、むしろ自分の目で情景を観ている時の認識「認識の感覚に近い印象」のようにも感じます。またやはりトロットロに溶け込んでいってしまうので(笑)、このふわふわっとした滲み方に癖があり、これを上手く (しつこくなく) 相応に誇張感を残しつつも自然に違和感なく表現できてしまうところが「スイターの凄さ」ではないかと独りで勝手に考えています(笑)

例えば一番右端の手の平で玉ボケを受けているような写真を観ると、被写界深度が狭い割に狭さ感が強調されていないので上手い具合に玉ボケとの距離感に違和感を感じない写真にまとまっています。これ・・たぶん簡単そうで実は難しい表現性ではないかと思ったりします。

三段目
左側2枚の写真を観ると、この後のモデルバリエーションで「MACRO」が入ってきたモデルの緻密感と比較した時、ピント面の鋭さが凄いので却って強調されすぎてしまい少々非現実的な印象になる事があります。非常に高性能なオールドレンズの写真として捉えれば、まさに通用するレベルなのでしょうが、冒頭解説のとおり当方にとっては却って「切り取り感が薄い」という想いに至ってしまいます(笑)

また右側2枚の写真では「記憶色に反応する/響く色合いとはどういうモノなのか」と考えた時の、まるで答のような発色性としてピックアップしました。やはり自分の目で観た時の自然な記憶色の感じ方「そうそうこの色!」と声を出したくなるくらいの発色性をちゃんと残せている点に、やはり「スイタ〜やなぁ〜!」と感心感心です(笑)

四段目
この段では被写体の持つ素材感や材質感を違和感なく、然ししっかり強調して写し込む質感表現能力の高さとしてピックアップしました。ここでのポイントはもちろん被写体の質感表現なのですが、合わせて同時に「リアル感の演出効果」までもチェックが入っていると考えてピックアップしています。従って単に緻密なだけでは/情報量の多さだけでは表現しきれない「冷たさや空気感に光沢感も湿度も感じられる」という、まさに人の五感に訴えるような表現性が入っていないとこんな写真になりません。

五段目
左端写真などはよくもこれだけちゃんとグラデーションを残せていると感心ですし、その一方で白黒写真になればなったで逆に情報量の多さのような印象を与えるのがオドロキなのです。また光源に対する表現性としての素晴らしさは、右の2枚で十分伝わるのではないでしょうか。ほんのりと棚の中で明かりとりになっている様 (部屋を照らす目的ではない用途) がちゃんと残ってしまうところに感嘆しか出ませんし(笑)、ハレーションの憑き纏い方が独特で、これはやろうとしてもなかなかできないハレーションではないかとやはり唸ってしまいます(笑)

まさに「スイタ〜だからこその1枚を残せる」如く溜息しか出ませんね(笑)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。意外にもバラしてみると内部のパーツ点数は少ないのだと驚くかも知れませんが(笑)、決して簡素な設計ではなく「とんでもなく超高難易度」と、要は最大値の難しさと言い切ってしまうモデルです。

内部構造が複雑ではないから簡単に組み上げられると言う認識は100%間違いです(笑)
構造と組み立て工程での微調整の難易度とは決してイコールの話ではありません。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。ハッキリ言ってこのモデルを適確に組み 上げて仕上げられるか否かは「全てはこの鏡筒の仕上がりに架かっている」と言っても過言 ではありません。

実際今回のこの出品個体は「何と3日掛かりでこの鏡筒と戯れていた」ワケで、それはまさに当方の技術スキルが低いが故の話ですが(笑)、然しそうは言っても「3日間」何をやっていたのかと言う話ですョね?(笑)

アルミ合金材の鏡筒の内部に絞りユニットがセットされていて、そこからスプリングが前後に飛び出ている状態を撮った写真です。

↑上の写真は実は以前オーバーホールした別の個体の転載写真ですが、アルミ合金材の鏡筒から上手く絞りユニット部分を取り出せた時の撮影です。

すると円筒形の絞りユニットにはベアリングが組み込まれていて回転するのが分かります。 さらに絞りユニットの円筒の周囲に「スプリングが張り巡らされている」のがこのモデルの 組み立てを限りなく宇宙的に難しくしている由縁です(笑)

