◎ tamron (タムロン) SP 17mm/f3.5 (151B) ⌀82《後期型》(ADAPTALL2)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク!出品するモデルは、国産は
tamron製超広角レンズ・・・・、
SP 17mm/f3.5 (151B) ⌀82 (ADAPTALL2)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

ご落札頂きましたぁ〜!(涙)
ありがとう御座います!(涙)

焦点距離:17㎜に挑戦する気持ちを湧き上がらせるだけで、何日も必要に
なり本当に大変でしたが、納得の仕上がりに到達できました。

これも偏に皆様からのとっても温かい『御言葉』を頂戴できるからで、それ
だけで目の前にお花畑が広がります(笑)

これからも、皆様の写真ライフの一粒になれるよう精進してまいります!
ありがとう御座います。

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で捉えても初めて扱いです。

本来、当方が普段扱う焦点距離域は「21㎜150㎜」とし、その範囲を超えるオールド
レンズのモデルは扱いをお断りしています。

その理由は「特に超広角レンズ域になると、光学系内に実装される光学硝子レンズの最小径は15㎜以下にまで小さくなる」ことから、当方の老眼の影響からもう見えません (拡大メガネが必要になってしまう)(汗) 拡大しつつ作業する手もありますが、今度はその拡大鏡の性能が問題になり始める為、同道巡りに陥り扱いをやめることに決めました(泣)

逆に言うなら、当方での「光学硝子レンズの清掃に伴う確認作業」はLED光照射は120%の勢いで当然ながら(笑)、蒸着コーティング層の「拭き残しや拭きムラ」の確認時に何回も斜めに傾けて、且つプラスして「蒸着コーティング層の反射面を凝視しながら確認」しています。その結果、例えば光学硝子レンズ各群を格納し終わった時点で外から眺めた時に「やはりオールドレンズを傾けつつチェックすると一部に拭きムラが一瞬見えたりする」ので、そのたびに再びバラして「全ての群でもう一度清掃スタート」の為、必然的に清掃時間が長いのです。
(サクッと清掃できないと言う、技術スキルが低いことを示す証)(笑)

もちろんその前段階で「反射防止黒色塗料」の完全除去までしている為、下手すると鏡胴の
組み立て工程よりも長い時間かけて「光学系の清掃」をしていたりします(汗)

しかし、今回tamron製品ということもあり、当方にとり大変珍しい気のまわし方ですが(笑)、試しに初めて扱ってみました(汗)

オーバーホール済でのヤフオク!出品個体は『本来在るべき姿』として組み
上がり、その操作性や仕上がりまで含め自信を以て出品していますが、何しろ
その調整が大変なのが判明し、残念ながら今回の扱いを最初で最後とします。

興味関心がある方は、是非ご検討下さいませ!

  ●               

↑上の図はtamronのサポートサイトから拾ってきたモデルの仕様諸元値を示すカタログデータ (左の2つ) と、右側の2つはネット上に公開されているとてもありがたいサイト『Adaptall-2.com』からの資料を引用しています。このサイトの情報は非常に有用的で参考になります。

これらの情報提供/開示により、このモデルには「1979年発売前期型モデル:51B (カタログ左)」と「1989年発売後期型モデル151B (カタログ右)」の2種類の存在が分かります。

前期型/後期型」の区分けは、このモデルの筐体外装の意匠の違いをチェックすれば分かりますが、仕様上の大きな相違点が1つだけ顕在し「前期型には内部に白黒写真向けのフィルターが4種類内蔵されている」と記載されています。距離環の直前に「ターレット」と説明されている、内蔵フィルターの切り替え時に回す回転環が装備され、回すことで内蔵フィルターが次々に内部で移動していく/切り替わる仕組みです (操作性としてはちょうど絞り環操作して
いるようなイメージ
)。

次に後に登場した「後期型」の記載を見ると、その内蔵フィルターに関する記述が全くあり
ません。

そして前述のとてもありがたいサイトの掲載資料により助かりますが「前期型:51B」の紹介記事に掲載されているMTF曲線を見る限り、ネット上で酷評を受けているような印象に繋がらず、むしろそこそこ頑張っているように受け取れます(涙)

開放から大変鋭いピント面を構成する使い易いモデルとして「Tokina製RMC Tokina 17mm F3.5」が勧められるばかりで、その一方今回扱うこのモデル「tamron製SP 17mm/f3.5」は貶されるばかりです(涙)

当方は「光学知識皆無」で「写真スキルも皆無」な上に「極度のカメラ音痴」と三拍子揃っている身の上なるものの(笑)、撮影写真の印象は「画全体の雰囲気から探る/感じ取る派」なので
それこそまるで絵画の「印象派」ヨロシク、どうにでも受け取れてしまう的な立場なのでしょうが(汗)、如何せんどうしてもオーバーホールで完全解体にこだわり整備している都合上「特に光学系内の整備作業には相当な神経を遣う」点からも、遍く光学性能に対して一応は (それらしく) 眺めるようにしては居ます (努めています/いえ、頑張っているつもり)(笑)

