◎ Carl Zeiss Jena (カールツァイス・イエナ) CONTAX Sonnar 5cm/f2 T《後期型》(CTX-RF)
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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません
今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧東ドイツの
Carl Zeiss Jena製標準レンズ・・・・、
『CONTAX Sonnar 5cm/f2 T《後期型》(CTX-RF)』です。
このモデルは今回の扱いが初めてになりますが、当方はこの当時のレンジファインダーカメラやその他のフィルムカメラに関する知識が非常に疎いので、正確なご案内ができず申し訳御座いません (どうかご容赦下さいませ)。
戦前ドイツのZeiss Ikonから1932年に発売されたレンジファインダーカメラ「CONTAX I型」用に用意されたオプション交換レンズ群の中の標準レンズが今回のモデルです。
レンジファインダーカメラ本体がZeiss Ikonの設計/生産だとしても 組み合わせられるオプション交換レンズ群は、戦前〜戦時中は同じくドイツのCarl Zeiss Jenaから、また戦後は旧東ドイツのやはりCarl Zeiss Jenaから供給され、さらに1950年以降は旧西ドイツのZeiss Optinからもようやく供給が始まったようです。
これらオプション交換レンズ群の中には一部に「沈胴式」モデルが 存在し、その一つに今回扱う「Sonnar 5cm/f2」も含まれています。
従って「沈胴式→固定式」とモデルバリエーションが追加されていったことが伺えます。
【モデルバリエーション】
※オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。
初期型:1932年発売
鏡胴固定方式:沈胴式
光学系:3群6枚ゾナー型構成
絞り羽根枚数:9枚
コーティング:ノンコーティング
筐体材質:総真鍮 (黄銅) 製
中期型:1937年発売
鏡胴固定方式:沈胴式
光学系:3群6枚ゾナー型構成
絞り羽根枚数:9枚
コーティング:ノンコーティング
筐体材質:総真鍮 (黄銅) /アルミ合金製
後期型:1945年発売
鏡胴固定方式:固定式
光学系:3群6枚ゾナー型構成
絞り羽根枚数:9枚
コーティング:モノコーティングT
筐体材質:総アルミ合金製
光学系はいずれのモデルバリエーションもすべて同じ3群6枚のゾナー型構成ですが、実はバラしてみると少しずつカタログなどに載って いる構成図とビミョ〜に違っていました。
左図は1932年に発売された当時のレンズカタログからの抜粋です。
この時の3群6枚ゾナー型構成図をトレースしたのが右図で、今後の
モデルバリエーション展開に伴い特に後群側が変化していきます。
固定方式の鏡胴設計ですが、この後の光学系は第2群の3枚の曲率などまで再設計されるので、全く異なる描写性能に至っているのではない
かと勘ぐりたくなってしまいますね・・どうなのでしょうか(笑)
さらに「中期型」で沈胴式にチェンジした時の構成図が右図です。
いずれも当時のカタログやレンジファインダーカメラの取扱説明書などから構成図をトレースしました。
特に第2群の3枚貼り合わせレンズですが各群の曲率が見直され、且つ後群側の貼り合わせレンズも再設計しています。
最後が今回の個体「後期型」の構成図で、今回完全解体して光学系を
バラし清掃した際に当方の手によりデジタルノギスで各群を計測し
図面を起こした構成図です。
その都度大きく各群の最設計が成されているように見えますね。
上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています。
◉ 一段目
左端の2枚はシャボン玉ボケほ探していて見つけた実写ですが、ほぼシャボン玉ボケには至っていない円形ボケの状態です。また標準レンズとして考えても少々小さめの円形ボケではないかと思います。ピント面の背景ボケはご覧のように収差の影響を受けた乱れた汚い背景ボケにも成りますが、最後の右端写真のようなトロトロボケにも至ります。基本的にピント面の被写体はエッジがとても細く繊細に出てくるので、且つアウトフォーカス部の滲み方が極体に溶け始めることからピント面と背景との境界が極端に浮いてくる「立体的な描写が得意」ではないでしょうか。
◉ 二段目
ピーカンでもこれだけ階調豊かにグラデーションを描くので、ダイナミックレンジは相当広めなのではないでしょうか。このゾナー型をコピーした戦後のロシアンレンズ「JUPITER-8シリーズ」のダイナミックレンジが狭くて明暗部がストンと堕ちてしまうのとは対称的ですし、そもそもロシアンレンズにはこれらCarl Zeiss Jena製オールドレンズのような「繊細感が全面に出てくる/繊細感をシッカリ残せるピント面のエッジが存在しない」と言う、ある意味ロシアンレンズの共通の特徴が見てとれます。
