◎ Carl Zeiss (カールツァイス) CONTAREX版 Sonnar 85mm/f2 silver(CRX)
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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません
今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
Carl Zeiss製ポートレートレンズ・・・・、
『CONTAREX版 Sonnar 85mm/f2 silver (CRX)』です。
ご落札頂きましたぁ〜! ありがとう御座います!(涙)
このコロナ禍の折、皆様も同じだと思いますが毎月の生活費が大変なので、 本当に助かります!ありがとう御座います!!!
もぉ〜、この「CONTAREX版オールドレンズ」に目が無いので(笑)、先日からオーバーホール済でヤフオク! 出品していた同じくOberkochenモデル「ICAREX版オプション交換レンズ群」同様、何かしら手元に在庫品を置いておきたい当方のお気に入りモデルの一つです(笑)
当方にとってお気に入りになる最大の前提条件は「とにかく自分の目で見たがままをリアルに写真に残す事」です! これは実は当方が今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼の撮像素子をあ〜だこ〜だ調べていた頃に知る人ぞ知る「Foveonセンサー」の素晴らしさに魅了されて、その時の好きになった理由のほとんどの領域を占めていたのが「人の目で見たがままに写真に写っている」要素であり、それはどういう事かと考えれば映画鑑賞が大好きな当方にとっては「追体験」こそが大きな自分の琴線に触れる要素なのだと認識できているからです。
大好きな映画鑑賞をしていても、いつのまにか映画の各シーンの中に入り込んでしまい自分の体験として五感を最大限に敏感にして観ているワケですが、写真鑑賞の時にも似たような要素を自然に求めている次第です。従っていつも言っている事ですが、当方は撮影した写真に対して「等倍鑑賞」などチェックする気持ちがまず以て無く(笑)、写真の良し悪しを判定しているほとんどは「リアルなのかどうか」或いは「自分の瞳で観たらこのように感じるのか/見える のか」と言う前述の「追体験の世界観」とも表現できます。
その意味ではオールドレンズの描写性能重視派ではなく「感受性重視派」とでも言いましょうか・・たぶん皆様からすれば具体性も科学的根拠も無い「煮ても焼いても食えない意味不明 な輩」の部類なのだと思います(笑) ッて、そもそも当方は『転売屋/転売ヤー』ですから、元々そういう信憑性が欠落した信用/信頼が皆無な存在です(笑) 基本『転売屋/転売ヤー』は売れて儲かれば良いので、その工程の中に何かしらポリシーを求めたり追求したりしません。
つまり当方は『転売屋/転売ヤー』として考えても異端児であり(笑)、自らのこだわりに執拗なくらいに固執する、ある意味某国や某国人のような日本人には嫌われる要素のほうが大きい のかも知れませんね(笑) 協調性欠落の自分の性分なので仕方ありません・・(笑)
ちなみに自分のルーツとしてはカラダの特徴からして「縄文人の特徴」が多いので(笑)、心穏やかに平和を愛するが故に縄文時代が1万年も続いたのだと言う研究者の言い分に至極納得 しています (渡来型とも言える弥生人のような競争意識/野心/縄張り意識が薄い)(笑)
その意味で、邪魔だからどけョ!と言われると黙ってどいてしまう (避けてしまう) ダメダメ 人間です(笑) なのでオーバーホール/修理もクレーム付ければ「即無償扱い!」に変わるのでタダで整備できてしまうという特典があったりしますね(笑) オーバーホール済でヤフオク! に出品しているオールドレンズも、ご落札後手にして使ってみてご自分の期待値から外れていたのなら、あ〜だこ〜だクレーム付ければ「即全額返金/返品キャンセル!」になって、しかも 振込手数料から往復送料までぜ〜んぶ一切合切返金されるのでな〜んにも損することがありません! オークションと言えどもこういうダメダメ出品者をターゲットにすれば、気に入ったオールドレンズだけを手元に残せますョね?(笑)
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このモデルは扱い数としては今回が2本目にあたりますが、前回の作業が2016年なので今一度ちゃんと記録を残しておこうとこのページをアップします。
1959年に旧西ドイツのZeiss Ikonから発売された一眼レフ (フィルム) カメラ「CONTAREX (コンタレックス)」は後に「CONTAREX I型」と呼ぶようになり、巷での俗称「Bullseye (ブルズアイ)」の愛称と 共に今もなお憧れの的であり続ける僅か約32,000台しか製産され