すると実写のピント面の解像度云々を等倍鑑賞してまで突き止めて、あ~だこ~だ批判する
気持ちよりも(笑)「肝心な処でディストーションが気になり始めたり、明暗部の極端な潰れに苛まれる」時点で、もしも仮に自らが整備した個体なら「光学系内の調整をミスッたか?」と大慌てになり、当然ながら所有する簡易検査具を使い再度チェックしまくる作業になり、その際バラして単独の光学硝子レンズまで取り出し「再格納」していくハメに陥ります(涙)

例えば「色ズレや収差」を考えた時、ピント面だけに限定せずそのアウトフォーカス部まで
チェックしている場合、気にすべきは「偏芯」だったりします。「色ズレや収差」は多くの
場合で、具体的にパープルフリンジブルーフリンジ、或いは様々な「収差」として画の中で
確認できますが、それらはそのモデルの光学設計によっても生ずる為、なかなか一筋縄では
判定を下せません(汗)

そこに「偏芯」が加わると、それを探す/判別していく過程は相当ハードルが高くなるものの、
実は明らかにそれは光学設計から来る現象ではありません(泣)

多くの場合で「偏芯の原因は光学硝子レンズの格納ミス」だったりするので、再度取り出して清掃実施後に再格納すると解消します。実はこの時に「ディストーションの性能が低いオールドレンズになればなるほど、偏芯の確認作業はより難航する」傾向が強く(汗)、従って当方の優先事項は「等倍鑑賞に頼って画のピント面に対する解像度の良し悪しを問うよりも、むしろ画全体で捉えた時のディストーションが命だったりする」のがホンネです(笑)

そんな「背水の陣」が常という非常に情けない自身の低い技術スキルから捉えようとするならば、むしろピント面の解像度/鋭さ感よりも「ディストーションのほうが広角レンズ域モデルについては作業上問題が大きい (要は自分の技術スキルが信用できないから)」ワケで(汗)、そちらを優先したかったことと、合わせて「やっぱりのtamron」的な発色性の素晴らしさにホッとします (いえ、ホッとしたいのです)(笑)

・・そんな勝手な言い分で、今回このモデルの扱いを決めました(汗)

↑上の図は今回扱ったモデル「tamron SP 17mm/f3.5」の光学系構成図を示していますが、左側2つが「前期型51B」になり、右側2つが「後期型151B」の光学系構成図で
いずれも当方の手によりトレースして作図しています。

ここで注目すべきは「左側の2つの構成図」であり「前期型51B」と同一モデルを示しているものの「何と、その光学系構成の内容が違う」リアルな現実にブチ当たります(汗)

tamronのカタログでは「レンズ構成10群12枚」と間違いなく掲示していますが、この左端1つめの構成図を数えると「11群13枚」あるのです(汗) 一方ネット上の様々なサイトに載る構成図の中には、2つめの構成図の如く「ちゃんと10群12枚になっている」場合が多いのです(汗)

・・いったいどちらの情報が正しいのでしょうか???(汗)

そもそも製造メーカーが示す仕様諸元値が違っていることは「有り得ない」ので、自動的に「10群12枚が正しい」話にしか至りません(笑)

ところが、今回扱った「後期型151B」をバラしたところ・・天と地がヒックリ返りま
した
!(驚)
 3つめの光学系構成図が、まさに今回扱った「後期型151B」ですが、ご覧のとおり「11群13枚」在るのです!(驚)

バラしている最中に、思わず前玉から順に並べて数え直すこと3回・・間違いなく11群なのです(笑)

そこで前玉のほうから順に取り出した単独の光学硝子レンズを調べつつ、もちろんその格納時の向きもチェックしながらチェックしていくと「ある一つの疑念がフッと湧き上がりました
・・光学系第7群の 色付した箇所に居る「僅か⌀12.49㎜の薄い凸平レンズは、いったい何の役目でそこに居るのだろうか???」(汗)

そうなのです。よくよく左側2つの光学系構成図を見比べると一目瞭然ですが、 色付した
箇所にこの光学硝子レンズが居たり、居なかったりします(汗) それで「10群12枚」表記になったり、しかし一方で数えると「11群13枚」の場合もあったりします(笑)

するとこの 色付した箇所に居るのが「ターレットで入れ替えられる内蔵フィルター」との
結論に到達しましたが、そこで今度は別の疑問が湧き上がりました! 「後期型151B」のtamronカタログには、その内蔵フィルターの話が一切記載されておらず「10群12枚」と明確に記載されているのです(汗)・・説明できません!(驚)

バラした個体から取り出した光学硝子レンズを逐一チェックしてデジタルノギスを使い計測したトレース図が3つめです・・間違いなく「11群13枚居るのですョ!(驚)

そこでムリに強制的な辻褄合わせを思いつきました!(笑)・・光学メーカーは「単なるフィルターを光学硝子レンズとしてカウントしない」のだと(汗) だから「11群13枚居ても10群12枚の仕様諸元値表記で間違っていないのだ」との言説に到達できます(笑)

然し、自分の指で摘んで掴み上げられる「ガラス材のモノ」を、まるで透明の如く扱うことは「光学知識皆無」な当方には到底できません(笑)・・しかも今回の「後期型151B」の中では「この光学系第7群の透明人間 (ガラス材) には、両面に鮮やかに濃い目のグリーン色の
光彩を放つ蒸着コーティング層
がしっかり施されている
」のです(汗)

