◎ Tokyo Kogaku (東京光学) RE.Auto-Topcor 5.8cm/f1.4《後期型》(RE/exakta)
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今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、東京光学製
標準レンズ・・・・、
『RE.Auto-Tocpor 5.8cm/f1.4《後期型》(RE/exakta)』です。
当方がオーバーホールを始めた8年間の累計扱い本数は今回が29本目の個体になります。意外に少なめな本数ですが決して敬遠しているワケではなく、むしろ毎月必ず探しているのですがこのモデルの光学系「特に後玉の状態」からそう容易く手が出せないモデルの一つです。
今回の個体も調達時の出品ページには「カビクモリ無し」と謳っていましたが、届いた個体には盛大なカビが後玉表面に生じており、返品不可のノークレームノーリターンから仕方なく扱った次第です。
つまり「ハズレ」になるワケですが、そうは言っても後玉以外の光学系内透明度が非常に高いので (まるで新品同様品)、当方の2017年来からの即決価格「59,500円」は付けられないものの (何ら問題が無い完璧な状態を維持した固体の場合)、それを勘案して今回はお安く設定しました。
その意味で、後玉がキレイに見える写真で写っていても現物を手にするとなかなか難しいので厄介です。
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1963年に東京光学から発売されたフィルムカメラ「RE SUPER」用のセットレンズとして、開放f値「f1.4」及び「f1.8」2つの標準レンズがセット販売用に用意されていたようです。市場での評価も当時から高く、東京光学の交換レンズ群の中にあって銘玉中の銘玉と評されているようです。
【モデルバリエーション】
※オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。
指標値環基準マーカー:●
距離環ローレットの縁:有
マウント面凹み:有
指標値環基準マーカー:●
距離環ローレットの縁:無
マウント面凹み:無
・・ところが、製造番号との関連付けで捉えると、さらに細かいモデル・バリエーションの展開が見えてきます。
【製造番号とモデル・バリエーションの関係】
※サンプル数50本 /オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。
※焦点距離:レンズ銘板に刻印されている表記方法の相違
※基準マーカー:指標値環に刻印されている「●」の色
※距離環ローレット:ラバー製ローレットの縁の有無
※マウント面凹み:フィルムカメラ「TOPCON R」用の窪み有無
※D以降の製造番号は変化無くサンプル取得をやめた
- 製造番号「94xxxx」:
焦点距離:5.8cm、基準マーカー:●、距離環ローレット:縁有、マウント面凹:有
- 製造番号「11200xx」〜「11298xx」:※先頭「112」でも総桁数が1桁短い
焦点距離:5.8cm、基準マーカー:●、距離環ローレット:縁有、マウント面凹:有
焦点距離:5.8cm、基準マーカー:●、距離環ローレット:縁無、マウント面凹:有
- 製造番号「11210xxx」〜「11216xxx」:※前期型/後期型の要素が混在
焦点距離:5.8cm、基準マーカー:●、距離環ローレット:縁有、マウント面凹:有
焦点距離:5.8cm、基準マーカー:●、距離環ローレット:縁無、マウント面凹:有
- 製造番号「11217xxx」〜「11233xxx」:※ここから完全な「後期型」になる
焦点距離:58mm、基準マーカー:●、距離環ローレット:縁無、マウント面凹:無
- 製造番号「9410xxxx」:
焦点距離:58mm、基準マーカー:●、距離環ローレット:縁無、マウント:NikonF
このように見ていくと「前期型」からある一時期に一斉に「後期型」に切り替わったのではなく、一部の構成パーツを変更しつつ徐々に「後期型」へと変遷していったことが判明します。同時に内部を調べていくと、例えばマウント部内部に配置されている「絞り開閉アーム」機構部の仕様変更やヘリコイド内部に配置されている「直進キー」の仕様変更なども「後期型」に向けて徐々に切り替わっていきます (上記モデルバリエーションのA.〜E.全て5種類を今までにバラしてオーバーホールしているので検証済です)。
ちなみに、バラしてみると内部に使われている「締付ネジの種別」で「前期型〜過渡期〜後期型」のタイミングさえも判明してしまいます。「磁性反応しないマイナスネジ」なら「前期型」の時代になりますし「一部は磁性反応する」なら「過渡期」であり「磁性反応するプラスネジ」なら「後期型」とも言えます。
「観察と考察」することで、このような事柄も見えてきますね(笑)