なかったカメラです。
大きな円形窓が軍艦部に備わりますが絞り羽根開閉動作とシャッタースピードの両方に連動する世界初のクィックリターン式ミラーを装備した一眼レフ (フィルム) カメラですね。この円形窓を指して「Bullseye」と呼ばれますがセレン光電池式連動露出計であり、この俗称の由来は「bulls (雄牛) のeye (目) を射貫く」から来ており「射る的」転じて最近では軍用語でもある「攻撃目標地点 (ブルズアイ)」に至っています (攻撃目標を無線などで傍受されても分からないようする暗号として使われた)。
1959年の発売と同時に用意されたオプション交換レンズ群は実に多彩で、焦点距離21mm から何と1,000mmまで揃っていたので、本気度が違いますね(笑) とは言いつつも、現実的な話しとして非常に高価なフィルムカメラだっので、はたしてこれらオプション交換レンズ群を揃えられた人が世界中でいったいどれだけ居るのかと考えてしまいます(笑)
今回扱った個体は「シルバ〜鏡胴モデル」ですが、本来1960年発売 された軍艦部からCDs露出計を取り外したモデル「CONTAREX special」登場と同時に黒色鏡胴モデルも追加発売しています。
僅か1年足らずでせっかく装備していたCDs露出計を取り外してしまった理由はいったい何だったのでしょうか、或いは販路を拡大する為の拡張路線としてモデルを追加してきたと言う意味合いのほうが強かったのでしょうか、今となっては知る由もありません。
その後には1967年にTTL連動露出計内蔵の「CONTAREX super」が登場し最終的に
13,400台が生産されたようです。
いずれにしてもこの当時の価格で言えばとても庶民派的な価格設定ではなかったので、世界中で手に入れられた人は極一部の富裕層だけでしょうが、今となってはこのギミック感が本当に堪りません(笑)
と言うのも、このCarl Zeiss製CONTAREX版オプション交換レンズ群を完全解体でオーバーホールしていくと、意外にも一部の設計概念は「えッ? こんなテキト〜でいいの?」的な要素も垣間見え(笑)、もちろん切削精度などは当時の旧西ドイツですから 非常に精緻に仕上がっているのですが、機構部の精度を要求する部分は凡そフィルムカメラの本体側に求められていたようなので、ハタから見ていてもそれがヒシヒシと感じられます(笑)
例えばマウント部の「板バネ式絞り羽根制御環」の設計概念などは、どこでカチンと噛み合おうが絞り値の制御はフィルムカメラ本体側だからいいのいいの・・! ッてな感じです(笑)
この設計概念の素晴らしい部分は「板バネ使っちゃった!」と言うアバウトな部分であり、 ここに設計者の必要以上にこだわらないと言う性格が見え隠れしているようにも感じました!
それはこれらのCONTAREX版オプション交換レンズ群を実際に装着していくと「バチンッ!」と飛んでもない大きな音がして装着されるタイミングがあるので、正直初めはオドロキしか ありませんが(笑)、この板バネの噛み合う瞬間がまた楽しかったりします!(笑) これがおそらく日本人が設計するともっとスマートに (使用者が気づかない瞬間で) ちゃんと噛み合うと言う設計になったりするのでしょうが、何ともドイツ人らしいなと感心です(笑)
それは以前当方が家電量販店で販売していた時、ブラウンのシェーバーがまだ大きく重くて 無骨な楕円形をしていた頃があり、何とも実質堅剛的な感覚にドイツ人らしさを観ていた事を思い出すからです(笑)
上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で あり転載ではありません。
◉ 一段目
左端からシャボン玉ボケが破綻して滲んで円形ボケを経てさらに溶けて背景ボケへと変わっていく様をピックアップしています。円形ボケから背景ボケへと変わっていく途中で収差の影響を受けた収差ボケも現れたりしますが、そもそもアウトフォーカス部の滲み方がとても滑らかなので収差ボケも煩さを感じない品の良い乱れ方をします。
◉ 二段目
さらに収差ボケからようやくトロトロに溶けてピント面だけが誇張された写真になりますが、被写体の材質感や素材感を写し込む質感表現能力に長けているので、ピント面の質感表現は相当なレベルです。ところがこのCONTAREX版Sonnarの特徴と言うか凄いところなのですが、単にカリッカリに鋭く表現した上での緻密感を写し出すのではなく、何と「緻密なハズなのにそれを感じさせない情報量の表現性」と言う、相反する結果の写し込みができてしまう部分に惚れます。