その輝きは「光学系第11群後玉に施されているグリーン色の光彩と全く同じ色合い」であることまで並べて確認しました(汗)・・それは当方には到底無視できる要素には成り得ません(泣)

何故なら、この蒸着されている「グリーン色の光彩を放つコーティング層」は、可視光領域の中間に位置し、光学系内を透過してくる入射光の「自然な色合い表現性に大きく貢献してくれる役目を担わせる目的で、敢えてワザと故意にグリーン色のコーティング層を蒸着してきた」ことが当時の流れ/背景として明白だからです(汗)・・この話は当時のMINOLTAの「アクロ
マチックコーティング
(AC)」でもさんざん解説し続けており、まさにその狙いとも合致すると断言さえできてしまいます(汗)

もっと穿った言い回しで述べるなら「第7群の次は2枚貼り合わせレンズの第8群絞りユニット同じく2枚貼り合わせレンズの第9群」と言う、まさに貼り合わせレンズによる入射光の料理をしている場所に位置し「諸収差改善に努めている場所の直前に居る」からです(汗)

この「第7群のフィルターらしきモノ」は 色付して構成図の中で示しましたが、完全解体によりバラして取り出した、現ブツの蒸着コーティング層が放つ光彩で (表裏面をまとめて) 明示的に示すなら、最後の右端の構成図がその結果です・・パープルの光彩 色付し、アンバー 色付、そしてグリーン色の光彩 色付で表現しています。

これらを恣意的に受け取るなら(汗)、パープル色の光彩を放つ蒸着コーティング層は「解像度の向上」を特に優先的に狙っている位置に居るように見えますし、一方アンバーはその副次的な狙いで付随しているようにみえます。それに反して「グリーン色の蒸着」は料理する役目たる貼り合わせレンズ直前と、最後の後玉という「ガッツリ抑えるべき場所に居座っている」ように見えてしまう為、どうしても当方には「第7群は単なるフィルター如き存在」には受け取れません(汗)

これはパープルの成分が「赤色青色紫色」なので、入射光の可視光領域に限定して述べるなら「赤色青色は互いに対極に位置する」と指摘でき、お互いに同居しない/隣り合わせにならない性質/特性を持ちます・・その一例を上げるなら「赤外線紫外線」であり「波長が長い (減衰しにくい) 赤色成分波長が短い (減衰しやすい) 青色成分」は物理的に隣り合わせに成り得ません (必ず互いの間に中間色たる黄色成分緑色成分、或いはオレンジ色ピンク色水色などが存在するから)。

ではそれらパープルの成分赤色青色紫色」がいったいどんな役目を担わされているのかと言えば(笑)、光学系の中で「一番先に減衰してしまって透過しにくい成分が青色」なので、できるだけ後玉を貫いて撮像素子面まで (昔ならフィルム印画紙まで) 到達すべき存在です。また「赤色成分は解像度の向上に役立つ」為、マルチコーティング化に伴い重用されました(汗)

今ドキのデジタルな実写でも、よく「パープルフリンジ」とか「ブルーフリンジ」とか言われますが(汗)、ピント面やその周辺部のエッジに纏わり付く「色ズレを指してフリンジ (fringe) と言う」ので「色収差」の代表例です。すると前述のとおり互いに波長が異なるので同居できないのは歴然です (つまり合焦時に波長の相違から結像位置がズレるので色ズレが生ずる)。

人の瞳ではその中間色の「黄色系緑系は見えない/見えにくい」為、互いの両極に位置する「パープルブルーに集約されている」要はヤッバし人間の瞳でさえ「波長の問題」なのだと言えそうです(汗)

すると今度は「では黄色系はいったい何の為に必要なのか???」になりますが、今ドキのデジタルな環境下で説明するなら右図のとおり総天然色は「 ()」の組み合わせで表現でき、それらを「光の三原色」と捉えて総天然色 (可視光領域で凡そ750万色、日常生活時に人間の瞳が感じ取っている色数は凡そ187万色あると言われる) を表現しています。そしてそれら3つの基本色を混ぜ合わせて
得られる混色は、右のとおり「ホワイト (白色)」に必ず到達します。
(右図の中心部分)

ここがポイントで「皆さんは写真を明るくするのに白色の強さを上げれば良い (輝度を高くすれば良い)」と表現されますが、右図のとおり「ホワイトは色の三原色の中での混色」なので、ホワイトだけを強くすると「コントラストの低下を招く」結果に至り、その一番分かり易い例が「光学系内のクモリの存在で、コントラスト低下が起きて霧中撮影のようになってしまう
(つまり色付きの濃さが低下してしまい、褪せた色合いになる)」のをご存知だと思います(汗) その原理がまさに上の右図で明示した中心部分であり、三色が混ざり合うと必ずホワイトに
近づいてしまい、合わせて一部の入射光成分だけが遮られて三色が均質に混ざり合わないと「コントラスト低下を招く」道理に至ります(汗)