◉ 三段目
その繊細感はこのような動物毛を写すと確実に違いが明白になりますが、非常に繊細で、然しちゃんと質感表現を伴った写真として写せているところが、さすがCarl Zeiss Jena製オールドレンズです。その傾向はカラー写真のみならず白黒写真でもさらに微妙なグラデーションをキレイに展開しながら確実に256階調で残してくれるワケで、この辺がロシアンレンズにとっては全く以て適わない「さすが本家本元の画造り」と言った印象です。
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。基本的にこの「CONTAXシリーズ用交換レンズ群」は、本体側にヘリコイド (オスメス) が組み込まれて いる為、オールドレンズ側は鏡胴と絞り環だけで成り立っています。
従って必然的に上の写真のように内部の構造も簡素で構成パーツ点数も少ないです。
↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。この当時に登場する同じCarl Zeiss Jena製オールドレンズはすべてがシルバー鏡胴モデルでしたが、同様に鏡筒が深くて長い設計を採っています。
絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。
◉ 位置決めキー
「位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー
◉ 開閉キー
「開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー
◉ 位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)
◉ 開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環
↑9枚の絞り羽根を組み付けて絞りユニットが鏡筒最深部にセットされます。「円形絞り方式」なのでご覧のようにほぼ真円に近い円形絞りで絞り羽根は閉じていきます。
↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。写真上部が前玉側方向ですが、ご覧のように相当深くて長い鏡筒です。
↑ここに絞り環用のベース環をネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと正しく絞り羽根が機能しません。
↑絞り環をセットします。絞り環を固定する箇所は決まっているのですが、肝心な絞りユニットと絞り環との連係が2つ用意されている為、どちらを使って組み立てれば良いのかは「原理原則」に則るしかありません。
呆気ないですがこれで鏡胴が完成なので、この後は光学系前後群を組み付けてから筐体外装をセットして無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わりましたが、製造番号から今回出品個体は1947年製産された個体と推測できます。筐体の造りがヘリコイド (オスメス) が無い為に簡素に見えてしまいますが、それでも「zeissのT」が何とも誇らしげに見えます。
今回このモデルを初めて完全解体でオーバーホールしましたが、このモデルの組み上げ工程よりもむしろ今回のヤフオク! 出品で附属品として用意した「マウントアダプタ」のほうの微調整に相当な時間が掛かってしまいました。
左写真は今回のヤフオク! 出品に際し用意した「CONTAX RF→SONY Eマウントアダプタ」で、CONTAX I/IIa/IIIaなどレンジファインダーカメラの「内爪/外爪」両方のマウントに対応したマウントアダプタでカメラボディ側が「SONY Eマウント」です。
この製品は海外オークションebayで出品者が自ら自作して販売している商品を個人輸入しましたが、実は現在のヤフオク! でも全く同一の (同じ出品者からの) 製品が某カメラ店の扱いで販売されています。
その某カメラ店の提携工房で委託で作ってもらったと記載されていますが、どう考えても単に輸入して手に入れただけと考えられますから(笑)、今ドキあまり大袈裟に書くとちょっと恥ずかしい気がしますね (誰でも個人輸入が簡単にできるから)(笑)
今回問題だったのは出品するオールドレンズ側の組み立て工程よりも、このマウントアダプタの微調整に相当な時間を要しました。具体的には以下の問題がありました。
【CRF-NEXマウントアダプタの問題点】
① 無限遠位置が相当なオーバーインフ状態
② マウントアダプタ側の設計がダメ
③ ヘリコイドのトルクがツルツルすぎる
④ 光軸ズレ発生