それは例えばwikiにも書かれているPlanar 85mm/f1.4が画角としては同じポートレート域の焦点距離85mmにもかかわらず「鋭すぎてポートレート撮影には却って適さない」とまで酷評されている、この表し方がまさに的を射ていると考えます。
つまり人物撮影たるポートレート撮影となれば、確かにピント面の緻密感は必要なのでしょぅが「それだけでは感動にならない」とも受け取れます。人肌と言うとても難しい表現の被写体に対してカリカリの鋭さよりも敢えてそれを誇張させずに柔らかく包み込んでしまうところがこのSonnarの凄さとでも言いましょうか。
左端の収差ボケの背景に対して2枚目のチューリップはあまりにもピント面の質感表現が濃すぎる嫌いがあり、同様に3枚目の鉄の錆びついた表現性も相当なモノです。ところが最後の右端4枚目の写真でそれらの要素は覆され、被写体の低コントラストな素材感がキッチリと写し込まれている部分にこのもでの凄みを感じます。要は被写体の何を強調したいのかで表現性の活用 (何を活かして何を殺すのか) でしっかりコントロールできているところがたいしたモノです。
◉ 三段目
人物さつえいとして捉えると撮影を意識させないほどに距離が離れている事が被写体の自然さを写し込めるワケですが、その離れている距離に対して如何にピント面を捉えるのかが光学的に難しい部分です。また発色性の耐性が高いのでコントラストの高低は当然ながら右側2枚のブル〜の表現性がまさに人の目で観たがままと言えるのではないでしょうか (まさしくFoveonセンサーもの得意とするところ)。
◉ 四段目
このモデルCONTAREX版Sonnarの全てをたった一枚の写真でチョイスするなら「一番右端のカーテンの写真」が全てを物語っています。この写真を撮れてしまうところがこのSonnarの凄いところです。下手に鋭いだけの写真ではなく、然し質感表現能力は相当高く、且つグラデーションの滑らかさも兼ね備えているからこそこのカーテン生地の感じをシッカリ捉えていると言える写真です (当方は昔家具専門店でカーテンも扱っていたので材質感の表現性が理解できている)。
それは左からの3枚の写真でダイナミックレンジの広さと明暗部の耐性、さらにはそのグラデーションの滑らかさを見てとることができます。これだけ階調幅豊かにグラデーションをキッチリ表現できるのは本当にたいしたモノです。
◉ 五段目
このモデルを描写性能を表す一枚の写真が前述のカーテンの写真とすれば、このモデルが表現し得る「現場のリアル感」をまさに表す写真がこの段の左端「香港の市場の夜の写真」であり「路面の湿った様子と湿度の高さに臭いまで思い出せる1枚」とチョイスしています。
香港はほぼ間違いなくこのように路面が湿っています。年間で季切にもよりますが湿度が70%〜100%という多湿であり、平均気温25度といわゆる高温多湿の環境なので、このように石畳の路面が湿っている事が多いワケです (昔香港に居住していたので)。
さすがに写真を見ただけではこの「臭い」は分かりませんが(笑)、独特な生臭さが漂っているのが香港の市場です。それはこの湿度の高さからも一年中消えない臭いなので、現地人は臭いがきっと分からなくなっていると考えます。
光学系は典型的な3群7枚のゾナー型ではありますが、前述カタログ掲載構成図からトレースしたのが右図になります。いわゆるロシアンレンズなどにもそっくりそのままコピーされていった光学系ではありますが、今回の個体をバラして光学系を清掃した時のトレースとは少々異なります。
その意味では右図は今のネット上検索でよく使われている光学系構成図とも言えますね。
今回の個体をバラして光学系清掃時に逐一当方の手でデジタルノギスを使って計測したトレース図が右図です。
さらに今回は「第2群3枚貼り合わせレンズのバルサム切れ」から 仕方なくバルサム剤を剥がして3枚の硝子レンズに分離させた後、 それらを清掃した上で再び接着した時に1枚ずつデジタルノギスで 計測しています。
このように書くとまたSNSでウソを平気で載せていると批判の嵐なので(笑)、今回も証拠写真を撮りました。
↑光学系の硝子レンズを順番に並べている写真です。奥の列が第1群と第3群で前列が3枚の貼り合わせレンズの第2群です。第2群 (前列) は左から順に2枚目〜4枚目にあたりますね (1枚目は第1群の前玉のこと)。
↑同じ並び順ですが、今度はひっくり返して裏面側を撮影しています。すると奥右側の第3群のカタチがまず説明書掲載の構成図と異なる事が分かります (現物は鼓状のカタチなのが分かる)。
また前列に並べた第2群のうち右端の4枚目のカタチも異なる事が一目瞭然です (つまり当方がトレースした構成図は決して嘘ではない)。