さらにもっと言うなら「人間は自分の血液と同じ赤色に非常に強く反応する生き物」であり、上の右図の中で人がパッと見て一番最初に注視しているのは「赤色」だと言われています・・それを逆手に活用しているのが食品売り場やセール品だったりで「赤色を積極的に活用」なのを、昔に小売業の研修で習いました(笑) 次に注視するのが (目に付きやすいのが)「黄色/オレンジ色」であり、要は「明るさ=太陽の光」として、やはり人の反応速度で実測するとそのような結果に至るようです。こうやって調べていくと「緑色植物/森林」或いは「青色」となり、実は「紺色水色」だけがノケモノ扱いになるようです(笑)

実際「いつも水道の蛇口を回して水を見た時に、水色に映っている人は、非常に少ない (居ない)」とも指摘でき(笑)、こじつけのように聞こえますが、実際水色には見えていません(笑)

これらが「波長」として捉えた時に「人の瞳の感じ方も、詰まる処瞳の波長の受け取り方次第」と指摘でき、上の右図の中で「青色だけが一番最後に認知される」ようです(汗)

昔勤めていた家具専門店で、専務 (社長の奥さん) に「アンタは色センス無いから、これを見て勉強しなさい!」と説明用の円形模型を30分ず〜ッと見させられて「目がおかしくなった」ことがあった程です(笑)

従って「明るくしたければ、人の瞳が一番反応し易い黄色を強める」が為に「アンバー色の
蒸着コーティング層
が必要になる
」次第です。今ドキの最新技術では「4K/8K」で黄色
足している為 (輝度の向上)、三原色から四原色へと変化しています(汗)

パープル色の蒸着コーティング層で「解像度向上透過率の向上」を狙い「アンバー色で明度の向上」そして「グリーンで自然で忠実な色合いの発色性向上 (決して植物の緑色ではない)」と言う、あくまでも光学レベルの波長に拠る制御なのだと知るべきですね(汗)

・・光学知識ドシロウトが何を言うかと笑われるでしょうが、然し思い入れは強いです(笑)

なお、その問題になっている「光学系第7群のフィルターらしき光学ガラス材は凸平レンズ」であり、極々僅かな曲がり率を前玉側方向にもちます (つまり一般的に言う処のフィルターの
如く、単なる平レンズではない
)・・という、これらの事実を知った時、どうして第7群だけがカウントされないのか、忸怩たる思いだったりしました (可哀想)(涙)

確かにターレットで入れ替わるフィルターではないにしろ、ちゃんと「グリーン色の光彩を
両面に放つコーティング層として蒸着している
」ワケだし、肝心な絞りユニットを挟む2つの
貼り合わせレンズの直前に配置されているのだし・・と、完全無視されてしまうその身の上に
何だか自分を重ねてしまい、とても寂しい気持ちになりました(涙)

  ●               





↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
左端は少々実写時の状況が掴めませんが、ピント面のエッジの太さが骨太なのは伝わります。また2枚めは明らかに「赤色の色飽和寸前ギリギリの状況」なのが伝わります(汗) それで
いて他の色味は決して誇張的ではなく、むしろ自然な印象に仕上がっています。3枚めは被写体の素材感や材質感を写し込む質感表現能力の高さをチェックしています。4枚め右端は動物毛ですね。フィルムカメラによる撮影なのか、少々偏重した嫌いがありますが、決して人工的な印象ばかりが残る実写には見えません。

二段目
左端はピ〜カンでの撮影ながら、決して光量に負けずにシッカリと水流の表現が写り込めている写真に見えます。2枚目がノッペリした立体感を感じない写りになりがちなシ~ンなのに、確かなグラデーションを残しつつも質感表現もできており、決して解像度ばかりに固執する
謂れがないことを表していると思います。白黒写真は2まいとも暗部までキレイに写せていると思います。カラー撮影時と白黒写真で明暗部の質がガラッと変わらない安心感を感じます。

三段目
ディストーション (歪) がやはりtamron製オールドレンズは素晴らしく制御されていて、毎度のオドロキレベルです(涙) 17㎜でこれだけ出せれば十分ではないかと思います。どんなにピント面が鋭くても歪みが酷ければ、それが気にならない人はそもそも超広角レンズ域モデルを使うべき人ではないような気がします(汗) それこそまるで標準レンズ域のように「ピント面ピント面」と騒いで等倍鑑賞するくらいなら、広角レンズ域の雄大さや荘厳な雰囲気を写し込めるか否かは「まさに人の感覚で捉えるディストーションの素晴らしさ感/雄大さ感」ではないかとの思いが強いので(汗)、当方はむしろそちらばかり気になって仕方ありません(笑)

次の2枚の実写「君の名は。」のまるでワンシ~ンの如く・・は、実は本編アニメ映画では「描いている立場なのだから、よほどのことがない限りディストーションを崩さない (崩したらそれだけで視聴者の違和感に焼き付いてしまうから)」とも考えるシ~ンとも言い替えられる為、実はこのモデルで撮影した同じ/似せたシ~ンを撮ってしまう感覚の素晴らしさに「まさにこのモデルの真髄を魅せられた感」を強く感じ、いやぁ〜この人、1枚の写真で2つの主張をめいっぱい張っている凄い人・・と、酷く感心した次第です(汗)