今回出品個体は上のモデルバリエーション「B」の製造番号が1桁短いタイプになり、構造面では「初期型から後期型へ移行する過渡期」の個体と見受けられ「距離環のラバー製ローレット (滑り止め) に縁があるまま」のちょっと珍しい個体になります (基準「●」マーカーに変わっているから)。また内部に使われている締付ネジはその全てが「磁性反応しないマイナスネジ」であり、且つマウント部内部の「開閉レバー機構部」が「前期型」設計を採ったままなので辻褄も合っています。
その意味で基準「●」マーカーの個体は今回初めて見ました (いつもは●)。
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上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています。
◉ 一段目
光学系構成がダブルガウス型を基本としているので、エッジが真円で明確なシャボン玉ボケの表出が苦手です (決して出せないワケではない)。背景の円形ボケが破綻して滲んでいくのでシ〜ンによってはモフモフとした (ザワついた) 印象の背景ボケにもなりますが、ピント面のエッジは基本的に鋭く出てきて違和感を抱くような誇張感無くアウトフォーカスへと繋がっていきます。
◉ 二段目
意外にもダイナミックレンジはそれほど広くなく、特に暗部がストンと堕ちてしまうので黒潰れや白飛びが極端に現れます。解像感を欲張らずに程良く調味した印象の画に収まるのが却って魅力でしょうか。その中でも硝子の質感表現などギリギリのところで出しています (左から2枚目)。特に人物撮影がキレイで人肌の表現性に惹かれます。
光学系は5群7枚の拡張ダブルガウス型構成です。10年後の1973年に発売されるマルチコーティング化された「RE GN TOPCOR M 50mm/f1.4 (RE/exakta)」でも同じ5群7枚の光学系構成を踏襲し続けますが、マルチコーティングなので必然的に再設計されています (今回のモデルはモノコーティング)。
基本的にピント面のエッジが細く繊細に出てくるので、画全体的な誇張感は低く違和感を感じないコントラストと発色性も好感を持てます。
今回バラして清掃時にデジタルノギスで計測しほぼ正確にトレースした構成図です。
当方が計測したトレース図なので信憑性が低い為、ネット上で確認できる大多数の構成図のほうが「正」です (つまり右図は参考程度の価値もない)。
(各硝子レンズのサイズ/厚み/凹凸/曲率/間隔など計測)
左写真は、当初バラし始めた時のヘリコイド (オスメス) と基台ですが過去メンテナンス時には「白色系グリース」が塗られ、既に経年劣化の進行から「濃いグレー状」に変質していました (洗浄する前の撮影)。
もちろん「白色系グリース」なので塗布した当初は白色なのですが、アルミ合金材の摩耗粉が混じるので経年と共に変質していきます。
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。大口径の標準レンズなのでバラした構成パーツが撮影に使っている楢材のお盆に並びきりません(笑) モデルバリエーションの変遷の中で捉えると内部構造に大きな変化はありませんが、細かい構成パーツの仕様は「前期型」の特徴をまだ残しています。
↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。このモデルはヘリコイド (オス側) が独立しているので別に存在します。
絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。
◉ 位置決めキー
「位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー
◉ 開閉キー
「開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー
◉ 位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)
◉ 開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環
↑非常に薄いペラペラな6枚の絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。既に鏡筒の最深部に完成した絞りユニットを組み付けていますが、ご覧のように「C型環 (英文字Cのカタチをした留具)」で「位置決め環」を固定するものの、実は鏡筒の横側から「イモネジ (3本)」でも同時に締め付け固定されます。
◉ イモネジ
ネジ頭が存在せずネジ部にいきなりマイスの切り込みが入っているネジ種
ところがそのダブルで締め付け固定する方式の「理由」をちゃんと理解できないと、このモデルの組み上げは正しく仕上がりません。つまり「原理原則」を熟知している人でなければ適正な微調整を施さないまま単に組み上げているだけになるのがこのモデルの常です。
と言うのも、今回扱った個体も実は当初バラす前のチェック時点で「絞り羽根の開放側が詰まった印象で停止し最小絞り値側も閉じすぎていた」いわゆる適切な微調整が施されてないまま組み上げられていた個体と言えます。