某有名処のサイトで案内されている構成図と違うと「平気でウソを載せている」と批判されているらしいので笑ってしまいます(笑) まぁ〜そうは言っても当方に信用/信頼が皆無なのは 否定しませんから、当方自身だけが納得できていればそれだけで十分です(笑)
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。内部構造は特に他のCONTAREX版オプション交換レンズ群のモデルと異なる要素が無く、ある意味共通的な設計概念で用意されています。しかしそれだけに「観察と考察」に「原理原則」を熟知していないとなかなか正しい組み立て工程手順を踏めず、適切な仕上がりに至りません。
ちなみに上の完全解体全景写真では光学系の第2群3枚貼り合わせレンズはバルサム剤を剥がした状態で単に重ねただけで撮っています (よ〜く見ると3枚の位置が互いにズレている)(笑)
この3枚の貼り合わせレンズがバルサム切れしておりクモリと反射が生じていたワケですが、意外にも市場に流通している同型品にはバルサム切れが生じている個体が多いように感じます (特にクモリよりも反射が多い)。
この反射しているバルサム切れですが、バルサム剤 (つまり硝子レンズ専用接着剤) の硬度が硬いので剥がれたとしてもバルサム剤自体は剥がれずに硝子レンズ面に接着したまま残ってしまいます。
普通なら溶剤でササーッと溶けて除去できますが、このモデルはどの溶剤を塗ってもビクともしません (溶剤は全部で9種類用意している)。せっかく3枚に分割して剥がれたのに肝心なバルサム剤が除去できないのでは意味がありません。
何故なら反射している場合はたいていそのバルサム剤自体が反射しているので、このまま再接着しても反射したままになってしまうからです (もっと言えば光路長もバルサム剤の厚み分狂う)。
何を言いたいのか???
要はこのバルサム剤 (接着剤) が溶剤で溶けなかったのでバルサム剤自体を剥がす (除去する) だけで8時間を要した次第です(涙)
それこそマイナスドライバーか何かでこそぎ落とす事ができればもっと簡単なのですが、当然ながら光学硝子面がキズだらけになるのでそんな処置は行えません。かと言って溶剤で溶けなければ何かを使ってこそぎ落とすしか手がありません。ひたすらにゴシゴシゴシゴシ、そしてまたゴシゴシゴシゴシと研磨する事8時間(笑)
もぉ〜両手がプルプル状態になって作業どころの話ではありません・・(笑) 親指も人差し指も長時間ガッチリとチカラを入れて曲げたままだったので、元に戻すだけで関切に激痛が走ります(涙)
↑1日目はとにかくバルサム剤を除去するだけで8時間かかってしまったので、オーバーホール工程の作業は2日目からのスタートです。絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。このモデルはヘリコイド (オス) が独立しており別に存在します。
絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。
◉ 位置決めキー
「位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー
◉ 開閉キー
「開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー
◉ 位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)
◉ 開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環
↑9枚のフッ素加工された絞り羽根もキレイになって最深部にセットされます。
↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。写真上側が前玉側の方向になり、鏡筒の中腹にはスリットが用意され、そこから「開閉アーム」が飛び出ています (赤色矢印)。「開閉アーム」はブルーの矢印のようにマウント部にある「板バネ状の開閉環」の動きに従い駆動します。
なおこの鏡筒の内側を見ると1箇所「h60ヒ」と手書きでマーキングを刻んでいます。意味は不明ですが「カタカナのヒ」とちゃんと読めますし、別の場所には「カ」のマーキングもあったので、おそらく日本人整備者だと推測しています。
↑同じく完成した鏡筒を今度は横に寝かせて撮っていますが、ご覧のとおり一部にマーキングが刻まれています (赤色矢印)。このマーキングは当方が刻んだのではなく過去メンテナンス時の整備者の手でマーキングされています。
おそらく何も理解できていない整備者だったようで(笑)、この鏡筒がさらに分割すると考えたようで、組み戻す際の目安になるよう位置関係をマーキングしていますが、この部分は外れません (と言うか鏡筒なので)(笑)