おそらくこの2枚の実写の撮影者が「感じた印象」そのままに「アニメのワンシ~ン」であり、結果的に「真髄たる魅力」と、それこそまるで互いの要素が等号で結ばれてしまうが如く
どうにでもそれぞれの位置をとっかえひっかえできそうな、そういう錯覚の世界観を持つ撮影者様が本当に素晴らしいです!(驚)・・「アニメのワンシ~ン 感じた印象 このモデルの真髄たる魅力」そう言う方程式が成り立っていると(汗)

四段目と五段目
これらの実写はまさにこのモデルが「光の制御が得意」である点を示す良い例ではないかと
思います。

今ドキのオールドレンズ風実写」の如く煽り振る舞う「光輪命!」或いは「ゴースト命!」みたいな偏重したイメージを植え付けようとする人達/勢力は確かに居ますが、元来オールド
レンズの魅力とはそういう限定した内容ではないハズなので、それこそちょっと前の「インスタ映えヨロシク」敢えてワザと故意にハイキー寄りに撮って、コントラスト低下させた写真を「此れ見よがしに広めていた人達/勢力」の如く、それこそプロの写真家まで足並みをそろえていたくらいなので、呆れるのをとおり越し「どうしてそう言う低俗なニッポン人が、オールドレンズの先頭を切っているのだろうか???」と不思議でなりませんでした(汗)

写真にどんな感情を写し込もうと自由ではありますが、ならばこそそのような偏重した実写ばかり載せて「オールドレンズの魅力」の如く吹聴する姿勢は、如何なものかと強く思いますね
・・確かにそれら光輪やゴーストも低コントラストな写真も、どれも間違いなく撮れるので、それを否定はしませんが、然しそれが全てではないと思いますね(笑) オールドレンズに飽くなき希求の描写とは、もっともっと裾が広く、深く、永久に絶えることない人の希望と情念
そのモノなのではないかと・・思いたいですね(涙)

・・今ドキのデジタルなレンズでは撮れない一瞬を、残したい(涙)

例えそれが収差張りのワンシ~ンでしかなくとも、それで十分に良いのではないかと思ったりします(汗)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。他の多くのtamron製オールドレンズの内部設計構造を踏襲しますが、一部に簡素化と製産工程削減への努力の痕跡を垣間見ました (決して材料に係るコスト削減だけが全てではないから/意外にも
真にコストを食っているのは、今も昔も人件費だったりするから
)。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。赤色矢印で指し示している箇所に残るえぐれたキズ跡は「過去メンテナンス時の整備者による不始末で、光学系前群を強く回してしまった証拠 (締め付け固定していたイモネジが擦れてしまった跡)」だったりします(泣)

おそらく強く回して回り始めたものの、普通なら回すに従い軽くなっていくのに、抵抗/負荷/摩擦に変化を感じないので「すぐに直感で何かに締め付け固定されている」と感じ取った為、
慌てて回すのを止めたから「僅か15㎜ほどの長さだけでえぐれるのが止まった」という、この状況を見ただけでも「シロウトレベルの仕業ではないのが明白」です(笑)

こういうところにシロウトとプロの整備者の違いが現れます(汗)・・シロウトは最後まで回し続けてしまうから(笑)、鏡筒のフチは全周に渡り削れえぐれシルバーになっていたハズです。

他のtamron製オールドレンズの全てで同一ですが、この鏡筒は「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」です。それが明示するのは、いつも述べていますが「経年劣化進行に伴う
揮発油成分の侵入/流入を避ける処置
」です。結果絞り羽根の油染みを可能な限り防げますし、この最深部に組み込まれる「制御機構の駆動適正化を維持させる狙い」に繋がるワケです。

↑前述の鏡筒最深部に組み込まれるのは「絞りユニット」であり、上に並べた構成パーツの
組み合わせであり「絞り羽根開閉動作の制御機構」でもあります。

C型締付環 (銅製)
制御環
絞りユニットケース
位置決め環
開閉環
操作アーム

これらの構成パーツとその駆動概念、原理はこの当時の全てのtamron製オールドレンズに共通です。 までの全ての構成パーツが 絞りユニットケースに組み込まれます。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている

↑完成した絞りユニットを前玉側方向から撮影しています。「制御環」の途中に備わる「なだらかなカーブ」の勾配に「キー」が突き当たるので、その時の坂の勾配に従い「絞り羽根の移動量が決まり閉じる角度が決定する」原理です。「なだらかなカーブ」を登りきった頂上部分が「開放側」になり、麓部分が「最小絞り値側」になります。上の写真では麓位置に「キー」が突き当たっているので、絞り羽根は「最小絞り値まで閉じきっている」正しい動きを示しています。

↑完成した絞りユニットを鏡筒最深部にセットしたところです。

↑鏡筒を立てて撮影しました。写真上方向が前玉側の方向にあたります。すると鏡筒側面から「開閉レバー (右)」或いは「制御アーム (左)」が飛び出ていて、それぞれがブルー色の矢印の範囲で動きます。

この当時のtamron製オールドレンズのモデルは、ほぼ全てのモデルに共通的に、この2つの
レバーとアームが鏡筒横から飛び出てきます。

しかし一つだけ異なる設計なのが、まさにこのモデルのポイントになりますが、グリーン色の矢印で指し示している箇所に「この鏡筒を固定するためのネジ切りが用意されていない」設計です。