それは絞り環操作してみればすぐに分かるので、市場に流れている個体や既に所有していらっしゃる場合も絞り環を回せばほぼ状況が掴めます。
↑完成した鏡筒をひっくり返して後玉側方向から撮影しました。絞り羽根開閉に関わる制御系の構成パーツがビッシリ附随します。
◉ 連係アーム
絞り環と連係して設定絞り値に見合う位置まで制御環を移動させる役目のアーム
◉ 制御環 (真鍮製)
途中に「なだらかなカーブ」を持ち絞り羽根の開閉角度を決定する環 (リング/輪っか)
◉ カム
突出棒が「なだらかなカーブ」に突き当たることで絞り羽根開閉角度が決まる
◉ 開閉キー
絞り羽根を開閉する際にチカラが及んでいるキー
すると「なだらかなカーブ」の麓部分が最小絞り値側になり、登りつめた頂上が開放側です (ブルーの矢印)。上の写真ではカムが麓位置に突き当たっているので、絞り羽根は最小絞り値まで閉じています。
一方オレンジ色矢印で指し示した位置にスプリング (引張式コイルばね) が2本附随しており、互いに「絞り羽根を常時閉じようとするチカラ」と「常時開こうとするチカラ」の相反するチカラを及ぼしています。
このスプリング (引張式コイルばね) が問題で、過去メンテナンス時に故意に切削されて短くなっている場合があります。切削して短くすることで経年劣化で弱ってしまったスプリングのチカラを強くする「常套手段」ですが、意外とメンテナンスする上で様々な局面で使われる方法の一つです。
経年使用でスプリングのチカラが弱っていくのは致し方ない事実なのですが、その弱った原因を一切考慮せずに安直に切削してしまう過去メンテナンスが多いのが現実です。特に当モデルの場合、前述の「絞りユニットの仕上げ方」次第で絞り羽根の開閉時に抵抗/負荷/摩擦を伴うので、そもそも前の工程の処置が適切ではなかったことに気がつかずに「スプリングを短く切削」すれば良いと考えている整備者が多いと言わざるを得ません。
もちろん今回のオーバーホールでは適切に絞りユニットをセットできているので、スプリングは現状の長さのまま使っています。
またグリーンの矢印で指し示した位置には、前の工程で解説した「イモネジ」ガム3本鏡筒周りに均等配置で締め付けされています。
↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。大口径の標準レンズですが、意外と鏡筒の厚みは少なめです (深くない)。
↑冒頭のバラした直後の撮影と同じ構成パーツですが (並び順も同じ)、既に洗浄済で当方による「磨き研磨」も終わっています。
↑するとヘリコイド (オス側) には両サイドに1箇所ずつ「直進キーガイド」と言う「溝」が用意されており、そこを「直進キー」が行ったり来たりとスライドすることでヘリコイド (オス側) が直進動する仕組みです。
◉ 直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目
この「前期型の仕様を受け継ぐ構成パーツ」では「直進キー環というリング/輪っか」に板状部分を用意して、それを「直進キー」としています。
これが問題で、この板状部分が同じアルミ合金材からの削り出しで造られてしまった為に、経年でムリに距離環を回していた個体だったりすると既に「直進キーの変形」が生じていたりします。するとまず元通りに修復するのが難しいと言えます。
つまりこのモデルは距離環のトルクムラが既に生じている個体だと、仮にヘリコイドグリースを入れ替えたとしてもトルクムラの解消は非常に難しいと言わざるを得ません。
↑実際に前述の「直進キー環」は上のグリーンの矢印の位置である基台内側にセットされます。
↑すると上の写真のようなイメージでそれぞれの構成パーツが重なり合ってヘリコイド (オスメス) の直進動が実現できるワケです (上の写真は解説の為に単に各構成パーツを重ねただけの状態)。
↑ここからちゃんと工程を進めますが、まずは距離環やマウント部が組み付けられる基台です。
↑前述のとおり内側に「直進キー環」をセットしてからヘリコイド (メス側) を、無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。
↑さらにヘリコイド (オス側) を、やはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で9箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。
もう既にヘリコイドグリースを塗布済ですが、ちゃんと「直進キー」もヘリコイド (オス側) 両サイドにある「直進キーガイド」に刺さっており、ヘリコイド (メス側) が回転することでチカラが変換されてヘリコイド (オス側) だけが直進動します。
従って鏡筒はこのヘリコイド (オス側) の内側にセットされる設計ですね。
↑こんな感じで鏡筒はヘリコイド (オス側) 内側にストンと落とし込まれ、最後に前玉側方向から「締付環」で締め付け固定されます (グリーンの矢印の順番)。