↑既に各光学硝子レンズを清掃して、また第2群に関してはちゃんとバルサム剤で再接着して組み込んだ状態を撮りました。
↑鏡筒が既に完成したのでここからはヘリコイド (オスメス) 側の組み立て工程に移ります。距離環やマウント部が組み付けられる基台です。
↑この基台の内側にはもう一つ円形の環 (リング/輪っか) が入って「絞り羽根の開閉を司る制御環/開閉環」になります。すると上の解説のとおり「開閉環」には途中に1箇所「開閉ガイド」なる溝/爪がそびえ立っています。
オレンジ色の矢印のようにこの「開閉環」が基台内部に組み込まれます。また途中に備わる「開閉ガイド」はグリーンの矢印で示したとおり「鏡筒の繰り出し量の分だけ長さがある」と言えます。つまりこのガイド部分を鏡筒から飛び出ている「開閉アーム」が刺さったまま、行ったり来たり直進動する仕組みですね。
左写真は別モデル「Planar 50mm/f2」の同一パーツを撮影していますが大小2種類の鋼球ボールが入ることで、その鋼球ボールの「転がり力」によって滑らかに回転する設計です。
ところが今回の個体は過去メンテナンス時の整備者が全く「観察と考察」をしておらずデタラメに組み上げていました(笑)
当初バラしている最中にチェックしたところこの「開閉環」の動きはゴロゴロ感が強く、少々抵抗/負荷/摩擦を感じていました。必然的にマウントアダプタに装着してもちょっとチカラを加えつつ絞り環操作が必要だったのです。
他のCONTAREX版オプション交換レンズ群の各モデルと同一ですが、この「開閉環の回転機構部」には2種類の鋼球ボールが使われており「少々大きめのシルバ〜鋼球ボール:⌀2.1㍉」が24個に「小振りの褐色系鋼球ボール:⌀1.83㍉」が48個になります。つまりこけら2種類の鋼球ボールが入る時「シルバ〜とシルバ〜の間に褐色系鋼球ボールが2個入る」から「シルバ〜:24個と褐色系:48個」になりますよね?(笑)
それを当初バラした際はデタラメに鋼球ボールが組み込まれていたので、実際に回転する時ゴロゴロ感が強かったワケです。ちょっとした事ですが、ちゃんと「観察と考察」できていれば鋼球ボールの使い方も自明の理ですョね?(笑) もっと言うなら直接設計者に質問したワケではありませんが(笑)、2種類の異なる径の鋼球ボールが使われている理由は「転がり率を利用した経年摩耗を防ぐ考え方」とも考えられ、それを考慮した上で鋼球ボールの材質もチョイスしてあるのだと考えられます。
たかが鋼球ボールですが、なかなかな奥が深いです(笑)
↑「開閉環」を基台にセットし終わったところです。この状態で一切の抵抗/負荷/摩擦を感じずにクルクルと回転しなければイケマセン。
↑基台の内部を覗き込むとこんな感じです。基台の両サイドには「直進キー固定位置」が縦方向で切削され用意してあります。
さらによ〜く観察するとその「直進キー固定位置」にはそれぞれ1個ずつ穴が空いています。つまり当初バラす前に過去メンテナンス時の整備者はこの穴に刺さっていた締付ネジを回して緩めてしまいました(笑)
「直進キー」と言う板状パーツを締め付け固定する目的で用意された締付ネジ用の穴ですが、これを緩めてしまうと「直進キーの位置がズレる」ので「ヘリコイドが外れずに動いてしまいヘリコイドのネジ山が互いに咬んでしまい固着する」のが「原理原則」です(笑)
つまり過去メンテナンス時の整備者は「原理原則」も理解していませんでした(笑) おそらく今回の個体は過去に2度メンテナンスが施されていて、つい最近日本人の整備者の手で2回目が実施されたように見えます。
↑マウント部を組み付けてしまいます。「開閉環」には「開閉版」と言う爪の切り欠きがある「板バネ」がセットされています。この「開閉版」はブルーの矢印の駆動域だけを移動できるよう設計されています。
またマウント部には「●」のリリースマーカーの他、基準「▲」マーカーもありますが、グリーンの矢印で指し示したように互いの位置が多少ズレて刻印されています。
↑無限遠位置のアタリを付けた場所まで距離環 (ヘリコイド:メス側) をネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。距離環は距離指標値が刻印されている指標値環と分離しています。グリーンの矢印で示していますがヘリコイド (メス側) のネジ山の長さ (厚み) が短いのがポイントです。
↑片やヘリコイド (オス側) を右隣に並べて撮影しましたが、今度はヘリコイド (オス側) のネジ山の長さが相当長いです (グリーンの矢印)。
前述のとおりヘリコイド (メス側) のネジ山の長さが短いので、ヘリコイド (オス側) のネジ山がこれだけ長いと「距離環を相当回さなければ最後まで繰り出しが終わらない」或いは回す距離が短いとしても逆に急勾配で繰り出す事になるとも考えられます。
ならを言いたいのか???