鏡筒の横から「レバーとアームが飛び出ていて、互いに操作される」のに、鏡筒はいったい
どうやってオールドレンズ内部に固定されるのでしょうか???(汗)

↑上の写真は「光学系前群格納筒」を前玉側方向から撮影している向きです。このように段々畑の如く「光学系第1群前玉第7群」までが全て格納される「レトロフォーカス型光学系構成」です。ところが解説のとおりイモネジ用の締め付け穴が用意されており (赤色矢印)、ここでイモネジにより鏡筒のフチにガッツリ締め付け固定されます。

イモネジ
ネジ頭が存在せずネジ部にいきなりマイス切り込みが入るネジ種で
ネジ先端が尖っているタイプと平坦なタイプの2種類が存在する。

大きく2種類の役目に分かれ、締め付け固定位置を微調整する役目を兼ねる場合、或いは純粋に締め付け固定するだけの場合がある。

すると当然な結末に至りますが「鏡筒はこの光学系前群の重量まで背負うことになる」のが自明の理です。さらに鏡筒の裏側には「光学系後群格納筒まで用意されている」ことから、鏡筒は光学系全ての重量を負うことになります(汗)

↑鏡筒が完成したのでここからヘリコイド群の組立工程に入ります。

ヘリコイドメス側
基台
ヘリコイドオス側

基台には「制限壁」と言う壁が2/3の幅で突出しています・・そこから説明できるのは「距離環の駆動域は残りの1/3なのが確定」する話です (ブルー色の矢印)。

一方、 ヘリコイドオス側のネジ切りの途中には縦方向に「直進キーガイド」なる溝が、両サイドに用意されています。そしてグリーン色の矢印で囲ったように「ネジ山の長さ/高さ/列数が鏡筒の繰り出し量/収納量に一致する」設計なのが分かります (このネジ山を超えるとヘリコイドオス側が脱落してしまうが、その前に制限壁のおかげで突き当て停止し脱落しない)。

↑直進キーとはこういう黄銅材パーツです。赤色矢印の箇所に過去メンテナンス時に塗られていた「固着剤」が固まって厚みをもっていましたが、マイナスドライバーでこじいて削り落としています。その理由は「この直進キーが刺さる位置がズレると、トルクを重くしたりトルクムラを誘引するから」にもかかわらず、過去メンテナンス時の整備者は、あちらこちらに「固着剤」を塗りまくります(汗)

↑上の写真はまでのヘリコイド群を、互いがネジ込まれる順番で並べて撮影していますが、それぞれの材質が「アルミ合金材の削り出し加工」であるものの、ブルー色の矢印で指し示している箇所の切削には「平滑メッキ加工 (黒色)」が施されています。一方グリーン色の
矢印
で指し示している箇所のアルミ合金材削り出しヘリコイドメス側のネジ山は「陽極メッキ加工」が施されています。

今現在ヤフオク!にて「分解整備済」を謳い「ラッピング研磨技法を採り入れた整備」を此れ見よがしに謳い続けて出品している出品者が居ますが、上の写真で示したこれらメッキ加工の部分を「ラッピング研磨」と言う金属研磨剤に拠る研磨を行うと「せっかく被せたメッキ加工が微細に剥がれる」結末に至り、数年後の酸化/腐食/サビを防ぐ手段がなくなります(涙)

また金属材は確かに硬い金属ですが、その表層面には必ずクラックが入っており、そこに経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビが侵入していきます(怖) それを防ぐ目的で被せられているのが、これらメッキ加工なので (金属材の切削後に洗浄工程に入り何回もの洗浄を経てからメッキが被せられる) それをワザと故意に金属用研磨剤で擦ってしまうのは・・はたしてどうなのか???・・と言う話です(笑)

ラッピング研磨」の後に塗布するグリースにより、経年劣化進行にも守られて保護される、その証拠は「古いグリースを除去すると金属材が光っていて酸化/腐食/サビの影響を受けて
いない
」と解説していますが、当方は普通の人間なのでそのような金属材の深部までを見通せていません(汗)

よく見られるパターンですが「金属材が光っていれば酸化/腐食/サビていないと言い切れて
しまう証拠なのでしょうか???
」と言うのが、当方が以前取材させて頂いた金属加工会社で得た知識からの疑念です(汗)

逆に言うなら、そのように経年の中で古いグリースによって守られていたであろうハズの
ヘリコイドのネジ山深部には酸化/腐食/サビの痕跡が視認できる」のに、どうして自分が
塗布する新しいグリースなら大丈夫だと断言できるのでしょうか???(笑)

・・なんだか辻褄が合っていないように思います。

従って当方はヘリコイドのネジ山を、何でもかんでも研磨しまくって「経年で残ってきた酸化/腐食/サビの跡を削り取って、再び酸化/腐食/サビを促さない」ように努めています(汗)・・
実際、自分が以前に整備した個体が市場流通しているのを発見した際、再度落札して代金を
支払い「回収後に再び完全解体して全てのパーツの酸化/腐食/サビについてその状況を逐一
確認している
」次第です。