・・とこんな感じです。取り敢えずまとめて5本今回調達したのですが、5本すべて同じだったので (個々の計測結果は逆にバラバラ) おそらく現在市場流通しているマウントアダプタも似たり寄ったりではないかと危惧しています。
まず①の無限遠位置が相当なオーバーインフ状態である問題は、さすがに無限遠位置が「4目盛分もズレている」ともはや∞の距離ではなくなってしまい、すぐ近くの距離で既に無限遠合焦してしまうので、なんだか使っていて寂しい気持ちになりました(笑)
また②の問題は、何とこのマウントアダプタの「正面が真上に来ない設計」なのです(笑) これはさすがに笑ってしまいましたが(笑)、上の左写真で言えば「CRF-NEX」刻印されている位置が、本来SONY製ミラーレス一眼に装着したら真上に来るのが普通です。
しかしこのマウントアダプタは3時半くらいの位置に来てしまいます(笑)
③の問題はヘリコイド (オスメス) を回すトルク感が、まさにこのコトバどおりの「ツルツル」状態で、さすがにちょっとオールドレンズを操作するには違和感しか残らない操作性でした。
最後の極めつけは④の光軸ズレで(笑)、これは今回調達した5個中2個がズレていました。これは単に真鍮 (黄銅) 製のマウント部を組み込む際にしっかりと中心で位置合わせできていなかっただけの話なので検査すればすぐに分かります。
こんな感じで、とにかくこのマウントアダプタのほうにむしろ時間を要してしまい、当初は ご落札者様にすぐにお使い頂けるようにと用意しただけのつもりでしたが、何だか本末転倒 です(笑)
↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体でLED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。
一応調達時に光学系を最優先でチェックしたつもりなのですが、クモリが皆無で安心であるものの第2群の3枚貼り合わせレンズり外周 (端っこ) に1箇所1cmほどのバルサム切れが生じています。上の写真で「Jena」の文字辺りに写っている気泡のような部分がバルサム切れです。見た限りでは進行中では無さそうなので、特に問題視しませんでした。
描写性能としては当初バラす前の実写チェック時点で「少々甘い写り」だったので、オーバーホール工程ではその辺も微調整して鋭いピント面に仕上げています。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
気泡が大小少々多めに残っています。また経年の拭きキズなども散見しますから経年相応と言った感じでしょうか。
↑光学系後群側もスカッとクリアなので本当に良かったのですが、残念ながらコーティング層の線状ハガレが結構盛大に残っています。上の写真で横方向に15mm程の長さで写っているのが太目のコーティング線状ハガレで、それに附随してもう1本細いのがあります。
いずれもキズではないので前述の光学系内を写した写真を見ればキズとして見えていないのが明白ですが、光に反射させるとコーティング層なのでご覧のような線状にハガレが浮き上がります (但し写真には影響しません)。他に菌糸状のカビ除去痕なども見受けられますね。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。前述のコーティング層線状ハガレ部分は少し目立つように誇張的に光に反射させて撮影しました。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い6ミリ長が数本あります)
・バルサム切れ:あり (貼り合わせレンズあり)
(第2群3枚貼り合わせレンズ外周に1cmあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:あり
(目立つコーティング層線状ハガレ後玉に2本あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内の透明度が非常に高いレベルです。
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり、一部は一見すると極微細な塵/埃に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷されていた為クレーム対象としません)。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。
↑9枚の絞り羽根はカーボン仕上げですがキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま閉じていきます。絞り羽根には過去の油染み痕が残っています (赤サビは除去しました)。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