つまりこのネジ山の長さの相違をちゃんと考慮した上でヘリコイドグリースを使わないと、重いトルク感に仕上がってしまいピント合わせが大変になります。
なおご覧のとおりヘリコイド (オス側) の途中には (両サイドに) 「直進キー用のガイド (溝)」が用意されていて、そこを「板状の直進キー」が刺さって (オレンジ色矢印) スライドしていく事で「距離環を回す回転するチカラを直進動に変換している」仕組みですね。
もう一方の「直進キー」は既に固定位置にセットしてありますから、この「直進キー」がヘリコイド (オス側) に刺さるのが分かります。
◉ 直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目
この後は完成している鏡筒を組み込んでから無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わりました。光学系第2群の3枚貼り合わせレンズは古いバルサム剤を剥がしてから再接着しましたが、硬化したらバルサム剤に含まれていた空気が集まってしまい「1箇所気泡が残った」ので見る角度によってはご覧のように反射して明確に視認できます。
↑しかし気泡なので真正面から (反射させずに) 覗き込むとご覧のとおり気泡が視認できません。つまり「気泡」なので写真には影響しません。光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。もちろんバルサム切れのため一旦剥がしてから再接着しています。
↑上の写真 (3枚) は光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑光学系後群側も透明度が高く、LED光照射で極薄いクモリが皆無です。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:17点、目立つ点キズ:11点
後群内:19点、目立つ点キズ:14点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い8ミリ長が数本あります)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・第2群貼り合わせレンズ再接着後にバルサム剤の空気が集合し目立つ気泡が1点ありますが写真には影響ありません(反射角度によって目立ちます)。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。
↑9枚の絞り羽根もキレイになり確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正九角形を維持」したまま閉じていきます。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・鏡胴に絞り環を装備していない為絞り羽根開閉環だけがマウント部に存在します。
・マウントアダプタへの装着時は絞り羽根の制御用として備わる開閉環の凹切り欠き部分とマウントアダプタ側アームが噛みあう際に大きな音が聞こえますが板バネ構造なので確実に噛み合います。将来的に故障原因になる事がありません。また構造概念上大きな音は必ず聞こえます。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
↑完璧なオーバーホールが終わりました。過去メンテナンスがおそらく2度施されており、最初の1回目で「黄褐色系グリース」を使いヘリコイドグリースが塗り替えられていますが、2回目のメンテナンスはつい最近実施され今度は「白色系グリース」に入れ替えられています。その2回目のメンテナンスを実施したのは日本人の整備者で、内部構成パーツの一部にカタカナのマーキングが残っていたりします(笑)
然しながら、組み立て工程をミスり適切な組み上がりに至っておらず鏡筒固定位置がズレていたりしました。さらにその後「潤滑油」を注入されてしまい、且つ鏡胴に見えているネジを緩めた為にヘリコイドが噛んでしまい固着していました。また注入してしまった「潤滑油」の影響から特に光学系第2群の貼り合わせレンズのバルサム剤に影響を来し、バルサム切れが生じてしまい反射している状態でした。
《禁じ手/禁止事項》