左写真は同じく過去にオーバーホールした個体からの転載写真ですが、今度は上の写真の反対側にある「スプリングの留具」を撮影しています。

こんな感じでド真ん中からスプリングが絞りユニットの円筒外周を左右に張り巡らされて、それが再び一箇所で束ねられて「制御アームに連結」と言う話です。

簡単に説明するなら「制御アームを左右に捻ると絞りユニットの回転方向が右回り/左回りと 逆転する」と言う原理なのです。

当方はこの「SWITARシリーズ」をやるたびに「毎度2日〜3日間掛かり」なワケで、どうしてこんなに難しい原理を採用したのか恨み辛みしか残りません!(笑)

難しい理由は「スプリングが経年劣化で弱る」問題と「スプリングの一部が伸びてしまう」という螺旋状態を維持できずに直線的に伸びてしまった個体があるからです。実際今回の個体も反対側のスプリングの付け根部分で片方のスプリングが伸びています。

↑するとこんな感じでアルミ合金材の鏡筒内部に円筒形の絞りユニットがセットされているワケですが、今回出品個体はこの絞りユニット部分を取り外せなかったので「伸びてしまったスプリングを微調整できない」事が後々で絞り羽根の動きに大きな影響を与えます。

なお、絞り羽根の「位置決めキー」が刺さる「位置決め環」が写っていますが (赤色矢印)、普通一般的なオールドレンズではこの「位置決め環は固定」で動きません。しかしこの「SWITARシリーズ」は回るように設計されているワケです。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑するとこんな感じで鏡筒にセットされる絞りユニットは「円筒形の位置決め環」と「開閉環」の2つが互いにスプリングで繋がって組み込まれる設計です (赤色矢印)。

前述のとおり「SWITARシリーズ」では「位置決め環側まで回る (ブルーの矢印)」ワケで、もちろん当然ながら「開閉環も回って絞り羽根の角度が変わり閉じていく」ので、要は「位置決め環と開閉環が互いに反対方向に回る」構造なのです。

↑実際にアルミ合金材の鏡筒内部に絞りユニットをセットするとこんな感じになります。外に出てきているスプリングの「制御アーム」を捻ると、その捻り具合に対して「絞りユニットの円形筒に張り巡らされたスプリングの片側が引っぱられるから回転する」動きになり (ブルーの矢印)、その時「回転しているのはどっち???」というクイズ番組です!(笑)

つまり「開閉環が回るのか位置決め環が回るのか」が変化する話であり、しかも「絞り羽根の開閉角度との関係が当然ながら存在するのでいったい何処で切り替われば良いのか」と言う問題にブチ当たります!(笑)

これが最大の難関なので「3日掛かり」になるのです(笑)

位置決め環側が回転するのはほぼ300度の範囲です。一方開閉環側が回転するのは100度くらいの感じです。するとこれら2つの環 (リング/輪っか) がいったいどの位置で重なり合って互いに反対方向に回れば「正しい絞り羽根の開閉を制御できるのか?」という話なのです。

この原理で「自動/手動の切替動作とそれぞれの絞り羽根開閉角度を決めている」ので、まさに「サービスマニュアル」が無ければ「そんなの知るかョ?!(怒)」と言う世界です(笑)

↑3日目にしてようやく正しく絞り羽根が閉じるようになりました(笑) この写真撮るのにもう3日が経っているのです!(涙)

どうしてそんなに大変なのかと言うと、互いにスプリングのチカラが及ぶので組み込んでいる途中で「スパン!」とどちらかが回ってしまうです!(笑) 当然ながらその勢いでせっかくセットし終わっていた絞り羽根がバラけてしまい、また最初からヤリ直しになります。