↑後からセットできないのでここで先に光学系後群を組み付けます。
↑基準「●」マーカーが刻印されている指標値環をセットして「絞り値キー」と言う「溝」が刻まれているパーツも同時に組み付けます。
この「溝」に鋼球ボールがカチカチとハマることで絞り環を回した時のクリック感が実現できています。
↑距離環を仮止めしてから光学系前群を組み付けて無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わりました。レンズ銘板に刻印されている製造番号の先頭3桁「112xxxx」だけを消さずに残しておきました。
↑光学系内の透明度がとんでもなく高いのですが、非常に残念なことに「後玉表面側にカビ除去痕が相当な領域で残っている」為に出品する即決価格を安く設定しています。このまま後玉の問題が無ければ2017年来ず〜ッと設定し続けている「59,500円」になっていました (それで今まで3本落札されているので今回は珍しい)。
もちろん光学系前群側はLED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です (まるで新品同様品のレベル)。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑光学系後群側も貼り合わせレンズを含む「第3群〜第4群」まではまるで新品同様品レベルの透明度なので、この後玉表面だけが本当に残念で仕方ありません。ところがご覧のようにキレイに見えてしまうから当初調達時も全く分かりませんでした (カビクモリ無しと謳われると信じるしかない)。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
この3枚の中で1枚目の後玉表面上部に「モヤモヤとした領域」が写っていますが、その部分が (実際はもっと広いが) カビ除去痕になっていてLED光照射すると極薄いクモリとして浮かび上がります。
【光学系の状態】(順光目視で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:16点、目立つ点キズ:10点
後群内:18点、目立つ点キズ:14点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
・バルサム切れ:無し (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):あり
(後玉表面にLED光照射で全面に渡り視認可能)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・後玉は経年相応なカビ除去痕が複数残っておりLED光照射で極薄いクモリを伴い浮かび上がります。
・光学系内の透明度は高いレベルです(一部にクモリあり)。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。但し後玉の状況から逆光や光源を伴う撮影時には入射光の角度によりハロの出現率が上がる懸念があります。
↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま開閉します。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度と軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「重め」に感じ「全域に渡って完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せます。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません (附属品を除外しても値引等対応できません)。
↑後玉の状況だけが惜しい限りですが、当方が出品するこのモデルの (今までの) 即決価格からすればお安いので、是非ともご検討下さいませ。
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当レンズによる最短撮影距離45cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
この実写はミニスタジオで撮影していますが上方と右側方向からライティングしています。その関係でフードを装着していない為に絞り値の設定によりハレ切りが不完全なまま撮影しています。一応手を翳していますがハレの影響から一部にコントラスト低下が出てしまうことがあります (簡易検査具による光学系検査を実施済で偏心まで含め光軸確認は適正/正常)。
↑最小絞り値「f16」での撮影です。「回折現象」の影響が現れ始めています。後玉表面の状態は取り敢えず普通の撮影時には特に問題無さそうですが、光源や逆光撮影時にはハロの出現率が上がる懸念があります (事前告知済なのでクレーム対象としません)。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。