オールドレンズの特にヘリコイド (オスメス) 部位に「潤滑油」を注入するのは既に「白色系グリース」が塗布されていた場合、早ければ1年遅くても数年でヘリコイド固着に至ります。また光学系の特に貼り合わせレンズバルサム切れやコーティング層劣化を促しクモリが生じる因果関係になります。
たいていの場合 (おそらく今回の個体も) 過去メンテナンス時の整備者と言うよりも当方と同業者である『転売屋/転売ヤー』によって「潤滑油」が注入され、特にヘリコイド固着に至っていたと推測できます。それを解消すべく鏡胴で見えている締付ネジを「何も考えずに緩めた」から「直進キー」が外れてしまいヘリコイド位置がズレてしまったようです(笑)
このように『転売屋/転売ヤー』はロクなことをしませんから本当に要注意ですね!(笑)
もちろん当方も同じ穴の狢なので要注意です!(笑)
↑今回の出品に際しいろいろ附属品を新品調達して附属させています。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》※外箱附属せず
① 純正樹脂製前キャップ (中古品)
② 『CONTAREX版 Sonnar 85mm/f2 silver (CRX)』
③ 汎用樹脂製バヨネット式後ろキャップ (新品)
④ マクロヘリコイド付マウントアダプタ (CRX→LM)(新品)
⑤ LM→SONY Eマウントアダプタ (新品)
⑥ 汎用樹脂製SONY Eキャップ (新品)
↑時々装着方法が分からないとクレームが来るので解説しておきます(笑)
オールドレンズ側マウント部には「板バネ状の開閉版」が備わり45度の範囲で回転するような構造になっています。さらにその回転板には「凹型の切り欠き」が用意されており、そこにマウントアダプタ側に飛び出ている「爪/アーム」が刺さる事で固定される仕組みです。
またオールドレンズ側マウント部とマウントアダプタ側マウント部の両方に「●」のリリース マーカーが刻印されているので、装着の際は「●」を合わせて重ねマウントアダプタ側を「反 時計方向」に回転させると「バチンッ!」という大きな音が聞こえてロックされます。
この時、オールドレンズ側マウント部の「開閉版凹切り欠き部分」とマウントアダプタ側「爪」の位置合わせをイチイチ行う必要は特にありません。勝手に噛み合うよう「ワザと故意に板バネ状に設計しているから」噛み合わせの面倒が無いのですが、逆に「バチンッ!」という大きな音は必ず聞こえますから最初は驚くかも知れません (しかし構造上の仕様なので将来的に壊れる原因にもなりません)。
↑こんな感じで附属品に装着できます。最初に装着されるCRX→LMマウントアダプタ側に「絞り環」の機構部が備わっています。またその次のマウントアダプタはマクロヘリコイド付なのでローレット (滑り止め) が備わります。
上の写真で解説していますがグリーンの矢印箇所の基準「▲」マーカーと縦線「|」位置が僅かにズレています。これは最初から刻印位置がズレているので当方の整備の不具合ではありません。
↑マクロヘリコイド付マウントアダプタ側にはローレット (滑り止め) が用意されているので、近接撮影したい時だけ操作してブルーの矢印①方向に回すとそれに従い繰り出しが始まり最大で「5㍉分」突出してきます (ブルーの矢印②)。
《近接撮影の状況》※マクロヘリコイドの5mm分繰り出しで疑似マクロ化
◎ マクロヘリコイド回さず → 最短撮影距離:仕様80cmのまま
◉ マクロヘリコイド繰り出し (5㍉) →最短撮影距離:58cmまで近接
もちろんマクロヘリコイドのローレット (滑り止め) 操作は突き当て停止する位置まで回さなくても構いません。その分繰り出し量が減るので最短撮影距離:58cmまで近寄れないだけの話です。
なおリリース解除ボタンはカメラボディ側方向に引き戻しつつ一番目のマウントアダプタを「時計方向」に回すと外せます。
↑こんな感じで拡大撮影しました。リリース解除ボタンの位置までローレット (滑り止め) を回せば (ブルーの矢印①) 全体が「最大で5㍉分」繰り出されます (ブルーの矢印②)。またグリーンの矢印で指し示しているとおり基準「▲」マーカーと縦線ラインの位置はズレたままです。
↑最初は意味不明というか理解できないと思いますが(笑)、構造上絞り値制御は「カメラボディ側機構部の役目」なので、オールドレンズ側マウント面にもマウントアダプタ側にも「絞り値を一致させる機能が存在しない簡素な設計」になっています。
すると今回のモデルは「開放f値:f2.0」なのですが、マウントアダプタ側絞り環の刻印絞り値は「f1.4スタート」で設計されています。