またせっかく上手くセットできても、実際に絞り羽根の開閉をさせたら「最小絞り値まで閉じない」とか「完全開放しない」など、要は互いの環 (リング/輪っか) が重なり合う300度と100度の範囲設定をミスっているワケです(笑)

フツ〜「そんなの知るかョ!(怒)」になりますョねぇ〜(笑)

従ってセットしたら絞り環まで組み込んで「試してみる!」をやって、またバラして一生懸命何度も何度もバラけながらセットしてまた「試してみる!」を延々と繰り返して3日間が過ぎていったワケです(笑)

要はこのモデルだけを毎日のように組み立てているなら覚えられますが、1年に1本くらいの頻度でしか作業しないので、オーバーホールするたびにこの絞りユニットの仕上げ方 (2つの環の位置合わせ) を調べまくるワケで(笑)、原理が分かっていてもどの位置で重ね合わせるのかまではハッキリしません。

なおもっと手厳しく言うなら、上の写真で絞り羽根と絞り羽根の間に「隙間見えてるじゃん!」ッて言うの、ダメですョねぇ〜(笑)

何故なら入射光が透過してしまい絞り値が狂いまくりです!(笑)

従ってスプリングの引張力が狂っているワケですョ・・それこそがスプリングの付け根部分で既に伸びていることの影響なのです。

↑絞りユニットをセットできてしまえば後は簡単です!(笑)

・・と言いたいところですが、今回の出品個体は過去メンテナンス時に飛んでもない細工をしていました(涙)

上の写真は「光学系前群がアルミ合金材の鏡筒にネジ込まれている状況」を解説しています。グリーンのライン部分で光学系前群の格納筒がネジ込まれているワケですが、何とこの光学系前群が「接着されていた」のです(涙)

おそらくこの個体の前所有者は「光学系内を清掃したくて一度レンズ銘板をカニ目レンチで外そうとした」のだと思います。理由は「カニ目穴が削れている」からです(笑)

レンズ銘板が全く回らないのでカニ目レンチが滑ってしまい「カニ目穴を削ってしまった」のです。その痕跡 (削れ箇所) が残っているので、前所有者は結局光学系を清掃できなかったのがこれだけで判明します (従って当初バラす前はメチャクチャ汚いままだった)(笑)

ではどうして接着してしまったのか???

これが問題なのです・・!(涙)

今までの解説のとおり「SWITARシリーズ」の絞りユニットは「開閉環と位置決め環の両方が回転する原理」です。その絞りユニットを押さえ込んでいるのは「光学系前群の格納筒」であり、光学系前群がネジ込まれることで絞り羽根が外れないようになっています。

逆に言うなら正しく光学系前群がセットされない限り「絞り羽根がアッと言う間にスプリングのチカラで外れる」ワケです(怖)

ところが前々所有者はこの絞りユニットの回転が抵抗/負荷/摩擦のせいで上手く機能せず、おそらく「絞り羽根の開閉異常」が発生していたのだと推察します。

それをごまかす為に「中に本来存在すべき銅製のワッシャー (丸環)」を取り去ってしまい、接着することで絞り羽根が正しく動くようにしたのです。

しかし実際には自動の設定の時だけ「絞り羽根の戻りが緩慢」であり「時々絞り羽根が完全開放しない」という不安定な状況だったのです。

当方が手に入れた時点ではそんな事柄は一切明記されておらず「自動に設定すると何だか動きが変?!」という状況でした。

↑さらに光学系前群と後群との光路長も適正ではなかったので「何となくこのモデルにしては甘いピント面」と、ほんの僅かですが「いくら前期型でももっと鋭いピント面でしょ?!」と言う印象だったのです。

そしてもっと言うなら、そもそも当初バラす前の時点では「絞り羽根は油染みだらけ」であり、しかも光学系内で揮発油成分が明確に附着している状態だったのです。これほど酷い油膜のギラギラはそんなに多く見たことがありません(笑)