それで初めて「8年前の整備個体までは内部に経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビがさらに
促進されていない
」のを確認しています。チェックできたのは当方が整備してから「5年後に
6年後、7年後と8年後
」と言う、5年後からほぼ毎年の経過年数で回収確認が済んでおり、
それを以て大丈夫だと受け取っています(汗)

然し、それはあくまでもその個体での話に限定されるべきであり「真に整備した個体の進捗
状況は、その個体が将来までどのように経年していったのかで全く変わる話
」ではないのかと
・・頭が悪い (高卒なので) 当方は常に不安で仕方ありません(怖)

だからこそ決して断定してはイケナイのだと、教えを請うた金属加工会社社長さんの提言を
肝に銘じ、今も日々心を平らに戻しながら (決して頭でっかちにならず、鼻が高くならずに)
初心を大切に努力を惜しまない心根で臨んでいる次第です(汗)

次に生れかわって転生できたら、次はちゃんと修行を積んで「真のプロに成りたい」と思っています。現世では「プロにもなれず、マニアすらなれなかった整備者モドキのクソな転売屋/
転売ヤー」
との某有名処コメント欄での指摘なので(笑)・・どうにも仕方ありません(涙)

↑ヘリコイド群を組み込んで基台を仕上げました。

↑さらにヘリコイドオス側をネジ込んだところですが、この工程こそがこのモデルの最大の山場になります(汗) 無限遠位置との関係性を担保できるのかどうかがここで決まります(汗)・・何故なら、光学系をセットしてから後で無限遠位置の確認と描写調整が適うのは「1/3の駆動域内だけの話」なので、そこをミスってしまえばどうにもなりません (例えば制限壁は両端が在るので、その境界近辺で無限遠位置が狂っていた場合、再びだいぶ前の工程までバラし直す必要が起きるから)(涙)

ちなみに赤色矢印で指し示している3箇所のネジ穴が「鏡筒固定用ネジ穴」であり、僅かこの3本の締付ネジだけで「鏡筒+光学系前後群」全ての重量を支え、且つ横方向から絞り環操作や絞り連動レバー操作によるチカラの伝達を受け続ける立場です(怖)

このようにまるでヘリコイドオス側のフチに、鏡筒と光学系全てがブラ下がっているかのような状況を指して「懸垂式ヘリコイド駆動 (ヘリコイドオス側だけに全てが架かる)」と呼称しています(汗)

後で組み上がって完成した時の後玉側方向から眺めれば、どんだけぶら下がり状態なのかが
分かると思います (普通は鏡筒自体がヘリコイドオス側になってメス側にネジ込んだりする)。

絞り連動レバーの機構部が備わります。このように「車輪方式でマウント面から操作される
設計概念
」がこの当時のtamron製オールドレンズの常です(汗)

↑完成した鏡筒+光学系前後群です。前玉側方向を上に向けて撮影しています。

↑ヒックリ返して、今度は後玉を上方向に向けています。すると鏡筒横方向に飛び出ている
制御アーム (右側)」に「開閉レバー (左)」が、それぞれブルー色の矢印の範囲で操作されて、鏡筒内部の絞りユニットにチカラが伝達されます。

タダでさえ鏡筒がたった3本の締付ネジだけで締め付け固定されているのに、それを横方向からチカラを加えて操作する設計概念が驚異的です(驚)

↑ヘリコイド群に鏡筒+光学系前後群をセットしたところです。11群13枚もあるレトロフォーカス型光学系なので、ご覧のように後玉がだいぶ飛び出ています(汗)

↑さらに絞り環をセットしました。絞り環との連携は、今までの工程に出てきていた「制御
アーム
」との接続です。すると絞りユニット内部の「制御環」が絞り環操作に従い回るので、
設定絞り値に見合う角度の勾配に「キー」が突き当たり、閉じる絞り羽根の角度が決定する
流れです(笑)

すると皆さんのとても多くの方々が「ヘリコイドのトルクは塗布するヘリコイドグリースの粘性で決まる」と信じてやまないのですが(笑)、リアルな現実はこのように「横方向からも下からもチカラで突き上げられている中で、ヘリコイドオスメスが回転している」結果が、距離環を回す時のトルクであり、その重さだったり軽さだったりします(汗)

従って「ヘリコイド駆動のトルクを微調整する」作業は詰まる処、ヘリコイドオスメスと塗布するヘリコイドグリースだけに限らず、果ては絞りユニットや絞り環との連携、マウント部からの絞り連動ピン/レバーからのチカラ、それにプラスして最後は光学系前後群の重量と、全てがヘリコイドオスメスに一極集中的に架かっていることをご理解頂くべきです(汗)

↑いよいよ最後のクライマックスですが、マウント部の爪をセットします。

遮光カバー
マウントベース環
クッション環
ADAPTALL2規格マウント (爪)

赤色の番号はアルミ合金材パーツですが (だけ真鍮製/ブラス製)、 マウントベース環だけが樹脂製の為、このモデルに限っては「爪が外れないからと加熱処置すると溶けてしまい製品寿命まっしぐら」と言う悲しい結末を迎えます(怖)