↑このモデルにはヘリコイド (オスメス) が存在しないので、トルク感と言えば絞り環だけです。構造上どうしても軽めのトルク感に仕上げられなかったので、絞り環操作が少々重めです。
従ってピント合わせ後に絞り環操作してボケ具合を微調整しようとするとピント面がズレるのでご留意下さいませ (先にボケ味を決めてからピント合わせしたほうが無難です)。
↑このブログの一番下にこのモデルで採った実写を載せていますが、これだけリアルな鋭いピント面を1947年時点で提供できていたと言うのが、やはりオドロキでしかありませんね(笑) 流石を通り越して凄いなと感心しきりです・・。
それだけにこのマウントアダプタの大変さが何ともガッカリだったと言うか、ハッキリ言ってこのような仕上がりのマウントアダプタがゴロゴロ市場に流れているようなので (以前オーバーホール/修理で承った時も同じ造りだった)、どうなんでしょうかね。皆さんどうやって使っているのでしょうか・・ちょっと不思議です(笑)
↑・・という事で、ここからは附属品の解説に入りたいと思います。
そもそもだいたいヤフオク! に出品しているオールドレンズの中で、ここまで丁寧にブログで附属品まで解説して使い方まで説明し、しまいには留意事項までちゃんと案内している出品者って居るのでしょうか?(笑)
・・と最初に文句タラタラ(笑)
上の写真はゴロゴロっと今回ヤフオク! に出品する附属品とあわせて並べた記念撮影です。
【今回のヤフオク! 出品附属品一覧】
① Sonnar 5cm/f2 T《後期型》(CTX-RF)
② CONTAX → SONY Eマウントアダプタ
③ SONY Eマウント用汎用樹脂製後キャップ
④ 中古UVフィルター
⑤ 汎用樹脂製スナップ式前キャップ
単にこれだけ附属品を用意したところで、結局のところ当方の信用/信頼の株が上がるワケではありませんね (下心がチラ・ホラと)(笑)
ちなみに、オールドレンズ本体をこのマウントアダプタに装着する際は上の写真グリーンの矢印で指し示した箇所の「リリースマーカー (●)」を互いに逢わせてセットします。
↑まずはオールドレンズ本体に飛び出ている小さな板状部分にある「リリースマーカー (●)」(グリーンの矢印) とマウントアダプタ側の「リリースマーカー (●)」を互いに合致させます(グリーンの矢印)。
この時、マウントアダプタ側の切り欠き部分 (上の写真で言うところの赤色矢印の箇所) だけで「リリースマーカー (●)」が互いに合致しますから、そこにオールドレンズ本体を差し込むとストンと上の写真のように填ります。
逆に言えば、他の位置でオールドレンズ本体を差し込もうとしても爪が当たってしまいハメ込むことができません。オールドレンズ本体を差し込んだらブルーの矢印①方向に回します。
↑するとカチッと言う音が聞こえてオールドレンズ側の小さな板の出っ張りにある「リリースマーカー (●)」(グリーンの矢印) がロックボタンの切り欠き部分に填ります (この状態でロックされるのでオールドレンズ本体が外れなくなる)。
そこでオールドレンズ側の2段目のローレット (滑り止め) を指で保持しながらブルーの矢印②方向に回すと「マウントアダプタ側のヘリコイドが繰り出される」仕組みです。
↑もう少し拡大撮影しました。分かりにくい説明で申し訳御座いません!!!
ロックボタンに用意されている四角い切り欠き部分 (赤色矢印) にオールドレンズ本体から飛び出ている小さな板状の「リリースマーカー (●)」がカチッと音を立てて填ります。その時マウントアダプタ側の基準「●」マーカーはグリーンの矢印で指し示していますね。本当はこの位置に無限遠位置の「∞」マークが来ていれば良いのですが、このマウントアダプタの仕様では上の写真のように通り越してしまいます。
またさらにSONY製ミラーレス一眼にこのマウントアダプタを装着した時に真上に来る箇所に「当方の手でドリルによりマーキング (●) を切削」しました (オレンジ色矢印)。汚い仕上がりで大変申し訳御座いません・・。
オールドレンズ本体を外す際は、ロックボタンを押し込みながら (ブルーの矢印③) すると切り欠き部分からオールドレンズ本体から飛び出ている小さな板状が外れるのでオールドレンズ本体をブルーの矢印④方向に回して取り外します。
これがオールドレンズの着脱方法です。
↑ピントあわせする時は、上の写真のようにオールドレンズ側の2段目のローレット (滑り止め) を保持しながらブルーの矢印⑤方向に回していくとマウントアダプタ側が一緒に回転して (ブルーの矢印⑥) ヘリコイドが繰り出されます (ブルーの矢印⑦)。
この操作方法でピント合わせを行います。グル〜ッと1周回って最短撮影距離:90cmに至ります (だいぶ繰り出されます)。
↑ところがその最短撮影距離:90cm位置でヘリコイドは止まらないので、そのままさらに回して (ブルーの矢印⑧) いくとどんどん繰り出され続けます (ブルーの矢印⑨⑩)。