これを自分で噛み合わせ位置を合わせて「ちゃんとf2.0で装着」しても絞り環操作しているうちにまた「バチンッ!」と言う大きな音がして「結局絞り環側はf1.4位置で填まってしまう」ので、絞り値が一つ分ズレると言う事になります (グリーンの矢印)。
つまり装着するモデルによって絞り環側絞り値と一致していない話です。これはそもそも設計段階で意識して造られているので、例えば鏡筒から飛び出ている「開閉アーム」の駆動域は (用意されている切り欠きスリット自体が) そもそも「最小絞り値:f22」を越えて閉じるようになっています。
要はマウント部のカタチで最小絞り値側まで伝達する概念なので、絞り羽根の開放f値と最小絞り値の両方はフィルムカメラ側本体で制御する仕組みです。従ってオールドレンズ側マウント部は簡素になり絞り環機構部も必要なかったワケですね(笑)
今回のモデルで言えば以下のように絞り値がズレていきます。
《実際の絞り値と刻印のズレ》
・オールドレンズ側開放f値「f2」→刻印絞り値「f1.4」
・オールドレンズ側f値「f2.8」→刻印絞り値「f2」
・オールドレンズ側f値「f4」→刻印絞り値「f2.8」
・オールドレンズ側f値「f5.6」→刻印絞り値「f4」
・オールドレンズ側f値「f8」→刻印絞り値「f5.6」
・オールドレンズ側f値「f11」→刻印絞り値「f8」
・オールドレンズ側f値「f16」→刻印絞り値「f11」
・オールドレンズ側f値「f22」→刻印絞り値「f16」
・オールドレンズ側f値「f32」→刻印絞り値「f22」
このように一つずつ絞り値と刻印がズレてしまうのですが、これは当方の整備が悪いのではなく「あくまでも設計上の仕様」です(笑) それは何度も言いますが「実際にマウント部の構造を見れば一目瞭然」であり、互いに開放f値や最小絞り値を伝達している箇所が存在しません(笑) 単に前述のように「開閉板の凹切り欠き部分が爪と噛み合っているだけ」と言う簡素な概念にしているワケです。
これを「非常に賢い」と捉えればきっと納得でしょうし「いやアンタの整備が悪い!」と捉えればご落札後手元に届いてからあ〜だこ〜だクレーム付けるだけで「全額返金/返品キャンセル」叶います!(笑) もちろんその際の振込手数料も往復送料も何もかも一切合切ご返金しますので、ご落札者様は絶対に損をしません!(笑)
もしも気に入らなかったら「オマエの整備ダメじゃないか!」とクレーム付ければ、それだけでOKです!(笑)
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当レンズによる最短撮影距離80cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありません。またフード未装着なので多少フレア気味だったりします。
↑こちらの写真はマクロヘリコイド付マウントアダプタ側のローレット (滑り止め) ほ操作して繰り出し最短撮影距離:58cmまで近寄った場合の開放f値「f2.0」での撮影です。同様手前側ヘッドライトの電球がピント面です。
↑同じように今度は絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。1枚目がオリジナル仕様状態の最短撮影距離80cmで、2枚目が疑似マクロ化の最短撮影距離58cmでの撮影です。
↑さらに回してf値「f4」で撮影しています。1枚目:80cmで2枚目:58cmです。
↑f値「f22」です。仕様上はこのモデルはこの最小絞り値「f22」ですが、もう一段分まだ絞り羽根が閉じます。なおこの最小絞り値でも「回折現象」の影響が視認できないのでたいしたモノです。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
↑仕様を逸脱した/超過したf値「f32」での撮影になります。『疑似マクロ化』での撮影・・マクロヘリコイド付マウントアダプタ側ローレット (滑り止め) の繰り出しで最短撮影距離が「58cm」まで短縮化されますが、その分被写体に近づくので入射光量が増し明るく写ると同時に近接撮影になるのでピント面周囲のボケ味がさらに滲んでトロトロになってきます。
従って当方の認識としては (光学系の知識が疎いですが) 光量が増す分『疑似マクロ化』で最短撮影距離の短縮化のみならずボケ味まで増大すると捉えていますから、特にマクロ撮影のメリットも増大していると受け取れますね(笑)