↑そんなワケで鏡筒内に絞りユニットをセットするだけで3日間戯れ(笑)、さらに光学系の清掃だけでまる一日費やし(笑)、ようやく4日目にしてヘリコイドに到達しました。マウント部やヘリコイド (オスメス) がセットされる基台です。

↑当初バラす前の時点でシャッターボタンの動きと絞り羽根の切替動作とが上手く連携していない印象だったので、取り敢えずシャッターボタン部分まで完全解体してキレイにしました。

案の定、シャッターボタン内部は潤滑油を注入されていた為に酸化/腐食/錆びがだいぶ進んでおり、それが抵抗/負荷/摩擦となって適切な動きをしていませんでした。

↑こんな感じで「制御アーム」がセットされてシャッターボタンを押し込むと (ブルーの矢印①) 制御アームが倒れて (ブルーの矢印②) 絞り羽根が勢い良く閉じます。そしてシャッターボタンから指を離すと内部の捻りバネのチカラで元に復帰して (ブルーの矢印③) 同時に制御アームが垂直に戻ります (ブルーの矢印④)。

シャッターボタンの役目と絞り羽根が閉じる動作との連係は、誰が考えてもすぐに理解できるでしょう(笑) しかし理解できるのと実際に調子良く戻せるかどうかは別の話です(笑)

↑さらに「SWITARシリーズ」でチョ〜厄介なのが「空転ヘリコイド」で、この空転部分に少しでも抵抗/負荷/摩擦が残ると「距離環を回すトルクが重くなる」原因になります。しかし今回の出品個体はこの「空転ヘリコイド」部分も過去メンテナンス時に整備できておらず、潤滑油でごまかしていたので揮発油成分で飛んでしまった分「スカスカ状態」でした。

実際今回バラしてみれば内部は既にアルミ合金材の摩耗粉だらけで、だいぶ削れてしまって いたようです。

このように何でもかんでも潤滑油で済ませようという考え方は、相手がオールドレンズの場合最も良くない対処法だと考えます。たまたま今回の個体が過去メンテナンス時に整備できて いなかったので「黄褐色系グリース」だったから潤滑油の注入で大事に至りませんでしたが、これがもし「白色系グリース」だと潤滑油の注入で1年〜数年内に「空転ヘリコイドの固着」に至ってしまい、一般的なオスメスのネジ山が存在するヘリコイドなら固着してもまた整備 すればせいぜいトルクムラが酷くなる程度で免れますが、こと「空転ヘリコイド」となると「固着製品寿命」なので相当ヤバいです!(怖)

従って特に当方と同じ同業者たる『転売屋/転売ヤー』の類が安易に考えて「潤滑油を多用」 するので、落札して届いた時は問題がなくても保管していただけでいずれ重いトルクに変わって、最後は固着してしまいます。

その意味で最近のヤフオク! を見ていると既にヘリコイド固着化してしまった個体が流通して いたりするので(笑)、そのような個体は再整備しても期待するトルク感まで改善できるか否かは疑問なところですね(笑)

従って既に3日間も費やして絞りユニットをセットしており、さらに光学系で1日使い、しまいにはこのヘリコイド部分で一日の合計5日間で仕上げたのが今回出品個体です(笑)

どんだけ技術スキル低いんだョ?! そういうお話です・・(笑)

この後は距離環をセットして完成している鏡筒 (ヘリコイド:オス側) をネジ込んで無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。何が素晴らしいのかと言えば「こんだけスカッとクリアな光学系」と「軽い操作性の距離環」に「確実な駆動の絞り羽根開閉動作」となれば、もぅ十分ではないでしょうか(笑)

残念ながら「自動絞り」だけは前述のとおりスプリングが片方伸びている関係で動きが緩慢になり完全開放しないので「手動絞りオンリー」でご使用頂く事になりますから、ご留意下さいませ。

↑ちなみに上の写真 (2枚) は、冒頭の光学系構成図で「前玉と後玉の曲率が裏面側だけ平坦に近い」事の証拠写真です(笑) 当方がウソを載せているとよくSNSで言われるらしいので証拠写真が必要なのです。