すると2周分回りきって再び最短撮影距離:90cmが来ますが、まだまだ回り続けます。
↑さらに回り続けて「結局最終的に全部で3周分ヘリコイドが回る」と、その次に3周目を過ぎた辺りで再び「∞」刻印が来た頃「ヘリコイドオス側が脱落」します(笑)
従ってこのマウントアダプタのヘリコイドは3周分まで回せると記憶して
下さいませ。
それ以上回し続けるとヘリコイド (オス側) が脱落して抜け落ちてしまいます。上の写真はそのヘリコイド (オス側) が脱落する寸前の状態であり、既にヘリコイドを3周回した後の撮影です (つまりこれだけ繰り出して出てくる)。
当初このマウントアダプタを手に入れた時の屁の (オスメス) のトルク感が「ツルツル」状態でヒジョ〜に違和感を感じたので(笑)、何と解体して〜リグを「粘性:重め」に入れ替えました(笑)
何で当方がマウントアダプタのヘリコイドグリースまで入れ替えなければイケナイのョ・・!と文句タラタラです(笑)
本当はマウントアダプタ側のこのヘリコイド (オスメス) が脱落しないように工夫できれば良かったのですが、残念ながら「仕様上細工が一切できない」ので申し訳御座いません・・。
↑上の写真はマウントアダプタのSONY Eマウント側を見せて撮影していますが、赤色矢印のようにSONYのミラーレス一眼のマウント部に装着する際に目安とする「リリースマーカー (●)」がちゃんと用意されています (どのマウントアダプタでも同じですが)。
↑その「リリースマーカー (●)」を目安にしてマウントアダプタをミラーレス一眼に装着すると「???」になります(笑)
グリーンの矢印のとおりマウントアダプタの型番である「L39-NEX」刻印が真上に来ていないのです?!(笑)
↑違う角度から撮影しましたが、こんな感じで3時半辺りの位置に来ています (オレンジ色矢印)。従って仕方ないので (目安が無いと着脱時にアッチコッチ回すハメに陥り面倒くさいので) 当方の手でドリルを使って円形の「リリースマーカー (●)」(グリーンの矢印) を用意した次第です(笑)
しかし、キレイにできず申し訳御座いません・・お詫びします。
↑なお、無限遠位置が4目盛分もズレている相当なオーバーインフ状態だったので、一旦マウントアダプタを完全解体した上で、オールドレンズを装着しながら無限遠位置確認を執りつつ僅かなオーバーインフ状態になるまで微調整しました。現状オーバーインフ量はほんの少しだけになっています。
また当初発生していた光軸ズレはもちろん簡易検査具を使って直しました(笑) マウントアダプタ側の下位版刻印部分が真上に来ないのも「リリースマーカー (●)」を用意しましたし、ヘリコイド (オスメス) のグリースも当初よりは重く変わっています。
どうしてヘリコイド (オスメス) 側のトルクを「重くする必要があるのか?」と言うと、絞り環操作した時に動いてしまうのでなるべく動かないように重くした次第です。但しそうは言っても絞り環操作すると必ず微動してしまうので、できればボケ具合を事前に決めて「絞り値を先にセットしてからピント合わせを行う」撮影方法でお使い頂くの楽だと思います。
無限遠位置 (当初バラす前の位置から微調整済/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当レンズによる最短撮影距離90cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
この実写はミニスタジオで撮影していますが上方と右側方向からライティングしています。その関係でフードを装着していない為に絞り値の設定によりハレ切りが不完全なまま撮影しています。一応手を翳していますがハレの影響から一部にコントラスト低下が出てしまうことがあります (簡易検査具による光学系検査を実施済で偏心まで含め光軸確認は適正/正常)。
↑f値「f16」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっている状態なのですが、如何ですか? まだまだ「回折現象」の影響が現れているように見えませんが・・。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
↑上の写真はオールドレンズ側の仕様上の最短撮影距離である「90cm」をさらに1周分回しきったところで撮った開放f値の実写です。相当ピント面の周囲がボケボケで、これはこれで使えそうな感じです。
↑さらにどんどん回し続けて最後3周目まで到達した最短撮影距離:90cmの位置での開放実写です。こんだけボケていてもちゃっかりピント面だけはカリカリの鋭いピントを維持しているので、何だかよくぞ頑張ってくれているとちょっとウルッと来てしまいましたね(笑)
逆に言えば、製品本来の光学性能をとっくに逸脱しているにもかかわらず、さすが戦前Carl Zeiss Jenaの設計を踏襲し続けただけの事はあると感心しきりです。