何故なら、もしも上の写真のように過去メンテナンス時にバラされていないのであれば「爪を締め付け固定する3本の締付ネジは、まさにネジ部のネジ山だけに純正固着剤 (白色) が塗られていて、嫌気性なので非常に強固に固まっている」のを当方は今までに扱ったtamron製オールドレンズで確認しています。

逆に言うなら、以前取材した金属加工会社社長さんから教えて頂いた話のとおり、光学メーカーならちゃんと締付ネジのネジ部に固着剤を塗って、製産時点の組立工程を通過しているハズとの内容を、そっくりそのまま検証できているからです(汗)

こんな締付ネジの話でさえ、ちゃんと「観察と考察」「原理原則」とまるで道理がとおり、決して覆せないリアルな現実が壁として立ちはだかっています(笑)

ちなみにこの マウントベース環には、以前の「前期型」辺りの場合には、次の クッション環との間に「ワッシャー」が挟まれている仕様なのが、非常に多くの当時のtamron製オールドレンズで採用され続けましたが、今回のような「後期型」では樹脂製モールド成型の構成パーツへと変遷するものの、その「ワッシャー」分の高さまで含めて成型してくれているのが一目瞭然です (ありがたい)(汗)

そこから垣間見えるのは、樹脂材の硬度管理がしっかりできる技術革新が進んでいたとの検証にも至り、こういうちょっとしたところで当時の背景を真横から透かして見えたりするのが、またオモシロイです(笑)

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わっています。巨大な前玉が誇らしげに見えてしまいます(涙)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側もスカッとクリアで、極薄いクモリが皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:13点、目立つ点キズ:6点
後群内:19点、目立つ点キズ:15点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:なし、カビ:なし
・ヘアラインキズ:なし(前後群内僅か)
(前後群内極微細な薄い最大2mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。

↑5枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正五角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
神経質な人は多少重めの印象に至るかも知れないとの認識のもと、敢えてワザと故意にトルクを与えピント合焦後に指を離す瞬間にズレてしまうことを避けています(ピントのピーク/山がそれほど不明瞭でゆっくり上がっていくものの、その頂上はすぐに過ぎてしまうので、そのような特徴を勘案しトルク調整しています(クレーム対象にしません)。
・距離環のラバー製ローレット(滑り止め)はベタつきもなくシッカリしたホールド感を感じられる操作性を与えてくれます(但し微細な塵/埃などはラバー部分に附着しますので普通に軽く水拭きなど清掃すればキレイになります)。
距離環を回すとヘリコイドネジ山が擦れる感触が指に伝わります
(神経質な人向けに誇張的表現で記載しています)
・絞り羽根の開閉幅(開口部面積/カタチ/入射光量)と光路長の適正化やピント面解像度の向上含め簡易検査具でキッチリ検査しつつ微調整を施し本来在るべき姿として組み上げ終わっています。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
本体『SP 17mm/f3.5 (151B) ⌀82 (ADAPTALL2)』
 K&F CONCEPT製「ADAPTALL2→M42マウントアダプタ」(新品)
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
純正樹脂製スナップ式前キャップ (中古品)

無限遠位置 (当初バラす前の位置から改善/ほぼピタリ位置)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離17㎜開放F値f3.5被写体までの距離4m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度2m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、2m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の5m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)

↑鏡胴の1箇所に赤色矢印で指し示しているような擦りキズがあります。

↑付属のK&F CONCEPT製「ADAPTALL2→M42マウントアダプタ」(新品) をセットするとこんな感じです。マウント面の絞り連動レバーは、車輪が押し込まれたままの状態になるので「絞り環操作は手動絞り (実絞り)」だけに代わります。もちろんこのマウントアダプタを外せは (回すだけで外れます)、普通に絞り連動レバーの機構部が反応するようになります。

↑いつもどおり当方所有のマウントアダプタではありますが、ちゃんと事前に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 上の写真は中国製のK&F CONCEPT製「M42 → SONY Eマウントアダプタ」に装着し絞り羽根の駆動を確認しています。

赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合にそれが干渉しないよう、約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後までネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる)。

またこのK&F CONCEPT製マウントアダプタは、市場流通品を入手した時、そのまま装着すると「指標値が真上に来ない (3時の位置で停止)」ので(笑)、それをちゃんと真上に来るよう
調整済みなのをグリーン色のラインで明示しています (当たり前の話ですが)(汗)

↑同様今度は日本製のRayqual製「M42 → SαE マウントアダプタ」に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合に、それが干渉しないよう約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後まで
ネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる
)。もちろん前述同様グリーン色ラインで指標値が真上に来ているのを明示しています(笑)

↑当レンズによる最短撮影距離25cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

なお絞り環の刻印は「単なる●刻印」が開放f値で「f3.5」を意味します (f3.5刻印自体は右隣に位置する)。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮りました。

↑f値は「f8」に上がっています。

↑f値「f11」での撮影です。

↑f値「f16」です。もう殆ど絞り羽根が閉じきっているようにしか見えないのですが、それでもこれだけの写りを残し「回折現象」の影響を微塵も感じません(驚) これよりも凄いのが冒頭で話した「Tokina製RMC Tokina 17mm F3.5」らしいので、とんでもない超広角レンズですョね???(驚)

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。