1枚目の写真を見ると「裏面側がより平坦に近い」のが一目瞭然であり、表裏で曲率が同じではありませんね(笑)

↑当初バラす前の時点で驚異的なほどに揮発油成分で「油膜ギラギラ状態」だったのが、まるでウソのようにスカッとクリアに改善できましたが、実は前玉裏面と第2群の表裏面は「微細な水滴状にポツポツが除去できない」状態で、そうとう揮発油成分が頑固にコーティング層に附着していました。

5回清掃しても全くポツポツが除去できないので、仕方なく「硝子研磨」でキレイにしましたが、この作業だけで5時間使っていますから「もぅ何でも来い!」状態です(笑)

もちろんLED光照射でコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。前玉表面側に経年相応な拭きキズやヘアラインキズが少々多めに残っていますが、写真には影響しないレベルです。

↑光学系後群側も後玉表面に経年並みの拭きキズやヘアラインキズが残っていますが、これも写真には影響しません。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:18点、目立つ点キズ:14点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:18点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内経年並み)
(極微細な薄い拭きキズ/ヘアラインキズが多め)
(前後玉表面側に多く内部には拭きキズなど無し)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:あり
(前玉中央に深い点状キズ1点あります)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり、一部は一見すると極微細な塵/埃に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷されていた為クレーム対象としません)。「気泡」も点キズにカウントしているので本当の点キズは数点しかありません
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑自動ではなく「手動絞り」にセットして使う必要がありますが、正しく絞り羽根が開閉動作します。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正九角形を維持」したままキレイに閉じていきますし、もちろん前述の「絞り羽根と絞り羽根の間の隙間」もありません!(笑)

要は内部の設定を手動絞りだけの駆動に限定したおかげで「絞り羽根の閉じ具合が正常/適正に戻った」ワケで、スプリングの伸びの影響を上手く排除できた次第です。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡りほぼ均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります
・自動/手動切替環は機能しますが内部で手動しか機能しないよう設定しています。スプリングが経年劣化進行に伴い伸びている為、特に自動時に絞り羽根の戻りが緩慢、完全開放しないなどの現象が起きるので手動オンリーに設定しました。スプリングを交換する必要がありますが対応ができない為「手動絞り(実絞り)」のみ機能します。
・マウントアダプタ装着しての距離計連動機能は調整していません(ライカカメラボディが無い為)。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

↑今回も例によって「ALPA→LMマウントアダプタ」と「LM→SONY Eマクロヘリコイド付マウントアダプタ」を附属品にしています。KIPONのマウントアダプタ側の距離計連動は当方にライカカメラが無いので合わせていません。必要があればご落札者様のほうで微調整して下さいませ。

《近接撮影の状況》※マクロヘリコイドの5mm分繰り出しで疑似マクロ化
マクロヘリコイド回さず → 最短撮影距離は仕様55cmのまま
マクロヘリコイド回した場合 (5mm) →最短撮影距離35cmまで近接

35cmまでしか近寄れませんが、この「前期型」の描写特性のままで近寄れるのでありがたい限りです。もちろん本来の光学性能から逸脱した写り方ですが、基本性能が高い分なかなかたいした写り方です。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離55cm附近での開放実写です (1枚目)。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。

2枚目の写真がマクロヘリコイドを回しきって5㍉分繰り出した状態での「35cm近接撮影時」の写り方です。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しました。1枚目がオリジナルの仕様上の最短撮影距離55cmで、2枚目がマクロヘリコイド操作時の最短撮影距離35cmでの撮影です。

↑さらに回してf値「f2.8」で撮りました。1枚目が55cmで2枚目が35cmでの撮影です。

↑f値は「f4」に上がっています。

↑f値「f5.6」になりました。

↑f値「f8」での撮影です。

↑f値「f11」です。

↑f値「f16」になりました。まだ何とかギリギリ「回折現象」の影響が視認できないくらいでしょうか。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。